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2013年4月28日 - 2013年5月4日

2013.05.03

■感想 R・A・ラファティ, 柳下毅一郎訳『第四の館 (未来の文学)』R.A. Lafferty "Fourth Mansions"

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R・A・ラファティ, 柳下毅一郎訳『第四の館 (未来の文学)』

"世界最高のSF作家ラファティによる『地球礁』『宇宙舟歌』に並ぶ
初期代表長篇にして最高傑作がついに登場!
さえない新聞記者フォーリーが出会う奇妙な陰謀の数々。
狂気とは何か? 人はいかにして神になるのか?
世界に牙を剥く衝撃のラファティ文学。"

 ラファティの1969年(55歳)刊行の第四長篇『第四の館』読了。
 長篇作品としては、1968年の『トマス・モアの大冒険ーパスト・マスター』、『地球礁』、『宇宙舟歌』に続く作品である。

訳者あとがき

"これはまぎれもない傑作だ。同時に、ラファティがただの「気のいいホラ吹きおじさん」ではないことを、はじめて本気で日本の読者につきつける小説かもしれない。"

 と柳下毅一郎氏が書かれている様に、今回、「気のいいホラ吹きおじさん」という雰囲気の作品ではない。そこが少し寂しいが、ノワール/サイコ味を増した黒い奇想のラファティもなかなかw(勿論、もともと黒いのですが…w)。
 その一つの要因としてラファティ得意のアンファンテリブルが出てこないのが、非常に印象的。ここは子供達に暴れて世界をひっくり返して欲しい、と思うところで子供が存在しないw。
 第七章で、主人公フレディ・フォーリーが知り合いの新聞記者メアリー・アンに、子どもから大人になったね、と言われるように「大人」の(老人でもない)小説となっている。ノワール/サイコ風味がスパイスとして黒い輝きを持っている。

 秘密結社である"脳波網を用いる収穫者"と"再帰者"の闘争を描いたミステリータッチの物語と、その後に続く"バグ"と呼ばれるワーウィット精神病院の不条理劇。特に前者が今までのラファティのイメージを拡張している部分で、より読者層を拡大できるリーダビリティを確保している。奇妙な展開も相変わらずなので、戸惑うかもしれないけれど、サスペンスSF系の読者にも間口は広がっている様に思う。
 脳波網による操作、人格の転移、正気と狂気の往還、不条理劇とサスペンスという点ではP.K.ディックファンにも御薦めできるかも。ただしその迷い込む迷宮の深さには目眩がするのだけれど、、、。
 ラファティの短篇に今ひとつ乗り切れなかった方も、これを期にいかがですか(^^;)。

 そして進化SFとなるラスト。
 今年刊行された『蛇の卵』にも通ずるテーマなのであるが、『蛇の卵』と比べると、今回奇想イメージの乱れ打ちな側面は薄れ(と言っても存分に発揮されてるけどw) 、世界が滅んでいく描写、人の体が別の意識によって取って代わられる不気味さといったところにフォーカスが当たっている様に思う。
 
 おそらく好みで大きく分かれると思うが、僕は『蛇の卵』の海を中心にしたイメージ喚起に奮えたので『蛇の卵』派(^^;)。
 進化SFという観点では後年(『蛇の卵』は1987年刊行)により熟成された高密度の奇想が楽しめると思うのだがいかがだろうか。(拙Blog 『蛇の卵』感想)

◆関連リンク
List of fictional books - Wikipedia, the free encyclopedia.

"Works invented by R. A. Lafferty
In Fourth Mansions:    
The Back Door of History by Arpad Arutinov
Broken Cisterns and Living Waters by Endymion Ellenbogen    
New Bestiary by Audifax O’Hanlon    
The Precursors by Dr. Jurgens    
Prose Poems by Maurice Craftmaster    
Second Trefoil Lectures by Michael Fountain    
Simplicitas by Orthcutt"

 第十二章「第四の館」冒頭に引用されている、エンディミオン・エレンボーゲンの詩「壊れた貯水池と生きている水 : Broken Cisterns and Living Waters」が素晴らしかったので調べてみたら、これはラファティの創作だったw。
 リンク先にいろんな作家作品の創作物の記載があるが、ラファティは本作で上記の様な創作物を作り上げているようだ(^^)。
Fourth Mansions - R. A. Lafferty - Google ブックス
 『第四の館』の原文の大部分がここで見られる。
CL-Fourth Mansions(サイト:とりあえずラファティ)

"まあ、邦訳のある長編(テーマ性の強い"パストマスター"はともかく、ラファティ節の炸裂する"イースターワインに到着"と"悪魔は死んだ")を読まれた方はおわかりだろうが、本作も基本的にストーリーを追って楽しむべき作品ではないのだ。たまたま、追うことが可能なストーリーがあるにしても。 brain-weavingのごとく四方八方から騙りかけてくる"

 らっぱ亭さんの『第四の館』ストーリー紹介とレビュー。
 詳細な粗筋を記されているのでストーリーの迷宮に陥ったら、こちらがとても参考になりますw。
Fourth Mansions by R.A. Lafferty - Reviews, Discussion, Bookclubs, Lists
 海外のレビューサイトの『第四の館』ページ。
R.A. Lafferty (Author of Nine Hundred Grandmothers)

"Fourth Mansions
3.9 of 5 stars 3.90 avg rating"

 このサイトのラファティ作品のレーティングリスト。
 長編小説として『第四の館』は、『Arrive at Easterwine:イースターワインに到着』『The Devil Is Dead:悪魔は死んだ』『Okla Hannali』に続く第四位。
Fourth Mansions lafferty - Google 画像検索

ラファティ - 当Blog関連記事 Google 検索

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2013.05.01

■感想 『スズキコージ 魔法絵本原画展』@多治見 こども陶器博物館

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多治見 こども陶器博物館 KIDS LAND

"春の企画展「スズキコージ 魔法絵本原画展」
2013.3/23(土)~5/19(日)
※GW(4/29~5/5)は休まず開館

パワフルでユーモアあふれる楽しいストーリーに、誰にも真似できないような色彩豊かで大胆な構図の絵。子どもから大人までをまるで魔法にかけるかのように魅了する絵本作家、スズキコージさんの、不思議で楽しい展覧会。"

 「スズキコージ 魔法絵本原画展」が近所のこども陶器博物館で開催されていると知り、さっそく行ってきた。
 絵本作家スズキコージ(当Blog関連記事)と言えば、僕がまず思い出すのは、シュールレアリスム絵本の傑作『やまのかいしゃ』(文:スズキコージ、絵:片山健)や天願大介監督の映画『世界で一番美しい夜』への絵師としての参加である。

 いずれも破天荒としかいい様のない世界を描いていて、特に後者の絵の世界は、シュヴァンクマイエルの実写と絵を混合したシュール映画に並ぶ域に達している。
 まさに「魔法」のような絵師、スズキコージの原画展に期待しない訳がない(^^;)。

 そして原画展の感想。
 まさにサイケデリックでシュール、圧巻の原画でした!
 展示作品は『さんざんまたせてごめんなさい』(93)『サルビルサ』(96)『かさぶたってどんなぶた』(07)『ガブリシ』(08)の原画数十点。
 スズキ氏独特の、幼児のプリミティブな原色の様な絵を、さらに強力にした様な作品群に感嘆。

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 特に展示会のポスターにも採用されている『ガブリシ』が素晴らしい。
 ポーランドの詩人ユリアン・トゥーヴィムの詩を元にコラージュ、クレヨンと水彩、鉛筆等で描いた絵画だけど、原色の"魔法的"想像力が爆発した様な絵が素晴らしい。
 キャラクタの形態、鮮烈で幻想的な色使い、貼られたロシア語のコラージュ、いずれをとっても"魔法的"な雰囲気を作るのに最大限の貢献をしていて、アヴァンギャルドな世界を作り上げている。

 初期の作品から、現在の作品まで。
 特に最近作はコラージュの多様もあり、チェコのシュールレアリストの異様な世界に勝るとも劣らない素敵な異界となっている。
 御近くのシュールレアリスムファンは是非!

スズキコージのビザールトーキョー 奇妙奇天烈東京展」@トムズボックス

"武蔵野市吉祥寺本町 13.5/1〜5/31。
麻薬的とも呪術的とも言えるインパクトある魅力に溢れた、新たなる迷作(?)の誕生"

 ちょうどこの5月にこんな展示も。
 東京の方はこちらをどうぞ。こちらもポスターから判断すると、とてもダイナミック!!

スズキコージ『スズキコージズキンの大魔法画集』

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 『スズキコージ 魔法絵本原画展』では図録が新たに用意されることはなかったようだが、この2007年にスズキ氏の故郷の静岡の、浜松市美術館佐野美術館で開催された「スズキコージズキンの大魔法画展」で出版された作品集が、ショップに用意されていた。

 これは、絵本の原画、絵画、立体造形からライブペインティングまで含めた絵師スズキコージの全貌にアプローチした素晴らしい作品集となっている。
 それにしても、アンテナの低さからこんな展示があったことも今、知った次第。
 『やまのかいしゃ』社員(ただのファンですが(^^;))としては、未だ原画を観たことのない片山健氏とともに、今後もその動向をキャッチして紹介したいものです。

◆関連リンク
スズキコージ公認ホームページ ZUKING
 造形作品含め、紹介されています。
スズキコージズキンの大魔法画展へ行きました。の画像 - nanasukeのブログ - Yahoo!ブログ

スズキ コージ『ガブリシ』

"コージズキン、待望の描き下ろし創作絵本! 年齢・国籍不詳の不思議な主人公・ガブリシが繰り広げる、おかしなおかしなお話。 とことんバカバカしくも、そこはかとなく崇高な温かみを感じさせるスズキコージの世界。 この『ガブリシ』はそんな作者のまさに本領発揮といった作品です。 麻薬的とも呪術的とも言えるインパクトある魅力に溢れた、新たなる迷作(?)の誕生です。
内容(「BOOK」データベースより) ユリアン・トゥーヴィムの「ガブリシ」の詩をもとに、作者なりにふくらめて料理しました"

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2013.04.29

■動画 アニメミライ2013 吉成曜監督『リトル ウィッチ アカデミア : Little witch academia』


公式 「リトルウィッチアカデミア」
  Little Witch Academia - YouTube

アニメミライ[ animemirai ]

"作画チーム

  • 担当制作:堤 尚子
  • キャラクターデザイン:吉成 曜
  • 作画監督:吉成 曜
  • 中堅原画:芳垣 祐介 / 堀 剛史 / 米山 舞
  • 若手原画:金子 雄人 / 坂本 勝 / 三宮 昌太 / 田頭 悠郎 / 半田 修平"

 現代の名アニメーターの一人である、吉成 曜が監督した26分の短篇アニメ全篇がYoutubeで観られる。
 魔法学校の魔女のたまご達の冒険を描いた作品。小品だが躍動感溢れる高密度の映像を見せてくれる。物語もコンパクトに纏めているが世界観の広がりがあり、なかなか楽しめる。
 アニメーションについては、息を飲む様な動きのシーンが多数あり、作画アニメとして充実度120%(^^)。
 初監督作にしてこれだけの作品、今後、長篇監督作等も期待したい。

 今回、アニメミライの企画ということで、上記の様に新人アニメーターが活躍されている。こういう動画を思う存分に動かせる、腕試しの機会があることは、素晴らしいと思う。

 ということで、YoutubeのPCの画面で物足りない皆さんは、この5月に以下のイベントとテレビ放映にて大画面で観られるチャンスがあるので、是非!

TRIGGER Inc. | News | 「リトルウィッチアカデミア」マチ★アソビにて上映!

"「リトルウィッチアカデミア」が徳島で行われる「マチ★アソビ」vol.10にて上映されます!
5月4日(土)11時半から上映開始、本編終了後には吉成監督の舞台挨拶が行われます。
その後、13時から「TRIGGER+アニメミライ」トークショー。 TRIGGERからは大塚雅彦、舛本和也と吉成監督が参加します。"

TRIGGER Inc. | News | 岡山の劇場にて「リトルウィッチアカデミア」が上映

"GW中に岡山のジョリー東宝にて「リトルウィッチアカデミア」を含むアニメミライ4作品が上映されます。
上映館:ジョリー東宝(岡山市)
期 間:5月4日(土)~5月17日(金)"

アニメミライ 2013 リトル ウィッチ アカデミア
 |ANIMAX アニメ見るならアニマックス

"放送スケジュール
2013/5/7(火)    朝6:00〜
2013/5/11(土)    深夜0:00〜"

◆関連リンク
trigger st - YouTube
 新しいアニメスタジオ TRIGGER : トリガーのYoutube頁。
 『リトル ウィッチ アカデミア』の予告動画等、いくつかの映像が楽しめる。
アニメミライ[ animemirai ]Blu-ray Disc

"価 格:\3,800(税込・予価)
備 考:Blu-ray Disc、約104分、B5版パンフレット付
1.通信販売  申込受付:2013年5月11日(土)0時ころ~17日(金)24時
申込みフォーム(※5月11日0時ころにURLをオープン)
購入案内:5月20日(月)昼ころ
支払期間:5月21日(火)~5月27日(月)15時
販売数量:100部"

 リンク先はアニメミライの公式HP。案内が明確に書いていないが作品のブルーレイディスク販売の案内のようであるが…よくわからないので、希望される方はよく御確認下さい。
「アニメスタイル003」情報/「特集 吉成曜」インタビューは2万4千文字! TV『エヴァ』最終回のペーパーアニメも: 編集長メモ

" 「アニメスタイル003」の「特集 吉成曜」は全26ページの大ボリューム(そのうち12ページが4色カラー)。インタビューは2万4千文字で、アニメーターになるまでの経緯から仕事につい ての考え方、監督作品『リトル ウィッチ アカデミア』のことまで、たっぷりとうかがいました。"

 BitingAngleさんに教えて頂きました
『アニメスタイル003』「特集 吉成曜」

・当Blog記事
 ■OTONARI KOBO:おとなり工房「手塚キャラ動かしてみました」
 吉成 曜氏が私的に作成したと言われる手塚キャラの魅力を存分に描き出した傑作映像(リンクあり)。

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