« 2018年5月20日 - 2018年5月26日 | トップページ | 2018年6月3日 - 2018年6月9日 »

2018年5月27日 - 2018年6月2日

2018.05.30

■感想 静野 孔文, 瀬下寛之監督、虚淵玄原案,脚本『GODZILLA 決戦機動増殖都市』


静野 孔文, 瀬下寛之監督、虚淵玄原案『GODZILLA 決戦機動増殖都市』予告 - YouTube

  虚淵玄の絶望の破滅が加速。でもって哲学的絶望が進化SFしている。
 ナノメタルという設定でメカゴジラがまさかのSFに。『レディ・プレイヤー・ワン』の同キャラとは随分な違い(両方好きですけど)。

 そして前作の感想でも書いた硬質なCG映像とシャープな音響がこの哲学的絶望に最大限マッチして素晴しい効果を出している。このクールな物語を見事に盛り上げてる。

 CGのどこか非人間的な表現で、ナノメタルとの融合で新らたな進化を選びとる異星人「ビルサルド」と、人間の肉体に拘った地球人キャラクターの苦難。

 ある意味、『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』の絶望を超えている。サノスのシンプルな哲学(^^)と比べると何と深い絶望。人類の進化の到達点にいるゴジラとそれに対抗する、ロジックの神メカゴジラ。

Photo

 諸星大二郎の「生物都市」の描いた進化の恍惚と同類のものを描いた上で、それを否定。テクノロジーのエッジとして描いたメカゴジラの暴走はある意味、東宝メカゴジラの極北の姿として描き出している。見事な魂の継承と思うがどうだろうか。

◆関連リンク
『 彼方より―諸星大二郎自選短編集』
 諸星大二郎の手塚賞入選作「生物都市」が収録されている短編集

| | コメント (0)

2018.05.28

■詳細レポート(2) 『クエイ兄弟 ーファントム・ミュージアムー』展 スペシャルトーク「クエイ兄弟の夢の世界」滝本誠氏、赤塚若樹氏@ 岡崎市美術博物館

31949605_1988542231475361_533737759

開催中の展覧会「クエイ兄弟―ファントム・ミュージアム」 | 岡崎市美術博物館ホームページ

"スペシャル・トーク 「クエイ兄弟の夢の世界」
登壇者
赤塚若樹氏(首都大学東京教授) 「ふたりの好きなもの」
滝本 誠氏(映画評論家) 「クエイ兄弟の手作り魔術」
司会 岡崎市美術博物館学芸員 高見翔子氏
日  時  5月6日(日曜日) 午後2時~ 
(当日午後1時開場)
会  場  当館1階セミナールーム
定  員  70名 先着順 ※午後1時から整理券配布 聴講無料"

 スペシャルトーク、後半の滝本誠氏の講演とラストのお二人によるトークのメモ、続きです。iPadのメモと記憶を頼りに書いてますので、記録ミスもあると思います。文責は私ということで、読んで頂く際はご容赦ください。トップに引用した画像は、お二人が用意され会場で配布されたレジュメ(一部)です。

■滝本誠 「クエイ兄弟の手作り魔術」

Themetamorphosise1357514169980

・カフ力「変身」のザムザを表現した展示品。ザムサと部屋とベットとドア。クエイが想う形。このセットを、映像として完成させてほしい。スリルを感じた。
・フィラデルフィアでクエイと同時代を過ごしたはずのデイヴィッド・リンチも「変身」をシナリオ化している。2人ともフィラデルフィアでカフ力を発見。
・自分のイマジネーションの中で、クエイヴィジュアルで受けとっていた。
※写真は This Week In New York から引用させて頂きました。

・今買い展示されているドローイング、切断とか奇怪な夢を表現している。ブックデザインとか、噂は聞いていたがやっぱりというビジュアル。「クロコダイル」の頃に届かなかった情報。幻想力が入ってくる。

ジヤン=オノレ・フラゴナールの閂の絵からクエイが影響受けていると『映画の乳首、絵画の腓』に書いた。画家のフラゴナールでなく、解剖学者の従弟のオノレ・フラゴナールの影響であると、17年フラゴナ一ル博物館を初めて訪問して気づいた。クエイとフラゴナールで書き直した方がよい。

・パリ郊外にあるフラゴナール博物館、娘と2人で訪問した。人間の皮を一回はいでなめして頭蓋に張り付けたもの。荒俣宏氏も悲鳴あげた。余計な物を残しはりつけた。馬も凄い。1日楽しめるが、匂いがキツイ。ガラスの中から語りかける。女性に向いてると思う。(フラゴナール博物館については『荒俣宏の裏・世界遺産(3) 衛生博覧会を求めて』参照)

Perspektiva__brothers_quay_loplop_k

・今回の展示品で「変身」のデコールに加えて、持ってかえりたいと思ったのは「クロコダイル」のデコールと、アムステルダムで展示されたオプティカルボックス。この三点が特に良い。
・オプチカルボックスはマックス・エルンストに関係。箱の中を覗く展示、既に破棄されたらしいので残念でならない。13個の穴ごとに別の物に見えたかどうか。これは見たかった。
(リンク C3 video archive and media art collection catalogue
 滝本さんが見たいと言われていた「ロプロプの巣」と言われる引用画像のキュレーション。マックス・エルンストの「怪鳥ロプロプ」のための架空の装置。97年にロッテルダムで展示された。)

・人為的な透視図法、またはアナモルフォーシス。バルトル・シャイティスのアナモルフォーシスとしたかった。手紙が届いた日にバルトス・シャイティスが死んだと言われてる。

バルトル・シャイティスアナモルフォーズ 』(国書刊行会)、クエイのアトリエでサインしてもらった。流麗かつ円がどこかへ引きずり込む様なサイン。上がティモシー? 上から下へ見事にひきついで素早く書かれた。カリグラィーの様。アトリエのBBCからエアチェックしたカセットテープの山と彼らのカリグラフィーの筆致は同じ。それらもまたイラストで埋まってる。

・カリグラフィー.、カリカリという昔の極上のエクスタシー。「書道家」。

・アトリエ訪門、1994年、イメージフォーラムのクエイのビデオが1万円x1万本以上売れた。そのご褒美として、イメージフォーラムの富山女史(富山加津江氏)と滝本氏、94年8月にアトリエを訪問した。(ここからアトリエ訪問の写真をスライドで見せながらの講演)

・2 Fがクエイのスタジオで窓が開いてた。2人で同時に顔を出した、ツインズの歓迎。1 Fはハロッズに肉を卸してる解体配送業者。「ストリート・オブ・クロコダイル」のレバーの購入先か。

・当時、クエイはピーター・グリナウェイから、早く実写を撮れ、と言わえてた。そして初めての実写長編『ペンヤメンタ学院』の初号試写。

・アトリエ内、植物系の絵、すべからく枯れている。枯れてこそ造形美を発揮する。枯木もいくつもアトリエにあった。作品の素材として置いてある。枯枝の様なパペットを天上に張り、そこに作品吊るしてある。落ちてくると危険。カバーシーツのカーブの写真、この流れがクエイ。

・テーブルの花も枯れてる。当時、35mmフィルムで、2人で撮っていく。照明、幕を張っている。スタロヴィエイスキの目玉の「砂時計のサナトリウム」。

・コースターもクエイ的、ビニール袋に入れて、穴をあけて、室内の風雨にさらす。粉なごみ、匂い、コースターに浮かび上がる。トイレにカフ力のチェコ版?のペーパバック、つり下げてある。ホコリ等の付着を楽しむ。彼の幻想の中の東欧か。

・変身のセットのリアル、写真を見直していて、20年たって衝撃受けた。

・手作りカセット、BBCエアチェック、手作り快感.。山をなして存在。
・家っぽい造形、エゴンシーレの肖像の様なパペット。映像になってない物、天上にぶら下がってる。ブラっと崩れる夢見に入る様子、写真を見ていて昨日気づいた。枯木の痕跡。人体模型。陰毛、自分たちで貼り込んだ。造形物に加えることで楽しむ。

・DVDのインタビュー、球体人形の陰部に指を入れる所から。映像になってない物、いろいろ。キリストはりつけ、腐敗的描写。フィラデルフィア、ポーランド移民多かった、そこへ向かうDNAか。

・まとめ? クエイを楽しみましょう。

■おまけの30分
 時間を延長して、30分ほどの追加講演

・東欧について話した。この展覧会は葉山、渋谷、ここ、見え方が違う。調べ直した。

・黒の素描。70年代となってるが、ベルギーの資料では74〜77年と記してある。英語じゃなくポーランド語等。モチーフ、街頭、パンタグラフ、電線、高圧線、クエイっぽい。
・この岡崎市美術博物館から見える電線。線にラケットがかかっていればクエイの素描そのまま。

・77年、ポーランドヘ74年に初めて行ってる。8mmカメラで映画撮ってる。そのスチル、後のモチーフ、市電、電線.。チェコの写真家にインスパイア、大聖堂のなかを走る、路面電車。人工の夜景に出てくる。映画のモチーフヘ痕跡が出ている。こうした見方も美術展の楽しみ方。

・クエイと東欧のつながり、フィラデルフィアは欧からの移民が多くいた。

・74年のワルシャワ訪問、東へ入りにくかった、鉄のカーテン、身ぐるみはがさえたり。
アンジェイ・クリモフスキ。クエイが東欧へ目を向けるきっかけ。イギリスの別の美術学校にいた。両親が東欧の役人(?)。卒業制作展で意気投合。文通。
・クリモフスキ、ワルシャワでポスターとアニメ学んだ、トマシェフスキに学んだ、レンツェとかの上の世代。アニメはカジミェシュ・ウルバンスキに学んでいた。この人を通してワルシャワへ。クリモフスキのポスター、『オーメン』とか、女の背中。アニメ「 死せる影」。密接に結び付いてることがわかった。

ウルバンスキPlaythings
・レンツェ、ボロフチク「家:The House」。電子音楽。シンセ。実験的。コラージュ、髪の毛アニメ。

Surrealism/Experimental/Avant-garde Art Cinemaの動画 | VK
 クリモフスキ「Dead Shadow : 死せる影」バレエ、階段のぼる人、撃たれる。
ポーランド最近も元気。


Nine Inch Nails - Closer (Director's Cut) - YouTube
 マーク・ロマネク:Mark Romanek監督のナイン・インチ・ネイルズ「クローサー Closer」PV。ターセムの『ザ・セル』と合わせて、「クエイエフェクト」と名付けられる様な映像の強い影響が現れている。もしくは「クロコダイルエフェクト」。肉、心臓、ほこり、そして蜘蛛の巣。


The Cell: The Demon King (2000) - YouTube.

◆関連リンク
滝本誠『映画の乳首、絵画の腓 AC 2017』
leeds canvas quay - Google 検索
 リーズ市の地下水路をアート化したもの。暗闇の光が素晴らしい。
The Hourglass Sanatorium (1973) ♦ A film by Wojciech Has ♦ - YouTube
 監督ヴォイチェフ・イエジー・ハス原作者ブルーノ・シュルツの「砂時計サナトリウム」。クエイに影響を与えた。まるでパペットのように見える人間の実写映画。
C3 video archive and media art collection catalogue
 滝本さんが見たいと言われていた「ロプロプの巣」と言われるキュレーション。マックス・エルンストの「怪鳥ロプロプ」のための架空の装置。97年にロッテルダムで展示された。
Max Ernst loplop - Google 検索
Un lieu d'exception(フランス フランスでのフラゴナール博物館 公式HP)
【閲覧注意】パリの「フラゴナール博物館」に世界最高傑作といわれる「人体標本」を観に行った!|健康・医療情報でQOLを高める~ヘルスプレス/HEALTH PRESS
【完全解説】マックス・エルンスト「コラージュ・ロマン」 - Artpedia / わかる、近代美術と現代美術

"1929年、最初のコラージュ・ロマンのエルンストの代表作となる『百頭女』を刊行。エルンストの鳥キャラクターのロプロプが現れる。絵の中の鳥はエルスント自身(エゴ)を表している。ロプロプとは鳥と人間の初期の混乱から起因する自分自身の延長のもので「分身」あるいは「守護霊」のようなものといっている。"

「砂時計サナトリウム」ヴォイチェフ・J・ハス - Credo, quia absurdum
・メカニカルインファクタ
 参考出品で展示。図録にも載っていないので検索してみたが、ネットには画像なし。とても残念。

| | コメント (0)

« 2018年5月20日 - 2018年5月26日 | トップページ | 2018年6月3日 - 2018年6月9日 »