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2013.06.17

■感想(1) 『フランシス・ベーコン展 : Francis Bacon』@豊田市美術館

Francis_bacon

フランシス・ベーコン展 Francis Bacon 豊田市美術館

"2013年6月8日[土]-9月1日[日] Jun.8 [Sat] - Sep.1 [Sun], 2013"

 待ちわびていたベーコン展、ついに豊田市美術館で開催。スタートから一週目の土曜にさっそく行ってきました。
 絵画の持つ圧倒的な黒と緑の重力に吸引されて、魂を奪われそうだった(^^;)。
 このような超重力空間が近郊にある至福(^^)。

 まず最初の<捧げられた身体>のコーナーの後半。
 1957年の作品「ファン・ゴッホの肖像のための習作V : Study for "Portrait of Van Gogh" V」に心臓を撃たれる(^^;)。それまで昏い色だけで描かれていたベーコンの絵に赤とオレンジが登場する。Ac65a69559d1dba6b7263f8a1c006423horフィンセント・ファン・ゴッホ「タラスコンへの道を行く画家」(1888年、第二次大戦で焼失)、フランシス・ベーコン「ファン・ゴッホの肖像のための習作V」(1957年)
 図録の解説によると "ゴッホの作品(「タラスコンへの道を行く画家 : The Painter on the Road to Tarascon」(1888年))を着想源に、鮮やかな色彩と厚塗りによる絵の具の物質感を画面に取り入れることに"とか、"ベーコンがこの連作に着手する前に滞在していたモロッコのタンジールや、南仏の明るい日差しに由来するとも言われている"とのことの様です。

 この絵の、赤とオレンジの背景に緑色の輪郭の男(ゴッホ)が振り向いて立っている肖像。縦長に伸び幽鬼を漂わせた顔と、平たく水掻でも付いたかの様な足が魅力。そしてこれらをつなぐ体の右側を縦に支える緑色の輪郭とその上に落ちた黄色の雫。
 会場に置いてある図録と絵を見比べて確認したのだけれど、この絵の特に緑の魅力が印刷では全く表現できていない。御近くの方は是非実物を観られるこの貴重な機会をお見逃しなきよう(^^;)。
 そこまでの展示で昏く重かったベーコンの絵が獲得した、この光と奇想の融合。ゴッホの絵にない強い赤の色の導入と、人物のフォルムの何とも言えない佇まいに溜息がでるばかり。
 この絵の深い魅力に魅入られて、この日だけで10回近く、見入って沈思黙考してしまった。まだこの魅力の秘密は言語化されていないw。

 そして、次のコーナー<捧げられた身体>。

Pt003francisbacon_300x400_artprint

 ここの最初の三枚の空間が圧倒的。「横たわる人物像 No.3 : lying figure No.3」(1959年)と「歩く人物像 : Walking Figure」(1959-60年)、「横たわる人物像 No.1 : lying figure No.1」(1959年)が美術館のL字コーナーに置かれたベンチを囲むように配置された閉じた空間。ここが本展覧会で僕が最も気に入ったスポットになったw。
 特に「横たわる人物像 No.3」の黒い重力には押しつぶされそうで空間からの脱出に時間を要した。ベーコン超重力!
 そして対面の「歩く人物像」の奇妙な立ち姿。

 この「横たわる人物像 No.3」は、もちろん大胆に配置されたこの黒色の構図も凄いのだけれど、男がその重みに耐えている様な姿勢をとっていることが重力の強度を増している。そして呼応する緑と男の首から生えた黒い背骨。歪んで肉の溶けた手足。
 この黒と緑が、「歩く人物像」の全面の緑と床の黒に呼応/共鳴して異様な空間の迫力が生まれていたのだと思う。
 
 もちろんw僕はここでデイヴィッド・リンチの映画の黒を思い起こすのだけれど、明らかに繋がっているベーコンの絵の黒の世界と、リンチ映画のカーテンの向こうの漆黒、、、リンチブラックの強度はこうしたベーコンの超重力によって獲得されていたことを視覚の緊張とともに痛感したのであった。

 この後の絵は、僕には実はあまり強いインパクトを与えなかった。少し離れたところにあった「座像 : Seated Figure」(1961年)は凄いと思ったが、このL字コーナーの三枚の圧倒的なイメージには叶わない。もし「横たわる人物像 No.1 : lying figure No.1」に変わって「座像 : Seated Figure」がそこに置かれていたらと想像すると身震いするのだけれど、、、。

 一度、昼の食事で外へ出て、次に戻って二回目は、デイヴィッド・リンチの音楽をヘッドホンでガンガンに効かせて観た。
 両方試してみたのだけれど、リンチ映画のサントラ アンジェロ・バダラメンティではなく、この絵画空間と共鳴したのはデイヴィッド・リンチ自身が作った音楽だった。特にソロアルバム ディヴィッド・リンチ『気違いピエロの時間:Crazy Clown Time』
 ベーコンの溶けた人体と黒と緑の闇空間に、リンチとカレン・Oのヴォーカルが怪しいレゾナンスを奏でる。ファンは必聴です(^^;)。

◆関連リンク
フランシス・ベーコン展 Francis Bacon|豊田市美術館|図録・グッズ

『美術手帖 2013年 03月号 フランシス・ベーコン』

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