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2019.06.24

■感想 酉島伝法『宿借りの星』

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『宿借りの星』(東京創元社 公式サイト)
 酉島伝法『宿借りの星』読了。『皆勤の徒』に続き、まさに文字(主に漢字の造語)で異世界にトリップできるVR-SF。
 電車の中で読んでいて駅で降りると、コンコースの看板の文字が不思議な感覚にゲシュタルト崩壊する。あれ、ここはどこの異世界だっけ、すっかり『宿借りの星』住人視点で日本のヒトの町が異質に見えてしまうという破壊力。

FORBIDDEN PLANET Soundtrack - a) Main Titles - Overture - b) Giant Footprints In The Sand
 今回読んでいる最中にずっとBGMに聴いていたのが 50年代の異星の文明を描いたSF映画『禁断の惑星』サントラの電子音楽。これが妙に甲殻類なSFに合うんですねw、なぜだか。

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 ムーミン+次郎長三国史というのが酉島氏自身が本書のイメージを伝えるためにつぶやかれた言葉だというが、そのようなありもののワードで簡単に表現出来るような小説世界ではない。作者も入り口として敷居の低いイメージを提示したかっただけだろうから、あたりまえだけど、、、。
 じゃあ、どういう小説か? と問われると、これは表現が超難しい。かといって敷居が高い作品かというとそうではなく、割とすんなり読み進められるが、その際に読者が脳内で連れ去られる世界の芳醇さ/奇想さ/ぶっとんだユーモア感覚はかなりの複雑さを呈している。

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 物語は卑徒(ひと)と呼ばれる種が滅んだ後の異星で、甲殻系の(地球感覚からは)異様な生態系を持った蘇具(ぞく)たちの倶土(くに)を舞台に、主人公マガンダラと弟分のマナーゾ(上図 左)の道中が描かれる。異質生態系の奇妙な世界、食と行動と習俗を段々と自分の身体が甲殻化するような体感をしながら、そしてあるものが体内に寄生し宿っていく過程は精神的な侵食も進んでいく。

 描かれるクライマックスの情景は、正直まだ自分の貧困なイマジネーションではイメージがぼんやりとしているけれど、その星の世界が神話的に大変動するダイナミックさ。

 他の映画や小説で何か例えてこの読書体験を伝えたいと思ったのだけれど、なかなかこの世界は他に例が思い浮かばない。ので、興味を持たれたら、上記東京創元社の公式リンクで冒頭を立ち読み/または池澤春菜さんによる本書朗読を聴かれる(以下リンク参照)ことをお薦めします。(あえて言うとヤン・シュヴァンクマイエルとブラザーズ・クエイとヴァーツラフ・シュヴァンクマイエルのシュルレアリスム作品をAIでミックスして、自動書記自主映画を生成したような、、、w)

◆関連リンク
池澤春菜さんによる本書紹介@TBSラジオ アフター6ジャンクション(アトロク)は以下。本作の貴重な朗読は、4:38から聴けます。
酉島伝法 初長篇『宿借りの星』進捗(Togetter)
 今回の記事の添付画像は、twitterでつぶやかれた作者自身の本書収録イラストを使わせて頂きました。そのtwitterのまとめは上記リンク。
酉島伝法初長篇『宿借りの星』感想集(Togetter)

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