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2015年8月2日 - 2015年8月8日

2015.08.03

■感想 樋口真嗣監督『進撃の巨人 Attack On Titan』


映画『進撃の巨人』公式サイト
 IMAX上映@名古屋(6日間限定)の初日に行ってきた。21:40〜の上映は約半分の客の入り。観客は圧倒的に若い人が多い。

 IMAXの迫力はさすが。上の予告篇映像にも出てくる超大型巨人のディテールと壮大な音響、名古屋はIMAXといってもスクリーンが小ぶりなので、D〜G列という前方のシートで観ることをお薦めする。
 特撮とCGの粋を結集したあの姿、艶かしい超大型巨人の眼に睨まれる迫力はまさにIMAXの成果。

◆ふたつの見方と総論
 この映画はふた通りの感想の書き方が出来ると思う。
 ひとつは原作漫画を知っている視点。そしてもうひとつは原作もアニメも知らない映画で初見という、最も幸福な観客の視点。
 もし、後者のような、幸運な観客に該当する方がいたとしたら、この駄文を読んでいる暇はない(^^)、全ての情報をシャットアウトして今すぐ劇場へ。

 日本特撮による、おそらく未曾有の映像体験が貴方を襲うでしょう。

★★★★以下、ネタバレ注意★★★★★


◆原作を知っている視点。

 長大な原作を、2時間弱の映画一本目としてまとめてるのは元々随分無理があると思うが、しかしこのまとめ方はなかなか理想的ではないだろうか。
 原作者+脚本陣のオリジナリティ含め見事。あの原作の持つ時制の混乱を含めた不気味さは失われていて残念だけれど、一本の映画としての構造がカッチリしていて充実している。

 映画としてのシンプルな骨格(壁の修復をゴールとして爆薬の確保がマイルストーン)、エレンとミカサとシキシマの関係の官能性。で、あのクライマックスで終わるカタルシスのある構造になっていて、『進撃の巨人』をスタートする、一本の映画としての満足度は高いと思う。

 のどかな映像と超巨大巨人の出現という対比、生身の日本人で描いた巨人の人喰いシーン、と畳み掛けてくる冒頭の不気味さは格別。
 特に巨人の人喰いを、そのままの日本人の顔と体型、そして特殊メイクと映像のデジタル加工による奇怪な表情がまさにおぞましい。

 おぞましさは、漫画が独特のタッチで描いた、あの日本人そのものの様な不気味さ、得体のしれなさの表現を、映画は見事に再生していると思う。

 諫山創が意識的にか無意識にか込めている、日本のある種の閉塞状態、対人恐怖の具現化としての無表情な巨人達。CGでそのプロポーションを作るのではなく、生身の日本人を撮り、そして映像合成で巨人として描いた手法が最大限活きている。
 ここはまさにCGだとまだ不自然になる人体の表現を避けて、実際の人間を巨大に見せて撮ることで、原作が内包している対人恐怖的な映像として昇華していると思う。

 映画を観終わった後、街に出てすれ違う巨人に似た日本人たち。
 そこから照射される現代の空気感の再現は、まさに原作者の感じているフィーリングなのではないだろうか。

 欧州の宗教的街並みに現れる日本人の巨人というミスマッチが醸し出す雰囲気は残念ながら、舞台設定の段階で切り捨てられているが、これは制作費等考えた時に懸命な選択だったのだろう。

◆映画で初めて『進撃の巨人』を観る視点
 もう一つの視点は、原作の漫画もアニメも何も知らず、まっさらでこの映画を観た奇想映画ファンを仮定した視点。もちろん僕は全部観てしまっているので、その視点からは程遠く、残念ながらそんな純粋な観客にはなりようもないのだけれど想像してみた。

 冒頭の巨人の、筋肉と煙を描いたビジュアルの斬新さに驚いてる間に、今度は生身の人間の人肉食いシーンが衝撃的に始めてみる観客を襲う。
 栄養を摂るのでなく、ただ喰い殺すことのみを淡々と、のそりと進める巨人のビジュアルは、食の不気味さに神経症的にこだわるチェコシュルレアリスムの巨人シュヴァンクマイエルも吃驚する、面妖な巨人による人体捕食映像になっている。

 世紀末ではないがこの世紀末感は奇想映画としても特筆に値すると思う。少なくともこれはテレビでそのまま放映するわけにはいかないだろう映画館だけの映像体験になるだろう。

 オールド特撮ファンが『進撃の巨人』を全く知らないで、樋口真嗣監督と尾上克郎特技監督の新しい怪獣映画として観にきてたら、ショックでしばらく画面で何が起こっているか理解できず唖然自失するのでないか。特撮ファンとしてそんな体験ができたらと思うとゾクゾクして来る(^^)。でもさすがに『進撃の巨人』の人喰いシーンを知らない特撮ファンは、現代日本ではたぶん皆無に近いだろうから、そんな体験は脳内で仮想するしかないw。

 そしてあのクライマックスの奇想。
 僕がもしそんな初見の観客の見方が出来ていたら、しばらく終映後、席を立てなかったと思う(^^)!海外の映画ファンで全く『進撃』を知らない方が観たら、もしかしてそれに近い体験ができるかもしれなくて、そんな観客の感想がこれからの世界公開で聴こえてきたら、凄いでしょうね。

 これが、冒頭で述べた「日本特撮による、おそらく未曾有の映像体験」である。そんな見方ができる仮想の観客がうらやましくてしかたがない。

◆関連リンク
▶ 【必見】町山智浩 実写版「進撃の巨人 Attack On Titan」たまむすび - YouTube
 原作者 諫山創がTBSラジオのファンで、樋口監督から直接町山氏に電話でオファーが入ったくだりが興味深い。「ホビットで龍との戦いに突然、声をかけられたビルボの気持ち」ってww。
 諫山創(と編集者 川窪慎太郎)による、映画でのエレンの性格についての新しい考え方「漫画の主人公の性格は自分は感情移入できない。巨人を見たら身動きできなくなるような若者に設定してほしい」という部分、これがエレンとミカサの関係にも影響し全体の構造を決めている話、撮影直前まで日本人のネーミングにするか原作通りドイツ語的にするか悩んでいたとか、まさに裏話満載でファンは必聴です。
 最後に、勝つ確率ゼロと言われた映画化に挑む、町山氏の戦いへの熱いメッセージ「巨人とか壁に挑む奴を笑うな」はいい。
▶ 小林悠のトーク&バラエティー"たまむすび" 金曜日「東京トキメキスポット」 ゲスト:樋口真嗣監督 【2015.07.31】 - YouTube

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■感想  ジョス・ウェドン監督『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン : Avengers: Age of Ultron』ハルク対ハルクバスター戦


Marvel's "Avengers: Age of Ultron" - Hulkbuster
 『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』3D(RealD)吹替で観てきた。
 前作は出張の飛行機の中、小さなモニターの2Dで観るというとっても勿体ない初見だったが、そんな環境でも素晴らしい監督の手腕に酔い、マーベルシネマティックユニバースの独特のヒーロー世界に浸ることができた。

 今回、圧倒的に環境は良いはずなのだけれど、感想としては、前作を下回る出来。
 欠点はいろいろ言われているが、敵の出自とその設定、クライマックスの舞台装置の絵面があまり盛り上がらない、等が僕は気になった。

 という欠点は差し引くとして、やはり今回圧倒的に良かったのは、ブルース・バナー/ハルクとナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウのシーケンス。
 前作でもハルクに一番魅かれたのだけれど、今回も苦悩を背負った姿と、それをものともしない暴走ぶりが素晴らしい。
 さらにブラック・ウィドウとの苦悩の共鳴の描写がとてもいい。ここだけ取り出して一本の映画に纏め上げてもらったほうが僕は良かったかな、と。それだと『アベンジャーズ』にならないけれど、、、(^^;)。

 そしてアクションでは、もちろんそのハルクの対「ハルクバスター」戦。
 宇宙空間に待機する人工衛星「ヴェロニカ」の起動と強化アーマーMk.44「ハルク・バスター」の投下。その後に続くメカテクノロジーとバイオテクノロジーの凄絶な戦いは、マーベルシネマティックユニバース中でも屈指の出来ではないだろうか。
 
 トニー・スタークとブルース・バナーのマッドサイエンティストとしての暴走、ハルクとロマノフの共鳴、そして「ハルク・バスター」戦。この構成だけで、『アベンジャーズ』の看板を外して『アイアンマンvsハルク』という一本にまとめてくれていたら、きっと傑作になったんじゃないかと、脳内再構成して、鑑賞後も楽しみました(^^)。

◆関連リンク
『ムービー・マスターピース アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン ハルクバスター 1/6スケール プラスチック製 塗装済み可動フィギュア』
『ムービー・マスターピース アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン ハルク(DX版) 1/6スケール プラスチック製 塗装済み可動フィギュア』
 前者が132,800円、後者が48,000円、戦わせて遊ぼうと思うとw、180,800円なり〜!

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