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2012年8月26日 - 2012年9月1日

2012.08.31

■情報 ヤン・シュヴァンクマイエル 映画『サヴァイヴィングライフ』制作時コラージュ販売 Collage - Activities of Jan Švankmajer

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Collage - Activities of Jan Švankmajer In Japan Website(公式サイト)

"シュヴァンクマイエルが映画『サヴァイヴィングライフ』制作時に手掛けたオリジナルコラージュをこの度特別に販売させていただくことになりました。

全て1点のみの販売です。※各1点/10点のみ販売
価格 ¥105,000.-(税込) "

 昨年のヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展にて展示されたコラージュが、現在、日本のシュヴァンクマイエル公式サイトで販売されている。
 いずれも、10万円を超える値段という事だが、ファンにはお値打ちかもしれない(僕は残念ながら資金不足で買えませんが…(^^;))。

 これがもしあの魅惑的なオヴジェ作品だったら…僕は借金生活に落ちていたかもしれないw。

◆関連リンク 当Blog過去記事
■感想 ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展 『the works for Japan』@京都文化博物館
■感想 図録『ヤン&エヴァ・シュヴァンクマイエル展 映画とその周辺』
■感想 『ヤン・シュヴァンクマイエル&エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー展〜映画とその周辺〜』

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2012.08.29

■ネタバレ感想 伊藤計劃×円城塔『屍者の帝国』: The Empire of Corpses

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伊藤 計劃×円城 塔『屍者の帝国 』(Amazon)
河出書房新社

"フランケンシュタインの技術が全世界に拡散した19世紀末、英国政府機関の密命を受け、秘密諜報員ワトソンの冒険がいま始まる。日本SF大賞作家×芥川賞作家が贈る超大作。
2009年、34歳の若さで世を去った伊藤計劃。 絶筆は、未完の長編『屍者の帝国』。 遺された原稿は、冒頭の30枚。
それを引き継ぐは、盟友・円城塔—— 日本SF大賞作家×芥川賞作家—— 最強のコンビが贈る、大冒険長編小説。 全く新しいエンタテインメント文学の誕生! フランケンシュタインの技術が全世界に拡散した19世紀末、 英国政府機関の密命を受け、秘密諜報員ワトソンの冒険が、いま始まる"

伊藤計劃の遺稿を円城塔が書き継ぐ - 大森望|WEB本の雑誌

" 伊藤計劃『屍者の帝国』は、河出書房新社編集部の求めに応じて伊藤計劃が病床で執筆していた書き下ろし作品。完成すれば第四長編となるはずだったが、冒頭部分(400字詰原稿用紙にして約30枚分)だけを残して、著者は2009年3月20日に死去した。
 残された原稿はSFマガジン2009年7月号の伊藤計劃追悼特集に掲載され、その後、同じ河出書房新社のオリジナル・アンソロジー『NOVA1』(河出 文庫)に収録。さらに『伊藤計劃記録』にも再録されている。

『屍者の帝国』の背景は、ヴィクター・フランケンシュタインが開発した死体操作技術が広く欧州に普及し、死者が労働力として活用されている、もうひとつの 19世紀。遺稿では《ホームズ》シリーズでおなじみのワトソン博士が語り手を勤め、『吸血鬼ドラキュラ』のヴァン・ヘルシング教授も登場する。ジャンル 的には改変歴史SFに属し、最近流行の"スチームパンク"にも分類できるだろう"

◆予習 伊藤計劃「From the Nothing, With Love.」
 伊藤計劃×円城塔『屍者の帝国』に備え『The Indifference Engine』予習中。
 「From the Nothing, With Love.」"虚無より愛を込めて" ってタイトルも物語も最高ですね。これが伊藤計劃の凄み。
 ベンジャミン・リベットの、行動を駆動する脳の非意識活動と意識の順番の実験を引用し描かれる意識の葬送がラディカル。

 「例えるなら私は書物だ。いまここに生起しつつあるテクストだ」…こう語る一人称が曲者。この私が葬送の司祭を務めている。あったはずの意識とこのテクストの私が別に存在するような描写。
 だが本作は、よく考えると、その私こそが意識そのものであり、自らの死を見送っている。これが伊藤計劃が突きつけた凄みなんだと思う。

 …というような作品のその先を、新刊で出る伊藤計劃×円城塔『屍者の帝国』に期待しつつ、電車の中で、ゆらゆら帝国「空洞です」をBGMに、私の意識が記述する…(ツイッターからの転載(^^;))。

◆感想(まずはネタバレなし) 伊藤計劃×円城塔『屍者の帝国』

 まず冒頭1/4が素晴らしい。
 計劃のコンセプトに、円城の奇想とエンターテインメント文体が混入してくる。計劃文体を模していた冒頭から徐々に円城文体でのエンタメに変容しつつある。そして語られる人間と屍と物語の歴史。王国のイメージ構築とアフガンの生気のない戦闘シーンは白眉。

 特に第一部の3章、4章は本書中でも最高にスリリング。
 ここのところ、僕は一番好きだった。イマジネーションを刺激してやまない奇想のディテールの絨毯爆撃。このあたりは特にメロメロですw。

 総論としては、#projectitoh の遺志は受け継がれ、伊藤計劃の作品群へ敬意を込めた円城氏による追悼はかなり完璧になされたように思う。
 特に『The Indifference Engine』全篇、とりわけ「From the Nothing, With Love.」へと直結している。

 「From the Nothing, With Love.」では最後まで語られず、『ハーモニー』から直結して考えれば、伊藤計劃氏により将来描かれるはずだったと思った言葉が、まさにクライマックスの某人物により語られていた。計劃氏が拘った意識の物語を円城塔が見事に纏め上げたと思う。

 物語の形態としては英国ゴシックロマンに始まり世界の文学をトレースしつつ地獄を黙示w。途中インディージョーンズもかくやのエンターテインメントを経由して、ビートニクに触れつつ人類SFへと…。円城氏初長篇にて大エンタメの手腕が見事な重厚にして軽快な大作!

 そして歴史改変ものとしての面白さ。歴史には強くないのだけれどw、屍者が自由主義経済を支えている世界、という改変世界がとても面白い。

 ただ、少し違和感があるのは、ロボット開発も二足歩行は宗教的に進んでいない欧州で、屍者の活用が活発化するって、宗教的にはあり得ないような気も(^^)。
 できれば、その宗教的な意味についても、10ページほど描いてほしかったかな…と思う。円城氏の奇想アプローチなら、それを突破する説得力が齎されたのではないかと思えるだけに少々残念ではある。

◆感想 ネタバレします、未読の方はご注意を!!



 できれば伊藤計劃氏が書き遺されたプロットを読んでみたい(結論までは書かれていないとのことだが…)。
 円城氏「あとがきに代えて」で触れられている "戦争" "イスラエル" そして映画からの引用としてのフランケンゾンビ関連部分がどう考えられていたか…。

 そしてさらにプロットで強く知りたいのは本格SFのテーマ部分。「意識」と「言葉」についての伊藤氏の構想である。
 円城版で「From the Nothing, With Love.」+「言葉」については触れられて総論としては見事に纏められているが…、僕の個人的な関心領域のこの部分は、残念ながら「From the Nothing, With Love.」の凄みのさらにその先としては、今ひとつと言わざるを得ない部分もある。

 「From the Nothing, With Love.」は語り手が「意識」であり、その彼が意識の葬送をしているところに凄みがあると上記予習の所で書いた。
 そして将来的に書かれる物語としては、意識とテキストの関係、成り立ちに肉薄する予告がそこにあったと思う。

 ヴァン・ヘルシングのクライマックスでのXの認識は、「言葉」と語られているが、読者にはいささか唐突に感じられる。もしこの「意識」と「言葉」の繋がるメカニズムが深堀りされていたら、古今東西の物語を転倒させて「文学」をひっくり返すイメージが現出する凄みが出たのではないか、と個人的に夢想するのだ。

◆関連リンク

Teoc屍者の帝国 伊藤計劃×円城塔 | 河出書房新社 特設サイト 円城塔 あとがきの代えて

"『虐殺器官』で言葉による人間社会の崩壊を、『ハーモニー』で人間の意識自体の喪失を描いた伊藤計劃が、「死んでしまった人間を労働力とする」物語を構想した以上、その先へと進もうとする意図を読み取らずにいることはとても難しいのです。また、その脈絡を受け入れない限り、わたしが『屍者の帝国』の続きを書くという仕事を受ける意味はないとも考えました。なぜなら、『屍者の帝国』の続きを書くということはそのまま、「死者を働かせ続ける」作業となるに決まっているからです。偶然にも与えられたこの図式を最大限に活かすことが、わたしの作業目標になりました。

 急いでつけ加える必要があります。伊藤計劃が闘病生活を送った故に、『虐殺器官』や『ハーモニー』を書くことができたという見解にわたしは与していませ ん。当然、経験は小説の内容を変化させたはずですが、それが決定的で本質的なものであったとは、わたしにはどうしても信じることができません。彼が闘病生 活を送っていなかったなら、作品はより素晴らしいものになったはずだと信じています。わかりやすい神を拒絶し、証拠のない即断を避け、理性的な言葉を用 い、新たな知識を吸収し続け、合理的な判断をよくした伊藤計劃は、死を客観視する形で自分の意見を表明し続けました。その意味で、『屍者の帝国』は、諧謔 にも似た、悪い冗談のような装いを持つわけですが、その本質には強い意思があります。諦めることなく、悲観にも楽観にも陥ることなく、できることを可能な 限り続けること。『屍者の帝国』は書き手のそうした日々の仕事としての作品です。伊藤計劃は『屍者の帝国』を自分の全てを語り切る畢生の作、最後の作品と して構想したわけではなく、次へと続く切り替えの場として、むしろ軽い読み物として考えていたはずです。軽さは無論、内容の無意味さや軽薄を意味していません。"

 素晴らしい一文ですね。お二人の友情の深さに胸をうたれます…。

屍者の帝国 伊藤計劃×円城塔 | 河出書房新社

" 『屍者の帝国』は当初からエンターテ イメント作品として構想されていました。狭義のSFでさえないというのも、伊藤計劃が強調していたところです。なんといってもこの小説の世界では死人が立 ち上がり、労働力とされているわけですから、荒唐無稽な物語であることはあらかじめ示されているのです。発想の系譜としては、「The League of Extraordinary Gentlemen」、「ドラキュラ紀元」、「ディファレンス・エンジン」、「Cthulhu by Gaslight」などに連なるものと見ることができるでしょう。いずれも世界観によって語る種類の作品です。"

・屍者の帝国 用語集I - 妄想科學倶楽部
(20) Twitter / 検索 - ♯projectitoh
Akira OKAWADA(@orionaveugle)/2012年08月22日 - Twilog.
 気鋭のSF批評家 岡和田晃氏の『屍者の帝国』評

"そろそろ解禁だと思うので書きますが、『屍者の帝国』の話です。書店には、明日出まわるらしい。世界文学の文脈で読まれるべき傑作ですが、いまの世界文学に(私が知る範囲で)、最も欠けているものが、見事に補われている。

そして、『屍者の帝国』は、『ディファレンス・エンジン』の「解説」や、「From the Nothing, With Love.」の先に進むという、不可能事を成し遂げている。 昔ながらの言い方をすれば、ヒューゴー・ネビュラ、ダブル・クラウン、クラスと言えばわかりやすいか。"

・当Blog関連記事
■感想 円城 塔『道化師の蝶』そして「松ノ枝の記」
■感想 円城 塔『Self-Reference ENGINE』
神林長平「いま集合的無意識を」関連つぶやき - Twilog
■解読 神林長平『アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風』
■感想 村上春樹『1Q84 BOOK1 BOOK2』
「意識」と「言葉」に関連する記事(僕のこだわりw)

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2012.08.27

■情報 『月世界旅行』&『メリエスの素晴らしき映画魔術』

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月世界旅行&メリエスの素晴らしき映画魔術オフィシャルHP
予告編 - YouTube
メリエスの素晴らしき映画魔術

"監督: セルジュ・ブルンバーグ/エリック・ランジ

出演: トム・ハンクス/コスタ=ガブラス/ジャン=ピエール・ジュネ/ミシェル・ゴンドリー/ミシェル・アザナビシウス/ジョルジュ・メリエス

製作年: 2011年、製作国: フランス、配給: エスパース・サロウ、上映時間: 63分

2012年8月 25日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて公開される『メリエスの素晴らしき映画魔術』は、映画創世記に誰よりも映画を愛し、その可能性を追求し た­ジョルジュ・メリエスの成功と挫折の人生を、彼が生きた時代背景と共に追っていくドキュメンタリー。偶然見つかった『月世界旅行』幻のカラーフィルムのリストア作業全工程­と、トム・ハンクス、ミシェル・ゴンドリー、ジャンピエール・ジュネ等へのインタビューを通して、今もなお多くの映画人を魅了しているメリエスの映画魔術に迫る。また、劇­中のリストア作業によって完全復刻した『月世界旅行』カラーバージョンの同時上映も決定!"

 特撮映画の元祖、あのジョルジュ・メリエスのドキュメンタリーと名作『月世界旅行』のカラーバージョンが劇場公開。順次全国へ巡回という事です。

 予告篇で描かれた修復の様子、なぜか涙腺が緩みます。
 やはりフィルムの持つ魅力というのは、抗いがたく我々映画ファンの中に根付いているのを実感。メリエスの魂は脈々と現代に息づいている。

 ◆関連リンク
George Melies『A Trip to the Moon Restored (Limited Edition, Steelbook) [Blu-ray]』
 Facebookで氷川竜介さんに教えて頂いた修復版ブルーレイ(日本のAmazonでも購入できるようです)。
 今年の春に発売されていました。これも今年劇場公開された某作品の影響でしょうか。
・修復に20年 映画「月世界旅行」110年を経てメリエス監督自身の彩色で復活!! | DDN JAPAN

"いまは亡きメリエス監督自身による手塗りのフィルムが1993年にカタルーニャ州で発見され、そこから20年という歳月を修復にかけ完成。音楽はダフト・パ ンクと共にフランスのエレクトロシーンを代表する エール(Air)が手がけた。カンヌ映画祭でも話題になったこの作品が、来る2月にDVDとして発売されます"

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