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2013.04.19

■感想 村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

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村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(Amazon)
文藝春秋 特設サイト - 本の話WEB

 村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』主要な舞台の一つ名古屋で読了w。

"生まれ落ちてから、基本的には一歩もその街を出ていない。学校 もずっと名古屋、職場も名古屋。なんだかコナン・ドイルの『失われた世界』みたい。ねえ、名古屋ってそんなに居心地の良いところなの?"

 という文章に行き当たり、思わず爆笑w。
 何と名古屋はロスト・ワールドだったのか!?
 (ちょっと小さい声で…)実は名古屋人には常識ですが、東京や全国の人には内緒、日本の『失われた世界』名古屋の東山動物園には恐竜がいます(うそ(^^;))

 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』真面目な読後感は、村上長篇の中では、少し『ノルウェイの森』系列かもしれない。
 主人公の"色彩"は、まさしく『ノルウェイの森』の主人公"ワタナベトオル"の感性に近似。"キズキ"と"直子"と"僕"の高校時代が再話され、そこを起点に物語は北の湖の地にまで広がる…。

 今回、奇想小説風味は少ぉ〜しだけあるけれど、ほとんどリアリズムです。僕は"ワタナベトオル"的感性にぼやぁ〜と漂いながら読みやすい文体を追っていくのも嫌いでないので、なかなか快適な読書時間を持てました。
 出版から数時間でツイッターで呟かれた、大森望氏の最速レビューの不評を読んで期待してなかったのが良かったかもw。

Twitter / nzm

"『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』読了。途中までは面白くなりそうだったんだけど……。ああもう、うっとうっしいったら!"

ハルキ祭りの夜は更けて──『多崎つくる』発売カウントダウン・レポート - 大森望|WEB本の雑誌.

"80年代歌謡曲の有線放送をBGMに二色丼(ネギトロと中トロ)を食べつつ続きを読むも、「それだけひっぱっといて真相がそれかよ!」と脱力し、後半どんどんスピードが落ちてゆく。  残り100ページで店を出て、日比谷線恵比寿駅ホームのベンチ、始発電車の車内、東西線茅場町駅のベンチ、車内と読みつづけ、西葛西駅のホームで午前6時に読了。楽しいハルキ祭りの夜でした。これで小説がもうちょっと面白かったら完璧だったな。"

 うちの町の書店で『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』今朝10冊ほど在庫有。本当はほぼ同時に出た海猫沢めろんさん『全滅脳フュー チャー!!!』を先に読もうと思っていたのに何故か売ってない!もしかしてうちの町は春樹より『全滅脳フューチャー!!!』が先に売り切れる街なのか(^^;)!??
 先日記事にしたように、『全滅脳フュー チャー!!!』傑作だったので、この順番で読んで正解だったかも。

 で、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を今日買ったのは読みたかったこともあるけれど、食卓に置かれた僕の本を指さして、朝のニュースを見ながら妻の放った一言が効きましたw。
 「そんな誰も家族が読まない様な変な本(ラファティ『蛇の卵』)より娘も読むかもしれない村上春樹を買わないの!?」w
 (僕の村上春樹でまずは少しの奇想に洗脳して、家族にラファティを読ませる計画は、こうして発動したのでしたw。きっとだめだろうな〜)

 以前、『1Q84 BOOK1 BOOK2』について感想を記事にした時に書いた、"自由意志と自然体の相克"みたいな問題は、今回、まったく進化されていない。
 少しだけそんな側面も期待していたのだけれど、それは次の本格的長篇まで持ち越しでしょうか。

 最期に名古屋と並んで、本書の基調を構成する、ピアニストのラザール・ベルマンの演奏するフランツ・リスト『巡礼の年』「Le Mal du Pays」について。

Liszt Le Mal du Pays - YouTube
 例えばリストの曲については、ここで聴けます。が、ラザール・ベルマンのピアノによるものはありません。

村上さん新作で「巡礼の年」CD再生産 - 音楽ニュース : nikkansports.com.

廃盤となっていたベルマン演奏のCD「巡礼の年」を5月15日に再発売。生産中止となっていたブレンデルのCDも再生産し、4月27日ごろに店頭に並ぶという。

 ということで、『多崎つくる』人気のおかげで、ちゃっかりCD再発売の様です(^^;)。ロシアのピアニストの曲想がどんなものか、一度聴いてみたいものです。

◆関連リンク
時事ドットコム:村上春樹氏 公開インタビュー(13.5/6)

"木元沙羅は僕を導いてくれた不思議な存在だった。今回は生身の人間に対する興味がすごく出てきて、登場人物のことを考えているうちに(登場人物が)勝手に動き出した。この作品を書いて、頭と意識が別々に動く体験を初めてした。僕にとっては新しい文学的試みだった。3~4年前なら書けなかったかもしれない。
 この作品は、(登場人物の会話を多用した)対話小説という気がする。僕は会話を書くことに苦労したことは一度もない。会話でつないでいくストーリーはわりと好き。難しいのは、会話が重なっていくうちに体温が変化している感じを出さないといけないところです。
 今までの小説では1対1の人間関係を描いてきたけれど、今回は5人という大きなユニット(の関係)だった。「1Q84」という3人称の小説を書いた後だったので、それとはまた違う形で(3人称の物語を)書きたいという気持ちが出てきたのでしょう。"

【村上春樹さん公開インタビュー発言要旨】魂のネットワークのようなものをつくりたい : 47トピックス - 47NEWS(よんななニュース)(13.5/6)

" (徐々に)魂のネットワークのようなものをつくりたい気持ちが出てきた。みんな自分が主人公の複雑な物語を、魂の中に持っている。それを本当の物語にするには、相対化する必要がある。小説家がやるのは、そのモデルを提供することだ。
 〈新作「色彩を持たない 多崎 (たざき) つくると、彼の巡礼の年」について〉
 「ノルウェイの森」のときは純粋なリアリズム小説を書こうと思った。(新作は)僕の感覚としては、頭と意識が別々に動いている話。今回は前作「1Q84」に比べて、文学的後退だと思う人がいるかもしれないが、僕にとっては新しい試みだ。
 (多崎の恋人の) 沙羅 (さら) さんが、つくるくんに名古屋に行きなさいと言うが、同じように僕に書きなさいと言う。彼女が僕も導いている。導かれ何かを体験することで、より自分が強く大きくなっていく感覚がある。
 今回は生身の人間に対する興味がすごく出てきて、ずっと考えているうちに、(登場人物たちが)勝手に動きだしていった。人間と人間のつながりに、強い関心と共感を持つようになった。"

 この村上インタビューで語られている"頭と意識が別々に動いている"というのが、実は『1Q84 BOOK1 BOOK2』で描かれた"自由意志と自然体の相克"に繋がっているのかもしれない。大変興味深い発言だったので、追記しました(5/7追記)。

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コメント

 コメント、ありがとうございます。

>>村上春樹の小説を読んでる時、自分の中にある普段隠れている自分との対話をするような感じですね。

 味わい深い言葉ですね。
 日本人の心的なある一部分を、村上だけが言葉にできているから、これだけ売れているのかもしれないですね。

投稿: BP (jamstrawberryさんへ) | 2013.05.19 07:36

村上ファンです。村上春樹の小説を読んでる時、自分の中にある普段隠れている自分との対話をするような感じですね。
そして、何度も読んでも飽きられないことか。

最近の新作に登場した曲のCDも購入して、曲を聞きながら、小説を読んで、なんとか、村上春樹さんと同感したような感じをします。おすすめです。

ちなみに、ブログにも感想を書いていた。是非、ご覧ください。
http://classiccat.seesaa.net/

投稿: jamstrawberry | 2013.05.13 10:28

 ダヲスさん、こんばんは。

>>本作、私的にラストが不完全燃焼でした。
>>グレー君も伏線張りまくりで一体・・・。

 確かにいろんなことが決着していないですねw。
 ただ僕はどちらかというと、今回、村上春樹の語り口だけ楽しんでいたので、実はそれほど消化不良ではありませんでした。

 リンク先の『1Q84』の感想で書いた様なポイントについて、テーマが深められていたら、、、とは思ったのですがw。

投稿: BP(ダヲスさんへ) | 2013.04.28 20:48

ツイッターやフェイスブックではお世話になっております。
本作、私的にラストが不完全燃焼でした。
グレー君も伏線張りまくりで一体・・・。
消化不良です・・・。

投稿: ダヲス | 2013.04.28 18:08

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