« 2018年10月7日 - 2018年10月13日 | トップページ | 2018年10月21日 - 2018年10月27日 »

2018年10月14日 - 2018年10月20日

2018.10.17

■感想 入江悠監督『太陽』(2016) 、前川知大演出『太陽』(2016)


『太陽』予告編 - YouTube 映画公式サイト

 劇団イキウメの前川知大による原作脚本の映画『太陽』をWOWOW録画で初見、続けて、2016年に再演された前川知大 原作脚本演出の舞台『太陽』をNHK BSプレミア版で初見。簡単だけれど、見比べた感想を記します。
 まず映画版。
 キュリオのひなびた村の光景、対するノクスの近代的な都市等、どこかSFチックな映像を見事に見せてくれて、まず映画的な世界の広がりに感嘆。
 物語は、ウィルスの拡散により人口が激減した世界で、ウィルスに耐性を持つが太陽光を浴びると体が燃えてしまうノクスと、ウィルスに罹患すると死んでしまうが元々の人間的な生活を太陽のもとでおくるキュリオの対立を小規模の境界を舞台にして描いている。
 そうした設定で描かれる世界は、少人数だけれど、新しい未来像を描き出していて、どう展開するのかワクワクしてしまうプロローグ。
 ただ、物語は閉鎖的な世界としてのキュリオの村の描写を昭和の邦画のようなドロドロとしたものとして描いていく。ここが僕はいまひとつだった。

宇多丸『太陽』を語る!by「週刊映画時評ムービーウォッチメン」2016年4月30日放送.

"「村としての日本、村人としての日本人」。もっとはっきり言えば、こういうことですね……「オラこんな村、イヤだ!」っていうね。「オラこんな村、イヤだ! ……でも、我々はここで生きていくしかないのだから……」っていう、こういう話をある意味、入江さんは毎回やっていると言える。"

 という評もあるが、確かに入江悠監督のテーマとしてそうした描写は必然的だったのかもしれない。しかし僕はしっくりこない。
 キュリオとノクスの世界の接触による異文化SFとして期待したものが、なぜ、昭和的日本人のムラ世界の湿度の高い世界描写に収束しなければならないのか。特に芝居にはないレイプシーンにはガッカリ。陰湿なムラ世界描写の協調かもしれないけれど、その前のシーンで太陽の下での若者三人の溌剌とした世界を描いていながら、ノクスとの対比で本来最も特徴的に描けたはずの太陽の光の下でのキュリオの世界描写を相殺してしまっている。ここが最も残念なところだった。

20181014_212129

 そして芝居版。
 こちらは映画とは逆のテーマが描かれている。人工的なノクスの論理的世界に対して、太陽の下で奔放な芸術、職人スキルでの突出(主人公 鉄彦の紅茶に対する深い理解)。ヒロイン結の変貌は映画も演劇も同様に描いているが、その後の鉄彦のとる態度で、逆の意味合いを持たせた芝居の方が僕は好きなテーマだった。

 映画は芝居で描けない太陽の光の描写を映像として思う存分にできるため、本来映画化ではそこがもっとも強いイメージを残せるはずで、それがテーマ的に消化するのは、芝居が描き出したテーマだったはず。

 映画は、入江監督のこだわりのテーマでタイトル『太陽』の持つ意味を否定してしまった。この映画化は監督とのミスマッチで、せっかくの良い映像を撮っているのに、それを十分に生かせず、芝居に対してテーマ的に力を失ってしまったのではないか、というのが僕の比較して観た感想です。

◆関連リンク
イキウメWeb 『太陽』2016 
イキウメWeb 通信販売ページ 前川知大演出『太陽』DVD
入江悠監督『太陽 Blu-ray』(Amazon)
前川知大演出『太陽 DVD』(Amazon)
前川知大『太陽』小説(Amazon)

 

| | コメント (0)

2018.10.15

■新刊情報 飛浩隆 第2長篇『零號琴(れいごうきん)』

71gskfsgk3l

零號琴 | 刊行年月,2018年,10月 | ハヤカワ・オンライン

"特種楽器技芸士のトロムボノクと相棒シェリュバンは惑星〈美縟〉に赴く。そこでは首都全体に配置された古の巨大楽器〈美玉鐘〉の五百年越しの竣工を記念し、全住民参加の假面劇が演じられようとしていた。上演の夜、秘曲〈零號琴〉が暴露する美縟の真実とは?"

 ついに 飛浩隆さんのSFマガジン連載作『零號琴』が第二長篇として刊行される。

 SFマガジンで読んでいないため、どのような話なのか、公式HPにある上記ストーリーを読むしかないが、音楽劇を中心にした奇想な世界が堂々開陳される雰囲気。
 こころして刊行を待ちたいと思います。

飛浩隆16年ぶりの第2長篇『零號琴(れいごうきん)』刊行記念トーク&サイン会、開催!!.

"10月18日(木)発売の『零號琴(れいごうきん)』の刊行を記念して、八重洲ブックセンター本店にて著者・飛浩隆氏のトーク&サイン会を開催いたします。「グラン・ヴァカンス」以来、16年ぶりの第2長篇小説。飛浩隆氏と編集担当塩澤が制作秘話や裏話を語ります。

〔日時〕10月20日(土)14:00~15:30
〔場所〕八重洲ブックセンター8階イベントスペース
〔出演者〕飛浩隆 塩澤快浩

詳細とお申込みについては、八重洲ブックセンターHPをご覧ください。"

 トークショー、激しく聞きたいですが週末の東京行きはなかなか、、、。
 どなたか、レポートお願いいたします。

◆関連リンク
2018年京都SFフェスティバル 飛浩隆先生のレポートツイート かーらーのー 「創作踊り説」! - Togetter
飛浩隆twitter
題材不新鮮 SF作家 飛浩隆のweb録

| | コメント (0)

« 2018年10月7日 - 2018年10月13日 | トップページ | 2018年10月21日 - 2018年10月27日 »