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2013年2月

2013.02.27

■感想 ポール・オースター 柴田元幸『幻影の書』:The Book Of Illusions

Bookofillusionshorz

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ポール・オースター 柴田元幸『幻影の書』|新潮社 (Amazon)

"その男は死んでいたはずだった──。何十年も前、忽然と映画界から姿を消した監督にして俳優のへクター・マン。その妻からの手紙に「私」はとまどう。自身の 妻子を飛行機事故で喪い、絶望の淵にあった「私」を救った無声映画こそが彼の作品だったのだから……。へクターは果たして生きているのか。そして、彼が消し去ろうとしている作品とは。"

 ひさびさのポール・オースター、『幻影の書』読了。
 消えた映画監督ヘクター・マンを巡る映像探求の迷宮。
 傑作セオドア・ローザック『フリッカー、あるいは映画の魔』に続く映像研究小説(^^)。オースターが描く幻の映画監督 ヘクター・マンの映画群を観てみたくて溜まらなくなる。

 本書は主人公の文学者ジンマーが世界各地に散らばるヘクターマンの映画を探求する物語を中心に進む。それは積極的な研究のためではなく、ある出来事による空虚を埋めるための旅である。
 そしてジンマーが追うヘクターマンの謎に、影を落とす映画監督の暗黒。
 この物語は、映画を縦糸に失意に落ちた二人の男の、相似する人生をたどって行くものになっている。

 オースターは、おそらくわざとこの二人を似た人物として造形している。
 読者には、2人の物語は読んで行くうちにいつしか融合し、二人の人物像が溶け合って、あたかも一人の大いなる失意に沈んだ人物の物語と区別がつかなくなって行く。絶望の自乗。

 そんな物語が最後にたどり着く先は、幻の映画の死の現場である。
 ラスト、そのヘクターの映画についての仄めかしが、読者に大きな余韻を残す。
 そこから始まる新たな物語を想起させる余韻が絶望を超える何かを提示しているようだ。綿密に組み上げられたオースターの物語は、強固に、ある映画監督の中のイメージを、クライマックスで読者に対して強く転送してきている。
 こうして、映画の魔に取り憑かれた人間の物語がまたひとつ映画ファンのコアにインストールされるのである。

◆ヘクター・マン監督『マーティン・フォレストの内的世界』
 ポール・オースター『幻影の書』で描かれた、消えた映画監督ヘクター・マンが撮った幻の長篇映画 "The Inner Life Of Martin Frost"が、なんとYoutubeに!。小説でオースターに描写されたあの映画そのものが存在する! w。
 一時YouTube にあったのだけれど、現在は、削除されている。

 (^^;) 実はこの映画は、本書出版後にオースター自身が監督した映画である。
 もし関心がある方は、日本未公開だが、海外版DVDを買うことは可能な様なので、そうした形での視聴を御薦めします。僕も観たいw。

◆ヘクター・マンとイクター・マン(以下、蛇足)
 映画監督ヘクター・マンの名前から、劇作家 生田萬(イクター・マン)を想起した僕は、勿論ブリキの自発団ファン(^^;)。
 しかしポール・オースターがブリキファンだとは知らなかった!(違う、違うw)

◆関連リンク
Paul Auster DVD『The Inner Life of Martin Frost』
 オースターが監督した映画のDVD。
Paul Auster『The Inner Life of Martin Frost』
 こちらはその映画のシナリオと、オースターへのインタビューを納めた本。
Last night - Not Merely Living
 ポール・オースターが『幻影の書』について語ったナイトショーのレポート。このページから冒頭の写真は使わせて頂きました。サン・フランシスコの素敵なMerelyさんに感謝(^^;)。
「墓の彼方からの回想」/フランソワ=ルネ・ド・シャトーブリアン - double edge - Yahoo!ブログ
 主人公の文学者ジンマーが翻訳に取り組むシャトーブリアンの著作について。
The Book of Illusions - Wikipedia, the free encyclopedia

・当Blog関連記事
 セオドア・ローザック『フリッカー、あるいは映画の魔』

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2013.02.26

■動画 ARTUR FILIPOWICZ監督・脚本・編集 "Katharsis - Beksinski art movie" ズジスワフ・ベクシンスキーのアートを映像化

Katharsis - Beksinski art movie [HD] - YouTube

"Katharsis is an independent movie based on the art by Zdzisław Beksiński. It is a tribute to the great polish artist.

Katharsis to niezależna ekranizacja obrazów Zdzisława Beksińskiego. Stworzona została jako hołd dla wielkiego artysty."

Twitter / k_kazama (風間賢二さん)

"今日はズジスワフ・ベクシンスキーの誕生日。ポーランドの画家。死と崩壊と廃墟を幻想的に描く<終焉の画家>として有名。そのゴシック・シュルレアリズム(今勝手に作ったw)の世界は我が国でも人気が高い。彼のアートにもとずく短編映画。素晴らしい。"

 幻想文学研究家・翻訳家 風間賢二さんがベクシンスキーの生誕84年の今年2/24(日)にtwitterで呟かれたベクシンスキーのアート作品を動画化した作品をご紹介する。

 見事にベクシンスキーアートを三次元化している。制作したのは、ポーランドはワルシャワの映像作家アルチュール・フィリポウィッツ(と言う発音で良いんだろうか?? Googleで見ると同姓同名かもしれないが、ヨガのトレーナーの方がヒットするが、本職は不明)
 これはYoutubeの紹介文によると、自主制作のようである。

 そして続けて風間賢二さんが紹介されたメイキングと、ベースになったベクシンスキーの絵を動画にまとめたもの。こちらもとても興味深い。
 ディジタルの進化は、こうしたアート作品の映像化でも、面白い動画を生み出している。

Twitter / k_kazama

"先ほどの幻想的な映像のメイキングを紹介。
Making of Katharsis - YouTube"

Twitter / k_kazama

"ついでその幻想的映像の元ネタとなっているベクシンスキのアート作品がこちら。
Katharsis - paintings in the movie - YouTube"

◆関連リンク
Artur Filipowicz(Facebook)
Artur Filipowicz - Filmweb (ポーランドの映画データベースサイト)
 ここに掲載されたデータを見ると、役者として2本、監督として1本の映画が掲載されている。映画は『Rdza』(ポーランド語で "さび" )。
 RUST - The original Trailer [HD] - YouTube
 その予告篇。RUSTはタイトル『Rdza』の英語。
 こちらもなかなか良いです。ポーランドで映画『アヴァロン』を撮った押井守の映像にタッチが似ている。もしかして影響を受けているのだろうか。
ベクシンスキー関連 当Blog記事 Google 検索
ズジスワフ・ベクシンスキー関連映像ライブラリ DmochowskiGallery.net - film library

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2013.02.25

■感想 朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』 & 吉田大八監督の映画

吉田大八監督『桐島、部活やめるってよ』
 昨年、評判だった『桐島、部活やめるってよ』をDVDにて初見。
 噂にたがわず傑作(今頃ですが…w)。
 やはり巷間言われている様に、学校の閉鎖世界の空気感の描写が圧倒的。同じクラスにある見えない壁とその越境の微妙なバランス。
 そしてその越境のタイミングで描かれる8mm『生徒会・オブ・ザ・デッド』は圧巻。でも桐島って?

 当然のごとく中心の不在ということで『ゴドーを待ちながら』は思い出す訳だが、それを元にした鴻上尚史『朝日のような夕日をつれて』しか観ていない僕には語る資格はない…w。
 ただ桐島の存在も映画の中の生徒たちにとっては「ゴドー」なんだけど、それだけでない幅が存在していて、それが映画に広がりを持たせている。

朝井 リョウ『島、部活やめるってよ』

 映画から続けて朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』読了。
 この文庫の解説で、映画版を監督した吉田大八が書いている様に、「ひかり」の描写が小説独特の心理描写と相まって傑作になっている。
 ただ映画の方が内面を一人称の言葉で描いてない分、膨らみがあるように感じた。映像の心象描写は観る者に幅を与え、想像を拡張する。

 小説で描かれた「ひかり」は、映画版ではもっと苦いリアルな現実として描写されている。
 これは好き嫌いで評価が分かれる所だろう。
 またふたつを比べると、女子の心理描写は映画版が優れているように思う。
 これによって越境する「ひかり」の描写が、映画においてより前向きになっている故だろう。
 比較して書いたが、この二作の共鳴がとても心地いい。

 映画が凄いのは特に女子の会話で宏樹と付き合っている沙奈に顕著な様に、コミュニケーションの表層にしか自我が駆動していな い一種ゾンビの様な人物造形を、かすみと対照的に描き意識的にやっている点。小説版も客観視点でそんな描写はしているが映像の現実感が生々しい。

 小説版を読むことで奥行きが与えられて興味深かったのは、バトミントン部の実果の異様な家庭環境描写と、前田とかすみの中学時代の映画話。特に後者は映画 ファン(特に岩井俊二とか犬童一心とか日本映画ファン)にはホロ苦く、とても良いんだがw、映画はそこを省略し想像させることで広がりを獲得している。

 一般的に小説の映画化はイメージを固定化すると言われるけれど、外界の光景描写は固定されるけれど、考えてみれば心理描写は小説の方がまんま描かれ固定化する(ことが多い)。映画は限られたセリフと映像の心象描写で、人物の内面は観客の想像と読解力に委ねられる傾向。桐島はその相乗効果がある。

『桐島』と『野ぶた』

 またクラス内階層描写(スクールカーストという言葉は嫌い…)から『野ぶた。をプロデュース』を思い出すのだけれど(特に秀逸だったテレビドラマ版)、『桐島、部活やめるってよ』のコミュニケーション断絶の冷徹描写は現在のリアルな実態を反映しているのかそれとも作者の個性か。
 僕は後者の木皿泉の秀逸な脚本が大好きだった。TVドラマ『野ぶた。をプロデュース』は、草野彰という元々越境する副主人公の存在が大きかったのだと思う。『桐島』と同じ高校のクラス内階層を描いた『野ぶた』が息苦しさとともに風通しが良かったのは、まさにこの原作には存在しなかった彰を登場させた故だと思う。まさに木皿泉の成果。
 『桐島』で言うとゾンビのような存在が、この彰であり、狂言回し的にドラマをドライブし、傑作だった第9話を形成した。あの話があることで、僕は敢えて言うと『桐島』より『野ぶた』派なのである(^^)。(当Blog記事 白岩玄 木皿泉 『野ブタ。をプロデュース』第9話「別れの予感」感想)

 あと完全に蛇足だけど、朝井リョウの小説は岐阜出身だけに高校生たちの会話が東濃弁(シネマハスラーで宇多丸氏が関西弁と言ってたが、東濃の西の方の言葉w)。

 僕はすっかり馴染んで読んでいたけど中央の人達にはローカル感漂うんでしょうね(^^;)。で、ネイティブから言わせてもらうとw、このタイトル『桐島、部活やめるってよ』は標準語、本当は『桐島、部活やめるんやと』という表記がしっくり来るw。

◆関連リンク
『桐島、部活やめるってよ』はベケット作『ゴドーを待ちながら』だった (2012.8.23) - Togetter

ここにある中森明夫氏の解釈は破壊力ありますねw。これ、読んじゃうと、解釈が固定されそうな程、面白い。でも「青春映画」をキーに語っているけど、もっと広がりがある感じはする…。
・鴻上尚史氏の『桐島、部活やめるってよ』評をネットで探した。
 Twitter / KOKAMIShoji

"週刊「SPA!」の原稿、終了。「桐島、部活やめるってよ」について書く。リアルとファンタジーについて。"

 "リアルとファンタジーについて"…何となく想像はつくけれど、この原稿、読んでみたい。この映画にその二層が横たわってるのは8mmシーンだけでなく印象的なんだが…。まさにゴドーを巡る鴻上尚史のテーマとも呼応している言葉。
町山・宇多丸・博士他サブカルトップチームたちの「桐島、」感想まとめ

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2013.02.22

■情報 IMEC、コンタクトレンズ内蔵型 液晶ディスプレイ


Imec news-imec(原文)
IMEC、コンタクトレンズに内蔵できる液晶ディスプレイを開発 « SJNニュース 再生可能エネルギー最新情報(日本語記事)

"極薄の高分子フィルムを使用しなければならないため、ディスプレイの平滑度への影響についても詳細に研究する必要があった。新規な導電性高分子を使い、それを平滑な球面状セルと一体化することによって、液晶を利用したコンタクトレンズ型ディスプレイが実現したとする。"

 映像研究家の大口孝之さんから教えて頂いた、ベルギーの研究所によるサイバー映像技術の紹介です。

 まさに人の視覚のサイボーグ化技術。
 リンク先の記事で紹介されている様に、ARのヘッドアップディスプレ用途等に応用可能なサイバーテクノロジー。
 上記引用にある様に、今回の発表のポイントは、眼球の球面にフィットするフレキシブル性にあるようです。
 
 街で携帯やスマホを見ることが(異常に)高頻度になっている現在、まさにそれらのディスプレイとして、実現したら画期的に拡大する製品の卵が生み出されつつある、という萌芽。

 今はまだ、実際の眼球への装着とカラーの高精細の映像表示は無理な訳ですが、今後、デバイスの製造プロセスの微細化でいずれHDカラー化も夢ではないはずなので、楽しみで仕方ない。

 『電脳コイル』のメガネディスプレイを通り越して、いきなり眼球接触式のヘッドアップ(アイアップ?)ディスプレイがここ10年くらいで実現するのかもしれない。

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2013.02.20

■情報 原將人監督「あなたにゐてほしい~Soar~」ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2013 オフシアター・コンペ部門候補作! BSスカパーで放映!

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ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2013 オフシアター・コンペティション部門 「あなたにゐてほしい~Soar~」 | 番組情報 | BSスカパー!

"2月24日(日)前11:30〜
戦争の時代、国境を超え世界をつなぐテレビこそが戦争をなくすと、海軍に志願し電波の研究をしていた若者がいた。だが志半ばで戦死、その意志はつながれた。

監督 原將人
キャスト 観音崎まおり、野上正義"

Welcome to HARA MASATO Official Site(原將人オフィシャルサイト)

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭のオフシアター・コンペティション部門 候補作品(公式Blog)

 原將人監督新作『あなたにゐてほしい~Soar~』がゆうばり国際ファンタスティック映画祭のオフシアター・コンペティション部門の応募作400本の中からベストの10本に選出! 祝選出!
 そして何とスカパーで放映されるという!(公式サイトのメールより)

"「ゴダールの映画史」等のポスターなどで有名な、
小笠原正勝氏が製作してくださったポスターも、
そろそろ一般公開されますので、御期待下さい!
スゴイですっ!

2月21日~25日の映画祭開催期間中、
原 將人監督は、現地にゲスト入りされておりますので、
見かけられましたら、お気軽に声をかけてください!
赤い服か赤い帽子を着用されております!"

 『あなたにゐてほしい~Soar~』の主演 観音崎まおりは『MI・TA・RI!』で共同監督/主演されたMAORI(マオリ)さんなのでしょう。前作での歌と佇まいが素晴らしかったので今回も期待。

 そして東海の地より、『あなたにゐてほしい~Soar~』の受賞を強く祈念します!!

◆関連リンク
当Blog記事
『MI・TA・RI!』感想
情報 原將人監督 最新作『Soar あなたにゐてほしい』
原將人 - 当Blog関連記事 Google 検索

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2013.02.18

■感想 大口 孝之著『コンピュータ・グラフィックスの歴史 3DCGというイマジネーション』

大口 孝之『コンピュータ・グラフィックスの歴史 3DCGというイマジネーション』 (FILM ART | フィルムアート社公式HP)

"「それまでまったく存在していない技術」はいかにして巨大産業に発展したのか? コンピュータ・グラフィックスという巨大なイマジネーションをカタチにしたパイオニアたちの仕事を紹介。
 CG、映像技術、VFX、IT技術、グラフィック・デザイン、モーション・グラフィックス、アニメーション、立体3D映像に興味のあるすべての学生、ファン、プロフェッショナル必見!"

 本書は、創成期に日本初の CG プロダクション JCGL にてディレクターを務められた映像ジャーナリスト 大口孝之さんによる新しい映像が世界に生まれる瞬間を描いたドキュメンタリーである。
 CGの歴史、その誕生からユタ大学による"カンブリア紀"的な爆発的進化を経て、産業へと発展して行く様を描いた、挑戦と冒険の物語。

 僕はCG黎明期の映像を、学生時代にパイオニアから発売されていたレーザーディスクで観ていた世代で、その当時の観たことのない映像の興奮を思い出しつつ、その舞台裏でどのようなパイオニアたちが活躍し進化させていったかを描いた本書を、本当にワクワクして読み終わった。

 当時のCGを知らない方でも、アメリカ西海岸のデジタル産業のドキュメントを好きな方には、Appleやマイクロソフト等の発展の歴史と同等に、興味深く読めると思う。
 まさにそのパーソナルコンピュータの歴史と並行して、Pixerのジョブス等どちらにも密接に関係した人物が登場し、もうひとつのデジタル文化の発展を、手に汗握って読むことが出来る。

 大口氏が冒頭で書かれている様に、CGは、楽器の生演奏や手描きアニメ,特撮と比べて、人の手を使った苦労がダイレクトに伝わりにくい映像手法である。(曰く「CGに頼りすぎているからダメな映画」という表現が流通している様に)

 冒頭で、そんなCGが実は特撮や手描きアニメと同等か、それ以上に人の血が通った映像であることを示すために、パイオニアたちの「人の苦労」を伝えることが、本書の目的のひとつとして設定されている。

 まさにその試みは成功しており、本書を通読した後、デジタル機器が機械的に自動で生み出している様に思われるCG映像が、生身の血の通った人間による映像としてイメージできる様に感じられる。この冒頭で設定された本書の目的は十二分に達成されていると思う。

 日本の映像関係者(現在、CGのお世話になっていないクリエータはいないはずですね(^^))にも広く熱く読まれるべき本だと思う。(私ももっと早く読んでいなかったことの不明を恥じます)

◆詳細内容について
 本書の目次はFILM ART:フィルムアート社 公式HPに掲載されているのでそちらを御覧下さい。ここでは、僕が興味を持ったキーワードを中心に、各関係者の情報へのリンク集とします。(と言いつつ、あまりに本書のデータ量が膨大なため、ここではその冒頭の数カ所しか今の所、挙げられません。興味のある方、詳しくは書籍を入手下さい。以下、項目は時間がある時に自分の勉強を兼ねて、少しでもアップデートしてリンクを増やしていきたいと考えます)

・CGのまさに始祖ウイットニー兄弟(John Whitney, James Whitney)からスタートし、下記の様なパイオニアの歴史が語られている。

・ジョン・ウィットニー・シニア(The Official John Whitney Sr. Site)によるグラフィック・フィルムズ社 コン・ペダーソン(Con Pederson)による『2001年宇宙の旅』のスリット・スキャンによるスターゲートシーンの提案と、その後のダグラス・トランブル(Douglas Trumbull)による"再発明"について。明言はされていないが、トランブルより前にペダーソンによる発明が先行していたようである(詳細なニュアンスは本書P44-参照)。

・CG研究の梁山泊 ユタ大学
 デイヴィッド・エヴァンス(David C. Evans)、アイヴァン・サザーランド(Ivan Edward Sutherland)によるコンピュータサイエンス学部で、現在のCG基礎技術のほとんどが数年の間に開発された。(そしてそこの学生のうちの一人が、のちのピクサーの創立者,現社長にして、ウォルト・ディズニー・アニメーションの現社長であるエドウィン・キャットマル(Edwin Catmull))

・ゼロックスパロアルト研究所(PARC)
 リチャード・ショープ(Richard Shoup)らによるカラーグラフィクスの研究。

・世界初のCGプロダクション MAGI(Mathematical Applications Group, Inc.)
 フィリップ・ミッテルマン(Philip Mittelman)によって創設。
 リチャード・ティラー(Richard Taylor)が『TRON』のVFXスーパーバイザーを務めた。

・ルーカスフィルム、ドリーム・ワークス、そしてピクサー
 この他にも数十(or百?)の多種多様なCGスタジオの勃興の歴史と、そこにたずさわった数学者、プログラマー、経営者他の歴史が語られている。
 本書が刊行された2009年6月まで、ラセターがディズニーとピクサー両スタジオのCCO(チーフ・クリエーティブ・オフィサー)兼任までのダイナミックな歴史が語られている。
 まさにこのパートが、CGアニメーションとCGIによるSFXの映像の舞台裏になっていてエキサイティング。

◆コンピューティショナル・フォトグラフィー
 最終章である25章で、書かれるのが「これからのCG」。ここで大口氏により示される未来の映像ビジョンにも興奮。
 そのキーワードが、コンピューティショナル・フォトグラフィー(計算写真学 : CP)。
 これは、応用例として、カメラ撮影の後に、焦点距離、ダイナミックレンジ、シャッター速度、光源の位置や数、撮影速度、解像度、被写体の材質などを修正する様な技術を総称しているという。

 マシンパワーの強力化で、映像のデジタルハンドリングの自由度が無限に拡張して行くビジョンは、8mmフィルムで撮影していた学生時代を思い出したりすると、目眩がする様な未来感覚。こうしたマシンパワーによって人のクリエイティブも無限に拡張していく夢の映像の未来を垣間みた感覚。

 本書の魅力は、CGの勃興でその基礎部分を丹念に描き、20世紀に生まれた映像技術がその最終章で示される様な、デジタルのマシンパワーを背景に全ての映像情報の加工を実現する未来像までを迫真を持って書き出していることである。
 20世紀の最後の四半世紀に進化したデジタル映像が、21世紀にたどり着く彼岸はどんな境地なのだろう。そうしたことを考えるのに最適な一冊である。


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2013.02.15

■予告篇 ミシェル・ゴンドリー監督『日々の泡 : L'ECUME DES JOURS』


L'ECUME DES JOURS / bande-annonce - YouTube

 原作 ボリス・ヴィアン『日々の泡』(新潮文庫『うたかたの日々』ハヤカワ文庫)、ミシェル・ゴンドリー監督『L'ECUME DES JOURS』予告篇。
 前作の『グリーン・ホーネット』から一転、ゴンドリーらしいキッチュな映像にワクワク。
 ただ、今回はIMDb等調べてみても、3Dではないみたい。
 残念! 予告篇にある水中シーンは、是非、立体視で観たいのにw。

 凄く楽しげな予告篇に、ゴンドリーとトトの競演が楽しみ。
 今の時代、雲の飛行体を臆面もなく映画に出せるのは、彼らだけだw!観よ、このキッチュのパワー(^^)

◆関連リンク
曽根 元吉訳『日々の泡』(新潮文庫)
伊東 守男訳『うたかたの日々』(ハヤカワepi文庫)
ボリス・ヴィアン『日々の泡』 - Wikipedia
Mood Indigo (film) - Wikipedia, the free encyclopedia
L'Écume des jours (film, 1968) - Wikipédia
  Charles Belmont監督による1968年の映画化作品があるのですね。以下がその映像。
 ・Marie-France Pisier & Sami Frey-L'écume des jours - YouTube
 ・Marie-France Pisier & Jacques Perrin-L'écume des jours - YouTube

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2013.02.13

■映像 Pixar's Zoetrope : ピクサーの立体ゾートロープ


Pixar's Zoetrope - YouTube
 Twitter / crowsw(アニメーター わたなべさちよさん)経由

"これは凄い!ピクサーがジブリ美術館の立体ゾートロープに影響を受けて作った作品だそうです。人形造形の腕がジブリのものより一枚上手です。Pixar's Zoetrope"

 何とも素敵なPixarの立体ゾートロープ。
 あのピクサーのキャラクターたちが、立体となって現実空間に現れた(^^;)!
 これはもしかすると、映画に使われた3D-CGデータそのものを、立体プリンタでフィギュアとして形作られた物なのかもしれない。

The Caketrope of BURTON's Team on Vimeo
 ティム・バートンに捧ぐ、ケーキで作ったゾートロープ The Caketrope of BURTON's Team

 そしてもう一本、わたなべさちよさんが呟かれた、立体ゾートロープの映像。
 これも素晴らしく、こんなバレンタインのチョコ貰ったらパペットアニメマニアはイチコロ(^^;)。

 ゾートロープは、3D-CGが好きで、立体映画にぞっこんで、人形アニメに夢中なw僕には夢の様な玩具だ(^^;)。
 実は娘の夏休みの工作と称して、二人で粘土を捏ねて一回作ったことがある。ゾウが鼻を振るだけのものだったが、ゾートロープの独特のあの生々しいリアルな立体映像空間は忘れられないw。

 そんなゾートロープで思いつくのは、海洋堂フィギュアミュージアムさんには、是非リボルテックの造形物で、巨大なゾートロープを作って展示して欲しい。あの造形がリアルに動き出したらきっと…。これは金かければファンでも制作できるものだ(^^;)。

 そして、ゾートロープの可能性は、3Dプリンタと組み合わせた時に、新たな開花を見せるかもしれない。
 手で作れない様な異形の(例えば河口洋一郎氏のCGのような)形状もゾートロープに出来る。観たこともない異形の物たちが立体造形として現実に立ち現れ、ゾートロープによって動きを与えられ、生々しいリアルに近づく。

 と、書いてきて、ゾートロープ、また作ってみたくなった。生まれ変わったら、ゾートロープ職人として生きたいくらい、あのリアルにはクラクラ来ます(^^;)。

◆関連リンク
3D Zoetrope - YouTube
ゾートロープ - YouTube
『ゾートロープでアニメーション』(amazon)

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2013.02.11

■予告篇 ロドニー・アシャー監督『ルーム237 : Room 237』スタンリー・キューブリック監督『シャイニング』の謎に迫るドキュメンタリー : Stanley Kubrick Documentary Movie


Room 237 TRAILER 1 (2012) - Stanley Kubrick Documentary Movie HD - YouTube
『シャイニング』をコマ送りや逆回しにして分析する映画が登場!「ルーム237」の謎とは? - シネマトゥデイ

" タイトルとなったルーム237は、クローズ中のホテルを舞台にした『シャイニング』で、ヌードの美女、実は……が現れる謎の部屋。「最初は217 という部屋番号だったのが、実際に舞台となったホテルに217の部屋があり、恐がられるとクレームがきて237にした」と生前キューブリック監督は説明したが、舞台になったホテルに217という部屋などない。

 では237という数字は……? と解き明かされていく過程は、キューブリック監督のファンでなくともワクワクさせられること請け合いだ。"

 ロドニー・アシャー監督のキューブリックの謎に迫ったドキュメンタリー"Room 237"予告篇。米でいよいよ3月公開!

 僕自身は、当時スティーヴン・キングが大好きで原作に強い感銘を受けていたので、キューブリックの映画には、実はそれほど感動を受けていない(^^;)。
 で、公開時に一度観たきりなので、このドキュメンタリーを期に観直してみようかと思っている。
 、、、、ということで、この映画が日本で公開されることを祈らずにはいられないw。こういうのは、DVD待ちになりそう。

◆関連リンク
Room 237(公式HP)
 既にUKでは上映されているのですね。
The Shining Room 237 Clip - YouTube
 『シャイニング』の237号室のシーン。これを観ると『ルーム237』のHP等に使われている模様の意味が分かりますw。
「シャイニング」の続編は、来年の9月24日に発売決定とスティーヴン・キングが発表! - シネマトゥデイ

 スティーヴン・キングは、昨年の9月にジョージ・メイソン大学で同続編の一部の朗読し、その際に続編ではオリジナルに登場した小説家ジャックの息子で、超能力の才能を持つダニーが大人になった姿を描いていることを明かしていた。

スタンリー・キューブリック『シャイニング [Blu-ray]』 119分版
スタンリー・キューブリック『シャイニング [DVD]特別版 コンチネンタル・バージョン』 119分版
ミック・ギャリス監督、スティーヴン・キング脚本『シャイニング [DVD]』

"スタンリー・キューブリックが監督をした同作品に不満を持っていた原作者のスティーブン・キングが、製作総指揮をし、原作により忠実に再映像化した衝撃ホラー作品。 レビュー 製作総指揮・原作・脚本: スティーヴン・キング 製作: マーク・カーライナー 監督: ミック・ギャリス"

キューブリック - 当Blog記事 Google 検索

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2013.02.08

■感想 ドキュメンタリー立体映画 松江哲明監督『フラッシュバックメモリーズ3D』Flash back memories 3D

フラッシュバックメモリーズ[3D]特報 - YouTube

 音楽ライブドキュメンタリー立体映画『フラッシュバックメモリーズ3D』を名古屋シネマスコーレで観た。
 アップテンポのディジュリドゥの音響の中に紛れ込んで、まるでステージの中を歩き回っているような感覚。そして3Dで、後方のレイヤーに過去のホームビデオの映像、前方に日記のテキストの複合的体感。

 松江哲明監督の映像は、ライブを主眼に構成。
 ディジュリドゥの繰り返しの低音が終止劇場を支配し、GOMAの家族映像と交通事故で高次脳機能障害を受ける以前のライブは、もっとウェットなドキュメントを想像してたが、観客にも客観的な背景映像として提示するのみ。

 印象的だったシーンは、事故の少し前のハイビジョンで撮られたライブのコマ落としの映像と11.10月の3Dライブが 融合された画面。ラスト手前でGOMAが長いパイプのディジュリドゥを観客(と未来の自分)に突きつけ眼を開いて此方を凝視するシーンの臨場感。

 これら二つのシーンには、新しい3D映像の可能性が何か潜んでいるような気がした。それが何だか、まだ言語化できないんだけれど、グッと来たのは間違いない(^^)。

 音楽ライブや演劇といったステージの生の感覚をスクリーンに届け得る3D映像の可能性。
 僕は残念ながらGOMAのディジュリドゥの音楽には実は今ひとつ乗り切れなかったのだけれど、いろんなステージ立体映像を観てみたいと思った。舞台に紛れ込む様な臨場感は生のライブを超える感覚を生起するやも…。

 観終わってから考えていたのだけれど、この映画は自分がGOMAの立場になったとして、その際にこの映像が自分にどう観えるのか、というのを問いながら観ることを促しているのかもしれない。
 再見する時は、その感覚で観直してみたいと思う。

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 名古屋シネマスコーレの劇場前の看板も3Dでディジュリドゥが飛び出てた(^^)!
 そして同日公開されていた『デッド寿司』は、普通の寿司が殺人寿司に変身するパフォーマンスw。
 「へい、名古屋おまち!」の横のポップの普通の寿司をめくると中から殺人寿司が現れます。爆笑。

◆関連リンク
『フラッシュバックメモリーズ3D』対談 松江哲明(監督)×高根順次(プロデューサー) - CINRA.STORE -
BP@究極映像研(@butfilp)/2012年11月04日 - Twilog
フラッシュバックメモリーズ3Dができるまで」の生配信をツィートしたもの。
 講師は監督松江哲明氏、音響山本タカアキ氏、編集今井大介氏、プロデューサー高根順次氏!
 松江監督 "GOMAさんの過去と現在を3Dを使って描く。2D-3D変換、当時1万円/分と言われていたが、とてもそれで実現できるとは思えなかった"
 高根順次P "最低でも数千万円かかる。渡辺さんという編集マンのHPで安く出来ることを知り訪問した"
 渡辺知憲氏HP
 松江監督 "3D編集も5.1chもスタッフが自宅でやった。(略)3Dは映画界で嫌われている。黒沢清監督とか。ハリウッドの撮り方は3D的な工夫が足りない"
 "映像そのもので疑似体験をしてほしいと3Dにした"
 GOMA氏の撮影した映像『ジャングル大陸』等について。"興味のあるものにズームする" "映画二本をいっぺんでやるようなものだった。実態感が得られる3D。
 "3Dなので2Dよりカット割は長い。観客が集中する様に"
 iPhoneで撮った縦長の奥さんが撮られた映像について"これだ、という素材"
 アニメーションのシーンについて、飛び入りでイワイサワケンジ氏登場。
 "GOMA氏の点描絵をアニメに。交通事故の映像化も"

当Blog関連記事
■情報 ドキュメンタリー立体映画 松江哲明監督『フラッシュバックメモリーズ3D』Flash back memories 3D
■情報2 大口 孝之、谷島 正之、灰原 光晴『3D世紀 -驚異! 立体映画の100年と映像新世紀-』

 そこで大口氏が今年一番のS3D映画の収穫として挙げられていた一本が下記のドキュメンタリーです。

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2013.02.06

■感想 アン・リー監督『ライフ・オブ・パイ: Life of Pi's』3D


EXCLUSIVE: Life of Pi's Stunning Effects - YouTube

 アン・リー監督『ライフ・オブ・パイ』3Dを吹替で観てきた。残念ながら名古屋地方のIMAXは3D吹替がなく、今回はREAL D方式。
 冒頭『ガープの世界』を想起させる語り口で始まる素晴らしい海外文学(の趣を持った)3D映画!
 立体視に適した素材とカメラアングルによる凝りまくった3D描写に溜息の連続。海の描写、水面と海中の透明感のある立体視映像が最高!
 まさに『アバター』以来の3Dのエポックメーキングのひとつと言えよう。

 冒頭の動物達と海洋ドキュメンタリ風の秀逸な立体映像、インド少年パイ君の幼少期からの数奇な物語、そして広大な海の謎の幻想。
 予告篇とかCFを観て、単調な映画ではないかという懸念を持って観始めたが、海の多彩な異世界性が際立ち、まるで何処か宇宙映画の様。2時間、異世界に立体視没入できたw。


 『ライフ・オブ・パイ』、パリでは、なんとプールにボートを浮かべた体感型の劇場が登場。上の動画にあるように、3Dと水の上の客席で臨場感抜群。これは観てみたい(^^)。リチャード・パーカーのようにボートの上で船酔いした状態も再現できているかもしれないw。

『ライフ・オブ・パイ』ネタバレ有メイキング映像
 このメイキングは、3D映像で楽しむために、映画を観終わってからにして下さいw。まるで海にいる様な素晴らしい3Dシーンはこうして作られた。まさに立体映画のエポックメイキング、しかも海面と海底の映像、これは海洋マニアであるジェームス・キャメロンは心中穏やかでないだろう(^^)。

 『ライフ・オブ・パイ』、中国語では『少年派的奇幻漂流』とか『少年Pi的奇幻漂流』というんですね。こちらの方が映画の雰囲気が出ているw。
 まさにクライマックスの奇想は是非幻想小説ファンにも観て欲しい(^^)。

 物語としては、縦糸に神についての物語が横たわり、動物と人の少し哲学的な関係が描かれる。特に前者とそれに貢献する俯瞰描写、水 と光の透明感…奇想な3D映像。これら立体映像による万物の神々しい自然/異世界描写が映画の縦糸のイメージを補強し言葉を超えたレベルで訴える。

 僕はREAL Dで観ましたが激しいカメラワークの嵐のシーンは最高に刺激的3D映像(^^;)。アクション3Dとしても、かなりのハイレベル。

◆関連リンク
『ライフ・オブ・パイ』公式サイト"ベンガルトラの名前をめぐる驚愕のシンクロニシティとは?"
 ネタバレ注意! 観てない方はリンク先へ飛ばないで! 観終わったら是非読んでみて下さい。このシンクロニシティは凄く興味深い。ポーが絡んでいたとは!
ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 - Wikipedia
 2003年にM・ナイト・シャマラン監督、アルフォンソ・キュアロン監督、そして2005年にジャン=ピエール・ジュネ、そして2009年にアン・リーが雇われたという記述がある。各監督のファンとしては、それぞれどんな映画になっていたかと想像するのも楽しい。シャマランならもっとラストを劇的にしただろうし、キュアロンはドキュメンタリーのリアリティを増していたかもしれない。ジュネだったら、さらに練っとりと奇想シーンを作り込んでいたのではないだろうか。
CGSociety - Life of Pi

ヤン・マーテル, 唐沢 則幸訳『パイの物語(上)』
Amazon.co.jp: パイの物語(上) (竹書房文庫): ヤン・マーテル, 唐沢 則幸

『Cinefex No.28 日本版 -ホビット 思いがけない冒険-』

"『ライフ・オブ・パイ / トラと漂流した227日』Life of Pi
 パイと動物たちの交流を如実に見せるために、リー監督とビジュア ル・エフェクト・スーパーバイザーはLegacy EffectsのアニマトロニクスのノウハウとRhythm & Huesの専門技術を必要とした。その他、国際的なデジタル・プロダクションのLook FXChristov EffectsMPCCrazy Horse EffectsBufHalon Entertainmentも作品に華を添えている"

 シネフェックスの特集が楽しみです。
3D3D3D -ステレオ3D情報ブログ- : 「ライフ・オブ・パイ」3D 初見レビュー【追記】
 3d3d3dさんは、3Dに低評価とのこと。
 僕はインドシーンで窓の外の空間感覚に少し違和感を持ったくらいで、ズレは全然気づいてませんでしたw。

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2013.02.04

■動画 ジョン・カース : John Kahrs監督「紙ひこうき : Paperman」アニー賞短篇部門受賞&アカデミー賞ノミネート


Paperman - Full Animated Short Film - YouTube
'Wreck-It Ralph' wins Annie Award for best animated feature - latimes.com
 pacchiiさんのBlogへのコメント知ったジョン・カース監督「紙ひこうき」全篇公開。13.2月初めにtwitterで盛り上がっていたが、2/2のアニー賞の発表で見事最優秀アニメーション短篇賞を受賞したそうです。
 2Dルックで作られた3Dアニメーション。
 ストーリー、素晴らしい動き、そしてモノクロで醸し出される雰囲気。これらによってグッと熱く迫る見事な短篇になっている。
 抜群のレイアウトとアクション、良質なアニメートに溜息。


Paperman and the Future of 2D Animation - YouTube
広島国際アニメーションフェスティバル3DCGは2Dの夢を見るのか? 広島国際アニメーションフェスティバル2012レポート | WEBアニメスタイル

" ジョン・カーズ監督によると、これは3DCGのアニメーションに2Dのドローイングを重ねるという新技術によって、作られているのだそうだ。具体的には、3DCGのモデルを作り、それを使って3DCGでアニメート。そうして作られた映像を液晶モニターに映し出し、今度は2Dアニメーターがその上に直接、輪郭線等を描き込むのだ。描き込まれた線はベクターデータとして処理され、3Dモデルが動くと、それに張りついたまま動いていく(こうした技術の実現のために新しいソフトが開発された)"

 「紙ひこうき」のセルルックな3D-CGアニメーションを実現したのが、ここにある液晶モニターへアニメーターが直接修正を入れて、それをベクトルデータとして3Dモデルに修正を加える技術。
 その詳細は、上のメイキング映像で観ることが出来るが、以下の『ラプンツェル』でのグレン・キーンの仕事の進め方と無関係ではないようだ。

Twitter / butfilp

"「ラッシュ映像のコマに自ら絵を描き指示を出すこともあった」RT 『ラプンツェル』のパンフレット…グレン・キーンの功績についても少し言及されてました"

 この指示が既に上で述べられている技術を使用していたのか、それともこの『ラプンツェル』のグレン・キーンによる修正方法からヒントを得て、この技術が生み出されたのか、どちらかわからないが、3D-CGのアニメータによる修正方法の革新がなされているのであろう。
 こうした技術は、できれば日本でも生み出されていて欲しかった。
 現時点、3D-CGの良い点と手描きの良い点をうまくマッチさせて素晴らしい映像を作り出すベストな方法のひとつと思われるので。

◆関連リンク
ジョン・カース監督「Paperman」 & カルアーツ ラセターとアニメ作家たち - Togetter

"映像研究家 叶精二さんによるカリフォルニア芸術大学を巡るアニメ作家たちの系譜
CalArts : California Institute of the Arts"

 叶さんのジョン・カース監督「Paperman」の紹介にはじまるアニメ作家たちの系譜について、ツィートを纏めさせて頂きました。
 同じCalArtsの出身であるジョン・ラセター、ジョン・マスカー、ティム・バートン、ジョー・ランフト、ヘンリー・セリック、ブラッド・バードといった面々がディズニーとピクサーで映像の革新を追い求める状況が伝わってきます。
 これは、彼ら映像作家群と並行して進化していた西海岸のデジタル文化の寵児達、スティーブ・ジョブズらの物語と同様にワクワクしますw。
 ピクサーを巡って、そのジョブズやルーカスも引いてくれば、とても素晴らしいドキュメント本の出版企画になりそうな気がします(^^)。
 叶精二さんに是非まとめて頂きたい仕事です(勝手にすみません)。まずはこのツィート群でそのコンセプトに興奮して下さいw。
『コクリコ坂から』もノミネート! アニー賞2013 ノミネーション発表! 海から始まる!?

・当Blog記事
 ■感想 バイロン・ハワード,ネイサン・グレノ監督『塔の上のラプンツェル:Tangled』

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2013.02.01

■情報 アイキューブド研究所 ICC (Integrated Cognitive Creation : 統合脳内クリエーション)


光情報の復元を目指した「ICC 4K 液晶テレビ」試作機を公開 - YouTube

プレスリリース:ICC技術を開発 (I-cubed研究所株式会社 2011/05/12)

" I3研究所(アイキューブド研究所)株式会社は、 ハイビジョン(1920×1080画素)の映像信号から4K映像(3840×2160画素)を創造する 新たな映像クリエーション技術、 ICC (Integrated Cognitive Creation : 統合脳内クリエーション)を開発しました。

 ICCは、人間が現実の風景や被写体を直接見た時に発生する「認知」の働きと同等の体験を映像視聴時に得られることをコンセプトとした映像創造の技術です。 映像の高解像度化やノイズ低減など従来のリアリティ向上のアプローチにとどまることなく、 遠近感や立体感、質感などを、自然界により近い形で認知させるものです。

次世代のディスプレイは、単なる視聴端末ではなく、 大画面からより緻密な光刺激を発する映像空間創造デバイスに進化するものと考えられます"

 これもニュースというには、かなり遅い情報だけれど、超解像技術の上を行く、「統合脳内クリエーション」という新しいアプローチに興味が沸いてネットで情報に当たってみた。以下、リンク集です。
 こればっかりは、脳が介在しないとどう凄いのか分からないため、自分で観るまでは、観た方のレビュー等に頼るしかない。
 
 既に実際にこのアルゴリズムを搭載したテレビをシャープが発売しているようなので、いずれ家電店にてデモが観られるかも、と期待して止みません。

【本田雅一のAVTrends】シャープ「ICC 4K 液晶テレビ」の圧倒的な立体感 -AV Watch

"  近藤氏は「テレビにおける4Kというのは、人間の感じる事ができる解像度、眼球の特性を考えると”画素数”に関してはこれ以上必要ないという数字です。 これ以上の解像度は無駄です。さらに超解像処理という面では、10年前にDRC-MFですでに技術として完成していましたから、HDから解像度を引き上げて 見せるという意味では、さらに高めていく必要はありません。4Kの時代に求められているのは、より高い解像度ではなく、現実世界と同様の“光の刺激”を与えることです」と話した"

【麻倉怜士IFA報告】シャープとアイキューブド研究所の「ICC・4K」の進化(2)「静止する動画」の提案 - 家電・PC - Tech-On!.

" 一般の超解像といわれている画像処理は、画面の中央のオブジェに注目し、それをくっきりさせるという方法論である。一方、ICCは全く違う。人の目には、 その物体だけなく、横や後ろの物体も見えているという事実がある。しかし、カメラで撮影すると光学特性から、特に望遠レンズでは、前後のある1点にしかフォーカスが合わない。これは、人が実際に眼前の景色を見るのとは相当異なる、不自然な映像となる。新しいICCでは、前後・左右にある物体の「相互関係」に着目し、その間の距離感や質感の違いを明確に表現できるようにアルゴリズムを設定し直した。"

 御二人のAV評論家の大家の書かれた記事の引用です。
 人の光の刺激の認識の再現であり、フォーカスを実際の光景に近づけるという様な技術のようです。どんなアルゴリズムなのか、もっと詳細な情報が知りたいものです。

◆関連リンク
シャープとI3研究所、「ICC 4K 液晶テレビ」の試作・実用化に向け共同開発を開始(プレスリリース)
次世代液晶テレビ ピュリオス:シャープ
価格.com - シャープ ICC PURIOS LC-60HQ10 [60インチ] 価格比較
 まだ正式な価格は出てませんが、なんと250万円との記述。

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