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2013.07.21

■感想 宮崎駿『風立ちぬ』 大漫画映画!!

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風立ちぬ 劇場予告編4分 - YouTube
 宮崎駿『風立ちぬ』初日に観てきました。こんなに宮崎作品に期待したのは『風の谷のナウシカ』以来かもしれないw。

 白紙で映画を観たい方は以下スキップ下さい。観終わった直後と次の日のツィートを羅列+論旨の曖昧なところを補足追記しました。少し散漫なのはご容赦下さい。

◆全体のまとめ
 冒頭から宮さんらしいアニメートに、漫画映画だぁ〜とかエンジニア映画だぁ〜、とか喜んでいたが後半で失速したように思う。漫画映画というのは、原画家としての宮崎の個性が、初期の監督作『未来少年コナン』や『カリオストロの城』等以降、ジブリ映画でこれだけ露出したのは珍しいのではないだろうか、という視点。

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 まず後半の失速の原因は飛行機シーンの三人称。
 三人称というのは、映画が飛行機をいつも設計者の立場で地上から眺めていることから、本来、映画として昇華するはずの飛行機の飛行シーン、パイロット視点の映像がない。飛ぶことも菜穂子との関係にも同じことが言えないか。

 三人称は大震災や太平洋戦争についても同様に思えてしまう。
 傑作『風の谷のナウシカ』漫画版で描かれた凄絶な清濁合わせ持った人間の実像が『風立ちぬ』にはないように思える。遠景として三人称的に描かれていることで、どうしても正面から時代とその中の人間の実像に立ち向かっている感覚が持てないのだ。

 せめて飛行機パイロットの視点だけでも導入されていたら…。
 (もちろん設計者主体の話として組み立てているので、パイロットになれなかった主人公堀越二郎視点で観客に地上からのもどかしさを感じさせる意図があるとは思うけれど…)

 とは言え(^^;)、宮崎駿初期原画が好きな僕には、飛行機設計/建造物語というこれ以上にない趣味的世界を舞台に宮さんらしい作画(つまり漫画映画映像)が、そこかしこに観られたのが大収穫(^^)。

 のびのびと自分の体感覚にまかせた人物のフォルムと動き、そしてメカを描かれたのではないか。その気持ちよさは素晴らしいw。

 宮崎駿初期原画について、以下の辺りが好みと思っている。
 オールドファンの方は同意して頂けるのではと思うのですがw (拙Blog記事リンク↓)
ルパン3世15話
侍ジャイアンツ1話

◆予告篇映像と戦争の一人称
 予告篇を観直すと、とにかく見事。素晴らしい映像である。
 映画を反芻するに幻想と現実を心象として描いた映像(原画家 宮崎っぽい のびのびした作画)と、大戦前の時代の登場人物の矜持の美しさは素晴らしい(でもそんな人々ですら戦争を止められなかった…というような描写はなかったが…)。

 関東大震災と太平洋戦争が遠景になっている件、この長さの作品で描くのが難しいのはわかる。
 ただどこかに、美しい飛行機を実現できる技術があったことで、それが軍部の戦争判断の一因にもなったのでないか、とか当時の日本の戦争へ向かう空気の一部とかが描かれているだけで印象は違ったのではないかな〜と残念。

 そして飛行機パイロットの一人称の導入がないこと。
 飛行機の技術でやりたかったのは人が飛ぶことの気持ちよさのはず。仲間のパイロットの視点を入れて試験飛行のシーンで観客に体感できる様になっていたら…。
 その映画鑑賞後の不満足感から帰りの車の運転が飛行シーンの代用になりw、速度を出す快感でアクセルをいつもより吹かしたのは僕です(^^;)。

◆宮崎駿 漫画映画 作画映像 

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 それにしても恐るべし宮崎駿。
 もしかしたら長篇としては最終作になるかもしれない作品で(もちろんもっともっと作って頂きたいのだけれど)、これだけ自身の体感覚を表現した、自分らしいのびのびとした作画映像を作り上げるとは驚異である。
 (もちろん高坂希太郎作画監督の貢献も大だろうけど…)。
 初期宮さん作画ファン、漫画映画ファンにはそこだけでも涙もの。

 とは言え、その作画は当時の破天荒さは抑えられている。フォルムやレイアウト等はジブリの他の作品より宮崎の体感的動画に感覚的に近い様に思える。しかしそのアニメートは抑えられ、まさに老成した大漫画映画という風格である! 大家然としているのでなく、若々しいアニメートが刻印され、明らかに天才アニメータ 宮崎駿といったタッチのことである(多分に感覚的ですみません)。

 そして人間の口による擬音/効果音と大漫画映画の相性は見事なものでした(^^)。
 特に地底から響く様な、空気を振るわす低周波数音。大東亜戦争前の昭和の映像の素朴な表現と漫画映画の相性ともども、これによる効果はこの映画のテイストにとって絶大だったと思います。

 

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 『風立ちぬ』、実は宮崎駿が自作を観て泣いた理由は、ラブストーリー部分でなく、趣味の飛行機が大画面一杯に映し出されたことと(^^;)、漫画映画とし ての映像表現が自分の思っていたものに、ここまで来て、かなりやっと近づいたことが理由なのじゃないかと邪推しています。それくらい大漫画映画と僕は感じていますw。
 (上にも書いた様に、ジブリ史上ここまで宮崎"漫画映画"であったのはこれが初なのでは、という感想なのですが、その"漫画映画"が自分でも感覚的で定義できてない。曖昧ですみませんw。
 案外この右で引用した様なモブシーンのひょうたん顔に点2つの眼という宮崎的な作画の積み重ねがそんな印象を作っているのかもしれません(^^)。
 もうひとつは漫画映画の主要要素 少年の夢。これは重要なポイントの様に思います。冒頭とカプローニとのシーンに代表される部分)

◆原作漫画「風立ちぬ 妄想カムバック」
 (月刊モデルグラフィックス)のあらすじ

 宮崎駿の漫画「妄想カムバック 風立ちぬ」(月刊モデルグラフィックス連載)は何故出版されていないのだろうw。ネットで探すとこちらで詳しく紹介されていましたのでリンク。

 この漫画、まさに漫画映画のテイスト!
 この伸び伸びした感覚が映画にも良い案配で活きてますね(^^;)。豚のユーモアが少しほしい気もしますが…。

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 続けて原作にある『風立ちぬ』のエンジニア描写について(自分も技術屋の端くれとして映画を観て、比べようもないのだけれど技術屋としての過去を想起してたw)。

 二郎の集中力の描写がいい。原作には"考える。脳ミソをとことん使う。神経索の網の目に変異が生じて、ものすごく勘がさえて来る"とある。技術屋の美しさ希求はその神経索の直感を構築するw

 堀越二郎の十二試艦戦完成が1937年34歳。設計家のピークは本当に十年だったんですね。設計の直感と知力、エンジニアリング神経索が高速回転する時間は一体何に律速されるのだろうか。
 ちなみに、宮崎駿はパンコパ31歳、コナン37歳、カリ城38歳。
 演出家 原画家としての脳の神経索は、設計屋のそれより長生きしそうだw。

◆友永和秀さんの原画参加と金田伊功の不在
 あとエンジニアリングでなくアニメーティングの話ですがw、『風立ちぬ』原画に友永和秀さんの名前があったのが感慨深い。

 『カリオストロの城』『未来少年コナン』『ルパン三世』(「泥棒は平和を愛す」とか)の宮崎駿黄金期(^^;)の中心アニメーター。宮崎アニメとしては、『天空の城ラピュタ』以来の当番である。

 友永さんがどこのシーンを描かれたかとても知りたい。どなたかもし御存知の方、御教示頂けると嬉しいです。ネット検索では見つからない…。

 宮崎さんの今回の作品『風立ちぬ』、友永さんとともにその盟友であった金田伊功さんの名前がクレジットされていたら…と残念でなりません。
 奇しくも『風立ちぬ』の公開日は、金田伊功氏の命日前日。戦闘機乗りに憧れ、空を飛べなかったアニメーターである金田氏、飛行機シーンも最高だったこの天才アニメータの絵がこの映画にないのは、まったく持って残念でなりません。黙祷とてこの文章を締めたいと思います。

 もう一度、劇場でこの映画を観たいと思いはじめてます。ジブリ映画でこんなことは初めてです(^^)。

◆関連リンク
「風立ちぬ」を観てきた(Blog 松浦晋也のLD)
 「高く飛翔しない飛行機」に込められた「ええかっこしいの態度」、そこに兵器好きと戦争嫌いの矛盾が集約されているのが、観客の感じるモヤモヤではないかというのはとても鋭い視点。
■[映画]『風立ちぬ』(Blog 空中キャンプ)
 "「われわれはいかに自由を獲得できるか」を描いた映画"という視点で気持ちのよい纏め方をされています。
【絶賛の嵐】ジブリ「風立ちぬ」試写会後のクリエイター・業界人感想まとめ - Togetter
 絶賛の嵐。ただその評価がどの部分か詳細は書かれていない。菜穂子のシーンなんだろうか。それとも飛行機シーン?

 僕は堀辰雄は読んでいないのだけれど、キスシーンの多さとか、恋愛描写にあまり感心しなかった。特に最後、二郎の元を去っていくところ、あまりに男の都合に合わせ過ぎで女性描写として脆弱ではないだろうか。そこが宮崎女性キャラということかもしれないが、、、。
 今回、菜穂子、まさにルックスがクラリスでしたね(^^)。

当Blog記事
宮崎駿 妄想カムバック6 「風立ちぬ」

"変に肩に力の入った描写ではなく、このタッチで柔らかく描かれているのが、とても心地いい。本来、このようにリラックスした姿が、宮崎さんの天真爛漫なあのアニメートに合っていると思うので、今度はこのようにリラックスした(といってもこのテーマでは戦争の影が忍び寄ってしまうのだろうけど)映画を作ってほしいなー、と思うのである。"

宮崎駿 当Blog記事 Google 検索

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コメント

この『風立ちぬ』と『かぐや姫の物語』は元々、特撮の神様、円谷英二が晩年(1969年~1970年)、『ニッポン・ヒコーキ野郎』、『かぐや姫』を円谷英二自らのライフワーク作品として制作したかったが…、1970年1月25日…、静岡県伊東市の浮山別荘にて妻マサノと静養中、気管支喘息の発作に伴う狭心症の病に倒れ、68歳でこの世を去り、結果的にはこの『ニッポン・ヒコーキ野郎』、『かぐや姫』は実現せずに円谷英二のライフワークの夢は消えてしまったかのように見えた…。だが宮崎駿と高畑勲がこの円谷英二が果たせなかった作品を宮崎駿と高畑勲の手で実現させていたと…。

投稿: マイケル村田 | 2014.05.25 21:25

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 暑い、暑い、暑い、ですねぇ。こんな日は海水浴にでも行くか、エアコンの効いた映画館に行くのがよいのではないでしょうか。では、本日紹介する作品はこちらになります。 【題 [続きを読む]

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