« 2012年2月19日 - 2012年2月25日 | トップページ | 2012年3月4日 - 2012年3月10日 »

2012年2月26日 - 2012年3月3日

2012.03.02

■菊地成孔の粋な夜電波 川勝正幸さんへの献花 & キラー・スメルズ 1stアルバム「タラード1&2」: TARADO 1 & 2 / Killer Smells : キラー・スメルス

菊地成孔の粋な夜電波 川勝正幸さんへ パート 1 - YouTube

"8年前に初めて御会いしてから…私の全てのライブ、全てのイベント、全ての著作、全てのBlog…を抑えた個人は地球上で川勝正幸さん1人…川勝さんは今まで自分が築きあげられた、その膨大なポップカルチャーの教養、その外側にある自分が知らないこと。その金の鉱脈と、自分が今まで知っていた自分が培ったものを、繋ぐパイプの役割をする奴が現れたな、と思ったんじゃないかと"

 火災で亡くなった川勝正幸さんの追悼として、各界著名人とファンの弔辞の言葉を放映したTBSラジオの内容が、Youtubeにアップされている。
 Podcastでは冒頭の菊地氏の言葉のみが収録されていたが、こちらは当日のAMラジオを録音した音源によるもの。

かけられた曲のリスト
 上の言葉にある意味から、リンチやバダラメンティ他、川勝氏が好きだった領域をあえて外した菊地氏の選曲。
 
 皆さんの想いの詰まった川勝さんへの言葉と、そして菊地氏が選曲した重層/軽快な音楽が素晴らしく共鳴し、個人への最大限の手向けとなっていると思う。

20120226_193416

◆キラー・スメルズ 1stアルバム「タラード1&2」
 そして川勝氏も生前にライブへ参加したという、菊地氏が発掘した新しい才能キラー・スメルズの1stアルバムが、氏の事務所 ビュロー菊地からリリースされる。
 販売は限定2100枚のみ。詳細は下記。

菊地成孔の第三インターネット - naruyoshi kikuchi INTERNET TROISIEME

"キラー・スメルスの1stアルバム「タラード1&2」を予約しようという、愛に飢えたアタマのおかしいアミーゴども!!まずはマタドール・ペルーを飲み干し、跪いてよーく考えろ!!

『TARADO 1&2』
1・Blue Light,Red Light     2・The Razor
3・A Wanderer         4・Sex On The Beach
5・Tarado             6・Abayo
7・Shake ya Booty(pussy bad)  8・GoldenFinger(Tarado 2)
9・Rabo de Gallo        10・Stray Dawgs
11・Dicksucker Blues     12・Drive Me Nasty(sochin' mix)
13・Billiken Blues

Killer Smells are ディックヒシル(ハイゼル) a.k.a ディック滴 a.k.a アジア・アロワナ a.k.a フルヘンシオ(フルエンチョ)マメンデス a.k.a 豆のオジキ a.k.a 菱田エイジ "

 で、キラー・スメルズとは何ものなのか。そしてどんな音楽を?
 Podcast「菊地成孔の粋な夜電波」を聴いている僕は、そこで流れる楽曲を聴いたことがない。で、探してみた。

「菊地成孔の粋な夜電波」#11 2011.06.26 ‐ ニコニコ動画(原宿)

 ありました! ここにキラー・スメルズ特番の録音音源。
 人の深淵(^^;)が、ここに広がっていますw! 冒頭で菊地氏が警告しているように、これを聴くのは「粋な夜電波」を別で聴いてからにした方が無難ww。

菊地成孔 feat.岩澤瞳の" フロイドと夜桜" (Youtube)
 上を全部聴けない方は、菊地氏がキラー・スメルズの、この世に唯一実在する菱田エイジ氏に対抗して紹介した自曲がこれ。詩が飛んでますね〜w。

 そして勢いで、キラー・スメルズの1stアルバム「タラード1&2」を予約(^^)。
 あ〜ここから何が起こるんだろう…(^^)。

◆関連リンク
・菊地成孔氏の演奏とヴォーカル。
 山下洋輔とのセッション菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール : 恋の面影SPANK HAPPYのデュエットボーカル…なんという幅の広さ。
 これは鉱脈のひとかけらなのでしょうねw。
菊地成孔氏の公式HPのDiaryを読んでいたらこんな記述が。

"ワタシが唯一関わる事が出来るマンガカルチャーということで、現在、吾妻ひでお先生の選集を製作しております(4月刊行予定)。山本直樹氏による第一弾に次ぐ、第二弾という恰好です"

 なんと菊地氏が吾妻ひでおをセレクト。シュールで不条理な選択の予感!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012.02.29

■ヤン・シュヴァンクマイエル:Jan Švankmajer監督 新作『昆虫:Hmyz(Insects)』

Ze_zivota_hmyzu_2

Jan Švankmajer se vrhne na Hmyz
"ヤン·シュヴァンクマイエルは、昆虫に落ちる" (Google 翻訳)

"「化身は永遠に彼の人間の形を残して、に非常に説得力のあるカブトムシに管理します。 テスト中に生まれ、死んでされている、時間は関係ありません。 すべてが昆虫は昆虫のような人と人と同じように動作し、バックグラウンドチャペックの戯曲で行われ」Kalista、映画プロデューサーは言った。
「昆虫の厭世的なゲームは。 私の人間嫌い文明の蟻塚と人間と昆虫との類似性として、このシナリオが深まると深まる。 また、カフカの変身のメッセージを忘れてはならない」シュヴァンクマイエルは言った"

 いきなりシュールな文体ですみません。
 これ、Googleのチェコ語翻訳をそのまま引用(^^;)。でも、どんな映画か、なんだかこの文体の方が雰囲気でますねw。
 またまた、ぶっ飛んだチェコシュルレアリストによる映画の予感。
 もう少し丁寧に訳されたもので意味を追うと次のようなものの様です。

Hlavní strana > Kultura > Film Mistr chystá nové dílo Hmyz: Švankmajer se obul do Čapka昆虫:シュヴァンクマイエルは、キャップに置かれGoogle 翻訳
Švankmajer si vybral nový projekt, natočí film ze života hmyzuGoogle 翻訳

 シュヴァンクマイエルは、カレルとヨゼフのチャペック兄弟の戯曲作品『虫の生活から』を基に映画を作る、新しいプロジェクトに取り組んでいる。というわけで冒頭のイラストは、チェコのチャペック兄弟の本の表紙。

 次回作『昆虫』(仮題)は、チャペック兄弟の戯曲『虫の生活から』 (リンク先にあらすじ有)を稽古する素人劇団が舞台。そしてそれを目撃する"「浮浪者」がいろいろな虫たちの生活を目の当たりにしていきます"とのこと。
 劇団の芝居の稽古を描くメタフィクション的な作品になるのだろうか。
 昆虫ブラックコメディは、2015年にリリースされる予定とのこと。予算4000万コルナ(1.8億円)とか。
 とりあえず、氏の健康を祈りつつ、首を長くして待ちましょう!

◆関連リンク

Ze_zivota_hmyzu

Těšínské Divadlo
 こちらはチャペックの戯曲『昆虫』を舞台化したもの。リンク先の芝居の写真がなかなかいいです。さて、シュヴァンクマイエルのイメージはどんなビジュアルを構築するのか。
カレル・チャペック - Wikipedia

    "『チャペック戯曲全集』(八月舎, 2006年)     ,『愛の盗賊』,     『RUR』     ,『マクロプロス事件』 ,    『白い病気』     ,『母』,     『愛・運命の戯れ』(ヨゼフ・チャペックとの共著)     ,『虫の生活から』(ヨゼフ・チャペックとの共著),     『創造者アダム』(ヨゼフ・チャペックとの共著)"

『チャペック戯曲全集』(Amazon)
 上のwikiの記述によると、この本に収録されているようです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012.02.28

■感想 上田 早夕里『ブラック・アゲート』

上田 早夕里『ブラック・アゲート』Black Agate 光文社公式

" 日本各地で猛威を振るう未知種のアゲート蜂。
 人間に寄生し、羽化する際に命を奪うことで人々に恐れられていた。 瀬戸内海の小島でもアゲート蜂が発見され、病院で働く事務長の暁生は、娘・陽菜の体内にこの寄生蜂の幼虫が棲息していることを知る。 幼虫を確実に殺す薬はない。
 未認可の新薬を扱っている本土の病院を教えられた暁生は、娘とともに新薬を求めて島を出ようとするが、目の前に大きな壁が立ちはだかる……"

 上田早夕里さんの『ブラック・アゲート』読了。
 人間に寄生し内部から肉体を食い破る未知種のアゲート蜂が蔓延し、滅びの気配が迫る日本の描写。
 汚染地区の封鎖を暴力で実行する、非特定独立行政法人<AWS対策班>の非常な成り立ち。そして腐敗した人々の中の光明。
 
 物語は厄災に静かに立ち向かう市井の視点で進む。一つの島を、その舞台としたことで、手の中の世界の破滅への一歩がリアルに迫ってくる。そして視線は人間も生物の連鎖の中の、ただの一つの種でしかない、というある意味、冷徹なSFチックなパースペクティブ。

 端正に的確に刈り込まれた文体で、スピード感のあるエンタテインメントとして楽しめるのは勿論なのだが、どうしても、この架空の光景を、現在の日本に重ねてみてしまう。
 蜂よけのネットをかぶり、汚染地区を避ける様子。緊迫感が空気のように静かに、日本のある地域を覆っていく光景が、どこか似ていると思えてならない。

 特に印象的だったのは、非特定独立行政法人<AWS対策班>の村綺という小隊長。
 負の象徴として描かれるこの人物の造形が昏く光る。
 アゲート蜂の後遺症に苦しむ家族との関係。川に立ち上る黒い煙と虚無。まさに上田早夕里ノワールの真骨頂。
 これに対比して描かれる脱出する主人公の家族の描写、はかないが微かな希望が胸に迫る。

" ーーこの子は、大人っぽいのか子供っぽいのか、よくわからないな。
 世知に長けたような話し方をするが、その口調には大人のような屈折した翳りがない。大人になるにつれて失われていくものが、健太の中には、まだしっかりと残っているのだ。胸の奥で熱い太陽が燃えるように"(P123)

 主人公の側の登場人物では、とりわけこの少年の描写が強く印象に残った。
 破滅物語の中で描かれる少年の視線が、SFのポジティブな側面そのものにみえる(^^)。対象への好奇心とか瑞々しくって、とてもここちいい。

◆関連リンク
小説宝石|最新号|2012年3月号 目次|光文社

"エッセイ 上田早夕里 幸せな社会とは"

メノウ:瑪瑙、アゲート:agate(wiki)

 "縞状の玉髄の一種で蛋白石、石英、玉髄が層状に岩石の空洞中に沈殿してできた鉱物の変種である"

・当blog関連記事 新刊情報 上田 早夕里『ブラック・アゲート』 
Nomadic Note 2 『ブラック・アゲート』(光文社)が発売されました(上田 早夕里さん公式Blog)

" なお、この発売に併せて、2月22日発売の「小説宝石」3月号に、本作執筆に関するエッセイが掲載されます。その中でも触れていますが、本作の執筆動機には、短篇作品「くさびらの道」が少し関係しています。"

 『魚舟・獣舟』に収録されている「くさびらの道」を『ブラックアゲート』読了後に再読。蔓延する感染病と閉鎖される地域、この状況は本作と近似。しかし「くさびらの道」はひとつのSFアイディアが仕込まれており読後感は随分と異なる。
 比較して読むと、『ブラックアゲート』がそうしたSF設定を排して、徹底してリアリズムで描かれているのが浮き彫りになる。

 「くさびらの道」の長篇版も読んでみたいと思ってしまうのは僕だけだろうか。幻想的恐怖は、あるいは短篇の方が向いているかもしれないのだけれど、、、。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012.02.27

■新刊メモ 神林長平『いま集合的無意識を、』 ケリー・リンク『マジック・フォー・ビギナーズ』

Photo神林長平『いま集合的無意識を、』

"30年以上SFを書いてきたぼくは、第一線をはなれたような気分になっていた・・・・・・
ベテラン作家が、伊藤計劃『ハーモニー』と3・11後のフィクションの可能性を考察する表題作、
深井零がパーソナルなコンピュータを追い求めた記憶を 語る《戦闘妖精・雪風》シリーズのスピンオフ「ぼくの、マシン」、
多世界解釈を巡る異色スペースオペラ「かくも無数の悲鳴」など、
変遷し続けるコミュニケーションの様相を切り取った全6篇を収録"

 表紙が素晴らしい。
 3・11後、SFマガジンに掲載された表題作で示された神林長平の決意「圧倒的なリアルに対抗するには優れたフィクションしかない」という言葉が本の形で読める。
 そして、期待しているのは、震災後の新作長篇はいつ発表されるか、である。
 何かどこかに情報があれば、御教示下さい。

ケリー・リンク『マジック・フォー・ビギナーズ』

"電話ボックスを相続した少年は、その番号に何度もかけてみる。誰も出るはずのない電話だが、あるとき彼が愛するTVドラマの主人公が出て、助けを求めてき た――異色の青春小説たる表題作ほか、国をまるごと収めたハンドバッグの遍歴を少女が語る「妖精のハンドバッグ」、なにかに憑かれた家を買った家族の騒動 を描く「石の動物」など、アメリカ文学の新潮流をかたどる女性作家による瑞々しくも不思議な感触を残す全九篇"

 これ、傑作です。
 文庫化を祈念して、以前感想をまとめた当Blog記事紹介w。
『マジック・フォー・ビギナーズ:Magic for Beginners』

" このケリー・リンクの作品には、奇妙な幻影のような事物で表象するしかないような複雑な何ものかの感覚が漂っている。それは必ずしも負のイメージばかりで はないのだが、我々が抱えてしまっている現実の個々に先鋭化し一言でくくれない何ものかは、こんなアプローチが必要なほどこんがらがっているのか、という 感慨を抱かずにはおれない。"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2012年2月19日 - 2012年2月25日 | トップページ | 2012年3月4日 - 2012年3月10日 »