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2013年5月26日 - 2013年6月1日

2013.05.31

■感想 マンタム『鳥の王 ー Král o ptácích』& ■情報 「錬金術的世界の為のマテリアル」@三省堂書店神保町本店

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マンタム『鳥の王』(Amazon)

"☆マンタム氏本人が1点1点加工した銅プレート付き表紙
☆ヤン・シュヴァンクマイエル監督から贈られたメッセージ&鳥の王をプリントしたカード同梱
☆ブックデザインはミルキィ・イソベさん!
自作オブジェとそれに付けられたストーリーを題材にした初の作品本。

著者について
大阪出身。1975年に初の映像作品を制作。以降、劇団結成や映画の制作と上映演劇活動等を続けるが、あらゆる活動を一旦終了させ、84年頃より古道具屋修行に入る。古道具屋を営む一方、2010年秋、初の個展「錬金術師の憂鬱」を開催。芸術作家としての活動以外にも個展、企画展等の美術や空間構成等も手がける"

 通販で注文しておいたマンタム『鳥の王 - Král o ptácích』パラボリカ・ビス特別版が届いた。
 表紙に貼られたマンタムさんによる一点一点手作りの銅板の造形と、ミルキィ・イソベ氏の装丁がまず素晴らしい。

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 独特の装丁についてまず説明しよう。
 冒頭の写真にある様に本書は函入りで、本を取り出して頁を上下に開くと、片側がマンタム氏のオブジェの写真。そしてもう一方の頁が短篇「鳥の王」の小説になっており、全体80頁でひとつの物語が構成されている。
 この構成が独特の読書空間を形作っていて、あまり他では味わったことのない、芳醇な読書体験がもたらされている。

 鳥が飛べなくなった空と落ちた鳥達の死骸、僅かに残された同胞を未来に残すため生み出された鳥の王、そして声のない少年が奏でる鳥の声のする楽器…。(この楽器が冒頭の写真の右側に写っているギターオブジェ「鳥の王」である。その冥界から響く音を一度でいいので聴いてみたいものである)

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 一遍の詩のように紡ぎだされた文字が造形作品の写真と相まって、幻想的な空間を作る。未来の世界をうたった様にみえて、現在の日本に照射される要素も多分に含まれている。

 表紙の銅板の数字は、世界に残された鳥の数である「8643」。
 そして僕はその34番である。

 本書に付属するカードに、マンタム氏のファンでもある、チェコのシュルレアリスト ヤン・シュヴァンクマイエルの言葉が記載されている。

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"マンタム氏のオブジェを見ていると、「ミシンとコウモリ傘との、解剖台の上での邂逅のように美しい!」という、ロートレアモン伯爵が遺した名句から飛び出したような気がしてならない。
3013.3/20"

 名古屋のSipkaの個展の際に、マンタム氏と一度だけ話をさせて頂いたことがある。
 その際に印象的だったのは、シュヴァンクマイエルの作品について、マンタムさんの作品とは異なり物語は付随していないですね、と尋ねた僕に対して、シュルレアリスムと物語は相容れないものだ、という言葉。まさにシュルレアリスムの根幹に関わる言葉で僕の質問が全くの愚問だった訳ですが、、、。(その時の記事へのリンク)

 そのマンタム氏の作品に対して、ロートレアモン伯爵を引いてくる辺り、チェコのシュルレアリストの深い考察がある様に感じるのは僕だけだろうか。
 『鳥の王』の最終完成形をシュヴァンクマイエルが見られたかどうかは不明だけれど、一度、この物語も含めて、感想を訊いてみたいものだ。

◆鳥の王発売記念フェア「錬金術的世界の為のマテリアル」


Twitter / shobunsha(晶文社さん)

"【フェア情報】三省堂書店神保町本店で『鳥の王』刊行記念フェア始まりました!著者マンタムさんの作品や古道具などの取り扱いもあります。Y"

Twitter / mantamuさん

"とうとう始まってしまった三省堂書店神保町本店4階芸術コーナーエスカレーター前のマンタムブックフェア。本当にごめんなさいと言いたくなる怪しさなのですが既にお客様が食いついてました。今回の為に特別に製作した鳥の王… "

鳥の王が出版されます。|マンタムさんのブログ

"東京三省堂神保町本店では5月20日より4階芸術コーナーエスカレーター降り口横で 鳥の王発売記念フェアが開催されていて鳥の王本体が置いてあってそれ以 外にも作品が何点か置いてありブックフェアの為に作製した錬金術師の為の装飾品の新作や鳥の王発売記念プレート等が一緒に販売されています。 こんな三省堂今迄に見た事が無いと評判になりつつ在るので是非足を運んでみて下さい! 6月20日頃迄続けてもらえるとのことでした。"

 「錬金術的世界の為のマテリアル」、楽器「鳥の王」観に行きたいです(^^)!
 写真は晶文社さんのツィートから引用させていただきましたが(勝手にすみませんorz)、楽器オブジェ「鳥の王」をはじめ、独特のマンタム幻想空間が神保町に出現している訳で、激しく行ってみたいものです(^^)!!

◆関連リンク
ロートレアモン伯爵 - Wikipedia

"20世紀に入ってからは作品が書かれた言語圏であるところのフランスでも再評価が起こり、アンドレ・ブルトンやフィリップ・スーポーによって「マルドロールの歌」「ポエジー」が再発表され、特にシュルレアリスム文学に大きな影響を与えている"

・当Blog記事
 ■情報 マンタムさん 個展「 残骸に在るべき怪物 」@パラボリカ・ビス と 初作品集『鳥の王 - Král o ptácích』

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2013.05.29

■感想 ティム・バートン監督『フランケンウィニー 3D』"Frankenweenie"


Frankenweenie "Unleashed" Album Sampler | Official HD - YouTube

"The Frankenweenie Unleashed! track list follows:
01 "Strange Love" -- Karen O
14 "Praise Be New Holland" -- Winona Ryder"

 『フランケンウィニー 3D』をブルーレイで初見。
 以前の短篇も観ていたけれど、これはティム・バートンがリメイクするくらいに格別思い入れのある作品のようで、隅々までバートンらしく愛おしい映像に満ちた、とても心地いい映画でした。

 そして以前の短篇を観たうん十年前とは違い、当方、ペットを飼い初めて10年近く犬ものに弱くなっている(^^;)。

 特にスパンキーの仕草の数々、犬好きにとっては全てがツボ…(^^;)。バートンが子供時代に犬を飼っていたのは間違いないだろう。そしてその喪失にも遭遇していたはず。そんな気持ちが映像に籠っているのがとてもよくわかるエンパシーの映画w。
 特に裏庭のスパンキーとペルセポネとの恋のシーン。
 犬らしいボールを使った二匹の交流には、自分ちの犬の様々な仕草を想い出させてグッとくるw。

 そしてバートンが愛情をそそぐのは、もちろん犬だけではなく、主人公のビクター・フランケンシュタインはもとより、彼の同級生達のストレンジな様相もバートンの子供時代の想いの数々がこもっている様に観えて仕方がない。

 さらにまるでグレムリンのようなシーモンキーや、悪役面が抜群のネズミの化け物、そして犬とコウモリのキメラといった異形の生物達も悪役ではあるが、どこか愛しさが込められているので憎めないw。
 加えて! なんとバートン初の怪獣映画。

 この異形の生物達のオンパレードが立体映画で観られるだけで満足な感じがしてしまう(^^;)。物語の奇想自体は極一般的な流れでそれほどワクワクしないのだけれど、上に述べたバートンの近しい奇想な者達をデフォルメしたと思しきキャラクタ達への愛着のビジュアルが、パペットのストップモーションによるモノクロ3Dに見事にマッチして素晴らしい映像体験を与えてくれている。

 まさに幸福な映像世界(^^;)。
 これはプライムフォーカスによる2D-3D変換とのことだけれど(3D3D3D -ステレオ3D情報ブログ-さんより)、3Dの質感が素晴らしい。スパンキーの眼の周りの鉛筆の落書きのような模様とか立体で質感が愛おしく伝わってきます(^^;)。

 僕は実写のティム・バートンのギークなキャラ達は、あまりいつも好きではないのだけれど、これはとても良かった。映像の形態が抜群に合っているからかな〜。
 最後に、特にあのオランダ祭りの唄のシーンは最高だった。上の引用した動画の14番のウィノナ・ライダーの唄が良い。スリリングな展開と並行した悲哀な子供達のシーン、ああした世界の表出はバートンの真骨頂ですね。

◆関連リンク

ティム・バートン監督『フランケンウィニー 3Dスーパー・セット[Blu-ray]』

"<ボーナス・コンテンツ>
●新作短編:キャプテン・スパーキー対 空飛ぶ円盤
●ロンドンの制作現場を訪問
●ようこそ 『フランケンウィニー アート展』へ
●実写オリジナル版:フランケンウィニー
●ミュージックビデオ -♪ペット・セメタリー by プレイン・ホワイト・ティーズ"

Frankenweenie Short - Captain Sparky and the Flying Saucers - YouTube
 新作短篇の予告篇。
フランケンウィニー (2012年の映画) - Wikipedia.

"バートンはリメイクするにあたり、スパーキーのデザインを『Family Dog』の犬を参考にしている。"

Family Dog (TV series) - Wikipedia, the free encyclopedia
 ブラッド・バード監督のアニメ(1993)。ティム・バートンがプロデューサー。
フランケンウィニー (1984 短篇) Wikipedia

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2013.05.27

■感想 久保田弘実 作・構成、北村月香 絵『回転うさぎと電気ネズミ:Roll Rabbit and Electric Rat』&■情報 北村月香イラスト原画展

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『回転うさぎと電気ネズミ』(Amazon) 公式HP

"作・構成 久保田弘実、絵 北村月香、英訳 久保田奈津子
Picture book  Roll Rabbit and Electric Rat
writer Hiromi Kubota, illustrator Tukika Kitamura
Web,全国各書店にて初版販売開始!!
First edition started selling!

カーニバルがやってくる。小さな島の小さな子供たちはとても楽しみにしている。 回転ブランコに観覧車、屋台店、そして飛べない飛びウサギのメリーゴーランド・・・。
A carnival was about to arrive here. All children in the small island were looking forward to it. A rotary swing and ferries wheel, food stalls, a carousel of a Flying Rabbit that cannot fly.

かつて大空を舞い繁栄をしていた飛びうさぎの子孫・飛べない飛びうさぎのラパは、カエル団長率いる移動遊園地“ラナ・ワンダーランド”で働いていた。ある日のこと、ラパは毎日繰り返される回転木馬の木馬役という仕事に嫌気がさし、ラナ・ワンダーランドをとびだしていった。黄昏が惑う坂道をあてどもなく彷徨うラパ。その行く先には、バチバチと大きな音をたて稲光りする巨大な建造物がそびえ立っていた・・・。"

 飛べない「飛びうさぎ」を主人公にした不思議な世界の物語が開幕した。
 この物語は、このリンク先に書かれているように、うさぎが空を飛んでいた楽園の様な惑星を舞台にした一連の物語のうちの短篇のひとつということである。
 いまだ全貌はこの現世(^^)に現れてはいないが、うさぎの飛ぶ星というイメージ喚起力にとんだ設定に、いろんな幻想的なシーンが思い浮かんでくる。
 
 兎というのは、この世界では地上にへばり着き飛び跳ねるだけで、勿論、空は飛べない。しかしどこか異世界に空を飛ぶうさぎ達がいるとすると、この地球で跳ねる兎は、異世界のうさぎ達の解放的な気持ちに呼応して、空を飛びたいと願いながら跳ねているのかもしれない。
 そして兎達のそんな儚い願いの堆積が衛星の月に模様としていつか浮かび上がってきたのかも…w。
 
 そんな空想をしながら空気の澄んだ五月の夜空を眺めると、久保田弘実さんと北村月香さんの幻想世界が地球に滲み出して来るように、月明かりの世界がこの絵本の様に、白くてブラウンな淡い色合いに見えてくるから不思議だ。

 五月の月明かりにとても呼応する、淡いどこか儚げな夢の様な幻想世界が心地いい一冊である。

 シリーズとして予定されているという、本篇である長篇作『月の風船とシャボン玉の星々』でどんな物語が広がっていくか、とても楽しみ。うちの家人たちもリビングに置いてあった本書を読み、とても可愛いと喜んでいる。
 
 今回自費出版とのことであるが、子供達にも広く読まれる本だと思う。どこかの出版社で刊行され、学校を初めとする、多くの図書館に置かれるといいなぁと思います。

Photo

「回転うさぎと電気ネズミ」出版記念/北村月香イラスト原画展

"2013/05/17~07/16
「回転うさぎと電気ネズミ」出版記念として北村月香イラスト原画展を開催しています。 2013年1月・市川駅南口図書館・えきなんギャラリー展示の為に書き下ろされたイラスト原画作品「Precious Memories」を展示しています。
場所 : 長野県飯田市知久町2-1 メトロギャラリー"

 メトロギャラリー飯田ブログ : 北村月香イラスト原画展 「Precious Memories」
 本書にちなんだ個展が開催されている様です。
 絵本のイメージからさらに広がった、右の様なイメージの絵も展示されているとのことで、本書でファンになった方には、朗報です。

◆関連リンク
北村月香作品展
 こちらは2010年にメトロギャラリーで開催された個展「新鳥獣戯画幻想譚」。いくつかこちらで北村月香さんの作品が拝見できます。

"『彼女の絵画はとても可愛らしい・・・しかし可愛らしい反面、なぜか寂しげに、何処か遠く(太陽と月の光が同時に霞んでゆくような白い世界)を見つめています。  それは彼女自身の「私は1人でも生きていけるのよ!」とでも言いたげな、心の信念(Faith)ではないかと想像する。それこそ彼女の画が、ただの可愛さだけには留まらない本質であり、素晴らしさであると私は思う。 metro"

メトロギャラリー飯田・Metro Gallery: 飛騨絵本美術館にて絵本原画特別企画展・開催!「回転うさぎと電気ネズミ-Roll Rabbit and Electric Rat-」

"今回の展示「回転うさぎと電気ネズミ」は、大空を舞っていた飛びうさぎの子孫、飛べない飛びうさぎビビと迷いの影に片目を奪われた一本眼のマイマイ・メメをメインとした 長編「月の風船とシャボン玉の星々」を制作していたところ、飛騨絵本美術館さんから展示依頼のお話しがあり、長編と同じく飛べない飛びうさぎを主人公に急遽、制作した短編です。 飛びうさぎが空中を舞い平和に暮らしていた楽園が、星の静止によって滅ぶ第一次世代。 再び星が回転を始め、滅んだ種の魂の実体“迷いの影”が跋扈する超大陸を舞台にした本編「月の風船とシャボン玉の星々」は第二次世代。 今回展示の「回転うさぎと電気ネズミ」は“迷いの影”の実体が長い年月を得て浄化され、静止によって分離した人間世界と少しずつリンクを始める第三次世代にあたります。"

中日新聞:元飯田東中の同級生2人、絵本を共同制作:長野(CHUNICHI Web)
 中日新聞でも取り上げられたとのことです。

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