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2014年11月16日 - 2014年11月22日

2014.11.19

■情報 高野文子『ドミトリーともきんす』 と ラジオインタビュー

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ドミトリーともきんす|全集・その他|中央公論新社  公式Blog

"不思議な学生寮「ともきんす」に暮らす"科学する人たち"朝永振一郎、牧野富太郎、中谷宇吉郎、湯川秀樹......彼らが遺した文章を、一組の母娘が読み解いていく物語。待望のコミックス最新刊!
初版発行日2014/9/25 判型B5判vページ数128ページ"

 高野文子、12年ぶりの新作。
 僕は熱心な高野文子ファンではないのだけれど、『絶対安全剃刀』(1982年)『おともだち』(1983年)『ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事』(1987年)という初期の衝撃はダイレクトに受けていて、この実態がベールにつつまれた天才漫画家のことはずっと気になっていた。

 で、この新刊のことを実は知らなかったのだけれどw、何と最近定番でPodcastを聴いているTBS RADIO 「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」でその高野文子のインタビューが流れてきて、初期の3作を思い出しつつ、感慨深く聴いたのです。そのインタビューの、放送されなかった分も含む64分完全版が以下。

(タマフル) 直接リンク
※公開は一ヶ月後なので、早めのダウンロードをお薦めします。

TBS RADIO 漫画家・高野文子さんスペシャルインタビュー (ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル)

"11月8日のサタデーナイトラボ『秋の推薦図書特集』の中で一部をお送りした、 漫画家・高野文子さんインタビューのほぼ完全版。 今年の9月にマンガとしては12年ぶりの新作『ドミトリーともきんす』を発売した高野文子さん。 30年以上のキャリアの中で初めてのラジオ出演となった貴重なインタビューの模様をを余すところなくお送りします! インタビュアーは、漫画家、エッセイストのしまおまほさんと番組構成作家の古川耕です。"

 まさに貴重な、高野文子の初放送インタビュー(テレビ・ラジオで初とのこと)!
 新作の話題から、執筆方法、お薦めの本まで(この週のタマフルは「秋の推薦本特集」)、じっくり言葉を選ぶ高野氏の様子から、彼女の思考が垣間見れる、「間」が多くを物語るインタビューだった。
 ファンは心して聴きましょう(^^;)。

 僕が特に興味深かったのは、『ドミトリーともきんす』(まだ恥かしながら未読)の、主人公たちの絵を中心に語られた、線を減らしていくとキャラクターという意味を持った存在がただの線に変わっていく。その意味を持つ/持たないの瞬間についての高野氏が向ける熱い視点。
 これは彼女の推薦本として語られた『美の幾何学―天のたくらみ、人のたくみ』という数学の本について語る中での話題なのだけれど、高野作品の秘密の一端に触れたような気になったのは僕だけでしょうか。

 そしてその後、高野氏が語ったのが、3D映画に強い興味を持っているという一節。
 残念ながら、インタビュアーの古川耕氏としまおまほ氏はここにフォローを入れない、線が意味を持つ瞬間とつながる興味深い話が聴けたのに残念でならない(以前に番組でしまお氏は「今までの(2D)映画だって、観客には立体的に観えていたからね」と3D映画に全く興味を持っていない旨、発言していたことがあるので致し方ないのかも)。

 僕の想像はこうだ。
 高野文子は線画が意味を持つ瞬間の淡いに興味を持つように、2Dの平面が二つ交互に眼前に映し出される3D映画を観るに当たって、平面の映像が活き活きと立体感を持つ瞬間に惹かれているのではないか。
 いずれも画像が人間の脳に、実在感を生み出す瞬間。
 高野漫画の意味の淡いをたゆたうような、その作風の秘密の一端を、さらに深掘りできそうな話題だっただけに、そこから話が広がっていかなかったのは残念で仕方がない。

 Podcastの最後では、再度の番組登場もあり得るような語りになっていた。
 是非とも次回、こうした点も追求してほしいものです。

 さあ、『ドミトリーともきんす』、ポチらなきゃ。あれ、番組の影響か、現在、Amazonでは入庫待ちになってます。残念!

◆関連リンク
高野文子ラジオ出演、タマフルでインタビュー - コミックナタリー
 ニュース記事。
・インタビュアーのタマフル 放送作家 古川耕氏の編集(放送)後記
高野 文子『ドミトリーともきんす』
高野文子 - Wikipedia
 初期の作品は、看護婦を務めながら描かれたのですね。
『ユリイカ2002年7月号 特集=高野文子』

"  小説家の川上弘美や編集者の竹熊健太郎など、豪華な執筆陣による高野文子作品批評や、詳細な全著作解題など、魅力的なコンテンツが並ぶ。
  また、ほとんどメディアに露出しない漫画家であった高野文子が、2人の同業者と語らう対談はファンにとって待望の企画だろう。大友克洋との対談での『黄色い本』に ついての討議では、創作における高野文子の視点や姿勢が明らかとなってきわめて興味深いし、魚難キリコとの女性漫画家同士の気さくな対談は楽しい。"

 この本も知らなかった! 大友克洋との対談とか、無茶面白そうです!
伏見康治, 安野 光雅, 中村 義作『美の幾何学―天のたくらみ、人のたくみ』

"もっと幾何学的精神を!
日本の寄せ木文様や紋からアラベスクまで、シンメトリーの美と数理を論じながら創造の種をふんだんに蒔く圧巻 の文様論をはじめ、200点余りの絵や図版をも駆使して、数学的に考えることの愉しみを問わず語りに示す名著、待望の復刊。"

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2014.11.17

■感想 舞城王太郎 脚本・監督、鶴巻和哉 アニメーション監督『龍の歯医者』@アニメ(ーター)見本市

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龍の歯医者(公式HP)

" 少女は、龍の歯医者になるためにそこにやってきた。他の新人志願者とともに集められたのだが、案内役の先輩からは何の説明もない。困惑したまま引き連れられて、暗く怪しい新人専用の通路を進んでいく他ない。今の自分の居場所も判らない。これから何をすべきなのかも知らないまま、少女は龍の秘密へと近づいていくが、そのことにも気付いていない。冒険は既に始まっているのに。

原案・脚本 舞城王太郎
キャラクターデザイン 小坂泰之
アニメーションキャラクターデザイン 亀田祥倫
画コンテ 舞城王太郎 鶴巻和哉
作画監督 亀田祥倫
アニメーション監督 鶴巻和哉
監督 舞城王太郎"

 空を飛ぶ朽ちた戦艦の壁面を行く人々。龍の歯の中の世界。不可思議な世界の交錯により、その幻想の奥深い現実が広大な世界を想像させる映像になっている。

 何とあの奇想w推理作家 舞城王太郎が脚本・絵コンテ・監督を担当したアニメーション短篇が登場!
 エネルギッシュで何だかわからないこの奇想イメージ、舞城小説を鶴巻和哉のアニメーションでさらに濃厚にしたタッチで実に素晴らしい。

 先に書いた世界の広がりとともに、これは長篇版を是非とも作って欲しい。
 この幻想世界の深みは何なのだろう。

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 この11月から始まった庵野秀明のスタジオカラーと川上量生のドワンゴによる「日本アニメ(ーター)見本市」、第二作も公開されていますが、どちらもハイクォリティ。
 毎週公開ということで、僕はてっきり1-2分の線画か何かの手頃な小品、と思っていたのですが、素晴らしく本格的。

 このペース、このレベルで毎週更新は凄い。
 毎回、違うスタッフ編成で新作を観られるという贅沢。かつて「まんが日本昔話」等でアニメータ主体で各話作られて毎週放映されていたイメージに近いのかもしれないが、それにしても毎週主要スタッフ編成が異なる、オリジナル作品を登場させるというのはかつてなかった試みで凄い。

 それにしてもこの「龍の歯医者」のクオリティがあれば、この延長上(?)で酉島伝法『皆勤の徒』の映像化も可能だったりして。もちろん監督は酉島伝法さんでお願いしたいものですw。

◆関連リンク
『龍の歯医者』はこうしてつくられた! 濃厚すぎるアニメ(ーター)見本市の裏側.

"今回参加させていただいた『龍の歯医者』は是非ともアニメにしたかった物語です。その気持ちの詳細をここで語るのは、そもそも皆さんの前に出てこない理由を台無しにするのでやめますが、ご覧になっていただければご理解いただけるんじゃないかと思います。"

 各作品について、月曜日には毎週解説番組「日本アニメ(ーター)見本市-同トレス-「HILL CLIMB GIRL」」がニコニコ動画で放映される。
 平日で仕事中、生で観ることができない人は、タイムシフト予約がこちらから!

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