« 2020年8月 | トップページ | 2020年10月 »

2020年9月

2020.09.29

■感想 富野由悠季の世界展@ 静岡県立美術館

120130201_2692707117725532_1250886779722
 昨年、福岡をスタートに全国巡回で開催されている富野由悠季の世界展ですが、一番家から近い静岡県立美術館での開催が始まったので、勇んで観てきました。まさに富野ワールドにどっぷりな展示でした(^^)。

 今回の展示は、基本絵描きではない(富野監督は絵コンテ、イメージボード、メカデザイン、美術設定、原画修正等いろいろな絵を描かれてはいますが、本職は)監督、演出家、原作、脚本という職域の方の美術展示というのは、展示の先頭/図録の最初のページに富野氏の言葉として書かれいるように、概念の展示にならざるを得ません。

 概念の展示であるところは、昨年観に行った高畑勲展とかなり近いものがありますが、富野展は高畑展よりは、アニメーターの原画展示、イメージボードが少なく、絵はどちらかというとアニメーターのポスター原画中心だったので、アニメーション全体のメイキングで美術展として見せるトーンは高畑展の方が強かった。

 自分の鑑賞時間が高畑展より短くしかいられなかったため、駆け足で観てしまったが、図録が高畑展の256ページに対して、こちらは416ページと大部。概念の展示としては、絵の大きさは僕にとってはそれほど問題でなく、駆け足で観た分、帰宅後にじっくり読み込んでみたい。

 観賞後、もちろん帰りには、静岡市の隣、キングビアルの母港 焼津港に寄り、ガルンゲが火球で焼いた山波を眺めながら、神ファミリーの冥福を祈りました。

 今回、家内と行ったんですが、吃驚したのは「富野由悠季って誰?」と出掛ける前に言われたこと。何たること!サンアタックだ!(^^;)

120218689_2692707484392162_4057124354148 120122762_2692707237725520_3903635638828
 富野由悠季の世界展、スナップ写真です。今回、会場内は残念なことに撮影禁止だったので、会場入り口に立っていたダイターン3と、ミュージアムショップに飾られていた60,500円(税込)の全高73cmのイデオン。

 またショップには、いろんな書籍とグッズが並んでいましたが、イデ発動Tシャツは、ギリギリ我慢しました(^^;)。
 
 静岡県立美術館は、初めて行った美術館ですが、ロダン他、彫刻も楽しめました。

Fr15side
 富野由悠季の世界展@静岡県立美術館、図録も416頁とずっしり。展示は残念ながらなかったが、図録には金田伊功作画シーンの原画とセル画が掲載されている。

 あと展示されていた富野メモが、入れ込んで見ていた2作品に新たな奥行きを与えてくれた。

◆ザンボット3のラストに関するメモ
120039816_2692712781058299_1829133329549

 「“戦い”のない時代があるものか?文明が高度になり、生物知能が開拓の地をなくした時に、生産なぞありえない。破壊だけがこの知的遊戯となる。それ以外に、生きる目的を種が持ち得なかろう?」

 ガイゾック(このメモ時点は「カイザック」となっている)という存在の邪悪が、生物知能の行き着く先の遊戯である、というのは、テレビで述べられたことよりも絶望としては深い。放映後、映画として構想されたこともあったとのことであるが、ガイゾックについて、さらに透徹したこの視点まで描かれていたら、と想像を禁じ得ない。

◆イデオンに関するメモ
120041098_2692712734391637_2662041040851
 「混沌の前宇宙(第一宇宙)の創意とすることは易しいが、その前宇宙さえもイデが創出したと、言えなくもない。
 が、物事をそこまで虚無の中には押しやりたくはない。
 イデの実在にこだわっていくと、前宇宙はイデの“母たるイデ”によって創られたということにまで拡大して、ゆきつく先、虚無に陥るのだ。」

 ここでも描かれる虚無。この前段にもこの概念に続く、深遠な視点が入っているため、イデオンファンは必見です。

 残念ながら、この図録、キネ旬社が観光しているのに、今のところAmazon等に通常の新本としては売られていない。なので現時点は高い値段を付けた中古本ばかりである。
 今、調べてみたら、キネマ旬報社の通販ページでは、定価で新本が売られていました。ご興味のある方は是非、この通販ページから。

120159107_2692712674391643_5502491338333
 最後に図録の中から、僕の好きな金田伊功氏のアニメートシーン。

 Facebookで氷川竜介さんから教えて頂いたが、この動画とセル画、各美術館の展示会場に飾られていたという。

 残念ながら、僕は静岡美術館でザンボットコーナーを探したので、見つけることができなかった。
 下は、金田伊功氏自身が動画も担当されたシーンとのことで、あの筆致の生の絵を観られなかったのは残念でならない。
"キネマ旬報社より好評発売中の展覧会「富野由悠季の世界」公式図録が、美連協大賞の「優秀カタログ賞」を受賞した。

美術館連絡協議会(美連協)は、美術展の企画ならびにカタログの質を高め、学芸員の能力向上を図ることを目的として、美連協主催展および加盟館の自主企画展の中から、優れた展覧会の企画やカタログ、論文を顕彰する美連協大賞を実施している。中でも「優秀カタログ賞」は、開催館の学芸員が協力して製作した優秀なカタログに贈られている。

「富野由悠季の世界」公式図録は、各美術館の学芸員による豊富な解説のほか、この図録のためだけに新規取材を行った約3万字にもおよぶ富野由悠季監督のロングインタビューも掲載されるなど、大ボリュームの“読める図録”となっている。
展覧会会場のほか、書店やKINEJUN ONLINEでも購入可能なので、この機会にぜひともチェックしてみよう。"
 展覧会図録関係者の皆様、おめでとうございます! これからしっかり楽しませていただきます。

| | コメント (0)

2020.09.23

■感想 『The Boys ザ・ボーイズ』シーズン2


The Boys Season 2 - Official Trailer | Amazon Prime Video

 Amazonプライムで昨晩配信の『The Boys ザ・ボーイズ』シーズン2 エピソード5まで、観ました。

 ヒーローチーム セブンの亀裂、特に偽スーパーマン役のホームランダーのストレスが、キリキリと蓄積されていく様に、今後あと3話のカタルシスがどこまで行くのか期待させます。

 エピソード5中盤のあのシーンには、思わず声を上げてしまいました(^^)。うぉーやっちまった!
Theboysseason2posterbutcherside
 単なるアンチヒーロー物じゃなくて、現実のいびつな世界の様をこれでもかと見せられてる感が何故かするのが秀逸。
 大友克洋がアメリカを舞台に群像ヒーローを描いたら、こんなんになる感w。お薦めです。

| | コメント (0)

2020.09.21

■感想 クリストファー・ノーラン『TENET』


TENET - TRAILER
 クリストファー・ノーラン『TENET』観てきました。コロナ後、初映画館。
 長久手イオンシネマは、1席おきルールですが30人弱とガラ空き。この位の規模の街では、この映画のタイトルと広告ではこんなものなんでしょうね。名古屋駅の109シネマのIMAXでは、満席になっている回もある様だったので(いきなりの映画館が満席はちょっと精神的に行けませんでした)。

 感想としては、良くも悪くもノーラン映画。一点アイデアを思いついてそこから組み立てた感満載の映像ショックSF。

 他方物語は整理不足のシナリオで妙に難解っぽくなってしまった、ヤっちゃった感満載。冒頭で映像アイデアのポイントについて感覚でとらえろ、とか登場人物に言わせてるので恐らく確信犯でしょうねw。

 その映像ショックもアクションの意図が見えにくく映画として活かし切れてないのは残念でなりません。アイデアは凄く面白いと思うんですが…。冒頭とか、ワンアイデアのシーンの映像と音は最高ですが、何が起こっているか、いかんせん不明という…w。

 ノーラン、アナログに拘ってるので、あのアイデアのシーンもデジタル合成なし、一発アナログ撮影で描いてるかと思いきや、デジタル処理の映像のようでした、流石に(^^)。要は手段ではなくて、表現したいことをその時の技術で一番、上手く表現できる技術を使えばいいと思うんですよね。

◆関連リンク
TENET_テネット(wiki)
 Wikipedia 読んだら、ノーラン自身の脚本で6-7年練ったとか。&理論物理学者のコンサルティングも受けたとかなので、深淵緻密な組み立てが実はあるかもw。僕は2度目の映画館は行きませんけどね。

| | コメント (0)

2020.09.07

■画像 デイヴィッド・リンチ監督『ツイン・ピークス』シーズン3 プロダクションデザイン by BUF

T1checker
SFXスタジオ BUF Twinpeaks (2017)
エクスペリエント デザイン : Matheiu Vavril
エクスペリメントCG デザイン : BUF
フロッグモス デザイン : Olivier Gilbert, Nicolas Agenal
Fireman Place CG デザイン : BUF
 
 未だ、日本ではWOWOW放映と、ブルーレイ販売のみで、一般テレビ放映も配信も実施されていないため、ごく限られたマニアにしか観られていないのが残念な、デイヴィッド・リンチの最高傑作(とあえて言ってしまおう、僕はそれ位の傑作と思っています)『ツイン・ピークス リミテッドエディション』。
 
 『ツイン・ピークス シーズン3』SFXを担当したBUFによるプロダクションデザイン画が、46枚公開されている。
 
 一番上に引用したのが、ニューメキシコ州ロスアラモスの核実験で生まれ、ツインピークスの物語に黒い影を落としたエクスペリエントのデザイン画。
 このデザインは、リンチの映像化では、かなりぼんやりとしたもので、この様なリアル感のある怪物としては映像に幻出しない。

 映像に現れた姿は、このデザインとリンチが描く絵画作品のイメージの中間的なものになっている、とでも言えるだろうか。
 ここで興味深いのは、縦に割れた巨大な口。これは映像として、ローラの母セーラ・パーマーの凶暴な口腔として描かれたものを想起させる。

Fr1down

 そしてこちらは、同じく核実験で産まれた奇怪な生物 フロッグモス。そう、これもあのマンハッタン計画で産まれ、セーラの口に入ったエクスペリメントにつながる怪物である。特に驚いたのは、映像では分からなかったが、この上の画像で示されたフクロウの顔をしたフロッグモスの姿。
 
 ツイン・ピークスといえば、前半フクロウが重要な意味を持つのだが、シーズン3にもその流れはこの様に注入されていたわけである。 

◆関連リンク
リミテッド・イベント・シリーズ (wiki)
ツイン・ピークスの未来 (wiki)

"2017年にシーズン3が終了して以来、リンチとフロストはツインピークスの別のシーズンを作ることに興味を示している[23][24]リンチはいくつかのインタビューで続けるかどうかを尋ねられており、一度は「わからない、アイデアの箱を持っていて、プロデューサーのサブリナ・サザーランドと一緒に仕事をしていて、ある種、それらの箱の中に金があるかどうかを調べようとしている」と答えている。 " [25] リンチはまた、もう一つの物語がキャリー・ペイジのキャラクターを含む「彼を呼んでいる」と述べた[26] 2020年6月22日のRedditのAMAで、スターのカイル・マクラクランは、クーパーは彼の「すべての時間の中で最も好きな役」であり、彼は「脚本を見なくても」別のシーズンに「絶対に」戻ってくるだろうと述べました。"

| | コメント (0)

« 2020年8月 | トップページ | 2020年10月 »