アニメ・コミック

2020.09.29

■感想 富野由悠季の世界展@ 静岡県立美術館

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 昨年、福岡をスタートに全国巡回で開催されている富野由悠季の世界展ですが、一番家から近い静岡県立美術館での開催が始まったので、勇んで観てきました。まさに富野ワールドにどっぷりな展示でした(^^)。

 今回の展示は、基本絵描きではない(富野監督は絵コンテ、イメージボード、メカデザイン、美術設定、原画修正等いろいろな絵を描かれてはいますが、本職は)監督、演出家、原作、脚本という職域の方の美術展示というのは、展示の先頭/図録の最初のページに富野氏の言葉として書かれいるように、概念の展示にならざるを得ません。

 概念の展示であるところは、昨年観に行った高畑勲展とかなり近いものがありますが、富野展は高畑展よりは、アニメーターの原画展示、イメージボードが少なく、絵はどちらかというとアニメーターのポスター原画中心だったので、アニメーション全体のメイキングで美術展として見せるトーンは高畑展の方が強かった。

 自分の鑑賞時間が高畑展より短くしかいられなかったため、駆け足で観てしまったが、図録が高畑展の256ページに対して、こちらは416ページと大部。概念の展示としては、絵の大きさは僕にとってはそれほど問題でなく、駆け足で観た分、帰宅後にじっくり読み込んでみたい。

 観賞後、もちろん帰りには、静岡市の隣、キングビアルの母港 焼津港に寄り、ガルンゲが火球で焼いた山波を眺めながら、神ファミリーの冥福を祈りました。

 今回、家内と行ったんですが、吃驚したのは「富野由悠季って誰?」と出掛ける前に言われたこと。何たること!サンアタックだ!(^^;)

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 富野由悠季の世界展、スナップ写真です。今回、会場内は残念なことに撮影禁止だったので、会場入り口に立っていたダイターン3と、ミュージアムショップに飾られていた60,500円(税込)の全高73cmのイデオン。

 またショップには、いろんな書籍とグッズが並んでいましたが、イデ発動Tシャツは、ギリギリ我慢しました(^^;)。
 
 静岡県立美術館は、初めて行った美術館ですが、ロダン他、彫刻も楽しめました。

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 富野由悠季の世界展@静岡県立美術館、図録も416頁とずっしり。展示は残念ながらなかったが、図録には金田伊功作画シーンの原画とセル画が掲載されている。

 あと展示されていた富野メモが、入れ込んで見ていた2作品に新たな奥行きを与えてくれた。

◆ザンボット3のラストに関するメモ
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 「“戦い”のない時代があるものか?文明が高度になり、生物知能が開拓の地をなくした時に、生産なぞありえない。破壊だけがこの知的遊戯となる。それ以外に、生きる目的を種が持ち得なかろう?」

 ガイゾック(このメモ時点は「カイザック」となっている)という存在の邪悪が、生物知能の行き着く先の遊戯である、というのは、テレビで述べられたことよりも絶望としては深い。放映後、映画として構想されたこともあったとのことであるが、ガイゾックについて、さらに透徹したこの視点まで描かれていたら、と想像を禁じ得ない。

◆イデオンに関するメモ
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 「混沌の前宇宙(第一宇宙)の創意とすることは易しいが、その前宇宙さえもイデが創出したと、言えなくもない。
 が、物事をそこまで虚無の中には押しやりたくはない。
 イデの実在にこだわっていくと、前宇宙はイデの“母たるイデ”によって創られたということにまで拡大して、ゆきつく先、虚無に陥るのだ。」

 ここでも描かれる虚無。この前段にもこの概念に続く、深遠な視点が入っているため、イデオンファンは必見です。

 残念ながら、この図録、キネ旬社が観光しているのに、今のところAmazon等に通常の新本としては売られていない。なので現時点は高い値段を付けた中古本ばかりである。
 今、調べてみたら、キネマ旬報社の通販ページでは、定価で新本が売られていました。ご興味のある方は是非、この通販ページから。

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 最後に図録の中から、僕の好きな金田伊功氏のアニメートシーン。

 Facebookで氷川竜介さんから教えて頂いたが、この動画とセル画、各美術館の展示会場に飾られていたという。

 残念ながら、僕は静岡美術館でザンボットコーナーを探したので、見つけることができなかった。
 下は、金田伊功氏自身が動画も担当されたシーンとのことで、あの筆致の生の絵を観られなかったのは残念でならない。
"キネマ旬報社より好評発売中の展覧会「富野由悠季の世界」公式図録が、美連協大賞の「優秀カタログ賞」を受賞した。

美術館連絡協議会(美連協)は、美術展の企画ならびにカタログの質を高め、学芸員の能力向上を図ることを目的として、美連協主催展および加盟館の自主企画展の中から、優れた展覧会の企画やカタログ、論文を顕彰する美連協大賞を実施している。中でも「優秀カタログ賞」は、開催館の学芸員が協力して製作した優秀なカタログに贈られている。

「富野由悠季の世界」公式図録は、各美術館の学芸員による豊富な解説のほか、この図録のためだけに新規取材を行った約3万字にもおよぶ富野由悠季監督のロングインタビューも掲載されるなど、大ボリュームの“読める図録”となっている。
展覧会会場のほか、書店やKINEJUN ONLINEでも購入可能なので、この機会にぜひともチェックしてみよう。"
 展覧会図録関係者の皆様、おめでとうございます! これからしっかり楽しませていただきます。

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2020.07.27

■感想 湯浅政明監督『ピンポン The Animation』


Ping Pong the Animation [720p]
 湯浅政明監督『ピンポン The Animation』@ Netflix 初見。

 これは素晴らしい! 『日本沈没 2020』の余韻で観たのだけれど、こちらの方が数段上(というか、全然別物なので比較しちゃいけないんですが、、、)、湯浅作品では『四畳半神話大系』が自分的にはベストなんですが、それと並ぶくらい素晴らしかった。

 『ピンポン The Animation』は、何と10話全話が湯浅監督による絵コンテ(脚本はなくいきなり原作から絵コンテが切られているという)で、湯浅ワールド全開になっている。

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 シャープな絵コンテがまず素晴らしく、そしてそれを支えるキャラクターデザイン・総作画監督 伊東伸高氏以下のアニメーターの腕の冴え。
 松本大洋弱者の私は、原作未読なので、どの程度、松本タッチが活かされているか、全く推測するしかないのだけれど、恐らく原作のタッチと湯浅監督の感性が見事にクロスオーバーして、この素晴らしい映像が創造されたのだと思う。

 スタジオジブリが、幻想的なシーンがあると言ってもリアル描写に向かったのに対比して、ここにはアニメーションが持つ伸びやかな、人が描き出す絵だけが持つイマジネーションの広大な空間が広がっている。

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 OPの絵コンテ・演出・作画監督を担当した大平晋也氏(原画には大平氏盟友にして『かぐや姫の物語』でも有名な橋本晋治氏が参加)、そしてEDを一人描きあげたという本作副監督のEunYoung Choi:チェ・ウニョン氏、このお二人のイマジネーションに挟まれた、縦横無尽に描かれた本篇の湯浅アニメーションの魅力に溢れた10本、今まで知らなかったことを悔いつつも一気見できた充実感を噛み締めています。

◆関連リンク
TVアニメ「ピンポン」特集、松本大洋×湯浅政明監督対談
湯浅監督が全話解説! 『ピンポン』無料配信特設サイトがすごい
ノイタミナクリエーターズインタビュー 湯浅政明

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2020.07.24

■感想 湯浅政明監督『日本沈没2020』


『日本沈没2020』 TVCM 30秒 - Netflix

 湯浅政明監督『日本沈没2020』第1話オワリノハジマリ、第2話トウキョーサヨウナラ、第3話マイオリタキボウ、第4話ヒラカレタトビラ、第5話カナシキゲンソウ、Netflix に復帰して観ました。

 冒頭から飛ばしますね〜。
 主人公家族の視点で急ピッチに情け容赦なく進む物語は、まるで、人が放水して砂場の蟻が右往左往する様に、観客も蟻の視点で体感するのみ。

 『DEVILMAN crybaby』や『きみと、波にのれたら』等にあった湯浅監督の冷徹な客観視点が、自然の前の非力な人の姿を描き出しています。

 全篇を映像化されることはない、と思われる漫画版『風の谷のナウシカ』も、Netflixが湯浅政明監督で企画すれば、ある意味軽々と映像化してしまうんじゃないかという演出力です。

 いえ、僕は庵野秀明監督でオーマの最期を観たいですよ、勿論。でもそんないつになったら完成するか分からないものを幻視するより、ほらそこに大きな可能性が近くにあるよ、って気が凄くしてしまっているのでした。

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 湯浅政明監督『日本沈没2020』第6話コノセカイノオワリ、第7話ニッポンノヨアケ、第8話ママサイテー、第9話ニッポンチンボツ、第10話ハジマリノアサ、観終わりました。

 素晴らしいクライマックスとエンディングでした。
 1973年に出版された原作を当時読んだファンにも、納得できる物語になっています。

 原作へのリスペクトにあふれた物語構成とテーマ。小松左京が本来描きたかった、沈んでヌクヌクとした島国から世界に出て行かざるを得なかった日本人の姿を、約50年後に描かれた本作は、多国籍化が進み、そしてダイバージェンスがより顕著になっている現在2020年を舞台にして、10話の中で見事に描ききっている。

 その想いは、作中のYoutuberであるKITEのラップシーン、主人公 武藤歩のエンディングの姿、そして最後を締める楽曲といった、隅々まで丁寧に描きこまれている。

 縦軸のディザスターのサスペンスと、日本人と世界の多様性の横軸が見事に、サイエンスSARUのイメージを縦横無尽に表象するアニメーションによって、現代の小松左京の「日本沈没」を描き切っている。

 見事な快作でした。次は古川日出男原作の『犬王』。楽しみでなりません。

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2020.06.29

■動画 湯浅政明監督『日本沈没2020』OP

 


『日本沈没2020』OP(歌詞入り特別ver. )|主題歌:「a life」大貫妙子&坂本龍一

「日本沈没2020」主題歌は大貫妙子&坂本龍一の名曲「a life」湯浅政明監督によるOPも公開(Anime! Anime!)

" 湯浅政明監督は「a life」について、「透明感、日常感がありながらも、地に足がついた素敵な曲でした」とその印象をコメント。
オープニング映像については、「殺伐とした天変地異後の暗い本編とは対照的な、明るい爽やかな朝のルーチンを毎回見ることで、失ったものの尊さを感じてもらえると良いと思いました。朝の光、柔らかい布団や温かい飲み物、自然の風景や小動物のクローズアップを、記憶の中にある様に柔らかいタッチで断片的にオーバーラップしながら、透明感ある白い光の中に描きます」との演出意図を明かした。"

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 湯浅政明監督『日本沈没2020』のOP曲。今までの日本沈没の、どちらかというと重厚な感じに対して、日常感を大切にしたとてもライトな楽曲。新しい『日本沈没』の予感に満ちています。

 20年7月9日より、Netflixにて全世界独占配信とのこと。湯浅監督の新しい感覚の日本沈没、世界でヒットすることを祈念します。

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2020.05.18

■感想 山田尚子監督『聲の形』、高坂希太郎監督『若おかみは小学生』

 ずっと在宅勤務とGW中、1日1本の映画鑑賞を続けていますが、しばらく感想をサボってしまって、メモが溜まっていますw。

 で、この二日で観た、巷で評判のアニメ映画(WOWOW初見)が、とにかく素晴らしかったので、まさに今更で恥ずかしいんですが、他を飛ばして感想です。どちらも年間ベスト級の傑作で、2日連続観賞というのは至福の時間でした。

 両作は脚本 吉田玲子つながりですが、どちらも機微を抑えた人物描写の脚本と、感情表現含めた作画の丁寧さが相まって、見事な映画になっています。

◆山田尚子監督『聲の形』

『聲の形』 ロングPV
 岐阜映画でもある、見知った光景の大垣市の風景で描かれるシビアな現代の学生生活の物語。胃が痛くなる様なこうした人間関係の映画をアニメでは観たことなかった様な。あと自分の経験にはこういうのは幸いに(?)ないけれど(時代も違う?)、自分の娘たちの学生時代を思い出すと、長期連休中とその後の新学期始まる前の表情とかが全然違っていて、この映画の様な学校生活のストレスを何らか感じていたのかもしれないですね。

 ラストシーン、友人たちの顔の明るい映像から、画面全体がブラックアウトして、中心にだけ二人の人物の小さな影が映るシーン。3回ほど繰り返し、この映像効果が最後に独特の効果/余韻を作っている。

 アニメートでは特に、足、靴の丁寧な描写が妙に印象的でした。いずれのシーンもなかなか見事なアニメートと演出で、素晴らしい完成度。

 人物描写も、西宮硝子は確かに異質な存在としてクラスに現れ、こういう書き方は誤解を招きそうだけれど、はっきり言って「気持ち悪く」描かれている。この演出で小学生たちのいじめる側の視点も観客に感情移入できるものになっている。

 硝子の母親と石田将也の母親の関係とか、こうした映画にありがちな描写でなく、鮮烈で独特。この辺も素晴らしくうまいですね。

 Wikipediaにこんな記述がある。
「劇中でも登場する養老天命反転地の「極限で似るものの家」があり、そこから、「イコールではないが、無限に同じものへ近づいて行くことを表す"極限値"」というものが一つのコンセプトとして制作された」

 劇中にも出てくる養老天命反転地は何度か行ったことがある好きな場所なのだけれど、ここの傾斜した不安な/危険を感じさせるアート施設をコンセプトとして使っているのも面白い。

◆高坂希太郎監督『若おかみは小学生』

劇場版『若おかみは小学生!』予告編
 こちらは『聲の形』と比較すると、陽性の魅力に溢れた傑作。
 主人公の眼に抵抗感があって、なかなか観られなかったのだけれど、地上波放送の前に観ておこうという、、、(^^;)。

 登場人物の多層的な描き方、うりぼうとみよちゃん、鈴鬼といった”異界”キャラクターによる想像力の自由さがとてもいい作品。物語も重いテーマを描いているのだけれど、いずれのエピソードも主人公の陽性に救われるところが素晴らしい。こういうのって、漫画映画の王道って考えたいですよね。

 エンドタイトルのイメージスケッチの絵もとてもいい。気持ちいい映画をありがとう、って感じですね。

 上記引用画像は、本田雄原画パートとのこと。(関連リンクに元映像)
 回想シーンなので他と少し違うタッチにしているが、おかみ 峰子の子供時代、素晴らしくスマートでかわいい。

 うりぼうのアクションもいいし、この作画は、宮崎駿がアニメーターとして嫉妬するレベルと思う。このままこの二人の子供時代を描いた映画も見てみたくなる出来ですね。

◆関連リンク
きゅうでれ (sakyuuga) さんツィート

 "劇場版 若おかみは小学生!の回想シーンは本田雄さんの素晴らしい原画です、小黒さんが本人から確認をもらいました。"

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2020.04.29

■感想 神山健治 × 荒牧伸志 監督『攻殻機動隊 SAC_2045』


『攻殻機動隊 SAC_2045』| クリップ | タチコマが大活躍!カーチェイスバトル
 4/24に世界配信が始まった『攻殻機動隊SAC2045』@Netflix にて、1-12話、いっき観しました(2日間に分けて)。

 神山健治攻殻に久々浸れて幸せ(^^)。明日も仕事なので、グッと我慢で半分までで泣く泣く止めました。

 『009』『ULTRAMAN』に続くセルルックとフォトリアルの間くらいのCGで描かれる“公安9課”。この独特な映画感覚は何なんでしょう。さすがに人物のアップ(特に荒巻)の違和感には眼をつぶりつつ観ていると何とも言えない独自のリアリティが立ち上がってくる。まさにSAC世界がグニュッとリアル世界に首を突っ込んできたような異質な感覚。

 そして描かれる「アレ」。このCGルックだからこそ異様さが引き立つ奇怪な存在がこの後どう描かれていくのか、これはもう明日の晩に12話までいっきに観ることになるでしょう(^^)。

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 そして、第7〜12話、金曜にいっき観。
 ええぇ〜〜ここで終わる!?こりゃあシーズン2を即配信しないと駄目でしょう!

 この話数では、舞台を日本に移し、アレを追う9課。
 空挺部隊とか1984とか魅力的なテーマが散りばめられています。

 そして何と言っても、スリムだけれど武装を強化したタチコマが今回も最高。やはりタチコマあってのSACです。可愛くて手元に置きたいこと必至。フィギュアを検索すると…。

◆関連リンク
『攻殻機動隊 SAC_2045』ROBOT魂
 もうフィギュアも出てるんですね。これは欲しい!

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2020.04.15

■感想 湯浅政明監督『DEVILMAN crybaby』 : デビルマンクライベイビー


トラウマ的衝撃に備えよ!『DEVILMAN crybaby』スペシャルムービー

 Netflixに入った最大の理由、湯浅政明監督『DEVILMAN crybaby』をコロナによる緊急事態宣言下のStay Homeで、1-10話240分一気観。
 4時間もあったとは思えない、デビルマン体験の幸福な時間でした。

 湯浅政明監督の演出の妙は、悪魔と人間の各種描写で縦横に発揮されている。特にタイトルになっている"crybaby"な描写が素晴らしい。永井豪『デビルマン』の世界をまさにこの切り口で捉え直し、冒頭の明と了の描写からはじまり、美樹とミーコの描き方、シレーヌとカイムのエピソード。これらが全て"crybaby"というテーマに収束させる手腕は素晴らしい。
 
 そして「デビルデザイン・デビルキャラ作画監督」アニメーター押山清高氏による、情念と悲しみを表象したDEVILMANのイメージが凄く良い。 
 
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 クライマックス、永井豪が原作で描かないことにより壮大なヴィジュアルを想起させたアルマゲドンのシーンが正面から描かれる。
 初めてみるデーモン軍団とデビルマン軍団の壮絶な闘いは、僕たちの心の中の想像力のビジョンを超えて、ついに眼前で映像化された。

 イマジネーションが幻惑的に拡大していく湯浅監督のアニメーションの特質。これにより描き出されたアルマゲドンに酔いしれました。
 『映像研には、手を出すな!』に続き、この後、湯浅監督による小松左京『日本沈没』と古川日出男『犬王』のイマジネーションの炸裂も楽しみでならない。

◆関連リンク
園子温が語る"Devilman Crybaby"

" 躍動している部分と静止画とをうまくミックスさせてますよね。例えば鋭い爪が肉を引き裂き、飛沫が飛ぶ描写なんかは細かく描き込む一方で、デビルマンそのものはシルエットでしか見せなかったりする。そのシンプルさがかえって、禍々しい迫力を醸し出したりしていて。こういう演出のリズムは、作り手としても共感できます。
 あくまでも原作に忠実にありつつも、まるで見たことない初めての映画を見ているかのようなスリリングな興奮があり、後半は、怒涛の展開で時間を忘れて見入ってしまいました。必見です!"

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2020.02.17

■感想 神山健治 総監督、柿本広大監督『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』


『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』特別プロモーション映像

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『009 RE:CYBORG』の2Dルックとは違う、フル3DCGで描く勝算とは? 『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』神山健治総監督&柿本広大監督インタビュー

"神山:基本的には、3Dの作り方って会社ごとにスタイルの違いがあるんです。『RE:CYBORG』は、あえてセルアニメに寄せた映像でしたが、今回は完全に3Dで作るということで、それ自体がひとつ、映像面のテーマではありましたね。2Dルックというよりは、立体のほうに寄せていくと。『RE:CYBORG』は、2Dを擬似的に立体視させているところがあって、画面内に空間がなかったんです。対して、今回は舞台もすべて3DCGで建て込んでいます。空間がある世界で3Dのキャラクターを動かす、という挑戦をしているんです。"

 先日紹介したディヴィッド・リンチの新作短篇を観るために、ついにNetflixの軍門に降ったのでw、今まで観たくても観られなかったオリジナル配信作品をチェックして観ています。今週はその中から2本のレビューです。

 まず1本目は、最近、Netflix専属監督になってしまった様相の(失礼 ^^;)神山健治監督の2016年の作品。
 『009 RE:CYBORG』に続く、009シリーズであるが、キャラクターも動画のルックも大きく変更されている。まさにリボーンな009。
 映画館でも限定的に3本の作品として上映された作品であるが、Netflix版は、30分弱の12本のテレビシリーズ的な作品にまとめられている。

 物語設定として面白いのは、テレビシリーズと『009 RE:CYBORG』を経た後のサイボーグたちのその後を描いているところ。回想シーンとして描かれているのは、ブラックゴーストとの闘いのモノクロの日々から始まっている。そして現れる「ブレスド」と呼ばれる最強の超人たち。特に1-2話のその描写は素晴らしい。サイボーグたちがこれからどう戦っていくのかという不安感に満ちているのがなかなかの迫力。
 
 そしてニューヨークを後半の戦いの舞台にしているところからも想起されるのは『アベンジャーズ』である。(少し指パッチンに近いシーンもあるしw)。おそらく神山総監督以下制作スタッフのMCUチャレンジと捉えてもいいのではないだろうか。まさに00シリーズサイボーグは、マーベルヒーローの日本版の側面もあるはずで、こうした日本のヒーロー資産の活かし方が気持ちいい。特に009の設定を一歩進めて「加速装置による加速が光速に近づいて行ったらそこから見える光景はどんなものだろう」というチャレンジャブルな命題を描き出しているのには、ワクワクした。

 今回の描写の中心に位置するのが、今回からの3Dルックなキャラクターアニメーション。なんと今回はセルルックでなく、どちらかといえばセルルックとハリウッド的3D CGの中間(というかセルルック寄り)に位置する映像で、独特の雰囲気のスーパーヒーロー映画を構築している。

 日本ではMCUの様な大規模なフォトリアルなCG映像でヒーロー大作映画を撮るのは、予算的に厳しい。
 そんな中で、セルルックアニメとCGの融合で、こうしたアクション満載の映画が、独特の質感で映像化できるというのは、なかなか基調ではないだろうか。MCUとは一味違うけれど、人の手描きの絵のイメージ、現実の中の、あるリアルを誇張して描けるこの映像に、いろいろと可能性があるのではと思わせる作品になっていた。

 まだ今回のCGはフルアニメーションといえ、不自然な慣れていない動きがあちこちに観られたけれど、そんな可能性を感じさせる迫力に満ちた作品になっていた。この後の『ULTRAMAN』、そして今年の春に出てくる『攻殻機動隊 SAC_2045』にその発展形を観られるのではないかとワクワクしている。

◆関連リンク
「CYBORG 009 CALL OF JUSTICE」が”9人のカリスマラッパー”とのコラボレーション これはなかなか面白い企画です。

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2019.10.21

■情報 諸星大二郎×佐藤健寿『世界伝奇行 マッドメン 編』

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 『世界伝奇行 ―パプアニューギニア・マッドメン編―』を購入。
 『諸星大二郎 マッドメンの世界 (文藝別冊/KAWADE夢ムック)』の「増補決定版」。60ページ分のコンテンツ追加だけれど、既存分の再編集もあり、全体頁数は80ページ増。特に佐藤健寿氏の「ハイランド地方の部族たち」オマ・マサライ族の写真(以下の引用写真、最下段の左から2枚目)が素晴らしく買ってしまった(^^)。

 内容がダブっている、『諸星大二郎 マッドメンの世界』は売らないと…w。しかしそれにしても、河出書房新社、アコギな商売してますね。ファン心理をくすぐる増補版。

奇界遺産 (佐藤健寿さん Facebook 公式)

"9月14日に諸星大二郎先生と一緒に作った本「世界伝奇行」が二冊同時刊行されます。ひとつは中国の新疆ウイグル自治区とシルクロードを巡った「西遊妖猿伝」編。もう一冊はパプア・ニューギニアを巡った「マッドメン」編。先生と実際に現地を旅しながら、作品の舞台を撮影しています。
・世界伝奇行 西遊妖猿伝 編
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4309290450
・世界伝奇行 マッドメン 編
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4309290469
(こちらは2015年刊行のムックを改訂、新規撮影の現地写真と、諸星先生と萩尾望都先生との対談など追加)
・発売にあわせ、9/14からタワーレコード渋谷店で「諸星大二郎x佐藤健寿 展」も開催します。諸星先生の原画と一緒に現地の写真を展示します。物販もあるそうです(奇界遺産展の物販もこちらで販売予定)。
・9/21にはサイン会も開催するので、ぜひお越しください。受付は28日より、詳細は↓よりどうぞ。
 http://towershibuya.jp/news/2019/08/09/136959"

 東京で展示会もあったようですが、すでに10/14までで終了しているようです。オリジナルの生写真でニューギニアの奇想を直接みたかったです。

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 今回、増補されていたのは、萩尾望都との対談とマッドメンイラストギャラリー、前述の「ハイランド地方の部族たち」の3パートです。

◆関連リンク
佐藤健寿 さん公式HP

・当ブログ記事 情報 諸星大二郎 『マッドメンの世界』と原画展
・       感想 諸星大二郎 原画展 マッドメンの世界 @ 京都国際マンガミュージアム

諸星 大二郎, 佐藤 健寿『諸星大二郎 マッドメンの世界 (文藝別冊/KAWADE夢ムック)』

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2019.10.14

■感想 野﨑まど原作 鈴木清崇監督『バビロン』


アニメ「バビロン」第二弾PV

"「生きることは善いこと」 その常識が覆される時代が訪れたら、あなたはどうする。 読む劇薬・野﨑まどが綴る衝撃作が、遂に禁断の映像化! 「その啓示は、静かにそっと訪れる-」 東京地検特捜部検事・正崎善は、製薬会社の不正事件を追ううちに、一枚の奇妙な書面を発見する。そこに残されていたのは、毛や皮膚のまじった異様な血痕と、紙一面を埋め尽くすアルファベットの『F』の文字。捜査線上に浮かんだ参考人のもとを訪ねる正崎だが、そこには信じがたい光景が広がっていた。 時を同じくして、東京都西部には『新域』と呼ばれる新たな独立自治体が誕生しようとしていた。正崎が事件の謎を追い求めるうちに、次第に巨大な陰謀が見え始め--?"

 Facebookのタイムラインで評価が高い、鈴木清崇監督『バビロン』Amazonプライムにて第1章(第1話 - 第3話)を観ました。

 第1話、アニメでこれやるのは…?? と思ったのですが、3話まで観て、原作読んでないのですが凄く関心。こう来ましたか。3話のクライマックスがとても見事。

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 SAC 2ndとか今敏監督の某作や、園子温監督の某作を思い出すヴィジュアルと展開。何しろ行政特区の設定と登場人物の女の底知れなさの魅力が物語の強烈なドライブになりました。今後がとても楽しみ。とりわけ、曲世愛という謎の女、この人物のセリフのこの世ならざる感が凄いので、期待です。

◆関連リンク
Amazonプライム『バビロン』
野﨑まど『バビロン』(原作, Amazon)

"<2019年10月、絶望のアニメ化決定!!>
「鬼か、悪魔か、野崎まど、か。世界はまどに惑わされる」"

野﨑まど (wiki)
 シリーズ構成と脚本を担当されたアニメ『正解するカド』しか知らないのだけれど、勝手に女性と思い込んでいましたが、男性だったのですね。大変、失礼しました。
大森望 「HELLO WORLD」「バビロン」野崎まどのSF世界

" 根源的な問題をつきつけられた人類が議論で答えを模索するドラマという意味では、「正解するカド」暗黒版。それにしてもこの先いったいどうなるのか。ますます目が離せない。"

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