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2012年6月24日 - 2012年6月30日

2012.06.29

■感想 原將人監督『百代の過客』DVD

Hara_kantoku

原 將人監督の作品(公式サイト)

"☆商品番号:MSP-0008(山形ドキュメンタリー映画祭 入選4時間ヴァージョン 240min DVD) 1本 5,000円 20本在庫あり"

 先週に引き続き、原将人監督の作品を観た。今月は週一本づつ私的原監督映画祭開催中(^^)。

 前作『初国知所之天皇(はつくにしらすめらみこと)』(1973年)から20年たった1993年に作られた『百代の過客』3時間40分の大作。

 300年前の芭蕉の奥の細道の旅を、父子でたどる旅。
 そして8mmフィルムとビデオカメラによる映像を、俳句になぞらえて各地の様子をとらえていく旅。

 映像を俳句になぞらえる原が作中で述べているのは、今は、誰でもがビデオをもった芭蕉である。芭蕉の俳句は旅の記録であり、現代ではそれは旅人が持ち記録するビデオに置き換わったのではないか。もしも現代に芭蕉が生きていたら、きっと映像を残しただろう。当時は文字での記録しか出来なかったが、芭蕉の俳句は映像喚起力があり、素晴らしくシャープな映像を残している、という夢想。

 当時の8mmビデオで撮られた映像を原が俳句になぞらえているのは、即興で使われるフェードイン、スローシャッター、ソラリゼーション等の技法。それらの表現がまさに俳句の余韻を持った語尾の「や」とか「なり」といった文字表現に置き換え得るのではという解釈が語られている。
 
 そうした映像表現に加えて、画面にはワープロで打たれた原による俳句と、そして前作にも共通する作詞作曲と歌が監督自身である多数の楽曲が使われている。

 描かれるのは、奥の細道の旅と、親子の関係修復の物語と、そして300年間の日本の変貌が重なって表現されている。

 原監督と高校生の息子である丸珠くんの物語は、離れて暮らす二人の関係が、楽曲と映像の制作を通して、近づいて行く様を生々しく描いている。

 日本の変貌のひとつとして語られるのは原発。
 芭蕉が通ったらしい、柏崎と敦賀の原発が映し出されている。
 芭蕉が句を読んだという敦賀の浜に立つ原発を前に、原監督は次の300年後の日本人は廃炉となったその核施設をどのように観るのだろうと、深く語っている。311後の現在、もんじゅを含むこの映像を観ていると、感慨深いものがある。
 さらに300年後の未来の芭蕉が観て記録する光景が岩井俊二監督の小説『番犬は庭を守る』で描かれたようなディストピアでないことを祈るしかない。

 映画のクライマックスで描かれている立山の登山の光景がとても良かった。
 300年前の山小屋。頂上からの見事な雲の映像。

 そして最後に、途中で語られる原の次回作とそこで使われる歌。これが『20世紀ノスタルジア』の原型となったプロットと主題歌である。
 語られている原型は、自分の助手だった若者の死。その彼がモデルで、物語はその死をめぐり、恋人だった少女がビデオを観ながらたどる、というものだったようだ。

 『初国知所之天皇』と『百代の過客』、原監督のフィルモグラフィをたどる僕の旅(^^;)も、このようにして『20世紀ノスタルジア』へと辿り着いたようだ。

 次週は『20世紀ノスタルジア』再見(何回目w?)の予定。

◆関連リンク
日本心中 針生一郎・日本を丸ごと抱え込んでしまった男。 - goo 映画

"美術・文芸・社会評論を通じ、新しい日本の秩序と芸術創造のあり方を模索してきた人、針生一郎。カメラは、彼が韓国の市場を散策しながら、あるいは日本の彼 の書斎の中で、日本の美術の役割や古代から続いている日本の様式、ついては天皇制について語るのを静かに見守る。またある時はカメラは芸術ともいうべき刺 青を体に刻み込む過程を追うが、それは圧倒的で息をのむほど生々しく美しい。また画面では針生氏の頭の中を覗き込むかのように朝鮮のパンソリや詩を朗読す る男女の幻想的な場面が走馬灯のように流れる。かつて日本に新しい秩序を造り上げようとしてきた彼の「痛魂」のモノローグは続く。

 原監督の息子さん、原丸珠氏が制作したドキュメント。

当Blog関連記事
■原將人『父と子の長い旅』

"この父と子の夏休みの旅の中で、『百代の過客』が撮られ、そして次の初商業映画の企画が立ち上がってくる。『20世紀』の「遠山杏」のカメラワークは、こ の旅でまるじゅが撮ったDVカメラの映像が参考にされている。そしてまるじゅの感性の一部がきっと「片岡徹」へ移植されている。
「うん、だから、俳句っていうのが映像的だから、すごく人気があったんじゃないの。今のコンパクトカメラだよ。今の人たちがカメラを持って楽しむよう に、俳句を楽しんでたんじゃないの。江戸の人たちは。」P140原監督のコメント


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2012.06.28

■情報 7月 東京は究極映像都市に(^^;)

 いよいよ7月が近づいて来ました。
 タイトルに書いたように、今年の夏は当Blogにとって、東京でとても興味深い展示会が多数開かれるため、ここで一通り、まとめておきます。(ほとんど個人的な旅行計画のためだったりするのですが、参考になれば幸いです(^^;))

Photo

■庵野秀明館長『特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技』

"東京都現代美術館
会期:7/10(火) 〜 10/8(月・祝)
休館日:月曜日 7/16、8/13、8/20、9/17、9/24、10/1、10/8は開館、 7/17、9/18は休館"

■神林長平『ぼくらは都市を愛していた』

"発売記念 神林長平先生サイン会 | 株式会社書泉
開催日時 2012年7月15日(日) 16:00~
会場 書泉ブックタワー9Fイベントホール(秋葉原)"

■神林長平 客席と出演者が語り合うトークライブ「Live Wire」

"【出演】神林長平 松永天馬(アーバンギャルド)大森望
【日時】2012年7月8日(日)開場19:00〜 開演19:30〜(約二時間) 【会場】山羊に聞く?"

■「奇っ怪紳士!怪獣博士!大伴昌司の大図解 展 …一枚の絵は一万字にまさる…」

"弥生美術館・竹久夢二美術館
会期: 2012年7月6日(金)~9月30日(日)
開館時間: 午前10時~午後5時"

■「ウルトラマン・アート!時代と創造-ウルトラマン&ウルトラセブン」展

"埼玉県立近代美術館 企画展示室(2階)
2012年7月7日(土)~2012年9月2日(日)
休館日  月曜日(7月16日は開館)
開館時間  10:00~17:30 "  

■デイヴィッド・リンチ展@渋谷ヒカリエ8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery

"会期:2012年6月27日(水)― 7月23日(月)
営業時間:11:00 - 20:00  展覧会期中無休 入場料無料
会場:8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery
住所:〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ 8階"

■『グレートラビット』と世界のアニメーション傑作選

"6/23(土)〜7/13(金)
シアター・イメージフォーラムにて3週間レイトショー!
連日、21時10分より。"

■マンタム個展『夜 歩く犬―崩れた塔に向かう郷愁 』

"2012年6月22日[金]〜7月17日[火]
月~金/13:00~20:00 土日祝/12:00~19:00
(イベントの際は変更になる場合もございます)
水曜日休館(会期中、臨時休館を頂く場合もございます)
入場料:500円
展覧会 会場:parabolica-bis[パラボリカ・ビス]
東京都台東区柳橋2-18-11"

 さあ、このうち、いくつ行けるだろうか?!

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2012.06.27

■情報 ラース・フォン・トリアー監督『メランコリア』デンマークのアカデミー賞 監督賞,作品賞他 受賞

Melancholia

Lars von Trier's 'Melancholia' Sweeps Danish Film Academy Awards - The Hollywood Reporter

LIST OF AWARDS 2012

Best Film: Melancholia. Dir: Lars von Trier
Best Actress: Kirsten Dunst – Melancholia
Best Supporting Actress: Charlotte Gainsbourg - Melancholia
Best Director: Lars von Trier – Melancholia
Best Original Screenplay: Lars von Trier – Melancholia
Best Cinematography: Manuel Alberto Claro– Melancholia
Best Production Design:Jette Lehmann  – Melancholia
Best Special Effects Hummer Højmark, Peter Hjorth - Melancholia
Best Sound Design: Kristian Eidnes Andersen – Melancholia
Best Editing: Molly Malene Stensgaard – Melancholia

 ラース・フォン・トリアー監督『メランコリア』がデンマークのアカデミー賞で、20の賞のうち、監督賞,作品賞,脚本賞他10を受賞。
 8/3にはブルーレイが発売されるということなので、この傑作破滅SFを再度観てみたいと思う。

Lars Von Trier's 'The Nymphomaniac' With Charlotte Gainsbourg Will Be 2 Part Film, Aiming For Cannes Premiere In 2013 | The Playlist

 次回作の『The Nymphomaniac』の情報。
 どうやら来年のカンヌでプレミア上映、2部構成の映画になるようだ。シャルロット・ゲンズブールは『アンチ・クライスト』『メランコリア』に続く出演。
 
 またこの記事を読むと、マーチン・スコセッシ監督とのコラボレーションとして、ラース・フォン・トリアーのドキュメンタリー"five obstruction"(『ラース・フォン・トリアーの5つの挑戦』)のリメイクの話も出ているようだ。

◆関連リンク
ラース・フォン・トリアー監督『メランコリア [Blu-ray]』

【映像音声特典】
●メイキング (12分)
●ビジュアル・エフェクトについて (7分)
●視覚スタイルについて (10分)
●ユニバース (4分30秒)
●インタビュー映像集(監督/キルスティン・ダンスト/シャルロット・ゲンズブール) (16分)
●キルスティン・ダンスト カンヌインタビュー (3分)

当Blog記事
感想 ラース・フォン・トリアー監督『メランコリア』 678の謎 本格破滅SFとしての読解

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2012.06.26

■情報 『グレートラビット』と世界のアニメーション傑作選

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『グレートラビット』と世界のアニメーション傑作選

"6/23(土)7/13(金)
シアター・イメージフォーラムにて3週間レイトショー!
連日、21時10分より。
予告編 - 『グレートラビット』と世界のアニメーション傑作選

上映スケジュール

A.『グレートラビット』と世界のアニメーション傑作選
デイヴィッド・オライリーDavid OReilly『エクスターナル・ワールド』
 (17分/ドイツ/16:9/color/stereo/2010)
デイヴィッド・ブオブ David Buob『ハウス』
 (7分/ドイツ/16:9/color/stereo/2011)
バスティアン・デュボア Bastien Dubois『マダガスカル旅日記』
 (11分/フランス/16:9/color/ctereo/2009)
ジュリア・ポット Julia Pott『おなか』
 (7分/イギリス/16:9/color/stereo/2011)
ひらのりょう『ホリデイ』
 (14分/日本/16:9/color/stereo/2011)
水江未来『MODERN No.2』
 (4分/日本/16:9/color/stereo/2011)
マーク・ジェイムス・ロエルズ、エマ・ドゥ・スワーフMarc James Roels & Emma De Swaef 『オー、ウィリー』
 (17分/ベルギー/16:9/color/stereo/2011)
しりあがり寿『3月11日のかけら』
 (2分/日本/4:3/color/stereo/2012)
和田淳『グレートラビット』The Great Rabbit
 (7分/フランス/16:9/color/stereo/2012)

B.和田淳全14作品 - 『グレートラビット』と世界のアニメーション傑作選
『グレートラビット』を含む和田淳全14作品上映"

 既に先週末からスタートしていますが、遅ればせながら御紹介。
 『グレートラビット』と多彩な作品を鑑賞できるチャンスです。

◆関連リンク
・当Blog CALF 関連記事 検索

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2012.06.25

■情報 マンタム個展『夜 歩く犬―崩れた塔に向かう郷愁 』

Mantam_yoruaruku

マンタム個展『夜 歩く犬―崩れた塔に向かう郷愁 』(夜想 yaso-peyotl)

"その犬は夜を食べる/折れた鼻で夜を嗅ぎだし夜を食べる
夜になるたびに犬が吠え始め/なにもない砂漠に月が影を落とす/誰もいないそこには/盗むものさえいないというのに/小さな銀のピンを砂のナカに落としてしまうのだ
犬は長い時間をかけようやく夜を食べ尽くしそれでやっと「朝」が来たのだ
(マンタム)

ホフマンの小説に、マイリンクの小説に描かれた、世界が今、
パラボリカbisの新ギャラリーに登場する。
時代を誤って生まれてきた、孤高の錬金術師マンタムが、
最大規模の術を行使して命を吹き込んだ、自動人形、自動機械、キメイラの数々。

2012年6月22日[金]〜7月17日[火]
■月~金/13:00~20:00 土日祝/12:00~19:00
(イベントの際は変更になる場合もございます)
■水曜日休館(会期中、臨時休館を頂く場合もございます)
■入場料:500円
■展覧会 会場:parabolica-bis[パラボリカ・ビス]
■東京都台東区柳橋2-18-11 ■TEL: 03-5835-1180"

 マンタムさんがその本拠地パラボリカ・ビスで個展を開かれています。
 錬金術師としての最大規模の術で、2012年の夏、東京にどんな魔界が開かれているのか、特撮博物館と同時になんとか東京行きを果たして、パラボリカの迷宮に迷いたいものです。

夜 歩く 犬|マンタムのブログ

"20世紀にもなって未だに鍊金術師と名乗り先祖から受け継いだ怪しげな薬を作り動物と機械を組み合わせるような奇妙なオートマタを作っていた男の元に中国の貴人から不死薬の依頼を受けた事からこの物語は始まる。
 
 与えられた期間は100年。"

 個展と同タイトルのさんの小説。
 中国での錬金術、生命と100年の時間の物語。後半の犬のイメージが鮮烈で素晴らしい。

◆関連リンク
グスタフ・マイリンク - Wikipedia

"カバラや錬金術、占星術、神智学など種々の神秘思想から影響を受け、E.T.A.ホフマンやエドガー・アラン・ポーの流れを汲む幻想小説を発表した。"

E.T.A.ホフマン - Wikipedia

"小説では自動人形やドッペルゲンガーといった不気味なモチーフを用い、現実と幻想とが入り混じる特異な文学世界を作り出した。また当時のロマン派作家の多くが田舎の田園風景を称揚したのに対し、都会生活を好んで描いたことにも特徴がある。"

マンタム 当Blog関連記事 検索
動画 マンタム個展「錬金術師の遠望」@Sipka

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