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2012年7月22日 - 2012年7月28日

2012.07.27

■情報 青森県立美術館「Art and Air ~空と飛行機をめぐる、芸術と科学の物語」「没後10年特集展示:成田亨」

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Art and Air ~空と飛行機をめぐる、芸術と科学の物語 | 青森県立美術館

"12年7月21日(土)− 9月 17日(月•祝)
休館日: 会期中無休
開館時間: 9:00-18:00(入館は17:30まで)
 空を見上げる...神話の時代から続く飛翔の夢、大空への挑戦と挫折の歴史。 空から見下ろす...俯瞰の視点に込められた人間の意識。 空と飛行機が織りなす、豊かな物語の数々。 飛行機のフォルム、メカニズムの魅力とそこに投影された人々の欲望。 そして、「空をとぶこと」の意味。 それまで地上を移動することしかできなかった人間の思考や感覚は、空にあがることでどのように変化したのでしょうか。 本展は、「空」と「飛行機」をモチーフとした様々な作品、資料をとおして、20世紀という時代の社会性や、現代に生きる我々人間の精神性を考察する文化史展です"

没後10年特集展示:成田亨 ほか | 青森県立美術館

"没後10年特集展示:成田亨 ほか 2012年7月14日(土) - 10月3日(水)"

 成田亨所蔵作品リスト | 青森県立美術館

"彫刻家・成田亨による「ウルトラQ」、「ウルトラマン」、「ウルトラセブン」に登場するヒーローやメカ、怪獣、宇宙人のデザイン原画計189点を、平成11年度に一括して収集しました。 青森県出身のアーティストが手がけた仕事であることに加え、現代日本文化を代表するモチーフであること、さらにはそのデザインの理念に高い芸術性が読みとれることから、美術館のコレクションとしました"

 没後10年特集展示成田亨の展示作業も進んでいます♫ | 青森県立美術館Blog

"今回は、 青森県立美術館の成田亨コレクション、「ウルトラQ」、「ウルトラマン」、「ウルトラセブン」に登場するヒーロー、怪獣、宇宙人のデザイン原画を、過去最 大規模で公開するとともに、油彩画、彫刻や、「突撃ヒューマン」の貴重な資料なども展示!これは見応えがあります!"

 特撮造形美術の成田亨さんの記念展と、「空」と「飛行機」の展示が合わせて開催されている青森県立美術館の御紹介。
 Blogに成田亨作品展示の写真掲載されていて、様子が少し伺えます。

 美術と特撮の関係を紐解くのに、成田亨さんの存在は欠かせないと思うので、そうした方面の関心がある方には、興味深い展示会なのではないかと考えます。

 僕は遠方で行けませんが、御近くの方は是非に。

◆関連リンク
当Blog関連記事
■感想 成田亨『特撮と怪獣 わが造形美術』『特撮美術論』

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2012.07.25

■感想(2) 「館長庵野秀明 特撮博物館」 ミニチュア特撮の未来

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館長庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技(公式HP)

 先日のレポートの続きを、まずは巨神兵プロトン砲発射造形ヘッドを少し上のアングルから写した眼がかわいいオーマ風の写真からスタートしたい(^^)。

 今回はこの展覧会がタイトルとした「ミニチュア特撮」の未来について。

 図録等によると、特撮博物館のコンセプトはふたつある。
 ひとつは今までの日本映像界の財産であるミニチュア特撮の造形物の保護。もうひとつはその映像に込められた魂とそれを作り出した技術の伝承。

 いつものように結論から書くと、僕は郷愁からコンセプトの一つめの造形物の保護は賛成、加えて二つ目の日本特撮が育んで来た工夫する魂の伝承には大賛成なのだけれど、技術としての伝承/ミニチュアへのこだわりには実は反対だ。

 魂はCGによる特撮/SFX映像にも熱く伝承されるべきと思うのだけれど、技術は進化して行くものだから、ミニチュアにこだわらずにCGへ移行してもいいのではないか、と思う。映像に工夫とワンダーさえあればその手段は問わない(^^;)。これが今日、書きたいことの結論です。

◆命題 ミニチュア特撮の魂は数値海岸に存在するか?

飛浩隆(@Anna_Kaski)さん/2012年07月08日 - Twilog

"つ http://t.co/IfQCXbkw RT @BitingAngle トイ・ストーリー3を見てると、なんだか『グラン・ヴァカンス』を連想しちゃうんだよな。放棄されたおもちゃの存在意義と、彼らの自意識の問題とか。あと、遊びが基本的には残酷で無慈悲な行為で、子供はそれに躊躇がないところとか。 "

 特撮博物館の後、歩きながらBitingAngle:青の零号さんが話してくれたこの内容が本項のきっかけになっているので、引用してみました。

 この引用されている内容もとても興味深いのだけれど、この話をそのまま続けるのではなく、現在の特撮技術CGの数値情報/解析ロジックの中に特撮の魂と技術は伝承できるのか、ということを少し考えてみたいのだ。

 僕は日本のミニチュア特撮に感動したセンスオブワンダーの延長上で、現代の映画で多用されるCGの進化にワクワクし続けている。どちらも大好きで、特に近年では有り得ないような物量とスピード感と奇想なイメージがCGから登場しているため、手放し状態に近い。映像の最先端は、そうしたCGと日本の一部のアニメ(ヱヴァンゲリヲン新劇場版とかw)が切り拓いていると考える。

 ミニチュア特撮の何に人はひかれるのか。
 手作り感が大事ならば、手の触感をどうCGへ持ち込めるかを技術的に工夫するのが重要なのではないか。モデリングの技術として、VR:ヴァーチャルリアリティのテクを用いれば手の触感と数値世界のCGモデルのフィードバックを実施して、手作りの触感の再生は可能だろう。

 ミニチュアの持つチープ感と空気抵抗によるブレのなんとも言えないキッチュ感。そして火炎の渦巻くリアルな迫力。爆発によるビルの倒壊の偶発的な映像のダイナミズム。
 これも実はCGの物理シミュレーションの進化で、数値世界で早晩、再現は可能になるだろう。

 物の動きの解析は既に物理的な線形の計算で実現されている。ハリウッド等のCG作品でもその恩恵にあずかっているものは無数にある。
 工学と科学の世界で実施されている数値シミュレーションで最も難解なものが流体力学解析である。これもロジックの進化と計算機能力の向上でかなりリアルな世界に近づいていて、CGにも多用されて来ている。

 爆発や火炎の動きは、まさに物体の物理シミュレーションとまわりの空気の流体解析問題である。偶然性はランダムの生成で作り出せるし、もっと簡単に言えば、今回の「巨神兵東京に現わる」で新たに開発されたビルの破壊方法2種類は、数値空間の中で、そのままあのミニチュアをモデリングし、同じように動かせば、同等の映像は撮れるだろう。そしてデジタルデータとして生成された映像は、加工や他との合成も自由自在。

◆特撮魂の駆動体としてのCG

 工夫する熱い映像魂とそうした技術の伝承は、物理シミュレーションが可能になったCG空間へ導入することが出来るはずである。
 たとえば不要な部分のビルの中味をモデリングしないとか、超遠近法とか、そうしたものもCG空間へ取込んで自由自在に個性的に使いこなす映像クリエータが今後の特撮/SFXシーンの最先端を走るのではないだろうか。

 シミュレーションテクノロジーを描いた神林長平の『魂の駆動体』を想いだす。
 まさにミニチュア特撮魂の駆動体としてのCGエフェクト。


 むしろミニチュアかCGかなんてことよりも、そこに成田亨や高山良策、小松崎茂、井上泰幸といったアーティストの個性をどう活かしていくか、ということの方が重要だろう。
 CGなら、各アーティストのデザインセンスをロジック化して取りいれることも可能。よくここで書いているように、金田伊功のようなアニメータの感覚もロジック化さえできれば、もしかしたらそんな映像ツールが可能になるのかもしれない。

 ミニチュアへのノスタルジーから博物館を作るのはとても重要だと思う。
 しかし郷愁のあまり技術の進化に眼をつぶってミニチュアに拘りすぎると、ますますガラパゴス化して日本の映像界には暗い未来が待っているような気がする。

 と書いているけれど、庵野秀明監督も樋口真嗣監督も映像の戦端を切り拓いている方々なので、そんなことはとうに理解された上での特撮の見直しなのだろうと思う。(宮崎駿監督だけは手描きアニメへの偏執的な拘りからCGを敵視しているようだが…本来、今やるべきは日本手描きアニメの何がCGに比較した利点で、それをどうCGに取込むべきかの工夫だろうと思うのだけれど、これはまた別の話(^^;))

◆関連リンク
CUT7月19日発売号、表紙&ラインナップ! - Cut 編集部日記 | ブログ | RO69(アールオーロック) - ロッキング・オンの音楽情報サイト

"特集:庵野秀明、語る。――巨神兵、エヴァ ンゲリオン、そして自分。 原体験としての特撮、宮崎駿との邂逅をもたらした巨神兵、そして、エヴァンゲリオン――。展覧会『館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技』の開催を機に、そのクリエーションの本質を剥き出しにする20000字インタビューを敢行! そし て彼をよく知る人物らのインタビューにより、庵野秀明という“人間”を浮き彫りにする。
・樋口真嗣、なぜ特撮だったのか ・鈴木敏夫 「庵野秀明 欠席裁判」"

『Cut (カット) 2012年 08月号』

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2012.07.23

■感想 「館長庵野秀明 特撮博物館」 樋口真嗣監督「巨神兵東京に現わる」

Photo

館長庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技(公式HP)

 究極映像研 初オフ会ということで、東京分室のひねもすのたりの日々のshamonさんと、Biting Angleの青の零号さんの三人で行って来ました。究極映像研として東京へ赴いたのは、シュヴァンクマイエル氏が2007年に来日した際以来。

 今年の夏は外せません(^^)。「特撮博物館」は小中学生時代の自分、そして「巨神兵東京に現わる」はまさに現在の自分が希求して病まない(いや、止まない)イベントw。

 まずは「特撮博物館」から。既に分室の御二人を初め、多くの方々がレポートされているので、一般的な紹介は他を観ていただくとしてw、個人的な感想を中心に書きます。

 今回、企画展のタイトルは「ミニチュア」となっているけれども、絵コンテからイメージスケッチ、絵画までかなり幅広く奥深く特撮に関するアートが表現されている。成田亨、小松崎茂も原画は初見なので、その色やタッチをしっかりと味わうことができた。

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 特に僕が感激したのは、やはりその中核のミニチュアw。
 円谷プロの『マイティジャック』のMJ号と『ウルトラセブン』ウルトラホーク1号、そして東宝映画の『日本沈没』の深海潜水艇わだつみ。
 子供の頃に熱狂して好きだった空想科学映像を創り上げた、その映像素材が生の形で観られるのは、何にもまして感慨深い物が、、、。まさかこんな物を観ることが夢のように叶うとは子供の頃には思ったこともなかったわけで、あの頃の自分に「21世紀は君が思っているほど、未来感が溢れているわけではないけれど、こんな凄い企画も待っている、なかなか捨てたもんじゃない」と教えてやりたいものだw。
 
 特撮の技巧としては、超遠近法のマイティジャックの青焼き図面と、実際に何かの映画で使われた(?)山間部の高速道モデルが観られたのが大きな収穫だった。
 残念ながら写真は撮れなかったのだけれど、MJ号の等尺模型に対して、主題歌にあるドックで進水を待つシーンの超遠近法の写真を、展示室で見比べてその効果の絶大さが実感できたのは貴重な体験だった。

 そしてミニチュア撮影可能な特撮ステージでは、今回、SONYの3Dハンディカムで、特撮3Dカメラマンになりきり撮影できたので、血湧き肉踊る体験だった。
 その成果は、今週は編集が間に合わなかったけれど、来週にはYoutubeの3D動画としてアップしたいと思っている。

 ここから少し辛口で書くと、そうした郷愁を差し引いて、美術館のアート展として見ると、ミニチュアはなかなか厳しいものがあるw。
 郷愁を持たない世代や、海外の一般客がどう見たか、是非知りたいものだけれど、たぶん美術としての評価はそれほど高くはないだろう(人によっていろんな受け止め方はあるかと思うけれど、、、)。
 その視点で大変残念だったのは、成田享氏の怪獣デザイン画と高山良策氏の怪獣造形品の展示、特に『ウルトラQ』のあの奇想な怪獣の展示が一つもなかったこと。
 まさに「特撮美術館」でなく「博物館」という呼び方が正しいのかもしれない。
 今回の展示は、そういう意味で一般性はおそらく持ち得ない、ローカルな世代とマニアへの贈りものなのだと思う。

 自分の過去の空想科学史をたどるタイムトラベル的な楽しみ(^^)。

◆感想 樋口真嗣監督「巨神兵東京に現わる」


 まず特筆すべきは、その上映会場入り口に置かれた、映画のシーンにはない特別に作られたミニチュア造形の素晴らしさ。
 まさに崩壊した物の美しさを見事に表現した国会議事堂。超高層ビルの内蔵されたコード類と溶けた鉄骨が飛び出した造形。そして東京タワーの残骸。

 特に国会議事堂は、現在の日本人の精神の一部と、政治の崩壊感を風景として表現していて強く迫ってくる。(ここで提示された日本ミニチュア造形のひとつの到達点、非常に多くのミニチュアが漏れなく掲載されている充実した図録に、これらの作品が入っていないのは完成した時期の問題なのか、それとも意図的なのか?)
 同じく国会議事堂を崩壊(溶融)させた松林宗恵監督 円谷英二特技監督『世界大戦争』(絵コンテ:小松崎茂、うしおそうじ)に近いものがあり期待感を高める。

 これらを堪能して、上映会場へ入ると、舞城王太郎が書いた謎の言葉が冒頭で提示される。舞城が得意とする兄弟をその素材として描かれた言葉。東京の街の実写映像にかぶる林原めぐみによるナレーションと、空を舞う火の粉(?)の醸し出す不安感はなかなかのもの。

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 宮崎駿はまだこの映画を観ていないというが、この会場のレイアウトで表現されている崩壊感と、映画の冒頭を、無意識として/意識としてどう受け止めるか興味深い。ここで『風の谷のナウシカ』において宮崎が巨神兵にこめた想いの一部は確実に具現化されていたと思うのだけれど。

 その後の実際の巨神兵による迫力あるハルマゲドンの風景。
 一部残念だったのは、せっかくの巨神兵の造形が充分に映像として記録されていなかったこと。事前に素晴らしい発色で公開されている竹谷隆之氏の造形美が、映画の画面では、巨神兵の黒く茶色の艶かしいボディが、何故か光で白茶けたようなハイキーな映像になっていた。そして電飾も少し安っぽい作り物感が…。これは好みの問題かもしれないが、特撮の映像は、スチル写真より本来もっとイメージ喚起力があるはずである。樋口監督による映像は、いつもながら素晴らしいレイアウトとカット割りで感嘆したのだけれど、もう一歩、巨神兵そのものの色が元々の造形に極力近いものになっていたらと思わずにはいられなかった。
 
 そしてもうひとつは、何故か写真の書き割りの人物。本来、特撮は実在する風景に異界のものを合成する醍醐味があるはずなのに、冒頭で実写で表現した人々の住む街 東京が崩壊する前に(写真を切り抜いて立てた書き割りのペラペラな人以外いない)無人の街と化してしまっている描写はどうにもいただけなかった。本来逃げ惑う人々の動きと組合せた映像のダイナミズムがミニチュア特撮の醍醐味なのに。何故? 動かず携帯のカメラでシャカシャカ撮影を続けるのが現代の東京のリアルであるわけはないだろう。

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 あと期待した都市の崩壊シーン、コンクリートの高層ビル群が巨神兵のプロトン砲で裂かれて熱で溶融する『世界大戦争』のような地獄図が観られるかと期待したのだけれど、あのレベルまでは到達していなかったような…(もちろん予算や準備期間の課題は大きかったと思うけれど、純粋に映像のインパクトとして)。

 ということで、火の七日間の始まりの表現として巨神兵の群れの映像には感動したのだけれど、もっと特撮映像の可能性を表現できるはずの素材だっただけに、そうした部分が残念でならなかった。(やはり庵野秀明監督によるアニメ『風の谷のナウシカ漫画版』の3部作かTVシリーズを是非とも実現して欲しいものである。もちろん絵コンテは樋口真嗣監督も加わって!)

 映像表現としてのミニチュア特撮の未来については、次回!

◆関連リンク
「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」(東京都現代美術館): ひねもすのたりの日々
東京都現代美術館「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」 - Biting Angle

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