映画・テレビ

2018.12.05

■感想 体感! NHK BS 8K『完全版2001年宇宙の旅』

NHKドキュメンタリー - 8Kでよみがえる“2001年宇宙の旅”

"SF映画の金字塔「2001年宇宙の旅」の8K放送まであと少し!ハリウッドの映画会社が厳重保管してきた50年前のオリジナルネガを使い70ミリフィルムの8K化の舞台裏を特別取材!一足先に8K版体験したゲストが「これまでのハイビジョン放送での映画と違って宇宙を体感した気分になった」と大興奮。そのほか、8K化されたキューブリック監督こだわりのお宝映像を公開!"

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 『2001年 宇宙の旅』 NHKの2K放映をブルーレイに落としたものと、8Kレストアからの2K変換放映(メイキング特番)を比較してみた。左上に4:35とか早朝4時代の時刻表記があるものが8Kレストア版。8Kもこの放送はBSプレミアなため2K変換されているため、最終の8K映像との比較ではないが、何かの参考程度と考えてください。

 どれも映像は、ブルーレイをDLPプロジェクタで110インチスクリーンに投影し、iPhoneで撮ったもの。かなり荒い比較だけれど、できるだけiPhoneの画像を肉眼で見ている映像の特徴を拾えるように写したつもりですw。

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 解像度はこの比較ではよく分からないが、猿人シーン、宇宙食シーンでディスプレイの青色の違い、今回のレストアで以前より明瞭な色になっていることがわかる。例えば猿人の前に置かれた動物の骨の色、白の明度が上がってるのがよく分かります。

 2K放映版でくすんだような、過去の作品的な雰囲気がどこかしら出ていた、退色したような印象だった色が鮮明になってます(こちらがキューブリックの意図に近いかは分かりませんが…たぶんそうなのでしょう)。

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 ただ最後に載せたスペースポッドのコクピットは、以前の方が宇宙服の赤が鮮明w。ここらがどういう意図によるものかは不明です。

◆8K 『2001年 宇宙の旅』をどこで観るか?

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 各地のNHKの放送局ほかと家電店の店頭、今回の放映はこういった場所でパブリックビューイングされている。うちからだと、NHK名古屋放送局が本命だったけれど、公式HPで調べるとガラス張りのオープンスペースで、モニタも85インチ、立ち見ということで、あまり環境が良いとは言えない。これなら近所の家電店でシャープ8K 70インチを正面陣取って観た方が良いかと考えて、エディオンを狙うこととした。

 名古屋は22.2chの音響が用意されているらしい、一度は聴いてみたいけれど、それより人数が多いと映像も音もしっかり見聞きするのが難しいだろうとの判断もあっての選択w。

 NHK名古屋が、愛・地球博(愛知万博)の600インチ スーパーハイビジョン(8K)だったらだったら、即決なんですが、、w。

◆NHK 8K放送『2001年 宇宙の旅』、8Kは70mmをどう写し取ったか?
 エディオンにてシャープ70インチで視聴。
 放映の始まる5分前、まさかのアクシデント! 近所の店でアンテナ接続が悪く見えませんと言われ、驚愕して4軒ほど彷徨ってやっと某エディオンに落ち着いた。なんてこったい!!

 8Kの受信設定が難しいのか、家電屋のレベルが落ちてるのか…。まさかの1勝3敗には、鳴り物入りでスタートした8Kのはずなのに、家電店およびシャープの姿勢がここらに現れている、、、のかw?

 結局、1時間近く経過した後、月面車シーン以降しか見れなかったけれど、田舎の家電屋は、ほとんどテレビコーナーに客はいなくて、椅子付き独り占め環境で見れたのは幸い(^^)。ただし、家電店モニタ故、天井から降り注ぐLED灯の照明が画面に映り込み満載で、8Kが泣いているw。

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 というわけで & 店内で写真パチパチ撮るのはさすがに不味いかと、記録した映像はこの二枚。店内の照明の中ではこの程度の映像しか撮れないため、もともと比較に使える画像ではないので申し訳ないです。以下、言語の力で再現してみます。

 結論は、8Kは70mmフィルムの底力を相当写し取ってくれているのではないか、2Kとは格段に違う情報量とリアリティに感心しました。

 まずデイブの赤い宇宙服の質感。船外活動におけるポッドとディスカバリーの窓内部のプールの詳細な動き、老人ボーマンの皺の詳細、欧風調度品のあの部屋の質感等々、2K放映版 and 先日の2K IMAXよりリアルな感じ。
一方、ベースのフィルムによるものか、細部の粒状感が高精細で目立ち細かなちらつきが気になる感じでした。

 以上が観た現場で書いたメモ。以下、家へ帰って2K版を改めて観て、詳細な比較を書いてみました。

 本日8K放映された『2001年 宇宙の旅』を、70インチのシャープ8K スーパーハイビジョン液晶ディスプレイで観て映像記憶の確かなうちに、家にある同じNHK BSで放映された2Kハイビジョンとの比較をしてみた。

 僕が観たのは、月面シーン〜ラストまでだったけれど、明らかに解像度の差がよくわかったのは、顔がアップになる時の人の細部、特に肌の質感。これは明らかに70mmフィルムをデジタイズするのに、2Kでは解像度が足らず8Kですくい撮れた細部の違いがとてもよくわかる。

 例えばプールとボーマンが回収した通信機についてHALと解析結果を語る時の二人の顔の細部。特に前述した肌の質感は圧倒的。2Kでぼんやりしてつぶれているのが、8Kでは毛穴まで見えるほど。そしてプールの額に1本の毛が垂れているのが8Kで目立ったけれど、2Kではほとんど映っていない。ラストの老人となったボーマンの老いた肌の細部、メイキャップの素晴らしさも8Kで明瞭に見ることができる。

 もう一つ、HALに締め出されてポッドからハッチを開いて、真空の中をディスカバリー号に帰還するボーマンが、エアロックを閉じるシーン。赤い緊急灯の光の中、ボーマンの安堵の顔が2Kではつぶれて表情がよく見えないが、8Kでは明らかにホッとする良い表情が見えている。(その他、HALのメモリーを抜く部屋の前とか幾つかの宇宙船内の注意書きがきっちり見えるのも8Kの強み)

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 DVDとブルーレイのハイビジョンの差、とまで言ってしまうと大袈裟であるけれど、8K観た後だと、2Kのぼんやりした映像は確かに締まりが悪い。70mmフィルムの細部を捉える力、より明瞭な宇宙の世界を覗き見るために70mmを選んだキューブリックの試みに近づけた感じ。

 上に引用したNHKの各映像のベンチマーク図から言うと、70mmフィルムは、Logスケールのグラフで8Kと2Kのちょうど中間。2Kでは情報量が間違いなく落ちることがわかる。一方、35mmフィルムは2Kとほとんど同じで、通常の映画では2K解像度でフィルムの情報は写し取れているようだ。

 NHKが8K放送で70mmフィルムで撮られた『2001年 宇宙の旅』を素材に選んだ理由は、まさにこのグラフが物語っている。(今後、IMAXフィルムと同等解像度の8Kで撮られる映画の鮮明さには期待できる)

 最後に、シャープ8K液晶を家電店で観る際の注意点。

 実は素の状態では、初期の映像設定が「ダイナミック(固定)」というモードになっていて、これは映画フィルムの質感と違い光のコントラストが強く、明るい部分がスタジオの下手なライトのようで、最初『2001年』を観た時、ギョッとするほど安っぽい画質。

 店員もお客もほとんどいないのを良いことに、リモコンで画質調整を試みると、「映画」モードという設定があり、それでなかなか映画的な良いコントラストの映像を観ることができた。(少し色が薄く暗いかも、好みに合わせて設定をいじることをお勧めします)。

 そして実は面倒なのが、この設定が5分おきに、初期の「ダイナミック(固定)」モードに自動で戻ってしまうこと。

 店員さんと聞くと、たぶんシャープが店頭用にインストールしているUSBからのソフトがそうした設定を店頭向けにしているのではないか、とのこと。いちいち5分おきに「映画」モードに自分で変更して対処したが煩雑この上ない。まあタダで見せて頂いているので文句は言えないが、、、(^^;)。

 たぶんこのように明度を上げないと、店頭で最新の8Kが見劣りしてしまうからだろう。隣に有機ELの4Kテレビが置いてあったけれど、圧倒的にそちらの方が絵が綺麗。いずれ出てくる8K有機ELの映像が楽しみです。

 8K視聴の後、映画館で観た『ヘレディタリー/継承』の画面解像度を、主に人の肌の質感で比較してみたいたけれど、やはり映画の画面は、8Kに比べるとぼやっとしている。今後の映画がどのような方向に進むのか、8Kもしくは4Kのデジタルプロジェクターに変更し、画質を上げていく必要が出てくるだろうな、と思って見ていたのでした。

 最後にお店に迷惑がかかるといけないので店名は伏せましたが、こちらでは放映中、ハードディスクレコーダーでこの8K『2001年』を録画されていました。おそらく今後デモ用として映写される計画と思います。皆さんも再放送の1/3まで待てない方は、お近くの家電店でもしかして録画していないか、確認してみるのをお勧めします(^^)。

◆関連リンク
【ブログ記事】11月23日午前4:30からNHK総合でOAされた『8Kでよみがえる究極の映像体験! 映画「2001年宇宙の旅」』の番組概要レポート : KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック
【ブログ記事】NHK放送博物館で8K版『2001年宇宙の旅』を視聴してきました : KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック
 『2001年』とキューブリック監督作については、日本一の情報量と考えられるキューブリックブログさんの関連記事。レストアのドキュメントは番組の書き起こしもされているので見逃された方は是非リンク先をご覧ください。

麻倉怜士の新デジタル時評--ついに新4K8K放送開始、「8K完全版2001年宇宙の旅」試写レビュー - (page 2) - CNET Japan.

" 特に素晴らしかったのは、月面基地への着陸シーンにおける基地の窓の中に働いている人々を確認できる精密さや、木星に向かう宇宙船内の壁の質感まで伝わる描写力。最後の場面に出てくるスプリットした光の襲来、スターゲイトには、体も心の感動した。

 8Kは見るのではなく、まさに体験の域。自分の体の半分が作品に吸い込まれているような感覚が得られる。2001年宇宙の旅は、映画館、VHS、DVD、BDとさまざまなメディアで見てきたが、これまでに体験したことがないレベルで作品に没入した。"

参考 NHKのスーパーハイビジョン解説。古い記事。
 愛知万博まであと半年、スーパーハイビジョンの準備も順調(平成16年9月28日)

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2018.12.03

■感想 アリ・アスター監督『ヘレディタリー/継承』 : Hereditary


映画『ヘレディタリー/継承』30秒予告 YouTube

 アリ・アスター監督『ヘレディタリー/継承』@各務原イオンシネマで観てきました。
 確かに上手い、脚本も演出も高レベルで見事なホラー映画を見せてくれます。トラウマが残るとか、観客の現実を侵食してくるとか、事前のTBSラジオ アトロク(アフタ−6ジャンクション)等での評判で、期待を高く持ちすぎた/トラウマ残ったらどうしようと構えて観たので、そういう意味では後にそれほど残らず、凄く面白い映画を観たという鑑賞感で無事帰ってこれましたw。
 『女優霊』みたいに夜トイレに行くのが怖くなるのとは少し違ったかなw。



★★★★★★以下、ネタバレ注意★★★★★★ .




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 アトロクでライムスター宇多丸氏、三宅隆太監督が言っていた「アート映画」「ダウナー系」というのはまさに。特に家族のドロドロシーンは相当なレベル。あの食事のシーンで母と息子が言い合う所、家族で究極的に雰囲気の悪いどーんとしたシーンで、何故かお腹に答えます。いや凄まじい家族映画。

 素晴らしいと思ったのが、息子が学校で怪我をして卒倒するシーンとその後の家での母親の錯乱。そして二階にあるあるものから生じた蝿の羽音。まるで自分の周りに現れたような蝿の音で、観客までもが映画の中に/母親の錯乱に巻き込まれたような感覚。映像と音の競演でこの感覚を劇場に立体的に潜入させている様が素晴らしい。

 ここのテンションは、オカルトと現実のせめぎ合う、精神的疾患なのかどうかスレスレのところ、微妙な位置でギリギリ紙一重で鋭い刃物の上でバランスを取っているようなシーンで素晴らしい臨場感を味わえた。あのままのテンションで最後まで観客を狂気に巻き込んで突っ走っていたら凄まじい映画になっていただろうな、と夢想w。

 映画はその後、オカルトに突入し、祖母とその仲間の異様な世界を開陳して終わっていく。ここは賛否両論あるだろうけれど、僕は少しありがちな展開に見えて今ひとつだった。

 とはいえ、凡百の演出なら胡散臭くそしてゲロゲロな展開になるところを端正にまとめあげた手腕は素晴らしい。

 特にエンディングにかぶるジュディ・コリンズ「青春の光と影(原題: Both Sides, Now)」。あのラストシーンとこの歌で、映画の登場人物と観客は、カルトな側でハッピーエンディングを迎え、実はこの映画、ダークな幸福感とともに劇場を出るという稀有な体験ができるのでした。実はその時点で既にまんまと映画のダークサイドにある意味取り込まれてしまうわけです。我々は今、果たして本当に現実に戻れたのだろうか(^^;)。

◆以下、雑感。
・アート映画的なルックの生成に一役買っているのが、箱庭療法のような母親のミニチュア造形物と娘の人形。母親は箱庭療法からこうしたミニチュアを作るようになったのではないか、と想像できるし、娘もその影響を受けつつ、たぶん祖母の大きな影響で不気味な鳥の頭とか、奇異な人形たちを作るようになったと感じさせている。
・冒頭のミニチュアの使い方、随所に現実を恐怖の記憶が侵食していくような家族の不幸のミニチュア化。現実と幻想の入れ子構造がミニチュアと家族のウチで見事に映像表現されている。
「ヘレディタリー」はホラーではなく“嫌な家族映画”!? 町山智浩が別アングルから解説 : 映画ニュース - 映画.com.

"「『僕の家族にあることが起こった。そのことで傷ついた自分を癒やすために、物語を作っていったんだと思う。弟を大切にしていた……。それ以上は言わせないで』。"

 町山氏によると、監督へのインタビューで上記のようなコメントがあったという。まさに監督自身の家族の苦悩が映画ににじみ出ているということだろうか。
・映像としては、予告編にもあるカット割りが見事。例えば木の映像が夜から昼へ瞬間的に転移する。これは母親の夢遊病の病を、映像的に表現し観客に体感させる効果があるのではないだろうか。
・暗闇にカルトがぼんやりと現れるシーン、Jホラーからの引用にみえる。そこにいる存在の描写が本作、とてもうまいと思いました。
・音響のうまさも舌を巻きます。
 特にハエと舌打ちが劇場のどこかから聴こえる時、観客はトニ・コレット演ずる主人公 アニー・グラハムと同化して、狂気の淵を彷徨うのです。あれを1時間ほど徹底してやられたら、確かに狂気は観客を侵食していたことでしょう(^^;)。

 


Judy Collins - "Both Sides Now" - Hit Single Version - YouTube.

◆関連リンク
HEREDITARY (2018) | Behind the Scenes of Mystery Movie - YouTube
 メイキング動画。アリ・アスター監督の演出風景がみられます。
現代ホラーの頂点といわれる映画「ヘレディタリー/継承」の怖さを三宅隆太監督と宇多丸が力説
ヘレディタリー/継承 - Wikipedia
Hereditary (2018) Music Soundtrack & Complete List of Songs | WhatSong Soundtracks
【イベントレポート】町山智浩が「ヘレディタリー」語る「ホラーのふりをした、嫌な家族映画の集大成」 - 映画ナタリー.

"「アスター監督はもう2作目の撮影を終えてます。ベルイマンが生まれたスウェーデンが舞台らしいです。本人は、芸術映画をホラーの枠組で作っていきたいと言っていました。アリ・アスターに注目してください!」"

Ari Aster - Wikipedia.
 次回作 Midsommar (film) - Wikipedia

 

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2018.11.19

■感想 ブライアン・シンガー, デクスター・フレッチャー監督『ボヘミアン・ラプソディ』


映画『ボヘミアン・ラプソディ』最新予告編が世界同時解禁! - YouTube

 ブライアン・シンガー, デクスター・フレッチャー監督『ボヘミアンラプソディー』@各務原イオンシネマ。
 クイーンの特別ファンというわけではないけど、「ボヘミアンラプソディー」の曲は中学の時に初めて聴いて衝撃を受け、今でも聴くたびにあの頃ラジオで聴いた瞬間にタイムスリップできる特別な曲なので、映画公開を楽しみにしてた。

 映画全体もなかなか良かったけれど、「ボヘミアンラプソディー」の制作に立ち会えたようなシーンにとにかく感激。 そしてクライマックス。圧倒的なリアリティで再現されたライブに最高潮で映画を見終えることができました。


I DIDNT REALIZE THEY DID IT THIS PRECISELY - 9GAG
 映画のシーンと実際のライブを比較した映像。
 左上が映画、右下がライブの本物のフレディ・マーキュリー。
 パフォーマンスの模写が素晴らしいのと、さらに映画はカメラアングル、特に観客の中へカメラが入っていくシーン、そしてフレディや周囲の人のアップ描写が演出として素晴らしいのがわかる。
 映画を観終わってから、ライブ映像を観てみたけれど、この演出により、映画のシーンの迫力が素晴らしいことがよくわかる。

◆関連リンク
Queen - Live  YouTube
 こちらが映画で再現されたライブのフルバージョン動画。ネタバレになるので、映画を観終わった方、ご覧ください。
映画『ボヘミアン・ラプソディ』のサントラがヤバい。 – 久々に出たクイーンの新譜は、映画のサウンドトラックだった。 (安藤夏樹) | 音楽文 powered by rockinon.com

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2018.11.12

■感想 静野孔文・瀬下寛之監督、ストーリー原案・脚本/虚淵玄『GODZILLA 星を喰う者』『GODZILLA:The Planet Eater』


『GODZILLA 星を喰う者』(『GODZILLA:The Planet Eater』

"その<黄金>は<絶望>すら焼き尽くす。 ゴジラ・アースVSギドラ、滅びの祭典が幕を開ける。 アニメーション映画『GODZILLA』、ついに完結。 【最終章】『GODZILLA 星を喰う者』11/9(金)全国公開。
【第一章】『GODZILLA 怪獣惑星』
【第二章】『GODZILLA 決戦機動増殖都市』

<STAFF> ■監督/静野孔文・瀬下寛之  ■ストーリー原案・脚本/虚淵玄(ニトロプラス) ■キャラクターデザイン原案/コザキユースケ ■副監督/吉平”Tady”直弘・安藤裕章 ■プロダクションデザイン/田中直哉・Ferdinando Patulli  ■CGキャラクターデザイン/森山佑樹 ■造形監督/片塰満則  ■美術監督/渋谷幸弘  ■色彩設計/野地弘納  ■音響監督/本山 哲"

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 虚淵玄のCGアニメ『GODZILLA』3部作観終わりました@109シネマズ名古屋。
 いや〜SFでした。おそらくゴジラ史上最高にSF。そしてまさに、地球最大の決戦。

 特に宇宙のGのシーン、映像と音響でこの世ならざる異界の存在感をたっぷりと見せてくれます。(本当に第1作からこの作品の音響の素晴らしさには感動します。あの音を聴くだけでも劇場をお薦めします。音響監督は本山哲さん)

 そしてその設定の暗黒。さすが虚淵玄。
 人類/知的生命史の暗黒描写が鈍く光ります。
 ゴジラの設定とそのルーツとなる日本に叩き込まれた事象、そしてそこに某が重なる描写には震えました。

 庵野監督作が物語とキャラクタ群とバトルと音楽で見せているのに対し、こちらは骨太い宇宙史的暗黒構造と独特のCGの質感で魅せます。どちらに軍配を上げるかというと前者ではありますが、本作が東宝から怪獣プロレスは除外して(以下関連リンク参照)、と言われてなかったら、後者が勝っていたかも(^^)。


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 『三大怪獣 地球最大の決戦』のキングギドラ(特にその奔放な怪光線)に大きな影響を受けたアニメーター金田伊功が描いた龍の迫力のシーン。この龍のダイナミックなアニメートに、『GODZILLA 星を喰う者』のギドラはインスパイアされたものだと思う。
 特に全体のフォルム、竜の下顎が長いところ。首のもたげ方とダイナミックな動き。
 欲を言えば、あの怪光線がなかったのが残念。そして画面構成はさらに金田伊功のものを強く導入しても良かったのではないかと思ったり。

■関連リンク
「GODZILLA 星を喰う者」虚淵玄・静野孔文・瀬下寛之鼎談インタビュー、あのラストはどのように生み出されたのか? - GIGAZINE.

"企画の初期段階で東宝さんから「このアニメ版ゴジラは怪獣プロレスにはしません」という宣言というか、方針確認があったんです。「アニメで怪獣をやる」という意味について初期段階で検討したんですね。日本だと「怪獣という存在」と「怪獣プロレス」がどこかでセットのイメージがあって。だからこそ「プロレスをしない怪獣」というのは、大胆な切り口であり、虚淵さんは原案を考えていく段階で、そこを起点にしていました。もともとゴジラ映画を見ていない静野さんには、僕と虚淵さんで「ここから先、ゴジラ映画を見ないでください」と伝えました。"

『GODZILLA』ギドラナイトでクリエーターが語る、実写とCGで「怪獣はどう造形されてきたか」 | マイナビニュース.

"『星を喰う者』を試写で観たという品田氏は「ギドラの設定が、『三大怪獣 地球最大の決戦』でのオリジナル・キングギドラに近いことに驚いた」と感想を述べた。瀬下監督はこれについて「企画が始まった当初の1年間は、今までの東宝怪獣映画を改めて調べ上げて、何を引用してどの部分を膨らますか、を徹底的にやったんです」と、過去の東宝怪獣映画、「ゴジラ」シリーズを研究した上で、実写と同じものにせず、アニメでしか描くことのできない世界を作ろうと熟考を重ねたと話した。"

CREATORS' INTERVIEW 音響監督 本山晢|アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』OFFICIAL SITE

godzilla 当ブログ 関連記事 Google 検索
当ブログ関連記事 感想 虚淵玄 脚本、静野孔文,瀬下寛之 監督『GODZILLA 怪獣惑星』

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2018.11.05

■予告篇 郭帆 : Frant Gwo監督『流浪地球 : The Wandering Earth』


2018中国科幻电影《流浪地球》“The Wandering Earth”片花 - YouTube

"站長超級期待的中國大陸首部科幻大片 《流浪地球》首款電影海報發布!
本片改編自大陸科幻小說名家劉慈欣同名小說,吳京參與本片演出,中國大陸將於2019年2月5日大年初一上映。
劇情描寫太陽即將毀滅,人類在地球表面建造出巨大的推進器,尋找新家園。然而宇宙之路危機四伏,為了拯救地球,為了人類能在漫長的2500年後抵達新的家園,流浪地球時代的年輕人挺身而出,展開爭分奪秒的生死之戰。"

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 Facebookで教えていただいた中国のSF大作映画『流浪地球』。予告篇がまさに大作SF映画の香りで、これは期待できます。
 そしてあらすじからうかがえるのは、まるで『妖星ゴラス』のような地球に巨大な推進器を付けて、地球が宇宙を放浪する様。そんなストーリーを映画大国中国の総合力で描かれるかと思うとワクワクします。右のポスターもなんだか質感がいい感じです。

 以下にあらすじが日本語で書いてあるページが見つかりました。 噴射ノズル、まさに『妖星ゴラス』のようです(^^)

さまよえる地球 | 中国のSFを読もう!.

"太陽が数百年以内にヘリウム・フラッシュ(大爆発)を起こして赤色巨星化することが判明したので,地球ごとプロキシマ・ケンタウリまで逃げようという話である.映画『妖星ゴラス』に出てきたような巨大エンジンを作って逃げるのだ.木星でフライバイするときには空が木星に覆いつくされる.このイメージが素晴らしい."

 リンク先には、もう少しあらすじが詳しく書かれていますので、ご興味のある方はクリックして読んでみてください。

劉慈欣 - Wikipedia.

"さまよえる地球(原題:流浪地球) - 『S-Fマガジン』2008年9月号、訳:阿部敦子     初出:『科幻世界』2000年12号。第12回銀河賞特等賞[3]。"

 そして原作のSFは、既にSFマガジンに訳出されているとのこと。
 映画の公開まで(日本では果たして公開されるのか!?)、まずは原作を読んで楽しみに待つことにしましょう。

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 というわけで原作、劉慈欣「さまよえる地球」、SFマガジンをヤフオクで入手して読了。
 地球に推力150億トン、高さ1万1千mの重元素核融合エンジンが数万機建造され、太陽と木星を使ったフライバイで、赤色巨星になることが予想された太陽からの離脱を計る雄大な物語。

 15回の楕円軌道での太陽系内流浪、その際の灼熱と極寒の地球の文明の変化、太陽と木星のフライバイの雄大な描写、小惑星帯通過時に反物質爆弾で小惑星を破壊する宇宙艦隊等、映画的に映えるエピソードが盛り込まれている。
 小説としては32ページと短く粗筋的にみえないこともないけれど、ジュビナイル的なストレートなストーリーに好感。(イラストがもろ児童書ぽくって笑いますが…)
映画が楽しみです。予告篇を観るとかなり原作に忠実に作られてそう。


《流浪地球》预告分析,地球将成为诺亚方舟引领人类走向希望 - YouTube
 もう少し長い予告編です。

◆関連リンク
流浪地球(2018年郭帆执导中国电影)_百度百科.

"上映时间     2019年2月5日"

 中国での上映は、19年2/5からのようです。日本公開も待たれます。

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2018.10.31

■動画 キューブリック監督『2001年宇宙の旅』のメイキング


Stanley Kubrick | 2001 A Space Odyssey (1968) | A Look Behind The Future - YouTube

 キューブリック監督『2001年宇宙の旅』のメイキングがいくつか映像として、Youtubeに掲載されているので紹介する。今週は『2001年宇宙の旅』50周年ミニ特集です(^^)。

 まず上の動画。セット、プロップデザインからディスカバリー号の人工重力シーンの現場まで、こんなドキュメントが映像で残ってたということは知らなかったのでネットで見つけた時は嬉しかったので、ご紹介。
 A・C・クラークもしっかり語ってます。

 そしてこのメイキング映像を紹介したディスカバリーチャンネルの記事。

徹底的な科学考証が生んだ映画『2001年宇宙の旅』、そのデザインの裏側 – Discovery Channel Japan.

"人工重力空間は直径18m、重さ32トンもある空間を実際に回して撮影された。これほどまでに大規模な人工重力空間はISSには無いが、先日ドラゴン貨物宇宙船が届けた実験用の多用途重力可変プラットフォーム「MVP」はこれと同様に遠心力を使って人工的に重力を作り出すものだ。"

 いくつかの先進的なデザインについて、その出自を紹介しています。
 かなり簡易的な書き方なので、これはしっかりとした記事が読んでみたいものです。


Stanley Kubrick 2001 A Space Odyssey 1968 Making of a Myth - YouTube.

 もう一本、メイキングドキュメント。ペンの無重力シーンの再現シーン、ジェームズ・キャメロンやダグラス・トランブルも出演。
 モノリスの前で、語る後年のクラークの映像とかも味があります。

キューブリックが徹底研究した作品と、集められたスペシャリストたち『2001年宇宙の旅』 |CINEMORE(シネモア) 大口孝之氏

" 『2001年宇宙の旅』がいつ観ても古さを感じさせないのは、その後のSF作品を一変させてしまったメカデザインや、セット、ミニチュア、特殊メイクなど、美術全般の魅力が大きい。そして何より、とんでもなくリアリスティックな画面を実現させた、高度な特撮技術(*1)の貢献を忘れてはならない。本来であれば、製作・配給を手掛けたMGMのスタッフが、特撮も担当するべきなのだろう。だがこの時期、ほとんどのハリウッドの撮影所は特撮課を廃止してしまっており、スタンリー・キューブリックは新たにスタッフを見つけることからスタートしなければならなかった。
*1:この映画が公開された1968年は、ビジュアル・エフェクトという英国式表記がアメリカでは普及していなかったため、スペシャル・フォトグラフィック・エフェクトという長い役職で呼ばれていた。" 

 日本の3D映像、大型映画、CG映像の先端を切り開かれたクリエータ 大口孝之さんの筆になる『2001年宇宙の旅』のスペシャル・フォトグラフィック・エフェクトのスタッフの系譜をまとめた、大変興味深い論考。

 特に後のIMAX社の創業者であり、NFB(カナダ国立映画制作庁)の短篇映画の特撮の名手であったローマン・クロイター氏との共同の仕事の際に、直接聞き込まれたスターゲート以降のビジョン構築の裏話等、貴重なエピソードは必読です。

◆関連リンク


50th anniversary 2001: A Space Odyssey interview actor Keir Dullea - YouTube
 『2001年 宇宙の旅』ボーマン船長こと、キア・デュリアの最近のインタビュー。
 老け方が映画ラストのボーマンそのもの。
 俳優の50年後を見事にキューブリックが予見した! のか、もしくはキアが、自分の代表作の、映像の鋳型にはめるように自身で老けていったのか(^^)!


2001: a space odyssey; CG discovery - YouTube
2001年宇宙の旅、ディスカバリー号の構造: 万象酔歩.

"残念なことにディスカバリー号の設計図は廃棄されてしまったとの ことで、正確な構造は分かりません。 ここでは次の大まかな情報     頭の球体は直径12mくらい     人工重力(遠心力)居住区の直径は10mくらい     ポッドの直径は2mくらい と、映画の各シーンからディスカバリー号の内部構造を推測しCGモデルを作成してみました。"

 ディスカバリー号の内部構造をCG化したCG動画とその記事。
 ボーマン船長他の移動経路を知りたくなった時に、とても参考になります。労作ですね。

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2018.10.29

■感想 スタンリー・キューブリック監督『2001年 宇宙の旅』IMAX , 2001: A Space Odyssey - 50th Anniversary

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 2週間限定公開の『2001年宇宙の旅』IMAXを、名古屋では唯一の上映館となったイオンシネマ大高で観てきたので感想です。

 まずは映画を観終えて、「50年前の2001年」から現在の2018年に戻ってきて、感じたこと。
 劇場の映像空間から、大高イオンに戻っても、LEDの光と21世紀のショッピングモールのリノリウムの床の空間は正に地続き(上の写真)。キューブリックとクラークは21世紀を50年前に幻視していたのをまざまざと実感。
 というのはこの映画のひとつの側面にすぎないのですが、続けて映画本篇の感想です。少し回りくどいけれど、初めて観た時の印象から始めます。


4K/BD【予告編】『2001年宇宙の旅 HDデジタル・リマスター』11.21リリース & 10.19 IMAX上映 - YouTube

 僕が劇場で『2001年 宇宙の旅』を観るのはこれで二度目。
 1度目は1978年のリバイバル上映、白川公園横にあったシネラマ名古屋の巨大スクリーンであった。ずっと憧れていたSF映画の最高峰に触れるには最適な環境だったと思う。
 実はその時の感想を細部については覚えていない。70mm上映だったかどうかも、、、。ネットで探ってみるとこのリバイバル上映は70mmと35mmの両方が使われていたらしい。巨大なシネラマの大画面用に70mmが使われたと想像しますが、、、。

 その時の感想としては、期待が大きかったからか、映画の感想としては、「凄い ! 」の一言ではなかった。映像としての洗練、凄さは感じたけれど、SFとしての物語が(当時、SFにどっぷりはまっていたので)、実はいまひとつに感じられたのだ。

 覚えている一番の点は、登場人物が人間らしくなくって(まるでファッション写真に出てくるモデルみたいで感情が感じられない。人の進化を描くのに、人間らしい矛盾した存在感が描けていないのは足りないのでは、)これで進化を描かれてもなぁ〜、というもの。(実はキューブリック映画にはこの時の印象がずっと尾をひいていて、全面絶賛にならない自分の気持ちがいますw)。

 で、今回、通して観るのは5回目くらい、大画面で観ての率直な感想。物凄い数の論評がなされてきたこの映画に新たに自分が追加できる視点はほとんどないと思う、ので、率直な自分の感想を記しておきます。

 この映画、今更だけれど、やはり映像の力が素晴らしい。画のバランス、隅々まで気迫のこもった未来描写。いずれも映像で象徴的に観客に400万年前から2001年の未来までを見せていく手腕がやはり素晴らしい。

 例えば月着陸船とディスカバリー号内部の重力と無重力の描写。人が円筒の中に作られた重力の中で、観たことのない動作をするのをこれでもかと描いているが、まさにこうしたところに映像で新しい世界を観客に、ある種の驚きを体感させることでリアルに実感させることを狙った手法。

 今では宇宙ものの定番描写になっているディスカバリー号が画面左から入ってきてて、カメラがその表面を舐めるように映し出す映像。これも、上に書いたのと同じく観客に映像の衝撃で未来を実感させる手法のひとつと言える。

 どのシーンも実はそうしたことを隅々まで考えてキューブリックが設計した映像であることがとてもよくわかる。400万年前の人類の夜明けも。2001年の月世界も。そして木星からスターゲートと欧州家具で調度されたボーマンの部屋。
 特に木星シーンから以降は、人類の進化を映画の時間軸で体感させるためにキューブリック(とクラーク)によって、同じく映像ショックで体感させるべく設計された映像なのではないか、と強く今回感じられた。

 謎解きについては、クラークの小説、キューブリック自身のラストを語る言葉、そして多くの評論家、SF作家、ファンによって語られた言葉で、既にキューブリックの意図したところは、ほぼ解明されているのではないか、というのが僕の印象。

 今後もこの映画が語られ続けるのは、映像としての素晴らしい構築力についてではないか、と思う。
 今回、僕がもうひとつ感じたのは、月面のシーンとか、宇宙の暗黒空間をゆくディスカバリー、そして木星のシーンでの、音の演出と各カットの長さである。
 真空の無音を限りなく意識した音設計。そして通常の映画と比べて恐ろしく長い各カットの時間である。
 これにより感じられる静寂な印象がもたらす映画空間としての印象。
 感情を排したように感じられた僕の初見の感想は、こんなところにもあるのかも、と思った。

 ではなぜこうした静粛を狙った映像になっているのか。
 もちろん宇宙の独特の空間を体感させる効果はある。しかし400万年前のシーンもラストのボーマンの部屋もそうした描写が際立っている。
 どこか神の目の視点、ここではモノリスを作った異星の存在の視点を意識した描写ではないだろうか。静かに人類を眺めている存在の視点を隅々まで意識的に張り巡らせることで映画自体に異星人は登場しないが、見終わった時になぜか観客に残る人類と異なる存在の意識みたいな冷たい異質な感覚。
 これをまさにキューブリックは意識的に描き出していたのではないか、というのが今回の鑑賞の一番の収穫だった。

 今度は、この感覚の正体を、意識しつつ、もう一度、この映画を観てみたい。
 初見の感想から40年経って、その古びていない未来幻視と映像の独特の感覚に浸って、いろいろと考えるところの多い映画体験でした。こんな機会を作ってくれた映画関係者に感謝です。


2001: A Space Odyssey - 50th Anniversary Trailer Comparison - YouTube

 最後に、IMAX版の映像について。
 これは今までのブルーレイ映像と70mmレストアの予告編映像を比較したもの。ブルーレイと比べて、アンレストア70mm版は、明るくて色味が黄色っぽく見えますね。

 この比較映像と比べると、IMAX版は中間よりちょい70mmアンレストア版の色合いに近い感じだったかな。 でもIMAXで観ると、70mmフィルムの解像度は、IMAXのデジタル解像度(2Kなんですけど)に追いついてなく、細部がつぶれてる印象。違ってたらごめんなさい。

◆関連リンク
【関連動画】『2001年宇宙の旅』アン・レストア70mm版と、デジタル処理されたBDとの比較動画 : KUBRICK.blog.jp

 これをソースに同シーンをBDから抜き出してBD→70mmの順で比較した動画が一番上の動画ですが、けっこう印象が違います。当然キューブリックの意図は後者なので、後者を基本に考えるべきですが、BDを見慣れていると違和感も否めません。ただしモニターとスクリーンでは映像の投影方法が異なるので映画館で観ればこれとは印象は異なるかも知れません。

 キューブリック関連の情報では日本最強のキューブリックブログさんの記事。
 この他にも2001年に関する素晴らしい情報があふれていますので、是非ご覧ください。
8K版「2001年宇宙の旅」、NHKが12月1日放送。70mmフィルムからフルレストア、世界初 - PHILE WEB.

NHKによると、70mmフィルムは8K並みの情報量を持つとのこと。「70mmフィルムのポテンシャルを十分に生かし切ることができる8Kでのテレビ放送は世界初」としている。 今回の8K放送はNHKが呼びかけ、現在作品を管理しているワーナー・ブラザースが、専門の作業チームに修復と8K化を依頼。「フィルムの傷などを丹念に修復し、すべての色彩を検証、細かく補正し、初公開時の映像と音声にできるだけ近づけるようレストアを行った」という。

 これは是非観てみたい、録画して手元に残したいと思うのですが、8Kテレビが68万円、HDレコーダーが14万円。まだまだ高嶺の花で絶対自分では手が出ない値段ですね。

マイケル・ベンソン, 中村 融 訳, 内田 昌之 訳, 小野田 和子 訳『2001:キューブリック、クラーク』

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“1968年、映画史に残る名作『2001年宇宙の旅』が製作・公開された。 スタンリー・キューブリックとアーサー・C・クラークという映画界・SF界の二人の天才の出会いから製作、公開までを克明に綴る。公開から50年、エポックメイキングな傑作の価値を再検証する”

2001年宇宙の旅 IMAX版の功罪 | シュウさんのブログ.

"最近観たアンレストア70㎜版とはまた違う印象を受けた。 70㎜では、想像以上にグレインが目立ち、いわゆる”荒々しさ”を感じたが、IMAX版は、きれいにレストアされた上品な印象だった。 ただ、IMAXの功罪を感じたのもまた事実。 「7人の侍」4Kリマスター上映でも感じた、ハッキリ見え過ぎる罪というか。 「7人の侍」では、カツラのラインがハッキリ見えてしまってたのだ。 今回の「2001年」IMAXでも、合成のズレによるチラツキとか、宇宙船から星が透けているとか、今まで気がつかなかった点がハッキリ分かってしまったのだ。 これは、IMAXならではの事なのか。 それとも、スクリーンの詳細さは今も昔も変わらず、単に私が気がつかなかっただけなのか…。 気になるところだ。"

 大変に興味深いブログ記事です。
 こちらで書かれている、窓の中のシーン(ステーションへのドッキング)のチラツキは、ハイビジョン放映版をうちのプロジェクター(120インチ)で観ても分かるので、IMAXというよりか、今回のIMAXの2Kデジタルの功罪でしょうね。 2Kでも既に解像度が当時の70mmを超えてる感が(画像のボケが気になる、ex. IBMのTele Padの文字が潰れているとか、いろいろ) あるので、8Kの意味があるか疑問を感じたりします。
【町山智浩映画解説】映画史上最も難解な映画『2001年宇宙の旅』 - YouTube.

"町山智浩さんが、ほとんどの評論家が解釈を間違えたという『2001年宇宙の旅』の解説をしています。この『2001年宇宙の旅』は、町山さんが映画に関する文章を書くキャリアの始まりとなった映画だそうです。あの、淀川長治さん、荻昌弘さんも間違えたという、難しい映画の本当の意味とは?・・・・・・"

 謎解き側面での2001年解釈の集大成的な町山氏の映画解読。とても興味深いです。

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2018.10.17

■感想 入江悠監督『太陽』(2016) 、前川知大演出『太陽』(2016)


『太陽』予告編 - YouTube 映画公式サイト

 劇団イキウメの前川知大による原作脚本の映画『太陽』をWOWOW録画で初見、続けて、2016年に再演された前川知大 原作脚本演出の舞台『太陽』をNHK BSプレミア版で初見。簡単だけれど、見比べた感想を記します。
 まず映画版。
 キュリオのひなびた村の光景、対するノクスの近代的な都市等、どこかSFチックな映像を見事に見せてくれて、まず映画的な世界の広がりに感嘆。
 物語は、ウィルスの拡散により人口が激減した世界で、ウィルスに耐性を持つが太陽光を浴びると体が燃えてしまうノクスと、ウィルスに罹患すると死んでしまうが元々の人間的な生活を太陽のもとでおくるキュリオの対立を小規模の境界を舞台にして描いている。
 そうした設定で描かれる世界は、少人数だけれど、新しい未来像を描き出していて、どう展開するのかワクワクしてしまうプロローグ。
 ただ、物語は閉鎖的な世界としてのキュリオの村の描写を昭和の邦画のようなドロドロとしたものとして描いていく。ここが僕はいまひとつだった。

宇多丸『太陽』を語る!by「週刊映画時評ムービーウォッチメン」2016年4月30日放送.

"「村としての日本、村人としての日本人」。もっとはっきり言えば、こういうことですね……「オラこんな村、イヤだ!」っていうね。「オラこんな村、イヤだ! ……でも、我々はここで生きていくしかないのだから……」っていう、こういう話をある意味、入江さんは毎回やっていると言える。"

 という評もあるが、確かに入江悠監督のテーマとしてそうした描写は必然的だったのかもしれない。しかし僕はしっくりこない。
 キュリオとノクスの世界の接触による異文化SFとして期待したものが、なぜ、昭和的日本人のムラ世界の湿度の高い世界描写に収束しなければならないのか。特に芝居にはないレイプシーンにはガッカリ。陰湿なムラ世界描写の協調かもしれないけれど、その前のシーンで太陽の下での若者三人の溌剌とした世界を描いていながら、ノクスとの対比で本来最も特徴的に描けたはずの太陽の光の下でのキュリオの世界描写を相殺してしまっている。ここが最も残念なところだった。

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 そして芝居版。
 こちらは映画とは逆のテーマが描かれている。人工的なノクスの論理的世界に対して、太陽の下で奔放な芸術、職人スキルでの突出(主人公 鉄彦の紅茶に対する深い理解)。ヒロイン結の変貌は映画も演劇も同様に描いているが、その後の鉄彦のとる態度で、逆の意味合いを持たせた芝居の方が僕は好きなテーマだった。

 映画は芝居で描けない太陽の光の描写を映像として思う存分にできるため、本来映画化ではそこがもっとも強いイメージを残せるはずで、それがテーマ的に消化するのは、芝居が描き出したテーマだったはず。

 映画は、入江監督のこだわりのテーマでタイトル『太陽』の持つ意味を否定してしまった。この映画化は監督とのミスマッチで、せっかくの良い映像を撮っているのに、それを十分に生かせず、芝居に対してテーマ的に力を失ってしまったのではないか、というのが僕の比較して観た感想です。

◆関連リンク
イキウメWeb 『太陽』2016 
イキウメWeb 通信販売ページ 前川知大演出『太陽』DVD
入江悠監督『太陽 Blu-ray』(Amazon)
前川知大演出『太陽 DVD』(Amazon)
前川知大『太陽』小説(Amazon)

 

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2018.10.08

■感想 ナ・ホンジン監督『哭声/コクソン』


3/11(土)公開 『哭声/コクソン』予告篇 - YouTube

  ナ・ホンジン監督『哭声/コクソン』WOWOW録画初見。

 この映画は一筋縄ではいきません。衝撃を受けたのは確かなのですが、僕は観終わった今もストーリーに釈然としないものを覚えて、モヤモヤとした想いでいます。

 ということで、まずはネタバレなしの感想から。

 端正な画面と少しコミカルな登場人物の営み。この映画はそのように始まります。
 そして谷城(コクソン)の村に起こる猟奇的な殺人事件。ここのサスペンスはなかなかのもの。サイコサスペンスとして、さらにはそこに祈祷師という存在を登場させ呪術的闘いというホラー寄りのサスペンス見せていく。

 ここまでの映画のサスペンスはなかなかのもの。エンタテインメントとしてかなり恐ろしい話を見事に映像化している。映像の美しさとともにエンタテインメントとしての完成度もなかなかのものです。
 特に國村隼の不思議な落ち着きを持った狂気の演技が素晴らしい。

 そしてラストの15分間のすごい映像。主人公ジョングと謎の女ムミョンとの農家と畑の間での夜明け前のシーンの素晴らしさ。

 光と影と、光の色の表情、凄みのあるこのシーンの映像、助祭イサムと國村隼のシーン、そしてジョングの家をカットバックで見せ、多義的なシーンを描き切ったこのクライマックスのもたらす映画としての魅力に正に感嘆。凄いものを見せてもらいました。



★★★★★★★ ネタバレ注意 ★★★★★★★ 

 さてここからが難しい。僕は少なくともまだこの映画を噛み下せていないので、この後は疑問点の提示に留まりそう。

 冒頭に引用されるキリストの言葉としての聖書の一文

「なぜうろたえているのか。どうして心に疑いを起すのか。わたしの手や足を見なさい。まさしくわたしだ。触ってよく見なさい。亡霊には肉も骨もないが、あなたがたに見えるとおり、わたしにはそれがある。」

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 そしてクライマックスの國村隼演じる日本人の手の甲に穿たれた穴と、この言葉を模したセリフ。明らかにキリストとこの日本人をダブらせた演出。

 しかし助祭は、この日本人を自分の見聞きしたことから「悪魔」と呼んでしまう。
 國村が答えるのは、あなたがそのように信じているのなら、私がなんと言おうと「悪魔」であろう、という言葉。そしてカメラを構える、あの凄まじいシーンが描かれるのである。

 観客はここで、この日本人が村を救おうとしたキリストなのかそれとも悪魔なのか、どちらなのか迷ってしまう。

 同時にムミョンを信じられなかったジョングが自分の家に戻ることによって、ムミョンが悪霊に仕掛けた家の魔よけが変化するところが映し出される。魔よけの植物と思われたものが小さな髑髏に変貌するシーン。

 どちらも信じることとそれによる世界の変容が描かれている。

 この映画が多義的で、観客にとってどのように捉えたら良いか、迷わせてしまうのが、こうしたシーンを見ていると、まさに監督がこの映画で描きたかったものなのではないかと思えてくる。

 つまり映画の多義性は、この世界の姿が人の信じる想いによって変化してしまうことこそが映画のテーマなのかもしれない、という感想。

 とりあえずの僕のこの映画の感想まとめはこうしたことになる。
 実はキリストなのではないかと描かれた國村が殺された自分の愛犬をジョングの家にぶら下げたり(祈祷師イルグァンの仕掛けたものかもしれない)、真剣に國村に「殺」の念を送ったイルグァンが日本人の家にあった数々の呪いの対象の写真を持っていたり、、、ひとつの解釈をしようとすると、その反証として思い浮かぶシーンが多数埋め込まれている。そしてそれらも映画の結構としては、毒キノコの混入した健康食品の見せた幻覚と解釈できないこともない仕掛け。

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 そうした仕掛け含め、この映画全体が多義的に解釈できる世界を象徴的に描き出そうとしているものだとしたらどうだろう。
 クライマックスで登場人物たちが信じたことが世界に顕在してしまう本作は、どのエピソードも矛盾するように散りばめられているが、それらすべてが人が解釈のために自分が信じたい事象を現実から選び出しているように、この映画の断片は観客が自分の信じたい解釈のために監督が用意し散りばめられた素材だとしたら。

 我々は真相などというものはなかなか存在しない現実を生活している。この映画はナ・ホンジン監督がそれをデフォルメして我々に見せているそんな映画なのかもしれない。これが現時点の僕の解釈です。

 今後何度か観て、この映画の仕掛けをもっと深く確認してみたいものである。

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2018.10.05

■感想 ザック・スナイダー/ジョス・ウェドン監督『ジャスティス・リーグ』


映画『ジャスティス・リーグ』特別映像【HD】2017年11月23日(祝・木)公開 - YouTube

 ザック・スナイダー/ジョス・ウェドン監督『ジャスティス・リーグ』WOWOW録画初見。

 ヒーロー映画らしい構造で気持ちよく見せてくれました。

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 ガル・ガドットのワンダー・ウーマンの美しさととりわけ笑顔が素晴らしい。この映画の気持ちよさの半分は彼女の笑顔によるものではないかという位。あのアナクロなコスチュームでこのインパクトなのだから、現代的な装いでのアクションものに登場したら、と考えると恐ろしい(^^;)。

 『アベンジャーズ』ほどのインフレがなくコンパクトに収めているため、最強のヒーローの登場が痛快。もちろんインフレを極めていくマーベルも大好きだけれど、こうした小気味好いコンパクトなまとめ方も大好きです。

 圧倒的なパワーの爆発を見せるには、こんな描き方がまさに効果的。

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 CGにしても、ところどころかなり荒いところがあったけれど(アマゾンの島の空撮ショットとか、、、)、ほとんど気にならない。映画の不思議は、各シーンの完成度が100%でなくても全体としての効果に貢献していれば、シーンごとの出来はそんなに気にならないというところ。(そんなことはその究極の『カメラを止めるな』をみればすぐわかりますw)。

 インフレ化している大作の世界も、こんな割り切りで、全体の構造、シナリオの練り込みに時間をかけて、適度なコストでさらに傑作が量産されることを望むものです。

◆関連リンク
ジャスティス・リーグ (映画) - Wikipedia

"ジョス・ウェドンが監督した劇場版とザック・スナイダーが監督したオリジナル版では演出や脚本の内容が異なっており、上映時間が劇場公開版では約50分ほどカットされている"

 いずれザック・スナイダー単独監督版も観てみたいものです。
ザック・スナイダー/ジョス・ウェドン監督『ジャスティス・リーグ 4K ULTRA HD&3D&2Dブルーレイ』(Amazon)
ザック・スナイダー/ジョス・ウェドン監督『ジャスティス・リーグ 3D&2Dブルーレイ』(Amazon)
 3Dも是非入手してみたいものです。

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