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2018.01.24

■感想 『磯光雄 ANIMATION WORKS vol.2』

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【正式告知】C93で「磯光雄 ANIMATION WORKS vol.2」が発売! 大ボリュームの384ページ!! | WEBアニメスタイル(公式HP)

" 磯はアニメーターとして『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』『おもひでぽろぽろ』『新世紀エヴァンゲリオン』『BLOOD THE LAST VAMPIRE』等に参加。その仕事は尖鋭的であり独創的。彼が生み出した表現は、クリエイター達に多大な影響を与えてきた。(略)

 『走れメロス』『新世紀エヴァンゲリオン[TV版]』『PERFECT BLUE』『BLOOD THE LAST VAMPIRE』『ラーゼフォン』『ひるね姫』の原画を収録。

 本書はB5サイズで、ページ数は「vol.1」より大幅にボリュームアップし、384ページ。 「vol.2」もカラーの素材があるカットは、カラーで掲載。また、各カットで描かれた原画は省略することなく、全てを収録することを編集の基本的な方針とした。彼の濃密な仕事を楽しんでいただきたい"

 年末にネット予約していた『磯光雄 ANIMATION WORKS vol.2』先行予約特典『Flip Book』付が届いた。 全384ページという大部の原画集。

 上記引用したように、各カットごとの原画が全部収録されている。そしてそのタイムシートも付いているため、まさにアニメーターの絵の細部とその動きのノウハウを確認することができる。

 原画を順に追いながら、タイムシートのコマ割りをみて、頭の中で動画として再生する。タイムシートによると原画が基本3コマごと続き、所々2コマだったり1コマだったりする。

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 やはり『エヴァンゲリオン 第19話「男の戰い」』の使徒喰いシーンの全原画が圧巻!『エヴァンゲリオン』の中でも屈指の名シーンである。
 あの霧中の山の中での幽玄なシーン。その異形の存在を縦横に描いたのが磯のアニメートであることは有名で、いくつかの原画は今までも雑誌等に紹介されていた。
 しかし今回、その原画の多数が掲載された。僕はこのシーンの原画を観たくて、この本を買ったようなものだ。

 エヴァの異形を4足歩行と使徒を喰う顔のアップで描き出したその原画。
 ポーズの奇想と動きによる異物感。異様な口の動きとその内部の興奮を表現した眼の動きの奇形。

 庵野のコンセプトを摩砂雪が絵コンテとして起こし、磯の脳内の映像が結実した原画。おそらく日本奇想映像の中でも屈指のこのシーンの原型が知れる貴重な書籍である。

◆インタビュー「収録作品について Author's Notes」
 磯光雄氏へのインタビューが巻末に4ページ掲載されている。
 興味深い内容が多数述べられているが、特に面白かった部分を以下一部抜粋させて頂く。

"自分の動きは身体と頭の中にあって、それを絵の形でダウンロードするというか。(略)
ロトスコープのアニメ作品をひたすらエンドレスで再生して観ていた時期がありました。同時にカートゥーンっぽい動きの作品もエンドレスで流して、カートゥーン的な誇張した動きと、リアルな重量感が脳内で交じり合っていましたね。そういったものが自分の動きの起源の一つになっています。

素振りと同じようなことだと思うんですけどね。(略)
絵を描くのもスポーツと同じ身体的な作業なのかなって。同じ動きを繰り返し観てると、実写とか現実に目撃した動きからも別な動きが見え始めるみたいな。(P380)

(エヴァの頃に触れて)
3コマでも全原画を精神を研ぎ澄まして描けば、フルアニメーションはできるはずだと。それは枚数が多ければいいんだという当時の常識に対する反抗で、パンクの精神でやっていたわけです。ただ、今観るともうちょっと中割りを入れたほうがよかったかな(笑)。(P381)"

 磯の脳内映像がどう形作られ、それが身体感覚として原画に結実するメカニズムの一端に触れたような貴重な記録である。このレベルでアニメーションの原画生成の秘密が語られることは滅多にないため、素晴らしく味わい深い記述。磯の演出家としての客観視点が、超絶アニメータの原画生成の秘密を分析しているのだろう。
 (タイプの違うアニメータであるが、金田伊功が生きていて磯光雄と対談して、金田のアニメートの秘密が探られていたら、、、という夢のような想像を僕は禁じ得ない。生前に磯が金田にそうした聞き込みをしていたら、是非公開してほしいものである)

 あと、最近進化しているデジタル技術について、後半『BLOOD』や『ラーゼフォン』『ひるね姫』での、デジタル作画/エフェクトについてのコメントも大変に興味深い。磯によって作られた手法もあるようで、未知の大陸に挑む姿勢がとても頼もしい。

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 先行予約特典のフリップブック(パラパラ漫画帳)は、全140ページで、片面づつで原画が連続して掲載されている。各70ページづつのパラパラ漫画になっている。
 爆発の煙の躍動感等、こちらも楽しめる素晴らしい出来である。

◆関連リンク
『磯光雄 ANIMATION WORKS vol.2』
  ※ Amazonの商品はFlip Book付いてないのでご注意を。

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