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2013年10月20日 - 2013年10月26日

2013.10.23

■感想 大林宣彦監督『この空の花 ―長岡花火物語』とトークショー


予告篇
(Youtube)
映画『この空の花 ―長岡花火物語』(公式HP)

"まだ、戦争には間に合いますか。"

 導入部からの疾走。言葉と映像の畳み掛ける様な情報のシャワーに圧倒される。
 ドキュメンタリーに劇映画を上書きし、そして戦争に関する様々な情報を高密度で映像にアーカイブ。
 どこにもない"戦争と復興"の素晴らしい映画が眼前に展開された。

 そして現代を起点に戦時中を描いた映画の画面に、予告篇にも使われている冒頭引用のコピーがかぶり、現実世界へと投影される。この映画でアーカイブされ、メッセージとして強く観客の無意識の胸を撃つこのコピーは、まさに今、噛み締めなければいけない言葉なのでしょう。

 川に設えた舞台を会場に描かれた芝居シーンが、通常の映画に演劇の想像力を誘発し、そこには存在しない戦争世界を観客の中に生々しく存在させている。それはCGや特撮でリアルに戦争シーンが描かれるのと別の、舞台装置として描かれる戦争の焼夷弾の抽象化された光がリアルな爆発よりも鮮烈に心に炸裂するようなイメージ。

 画面に映る映像にアーカイブされた長岡と南相馬の過去の戦争と今の復興の現実。それが眼と耳を通して観客に注ぎ込まれ、そして観客のそうした想像力のフィルターを通して解凍され、人の心の中に拡張されて展開された時、意識を超えた部分で、観客の体と頭に味わったことのない感覚が生起される。

 その生起されたものは、ひとそれぞれ大きな幅があると思うけれど、この映画で述べられている戦争に関係した人々が後に世の子ども達に切実に伝えたいと思った何ものかである。この不思議な体験したことのない感覚は、この劇場でしか公開されない映画を観て体感するしかないのである。(多くの人に語り継ぐべきイメージなので、僕はできればDVD等での発売を切望しますが、、、。)

 映画の終劇後、会場には大きな拍手がわき起こった。

◆トークショー

2

 実は上の様な感想を覚えた映画鑑賞後、トークショーはもう参加するのをやめようか、と思った。映画で伝わった膨大な想いをそのまま持ち帰った方がこの映画にとって良いのではないか、と思ったのだ。

 だけれど参加したトークショーとその後のホワイエでのシネマカフェと名付けられた質疑応答会は、大林監督のひととなりがダイレクトに伝わり、直接語られた映画完成までのエピソードが、映画にさらに奥行きを与えてくれ、結果として参加したことは大正解(^^;)。

Photo

 いくつかエピソードを紹介。
・311でもう劇映画やドキュメンタリーは作れないと感じた。だがエッセイや日記なら書ける。これは映像で描いた自分が経験した長岡のことを描いたエッセイ(徒然草、見聞録)である。
・2009年にはじめて観た長岡の花火、何も経緯は知らなかったが、白いだけの花火で初めて涙が出た。花火の光と光の間の昏い闇を観て涙が出た。「この花火にはこころが観えるんじゃないか」と妻と語った。
・戦後、軍隊のない国としてアメリカに助けられ、アメリカを追従することで特異な国となった日本。大江健三郎の言う『あいまいな国 日本』
・長岡、戊辰戦争での敗戦の経験。戦後、士族が率先して庶民学校を進めた風土。
・写実でなく、風化しない子どもの様な感覚で描く"シネマゲルニカ"。不思議で楽しく、一所懸命に考えさせてくれるもの。
・小学四年生の子どもがこの映画を観て、父親に「お父さん、僕は、今生きているの? あのお姉ちゃんは生きているの?」と聞いた。父親「あのお姉ちゃんは君が生きていて欲しいと思えば、ずっと生きているよ」。「わかった、僕、いっしょに生きていくよ」
・敗戦の日は日本では8/15だが、世界的にはミズリーで降伏式に調印した9/1(日本時間9/2)。そして北海道は戦争が続いていたので、敗戦の日は9/5。次回作『野のなななのか』との2本立てで日本の敗戦の実態がわかるようになると思っている。
・3月の末にホノルルでこの映画を上映した。石が飛んできたら受け止めよう、と思っていた。そうしたら真珠湾で家族を亡くしたおばあさんが近寄ってきてくれて、「未来の日本人とアメリカ人のためにこの映画を作ってくれた。サンキュー。私のサンキューベリーマッチは私の勇気です」と言ってくれた。
・映画の主人公 天草の地方紙記者 遠藤玲子は、最初の脚本では、自分の子どもをおろして片山健一と別れたことになっていた。しかし長崎出身の原田知世から、被曝二世である設定の玲子は、母親としてなら生むはずだ、と言われてストーリーを変えた。
・敗戦時、日本は蹂躙されると思って、母親と短刀を前に覚悟していた。そうしたら進駐軍はチョコレートをくれる優しい人たちだった。
・(映画のアナログからデジタル化について聞かれ)映画は科学文明のもとにある芸術。トーキーの時もこれで映画は滅びると言われた。フィルムそのもののことはやれないが、デジタルでしか出来ないことをやればいい。
・今回、花火はデジタルカメラ6台を何十時間も回して撮った。そしてフィルム合成ではとんでもないことになるところをPC一台で合成した。映画の制作費はフィルムなら20億円はかかっただろう。それが1/10以下でできた。今、自分はペースメーカーで生きているが、映画はデジタルで生きている。

 上の写真はシネマカフェの様子、監督のお隣は、地元ラジオに出演している涼夏さんという方。この時は参加者30人程でとてもアットホームな感じでした。

◆関連リンク
パンプキン爆弾 - Wikipedia

" パンプキン爆弾(パンプキンばくだん、かぼちゃ爆弾、Pumpkin bomb)とは第二次世界大戦中にアメリカ軍が開発、使用した爆弾である。1945年8月9日に長崎に投下された原子爆弾(原爆)「ファットマン」の模擬爆弾として知られる。単に「パンプキン」と呼称される場合も多い。
 30都市に50発(うち1発は任務放棄し爆弾は海上投棄された)ほどが投下され、全体で死者400名・負傷者1200名を超す被害が出た記録が残っている"

 長岡に落とされた模擬原爆に関する情報。
アーラ映画祭2013 報告その2 大林監督来場|Blog "涼夏のまだまだやりたいこといっぱいある。"
 司会をされた涼夏さんのBlog記事。トークショーとシネマカフェの大林監督コメントがコンパクトにまとめられています。
▶ ザ・シネマハスラー 「この空の花-長岡花火物語」 オススメです! - YouTube
ザ・シネマハスラー 大林宣彦監督インタビュー ‐ ニコニコ動画:GINZA

"「この空の花 長岡花火物語」含め、監督特有の映画理論が語られています。特に「表現は自由で、自分が自分であることと同時に、チャーミングな常識人であれ。」という言葉に胸をうたれました。細田守監督の「時をかける少女」ファンにもオススメです。"

「野のなななのか」製作委員会日誌(Blog)
ホーム - 野のなななのか製作委員会(公式HP)

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2013.10.21

■情報 『バラード ― 深井克美と人間像の画家たち 』展 @ 北海道立近代美術館

Horz

『バラード ― 深井克美と人間像の画家たち 』展 @ 北海道立近代美術館.

"2013.10.1(火)―11.24(日)
Human Images by Katsumi Fukai and Other Figurative Painters 会期中休館日 Closed: 10/7, 15, 21, 28, 11/11, 18
 深井克美は1948(昭和23)年に函館で生まれ、幼くして父を亡くし、母の下で東京で育ちました。生来病気がちで小学校を1年遅れで卒業し、中学校も病院内分教室で学んだ時期がありました。こうしたなかで美術に関心を持つようになり、自由美術展で西八郎の作品に感銘を受け、同氏に師事。また、一時期は武蔵野美術学園などにも通っています。やがて自由美術展を主な舞台に作品を発表するようになります。細かなタッチと寒色を主とした色彩により、内面の叫びが聞こえてくるような人物像や、分裂・融合する身体、あるいは荒涼とした光景を描き、青春の苦悩と悲しみのなかに美しさを秘めた、独自の画風を確立しました。30歳の若さで自ら命を絶った深井克美の作品は、死後、遺作展や回顧展、文章を通じて脚光を浴び、熱烈なファンを生んでいます。彼の作品に見られる、人生への不安と懊悩、孤独、絶望、そのなかにある希望は、人間の、ことに若者の普遍的なテーマと言えるでしょう。 今回の「これくしょん・ぎゃらりい」は、深井克美の初期から最晩年までを、当館では久しぶりにまとまった形で展示する企画です。また、同時に、人間像をテーマとする具象の画家たちの作品も取り上げ、悩み、苦しみながらもなお進んでいくその姿をご紹介します。"

 ジャスミンさんのコメントで素晴らしい展示会のことを教えて頂いたので、記事でも御紹介します。
 北海道が生んだ日本でも有数の幻想画家、深井克美の絵画展が大規模に開催される。深井の作品は、その多くを北海道立近代美術館が収蔵しているということなので、貴重な機会である。

展示作品リスト(PDFへのリンク)
 このリストに寄ると、深井克美の51作品と人間像をテーマとする具象の12人の画家の各1作、全12作品を展示しているとのこと。
 以前、記事にした美術書『深井克美―未完のランナー』に掲載されていた47作に、さらに数点追加した本格的な絵画展になっていると思われる。

 ずっと観てみたいと思っていた深井克美さんの奥深い絵を観られる貴重な機会。
 北海道は遠いけれども、こんな機会はなかなかないと思うので、何とか行ってみたいものです。北海道出張が11月末までにあるといいのだけれど、、、(^^;;)。

◆関連リンク
バラード ――深井克美と人間像の画家たち
 チラシはこちらからダウンロードできます。
シリウス通信:★「バラード―深井克美と人間像の画家たち」@札幌

・当Blog記事 ■柴 勤 著 『深井克美―未完のランナー』 : Katsumi Fukai

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