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2020.05.18

■感想 山田尚子監督『聲の形』、高坂希太郎監督『若おかみは小学生』

 ずっと在宅勤務とGW中、1日1本の映画鑑賞を続けていますが、しばらく感想をサボってしまって、メモが溜まっていますw。

 で、この二日で観た、巷で評判のアニメ映画(WOWOW初見)が、とにかく素晴らしかったので、まさに今更で恥ずかしいんですが、他を飛ばして感想です。どちらも年間ベスト級の傑作で、2日連続観賞というのは至福の時間でした。

 両作は脚本 吉田玲子つながりですが、どちらも機微を抑えた人物描写の脚本と、感情表現含めた作画の丁寧さが相まって、見事な映画になっています。

◆山田尚子監督『聲の形』

『聲の形』 ロングPV
 岐阜映画でもある、見知った光景の大垣市の風景で描かれるシビアな現代の学生生活の物語。胃が痛くなる様なこうした人間関係の映画をアニメでは観たことなかった様な。あと自分の経験にはこういうのは幸いに(?)ないけれど(時代も違う?)、自分の娘たちの学生時代を思い出すと、長期連休中とその後の新学期始まる前の表情とかが全然違っていて、この映画の様な学校生活のストレスを何らか感じていたのかもしれないですね。

 ラストシーン、友人たちの顔の明るい映像から、画面全体がブラックアウトして、中心にだけ二人の人物の小さな影が映るシーン。3回ほど繰り返し、この映像効果が最後に独特の効果/余韻を作っている。

 アニメートでは特に、足、靴の丁寧な描写が妙に印象的でした。いずれのシーンもなかなか見事なアニメートと演出で、素晴らしい完成度。

 人物描写も、西宮硝子は確かに異質な存在としてクラスに現れ、こういう書き方は誤解を招きそうだけれど、はっきり言って「気持ち悪く」描かれている。この演出で小学生たちのいじめる側の視点も観客に感情移入できるものになっている。

 硝子の母親と石田将也の母親の関係とか、こうした映画にありがちな描写でなく、鮮烈で独特。この辺も素晴らしくうまいですね。

 Wikipediaにこんな記述がある。
「劇中でも登場する養老天命反転地の「極限で似るものの家」があり、そこから、「イコールではないが、無限に同じものへ近づいて行くことを表す"極限値"」というものが一つのコンセプトとして制作された」

 劇中にも出てくる養老天命反転地は何度か行ったことがある好きな場所なのだけれど、ここの傾斜した不安な/危険を感じさせるアート施設をコンセプトとして使っているのも面白い。

◆高坂希太郎監督『若おかみは小学生』

劇場版『若おかみは小学生!』予告編
 こちらは『聲の形』と比較すると、陽性の魅力に溢れた傑作。
 主人公の眼に抵抗感があって、なかなか観られなかったのだけれど、地上波放送の前に観ておこうという、、、(^^;)。

 登場人物の多層的な描き方、うりぼうとみよちゃん、鈴鬼といった”異界”キャラクターによる想像力の自由さがとてもいい作品。物語も重いテーマを描いているのだけれど、いずれのエピソードも主人公の陽性に救われるところが素晴らしい。こういうのって、漫画映画の王道って考えたいですよね。

 エンドタイトルのイメージスケッチの絵もとてもいい。気持ちいい映画をありがとう、って感じですね。

 上記引用画像は、本田雄原画パートとのこと。(関連リンクに元映像)
 回想シーンなので他と少し違うタッチにしているが、おかみ 峰子の子供時代、素晴らしくスマートでかわいい。

 うりぼうのアクションもいいし、この作画は、宮崎駿がアニメーターとして嫉妬するレベルと思う。このままこの二人の子供時代を描いた映画も見てみたくなる出来ですね。

◆関連リンク
きゅうでれ (sakyuuga) さんツィート

 "劇場版 若おかみは小学生!の回想シーンは本田雄さんの素晴らしい原画です、小黒さんが本人から確認をもらいました。"

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