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2017年7月

2017.07.31

■感想 デイヴィッド・リンチ監督『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』『もうひとつのローラ・パーマー最期の7日間』と『ツイン・ピークス』シーズン3


Twin Peaks: The Missing Pieces - Phillip Jeffries (Video Clip) HD - YouTube

ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間 - Wikipedia

"『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』(Twin Peaks:Fire Walk with Me)は、1992年のアメリカ、フランス合作映画。 テレビドラマシリーズ『ツイン・ピークス』の前日談として映画化された作品。 ドラマ版には登場しない、キーファー・サザーランドやデヴィッド・ボウイが捜査官役で出演している。

 シーズン3製作が発表された2014年には未公開カットをリンチ自身が再構成した"Fire Walk with Me - The Deleted Scenes"が発表。4K修復ブルーレイBOXに映像特典として付属している。WOWOWプライムでは2017年7月1日に「もうひとつのローラ・パーマー最期の7日間」のタイトルで無料放送された。"

 最近『ツインピークス』の記事ばかりで、シーズン3を観てない方には申し訳ないです。自分としてはリンチ新作の素晴らしい出来に(以前の『ツインピークス』に対して数倍のリンチ映像としての切れがあります。リンチ映画作品と比べても上位に来るのかも)、ひさびさに脳髄がピーカーというか、リンチ脳となって侵されているため(^^;)、しばしお付き合い願えると幸いです。

 今回は、先週までの旧作29章全部再見に続き、『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』と『もうひとつのローラ・パーマー最期の7日間』を観たので、その感想と、WOWOWの正式放映開始第二回、『ツインピークス』シーズン3 第2章を観た感想です。

 まず『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』は、前半のテレサ・バンクス事件と、そのFBI捜査官チェスター・デズモンド、そしてデイヴィッド・ボウイ演じる同捜査官フィリップ・ジェフリーズのシーンがなかなか興味深い。

 その後のローラの殺害前を描く本篇は、ある意味、テレビのシーズン1,2で視聴者が頭の中にイメージしていたローラの死を追体験するに留まり、それ以上の飛躍はなく少し残念。映画公開時の客の入りと低評価の理由もそんなところにあるのではないだろうか。

 そしてリンチがシーズン3の制作を発表した後に、自身で編集しリリースした『もうひとつのローラ・パーマー最期の7日間』。これについてはそのほとんどが、他の映画ソフトに特典として収録される未公開シーンと何ら変わるものではない。ほとんどカットされたシーンを羅列してあるだけで、新たなストーリーがそこで述べられているわけではない。

 ただし、ラスト数分だけは違う。
 ここで描かれるのは、シーズン1,2のラストである第29章のその後を描いていて、ピーカー必見。

 あのラストで、アニーが現実へ戻った後、病院での姿が描かれます。
 そして第29章のラスト、洗面所の鏡で頭を割ったクーパーのその後のエピソードが数分。ここで登場しているのが明らかにワイルドなクーパーで、ホークたちを騙すような様子が描かれている。

 これは1992年に撮影されていただろうシーンで、当初からの構想にあったかもしれないけれど、ここでシーンとして公開し復活させたのは、明らかにリンチがシーズン3に繋ぎやすくするための伏線を仕込んだものと思われる。

 ということで『もうひとつの最期の7日間』、重要な一本となるのだけれど、現在これは『 ツイン・ピークス 完全なる謎 Blu-ray BOXの特典としてか、WOWOWの再放映を待つしかない。

 WOWOWでは、ちょっと先ですが、再放送は17.9/5(火)午前7:30〜の予定。

★★★以下ネタバレ注意★★★★

 『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』において、現実から消えたチェスター・デズモンドとフィリップ・ジェフリーズの行方は? 果たしてシーズン3で何らか描かれるのか。シーズン3 第2章の感想を述べながら少しその点についてメモ。

 第2章は何と言ってもブラックロッジのシーンが長い(否定的にではなく)。
 登場するローラとマイクとそしてリーランド。「私は腕」だの「腕」もまさにリンチアート。彼が叫ぶ「存在しないーー」という言葉、そしてクーパーがニューヨークの箱へ転移するシーンが本篇の白眉。

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 『ローラ・パーマー もうひとつの最期の7日間』のラストのクーパーは、シーズン3の現実世界にいるワイルドなクーパーに続く。ここを続けてみるとこのワイルドなクーパーは「ドッペルゲンガー」であることは明白。おそらくシーズン2の第29章で現実へ戻り、ホテルの洗面の鏡にクーパーとして現れたのはドッペルゲンガーで本物?のクーパーは25年間赤い部屋に閉じ込められ、シーズン3 第2章で25年ぶりに外へ出られたのでしょう。

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 あと気になったのは、ワイルド・クーパーが変な通信機で喋る相手、フィリップ・ジェフリーズを名乗る男に、クーパーは「そっちは今も行方不明か?」と聞く。そしてその男が言う「ガーランド・ブリックス少佐にあったんだろ」「明日お前が戻るなら、俺はボブといる」というセリフ。

 フィリップ・ジェフリーズは『ローラ・パーマー 最期の7日間』でデイヴィッド・ボウイが演じたFBI捜査官の名前で、フィリップ捜査官とガーランド少佐でワイルド・クーパーが前作につながっていることがわかる。ここが今後、どんな展開になるか、ひとつの見どころだろう。

◆関連リンク
Twin Peaks: The Missing Pieces - Doppelganger Cooper (Video Clip) HD - YouTube
 『ローラ・パーマー もうひとつの最期の7日間』でのラストシーンのクーパー。
Twin Peaks: The Missing Pieces - Annie & Dale Cooper (Video Clip) HD - YouTube
 同、アニーの姿。
『 ツイン・ピークス 完全なる謎 Blu-ray BOX(数量限定生産)(10枚組)』

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2017.07.26

■感想 双子がつくる悪夢的ビジョン「クエイ兄弟 ー ファントム・ミュージアム」展 The Quay Brothers Phantom Museum|松濤美術館

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クエイ兄弟 The Quay Brothers|松濤美術館

"7月16日(日)~22日(土):『ストリート・オブ・クロコダイル』のデコール撮影可能!

 予想を上回る多くのお客様にお越しいただいておりますクエイ兄弟展ですが、いよいよ閉幕が近づいて参りました。
これまでのご好評に感謝し、また先日兄弟の誕生日に、『ヤン・シュヴァンクマイエルの部屋』のデコールが当日にのみ撮影可能となった企画に対して、多数の喜びの声をいただいたことを受け交渉を重ねてまいりましたところ、このたびポスター・チラシに使用しているメイン画像の『ストリート・オブ・クロコダイル』のデコール←の撮影許可が下りました。

 7月16日(日)~22日(土)の間、展示室で『ストリート・オブ・クロコダイル』のデコールを撮影していただけます!"

 「クエイ兄弟 ー ファントム・ミュージアム」展、鑑賞してきました。
 期間限定で撮影可ということで、3D撮影したい!と強烈に思い、ちょうど21日が本業の東京出張というチャンス(^^)で、3Dハンディカムを持って、会場となる渋谷 松濤美術館に行ってきました。金曜は20時まで開館ということで出張が終わってからも余裕を持って観ることができました。

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 撮影可だったのは「ストリート・オブ・クロコダイル」のデコール2点。ダゲレオ出版から出ていたビデオソフトで20数年前に初めて観た悪夢に、鮮明な形で再会したような生々しさ。

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 その他のデコールやオブジェもその立体的な迫力は最高で、まるで三次元の絵画に出会ったような、角度によっていろんな表情を見せる多様なイメージに目眩……w。

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 会場で「ストリート・オブ・クロコダイル」他映像の上映も実施されていて、久々に再見するも、今観たパペットのリアルな迫力に映像は明らかにスケールダウンしていて、現実に存在する悪夢の禍々しさに感嘆。

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 ツインズの悪夢は、リンチのブラックロッジとも明らかに通底しています。出来るものなら帰りたくない悪夢。3D撮影でデコールの多層空間を鞄に入れて、なんとか会場から離脱しました(^^)。

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◆関連リンク
The Quay Brothers, 籾山 昌夫『クエイ兄弟 ファントム・ミュージアム』
 当展示会の図録。なかなか充実した作品紹介になっています。

・あとは資料的に、当日いただいた展示品リストとチラシを記載します。

続きを読む "■感想 双子がつくる悪夢的ビジョン「クエイ兄弟 ー ファントム・ミュージアム」展 The Quay Brothers Phantom Museum|松濤美術館"

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2017.07.24

■感想 デイヴィッド・リンチ他監督『ツイン・ピークス』シーズン1,2 序章〜29章


ツイン・ピークス 完全なる謎 Blu-ray BOX 予告編 - YouTube

 『ツイン・ピークス』シーズン3に備えて(少し遅いがw)、シーズン1,2の全てのエピソード 序章〜29章(WOWOW吹替版)を先週末から観はじめて日曜(7/23)に見終わりました。特にこの土日で8話から29話までいっき見をして、まさにマラソン完走状態でへばってますw。

 へばっているけど、記憶の鮮明な今ならどのシーンを語られても付いていける自信あり(^^)。もう来週になると記憶は赤いカーテンの向こうに消えていくでしようが、、、。

 序章から16章までが「ローラ・パーマー」篇。その後〜29章が「ウィンダムR」篇とでも呼べる様な大きな変化があります。(wikipediaのあらすじにある「第一部」「第二部」「第三部」の記述は明らかに、話数とストーリー内容が合ってないし、いいかげんです。参考にするには、全エピソードのあらすじを載せた英語版wikipediaがお薦めです)

 デヴィッド・リンチが監督したのは、「ローラ・パーマー」篇は序章と第2, 8, 9, 14章(序章〜8章は脚本にもリンチがクレジット)。主に奇想部分はほとんどがリンチの担当分になっているため、凄くリンチ自身のやりたかったことが明確。

 そして「ローラ・パーマー」篇は、16章で見事にほぼ伏線から謎までほぼ回収できているようにみえる。ここで終わっても良かったのでは、というのが僕の感想。

 「ウィンダム・アール」篇はリンチ監督部分は最終話 29章のみということで、明らかにリンチテイストは薄く、マーク・フロストや脚本をいくつか担当しているロバート・エンゲルスの作品と言っていいかもしれません。で、「ローラ・パーマー」篇とはほとんど話は繋がっていなく、別の物語と考えてもいい。

 ブルーブックとかアブダクションとか洞穴とか出てくるけれど、このあたりのヴィジョンはリンチではないような雰囲気。

 さすがに29章はブラックロッジ=赤い部屋が舞台なので、リンチテイストmax.なのだけれど、それでもシナリオはリンチではなく、マーク・フロストとロバート・エンゲルスとハーレイ・ペイトン。出来上がった作品は映像から物語までリンチテイスト全開なので、どれだけシナリオが作品に残ったかは不明。

 以前、通しで観た時は、もっと全体の謎がモヤモヤと残ったような気がしたのだけれど、今回、かなりスッキリとしたストーリーに見えた。ただし29章が赤い部屋を描いて「ローラ・パーマー」篇へ強く繋がりを付けて、クーパーの恋人アニーがどうなったか、とかラストの笑うクーパー/ボブがこの後、一体どうなるかとか、謎を放置して余韻を残す(?)形をとっているため、そのことでツイン・ピークス全体が謎を多く残して終わった印象になっているのも、確認できた。

 というところで、あと『ローラ・パーマー最期の7日間』とその未公開シーンをリンチがまとめた『ローラ・パーマーもうひとつの最期の7日間』が残っているけれど、これは来週末に観ようかと(もう今週末はお腹いっぱいw)。

 いよいよ7/22からWOWOWでシーズン3が毎週1本づつ放映となったわけだけれど、先行で既に放映された1-4話を観る限りでは、リンチテイストは「ローラ・パーマー」篇の各リンチ担当回よりも数倍アップしていて、既にソープオペラ的テイストはほとんど薄まっている。

 むしろシーズン1, 2の物語と登場人物を利用した、別のリンチ作品と考えたほうがいい位、ぶっ飛んだ映画になっているというのが僕の感想。

 なのでシーズン1, 2を観ていなかったリンチ映画ファンも、シーズン3だけは観たほうが良いのではないか、というのが今のところの僕の感想です。

◆関連リンク
『 ツイン・ピークス 完全なる謎 Blu-ray BOX(数量限定生産)(10枚組)』

"<新収録特典映像(すべてHD)>
1. 劇場版 削除シーン集&もうひとつのシーン集...リンチがこの゙ブルーレイBOXのために監督・編集し約90分にまとめた映像作品(「ツイン・ピークス もうひとつの ローラ・パーマー最期の7日間」として放送)
2. チェリーパイを食べながら:デイヴィッド・リンチとキャストらの語らい(新たに撮影した特典映像が追加で入ります。)
3. 『 ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』の思い出
4 .「ツイン・ピークス」の世界(英語版) 他"

『 海外ドラマFan! ツイン・ピークス大特集 (別冊宝島)』
 こちらには全エピソードのあらすじと各話ポイントが記されています。資料価値ありかと。

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2017.07.19

■感想 「ゴジラ展」@ 名古屋市博物館

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特別展 ゴジラ展|名古屋市博物館

"会期  平成29年7月15日(土)~9月3日(日)                

開館時間  9時30分~17時00分(入場は16時30分まで)

休館日  毎週月曜日・第4火曜日(7/18、24、25、31、8/7、21、22、28)※8/14は特別開館
会場  名古屋市博物館  名古屋市瑞穂区瑞穂通1-27-1
TEL.052-853-2655 FAX.052-853-3636"

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 ゴジラ展、猛暑の中、行ってきました。
 まずは冒頭の写真は、会場入り口とそこに置かれていたミニチュアセット、そして名古屋市博物館への通路に貼られていたポスター(内部の展示品の紹介パネル)。
 会場内について撮影は基本禁止でしたが、2作品のみ撮影可でした。

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 その2作品は「シン・ゴジラ」の全身造形と東京駅ミニチュア、「ゴジラ×メカゴジラ」(02年)のゴジラスーツ。これらについては3D動画も撮ってきたので、造形の立体感をどこかでお見せできると良いのですが、、、。

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 『シン・ゴジラ』については、他にも撮影禁止でしたが、幻となったアニマトロニクスの上半身像(高さ184×幅151×奥行220cm)が展示されており、凄い迫力でした。さすがにディテイルは残念ながら竹谷隆之氏の造形を取り込んだCGのリアルな迫力には敵わないのですが、この大きさの現物の迫力は特筆。大画面でこのアニマトロニクスの特撮も一度眼にしたいものです。

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 会場で配られていた作品リストと会場見取り図。
 コンパクトな会場ですが、作品リストによると展示総数は約350点ほどと充実したものになっています。

 僕は、今まで拝見したことのなかった怪獣イラストの原画。開田裕治さんの原画8枚と生頼範義さんの4枚が見られたのも収穫でした。開田さんの「魔獣降臨」と生頼さんの「ゴジラFinal Warsポスター原画」が迫力!

 あと特撮博物館にも展示されていた『日本沈没』の深海潜水艇「わだつみ」とか、『ゴジラ』(1954)のラストで出てくる「オキシジェンデストロイヤー」とか「潜水帽」とか思い入れのある作品の"本物"が見られたのも収穫。

 酒井ゆうじ氏による『ゴジラ2000 ミレニアム』造形とか、歴代作品の造形が実は着ぐるみスーツよりも映画のイメージをその形状に定着していて、素晴らしい出来に感激して見てました。

 ゴジラ作品、平成後はあまり見ていないのだけれど、これを機に見てみようかと思った次第。

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2017.07.17

■感想 米林宏昌監督『メアリと魔女の花』


「メアリと魔女の花」予告2 - YouTube

 米林宏昌監督『メアリと魔女の花』@各務原イオンシネマ、観てきた。

 エンドクレジットで「感謝 高畑勲 宮崎駿 鈴木敏夫」と表記されていたが、まさにスタジオジブリという豊穣な土壌に咲いた見事な果実。

 冒頭の畳み掛ける様なアクションから雷雲の中の不可思議な町まで素晴らしいイマジネーションとアニメートで、アニメーション映画としての完成度は、ジブリ作品と比べても水準以上というか、作画レベル,完成度は歴代ジブリ作品と並べても、トップ5位には入る見事な出来ではないか。

 隙のないアニメートと情感を湛えた霧にむせぶ森の描写等、みどころも多い。物語はストレートに幻想みとアクションが融合、さらにテーマ的にもジブリの正当な後継となっていて、人間の前向きの可能性を謳いあげていて万人に楽しめる作品になっている。

 というのが一般的な感想。

 宮崎駿ファンとして観ると、クライマックスに少し物足りなさもある。宮崎作品のどこかねじれるような情念というか複雑さというかそうしたものとはやはり距離があるように思う。宮崎の中に蠢いている闇とか光とか、あのコンプレックスな渦のようなものがないのが、米林作品にどこか物足りなさを感じる理由なのかもしれない。
 おそらく作家としてのそうした資質は違うのだろうから、米林監督らしい作風にさらに磨きがかかることが楽しみ。

 そしてまず今後この作品がどこまでヒットするか、一般的な感想として述べた部分で広くジブリファンの心を掴むのか、それとも実は今までのジブリファンも宮崎の複雑さに惹かれていたのか、そこらあたりがどう受容されていくかをみるのも、ファンとして楽しみである。

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2017.07.12

■感想 『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 第3話


Twin Peaks - The Cactus Blossoms ("Mississippi") - YouTube

 『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 第3話、WOWOW録画見。  テレビドラマでありえない実験的な前半と通俗的な場所でのコメディ、今回も見せてくれます。



★★★★ネタバレ注意★★★★




 冒頭の転移するクーパーのシーケンス、今回はなんと宇宙に浮かぶブリキの箱と、その屋上の釣鐘状の何か、そして両目を封印された裕木奈江(たぶん。クレジットに"NAIDO"役とある)と彼女の宇宙への落下。「青い薔薇」をつぶやく宇宙を漂うスキン・ヘッド。

 ブリキの箱のへやをノックし続け最後まで現れない驚異の"女の母親"。
 リンチ的オブジェクトに吸い込まれ、RANCHO ROSAと名付けられた町へさらに転移するクーパー。苦しむワイルドクーパーと新登場の3人目の太ったクーパー(左腕がしびれているダギィ・ジョーンズ)。入れ替わりに赤い部屋のソファに現れたダディはいっきに痩せ、そして黒い煙となって消える。

 RANCHO ROSA近郊?ラスベガスのカジノ Silver Mustangへ、黒人娼婦の車でもうろうと移動したクーパーは、スロットに赤いカーテンの幻影を見る。そこにチップを投入し次々に大きな当たりを取るクーパー。ここは赤い部屋の運用としてとても通俗的で爆笑してしまった。おふざけテレビ局コメディ『オン・ジ・エア』を思い出させる怪作ぶり。

 あまりのコメディ的不条理展開にあきれているとシーンは一転、ツインピークス保安官事務所。アンディとルーシーとホークは何か無くなったものを探している。ルーシーが証拠品のウサギのチョコを食べてしまったことを告白。このくだりのコメディも素敵。

 ついに登場する、FBIフィラデルフィア支部のリンチ演じる大声のFBI副支部長ゴードン・コールとアルバート・ローゼンフィールド。ニューヨークのガラスの箱の事件の報告をクリスタ・べル(こちらもリンチの歌姫)演じるタミー捜査官から受けている時にクーパーから入る電話。ゴードンの部屋のキノコ雲とフランツ・カフカの肖像写真が印象的。サウスダコタのブラックヒルズへ向かう3人。

 BANG BANG BARで歌うThe Cactus Blossoms "Mississippi"、今回はリンチのもう一つの音楽趣味であるフイフティーズなテイスト。

 このメモだけ見た人は一体、どんなドラマと思うだろう。凡百の不条理ドラマの枠外を突っ走り続けるリンチワールド。もはや『ツイン・ピークス』の続篇ということはわずか1/5ほどしか意識されず、あと15時間以上続くリンチシュルレアリスムドラマの行く末をワクワクして見守りたい。

◆関連リンク
Part 3 | Twin Peaks Wiki | Fandom powered by Wikia
 ファンサイト、Season 3 第3話の詳細記録。

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2017.07.10

■感想 『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 第2話


CHROMATICS "SHADOW" - YouTube.

 『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 第2話、WOWOW録画見。
 第2話もリンチ節全開。リンチアートから音響まで、テレビドラマとは思えないシュルレアリスティックな世界が今回もしっかり提示されています。

★★★★ネタバレ 注意★★★★







 前半、今回はサウスダコタでの第1話の事件とワイルド クーパーが描かれる。クーパーの悪が全開。

 そして赤い部屋、現れる「時々腕が後ろへまわる」と言うローラと、謎の腕を名乗る木。木の上の不気味な顔は、『イレイザーヘッド』につながるリンチアートでよく出てくる肉塊である。

 圧巻は「存在しない」と宣言されて起こるクーパーのサウスダコタへの転移。そしてニューヨーク。第1話と物語がこうして繋がっていく。

 その後登場する「Bang Bang Bar」、CHROMATICS "SHADOW" (冒頭に引用した動画) が素晴らしくリンチのシュルレアルに適合する。第1作からの登場人物ジェームスの25年後の、いまだ憂いをたたえた姿。最高潮にSeason 3の開幕を讃える第1話と2話だ。

 CHROMATICS、本作は『ブルー・ベルベット』とリンチの歌姫 ジュリー・クルーズに捧げた曲となっているが、他の曲もリンチテイスト満載ですね。

◆関連リンク
・Part 2 | Twin Peaks Wiki | Fandom powered by Wikia
 ファンページ。Season 3 第2話の詳細。

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2017.07.05

■動画  『ツイン・ピークス』ペンデレツキ「広島の犠牲者に捧げる哀歌」:TWIN PEAKS 2017 - The atomic bomb


TWIN PEAKS 2017 - The atomic bomb (July 16, 1945) - YouTube

 ネタバレになるかもしれないが、どうやらこれはデイヴィッド・リンチが『ツイン・ピークス  The Return』(Season 3) 第8話                 の映像として撮った原爆実験の映像らしい。

 クレジットを見ると、ニューメキシコホワイトサンズで実施された人類初の核実験であるトリニティ実験 (Wikipedia)の原爆爆発シーンを再現したものらしい。

 BGMのポーランドの作曲家 クシシュトフ・ペンデレツキ広島の犠牲者に捧げる哀歌」と相まってリンチ監督による映像が凄まじい。
 恐らく史上最恐の原爆実験映像 (詳しい情報を探すとネタバレを読みそうなので探索はここまでに留めます。)

■関連リンク
 『ツイン・ピークス  The Return』(Season 3)に登場する多数の楽曲がYoutubeで公開されています。聴いているだけであの赤い部屋へw。


Twin Peaks - The Cactus Blossoms ("Mississippi") - YouTube.


Twin Peaks - The Cactus Blossoms ("Mississippi") - YouTube.


Twin Peaks - The Cactus Blossoms ("Mississippi") - YouTube.

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2017.07.03

■感想 『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 第1話

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ツイン・ピークス The Return|ドラマ|WOWOW
 『ツイン・ピークス The Return』(Season 3の日本タイトル)第1話がWOWOWサイトでネット無料配信中。

 僕は昨晩の無料放映を録画したもので第1話、さきほど観ました。

 『ツイン・ピークス』ファンとして25年ぶりの新作ということよりも、むしろデイヴィッド・リンチの『インランド・エンパイア』から実に11年ぶりの映像長篇新作というところがポイント。この日をどんなに首を長くしてまってきたか(^^)。

 まずはリンチ映像として語ると、11年の間、映画でなくアート作品を発表し続けていたリンチの絵画的なセンスが、新たな映像としてその画面に息づいているという感想を持った。

 もちろん旧作で用いられていた絵画的モチーフも今回健全なのだけれど、特に印象的だったのがニューヨークの高層ビルの一室に設えた謎の実験室の映像と、サウスダコタ州バックホーンを舞台にしたある事件の描写。

 前者の部屋は、まさにリンチのあの絵画世界が現出したような空間、黒っぽい茶を基調としたリンチアートの雰囲気が濃厚に出ている謎の実験室(特にその無機質な壁)。そしてそこで起こる事件の描写が鮮烈。

 『ロスト・ハイウェイ』のサイコジェニックフーガのシーンを一歩進めて先鋭化したイメージ。そこに援用されるリンチ絵画のテイスト。見事な映像への回帰。
 後者もまた鮮烈な殺人描写なのだけれど、そこに色濃く出ているのが、フランシス・ベーコン的な肉体の変容。

 ネットテレビだからこそ連続ドラマで実現した過激な描写なのだけれど、もうベーコンがその撮影現場に来て、自ら人体の形状と色の描写を手がけたのではないかという凄い出来。

 物語の広がりと25年の登場人物たちの経過よりも、それらのシーンが強烈に新しいリンチのドラマの開始を謳いあげ、まさに素晴らしいスタートを切る第1話となっていた。

 今回バダラメンティの新作音楽よりも印象的だったのが、上記シーンでも効果的に使用されていたノイズサウンド。サウンドデザインがクレジットによるとリンチ自身なので、まさに作り込まれた音像としてのリンチアートが強烈な精彩を放っている。

 このまま、18本、全てがリンチ監督作として描かれるシリーズに大いなる期待を持てる1本でした。  今夜、WOWOWでは2-4話も先行放映されるが、明日からの一週間の仕事と、イッキ見することが勿体なくて、僕は録画して週末を待つことになりそうです。

◆関連リンク
・当ブログ記事 主に『インランド・エンパイア』以降のアート関連
 ■感想1 個展『デヴィッド・リンチ展 ~暴力と静寂に棲むカオス』(DAVID LYNCH "CHAOS THEORY OF VIOLENCE AND SILENCE")
 ■作品集『デヴィッド・リンチ展 ~暴力と静寂に棲むカオス』

■感想1 デヴィッド・リンチ「DARKENED ROOM」展@コムデギャルソン大阪 Six
 ■感想2 映画 「デヴィッド・リンチ「DARKENED ROOM」展@コムデギャルソン大阪 Six
 ■感想3 絵画 デヴィッド・リンチ「DARKENED ROOM」展@コムデギャルソン大阪 Six 

■情報 デイヴィッド・リンチ展@渋谷ヒカリエ8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery
 ■デイヴィッド・リンチの展覧会 コムデギャルソンアートスペースSixで開催!!

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