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2019年11月

2019.11.27

■感想2 「未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか」@森美術館

 前回の記事に続いて「芸術と未来展」の写真の続きです。ここからは、「4.身体の拡散と倫理」と名付けられたコーナーから幾つかご紹介します。

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ガイ・ベン=アリ「cellF」
 世界初の脳細胞を用いたシンセサイザー、とのこと。
 作家の皮膚細胞由来のiPS細胞から作った約10万個の脳のニューロンネットワークに64個の電極を付け、それを「生きた外付けの脳」としてシンセサイザーを操作したとのこと。コンセプトは凄いですが、何だかもやっとした音が鳴っていました。

 SFファンとしてはこの「生きた外付けの脳」というのがキーですね。それにしてもこの脳に意識が、万が一にも(あり得ないと思いつつ)芽生えることがあったりしたら、物凄く恐ろしいですね。

やくしまるえつこ「わたしは人類」
 25億年前から生息する微生物(シネココッカスというラン藻)の塩基配列を特殊暗号表「Cipher」によって変換、遺伝子組み換え微生物のDNAに保存。人類滅亡後の音楽として演奏を奏でている。

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アギ・へインズ「変容」シリーズ
 外科手術で身体機能を強化した5人の新生児。写真左は「体温調整皮膚形成手術」というタイトルで、遺伝子操作で頭皮を引き伸ばし放熱能力を上げ、地球温暖化の環境下でも働ける、と解説されている。倫理感を問いかけるとのことだけれど、これはあまりにえぐい。人間はここまで進化に関与してしまうのでしょうかね。科学の行き着く先としてありうる未来なのでしょうか。

エイミー・カール「進化の核心」
 写真右 新しい血管系を提案する3Dプリンタで制作された心臓とのこと。脳梗塞を起こす心臓内の構造欠陥(左心耳)等、現在の心臓はベストの構造と言えないため、こうした新しい構造提案もありかもしれない。しかしこちらにはあまり不気味さは感じないのに、先ほどの赤ちゃんのは不気味に感じるのはなぜだろう。

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リー・シャン
 人間の体の一部が昆虫の一部になっている。上のハエとカエル、どこが人間の部品かわかりますか。


◆続いて 5.変容する社会と人間 について

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丸山典宏、升森敦士、池上高志、小川浩平、石黒浩、ジェスティーヌ・エマール「オルタ3」
 セントラル・パターン・ジェネレータによる周期的な自律した動きと、外部情報に呼応するニューラルネットワークの相互作用によって生み出される、奇怪な人のようなものの動き。メカと皮膚のハイブリッド構造はやはり気持ちが悪い。

手塚治虫『火の鳥 未来篇、太陽篇』のパネルと原画展示、諸星大二郎 原画展示
 特に『マッドメン』、あの飛行機(バルス)のシーン、『暗黒神話』の弟橘の身体が溶け崩れるシーンの原画が見れたのは幸せだった。
 人間の変容の未来を想起する展示を見せられた後、これら漫画の先見的なシーンを見られるのは格別のイメージ。できればSF作家の小説もこのような形で展示して欲しかった。

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メモ・アクテン「深い瞑想」
 Flickerの"everything"タグの写真から、ニューラルネットで動画を生成した作品。「未来と芸術」展では、これを24面分、プロジェクタで300インチくらいの壁面に映して、凄い空間を形成。大空間で浸ると異世界へトリップ、異星の知性を見る様なAIアートです。

参考 Memo Akten 公式HP このような動画です。

 

Deep Meditations 5 minute excerpt from Memo Akten on Vimeo


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アウチ「データモノリス」
 高さ5mの直方体にプロジェクタで映像を映し出す作品。なかなかダイナミックで良かったが、SF映画ファンとして残念だったのは、直方体が1:4:9でなかったところ。1が厚すぎました(^^;)。

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 そして最後は、森美術館のショップにあった『アキラ』グッズコーナー。海洋堂のminiQというフィギュアがディスプレイされていて、なかなかの見ものでした。

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2019.11.25

■感想1 「未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか」@森美術館

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未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか (公式サイト)

"豊かさとは何か、人間とは何か、生命とは何か
2019.11.19(火)~ 2020.3.29(日)"

 東京出張の帰りに「未来と芸術」展 @ 森美術館 観てきた。

 AIが都市や建築、衣装や映像を創り、バイオ技術が神経細胞による音楽やバッハの耳や進化したベビーを生み出し、3Dプリンタが人造寿司や月面基地を作り出すおぞましくも輝かしい未来。本業側で聴いたAIによる異様な知性の話とともに印象的な1日になりました。

 一番強いインパクトを受けた映像は、1番目の写真にある、メモ・アクテン「深い瞑想:60分で見る、ほとんど「すべて」の略史」という作品。どこにもないが、何処かでいつか観た様な異様な、AIが創り出した自然の光景。時間が許せば、いつまでも観てたい魅力の奇想映像。

 そして「未来の芸術」展、最後のコーナーにそうした未来を予見した手塚治虫と諸星大二郎の原画が置かれていたのが象徴的な、素敵に不気味な展示会体験でした。※

 その最後のコーナーのタイトルは「人類の変容」、ここはブルース・スターリングの描いた未来を垣間みせるバイオな超人を夢見るコーナーw。そういえば、この展示でSF作家の小説との連関が示されたり、小説の世界が紹介されてなかったのは残念。(一部、展示キャプションにいささか唐突にP.K.ディックの言葉は出てくるが、作品の引用とは言えない)

 あとメモしときたいのは、AI各作品で感じた<アウトサイダーアート>感。AIの同じ計算を根気よく延々繰り返して創り出す奇想は、「アウトサイダーアート」展で見た数々の奇想作品と肌合いが似ている。これがどこから来る印象かはもう少し考え続けてみたいと思う。とりあえず思いつく言葉は、スターリングとも通じる、デッドテックでパンクでゴミガジェットっぽい感じでしょうか…。

※手塚作品『火の鳥 未来篇』、諸星作品「夢見る機械」『暗黒神話』『孔子暗黒伝』『マッドメン』「失楽園」。

◆個別作品の写真とレポート

 以下、個別写真の紹介と簡単なレポートです。

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 MADアーキテクツ「山水都市リサーチ」と ハッセルスタジオ+EOC「NASA 3Dプリンター製住居コンペ案」。
 後者は、CG動画による3Dプリンターの建築の様子も並設され左かなか。

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 SF映画とアニメからポスターと映像を紹介した五十嵐太郎「映画に見る未来都市」とウォーターフロントの未来都市に映像によるAR/MR的な表現を加えた経産省「2025年大阪・関西万博誘地計画案」。

 ここで取り上げられるのは、アキラ、攻殻機動隊、メトロポリス、TRON、ブラックパンサー、レディプレイヤーワン、ブレードランナー、エヴァンゲリオン、といった作品。しかし都市の未来は特にディスプレイされておらず残念。

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 エコ・ロジック・スタジオ 「H.O. R.T.U.S. XL アスタキサンチンg」。
 3Dプリンタによる建築プロトタイプ。六本木ヒルズからの眺望とこの立体模型の組合せがなかなかのセンスオブワンダー。

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 ニュー・テリトリーズ/フランソワ・ロッシュ「気分の建築」(以下、展示キャプションの 引用です)

"(略)「気分の建築」の基盤となっているのは、欲望の表出に内在する矛盾を再読することである。(略)言語の秩序と建築家の協調組合主義的な利便性や慣習に揺さぶりをかけるという立場から、「誤解」と抵抗のプロセスを物理的に構築するために、言語が持つ偽装のメカニズムに侵入することである。(略)現在、AIによるディープラーニングや演算ロボットのような、機械設備、工学技術、科学の専門知識と制御が、権力構造を維持および再現するための主な方法となっている。それに対する解毒剤を打つ時が来ているのだ。

「この世界がひどいと思うなら、別の世界に目をむけるべきだ」フィリップ・K・ディック "

 相当に難解な内容で今ひとつ理解できないですが、表現したいことは何となく伝わってきます。AIによるジェネレイティブデザインという先端の技術が人の言語や欲望と紐付けられ、なかなかワクワクする造形になっています。引用されていたディックの言葉ともう少しリンクしていると良かったかと。

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 OPEN MEAL「スシ・シンギュラリティ」。

 食の四原色SSSB(ソルティ、スイート、サワー、ビター)で寿司をデータ化、米粉、寒天、大豆、海藻など原材料のジェルを素材とし3Dプリンタやロボットアームで造形化するコンセプト。寿司という日本の食文化は、回転寿司というテクノロジーとの融合(一部の寿司は機械で握られているものもあった)で我々の現実に定着しているけれど、今後、IT(3Dプリンタ)、バイオ技術との融合でこうした奇妙奇天烈なものも出てくる可能性をどこか想像させる。しかし、寿司に「シンギュラリティ」の言葉がくっつく時代が来ようとは、、、!!

 ここまでで全体の半分、残りは次回の記事とさせて頂きます。この後がバイオ技術で奇妙な歪んだ未来が提示されていきます。

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2019.11.20

■情報 小松左京原作『日本アパッチ族』ラジオドラマ『鉄になる日』他


小松左京生誕85周年ラジオドラマ「鉄になる日」

『日本アパッチ族』(wikipedia)

"2012年11月21日 『鉄になる日』MBSラジオ(演出:島秀一、脚色:林一郎)

現代風にアレンジ。文化庁芸術祭ラジオ部門大賞、ギャラクシー賞ラジオ部門大賞を受賞[2]。アジア太平洋放送連合(ABU)賞大賞を受賞。"

 小松左京『日本アパッチ族』を原作としたラジオドラマ『鉄になる日』が、Youtubeにアップされていました!
 ずっと聴きたかったのですが、東海地方では放送されなかったので、これは嬉しいです。ということで先日の『日本沈没』ラジオドラマに続き、ご紹介したいと思います。

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 小松左京展でも紹介されていたように、『日本アパッチ族』は第一長編で、当時貧乏で小松左京夫妻の唯一の娯楽だったラジオを質入れしてしまったため、奥さんのために小松左京が毎日少しづつ執筆したという、まさしく娯楽巨編奇想SFです。(実はラジオは質入れしたのでなく修理に出していたということですが、おかげで我々はこんな抱腹絶倒の奇妙な傑作を読めたわけですが(^^) )


伝えたい戦後70年 復興の光と影「アパッチ族」

"終戦から10年あまりたった昭和30年代。日本が高度成長の道を走り始めた頃、戦災復興から取り残され、自分たちだけでしたたかに生き抜こうとした「アパッチ族」と呼ばれる人たちが大阪にいました。著名な作家達が相次いで文学作品の題材にした「アパッチ族」とは。"

 そしてこれが、噂に聴いた 本物の 大阪アパッチ族 の様子を伝えるドキュメント!
 小松左京はこのニュースを知って、スペキュレイションを広げて、鉄で食う出なく、鉄を食う『日本アパッチ族』を書いたのでしょうね。

日本アパッチ族 小松左京 (大阪弁・30年以上前の録音)
『日本アパッチ族』(wikipedia)

"1972年5月27日 NHKラジオ第1放送文芸劇場(NHK大阪放送局制作)"

 こちらも貴重な46年前のラジオドラマ。上のドラマに比べると昭和の匂いが懐かしい感じです。こちらのワイルドな感じが原作の記憶に近いような気がします。もう一度これを機に40年ぶりくらいになりますが、原作を再読してみたいものです。

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◆関連リンク 
松岡正剛の千夜千冊 1713夜『日本アパッチ族』小松左京

"なんとも奇っ怪な小説を書いたものだ。いまなおこの話に匹敵するSFがない。"

 あの松岡正剛氏にここまで言わせる奇想小説 !

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2019.11.18

■録音版公開 2 小松左京原作、岡本愛彦演出 ラジオドラマ『日本沈没』(1973年)


ラジオドラマ『日本沈没』 No 4 94〜103回

原作:小松左京 (光文社カッパノベルス刊)
演出:岡本愛彦 脚色:蓬莱泰三 音楽:田中正史
効果:高田暢也 演出助手:竹内東弥

キャスト
小野寺浩介:江守徹 阿部玲子:太地喜和子 田所雄介博士:加藤武
幸長信彦助教授:金内喜久夫 中田一成:高橋悦史 邦枝:角野卓造
山本総理:北村和夫 渡老人:龍岡晋 吉村秀夫:下川辰平
ナレーター:川辺久造 その他出演:文学座

 映画版、テレビ版より早い1973年10月8日から1974年4月5日の半年間、毎日放送制作で、9:00 - 15分の帯番組として、月曜から金曜の毎日、全国ラジオネットワーク(NRN)系列局で放送された。全130回。 今回はその東海ラジオの録音版公開の第二回として中盤の94回から最終回のご紹介です。AM放送故の雑音、古いカセットテープからのデジタル化で再生速度の不安定さはご容赦下さい。
 46年前にこのように素晴らしい作品を作られた制作者の皆様に感謝いたします。

 まず1本目(前回記事から数えると4本目)、73年年末に放送された中盤の一部です。 映画版と比べても遜色のない重厚なドラマの雰囲気をお楽しみいただければ幸いです。

 


ラジオドラマ『日本沈没』 No 5 116, 120, 123, 126回

 いよいよ放送も終盤に差し掛かり、日本はほぼ壊滅し海の底に沈む寸前です。
 ここら辺りは、小野寺と玲子の物語は、原作から少し離れて別の展開を見せています。


ラジオドラマ『日本沈没』 No 6 最終回

 そしていよいよ最終回。ここは最後ということで全篇の録音が残っています。今までの録音と異なり、冒頭から最後まで、本来の放送の形が唯一残っている回になりますので、お聴きいだければと思います。

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 No.1-6の全てを聴いていただいた方がいらっしゃったとしたら、お聞き苦しい中、ありがとうございました。
 ラジオドラマというメディアを最大限に活かして作られたSFドラマの白眉の傑作だと思いますので、お楽しみ頂けたとしたら幸いです。

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◆関連リンク
ラジオドラマ 日本沈没 (1973) Wikipedia

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■録音版公開 1 小松左京原作、岡本愛彦演出 ラジオドラマ『日本沈没』(1973年)
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2019.11.13

■録音版公開 1 小松左京原作、岡本愛彦演出 ラジオドラマ『日本沈没』(1973年)


ラジオドラマ『日本沈没』 No.1 ダイジェスト1〜94回

原作:小松左京 (光文社カッパノベルス刊)
演出:岡本愛彦 脚色:蓬莱泰三 音楽:田中正史
効果:高田暢也 演出助手:竹内東弥

キャスト
小野寺浩介:江守徹 阿部玲子:太地喜和子 田所雄介博士:加藤武
幸長信彦助教授:金内喜久夫 中田一成:高橋悦史 邦枝:角野卓造
山本総理:北村和夫 渡老人:龍岡晋 吉村秀夫:下川辰平
ナレーター:川辺久造 その他出演:文学座

 映画版、テレビ版より早い1973年10月8日から1974年4月5日の半年間、毎日放送制作で、9:00 - 15分の帯番組として、月曜から金曜の毎日、全国ラジオネットワーク(NRN)系列局で放送された。全130回。 その東海ラジオ放映の、73年年末に放送された1〜年末回までのダイジェスト放送と94回までの一部録音版です。 AM放送故の雑音、古いカセットテープからのデジタル化で再生速度の不安定さはご容赦下さい。

 46年前にこのように素晴らしい作品を作られた制作者の皆様に感謝いたします。

 映画版と比べても遜色のない重厚なドラマの雰囲気をお楽しみいただければ幸いです。

 うちにはカセットテープ3本が存在します。そのA,B面を6本のデジタル音源に変換したので、全部で6本の動画としてYoutubeに順次公開していきます。本日の記事はその前半3本のご紹介です。残り3本は今週末にアップして、次週の記事として記載したいと思っています。


ラジオドラマ『日本沈没』 No.2  30〜36回

 30-36回の一部録音版です。
 上のNo.1 ダイジェストとこのNo.2は一部、時系列が逆転しています。ラジオで録音した順番(放送の順番)は、YoutubeアップのNo.2、No.3、No.1の順です。 ややこしくてすみません。

 当時、中学生でカセットテープを買う小遣いが足りなくて、ラジオを聴きながらここだっ! と思ったシーンをその場で録音していくという録り方をしているので、話が飛び飛びなのはご容赦ください。

ラジオドラマ『日本沈没』No.3  4?, 51, 53, 54, 55回

 本日の最後は、前半の4?, 51, 53, 54, 55回の一部録音版です。

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 このラジオドラマのシナリオは、演出された岡本愛彦さんに手紙を書いて、特別に譲って頂いたものです。
 シナリオ裏表紙に制作時に出前された食事の数が記されているのが生々しいです。五目そば 三、ギョウザ 三、ライス 一、焼きそば(かため) 二と書かれてます。

 岡本さんは、TV「私は貝になりたい」等で有名な映画とテレビドラマの監督さんで、すでに2004年に79歳でお亡くなりになっています。
 数少ないラジオドラマの演出がこの『日本沈没』です。ラジオドラマでありながら大変視覚的な演出でイメージ喚起力に優れるこのラジオドラマを作られたのも、映像畑の演出家でいらっしゃったことが大きく影響しているのかもしれません。

 最後になりましたが、改めて素晴らしいドラマを制作された岡本愛彦さんに追悼の意を表したいと思います。何も知らない中学生に丁寧にご返事いただき、不躾なお願いにも関わらず、シナリオと長文のお手紙を頂き、本当にありがとうございました。

◆関連リンク
ラジオドラマ 日本沈没 (1973) Wikipedia

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2019.11.11

■動画 ビリー・アイリッシュ PV 村上隆『you should see me in a crown』、リッチ・リー『all the good girls go to hell』



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 ビリー・アイリッシュと村上隆のコラボPVアニメ。
 後半の奇想サスペンスが、素晴らしいです。蜘蛛のような怪獣はビリー・アイリッシュの別のPVでのアイリッシュの顔に蜘蛛が這うどうがを意識しているのかもしれない(こちら Billie Eilish - you should see me in a crown (Vertical Video))。そして素晴らしいのはその奇怪な動きと顔の造形。これにより醸し出されているサスペンスがなかなかの見ものなので、是非ラストまで観てみてください。

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 前半はジャパニメーションを意識した少女の踊る姿。もちろんビリー・アイリッシュなのだろう。そのファッションセンス、そして佇まいがよく捉えられています。

 


all the good girls go to hell

 ビリー・アイリッシュのPV、ホラー風味がなかなか良いです。他のPVもホラーっぽくって、ハスキーなヴォーカルに合ってますね。
 この動画は、地球温暖化に対する危機感を表現しているということなのですが、痛々しい少女が地獄を這いずる雰囲気が現代の若者の危機感を見事に表現しています。

 このほかにもビリー・アイリッシュのMVは、奇想を意識した映像が多いので、その歌声と共にとても楽しめます。今後の活躍も目が離せませんね。

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2019.11.06

■感想 「小松左京展「D計画」」@世田谷文学館

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「小松左京展「D計画」」@世田谷文学館 (美術手帖)

"会期 2019年10月12日~12月22日  会場 世田谷文学館
 開館時間 10:00~18:00 ※入場・ミュージアムショップの営業は閉館30分前まで
 休館日 月(10月14日、11月4日は開館)、10月15日、11月5日
 観覧料 一般 800円 / 65歳以上・大学・高校生 600円 / 小中学生 300円

 代表作『復活の日』や『日本沈没』など、人類の滅亡の危機を描いた小松の作品は、徹底した取材・調査と膨大な知識・想像力が生んだもの。その迫力と高いエンターテインメント性で読者を圧倒し、地球規模災害や世界の変化など未来を予見したような作品の設定も驚異的だ。
  
 本展は、作家・小松左京が誕生するまで、代表作の魅力の再発掘、また大阪万博のテーマ館サブ・プロデューサーを務めるなど多分野での活動に注目。多彩な資料をもとに、「小松左京」とは何者かを探る。"

 東京出張にくっつけて「小松左京展「D計画」」を10/22に見てきた。
 生原稿から企画メモ、『さよならジュピター』メイキング、映画のミニチュア、万博の資料、飼われていた猫たちまで、充実の展示。
 ディスプレイされた著作から引用された言葉群を展示とともに読み進め、小松SFを過去へ/未来へ旅する、感慨深い3時間でした。

 ボリュームとしては会場の広さと資料の量では、『高畑勲展』に比べると1/3ほどかもしれないけれど、他では見られない創作メモ等、その情報密度はこちらも重量級で、半日みっちりじっくり鑑賞したが、まだ情報の1/4ほどしか見切れていない感じ。

 以下は簡単なレポートと、僕が撮ってきた写真記録です。(写真は会場内は3箇所のみ撮影可)

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 会場は『高畑勲展』と比べると観客の数ではもの凄く空いている。表現者として考えると、アニメーションの高畑監督と比べると一般性は少し小さいかもしれないが、現在の日本の文化/文明に対する影響では、小松左京の巨大さは疑うべくもない。もっとこうした作家の展示というのは大きく、そして大勢の人々に見られてもいいのではないかと思ってしまう。
 特にこの資料の密度は圧倒的なので、是非、小松左京作品に触れたことのある方には、みて欲しいものです。

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 小松左京の書斎を再現したコーナー。
 このすぐ横に『日本沈没』コーナーがあり、当時、執筆に際してD計画の各種計算に使われた電卓等も飾られていた。

 代表作については、キーとなる作中の文章がパネルに文字として大きく引用されいて、かつて読んだ記憶が想起され、たの展示品共々、小松ワールドが眼前にまざまざと展開される構成で、そのイメージ喚起は圧巻でした。

 小松SFから小説や映画に興味を持ってきた僕としては、ここで示される『日本沈没』『日本アパッチ族』『果てしなき流れの果てに』『エスパイ』『復活の日』『結晶星団』『ゴルディアスの結び目』『虚無回廊』『地には平和を』等々のSF小説とその映像/メディアミックス作品については、原点的に感じられて非常に感慨深い空間でした。

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 この写真は『さよならジュピター』のメイキング映像と、そのオーディオコメンタリーが流されるコーナーの隣に置かれた小松家の歴代の猫達のコーナー。
 各作品で苦労された小松左京の心を癒したであろうねこ達の姿と、そこに横たわる小松の写真。自身が撮られた猫のホームビデオも流されていて、猫への深い小松左京の愛情が伝わる良いコーナーでした。

 そして最後のコーナーに生賴範義氏の描いた2008年の小松左京さんのあの絵が飾られていたが、世界をそして宇宙を洞察するあの眼の輝きが素晴らしかった。

◆展示物から知った情報
 展示されていた企画書やメモ等から知った濃い情報を以下箇条書きにします。他で既に公開されているのかもしれないですが、少なくとも僕にとっては初めて知った情報。写真撮影は不可であったため、その場でiPhoneでメモを取ってきたものです。もし一部記録ミスがあったら申し訳ありません。文責 : BPということで、、、、(^^;;)。

wikipedia「日本沈没」等に記載されているメディアミックス作品として、ラジオドラマは1973-74年半年間に渡って放映された毎日放送の連続ラジオドラマ版と1980年のNHK版があるのは知っているが、昭和48年1973年の11月に文化放送で単発ドラマとして「ここを過ぎて悲しみの都へ(日本沈没より)」という芸術祭ラジオドラマ部門へ出品されていた作品があったのを初めて知った。時期的に毎日放送のラジオドラマと並行して放送されたということになるが、どういう事情だったのでしょうか。映画の公開直前ということで、キャンペーン的な意味合いがあったのか、、、。展示品はこのドラマのシナリオでした。(逆に展示コーナーには、毎日放送版のシナリオは展示されておらず、うちにあるシナリオは貴重かも、と思ったり、、、。)

 このラジオドラマについて、ネット検索すると、以下の情報がありました。
 公開セミナー「鉄になる日」関連番組(pdf)

"小松左京「日本沈没」よりドラマ「ここを過ぎて悲しみの都へ」文化放送1973/11/4 50分
大地震が次々と日本列島を襲う。沈没を予告された日本列島に生きる日本人の運命は?。小松左京の「日本沈没」をラジオドラマ化。
原作:小松左京。脚本:横光晃。出演:中尾彬,日色ともゑ,前田昌明,加藤嘉,久米明,杉山とく子,松本のり子。"

・キネ旬 73.12/15 「映画 日本沈没 のイメージを探って」と題した小松左京、森谷司郎他の対談記事。
 これは読んだ記憶がないので、いつか入手したいものです。

・映画企画 『新日本沈没』、東宝で95-96年に企画されていたようです。これもwiki等にない情報。検索してもネット情報も見当たりません。
 企画書 1995 6/30。提案 北山裕章。
 同企画書 1996 4/24、12/12。企画 提案 橋本幸治 北山裕章。
 ストーリー 米村正二 藤田伸三。正篇のリメイク+続篇を加えた全長版とのこと。
 監督案として、大森一樹 澤井信一郎 滝田洋二郎 崔洋一 伊藤俊也 降旗康男の名が書かれています。
 配役案は、小野寺 真田広之 中井貴一 緒形直人、玲子 宮沢りえ 後藤久美子 清水美沙、田所 柄本明 ビートたけし 勝新太郎という記載。
 僕はこの監督陣なら、澤井信一郎版とか観たかったかも。ビートたけしの田所博士はさすがにないかとw。

・1999年公開予定の松竹版。大森一樹監督として制作発表されたもの。ポスターが飾られていました。
 ネットでこの映画のポスターとして知られているものと同じでした。

・日本沈没 全6回バージョン 2002.10/2 (株)東宝映像美術企画。全6回と書かれていたので、たぶんテレビ企画ではないかと。
 イメージキャスト 地球物理学者 伊東四朗 、潜水艇乗り 坂口憲二 、女優志願 小池栄子 以上未交渉と記載。

・半村良の小松『日本沈没』の読後の書簡 73.3/25
 「沈没でSFをはじめてやっと納得できる教範に会った心境です。」という記載あり。ここを起点に半村良によるSFへの再チャレンジに火がついた様子が伺えます。もしかしたら傑作SF『妖星伝』等は、この『日本沈没』がなければ産まれなかったのかも。
 その他は、半村良先生の『日本沈没』への書簡 (小松左京ライブラリ)参照。

・アーサー C クラークの『さよならジュピター』 参加辞退の書簡。
 特に説明書きがなかったため、詳細は不明ですが、たぶん映画化の際に協力を仰いだのかと。これも当時聞いたことはなかったし、ネット検索しても出てこない情報なので、なかなか貴重。もしクラークの協力が得られていたら、どんな映画の変更があったのか、夢想させます。

・映画『さよならジュピター』について、「興行的には収支とんとん」の文字。

・万博のテーマ特別委員会 資料に「候補者名簿 芸術部門 黒澤明」の名があり、丸が打ってある。
 もし黒澤明による万博企画があったとしたら、、、これもいろんな想像を膨らませられます。

・その万博に関する小松左京の1970年3月13日の言葉「地下第三スペース  全展示場をもう一度見回った。私にとっての万国博の本当の終わりだった」。全力を尽くして走り回った後の気持ちだろうか。奥の深い言葉として、展示の最後のコーナーで感慨深く感じました。余韻を引く言葉です。

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2019.11.04

■情報 『ジェミニマン』 HFR : ハイフレームレートについて


UFOTOG MAGI
 まずダグラス・トランブルのMAGIシステムによる4K 3D 120fpsの実験的映像作品「UFOTOG」メイキング(2014年)。
 関連記事「史上初 4K 3D 120fpsの実験的映像作品「UFOTOG」公開」。ここにトランブルがコンセプト担当した『ジェミニマン』のHFR映像の原点がある。

『ジェミニマン』公式サイト 劇場情報

"MOVIXさいたま、梅田ブルク7、T・ジョイ博多 ドルビーシネマ3D+ in HFR(字幕版) ※120fpsでの上映
109シネマズ川崎、名古屋、菖蒲 ( 埼玉 ) IMAX3D+ in HFR(字幕版)"

 IMAXの最高峰のレーザー/GTテクノロジーのエキスポシティとグランドシネマサンシャインには、残念ながら「2D 日本語字幕」のみの上映で、IMAX 3D HFRの上映はなされていない。

『ジェミニマン』公式 「3Dプラス イン ハイ・フレーム・レート」のポイント

"1 <フレーム数=250%>
3D+は、60fpsという、これまでの映画のフレームレート(1秒間に24コマ)の2倍以上のフレーム数の進化的デジタルフォーマットです。

2 <究極の没入感>
毎秒120フレームの素材として撮影されたマスターから制作されています。
毎秒60枚の3D画像が投影され、3D+はこれまで以上に、実際に人間の目で見るの
に近い画像を提供し、観客は実際にその場にいるような感覚を味わえます。"

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 そして今回の記事の趣旨ですが、実は以下で述べるように、アン・リー監督『ジェミニマン』のHFRの上映でよく分からないことがあります。どなたかもしご存知の方がいらっしゃいましたら、御教授ください。

 ダグラス・トランブルのハイフレームレート映像 MAGIのコンセプトで作られている『ジェミニマン』は、4K 120fps 3Dというのが本来望まれる上映形態。しかし日本では、Movixの3館が 2K 120fps 3D、IMAXレーザーの3館が 4K 60fps 3D上映ということで、本来の形態では観られないとのこと。(19.11/1のTBSラジオ アトロク ムービーウォッチメンより)

 HFRに関しての疑問は以下の2点です。

① トランブルは人間にとって60fpsが理想のコマ数と言っていたはず。MAGIはそれに基づき、公称120fpsは両眼分で、片眼は60fpsと勝手に思っていたのですが、この理解で正しいかどうか。MovixはXpanDという液晶シャッターの3D方式、1台のプロジェクタで120fpsで投影、片眼は60fpsとなると思われます。

② IMAXは確か2台のプロジェクタで上映し偏光メガネ式3D。片側60fpsで上映すれば、両眼で120fpsと言えないこともない。なのに何故「撮影は120fps、上映は60fps」と説明を書いているか。IMAXレーザーは4Kなので、本来の形態で観られるという理解をしていたが、何故アトロクでは日本では観られない、と説明していたか。(これはライムスター宇多丸氏か特殊映像評論家の大口孝之氏にお尋ねするしかないかも)

 IMAXレーザー 3Dについて、ツインプロジェクタという前提で書いていますが、IMAXと109シネマズのサイトを読んでみると、IMAXレーザー/GTテクノロジーについては、ツインプロジェクタと書かれていますが、IMAXレーザーについてはツインプロジェクタとなぜか書いていない。

 レーザーでないIMAX 3Dはツインプロジェクタによる明るい3Dを売りにしていたので、その上位機種のIMAXレーザーもツインと考えられるが、ずばり書いていないところが気になるところ。IMAX wikiも同様に何故かIMAXレーザーの項のみツインプロジェクターの記載がない。

◆以下、MAGI関連情報
UFOTOG and Doug Trumbull’s MAGI Format
 "Trumbull MAGI"で検索、このページには、トランブルのMAGI "UFOTOG"は120fpsシーケンシャル撮影、片眼60fpsで最初は上映と書いてありますね。でも理想は片眼120fpsとも書いてあり、今回の『ジェミニマン』がどういうものかはよくわかりません。
Trumbull’s MAGI Process — 3D, 4K, 120 fps

"80年代初期から中期に初めて発表された60 fpsのShowscanプロセスの初期から、人間の目では60 fpsと120 fpsを区別できないと言われました。 2012年に開催されたLos Angeles SIGGRAPH会議でフレームレートのテストリールを使用しましたが、実際にはわかりませんでした。 24 fpsと48 fpsの間にはスポットしやすい違いがありますが、48と60または120の間にはそれほど違いはありません。"

 ここの記述によると、「60と120fpsでは区別できない」とあります。ここからも、120fpsで3D撮影(両眼)、60fps(片眼)で3D上映というのが現実的な数値と理解できるのですが、果たして真相は、、、。

IMAX 3Dに対抗する新たな上映システムが世界中で続々と登場! 今、劇的に変わりつつある映画館 (CG World.jp)
 大口孝之氏の2016年の解説記事。

" トランブルは、2010年より再びHFR技術に取り組み始め「ショースキャン・デジタル」(Showscan Digital)という名前で研究を開始した。現在は「MAGI」(発音はマジャイ)という名称になっている。基本的に4K、120fpsのデジタルS3D映像をベースに、48fpsや60fps、120fpsの映像を作り出すというもの。

 動きの質感に関しては、ショットごとに被写体を分析し、24〜120fpsの間で自由にフレームレートを変える手法で対応する。さらに同一画面中でも、激しく動く物体だけHFR化する方法も検討されている。この技術を用いた最初の作品は、トランブルの監督による短編『UFOTOG』(2014)である。"

IMAX 3D (CG World.jp)
 これも大口孝之氏の2016年の解説記事。

"ツイン・プロジェクタ式であるため、3Dメガネを掛けていても、裸眼状態とほぼ同等の明るさが実現された。"

日本全国版 IMAX® & Dolby Cinema®&Dolby Atmos®シアター情報
 ひろぶろぐさんの各シアターの詳細情報。いつも拝見させて頂いてます。
ドルビー3D (公式)

" ドルビー3D(Dolby 3D)の映画システムは、3D映画用にデジタルプロジェクターに自動挿入できる回転式カラーフィルターホイールを備えています。
 プロジェクター内で、このホイールが画像の形成前に光をフィルター処理するため、色と品質が維持された変調のない画像を届けます。2D映画を投影するときは、ホイールを自動的に格納できます。そのため、2Dの上映で3Dフィルターが残ることによる画質の問題を回避できます。
 ドルビー3D(Dolby 3D)では、左目用と右目用のフルカラー映像を投影します。このとき、微妙に異なる2つの原色セットを使用します。観客は、パッシブ3Dメガネを着用します。このメガネは、プロジェクターのフィルターに一致するように正確に調整された補正フィルターを備えており、これによってそれぞれの目で正しい画像を見ることができます。"

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