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2020年3月

2020.03.30

■感想 冨永昌敬監督『素敵なダイナマイトスキャンダル』


『素敵なダイナマイトスキャンダル』特別メイキング映像&主題歌MV
 冨永昌敬監督『素敵なダイナマイトスキャンダル』WOWOW録画 初見。

 80年代を過ごした人には御馴染みの「写真時代」編集長 末井昭氏の自伝的エッセイを映画化した作品。「写真時代」は買ってなかったけど、友人たちからよく見せてもらっていて、北宋社から出ていた末井昭のエッセイ『素敵なダイナマイトスキャンダル』も当時、読んでいた。とは言ってもほとんど中身は忘れてしまっていて、有名なタイトルにもなっている母親の自爆エピソード位しか覚えていないw。

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 とてもいい映画でした。とりわけ80年代後半のあのサブカルの香りが堪りません(^^)。現在、ほぼ死滅して(拡散して空気の様になった?)、80年代の猥雑で斜に構えて破茶滅茶なあの感覚が懐かしくも、どっか痛ましい。音楽は菊地成孔と小田朋美という「粋な夜電波」ファンには御馴染みのコンビ。まさに80年代サブカルの唯一の残り香の様だった菊地成孔氏のそのラジオ番組とかを思い出すわけです。

 そしてその菊地も何と荒木経惟役で「ゲージュツ」を連発しながらヌード撮るカメラマンで出演しているし。菊地による、尾野真千子・末井昭歌唱!による主題歌「山の音」の流れるエンディング(リンク先)も素晴らしい。

 一つ不思議だったのは、特に前半で、出てくる大人の眼鏡が汚れで曇り、そして顔とかに絆創膏や包帯を付けていること。何なんでしょうね。きみ悪さの演出なのか、文字通りこの世代の上の親世代の眼が曇っていると、表現したいのか、、、、。誰か真相がわかれば教えてください。

◆関連リンク
写真家役でスクリーンデビュー 菊地成孔の場面写真公開

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2020.03.23

■感想 ドノヴァン・マーシュ監督『ハンターキラー 潜航せよ』


『ハンターキラー 潜航せよ』予告編

 ドノヴァン・マーシュ監督『ハンターキラー 潜航せよ』、WOWOW録画見。
 潜水艦海洋戦争映画として凄く堪能。なかなか素晴らしい戦争アクション映画である。

 潜水艦はもちろん、駆逐艦、地対艦ミサイル等の戦闘描写とか、ミッションインポシブルな救出劇もかなりハイレベルに工夫されていて、なかなかの素晴らしさ。

 潜水艦部分は、巷間言われている様に少々類型的にならざるを得ない部分もあるのだけれど、救出劇や、主人公とロシアの艦長との海の男のコア部分の精神的な交流、米国軍部サイドの矜持のある軍人二人の描写等が魅せる映画を構築している。

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 ドノヴァン・マーシュ監督は、本作がメジャー大作デビューであるらしいが、こんなに秀作なのに、なぜかWikipediaによるとアメリカで低評価、さらに世界での興行も今ひとつで、製作費 $40,000,000に対して、世界興行収入 $29,325,209と奮わなかったとか。残念でならない。

 これだけ魅せる映画を作れる裁量がある監督なので、今後の活躍を期待したいものである。

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2020.03.18

■感想 サム・メンデス監督『1917 命をかけた伝令』


How '1917' Was Filmed To Look Like One Shot | Movies Insider

 サム・メンデス監督『1917』@ミッドランドスクエアシネマ初見。

 評判の超絶な撮影技巧とそれによって生まれる臨場感はただならない雰囲気を映画画面に漲らせていた。確かにこれによって生み出される緊迫感、リアリティはなかなかのもの。


 と一定の効果は認めつつも、何だか僕は撮影技巧の凄さを一旦忘れて映画としての完成度というところに視点をおいてもう一度、頭の中で再生してみたw。

 その視点からいくと、映画自体のコンセプトとストーリーとルックは、実は何だかどこかで観たことのあるシーンで構成された映画の様な気がしてしまう。

 映画が映像とその時間の流れで表現するエンターテインメントであることから、前者の視点が重要である事は理解できるが、一本の映画としては後者の見方で佳作とは思うが、傑作とは感じられない自分がいましたw。

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 こうした取り組みに似たアプローチとして、僕は京極夏彦の諸作でのページごとに改行を完結させ、次のページへ各センテンスをひきづらない様にする文章構築技法を想起する。

 その技巧自体は凄いのはわかるが、それが小説の感想に影響しているのか!?という疑問。これをこの映画と同列に並べるのは変なのだろうか??


 ワンカットチックに描いた作品としては、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』が真っ先に思い浮かぶが、あの作品の描いたテーマの斬新さとそれを表現するために採用されたワンカットチックな画面構成の素晴らしさにどうしても軍配を上げたくなってしまう。奇想イメージが好きな僕の贔屓目があるにしても、、、。

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2020.03.16

■感想 ロバート・ロドリゲス監督『アリータ: バトル・エンジェル』 ジェームズ・キャメロン,レータ・カログリディス脚本


Alita: Battle Angel | Bonus Feature: From Manga to Screen | 20th Century FOX
 ロバート・ロドリゲス監督、ジェームズ・キャメロン,レータ・カログリディス脚本『アリータ: バトル・エンジェル』WOWOW録画初見。

 街やサイボーグのビジュアル等、なかなか素晴らしいシーンを描き出している。前半、ストーリー展開も緊迫感があり盛り上がったのだけれど、途中から失速している様に思ったのは僕だけだろうか。全体では好きな映画だったけれど、ジェームズ・キャメロンの脚本がもう少し練りこまれていたら、、と。

 特に中盤と終盤の主人公アリータが好意を寄せる動物と人物のキャラクターの扱い。主人公の行動がこの二人に対して能動的でないのが残念でならなかった。あのシーンを上手く描けていたら、主人公のヒーロー性が上がっていて良かったのに、と。

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 あとこのストーリーの流れをどうしてこの人物が知っているんだ、ってシーンもいくつかあって気になってしまった。ストーリーを追っている観客は知っていても、この登場人物が何故このことを知っているんだ、と疑問を持つ様なセリフを言うところが幾つかあった。こういうのは興醒めですね。キャメロン作品では決してこういうミスはないのだけれど、、、。
 SFXや美術が素晴らしいだけに、残念でした。

 まあまあのヒットの様だから、面白い作品なだけに、続篇に期待したいものです。

 そういえば、久々に観たジェニファー・コネリーが49歳とのことだけれど、美貌とスタイルが衰えていなくて感心。あれはCGIが活躍しているか、それともご本人の鍛錬の賜物なのでしょうかw。

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2020.03.09

■感想 NHK-BS4K「龍の巣 ミャオティン~世界最大の闇に挑む~」


Nスペ5min.「巨大地下空間 龍の巣に挑む」 2020年2月15日

"中国貴州省の巨大洞窟群に「龍の巣」と畏れられてきた場所がある。そこは、「世界最大の地底空間」。あまりの闇の深さから、地域に暮らすミャオ族からは「そこは、冥界。決して入ってはならない」とされてきた。今回、中国政府から撮影の許可を得て、総勢29名のチームを組んで、内部をくまなく調査。ミリ単位の精度の3Dレーザーで測量し、内部に照明を持ち込んで、闇を追い払うという前代未聞の挑戦を行った。そこに待ち受けていたのは、想像を絶する驚異の世界だった…。"

「龍の巣 ミャオティン~世界最大の闇に挑む~」BS-4K

“今回、2年にわたる交渉の末、中国政府から撮影の許可を得た。内部をくまなく調査、謎に包まれた「ミャオティン」の全貌と誕生の秘密を解き明かしていく。待ち受けていたのは、想像を絶する驚異の世界。NHKスペシャルでは語りきれなかった新撮映像を加えて、さらに大スケールで描いていく。“

 日本人にとって龍の巣とは、金田伊功が描いた空の壮大な光景wが思い浮かびますが、こっちは中国貴州省の苗庁(ミャオティン)という世界最大体積の地下洞窟の巨大な光景。

 「龍の巣 ミャオティン~世界最大の闇に挑む~」BS-4K 録画観。これは予想以上に凄かった。漆黒の闇、黄泉の空間を手探りで侵入していく冒頭から、中国一の照明チームによる東京ドーム8個分の巨大地下空間が白日に照らされるドローン映像。地質調査で明かされる龍の正体。そして更なる闇の世界。

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 素晴らしい映像を堪能させていただきました。NHKはニュース陣を全部リストラしてドキュメンタリーとドラマ専門チャンネルにして欲しい。あ、アニメももちろん残してw。

 ラスト、フランスの洞窟探検家がさらに広がる空間を発見。そこでプッツリと終わるのだけれど、続篇は間違いなく制作されますね。期待してます。

巨大地下空間「龍の巣」に挑む 360° VR 4K動画
  NHKスペシャルの中国ミャオティンの巨大地下空間「龍の巣」、NHKのサイトに360° VR 4K動画がありました。ウェブでもマウスでグリグリできます。
 あとでOculus Questでトリップしてきます(^^)。

◆関連リンク
NHKスペシャル「巨大地下空間 龍の巣に挑む」

 

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2020.03.04

■感想 ポン・ジュノ監督『オクジャ/okja』


各国で大絶賛の嵐!『オクジャ/okja』特別映像 コメント編
 ポン・ジュノ監督『オクジャ/okja』Netflix初見。

 冒頭のオクジャと少女ミジャの交流が素晴らしい。韓国の山岳地帯の村の美しい光景が見事なショットで撮られている。カメラがどのシーンも緊張感があってとてもいいですね。

 撮影監督は『デリカテッセン』『ロスト・チルドレン』『セブン』のダリウス・コンジ。ポンジュノ監督もジャン=ピエール・ジュネのファンなんでしょうね。

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 オクジャが少女に甘える様、まるでうちの猫がじゃれついてくるのと同じできっとポンジュノも猫飼ってるんじゃないかと思わせる“溺愛”のショット。
 物語展開もエンタメ映画の王道的で、更には韓国的お国柄がうまいスパイスになっていてなかなか面白い。

 Wikipedia によると、「自然の描写は宮崎駿作品に影響があるとジュノは公言。『未来少年コナン』の女の子版だと考えたことがあると発言している。オクジャを世界にお披露目するニューヨークでのパレードは押井守監督の『イノセンス』をイメージしていたと語る」とのことで、こちらの琴線に触れまくるのはこんなルーツが大きく影響してるんでしょうね(^^)。

 『オクジャ/okja』を奇想映画として観てみると、残念ながら奇想度合いは些か低め。
 この生物の存在を、知性を持たせる形で描き出した訳だから(特に冒頭の崖で危機を救うシーン)、それを食用にするといった流れの話で、イメージとしての膨らませかたはいろいろ手があったのではないかと思ってしまう。

 『スノーピアサー』を観ても、ポン監督はそうした方面での飛躍よりかは、万人に分かるエンタメへ向かう思考が強いのかな、と思ってしまった。後観ていない数本も楽しみです。

◆関連リンク
ポン・ジュノ、宮崎駿や押井守から影響受けた「オクジャ」引っさげ来日

" ポン・ジュノは、ミジャについて「『未来少年コナン』の女の子バージョンだと考えたこともあります。ミジャもコナンのようにずっと走り続けていて誰にも止められない」と説明する。
 「影響を受けたのは宮崎駿監督だけではない」と述べるポン・ジュノは「先日オーストラリアでジョージ・ミラー監督とお会いしたのですが、彼が監督した『ベイブ』にもインスピレーションを受けています。ブタが主人公ということ、そして自然の中で暮らしていた動物が都会に出ていくというストーリーもです」と明かす。続けて「オクジャとミジャがニューヨークの真ん中で行われているパレードを訪れるシーンは、純朴な者たちが資本主義の心臓部とも言える場所にいるという状況を生み出した。そこは押井守監督による『イノセンス』のパレードのシーンを参考にしました」"

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2020.03.02

■感想 園子温監督『愛なき森で叫べ』


『愛なき森で叫べ』予告編

 園子温監督『愛なき森で叫べ』@Netflix初見。ついに園子温の新作もNetflixでしか観られなくなったことも、Netflix会員になった理由の一つw。

 今作、園子温のいくつかの映画を思い出させるシーンが自作へのオマージュの様に描かれている(『自殺サークル』『冷たい熱帯魚』など)が、これは見方によっては園のネタ切れという観客もいたのではないか。
 僕も前半はどちらかというとそうした見方になっていた。

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 いきなりの冒頭からのエロチックな会話に、女子高の女生徒の群れ、最近の園作品に顕著な何だか色ボケした様なシーンw(失礼)から始まり、これは残念な出来のやつかと諦めかけていた。
 しかし終盤、戸川純の美しくも退廃的な楽曲。森の描写。

 雑に見えた描写がいっきに研ぎ澄まされて、透明感のあるクライマックスになっていた。映画で戸川純のこんなに綺麗な歌声を聴いたのははじめてのことだろう。このシーンを観るだけでも一見の価値はあります。

北九州監禁殺人事件(wikipedia)
 本作は「北九州監禁殺人事件」を基にしているという。現実は小説より奇なり、というか現実は映画より鬼なりという位、リンク先の実際の事件は映画よりも強烈な感じ。

 映画では異様な人物たちではあるが、まだどっか普通のロジックが脳に残っていて、本当のキ印な感じが弱い。現実に存在するこうした鬼の様な事件は、およそ映画では描ききれない異様なロジックというか、ロジックの欠落した常識が近寄れない異質なヒトの姿があるのではないかと思わせる。一生そうしたヒトとは関係したくないが、こうした映画は、その領域まで行けていると本当に凄いものになるのだろうと思わせるのであった。

高校生、園子温にメールを送る。それから12年後に起きたこと
 なんと知らなかったが、この記事によると満島真之介は、18歳から20歳まで、沖縄から出てきて園監督の弟子として撮影やシナリオ(のPC打ち)を手伝っていたとのこと。姉の満島ひかりが主演した『愛のむきだし』の頃から、『ちゃんと伝える』では助監督まで務めていたらしい。これは本当に吃驚。

◆関連リンク
園子温「全てはこの映画が原因」心筋梗塞から蘇った園子温が魂を込めた映画「愛なき森で叫べ」 

"一見自分たちとは無関係とも思える「彼ら」はしかし、「私たち」でもありうるのだ。
常軌を超越した事件が絶えず、いつ自分が善悪の狭間に落ちて
もおかしくない社会の本質に園子温が深く切り込み、人間の深淵を描き出す震撼のサスペンスドラマとなっている。

椎名さんは「ずっと園組に入りたいと思っていたので嬉しかった。」と憧れの園組の一員になれた感想を語り、「映画=人生、人生=映画というセリフがあり、うわべではそう思ってきたりもしましたけど、これだけ実体のある映画制作現場に直面したという感じでとても楽しかったですね。」と園子温組の映画に対する情熱溢れる撮影現場の様子を語った。

最後に園子温監督は「私は心筋梗塞で倒れて緊急搬送されて蘇ってきたんですけど、全ての原因はこの映画です。(笑)」と笑いを交えてこの映画にかけた熱量を語った。"

愛なき森で叫べ 感想&勝手に考察!園子温が帰ってきた!?衝撃作、ついに公開!もしやQTの影響も?(個人の見解です)

"例えば村田の行動で「50円を返したい」だったり、一家の女性全員に手を出したり、通電を用いた洗脳や、死体解体の手解きをしたりするところは実際の事件でもやっています。"

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