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2017.10.09

■感想 『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第11話


Twin Peaks Season 3 - SHAWN COLVIN "Viva Las Vegas" (OST Soundtrack) - YouTube

22281704_1878651479131104_234151370 第11話、しびれました。

 特に素晴らしかったのが、ダギーがリムジンに乗って砂漠へ移動するシーン。冒頭に引用したショーン・コルヴィン「ラスベガス万才」の曲がカジノの街に流れ、砂漠の空撮に切り替わっていくシーン。

 前半の異世界との境界を描いたシーンと後半のダギーに迫るサスペンス、おそらくこの前後二つの、キリキリと迫ってくるシークェンスの間にこのシーンが置かれたことで、独特の雰囲気と音楽と街を走る映像の、絶妙のミキシングがもたらした一種の映画の魔法的な瞬間。

 右上の静止画引用、何でもないアメリカの街を走行するだけなのに、デイヴィッド・リンチマジック、恐るべし。

 今回全体のストーリーは、吃驚するは、ドキドキするは、大笑いするはで、感情の起伏が激しく、クライマックスでは一人で観ていたのに、声を出して笑ってしまった。リンチ、フロストの手腕にまんまとはまり、(さらに)本格的に中毒になってしまったw。ある意味、あの8話よりもドスンと来たかも。

 やはり『ツイン・ピークス』の真骨頂は、奇想の暗黒面とある種、突き抜けたブラックコメディの絶妙のミキシングにあったのだと痛感。ツインピークスの双峰は、この暗黒面とコメディの2つの拮抗なのかもしれない。



★★★★★★★ネタバレ、注意★★★★★★★★



 
 今回の白眉は、チェリーパイ〜。最高だ〜。まさかのシーンについに登場。
 僕がひとりで笑ってたのは、そのシーン。ミッチャム兄弟の愛らしさも格別で、特にジム・べルーシの夢を語る真剣さとまさかのチェリーパイ。ここで笑い出さないピーカー/ピキは、明らかにモグリです(断言、(^^))

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 チェリーパイは、片腕の男に誘われて手に入れたよう。この店は同僚のフィルがいつもダギー・クーパーにコーヒー買ってくる店なのかな?

 このシーンの、イスの色使いのセンス、そしてこの構図。ブッシュネル(バドリング)・バド・マリンズ社長の部屋のデスクとかも素晴らしいけれど、まるで60年代のようなこうした空間造形もリンチアートの魅力だ。まるでアメリカ絵画から切り取ったような見事なシーン。

 ネット検索したら、アメリカのツインピークス関連掲示板に、この店名"SZYMONS"の太いZが、ブラックロッジの床に呼応してると書き込まれていた。不思議な店名にもそんな謎が埋め込まれているのか。

 チェリーパイで思ったのが、もしラストがバーでなくカフェで、クーパーがチェリーパイと一緒にコーヒーも飲んでたら、ついにはダギーからの覚醒が待っていたのか。ここはとても気になる。

ショーン・コルヴィンの“Viva Las Vegas”
・この曲は、コーエン兄弟の『ビッグリボウスキ』のサントラとして1998年にリリースされた曲の様。 この曲自体はエルヴィスプレスリーが歌ってたオールディーズ。リンチはこういう使い方も抜群にいい。
・元曲はプレスリーが1964年にリリースした曲で、『ラスベガス万才』という映画も同年プレスリー主演で公開。
・ビッグリボウスキでは、コーエン兄弟によって、このように哀愁があるエンドクレジットの曲に。
・プレスリーの曲は冒頭からハイ。ショーン・コルビンのはイントロがマイナーな感じで素晴らしい。ダギー・クーパーにピッタリ(^^)。
 でも11話で使われたシーンをよく聴くと、実はこのイントロが入っていない。ヴォーカルの冒頭がいきなり、クーハーが乗ったリムジンを見送るブッシュネル・マリンズ社長映像にかぶる。あえてマイナーなイントロをカットしたリンチの音響設計、両方を映像にはめ直して比較試聴してみたいものだ。

◆エトセトラ
・ラストの曲、バダラメンティ“Heartbreaking”、ダギーがチェリーパイの味とともにこのピアノを聴いて何を思い出して涙ぐんだのか考えると切ない。どんな記憶を思い出したのか…。
・twitter 見てたら、このピアニスト、バダラメンティ御本人というコメントがあった。『マルホランドドライブ』で出演した時と随分雰囲気が違う。エンドクレジットには、ピアニストとしてバダラメンティの名は出てこないのでこれは間違いではないだろうか。顔もずいぶん違うし。

・ミッチャム兄弟がいた砂漠は8話で映像化されたトリニティ実験のニューメキシコ州ホワイトサンズではないか。廃屋の壊れ方がいかにも爆風に飛ばされた様。ラスベガスからは300kmくらい離れてるけど、ありえない距離ではない。(爆心地の立ち入りが現在どうなっているのか、よく知らないのだけれど、、、)

・ダギー・クーパーを観ていて今回、思い出したのが、ハル・アシュビー監督、ピーター・セラーズ主演の『チャンス』。知的障害の主人公が、おうむ返しと片言の言葉で、周りの誤解で特別な人間と認められていくところがダギー・クーパーにそっくり。今回のおばあちゃんに「特別な人よ」と言われるところで思い出た。

・シェリーは、ブリックスの苗字のまま、レッドにべったり。ヤクにやられてるのか?この母にしてこの娘ありなのか。ボビーもかわいそうだ、3人に今まで何があったのか?

・キャンディーズは、キャンディー、マンディー、サンディーってクレジットされている。

・同じくクレジットとtwitterから拾った情報。ガーステン ・ヘイワードという名がある!ドナの一番下の妹がどうやらスティーブンの浮気相手らしい。

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・ペンデレツキのあの曲が今回もクレジットされていた。空の異世界シーンに使われてたのかな。ホークの「生きている地図」 に示された黒い火、まさか核兵器のことではないだろうか?

・あの空間が刑事とタミーに見えなかったのは、座標の問題ではないかと推測。越境してくるウッズマンはダイアンには微かに見えてた様でどう見える/見えないを線引きしてるかは不明。

◆関連リンク
このtwitterの書き込みと引用画像が興味深い。

"映画秘宝10月号で滝本さんとヨシキさんが語っていた、ルースの死体の元ネタってコレか。 マルセル・デュシャン『①落下する水、②照明用ガス、が与えられたとせよ』"

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