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2018年12月2日 - 2018年12月8日

2018.12.05

■感想 体感! NHK BS 8K『完全版2001年宇宙の旅』

NHKドキュメンタリー - 8Kでよみがえる“2001年宇宙の旅”

"SF映画の金字塔「2001年宇宙の旅」の8K放送まであと少し!ハリウッドの映画会社が厳重保管してきた50年前のオリジナルネガを使い70ミリフィルムの8K化の舞台裏を特別取材!一足先に8K版体験したゲストが「これまでのハイビジョン放送での映画と違って宇宙を体感した気分になった」と大興奮。そのほか、8K化されたキューブリック監督こだわりのお宝映像を公開!"

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 『2001年 宇宙の旅』 NHKの2K放映をブルーレイに落としたものと、8Kレストアからの2K変換放映(メイキング特番)を比較してみた。左上に4:35とか早朝4時代の時刻表記があるものが8Kレストア版。8Kもこの放送はBSプレミアなため2K変換されているため、最終の8K映像との比較ではないが、何かの参考程度と考えてください。

 どれも映像は、ブルーレイをDLPプロジェクタで110インチスクリーンに投影し、iPhoneで撮ったもの。かなり荒い比較だけれど、できるだけiPhoneの画像を肉眼で見ている映像の特徴を拾えるように写したつもりですw。

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 解像度はこの比較ではよく分からないが、猿人シーン、宇宙食シーンでディスプレイの青色の違い、今回のレストアで以前より明瞭な色になっていることがわかる。例えば猿人の前に置かれた動物の骨の色、白の明度が上がってるのがよく分かります。

 2K放映版でくすんだような、過去の作品的な雰囲気がどこかしら出ていた、退色したような印象だった色が鮮明になってます(こちらがキューブリックの意図に近いかは分かりませんが…たぶんそうなのでしょう)。

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 ただ最後に載せたスペースポッドのコクピットは、以前の方が宇宙服の赤が鮮明w。ここらがどういう意図によるものかは不明です。

◆8K 『2001年 宇宙の旅』をどこで観るか?

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 各地のNHKの放送局ほかと家電店の店頭、今回の放映はこういった場所でパブリックビューイングされている。うちからだと、NHK名古屋放送局が本命だったけれど、公式HPで調べるとガラス張りのオープンスペースで、モニタも85インチ、立ち見ということで、あまり環境が良いとは言えない。これなら近所の家電店でシャープ8K 70インチを正面陣取って観た方が良いかと考えて、エディオンを狙うこととした。

 名古屋は22.2chの音響が用意されているらしい、一度は聴いてみたいけれど、それより人数が多いと映像も音もしっかり見聞きするのが難しいだろうとの判断もあっての選択w。

 NHK名古屋が、愛・地球博(愛知万博)の600インチ スーパーハイビジョン(8K)だったらだったら、即決なんですが、、w。

◆NHK 8K放送『2001年 宇宙の旅』、8Kは70mmをどう写し取ったか?
 エディオンにてシャープ70インチで視聴。
 放映の始まる5分前、まさかのアクシデント! 近所の店でアンテナ接続が悪く見えませんと言われ、驚愕して4軒ほど彷徨ってやっと某エディオンに落ち着いた。なんてこったい!!

 8Kの受信設定が難しいのか、家電屋のレベルが落ちてるのか…。まさかの1勝3敗には、鳴り物入りでスタートした8Kのはずなのに、家電店およびシャープの姿勢がここらに現れている、、、のかw?

 結局、1時間近く経過した後、月面車シーン以降しか見れなかったけれど、田舎の家電屋は、ほとんどテレビコーナーに客はいなくて、椅子付き独り占め環境で見れたのは幸い(^^)。ただし、家電店モニタ故、天井から降り注ぐLED灯の照明が画面に映り込み満載で、8Kが泣いているw。

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 というわけで & 店内で写真パチパチ撮るのはさすがに不味いかと、記録した映像はこの二枚。店内の照明の中ではこの程度の映像しか撮れないため、もともと比較に使える画像ではないので申し訳ないです。以下、言語の力で再現してみます。

 結論は、8Kは70mmフィルムの底力を相当写し取ってくれているのではないか、2Kとは格段に違う情報量とリアリティに感心しました。

 まずデイブの赤い宇宙服の質感。船外活動におけるポッドとディスカバリーの窓内部のプールの詳細な動き、老人ボーマンの皺の詳細、欧風調度品のあの部屋の質感等々、2K放映版 and 先日の2K IMAXよりリアルな感じ。
一方、ベースのフィルムによるものか、細部の粒状感が高精細で目立ち細かなちらつきが気になる感じでした。

 以上が観た現場で書いたメモ。以下、家へ帰って2K版を改めて観て、詳細な比較を書いてみました。

 本日8K放映された『2001年 宇宙の旅』を、70インチのシャープ8K スーパーハイビジョン液晶ディスプレイで観て映像記憶の確かなうちに、家にある同じNHK BSで放映された2Kハイビジョンとの比較をしてみた。

 僕が観たのは、月面シーン〜ラストまでだったけれど、明らかに解像度の差がよくわかったのは、顔がアップになる時の人の細部、特に肌の質感。これは明らかに70mmフィルムをデジタイズするのに、2Kでは解像度が足らず8Kですくい撮れた細部の違いがとてもよくわかる。

 例えばプールとボーマンが回収した通信機についてHALと解析結果を語る時の二人の顔の細部。特に前述した肌の質感は圧倒的。2Kでぼんやりしてつぶれているのが、8Kでは毛穴まで見えるほど。そしてプールの額に1本の毛が垂れているのが8Kで目立ったけれど、2Kではほとんど映っていない。ラストの老人となったボーマンの老いた肌の細部、メイキャップの素晴らしさも8Kで明瞭に見ることができる。

 もう一つ、HALに締め出されてポッドからハッチを開いて、真空の中をディスカバリー号に帰還するボーマンが、エアロックを閉じるシーン。赤い緊急灯の光の中、ボーマンの安堵の顔が2Kではつぶれて表情がよく見えないが、8Kでは明らかにホッとする良い表情が見えている。(その他、HALのメモリーを抜く部屋の前とか幾つかの宇宙船内の注意書きがきっちり見えるのも8Kの強み)

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 DVDとブルーレイのハイビジョンの差、とまで言ってしまうと大袈裟であるけれど、8K観た後だと、2Kのぼんやりした映像は確かに締まりが悪い。70mmフィルムの細部を捉える力、より明瞭な宇宙の世界を覗き見るために70mmを選んだキューブリックの試みに近づけた感じ。

 上に引用したNHKの各映像のベンチマーク図から言うと、70mmフィルムは、Logスケールのグラフで8Kと2Kのちょうど中間。2Kでは情報量が間違いなく落ちることがわかる。一方、35mmフィルムは2Kとほとんど同じで、通常の映画では2K解像度でフィルムの情報は写し取れているようだ。

 NHKが8K放送で70mmフィルムで撮られた『2001年 宇宙の旅』を素材に選んだ理由は、まさにこのグラフが物語っている。(今後、IMAXフィルムと同等解像度の8Kで撮られる映画の鮮明さには期待できる)

 最後に、シャープ8K液晶を家電店で観る際の注意点。

 実は素の状態では、初期の映像設定が「ダイナミック(固定)」というモードになっていて、これは映画フィルムの質感と違い光のコントラストが強く、明るい部分がスタジオの下手なライトのようで、最初『2001年』を観た時、ギョッとするほど安っぽい画質。

 店員もお客もほとんどいないのを良いことに、リモコンで画質調整を試みると、「映画」モードという設定があり、それでなかなか映画的な良いコントラストの映像を観ることができた。(少し色が薄く暗いかも、好みに合わせて設定をいじることをお勧めします)。

 そして実は面倒なのが、この設定が5分おきに、初期の「ダイナミック(固定)」モードに自動で戻ってしまうこと。

 店員さんと聞くと、たぶんシャープが店頭用にインストールしているUSBからのソフトがそうした設定を店頭向けにしているのではないか、とのこと。いちいち5分おきに「映画」モードに自分で変更して対処したが煩雑この上ない。まあタダで見せて頂いているので文句は言えないが、、、(^^;)。

 たぶんこのように明度を上げないと、店頭で最新の8Kが見劣りしてしまうからだろう。隣に有機ELの4Kテレビが置いてあったけれど、圧倒的にそちらの方が絵が綺麗。いずれ出てくる8K有機ELの映像が楽しみです。

 8K視聴の後、映画館で観た『ヘレディタリー/継承』の画面解像度を、主に人の肌の質感で比較してみたいたけれど、やはり映画の画面は、8Kに比べるとぼやっとしている。今後の映画がどのような方向に進むのか、8Kもしくは4Kのデジタルプロジェクターに変更し、画質を上げていく必要が出てくるだろうな、と思って見ていたのでした。

 最後にお店に迷惑がかかるといけないので店名は伏せましたが、こちらでは放映中、ハードディスクレコーダーでこの8K『2001年』を録画されていました。おそらく今後デモ用として映写される計画と思います。皆さんも再放送の1/3まで待てない方は、お近くの家電店でもしかして録画していないか、確認してみるのをお勧めします(^^)。

◆関連リンク
【ブログ記事】11月23日午前4:30からNHK総合でOAされた『8Kでよみがえる究極の映像体験! 映画「2001年宇宙の旅」』の番組概要レポート : KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック
【ブログ記事】NHK放送博物館で8K版『2001年宇宙の旅』を視聴してきました : KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック
 『2001年』とキューブリック監督作については、日本一の情報量と考えられるキューブリックブログさんの関連記事。レストアのドキュメントは番組の書き起こしもされているので見逃された方は是非リンク先をご覧ください。

麻倉怜士の新デジタル時評--ついに新4K8K放送開始、「8K完全版2001年宇宙の旅」試写レビュー - (page 2) - CNET Japan.

" 特に素晴らしかったのは、月面基地への着陸シーンにおける基地の窓の中に働いている人々を確認できる精密さや、木星に向かう宇宙船内の壁の質感まで伝わる描写力。最後の場面に出てくるスプリットした光の襲来、スターゲイトには、体も心の感動した。

 8Kは見るのではなく、まさに体験の域。自分の体の半分が作品に吸い込まれているような感覚が得られる。2001年宇宙の旅は、映画館、VHS、DVD、BDとさまざまなメディアで見てきたが、これまでに体験したことがないレベルで作品に没入した。"

参考 NHKのスーパーハイビジョン解説。古い記事。
 愛知万博まであと半年、スーパーハイビジョンの準備も順調(平成16年9月28日)

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2018.12.03

■感想 アリ・アスター監督『ヘレディタリー/継承』 : Hereditary


映画『ヘレディタリー/継承』30秒予告 YouTube

 アリ・アスター監督『ヘレディタリー/継承』@各務原イオンシネマで観てきました。
 確かに上手い、脚本も演出も高レベルで見事なホラー映画を見せてくれます。トラウマが残るとか、観客の現実を侵食してくるとか、事前のTBSラジオ アトロク(アフタ−6ジャンクション)等での評判で、期待を高く持ちすぎた/トラウマ残ったらどうしようと構えて観たので、そういう意味では後にそれほど残らず、凄く面白い映画を観たという鑑賞感で無事帰ってこれましたw。
 『女優霊』みたいに夜トイレに行くのが怖くなるのとは少し違ったかなw。



★★★★★★以下、ネタバレ注意★★★★★★ .




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 アトロクでライムスター宇多丸氏、三宅隆太監督が言っていた「アート映画」「ダウナー系」というのはまさに。特に家族のドロドロシーンは相当なレベル。あの食事のシーンで母と息子が言い合う所、家族で究極的に雰囲気の悪いどーんとしたシーンで、何故かお腹に答えます。いや凄まじい家族映画。

 素晴らしいと思ったのが、息子が学校で怪我をして卒倒するシーンとその後の家での母親の錯乱。そして二階にあるあるものから生じた蝿の羽音。まるで自分の周りに現れたような蝿の音で、観客までもが映画の中に/母親の錯乱に巻き込まれたような感覚。映像と音の競演でこの感覚を劇場に立体的に潜入させている様が素晴らしい。

 ここのテンションは、オカルトと現実のせめぎ合う、精神的疾患なのかどうかスレスレのところ、微妙な位置でギリギリ紙一重で鋭い刃物の上でバランスを取っているようなシーンで素晴らしい臨場感を味わえた。あのままのテンションで最後まで観客を狂気に巻き込んで突っ走っていたら凄まじい映画になっていただろうな、と夢想w。

 映画はその後、オカルトに突入し、祖母とその仲間の異様な世界を開陳して終わっていく。ここは賛否両論あるだろうけれど、僕は少しありがちな展開に見えて今ひとつだった。

 とはいえ、凡百の演出なら胡散臭くそしてゲロゲロな展開になるところを端正にまとめあげた手腕は素晴らしい。

 特にエンディングにかぶるジュディ・コリンズ「青春の光と影(原題: Both Sides, Now)」。あのラストシーンとこの歌で、映画の登場人物と観客は、カルトな側でハッピーエンディングを迎え、実はこの映画、ダークな幸福感とともに劇場を出るという稀有な体験ができるのでした。実はその時点で既にまんまと映画のダークサイドにある意味取り込まれてしまうわけです。我々は今、果たして本当に現実に戻れたのだろうか(^^;)。

◆以下、雑感。
・アート映画的なルックの生成に一役買っているのが、箱庭療法のような母親のミニチュア造形物と娘の人形。母親は箱庭療法からこうしたミニチュアを作るようになったのではないか、と想像できるし、娘もその影響を受けつつ、たぶん祖母の大きな影響で不気味な鳥の頭とか、奇異な人形たちを作るようになったと感じさせている。
・冒頭のミニチュアの使い方、随所に現実を恐怖の記憶が侵食していくような家族の不幸のミニチュア化。現実と幻想の入れ子構造がミニチュアと家族のウチで見事に映像表現されている。
「ヘレディタリー」はホラーではなく“嫌な家族映画”!? 町山智浩が別アングルから解説 : 映画ニュース - 映画.com.

"「『僕の家族にあることが起こった。そのことで傷ついた自分を癒やすために、物語を作っていったんだと思う。弟を大切にしていた……。それ以上は言わせないで』。"

 町山氏によると、監督へのインタビューで上記のようなコメントがあったという。まさに監督自身の家族の苦悩が映画ににじみ出ているということだろうか。
・映像としては、予告編にもあるカット割りが見事。例えば木の映像が夜から昼へ瞬間的に転移する。これは母親の夢遊病の病を、映像的に表現し観客に体感させる効果があるのではないだろうか。
・暗闇にカルトがぼんやりと現れるシーン、Jホラーからの引用にみえる。そこにいる存在の描写が本作、とてもうまいと思いました。
・音響のうまさも舌を巻きます。
 特にハエと舌打ちが劇場のどこかから聴こえる時、観客はトニ・コレット演ずる主人公 アニー・グラハムと同化して、狂気の淵を彷徨うのです。あれを1時間ほど徹底してやられたら、確かに狂気は観客を侵食していたことでしょう(^^;)。

 


Judy Collins - "Both Sides Now" - Hit Single Version - YouTube.

◆関連リンク
HEREDITARY (2018) | Behind the Scenes of Mystery Movie - YouTube
 メイキング動画。アリ・アスター監督の演出風景がみられます。
現代ホラーの頂点といわれる映画「ヘレディタリー/継承」の怖さを三宅隆太監督と宇多丸が力説
ヘレディタリー/継承 - Wikipedia
Hereditary (2018) Music Soundtrack & Complete List of Songs | WhatSong Soundtracks
【イベントレポート】町山智浩が「ヘレディタリー」語る「ホラーのふりをした、嫌な家族映画の集大成」 - 映画ナタリー.

"「アスター監督はもう2作目の撮影を終えてます。ベルイマンが生まれたスウェーデンが舞台らしいです。本人は、芸術映画をホラーの枠組で作っていきたいと言っていました。アリ・アスターに注目してください!」"

Ari Aster - Wikipedia.
 次回作 Midsommar (film) - Wikipedia

 

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