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2014年7月13日 - 2014年7月19日

2014.07.16

■感想(その2) 宮崎駿監督『風立ちぬ』 夢の絶望の骨格

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 劇場で一度観ただけの宮崎駿『風立ちぬ』、ブルーレイで再見。
 この映画のラスト、こんなに暗黒でしたっけ。今回のこの映画の印象はとにかく暗黒。
 ラストの菜穂子のセリフが現在のバージョンと異なり、元々は「い」を抜いたものだったということを知って、今回はそのように聴いてしまったからかもしれない。

 ストーリーテリング的には、散漫に見えていた夢のシーンと現実の設計屋の物語と恋愛、そして軽井沢でヒットラー政権について「ならず者の集団」と語るドイツ人カストルプのシーケンス等が、見事に暗黒のラストへの一本の強固な骨格を持っていたことがわかった。

 その骨格で考えると、少年の二郎の夢から始まる冒頭についても、何だかとても絶望的に見えてくる。純粋な少年の夢は、いつしかカストルプが予見した「破裂」をその郷土にもたらす。技術の美しいものを求める夢が日本をどんな絶望に引き込む一端を担ったか。

 映画に張りを与えている、この時代の登場人物達に付与された人の矜持というようなものも、所詮はこの暗黒への道を修正することはできなかったというある意味、人の世の絶望感を表現している。

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 そして恋愛のシーケンス。
 男の身勝手な夢の世界、という批評が多くあったが、衰弱した菜穂子の横でタバコを吸う二郎をあえて描いていることから、まさに宮崎駿がそういうことを、この映画で露骨に描こうとしていたことがよくわかる。

 男の夢の様な女性との恋愛生活は、その身勝手ゆえに、そこに絶望を引き込む。  恋愛シーケンスは、美しい短い時を終え、おそらくは病床で生の終着する場として醜い姿で苦しんで死んでいっただろう菜穂子の、去っていく後ろ姿で終わっている。菜穂子のそんな姿を観客に幻視させて、すぐ場面は九試単戦の試験飛行。
 その成功の時に二郎の心はそこになく、、、。
 場面は続いて日本の破裂と、あのカプローニとの夢の王国の変わり果てた姿であるゼロの墓場を映し出す。このクライマックスの演出のノワールな切れ味は凄い。

 徹頭徹尾、夢の結果としての破裂と絶望を描こうとしたのが、この宮崎駿最後の長編漫画映画だったのかもしれない、と二度目を見終わってその宮崎の暗黒を覗き込んで戦慄した。ラストのセリフの改変は、おそらくそんな絶望を漫画映画で振りまいてはいけない、という宮崎の最後の漫画映画魂だったのではないだろうか。

 でも今、時代は宮崎がこの映画でたぶん訴えたかっただろう破裂への警告を何事もなかったかの様に受け流し、矜持すらない我々現代人は、もしかしたらその破裂へと突入していこうとしているのかもしれない、、、。

 311後、反原発を積極的に訴えていた宮崎が、集団的自衛権について何のメッセージも発していないのも気になる。もう既に絶望を描いてしまった宮崎は、現在への警鐘を無意味なものと考えているのだろうか。

 今回、僕にこの映画が、暗黒の側面を見せたのは、2014年の政治の動きが大きく影響していることはたぶん間違いない。

◆関連当Blog記事
■感想 宮崎駿『風立ちぬ』 大漫画映画!!
 初見の感想。上の感想と比較すると、全く宮崎が描こうとした骨格を理解していないことがわかりますw。

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2014.07.14

■情報 押井守監督『ガルムウォーズ 最後のドルイド』予告篇上映される@トロント "GARM WARS: THE LAST DRUID" Trailer


TECHNO/HUMAN: The Films of Mamoru Oshii Teaser | TIFF Bell Lightbox 2014 - YouTube.

"TIFF presents: Techno/Human: The Films of Mamoru Oshii
July 12 - 25, 2014

Don't miss In Conversation with... Mamoru Oshii on July 12 at 6:30pm.

The visionary director of the fantastically influential anime hit Ghost in the Shell joins us for this rare onstage interview to discuss his long and multi-faceted career in animation, live action, television, film, radio, and manga."

TIFF.net | Techno/Human: The Films Of Mamoru Oshii

"7/12 『攻殻機動隊』
7/13 『スカイクロラ』
7/18 『機動警察パトレイバー』
7/13 『機動警察パトレイバー2』
7/13 『イノセンス』"

 トロントで開催されている押井守の回顧上映イベントのPR動画。
 『GARM WARS』Khara役のMélanie St-Pierreさん他の以下ツイートによると、なんとそのイベントで『GARM WARS』予告篇が7/12に上映されたそうです!
★引用した動画にその予告篇は残念ながら入っていません。今のところ、ネットにもアップされていないようです。

Twitter / MelanieStPierre

Just saw our Garm Wars trailer, I am barely containing myself!!!!!! So incredibly proud. #ICWOshii

Twitter / SKonMovies

The audience was shown a preview a Mamoru Oshii’s next film GARM WARS: THE LAST DRUID, which looks like a live action anime film.

Twitter / animeresearch

Oshii is previewing Garm Wars footage at his talk in Toronto. Wish I was there right now!

Twitter / 検索 - #ICWOshii
 こちらはカナダの押井ファンたちのtwitterのハッシュタグ。イベントでの押井監督の満面の笑みがスナップされています。それにしても頬っぺたに指は止めて下さい、監督(^^;)。

Anime grows up: TIFF retrospective celebrates work of Mamoru Oshii | Toronto Star

"Speaking through a translator in a phone interview last week from Montreal — where he’s finishing work on The Last Druid: Garm Wars, a Japanese/Canadian co-production that’s also his first film in English — Oshii explains that his often-futuristic films reflect the reality around him as the gap between humans and machines narrows.

Oshii continues to speculate about the results of the intensifying synthesis of human and high-tech. He says that his goal with The Last Druid: Garm Wars — which, like many of his recent features, is not strictly anime but a mix of live-action and digital animation — was “to portray how humans are intertwined or fusing with technology.”

Though the filmmaker is reluctant to divulge much about the new movie’s contents before he knows whether it’ll be in the lineup for the fall festivals (including TIFF), he does believe it represents a new frontier for his work. “It does not take place on the Earth,” he says. “This is the first time I’ve done a real fantasy film.”"

 トロント国際映画祭に関連した日本アニメの回顧上映にちなんで、現地マスコミがモントリオールで『ガルムウォーズ』の仕上げをしている押井守に先週電話インタビューした記事。

 『ガルムウォーズ』に関するコメントを抜粋しました。要約すると下記の様なことが述べられています。

"『ガルム·ウォーズ:最後のドルイド』は押井守が、人間とハイテクの融合に関する思索を描く彼のゴールと言っている。映像は、実写とデジタルアニメーションのミックスで、人間と技術の融合を描写する。

 今秋の映画祭にこの映画がラインナップされるかは語られなかった"

 一体我々はいつこの異世界に出会えるのだろう…。

 STAP細胞についてもコメントしてるが、監督、これは少し古い認識では(^^)??

Interview: Mamoru Oshii | Dork Shelf
 こちらにも別のインタビュー記事。『ガルム戦争』については触れられていません。

◆関連当Blog記事
■情報 押井守監督 新作『The Last Druid - GRM Wars ( ザ・ラスト・ドルイド : ガルム・ウォーズ )』(『ガルム戦争 最後のドルイド』(?)) 幻の『ガルム戦記』がついに実写英語映画として実現!
■八王子市夢美術館「押井守と映像の魔術師たち」 『ガルム戦記 G.R.M. THE RECORD OF GARM WAR』

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