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2014年4月

2014.04.30

■レポート ヤノベケンジ『ウルトラ・サン・チャイルド:ULTRA SUN CHILD』@ ZENT 名古屋市北区

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YANOBE KENJI ART WORKS /// ヤノベケンジ アートワークス

"【Topic: Ultra Sun Child】 2014年4月25日にグランドオープンした「Zent名古屋北店」に《ウルトラ・サン・チャイルド》の全身像が立ち上がった。

 「Zent名古屋北店」は、日本最大級のパチンコ遊技場としてだけではなく、「ZENT ART MUSEUM」も有するアミューズメント総合施設である。お披露目展にはビートたけし氏とヤノベ作品が並び、託児所の壁面もヤノベ絵本「トらやんの世界 ラッキードラゴンのおはなし」のストーリーとキャラクターのデザインで統一されている"

ZENT名古屋北店 公式HP。

"ゼント・アート・ミュージアム(ZENT ART MUSEUM)
住所:名古屋市北区中切町5丁目5番地 (国道41号線新川中橋(庄内川)手前左側)"

ULTRA FACTORY 公式HP

" 「ゼント・アート・ミュージアム」にはヤノベケンジが「あいちトリエンナーレ201­3」で発表して好評を博した《ウルトラ・サン・チャイルド》の全長約 6mの立像を未来­の子供のための希望のシンボルとして恒久設置致します。「あいちトリエンナーレ201­3」では、胸像として展示されていたため、全身 像は今回初披露となります"

 

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 高さ620×幅444×奥行263cmのステンレススティール,FRP製の立体彫刻。
 この作品は、あいちトリエンナーレで上半身が展示されていたものの、全身像化である。

 上の写真で「ウルトラ・サン・チャイルド」が金色に見えるのは、HDR写真であるためです。
 実物は下の画像の様にステンレススティール製で銀色。
 表面はステンレスの薄い板を多数リベットで固定したもの。像の足元にあった説明書きによると、内部はFRP製ということのようです。もとの「サン・チャイルド」は表面もFRPということだったので、その外殻にステンレス板を貼付けた様な構造なのかも知れません。

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 これは「ジャイアントトらやん」と近い構造と考えられます(「ジャイアントトらやん」は内部が発泡スチロール、表面が確かアルミ)。今回は屋外展示ということで防錆対策としてステンレスが使われているのかもしれない)。

 表面がFRP製の「サン・チャイルド」に比べると、複数のステンレス板で構成された体がダイナミックに削られた彫刻のようにも見えて、こちらの方が作家によって引用元と語られているミケランジェロの「ダビデ像」に近いイメージを獲得している。

 特に背面。下半身のダイナミックなステンレス板の平面で構成された造形が素晴らしく魅力的である。光の当たり方で面がその表情を変えて行く。自分が回り込んであちこち眼を走らせるとその荒削りなダイナミズムが立体としてどーんと実感できる。
 できるものなら、このダイナミックな造形を肉眼で御覧ください。
 この背面は、まさにそこに6mの金属体が現出し、まるで今にも動き出す様な肉感的wなイメージに溢れている。この表現はきっと粘土や石では表せられない、金属造形のみが持ち得る感覚であると思う。
 

ヤノベケンジ『ウルトラ・サン・チャイルド』@ ZENT 名古屋市北区 - YouTube
 稚拙ながら僕の作成した動画です。
 その金属のダイナミズムが充分に捉えられていないのが、残念。
 帰ってきて動画を観て、背面のボリュウム感を写していないことに反省w。

 またYouTubeで選んだ曲がアンニュイで、前向きな「サン・チャイルド」のコンセプトと合ってませんが御容赦下さい(^^;)。

 最後にこのアミューズメント施設について。
 メインは巨大なパチンコ店。そして食事施設やコンビニに併設されてアートミュージアムスペースである「ZENT ART MUSEUM」がある。ここのレポートは後日、別記事とします。
 パチンコ店内も見てきたのだけれど「パチンコ1206台 / スロット894台」の広大なホール。そして中に入るとこの2100台の機械の音がホール内で反響して爆音のレベル。ごんごんがんがん凄まじい音で、ここで長時間遊ぶのは耳に相当ストレスでしょう。そして残念ながらアートな景品はなかったので、パチンコはしませんでしたww。ZENTさん、ごめんなさいw。ヤノベグッズが景品になっていたら、どうしようかと思っていたのだけれど、、、。

◆関連リンク
コレクション展 I  透過と反射(金沢21世紀美術館

"2014年4月12日(土) - 2014年9月21日(日)
タンキング・マシーン体験&アーティスト・トーク     日時:2014年8月9日(土)     タンキング・マシーン体験:13:00 / 13:30 / 14:00 / 15:00 / 15:30 / 16:00( 計6回)     ヤノベケンジ アーティスト・トーク:17:00〜18:30"

 「タンキングマシーン」の展示があるようです。そして体験できる!

・当Blog記事
 ■レポート ヤノベケンジ「サン・チャイルド」「太陽の結婚式」@あいちトリエンナーレ2013

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2014.04.23

■感想 クリスティーナ・ブオジーテ監督『ナイトメアは欲情する』or『消滅する波 or オーロラ : VANISHING WAVES / AURORA』

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Vanishing Waves | Artsploitation Films
 リトアニアのSF映画 クリスティーナ・ブオジーテ監督「VANISHING WAVES/AURORA」をDVDで観た。

ナイトメアは欲情する - TOWER RECORDS ONLINE

"WOWOW番組『今宵は映画タイトル会議』にて、いとうせいこう氏、みうらじゅん氏、町山智浩氏が、一般公募タイトルから本作の邦題を決定!さらに本作ジャケットや予告編に3人が登場&ロゴの題字はみうらじゅん氏!!
「本気でやって、本気でつけた邦題です」いとうせいこう
「深刻な話なんだけど、裸で頭がいっぱいになっちゃった」みうらじゅん
「じぇじぇじぇ!これはデヴィッド・リンチを彷彿とさせる怪映画!」町山智浩"

 引用した、町山氏の推薦文と日本語DVDジャケットに惹かれて観たのだけれどw、ずいぶんと邦題とイメージの違う静かな映画だった。

 リンチを彷彿とさせるかどうかは意見が分かれる所なのだけれど、人間の意識の映像化、特に最初のダイブといくつか現れる幻想的なイメージが端正な映像でとても良かった。(どちらかというと、ラース・フォン・トリアーの影響を強く受けているように思える。)


AURORA anonsas 海外版 予告篇

『ナイトメアは欲情する』日本語版 予告篇

※若干ネタバレありです。白紙で観たい方は御注意下さい。

 後半はありがちな展開で、喚起されるイメージも俗っぽくなっていくのだけれど、前半観るだけでも価値がありますw。若干、刺激的なシーンもあるけれど、全体は女性監督らしい(?)身体感覚に溢れた映画で、なかなか繊細で貴重なSF映画になっています。
 
 素晴らしかったのは、脳内世界の映像として描かれた3つのシーン。
 細樹細工を積み上げた建物。不思議な昆虫の生態。そして奇妙な太陽。
 こうしたイメージを全開にしたこの監督の異世界SF作品も観たいものです。

 タイトルは原題から、『消滅する波 / オーロラ』が良いかな、と。
 字幕はアウロラ表記だったけれど、日本語的にはこの方が、、、。ローマ神話の「あけぼのの女神」、その消失っていうメタファーは込められているように思うので。

 冒頭に引用した画像は、左からリトアニア版、西欧版、そして日本のポスターとDVDジャケット。やはり左二枚がいいですね。映画の中の幻想的なシーンをうまく使ってますね。

◆関連リンク
Kristina Buozyte - IMDb
 この作品の前に二作監督作があり、今年3月に新作が公開されたようです。
kristina buozyte - Google 画像検索
 クリスティーナ・ブオジーテ監督、なかなか御美しい方ですね。
Facebookページもありますね。
 好きな本はダン・シモンズ『ハイペリオン』!
キャルU.K.氏によるAmazonレビュー
 ネットで最も詳しい日本語レビューになっています。このリトアニア映画についてここから教示頂きました。

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2014.04.21

■動画 デイヴィッド・リンチ アート制作ドキュメント映像 "David Lynch / Work" & 作品集"Works on Paper"


David Lynch / Work - YouTube

 ちょっと古い、2011年の映像だけれど、デイヴィッド・リンチのアート作品の制作風景の映像を見つけたので紹介します。
 ほとんど気のいいアメリカのおっちゃんのDIYにしか見えないw作業風景から生み出される暗黒の作品(^^;)。
 アシスタント数人を使っているようだが、基本かなりの部分を一人で制作しているようだ。電動ノコギリやヤスリ等、絵画制作というよりは大工仕事w。まさにDIY感満載。
 そうした日常そのものの作業から、リンチ作品としか言いようのない、ビザールで黒い美術作品が生まれてくるのが、不思議な感覚をもたらす貴重なドキュメント映像である。
 作品は12'40"辺りで観られます。

◆リンチ作品集 "Works on Paper"

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Works on Paper: David Lynch

 "ハードカバー: 529ページ
    出版社: Steidl; Box Blg版 (2011/9/24)
    言語: 英語
    発売日: 2011/9/24
    商品パッケージの寸法: 46.2 x 32.3 x 7.1 cm"

 このドキュメント映像だけでは記事が寂しいので、2011年にカルチエ財団の展示に絡んで刊行された作品集"Works on Paper"の情報もまとめておきます。
 大判で529ページ厚さ7.1cmという本格的な画集。
 上のリンクAmazon日本からも手に入りますが、新品で¥ 16,547〜17,138、中古でも¥ 12,873(14.4/20現在)よりととても高いので僕も持っていませんw。

Works on Paper by David Lynch - Who, What, Why | AnOther.

"A step by step guide to highlights across fashion, art and culture — November 9, 2011 —"

 リンチのこの作品集に関するインタビュー動画。

Fondation Cartier pour l'art contemporain.

"David Lynch, Works on Paper Copublication Fondation Cartier pour l’art contemporain, Paris/Steidl, Göttingen, 2011 Hardback, 30 x 40.5 cm, 532 pages, 630 color illustrations Bilingual version French/English Distribution outside of France: Steidl, Göttingen ISBN: 978-2-86925-087-1 Price: 147,10 euros

David Lynch, Works on Paper — Limited edition Limited edition of 50 boxed sets containing the book Works on Paper and a numbered and signed litograph, specially created by the artist. Price on demand Available in exclusivity at the Fondation Cartier bookshop and on fondation.cartier.com Contact: vania.merhar@fondation.cartier.com"

 リミテッド版もあるようですね。たぶん上のAmazonリンク先は通常版でしょう。

Works on Paper david lynch - Google 画像検索
 作品集の画像は、こちらに多数あります。

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2014.04.16

■予告篇 ギャレス・エドワーズ監督『ゴジラ』Godzilla (2014 レジェンダリー・ピクチャーズ版)

この予告篇と今回の当Blog記事には本篇の重要なストーリーのネタバレがあります。白紙で観たい方はご注意を。

Godzilla - Extended Look [HD] - YouTube.

"予告篇 公開日: 2014/04/05
http://godzillamovie.com
https://www.facebook.com/GodzillaMovie
In theaters May 16th.(日本では2014/07/25)"

 冒頭のシーンに絶句です。911以降の映画ではなく、さらに描かれるのは…。
 日本のエンターテインメントがタブーにし始めている映像をここまで描いてるのか…とインパクトを受けました。

 相当にキツイこの予告篇、予想できたはずなのに、今年観た映像の中で最も衝撃的でした。国内の上映にはいろんな声が出てくるでしょうね。
 放射能怪獣ゴジラを、東宝版60周年の今、日本の特撮界が映画化出来なかったことは、とても残念な気がする。

 大げさな物言いになりますが、昭和29年の『ゴジラ』の衝撃に近いものを、現代の日本人は再びこのハリウッド映画で悲痛とともに受け止めるのかもしれません…。

 それにしても、これまでの予告篇で感じた、ただならぬ気迫が漲った映像は、このテーマへ踏み込むレジェンダリー・ピクチャーズギャレス・エドワーズ監督の強い決意の現れだったんでしょうね。
 彼は日本の現在の被曝地に立ったんだろうか。

◆関連リンク
Twitter 五穀米さん

"EMPIRE誌レジェゴジ特集記事によれば、「ゴジラは核にまつわる事故で目を覚ます」「それが起こるのは日本」というのが東宝からの約定条項。その契約が交わされたのは福島第一原発事故よりも前だったため、監督・脚本家たちはかなり配慮したとのこと。"

 EMPIRE誌のHPを探してみましたが、ネット上にはこの情報の掲載はなさそう。誌面の方に掲載されたものではないでしょうか。
Twitter / akihiko89さん

"G・エドワース監督「初代『ゴジラ』製作当時の日本では、原爆で受けた被害を映画で描くことは難しかった。それでも日本人は怪獣映画という形で、破壊され放射能に汚染された街を描くことができた。国民にとっての一種のセラピーだったんだと思う。我々もその精神を大切にする」(EMPIRE誌)"

噂話ですがTwitterではこんな情報も…

Twitter / sayakaiuraniさん

"…新作ハリウッド版ゴジラ。配給会社の友人によると多方面からの圧力で広報活動がかなり制限されているそーです"

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 とりあえず宣伝ということでは、映画館にこのようなでかい看板がありました。でもこの内容…日本での公開が不可能になるようなことは避けられると思いますが…。日本のマスコミ(広告屋?)の力がちょっと心配。杞憂と思いますが、一部カットして公開とかならないでほしい…。

 日本での公開へ向けて、この映画はいろんなことのリトマス試験紙になりそうですね。 恐怖の放射能怪獣による戦争と原子力への怨念、しかと受けとめましょう。映像の一コマづつに込められた気迫、本多猪四郎にも見せたいですね。

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2014.04.14

■感想 「マインドフルネス!高橋コレクション展 決定版2014」@名古屋市美術館 : Mindfulness @ Nagoya

Mindfulness

マインドフルネス! 高橋コレクション展 決定版2014|名古屋市美術館

"会期   2014年4月12日(土)~ 6月8日(日)
開館時間   午前9時30分~午後5時
 金曜日は午後8時まで(入場は閉館の30分前まで)
休館日 毎週月曜日 (ただし、5月5日[月・祝]は開館し、5月7日[水]は休館)
特別協力   高橋龍太郎/高橋コレクション医療法人こころの会
企画協力   内田真由美/児島やよい

概要
日本屈指の現代美術コレクターにして精神科医の高橋龍太郎氏。  

彼のコレクションは、2008年から2010年まで「ネオテニー・ジャパン―高橋コレクション」展として全国を巡回し、また、2013年には 「高橋コレクション展 マインドフルネス!」として2館を巡回しました。(中略)
 草間彌生、奈良美智、村上隆といった現代の日本を代表する作家をはじめとし、会田誠や山口晃といった実力派、そして、フレッシュな若手の作家たちまで、素晴らしい感性と個性を持った作家たちの作品がずらりと並びます。

「マインドフルネス」とは

 私たちがアートという対象を知るときに、わきおこる解釈、評価、感情の殆どに個人的な(文化的な、集団的な)バイアスがかかるため、アートを 「ありのまま」に知覚することは困難です。この既製の判断やとらわれを一旦かっこに入れ、あるがままにアートを受け入れることを「マインドフルネス!」と 名付けました。

 「今、ここにあることの気づき」は仏教の瞑想の基本テーマですが、それを最近の認知行動療法では、マインドフルネスという言葉で表現して取り入れています。このような気づきを得ると、今までとらわれていた悩みが現実を適切に反映したものでなく、それが自分の中心的なものでないと気づくことができます。それを脱中心化といいます。

私たちのアートに向かう姿勢こそ、マインドフルネスであるべきでしょう。アーティストが作品をつくるときには新しい気づきや脱中心化がおきているのです。そしてコレクションという行為自体も、マインドフルネスそのものの行為なのではないでしょうか。 (高橋龍太郎)"

マインドフルネス!高橋コレクション展 決定版2014  名古屋市美術館2014年 4/12(土)〜6/8(日) | TAKAHASHI COLLECTION
 高橋コレクション公式HPの本展示会の作品紹介ページ。

オープニング記念トーク

"高橋龍太郎氏と出品作家(秋山さやか、加藤泉、鴻池朋子、 他)が出品作品の前で作品についてトークします。
2014年4月12日(土) 午後2時~"

 作家と高橋龍太郎氏のトークがあるというので、展覧会初日に名古屋市美術館へ行ってきました。日本の現代アートの多数の作品と作家に触れられる貴重な機会となり、刺激的な会場でした。以下、そのトークの内容も含めて、特に印象に残った作品と作家についてレポートします。まずは作家不在で作品だけ鑑賞したものについて。
各作品タイトルのリンクをクリックすると、高橋コレクションのページで作品画像を見られます。

◆作品レポート
奈良美智 「green mountain」
 切れ上がった眼の少女の顔をした緑の山岳。斜めにこちらを見つめる視線の鋭さに射られたような不思議な魅力に満ちている。全部で10点の作品が展示されているが、この一枚のあの眼に今回一番惹かれました。

村上隆 「ズザザザザザ アクリル」
 金田伊功にインスパイアされた作品。スーパーフラットの概念は「日本の伝統的な絵画から現代の漫画・アニメにまで共通してみられる、画面の立体感のなさ、平面性、装飾性、遊戯性を示すものであり、また現代の日本社会の階層性のなさやフラットさをも示すもの」(wiki)とされているが、僕は金田伊功の絵は3D空間をいかに平面に取込むかが本質だと思っているので、この絵を見ながら、金田ならもっと光とキャラが手前に飛び出てくるダイナミズムがあるだろうな、と頭の中で比較しながら観ました。

・会田誠 「紐育空爆之図(戦争画RETURNS)」美しい旗(戦争画RETURNS)
 会田誠というと写実的でイラストチックな作品をまず思い浮かべるのだけれど、今回会場にはその系列として「ジューサーミキサー」が飾られていたが、僕はそれよりもこの二枚に打たれた。特に「美しい旗(戦争画RETURNS)」の描写と二人の少女の視線の交差。不思議な力が立ち上ってくる絵画でした。

池田学 「興亡史」
 美術手帖編集部「超絶技巧 美術館」の表紙に使われている、インクを用いてペンで200x200cmの紙に描かれた超絶の一枚。 
 全体の圧倒的な迫力は、その細密に描かれたデテイルから滲み出しているということがとてもよくわかる作品。巨大な日本の城のあちらこちらに色んなドラマが埋め込まれている。端から端までじっくりと物語を読むように堪能してきたのだけれど、混沌の力に溢れたイメージが強烈な印象を残した。もっと他の作品も細部とあのペンのタッチが観られる原画で観たいものである。

近藤亜樹 くらいところでまちあわせ
 ムンクの叫びの現代版、というかとても複層的な「不安」の魅力に溢れた作品。

◆作品と作家トーク

加藤泉 「無題」 キャンバスに油彩 「無題」8体の横たわったヒト型の木製彫刻が天地に並んでいるもの。(箱根 彫刻の森美術館「加藤泉 日々に問う」展で展示された作品)
 今回、僕がこの展覧会で最も期待したのがこの作品。そして加藤泉氏のトーク。
 油彩は黒い闇の中に佇む緑色の透明な顔の人間もどきの絵。その奥深い世界に絵の前でため息をつくばかり。この絵の魅力を僕はまだ自分の中で整理できません。何がこんなにも人を惹きつけるのか。
 8体の彫刻は樹の匂いが立ち上る様な、彫られたばかりの生々しさがある。そしてその眼の素晴らしさ。球体が顔面から飛び出たその形態の訴えてくるイメージ。このプリミティブな迫力は何だろう。

 トークは実にあっさりとまずその素材について物理的に語られるだけだった。加藤氏にとって作品は語るものでなく、実物をまるごと観て欲しいという様な雰囲気を感じたのは僕のこの作品への気持ちの単なる投影なのだろうかw。
 あまりに少ない言葉に、高橋氏と美術館の方に促されて、続けて語られた言葉は「彫刻はそのままで世界を表現できるが、絵画は四角い枠に嵌っているので、何か別のものを持ち込まないと作品にならない」という内容のものだった。奥深い言葉です。
 
 以前、ネットで観て感動したこちらの(加藤泉 untitled)工場の隅に佇む立像も高橋コレクションなのですね。実物が果てしなく観たい。

鴻池朋子 「第4章 帰還ーシリウスの曳航」 「惑星はしばらく雪に覆われる」アニメ「Mimio-Odyssey
 6本足の狼と短剣のモチーフが共通する絵画と彫像と映像の作品。その展示空間自体も鴻池氏によるデザインということで、独特の冷たいファンタジーの世界が魅力的だった。
 名前は知ってても作品を観たことなかった鴻池作品の持つクールな幻想に、御本人の明晰な意志の強い語りとともに強い印象を持ちました。
 高橋コレクションのページにある「バージニア-束縛と解放の飛行」という作品、「第4章 帰還ーシリウスの曳航」を白い彫刻として表現したもの。不思議な立体像をいつか観てみたいものです。

冨谷悦子 「Fukaya Etuko」 
 エッチングの高精細画。知多市(確か…)に住んでいる女性とのこと。
 繊細な世界がとても魅力的でした。

名知聡子 「幸福と絶望」
 会場2Fに階段を登ったところに現れる長大な作品。
 トークによると恋愛の絶望と、それに悩みながらも空腹になってしまう体への希望から描いた作品とか。棺桶を模した展示会場の雰囲気が作品と共鳴して、この会場でだけ表現できるものがその空間に表されていた。

松井えり菜 「MEKARA UROKO de MEDETAI!」 「食物連鎖StarWars!
 ウーパールーパーのかぶりもので現れた作家が素晴らしく溌剌としていてユニーク。前者は、襖を1.5倍の大きさに拡大して、自分が5歳の頃に受けた襖絵の衝撃を再現しようとして描かれた二枚の作品。裏面のウーパールーパー2体も素晴らしいので、是非、裏面に回り込んでみてください。
 後者は、自画像の大きな口に今まさに喰われようとしている地球の生物たち。このダイナミックに描き込まれた絵の迫力。混沌の魅力がここにも溢れています。
 ブースカにポニョ、そして平面から飛び出る立体の木星。
 キャラクタも絵も、広く受ける要素が満載で 今後の活躍が楽しみな作家だと感じました。
 高橋コレクションページにある松井えり菜 ウパ・ティッシュケースも何だか凄い。

 ということで、他にも触れたい作品にいくつも出会えて、刺激的な展覧会でした。

 最後にトークで作家の生の声が聴けたのも良かったけれど、これらを評価してコレクションしている高橋氏の語りも聴けたのが大きな収穫でした。
 キュレーションの視点が伝わってきたのもですが、何より若い作家の可能性に着目し応援する高橋氏の暖かい視線がとてもここちいい空間を作っていました。

 なかには「女性ばっかり褒めてますが、最近の男性はちょっとエネルギーも足りないし志も崩れてるし…この国の未来(のアートを)託すにはちょっと頼りない」という若手男性アーティストへの厳しい言葉もありましたが、、、。次回、若い男性作家のいきのいい作品が沢山観られることも期待したいと思います。今回、女性作品が特に印象に残りました。

◆関連リンク
『池田学画集1』

"超細密なペン画で観る者を圧倒する池田学の初画集。≪再生≫(2001)、≪存在≫(2004)、≪興亡史≫(2006)、≪予兆≫(2008)など、1年 以上かけ制作した作品を核に、最新作を含め45点を収録。寄稿:片岡真実(森美術館 チーフ・キュレーター)。英語・中国語対訳付き。 出版社からのコメント 驚異の宝箱 ペンで紡がれた 壮大な宇宙で遊ぶ"

 これ、是非とも入手したいものです。
澁澤 龍彦, 鴻池朋子『ホラー・ドラコニア 少女小説集成 狐媚記』

"星丸は、助けた少女とたちまち恋におちるが、少女は、かつて狐の子として生まれ、間引きされた妹だった──暗黒メルヘンの最高傑作。
体をください…。現代アートで甦る澁澤龍彦!

松井えり菜 | Erina Matsui | Portfolio(公式HP)
松井えり菜 YAMAMOTO GENDAI
 この自画像群が素晴らしい。
Twitter / upaerina: 名知さんとの一枚!精華の皆来てください!!!^o^ 会場で先 ... こちらにウーパールーパーのかぶりもの写真。
松井えり菜ブログ
・「地球の中心で愛を叫ぶ」Facebookで公開されている新作の絵も素晴らしい。
近藤 亜樹 | ShugoArts
内田真由美, 児島やよい, 美術出版社編集部『Mindfulness! 高橋コレクション-マインドフルネス!』
 こちらは名古屋展の図録とは別。
内田真由美、児島やよい(企画・監修)『ネオテニー・ジャパン──高橋コレクション』
日本マインドフルネス学会 公式サイト
 こうした学会まであるのですね。

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2014.04.09

■予告篇 リュック・ベッソン監督『LUCY』: Luc Besson LUCY


Lucy - Trailer (Official - HD) - YouTube.

"公開予定 : August 8, 2014
脚本・監督 : リュック・ベッソン
公式サイト : http://lucymovie.com/
https://www.facebook.com/LucyTheMovie
https://twitter.com/LucyTheMovie
http://instagram.com/LucyTheMovie"

ロケ地・台湾をリュック・ベッソン監督が絶賛!最新作「LUCY」8月公開―台湾- MSN 最新ニュース|トピックス.

「LUCY」は台湾で今年8月22日から公開。8月中に世界70カ国・地域での公開が決まっている。

 予告篇がなかなか良い。複数の生物の眼をインサートしたカットとか、さすがのシャープさ。

 ジョス・ウィードン監督『アべンジャーズ』でスーパーパワーを持たないスーパーウーマンw、ナターシャ・ロマノフ / ブラック・ウィドウを演じたスカーレット・ヨハンソンが、スーパーパワーを持つキャラクターを演じるという本作。リック・ベッソンのSF大作ということで期待が高まる。

 ただ、どちらかというと、スカーレット・ヨハンソンというよりナターシャ・ロマノフのファンなので、その次回作を早く観たい気もするのですが、、、(^^;)。
 そうか、まずは『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』を観に行きましょうかw。

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2014.04.07

■情報 ミシェル・ゴンドリー自主映画工房「ホームムービー・ファクトリー」 : Michel Gondry's Home Movie Factory @ 東京都現代美術館


The Bioscope Presents: Michel Gondry's Home Movie Factory in Johannesburg - YouTube

"映画監督ミシェル·ゴンドリーが、彼の映画『僕らのミライへ逆回転 Be Kind Rewind (2008)』に触発され、 ホームムービーファクトリーを考案。

ホームムービーファクトリーは、パリ、ニューヨーク、ロッテルダムのショーの後、現在、フランス- 南アフリカシーズン2012&2013の一環として、ヨハネスブルグのビオスコープインデペンデントシネマで開催されている、ユニークでインタラクティブな展示会です。

ホームムービーファクトリーは主演とゴンドリー自身がデザインした方式 によって、独自の映画を作るために、無料で一般の人を招待します。撮影は背景、小道具、ヨハネスブルグの象徴的な、日常を反映する衣装のインタラクティブな展示会内で行われます。"

 この2012年に開催されていたゴンドリーの自主映画制作イベントが、ついに日本に登場!

お知らせ|東京都現代美術館|MUSEUM OF CONTEMPORARY ART TOKYO

"ミシェル·ゴンドリー ホームムービー・ファクトリー(仮称)
2014 年9月27 日(土)- 2015 年1月4 日(日)
企画展示室地下2F・アトリウム
休館:月曜日(10/13(月)、11/3(月)、11/24(月)は開館)、10/14(火)、11/4(火)、11/25(火)は休館。年末年始:12/28- 1/1休館"

ミシェル・ゴンドリー監督プロデュース、誰もが参加できる映画制作工場 3時間でショートフィルムを自由に制作 - シネマトゥデイ

"映画『エターナル・サ ンシャイン』などで知られるミシェル・ゴンドリー監督プロデュースによる誰もが参加できる映画制作工場「ホーム・ムービー・ファクトリー / Home Movie Factory」が連日老若男女で賑わっている。
 同工場は2011年にフランスのポンピドゥー・センターやなどでも行われたプロジェクト。ロッテルダム市内にある元産婦人科を改築した工場には、車窓の 景色が変わる列車車内や、ハンバーガーショップ、監獄などのセットが用意されており、10人程度のグループで3時間でショートフィルムを制作する。ゴンドリー監督と言えば、自主映画の楽しさを描いた映画『僕らのミライへ逆回転転』があるが、映画そのままの世界を体感できる夢の工場だ。"

 冒頭のプロモーションビデオから、楽しい様子がビンビン伝わってきます。
 ゴンドリーのキッチュな映像、商業映画でありながらプライベートフィルムな匂いを残したあの映像のキラメキがこのPVから伝わってきます。

 3時間のキッチュな映画作りにワクワクしますね(^^;)。

◆関連記事
The Bioscope Independent Cinema, Johannesburg — The Home Movie Factory
 ヨハネスブルグのビオスコープインデペンデントシネマの本企画展公式HP。
 セットでの撮影の楽しそうな様子がスナップ写真で紹介されています。

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2014.04.02

■動画 ジョーダン・ウルフスンの最先端アニマトロニクス : Jordan Wolfson's CUTTING EDGE ANIMATRONICS


▶ CUTTING EDGE ANIMATRONICS! - YouTube

"Acclaimed artist Jordan Wolfson's imagination brought this animatronic figure to life with a little help from his friends at Spectral Motion. The piece is currently being exhibited at David Zwirner Gallery in New York. The figure incorporates facial recognition technology, allowing her to focus on, and unnervingly follow, visitors at the exhibition."

Jordan Wolfson » David Zwirner

"Jordan Wolfson March 6 - April 19, 2014"

This Gyrating Animatronic Doll Will Haunt Your Dreams.

"On display March 6 – April 19 at David Zwirner Art Gallery in NYC, the unnamed doll is the work of artist Jordan Wolfson, who created the figure in collaboration with creature effects studio Spectral Motion."

 まずは冒頭に引用したロボットの妖しい動きを観てみて欲しいw。
 これは、3/6-4/19までニューヨークのデイヴィッド・ツウィルナー・アート・ギャラリーで展示されているジョーダン・ウルフスンの作品である。

 上の引用文によると、SFXスタジオ「Spectral Motion」が作品制作に協力。
 このスタジオは、『Xメン』『ヘル・ボーイ1,2』『ルーパー』 といった映画のSFX映像を手がけていたらしく、今回はパフォーマンス、彫刻で働く33歳のアーティスト ジョーダン・ウォルフソンとこうした神をも恐れぬ不気味の谷へ挑む様な作品を見事に創造している。

 体全体の動きと指の動きがなかなか良いです。あの怖い面の顔とのアンマッチが奇妙さに拍車をかけています。

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