« 2019年1月 | トップページ | 2019年3月 »

2019年2月

2019.02.27

■感想 佐藤信介監督『いぬやしき』


オヤジVS.高校生!実写『いぬやしき』予告編 - YouTube
 佐藤信介監督『いぬやしき』WOWOW録画初見。

 これ、劇場で観ようかかなり迷ったのだけれど、行っとけばよかったと反省。ヒーロー映画としてなかなかの出来。

 細部の詰めをもう少し工夫して頂ければ、ハリウッドのスーパーヒーローものと十分戦える。というかネタバレなので後述するけれど、詰めていけばシャマラン『ミスター・ガラス』は超えられるんじゃないかと思った。制作費はかの映画の王国に比べて随分安いだろうから、コスパとしては相当なレベルかもしれない。

 論理で考えると少しぶっ飛んで入るけれど、『GANTZ』と同様 奥浩哉原作の持つ設定の面白さはかなりのもの。

 特にネットを介した悪役 佐藤健の日本人全滅攻撃とか、新宿の空爆シーンとか、物凄くワクワクして楽しめた。『亜人』にしても『GANTZ』にしても、日本の漫画原作の持つパワーは素晴らしいと思う。

 そしてCGによるSFX。これも前述の新宿シーン中心に。空中戦の描写が早すぎて何が起きてるかわかりにくいのが少し残念だけれど、なかなかの迫力。カタルシスも相当なレベルだし、まさにドラマ部分の詰めがもう少しできていたら、まさに傑作になったと思う。そこは脳内補正しながら観ると、素晴らしいSFX映画。お薦めです(^^)。


★★★★★★以下ネタパレ 注意★★★★★★★






 ワクワクを減衰しているのが、主に人物描写、人間関係描写の詰めの甘さ。例えばいくつか挙げてみると、

・主人公 犬屋敷と家族の関係があまりにステレオタイプ。定年前の"老人"が家族から嫌われてる描写をここまで類型で書かなくもう少し抑えたリアリティを持たせて、特に娘救出のクライマックスを丁寧な演出で抑えて描いていたら、この映画、相当なレベルになっていると思うので残念。

・佐藤健の最初の一家惨殺、ここへ至る展開が弱い。一応、母親から女を作って逃げた父親の新しい家族との関係が描かれて、そこからのストレスが原因に描かれているけれど、もっと詰めて必然性を持って父親の家族を惨殺する描写に変えることができたら、『ミスター・ガラス』を超える傑作のレベルになっていたのでないだろうか。

| | コメント (0)

2019.02.25

■感想 原將人監督『双子暦記・私小説』ver. 2.5

9checker

東京ドキュメンタリー映画祭2018

" 『双子暦記(れっき)・私小説』 上映時間110分 12月6日(木)19:00 上映

    63歳にして双子の姉妹の父となった映画監督原將人。
 双子誕生を紀元とし、双子暦の世界に分入った原は、自ずと「新たなる宇宙と地球の歴史」を辿り直すことになり、21世紀を生きてゆく地球人、とりわけ日本人にとって必要な世界観が、<双子暦記>シリーズで展開される。

 本作では、古都京都を舞台に、双子を育てる生活費を稼ぐため、原が人生初めてのフリーター生活を送り、現代日本のブラックな労働現場を点々とした<苦難の旅>が、私小説、プロレタリア文学へ傾斜しながら描かれる。

 さらに、原が詠んだ八十首の和歌が、平安以来の日記文学の伝統と交差しながら全編を織り成す。新生児の映像に重ねられる、4歳になった姉妹による和歌の朗読は、運動イメージとしての映像から、テキストと音の厚みのなかで時間イメージを生成させ、至福の映画体験をもたらす。

 本作は、<メタフィクション>として、真にエポックメーキングなドキュメンタリーの最尖端をさぐる。    
2018年/110分/カラー/日本"

【予告編16本 一挙見!】東京ドキュメンタリー映画祭2018最終選考作品 - ニコニコ動画
 リンク先に予告篇があります。『双子暦記・私小説』は一番最後の部分 31'36"からです。

 原將人監督の東京ドキュメンタリー映画祭 長篇グランプリ受賞作『双子暦記・私小説』をYoutubeの限定公開で全篇拝見しました。 今回は支援者への限定公開、制作プロセスを公開されているもので、バージョン2.5 (19.1/19,20 シネマハウス大塚でのライブ音源ミックスの音楽有バージョン)(グランプリ受賞は音楽なしのver.1.5とか)。

 限定公開版を観るには、以下のサイトで火災に遭われた監督への支援の呼びかけを読まれ支援された上で、原監督のtwitterもしくはFacebookで限定公開版の希望のメッセージを送られると、URLを原監督より教示頂けるはずです。

 原監督からのご返事にあるテキストを一部紹介させていただきます。

"『双子暦記』は、『双子暦記・私小説』と『双子暦記・星の記憶』の2部作を 予定しておりますが、『双子暦記・私小説』の方から、編集過程をオープンに することにいたしました。現代美術ではWIP (Work In Progress)という完成 までのプロセスを作品とみなす、展示方法が登場していますが、その映画版で す。"

 映画は、2013年に誕生した原監督の双子の娘さん マミヤちゃんとカリンちゃんの誕生から約半年間を中心に描かれている(一部4歳の御二人も登場)。

 そして前半は、原監督が古都京都を舞台に初めてのフリーター生活を経験された、現代日本のブラックな労働現場が語られている。特にその一部、「現代の蟹工船」として描写されている部分は、大変に過酷な内容。まさに現代の日本に生きていくということの重さを生々しく描きだされている。

 後半、時間が遡って2013年の双子ちゃん誕生シーンからの成長の記録になるが、ここは映画で語られている通り、原監督の傑作『20世紀ノスタルジア』のラストで主人公チュンセとポウセの間に生まれた双子のその後を描くという、『20世紀ノスタルジア』続篇の趣もある。

20190224_133850checker

 特に素晴らしいのは、双子の記録に挟まれる原監督による80首の和歌と、日本の美しい自然の風景。
 この三重県名張市,津市シーンは、『20世紀ノスタルジア』で都市と対比して瑞々しく描かれたポウセ(遠山杏)による身の回りの自然の光景を捉えた映像の数々を思い出させる。自主映画を撮るチュンセ(片岡徹)の姿で象徴的に描かれた、人類の脳の進化の果ての姿とその苦悩。

  まるで地球のアウフヘーベンの様な、ポウセの撮った映像で、回復していくチュンセの姿が映画の映像の力を見事に描いていたように、本作でもこれらの三重県の山村の映像が、双子ちゃんの生き生きした姿とともに地球の希望の姿として描き出されている。

 『20世紀ノスタルジア』の続篇として、ファンとしてはこうしたシーンに胸躍らせながらも、前半含む原監督の家族が遭遇する過酷な現実に、日本の現在の辛い姿をいろいろと想起しながらいろんな複雑な思いで観終える、1時間47分の地球の旅の記録となっていました。

◆関連リンク
21世紀を音楽の世紀に! 『20世紀ノスタルジア』の原 將人監督の最新作「双子の星」始動! - クラウドファンディングのMotionGallery
【News】自宅が火災! 原將人監督への支援の呼びかけ | neoneo web
hara masato Official Site 原監督オフィシャルページ
 今までの作品のDVDやサントラCDが購入できます。

原将人監督作品 当ブログ関連記事 Google 検索

| | コメント (0)

2019.02.20

■情報2 デイヴィッド・リンチ監督 構想作品『ロニー・ロケット』関連 David Lynch "Ronnie Rocket"


Ronnie Rocket de David Lynch / générique de Pierre Albanèse, Hanne Son et Maud Zaba - YouTube
 デイヴィッド・リンチ監督の映画かされていない構想作品『ロニー・ロケット』に関して、以下の情報が日本語で出たので、ご紹介します。
 その前に、上のリンク先動画は、ファンメイドのOPフィルムです。なかなかいい感じです。

スター・ウォーズを断ってもデヴィッド・リンチが作りたかった映画:幻に終わった傑作映画たち - シネマトゥデイ

“ 脚本の出だしはこうだ——。
 「暗闇……巨大なステージがフェイドインし……とてつもなく大きな黒い幕が引かれている。と、やおら幕が開く。ステージ全体に60メートルの火柱が立ちのぼっている。炎の中で、何千もの魂が音もなく叫び……聞こえるのは炎の咆哮(ほうこう)のみ。(中略)

 映画の舞台は、暗く抑圧的な工業都市で、工場から煙がモクモクあがり、電気に満ちた空気に低音のハム音がブーンと鳴る。探偵が路線の終点であるこの町にやってくる。立ち入り禁止になっている町の中心部に関わるあいまいな事件に巻き込まれる探偵。彼は一本足で立つ能力を持ち、出会う人々から一種の天才扱いされる。町の深部へ旅するうち、探偵は美しく純粋なダイアナと恋に落ち、不吉な“ドーナッツ男”と悪い電気に殺されないためには苦痛を感じ続けなければいけないと学ぶ。(中略)

 一方、妄想に取りつかれた二人の科学者ダンとボブは、妻であり母でもある存在のデボラの後押しで、異形のロナルド・デ・アルテを実験にかけ、「標準的なハンサム」に作り替えようとする。だが、ハンサムにする代わり、彼らはロナルドに電流変換器を取りつけ、その結果、15分ごとにコンセントにプラグを差し込まなければ電力を失うようになる。(中略)

 ストーリーは『フランケンシュタイン』(1931)、ロックンロールの寓話(ぐうわ)、昔ながらの善対悪の物語が少しずつ混ざる。奇妙な出来事(靴ひもが悪人の破滅を証明する。女性たちが探偵に裸身をさらす。円に関する意味不明な仮説、閉回路、宇宙)と、リンチ的なモチーフ(ミステリー、官能、愛、暴力、抑圧的な産業、ポンパドゥール、シュールなミュージカル・パフォーマンス)の詰め合わせだ。探偵とテリーが交わす哲学的な掛け合いのような軽妙な瞬間と、発作で倒れたり、生き続けるために自分を刺して流血する人々といった、極端な暗さの間で、大きな振り幅を見せる。大衆受けするにはあまりに変わっていて、ファンにはリンチワールド全開の天国だが、それ以外の者には訳がわからない。(中略)

 脚本には、巨大な建築物と、クローンたちの音楽堂や、地獄に落ちた燃える魂のステージが織りなすサイケデリックなクライマックスが登場する。「あの世界に行って、しばらくの間暮らす時間が欲しいが、それには金がかかる。『ロニー・ロケット』では、通常のような11週間のスケジュールでの撮影はしたくない。少人数のクルーと一緒に、セットを建ててしばらくそこに住みたいんだ」とリンチは語っている。”

 デヴィッド・リンチの幻の映画『ロニー・ロケット』の紹介記事です。

 『ツイン・ピークス』の小人役 マイケル・J・アンダーソンが主役、イザベラ・ロッセリーニ、デニス・ホッパー、ディーン・ストックウェルが出演者リストに挙げらていたとか。こんなに観たい映画は他にはありません(^^)。

 他のリンチ作品を連想させる言葉が並んでいる。
 リンチの潜在意識の顕在化、って感じで、どの作品とも通底しているのでしょう。

 それにしてもたのリンチ作品に、この映画のそのままの具像的な要素は、まだ使われていないので、リンチは映画化を捨てていないのかもしれない。是非、実現してほしいものです。

◆関連リンク
Ronnie Rocket Screenplay
 ネットで公開されている『ロニー・ロケット』シナリオ。
Google 翻訳 そのシナリオの機械翻訳。

・当ブログ記事
 ■情報 デイヴィッド・リンチ監督 構想作品『ロニー・ロケット』関連 David Lynch "Ronnie Rocket"
 以前にも記事にしています。その他のネット関連情報は、リンク先記事をご覧ください。

| | コメント (0)

2019.02.18

■感想 イ・チャンドン監督『バーニング』NHK放映版

 イ・チャンドン監督『バーニング』NHK放映版、録画初見。
 実は初イ・チャンドンなのですが、抑えたトーンと不可思議なテーマが昏く、でも心地よく凄く良かった。

 特に素晴らしかったのは、リンク先の予告篇サムネイル画像の、北朝鮮国境近く、主人公の青年 ジョンスの生まれ育った農家の庭の夕暮れのシーン。なんでもない農家の庭がマジックアワーの光の中で、なんとも不思議で心地の良い実存を探る空間に変貌する奇跡的な映画の時間を創り出している。特にヘミ役のチョン・ジョンソの舞う姿が素晴らしい。

 村上春樹の原作「納屋を焼く」のアウトラインとディテイル(パントマイム、アフリカ旅行、ジョンスの家での三人の食事、スポーツカー、フォークナー、ギャッツビー等々)を使いながら、そこにさらに追加されるイ・チャンドン監督と脚本のオ・チョンミによるマジカルなディテイル。

 例えば、アフリカの実存を希求するダンス、ヘミのアパートの存在するかわからない猫、前述の農村の庭でのダンス、幼馴染としてのヘミとジョンスの井戸にまつわる記憶の齟齬、、。とりわけ主人公ジョンスの設定がヘミと同年代で、韓国の職のない若者としての設定が、原作に追加したこの映画の大きな雰囲気を作りだしていて、独特のイメージとなっている。深みのある魅力は、この村上春樹的な不可思議な物語に、映画スタッフが追加した多層的な構造によるものだろう。

 村上春樹原作映画としては、トラン・アン・ユン監督『ノルウェイの森』も傑作であったけれど、こちらは村上独特の不思議物語として、素晴らしい高みに達していると思う。(『ノルウェイの森』は元々そうしたイメージを目指したものではないので。)

 『バーニング 劇場版』は、NHK版より52分長いとか。これだけでもかなり過不足なく描ききっている印象なのだけれど、吹替え→原語版でのイメージの違い含めて、体験したいものです。

◆関連リンク
イ・チャンドン「バーニング 劇場版」出演者が語るメイキング映像を入手 : 映画ニュース - 映画.com
古川耕『バーニング 劇場版』イ・チャンドン監督インタビュー書き起こし(アフタ−6ジャンクションより)
イ・チャンドン作品DVD (Amazon)

・当ブログ記事 ■感想 トラン・アン・ユン監督 村上春樹原作『ノルウェイの森』

| | コメント (0)

2019.02.13

■予告篇 アレクセイ・シドロフ 監督『T-34』


Battle Of Tank T-34 Movie Best Scene Slow Motion - YouTube.
 これは凄い!T-34戦車の戦闘シーンで、砲弾がスローモーションになるとともに、バレットタイム撮影で人物/風景を含む大胆な回り込みの映像を見せてくれる。リンク先のYoutube動画は、そのシーンをつるべ打ちに見せてくれる、たぶんダイジェスト編集したもの。

 戦車戦の迫力ではブラピの『フューリー』がリアルな迫力が凄かったけれど、こちらも砲弾が戦車の装甲にはじかれたり、めり込んでいく映像で、相当な迫力になっている。

 CGを多用していると思われますが、人物シーンが本当にバレットタイム撮影なのか、CG化したものか不明。メイキングもぜひ知りたいものです。

 映画は、Aleksey Sidorov 監督『T-34』というロシアの2018年のもののようです。全篇観てみたいですね。調べてみても日本公開の予定は不明です。

 こちらが正式予告篇。


T-34 | Official HD Trailer (2018) | WORLD WAR II DRAMA | Film Threat Trailers - YouTube

◆関連リンク
T-34 - Wikipedia

| | コメント (0)

2019.02.11

■PV 郭帆 : Frant Gwo監督『流浪地球 : The Wandering Earth』 主题曲《带着地球去流浪》


电影《流浪地球》主题曲《带着地球去流浪》|The Wandering Earth Theme Song - YouTube
中国初のSF大作映画『流浪地球(さまよえる地球)』が公開! 国外メディアからの意外な反応=中国メディア | ニコニコニュース.

 5日の公開以降、7日までのわずか3日間で、同作の興行収入は5億人民元(約81億円)に達した。現在、中国は春節(旧正月)休暇のさなかであり、10日まで続く連休期間中に興行収入はさらに伸びると予想される。2019年は、中国SF映画史の元年として人々に記憶されるかもしれない。  『流浪地球』は8日以降、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドでも公開予定となっている。残念ながら現在のところ、日本での公開予定は未定である

劉慈欣原作『流浪地球』、中国での公開、既に2/5公開から3日間で興収81億円とのことで、大ヒットになりそうです。
この勢いで劉慈欣のヒューゴー賞受賞の『三体』も映画化されるのでしょうか?

ヒットを伝える記事

アメリカでも2/8公開が既にスタート。
シャマラン『ミスター・ガラス』が3週トップのところにどう喰い込むか。にしてもシャマランのあの映画がトップを続けるあの国で、今、
これだけストレートなこの話がどこまで受け入れられるか興味深いです。

| | コメント (0)

2019.02.06

■岐阜ゴジラ 柳ケ瀬商店街でゴジラ映画の撮影

Bloggozilla2

第一回目テーマ:「ゴジラ」 | GEMSTONE

"東宝株式会社とAlphaBoat合同会社は、多様なジャンルの有能なクリエイターの発掘を目的として、世界に誇る日本の大怪獣「ゴジラ」をテーマに次の要項でGEMSTONEクリエイターズオーディションを実施いたします。

GEMSTONEクリエイターズオーディション募集要項 募集作品 「ゴジラ」の世界観にインスパイアされた以下のジャンルのオリジナル作品 ・映像(アニメ・実写・CG) ・音楽 ・イラスト ※詳細につきましては、応募規約、FAQ(よくあるご質問)などをご参照ください。"

20190203_202805checkerchecker

柳ケ瀬商店街でゴジラ映画の撮影|NHK 東海のニュース
  (リンク先にロケの動画あり)

"岐阜市の繁華街、柳ケ瀬商店街で、ゴジラがまちを襲う短編映画の撮影が行われ、エキストラとしておよそ300人が参加しました。

撮影が行われたのは、岐阜市の柳ケ瀬商店街にある高島屋南地区で、一帯が再開発のため、今年3月から取り壊されます。
映画は、ゴジラが襲来した町の足跡などを生かしてビジネスチャンスにつなげるストーリーで、岐阜県各務原市に住む映像クリエイターの柴田晃宏さんが、映画配給会社の東宝などが行うオーディションへの応募作品として、5分間の短編映画を制作します。"

 『シン・ゴジラ』に続く国内実写版『岐阜ゴジラ』w、柳ヶ瀬で撮影が始まったようです。「東宝などが行うオーディションへの応募作品として5分間の短編映画」とのことで、3月以降にネット公開のようです。ゴジラ本体が出るかどうか、不明ですが、岐阜市柳ヶ瀬の高島屋近辺の商店街が舞台ということで、期待です。
◆関連リンク
「岐阜ゴジラ」エキストラ募集 26日に短編映画ロケ:岐阜:中日新聞(CHUNICHI Web).

" 羽島市出身の柴田さんはテレビ番組の制作会社で働いた後、二〇一五年にフリーとなった。その後、「東海制作」を設立。主に東海地方で活動している。三重県熊野市のまちおこしがテーマの映画を撮影したこともある。"

柴田晃宏 東海制作 | Eight プロフィール

| | コメント (0)

2019.02.04

■感想 ダニエル・L・エヴェレット『ピダハン 「言語本能」を超える文化と世界観』"DON’T SLEEP, THERE ARE SNAKES Life and Language in the Amazonian Jungle"

" 著者のピダハン研究を、認知科学者S・ピンカーは「パーティーに投げ込まれた爆弾」と評した。ピダハンはアマゾンの奥地に暮らす少数民族。400人を割るという彼らの文化が、チョムスキー以来の言語学のパラダイムである「言語本能」論を揺るがす論争を巻き起こしたという。(略)
 ピダハンの文化には「右と左」や、数の概念、色の名前さえも存在しない。神も、創世神話もない。この文化が何百年にもわたって文明の影響に抵抗できた理由、そしてピダハンの生活と言語の特徴すべての源でもある、彼らの堅固な哲学とは……?
 著者はもともと福音派の献身的な伝道師としてピダハンの村に赴いた。それがピダハンの世界観に衝撃を受け、逆に無神論へと導かれてしまう。ピダハンを知ってから言語学者としても主流のアプローチとは袂を分かち、本書でも普遍文法への批判を正面から展開している。"

140914046

 僕たちSFファンにとっては言語と人類というと、かならず思い出すのが山田正紀『神狩り』。そこには関係代名詞が13重以上の言語が登場し神の言語を幻視させる。
 
 ここに出てくる現在は400人くらいしか残っていないピタハンの言語は、入れ子構造を取ることがない。
 関係代名詞ということではなく、リカージョン:再帰(入れ子構造)の語法自体がないということなのだけれど、思わずSFファンなら『神狩り』を思い出すだろう。
 しかしこの本では、キリスト教の伝道師としてアマゾンへ入った著者がそのピダハンの生活にふれるうちに、創世記、神といった概念も存在しないピダハンの平安な暮らしにふれるうち、神を信じられなくなり、家族をなくすことになっても、「脱信仰」宣言をすることになる。

 『神狩り』が関係代名詞の数で神の存在を描き出したのに対して、そうした再帰的な言語構造のないことから、神の不在を徹底して体感してしまう著者。神を殺すのに関係代名詞/再帰がないことが一つの証明になる、というところがなかなか興味深い。

4968770_large

 山田正紀の「神」が何だったかは本篇と第二部でも直接は語られていない。しかし物語から浮かび上がってくるのは、神が(言語によって)人の産み出した概念的な存在である、ということである。そんな理解をしつつ『神狩り』を読んでいた僕には、このピダハンが概念というものを持たない存在である、というところがダニエル・L・エヴェレットから「神を狩ってしまう」ことがとても印象深かった。

 ピダハンの言語には、右と左、数、色、過去/未来といった概念的なものがない。彼らが重んじるのは、言語で語られる事柄が、語る相手の経験したことか、直接経験した者から直接聞いたものかどうか。夢や精霊といったものも含み、現実に即した物事のみが語られる。

 この等距離で物事を語ることから、彼らは「心配」という概念も持たず、物事が複雑化したり、誤解が拡大したりといった事象から無縁。これにより筆者が書くようにこの世の中で最も幸福な民族として存在しているという。
 他の民族が西欧的な文明化をするか、現在の文明を維持するかで悩んでいるのに対して、ピダハンはそのような悩みも持たない。

61bcwiaovnl_sx342_

 僕はチョムスキーの普遍文法というのはあまり興味がなく、また著者が執拗にチョムスキーの対語として書いている文化が言語に影響されている、という考え方もあまりに当たり前すぎて、なぜあえてそんなところに議論の命題をおくのかな、と思ってしまうので、そこんところをあれこれ批評しようとは思わない。

 言語/意識が幻想を作り出す一つの装置であると思うので、ピダハンが直接体験することのみを言葉で語ることにしているところが、そうした人の持つ概念や幻想を生じさせることなく、人と人の軋轢や争いを生み出していないところが最も興味深いところだった。
 直接本書には書かれていないが、この体験したことのみを語るということと、リカージョン:再帰がないということは、おそらく密接に関係しているだろう。
 つまり再帰して入れ子構造になる程、事柄の関節性が高くなっていく。それがピダハンが直接体験したこと以外の概念的なこと、関節的なことを語らないのは、まさに文化が言語と密接に結びついていることの証左ではないだろうか。
◆関連リンク


Spoken Pirahã with subtitles - YouTube
 こちらにピダハンの言葉を捉えた動画があります。


The Amazon Code - 動画 Dailymotion

Eテレ「地球ドラマチック選 『ピダハン 謎の言語を操るアマゾンの民』」への反応 - Togetter

Eテレ「地球ドラマチック選 『ピダハン 謎の言語を操るアマゾンの民』」への反応 (3ページ目) - Togetter.

"ピダハンがチョムスキーの「普遍文法=再帰」の反証になるとすれば、それは「ピダハンのこどもは再帰を含む文法構造を持つ言語を獲得できない」ということが示された時です。そして現在ピダハンのこどもがポルトガル語を学んでいるという情報から考えて、そういうことが起こる可能性はとても低いです。"

 僕は上述したように特に強い興味はありませんが、エヴェレットのチョムスキー批判について冷静な分析を、アニ@gorotakuさんという方が、うまく纏められています。参考に。

ピダハン 謎の言語を操るアマゾンの民|地球ドラマチック – テレビのまとめ.

ノーム・チョムスキーは「リカージョンはあらゆる言語に存在する」としています。これはチョムスキーが唱え言語学界の定説となっている理論「普遍文法」の最も重要なルールなのです。
チョムスキーが唱える普遍文法とは、文法は生まれつき人間の遺伝子の中にそなわっているとする理論です。この理論によると人間の言語は表面的な違いに関わらず、全て同じ構造を持っていると言います。
 本書のポイントを簡潔にまとめられている。

| | コメント (0)

« 2019年1月 | トップページ | 2019年3月 »