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2013年10月13日 - 2013年10月19日

2013.10.16

■感想 原恵一監督『はじまりのみち』とトークショー

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アーラ映画祭

"公演日時:2013年10月11日(金曜日)~2013年10月14日(月曜日)"

 残念ながら見逃していた原恵一監督の最新作にして初実写映画『はじまりのみち』を映画祭で観た。同時に開催されたトークショーも参加してきたので、その感想。

 もともとこのアーラ映画祭は、映画館のない町での映画祭で、どちらかというと普段観られない映画を市の文化センターで上映するという性格のもの。
 その年話題になった映画の上映会の色合いが強いのだけれど、毎年上映作品の監督がトークショーで参加される。
 そして今年は『はじまりのみち』と原監督、そして『この空の花 ―長岡花火物語』と大林宣彦監督のトークショーが開催される。

 近所のイベントでこの映画と御二人の監督の話を聴けるのは千歳一遇のチャンスなので参加しました。こんな貴重な機会を作って頂いたスタッフの方々にまずは感謝です(^^)。

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原恵一監督『はじまりのみち』公式HP

 冒頭の木下惠介監督のフィルム(『花咲く港』と『陸軍』)が終わると、主人公を映したカット。
 いきなりその映像が、原恵一監督の過去のアニメーション作品の映像を彷彿とさせるレイアウトと人物の演技なのに驚く。まさにあの絵コンテ通りの映像がそこに。(ただし下記関連リンクにある絵コンテのことを書いた記事を読むと、今回コンテが描かれたシーンはごく一部であるらしい)
 初実写作品ということだけれど、紛れもない原映像にまずは自然に浸っていけるw。

 原監督の他の作品のように、会話でなく登場人物の佇まいで、映像に独特の雰囲気がたたえられる。静かなトーンとすがすがしい風が画面に吹いている様な、ファンにはそう書けばきっと分かって頂ける、あの映像空間は実写でも健全である。

 物語は病気で寝込んでいる母親を連れた疎開の道中というシンプルなものなのだけれど、木下惠介とその兄、そして荷物運びの便利屋という組み合せが、絶妙の笑いと暖かい空気を連れてくる筋運びが飽きさせずに、原ワールドを堪能させてくれる。
 そして積み上げた物語のディテイルがあるシーンで、観客の涙腺を直撃する。
 この積み上げ方の丁寧さと、意識していないのに、観客の無意識レベルをじわっと浸食する原監督の演出にグッと来ます。

◆トークショーとシネマカフェ(ホワイエでの質疑応答)

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 会場は、原恵一監督と若者から高齢世代含めた、さながら木下惠介ファン同好会。というくらい木下ファンが集まり、暖かい雰囲気の中で、和やかな木下惠介アワーとなっていた。
 僕は、木下監督というと恥ずかしながら『二十四の瞳』しか観たことがなく完全アウェイなのだけれど、それでも原作品から感じた木下作品リスペクトがとても心地よく、皆さんのやりとりから木下作品、ああもあろう、こうもあろうと脳内映画を楽しみ、良い時間を過ごさせて頂いた。

 原監督は想像した通り、朴訥とした語り口で地に足の着いた演出家という感じの方で、今後の作品がさらに楽しみになる印象となりました。

 今回の映画は、山田太一氏が原をこの映画の脚本家として推奨したことから始まったと何かに書いてあったが、山田ファンでもある僕としては、同じ木下惠介つながりで山田脚本での原恵一監督作品、というのもいつの日か観られたらいいなぁ〜と思うのでした。

 と、その前に木下惠介作品を観ないとw。
 特にこの映画で紹介されていた『カルメン故郷に帰る』の素晴らしい色彩、『楢山節考』の舞台効果を取り入れた様な斬新な演出は、一度是非観てみたいと思わせるものでした。

◆関連リンク
原恵一監督による「はじまりのみち」の貴重な絵コンテ公開! : 映画ニュース - 映画.com

"今作の撮影では、基本的に絵コンテを 使用しなかったという原監督が、「カット数を知りたい」というスタッフの要望を受けて用意した貴重な一枚だ。

今回お披露目となった絵コンテは、木下監督の名作「二十四の瞳」(1954)をモチーフにした場面を描いている。木下監督の故郷である静岡・浜松の春野町
にある気田川の土手で撮影が敢行され、加瀬演じる惠介が、土手から宮崎あおい扮する先生と12人の子どもたちを見つめている。絵コンテには、カメラがとら
える構図とともにキャストの動きが記され、作品づくりの一端を垣間見ることができる。"

 このリンク先に河原の女先生と子ども達のシーンの絵コンテが掲載されている。
 いつもの原コンテの絵が嬉しい。

原恵一監督『はじまりのみち』 12/5発売!

■レビューでも高い評価! Yahoo!映画レビュー 4.2点を獲得! (2013年8月時点)、ライムスター宇多丸が100点と大絶賛! ! (TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」6/22放送)

■各界の著名人から絶賛の声!
「亡き映画作家の輝きを、静かに見事に語った原恵一さんの傑作です」 山田太一(脚本家)

「息子からお母さんへの、感謝、後悔、言い訳・・・。伝えきれないほどの想いがが溢れた、胸にじんわり染み入る傑作だと思います。」 細田守(アニメーション映画監督)

<3,000個 初回限定特典>
◆特製解説ブックレット(48P以上予定)
・イントロダクション
・原恵一オリジナルプロット
・撮影日誌
・原恵一監督が撮影の為に描いた30枚余りの絵コンテを完全収録

◆「はじまりのみち」特典映像(約50分)
原恵一監督の初実写挑戦を原監督、キャストインタビュー、メイキング、イベント映像をふんだんに盛り込んで「はじまりのみち」の全貌を捉える。"

・当Blog関連記事
 浜野 保樹編『アニメーション監督 原恵一』
 感想 原恵一監督『カラフル』
 原恵一作『クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』 山崎貴監督で実写化
 原恵一監督『河童のクゥと夏休み』&『クゥの映画缶』

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2013.10.14

■感想 『塔の上のラプンツェル』アートブックから考える日米アニメの差異と3D-CGアニメの今後w "The Art of Tangled"

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Nathan Greno, Byron Howard, Jeff Kurtti, John Lasseter『The Art of Tangled』

"A lighthearted twist on Rapunzel, the beloved fairy tale from the Brothers Grimm, Tangled brims with thrilling adventure, a distinctive cast of characters, a daring heroine, and, of course, seventy feet of golden hair. Featuring the stunning concept art behind the newest Disney masterpiece, The Art of Tangled also includes a preface by John Lasseter, a foreword by Directors Nathan Greno and Byron Howard, and interviews with the artists, animators, and production teamincluding Art Director David Goetzthat shed light on the history and artistry of this landmark film."

 最近ディズニー映画に凝りはじめた娘が、親に内緒でこんな素敵な本を買っていたので、借りて読んで/眺めてみました(^^;)。3D-CGアニメでありながら、グレン・キーン他手描きアニメーターの貢献が素晴らしいことがこの本で良くわかるので、とりあげてみます。

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 CGの映像を思い出しながら、このグレン・キーンの手になる鉛筆画を観て欲しい。CGによる三次元の立体映像のイメージと、このデッサンの見事なまでの近似。グレン・キーンの素晴らしいフォルムをベースに、映画の3D-CGが作られていることがとてもよくわかる。

BP@究極映像研(@butfilp)/2013年02月02日 - Twilog

"叶 精二さん@seijikanoh グレン・キーン作品集 http://ceron.jp/url/www.nicovieo.jp/watch/sm10161022…
キーンは「ポカホンタス」(95年)作監の後、40代で彫刻と解剖学を修得すべくパリの美術学校に入学。「ターザン」(99年)はバリのディズニー・フランスで作画。留学の成果が遺憾なく発揮された動物的肉体の躍動。頂点的作品。"

 人体の骨格を解剖学的に探求したグレン・キーンのこのデッサン画により、3D-CGアニメーターはフリン・ライダーのCGモデルを作成したのだろう。
 映像の元になるCGモデルがそのようにしてグレン・キーンのアニメートの骨格を取り込み、そしてその動きやルックを、このデッサン画が誘導して、あの素晴らしい立体CGアニメーション映像が作られたのだろうと推測できる。

◆アメリカのCGアニメの成り立ち

 ディズニーのCGアニメーションの隆盛は、もともと人物の解剖学的な側面に着目していた伝統的なアニメーションの手法が、まさに解剖学を反映した構造を持つ3D-CGモデルに見事に融合して可能となったのかもしれない。CGモデルって現実の解剖学的骨格を想定しないと動かせないですよねw。

 ここは、まさに高畑勲が指摘している日本のアニメの2D的な成り立ちと、大きく袂を分かつ部分なのかもしれない(日本のアニメがなかなか3D-CGへ流れない根本原因)。
 美術やデザインの世界でよく言われている様に、西欧は物を立体で把握しているのに対して、日本は二次元的な歴史的美術の流れがある様に思う。もともとの源流はそんなところにあるのかもしれない。

◆そして日本のアニメと3D-CGの関係

 こうした民族的な歴史による束縛がどのように現代のアーティストの感覚を縛るのか良くわからない部分もあるけれど、日本のアニメの将来を考える時に、3D-CGの利用に際して、どこか感覚的に日本人に呪縛が潜んでいるかもしれないことを念頭に置くことが必要かもしれない(^^;)。
 セルアニメで西欧を凌駕して世界に広がった日本文化としてのアニメーション。
 この隆盛を今後も続けて行こうとした時に、3D-CGへの移行/もしくは併用をどう実現して行くのか。(今のところの日本アニメ業界のベクトルは、その呪縛故か、セルルックの3D-CGというところに辿り着こうとしている様に見えるが…。)

 ピクサー等に水をあけられた感のある現在、本格的なそうした成り立ちの違いに着目することも重要なのかもしれない。(ことは宮崎駿がアナログ/デジタルの二分法で「デジタル嫌い」と言っているのとは大きく違うと思うのだ。道具による抵抗感はあくまでも使い方に馴れるかどうかの馴れだけの問題であって、使いこなした上でそれを作品の質レベルでどう活かせるかは、まさに我々に流れる血の問題であるかもしれないのだw)

 この文脈で今後も少し考えたり調べたりできたらいいな、と思っている。
 アニメだけでなく、特撮→3D-CGでも似た様な課題があるように思うのだけれど、どうだろうか…。

◆関連リンク
Ceron.jp - グレン・キーン作品集 ‐ ニコニコ動画:Q
グレン・キーン - Wikipedia
 グレン・キーンの仕事は、『美女と野獣』『リトルマーメイド』『アラジン』『ターザン』というところ。
レビュー: The Art of Tangled | Parka Blogs

"キャラクターアーティストのJin Kim, Claire Keane, Bill Schwabはとても表現豊かにキャラクターを描いていると思います。しかし、ほとんどは伝説と言っても良いほど有名なアニメーターGlen Keane(美女と野獣やターザン)によるもので、彼は生きているような動きがある魅力的なスケッチを描いています…。

映画の中の街並みや、お城は見たことがあるような感じがすると思いますが、背景デザインはシンデレラ、ピノキオ、眠れる森 の美女からきています。いくつかのペインティングも同じくこれらの作品からのものです。アーティストインタビューでは、2Dから3Dに移行する際の彼らの挑戦が語られています。

この本はアーティスト、アニメーター、アート好きの人にはもってこいの本です。たくさんの素晴らしいアーティストが携わっています が、残念ながらここでは全ての人達を紹介できないので是非、本を買って確かめて下さい。"

ジョン・カース監督「Paperman」 & カルアーツ ラセターとアニメ作家たち - Togetter
 映像研究家 叶精二さんによるカリフォルニア芸術大学を巡るアニメ作家たちの系譜。グレン・キーンもこの人脈の中にいます。
Nathan Greno, Byron Howard, Jeff Kurtti, John Lasseter『The Art of Tangled』(Amazon)

・当Blog記事
 ■感想 バイロン・ハワード,ネイサン・グレノ監督『塔の上のラプンツェル:Tangled

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