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2013.10.14

■感想 『塔の上のラプンツェル』アートブックから考える日米アニメの差異と3D-CGアニメの今後w "The Art of Tangled"

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Nathan Greno, Byron Howard, Jeff Kurtti, John Lasseter『The Art of Tangled』

"A lighthearted twist on Rapunzel, the beloved fairy tale from the Brothers Grimm, Tangled brims with thrilling adventure, a distinctive cast of characters, a daring heroine, and, of course, seventy feet of golden hair. Featuring the stunning concept art behind the newest Disney masterpiece, The Art of Tangled also includes a preface by John Lasseter, a foreword by Directors Nathan Greno and Byron Howard, and interviews with the artists, animators, and production teamincluding Art Director David Goetzthat shed light on the history and artistry of this landmark film."

 最近ディズニー映画に凝りはじめた娘が、親に内緒でこんな素敵な本を買っていたので、借りて読んで/眺めてみました(^^;)。3D-CGアニメでありながら、グレン・キーン他手描きアニメーターの貢献が素晴らしいことがこの本で良くわかるので、とりあげてみます。

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 CGの映像を思い出しながら、このグレン・キーンの手になる鉛筆画を観て欲しい。CGによる三次元の立体映像のイメージと、このデッサンの見事なまでの近似。グレン・キーンの素晴らしいフォルムをベースに、映画の3D-CGが作られていることがとてもよくわかる。

BP@究極映像研(@butfilp)/2013年02月02日 - Twilog

"叶 精二さん@seijikanoh グレン・キーン作品集 http://ceron.jp/url/www.nicovieo.jp/watch/sm10161022…
キーンは「ポカホンタス」(95年)作監の後、40代で彫刻と解剖学を修得すべくパリの美術学校に入学。「ターザン」(99年)はバリのディズニー・フランスで作画。留学の成果が遺憾なく発揮された動物的肉体の躍動。頂点的作品。"

 人体の骨格を解剖学的に探求したグレン・キーンのこのデッサン画により、3D-CGアニメーターはフリン・ライダーのCGモデルを作成したのだろう。
 映像の元になるCGモデルがそのようにしてグレン・キーンのアニメートの骨格を取り込み、そしてその動きやルックを、このデッサン画が誘導して、あの素晴らしい立体CGアニメーション映像が作られたのだろうと推測できる。

◆アメリカのCGアニメの成り立ち

 ディズニーのCGアニメーションの隆盛は、もともと人物の解剖学的な側面に着目していた伝統的なアニメーションの手法が、まさに解剖学を反映した構造を持つ3D-CGモデルに見事に融合して可能となったのかもしれない。CGモデルって現実の解剖学的骨格を想定しないと動かせないですよねw。

 ここは、まさに高畑勲が指摘している日本のアニメの2D的な成り立ちと、大きく袂を分かつ部分なのかもしれない(日本のアニメがなかなか3D-CGへ流れない根本原因)。
 美術やデザインの世界でよく言われている様に、西欧は物を立体で把握しているのに対して、日本は二次元的な歴史的美術の流れがある様に思う。もともとの源流はそんなところにあるのかもしれない。

◆そして日本のアニメと3D-CGの関係

 こうした民族的な歴史による束縛がどのように現代のアーティストの感覚を縛るのか良くわからない部分もあるけれど、日本のアニメの将来を考える時に、3D-CGの利用に際して、どこか感覚的に日本人に呪縛が潜んでいるかもしれないことを念頭に置くことが必要かもしれない(^^;)。
 セルアニメで西欧を凌駕して世界に広がった日本文化としてのアニメーション。
 この隆盛を今後も続けて行こうとした時に、3D-CGへの移行/もしくは併用をどう実現して行くのか。(今のところの日本アニメ業界のベクトルは、その呪縛故か、セルルックの3D-CGというところに辿り着こうとしている様に見えるが…。)

 ピクサー等に水をあけられた感のある現在、本格的なそうした成り立ちの違いに着目することも重要なのかもしれない。(ことは宮崎駿がアナログ/デジタルの二分法で「デジタル嫌い」と言っているのとは大きく違うと思うのだ。道具による抵抗感はあくまでも使い方に馴れるかどうかの馴れだけの問題であって、使いこなした上でそれを作品の質レベルでどう活かせるかは、まさに我々に流れる血の問題であるかもしれないのだw)

 この文脈で今後も少し考えたり調べたりできたらいいな、と思っている。
 アニメだけでなく、特撮→3D-CGでも似た様な課題があるように思うのだけれど、どうだろうか…。

◆関連リンク
Ceron.jp - グレン・キーン作品集 ‐ ニコニコ動画:Q
グレン・キーン - Wikipedia
 グレン・キーンの仕事は、『美女と野獣』『リトルマーメイド』『アラジン』『ターザン』というところ。
レビュー: The Art of Tangled | Parka Blogs

"キャラクターアーティストのJin Kim, Claire Keane, Bill Schwabはとても表現豊かにキャラクターを描いていると思います。しかし、ほとんどは伝説と言っても良いほど有名なアニメーターGlen Keane(美女と野獣やターザン)によるもので、彼は生きているような動きがある魅力的なスケッチを描いています…。

映画の中の街並みや、お城は見たことがあるような感じがすると思いますが、背景デザインはシンデレラ、ピノキオ、眠れる森 の美女からきています。いくつかのペインティングも同じくこれらの作品からのものです。アーティストインタビューでは、2Dから3Dに移行する際の彼らの挑戦が語られています。

この本はアーティスト、アニメーター、アート好きの人にはもってこいの本です。たくさんの素晴らしいアーティストが携わっています が、残念ながらここでは全ての人達を紹介できないので是非、本を買って確かめて下さい。"

ジョン・カース監督「Paperman」 & カルアーツ ラセターとアニメ作家たち - Togetter
 映像研究家 叶精二さんによるカリフォルニア芸術大学を巡るアニメ作家たちの系譜。グレン・キーンもこの人脈の中にいます。
Nathan Greno, Byron Howard, Jeff Kurtti, John Lasseter『The Art of Tangled』(Amazon)

・当Blog記事
 ■感想 バイロン・ハワード,ネイサン・グレノ監督『塔の上のラプンツェル:Tangled

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