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2019.06.03

■感想 マイケル・ドハティ監督『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』


『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』日本版予告編
 マイケル・ドハティ監督『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』レーザーIMAX 3D@109名古屋で観てきました。
ネタバレの感想は一番下でします。まずは以下、ネタバレなしの感想からですが、先入観なしで観たい方はご注意ください。
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◆ネタバレなし 感想

 いや〜、凄い音響とデザスターな映像シャワーで満腹でした。マイケル監督、名に恥じずド派手w。と下らないダジャレが出てしまうくらいの好き放題で、これは賛否両論でしょうね〜〜。現実にSNSを(Facebook中心に)眺めていると賛否の幅がかなり広い。

 この映画、僕は怪作と呼ぶことにしました。ゴジラ愛に溢れる超弩級の怪作。会場は真面目な方が多かったのか笑いはなかったですが、僕は何シーンか吹き出してました。豪勢な怪作にw。

 デザスター映画としての怪獣映画の可能性をこれでもかと見せつけるんですが、なぜか悲壮感はそれほど高まらないところ、ド派手監督のマニアックな人徳でしょうか(^^)。

 キングギドラの描写に期待していたのだけれど、僕はアニメ版の方が好きだった。でも今回のハリウッドは、あの顔の造形もまさに東宝版へのリスペクトなのですね。まさに龍の顔。もっとリアリティを追求した方向に振る事も出来たはずなのいこうしたのは正にリスペクトかと(モスラは東宝リスペクトだけれど、どこかリアルを追求した感じだったけど…)。

 賛否両論の非の方は、好きなゴジラ映画をいい加減に引用されたように見えるのかもしれないですね。監督はそんなつもりでなくても、物語の無理とか山盛りに東宝リスペクトを出しすぎて、消化不良になっていることから、リスペクトが悪ふざけに見えたのかもしれない。豪華にモリモリにしすぎて、そこが真面目に作っているか、疑われたのでしょうね。僕は物語への不満は、後半のネタバレのところで書きますが、怪獣愛は感じたので、そこまで否定的でなく、贅沢なリスペクト作で、愛が溢れすぎてそれが怪作へつながったのかな、という感想になったわけです。

 正直、これだけの資金を庵野総監督に渡して、カラーと日本特撮陣で、ハリウッドシナリオ批評システムに乗っけた上で、ファイナルカットは庵野監督という形で作ったら…と夢想しないわけにはいきません。モンスターユニバースとして、ハリウッド『シン・ゴジラ2』はありえないですかね。


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◆ネタバレあり 感想 ★★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ 未見の方、ご注意下さい  ★ ★

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 怪獣はアメコミヒーローにない規模の、巨大なものが都市を蹂躙する黙字録のような巨大なディザスターを描ける強みがある、というのが今作でハリウッドの巨額予算でアメコミと同等のSFXで描かれ比較できたことで画面から強く感じられたことだった。

 そしてその映像を本篇は描ききれず、予告の方が悲壮感が漂っていたように思う。

 ドビッシー「月の光」の静かな雰囲気に対して、伊福部昭のマーチ的な重層音楽が街を破壊し蹂躙していくような使い方がされていたら、面白い画面効果になっていたのではないかと思う。

 怪獣によりボストンの街が見渡す限り破壊されたシーンにラドンとキングギドラが舞う破壊の美しさを極めたようなシーン、あれをあの家族の母親の冷徹な思弁によって娘が見捨てられることを重ねて描き、怪獣のディザスターと合わせて最高の悲壮感をもたせて、そしてその悲壮なシーンで地球環境が人類文明のない"自然"の状態に戻っていく様として描けていたら、凄い映画になったのではないかと夢想してしまう。

 そこで、キングギドラは宇宙怪獣(それにモナーク側環境テロリスト側が安易に過去の文献をちょっと調べてほぼ同時にわかるような安易な描写も排除して欲しい)で、その"自然"は実は偽りで、金星の"自然"に一部なりかけている、このままでは、、、という描写もしっかり欲しい。

 母親の狂信、それは自分もそして娘すらその犠牲になっても地球環境の延命のためなら犠牲すら問わないものでなくてはならなかったはず。そこまで冷徹に徹底しないで、家族のお涙頂戴描写にした本篇の物語が最悪だったところだろう。

 芹沢が死んでいくのも、潜水艦の核弾頭発射装置が故障したからという安易な設定(その前に軍用輸送機の格納扉が故障してオスプレイが収納できないという安易な設定があり、またかと観客に思わせるのが残念すぎる)。渡辺謙の力のこもった演技がもったいない。

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 劇場で、となりの席の中年男子は、エンディングのモスラの歌で泣いていました。伊福部昭の音楽とゴジラって、本来切っても切り離せないもののはずで、そうしたところをわかっているな、という好意的な気持ちとじゃあ何故本篇でもっとそのまま使わないのか、という不満が並行で自分の中に湧きおこるわけです。同じようにオキシジェンデストロイヤー、古代都市が海底に没した姿。等々が、、、。リスペクトと捉えるか、使い方が残念と思うかは、コインの裏表で、自分の脳内には両方並列で思い浮かぶのだけれど、どちらにころぶかは微妙なものがあると思うのです。

 先に、悲壮感で徹底したリアルを描く映画が見たかったと書いたのだけれど、もう一方でここまでリスペクトしたのなら、物語のハリウッド的なリアルを捨てて、モスラの小美人双子とか、金星人とか、ムー大陸(アトランティス?)出すなら海底軍艦も出すとか、徹底してやってもっと怪作路線にはちけても良かったのかとも思うw。

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 最後に飯塚定雄氏の描くキングギドラの素晴らしい引力光線について。
 上の引用画は、上の二つが『地球最大の決戦』のギドラ。下の一枚がKOMのギドラ光線。
 光線だけを見ると、それなりに飯塚光線の奔放さをうまくSFXに活かしてるようにみえるのだけれど、本篇ではその破壊力があまり感じられなかった。

 その理由はおそらく上の2枚にある、光線による街の破壊、一撃で建造物がバラバラになるあの迫力が描写されていなかったからではないだろうか。このあたりも物語の詰めの甘さに加えて、金があるがゆえにリスペクトはしているが、見せ方の工夫で破壊力を上げるような円谷特撮の知恵みたいなものが活かされていない残念なところである。否定派はそうしたところも馬鹿にされていると感じられるのかも。

◆関連リンク
もしも超絶ゴジラオタクがハリウッドで「ゴジラ」を撮ったら… M・ドハティ監督が愛を叫ぶ

“ 何にだって、どんな映画にだって、ゴジラを加えればより良くなると僕は思っている。想像してごらんよ、「スター・ウォーズ」にゴジラを足したら、やばいだろ? 「七人の侍」だってさらに良くなる。”

 マイケル・ドハティ監督、やばいっす(^^)。
 これ以外の本文は、今回の映画のちょっとネタバレがあるので、読むのは自己責任でw。
襲来! ゴジラジオ (NHKラジオ第一)
 『シン・ゴジラ』の続篇について聞かれ、樋口監督、続篇の話ということではなく、日本でのゴジラ映画の今後は、まずアメリカのゴジラが終わらないと、レジェンダリーと東宝の契約からは日本では制作できない。アメリカのもいいけれど、日本でやったらもっといろいろできるのにとモヤモヤしてしまう、と語られていた。

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