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2015年12月20日 - 2015年12月26日

2015.12.23

■感想 森田真生『数学する身体』

20151220_104200

森田真生公式ウェブサイト - Choreograph Life -
 TBSラジオ Session22で紹介され(下記動画リンク)興味深かった”独立研究者" 森田真生の『数学する身体』を読了。
 数学音痴の僕にはたぶん本書の真髄はわかっていないのだけれど、人間の理性が生み出した数学と身体の切り難い関係性を描いた部分が凄く面白かった。


22 森田真生×荻上チキ「数学する身体」フル2015.11.30 - YouTube.

 無理やりまとめると、身体とそれを取り巻く環境が人の数学というロジックに影響を与えている、というような趣旨。人類の意識,知性と、身体,環境といったものとの相互作用による精緻なハーモニーを詩的に描く筆致が魅力的な本。
 面白かった部分を幾つかメモしてみます。

・イギリスのサセックス大エイドリアン・トンプソンらの研究で、「人工進化」手法で二つの音程を聞き分けるICチップ(進化型ハードウェア)を作成すると、人間が設計した場合に最低限必要な論理プロックの数を下回る37個で機能を果たしていた。しかもそのうちの5個は回路上繋がっていない。分析の結果、そのチップは回路同士の電磁的な漏出や磁束によって、正常動作を獲得していた。つまり通常人間の設計では排除するノイズを巧みに利用してそのチップは機能を果たしていた。(P34)
 研究成果へのリンク

・人間もその進化の過程で「問題解決のためのリソース」として身体や環境のあちこちに染み出したものを使用しているのではないか、という哲学者アンディ・クラーク認知科学書『現れる存在―脳と身体と世界の再統合』を紹介。(P36)

・数字を使う数学は、西欧では12世紀以降、古代ギリシャの数学は、図と自然言語による論理を記述していた。
・19世紀半ばのドイツの数学者リーマンデデキントは、数式と計算の背景にある抽象的な概念世界を扱う「概念と論理」の時代へ舵を切った。(P78)
 このあたりから僕には未知の領域でイメージができなくなりましたw。

チューリングが「計算者」をモデルに考えたチューリング機械と、計算できない手続きを実行する「オラクル:神託機械」の概念。そして人間に匹敵する知的機械を作るためには、神経系のみならず目や耳や足など、人間のあらゆる部分を持った機械を作る確実な方法だろうと述べた『計算機械と知能』の紹介。(P104)

・「多変数解析関数論」の岡潔による「数学の中心にあるのは情緒である」論の紹介。(P116)・岡潔『日本のこころ』。森田が岡潔に魅かれるのは、「彼が零からの構築よりも、零に至るまでの根本的な不思議の究明へと、いつも向かっているから」であるという。(P173)

・ドイツの生物学者フォン・ユクスキュル 『生物から見た世界』に書かれた「魔術的環世界」。人にとっての風景は、想像力が介在する外的刺激に帰着できない要素を持つ。(P125)

・アンドレ・クノップスらの研究 fMRIによる脳の観察で、人が数字の大きい/小さいを認識する際に、目を右に動かす/左に動かす時に活動する後頭頂葉のある部位が活性化する。そこからグラフや定規の目盛りは右へ行くほど大となっている。身体機能と数学の関係。(P130)

・岡潔が語る芭蕉の句の電光石火の計算速度。「ほろほろと山吹散るか滝の音」という句は、「無障害の生きた自然の流れる早い意識を、手早くとらえて、識域下に映像を結んだもの」。どんな優れたアルゴリズムよりも、芭蕉が句境を把握する速度は迅速。(P159)

 この最後の一節に、映画を観た際に、映像と音とセリフの言葉によって、映画クリエーターの脳と身体と、スクリーンを通して分かち難い共鳴を得る瞬間があることを想起していた。映像言語というのは、この芭蕉の電光石火のアルゴリズムと似たような人の認知過程があるように思う。この電光石火という言葉をヒントに究極映像についても研究が進むような予感を感じて本書を閉じました(^^;)。刺激的でした。

◆関連リンク
森田真生『数学する身体』
アンディ・クラーク『現れる存在―脳と身体と世界の再統合』
・岡潔『日本のこころ』
『生物から見た世界』

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2015.12.21

■感想 J・J・エイブラムス監督『スター・ウォーズ エピソード7 フォースの覚醒』


Star Wars: Episode VII - The Force Awakens ALL Trailer & Clips (2015) - YouTube

 ついに公開された『フォースの覚醒』を公開二日目の土曜日に、3D IMAX 字幕版で観てきました。感想は前半3Dと全体の印象について、後半ネタバレを少し含んだ順に書いてみます。

 まず今回観たのは、109シネマズ名古屋 IMAX 3D F席(前から2列目)中央(F19)。この位置はこの劇場でのお気に入り、少し下から見上げる位置になるけれど、画面に取り囲まれ臨場感は最高である。

 今回、1983年のep.6の続きが遂に32年ぶりに語られるということに加えて、3Dとして作られた最初の『スターウォーズ』(ep.1の3D版公開はありましたが、、、) というのも立体映画好きには堪らないポイント。

 冒頭ルーカスフィルムのクレジットの後、"STAR WARS THE FORCE AWAKENS"の文字がスクリーンに現れ、ずっと画面の奥へと遠ざかっていく。そして文字による物語の紹介。この初の3Dスターウォーズ体験に気分は盛り上がる。

 立体映像としてStereo D社の3D変換が絶好調で、砂漠のドックファイトではタイファイターの風圧を顔に感じる様な臨場感。(スピーカーからの音圧だったのかもしれないけれど…(^^;))。
 また宇宙空間の戦艦を描くシーンや、敵秘密基地の空間感覚等も立体感のあるとてもいい絵になっていて、センス・オブ・ワンダーを感じさせてくれました。

 3Dは吹替派なのだけど、その字幕も表示位置がキャラクターの前に寄せてあり、しかも内側を遠方にして若干奥行きもつけてあり、ステレオ視としては違和感が少なくなっていたのも幸いしたかも。

 特に3Dとして最高のシーンは、予告篇にもある、砂漠のスターデストロイヤーの廃墟を、レイが操縦するミレニアムファルコンでドッグファイトするところ。今までのシリーズ作品をリスペクトした上で、スターウォーズサーガの映像がアップデートした瞬間に目頭が熱くなりました。

 映画全体の感想は、スターウォーズというフォーマットの映画としては最上の完成度だと思った。過去作からのキャラクターやエピソード、戦闘で破壊された遺品の扱いと引用も素晴らしい。そしてそれにも増して魅力的だったのが、そのフォーマットに則りながらも新しく描かれた新キャラクターの新鮮さ。
 物語も、ルーカスがフォースのテーマに込めたものが上手く吸い上げられ今後の端緒が描かれルーカスリスペクトに満ちていたと思う。まさに次回作が楽しみ。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆以下、ネタバレ注意◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



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