映画・テレビ

2020.09.21

■感想 クリストファー・ノーラン『TENET』


TENET - TRAILER
 クリストファー・ノーラン『TENET』観てきました。コロナ後、初映画館。
 長久手イオンシネマは、1席おきルールですが30人弱とガラ空き。この位の規模の街では、この映画のタイトルと広告ではこんなものなんでしょうね。名古屋駅の109シネマのIMAXでは、満席になっている回もある様だったので(いきなりの映画館が満席はちょっと精神的に行けませんでした)。

 感想としては、良くも悪くもノーラン映画。一点アイデアを思いついてそこから組み立てた感満載の映像ショックSF。

 他方物語は整理不足のシナリオで妙に難解っぽくなってしまった、ヤっちゃった感満載。冒頭で映像アイデアのポイントについて感覚でとらえろ、とか登場人物に言わせてるので恐らく確信犯でしょうねw。

 その映像ショックもアクションの意図が見えにくく映画として活かし切れてないのは残念でなりません。アイデアは凄く面白いと思うんですが…。冒頭とか、ワンアイデアのシーンの映像と音は最高ですが、何が起こっているか、いかんせん不明という…w。

 ノーラン、アナログに拘ってるので、あのアイデアのシーンもデジタル合成なし、一発アナログ撮影で描いてるかと思いきや、デジタル処理の映像のようでした、流石に(^^)。要は手段ではなくて、表現したいことをその時の技術で一番、上手く表現できる技術を使えばいいと思うんですよね。

◆関連リンク
TENET_テネット(wiki)
 Wikipedia 読んだら、ノーラン自身の脚本で6-7年練ったとか。&理論物理学者のコンサルティングも受けたとかなので、深淵緻密な組み立てが実はあるかもw。僕は2度目の映画館は行きませんけどね。

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2020.09.07

■画像 デイヴィッド・リンチ監督『ツイン・ピークス』シーズン3 プロダクションデザイン by BUF

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SFXスタジオ BUF Twinpeaks (2017)
エクスペリエント デザイン : Matheiu Vavril
エクスペリメントCG デザイン : BUF
フロッグモス デザイン : Olivier Gilbert, Nicolas Agenal
Fireman Place CG デザイン : BUF
 
 未だ、日本ではWOWOW放映と、ブルーレイ販売のみで、一般テレビ放映も配信も実施されていないため、ごく限られたマニアにしか観られていないのが残念な、デイヴィッド・リンチの最高傑作(とあえて言ってしまおう、僕はそれ位の傑作と思っています)『ツイン・ピークス リミテッドエディション』。
 
 『ツイン・ピークス シーズン3』SFXを担当したBUFによるプロダクションデザイン画が、46枚公開されている。
 
 一番上に引用したのが、ニューメキシコ州ロスアラモスの核実験で生まれ、ツインピークスの物語に黒い影を落としたエクスペリエントのデザイン画。
 このデザインは、リンチの映像化では、かなりぼんやりとしたもので、この様なリアル感のある怪物としては映像に幻出しない。

 映像に現れた姿は、このデザインとリンチが描く絵画作品のイメージの中間的なものになっている、とでも言えるだろうか。
 ここで興味深いのは、縦に割れた巨大な口。これは映像として、ローラの母セーラ・パーマーの凶暴な口腔として描かれたものを想起させる。

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 そしてこちらは、同じく核実験で産まれた奇怪な生物 フロッグモス。そう、これもあのマンハッタン計画で産まれ、セーラの口に入ったエクスペリメントにつながる怪物である。特に驚いたのは、映像では分からなかったが、この上の画像で示されたフクロウの顔をしたフロッグモスの姿。
 
 ツイン・ピークスといえば、前半フクロウが重要な意味を持つのだが、シーズン3にもその流れはこの様に注入されていたわけである。 

◆関連リンク
リミテッド・イベント・シリーズ (wiki)
ツイン・ピークスの未来 (wiki)

"2017年にシーズン3が終了して以来、リンチとフロストはツインピークスの別のシーズンを作ることに興味を示している[23][24]リンチはいくつかのインタビューで続けるかどうかを尋ねられており、一度は「わからない、アイデアの箱を持っていて、プロデューサーのサブリナ・サザーランドと一緒に仕事をしていて、ある種、それらの箱の中に金があるかどうかを調べようとしている」と答えている。 " [25] リンチはまた、もう一つの物語がキャリー・ペイジのキャラクターを含む「彼を呼んでいる」と述べた[26] 2020年6月22日のRedditのAMAで、スターのカイル・マクラクランは、クーパーは彼の「すべての時間の中で最も好きな役」であり、彼は「脚本を見なくても」別のシーズンに「絶対に」戻ってくるだろうと述べました。"

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2020.08.19

■感想 中島哲也監督『来る』『渇き。』


映画「来る」予告  

◆中島哲也監督『来る』
WOWOW録画、初見。

 僕は中島哲也監督とはとても相性が良い様で、今のところ、ハズレがない。今回もなかなかの秀作。

 これ、中島版『童夢』というタッチ。パッと見の共通項は、団地(こっちは正確にはマンションだけど)と市井の能力者くらいだけれど、細部の画角、後半の展開の盛り上がり方等々、そこかしこに大伴タッチが息づいている。

 物語の捻りとか、キャラクターの幅(柴田理恵の能力者 逢坂セツ子、小松菜奈の風俗嬢の異能者 比嘉真琴、青木崇高の民俗学者 津田大吾とか)は、こちらが厚め。これによる映画の魅力はあるけれど、やはり大友ファンとしては、この映画の制作費があれば、そのまま『童夢』を映画化して欲しかったと思うw。 

 物語は異界との境界が曖昧になり、現実が侵食していく様、街の様相が変形していく様がなかなか見事に描かれていて、エキサイティング。
 ラストの戦いをもっとねちっこく総力戦で描いてくれていたら、、と思わずにはいられないけれども、これは大友ファン必見の作品です。
 やはりこうして中島監督作を観てくると、当初計画のあった中島哲也監督版『進撃の巨人』も観てみたくなる。

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◆中島哲也監督『渇き。』@ Netflix 初見。

 凶悪な役所広司の芝居、大平晋也の叙情的アニメーションを観たい方にお薦め。特に大平アニメーションの効果的使い方はなかなかのものです。

 それにしても『来る』の大友克洋に続き、こちらはタイトルバックとクライマックス(殺しのテンポとか)からタランティーノ、物語と途中の音楽から『ツイン・ピークス』のディヴィッド・リンチを思い出させる。特に後者の音楽は、一曲モロ『ツイン・ピークス』的テーマがあり、リスペクト盛り盛り。

 半ば、役所怒り演技の悪夢の中を旅する様な、まさに「クソ」映画。
 あのテンションに着いていけないと、つら〜い映画ですね。あれに乗れる人には最高映画、そして乗れないと最低映画でしょうね。

 今回も『来る』に続き、クリスマスイブが惨劇に対比して執拗に描かれている。何かトラウマあるんですかね。
 僕は乗り切れなかったけれど、でも一定以上のレベルで楽しめました。基本嫌いじゃないけれど、ちょっとやりすぎでは感があるというか、、、。

◆関連リンク

『渇き。』のアニメシーンを手掛けた大平晋也(『ピンポン THE ANIMATION』)&STUDIO4℃ 起用のきっかけは逆オファー

" STUDIO4℃の作品の監督を依頼したら逆に映画のアニメーション部分を依頼され、自由にしていいと言いながら口を出してきたなんて、なんとも中島監督らしいフリーダムなエピソード。水中のゆがみがある中、実在の俳優さんに似せるという「天才のなせる技」には激しく納得です。"

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2020.07.01

■感想 若松節朗監督、伊藤和典,長谷川康夫脚本『空母いぶき』


『空母いぶき』第二弾予告映像【90秒】

 若松節朗監督、伊藤和典,長谷川康夫脚本『空母いぶき』WOWOW録画初見。

 これはSFX、アニメ界隈であまり評判になっていなかったけれど(僕が知らなかっただけか)、なかなか迫力の戦闘アクション映画になっていた。シナリオの伊藤和典氏の功績なのか、『パトレイバー』や『シン・ゴジラ』の成果を踏まえて、真面目に自衛隊初の「防衛出動」を丁寧に描いた佳作になっていると思う。

 そして現代の兵器による海上戦闘アクションが映える。ミサイルや魚雷の最先端の軍事技術については全く暗いので、どの程度、リアルなのかは分からないけれど、その戦闘シーンはなかなかの迫力だったと思う。

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 原作は時々喫茶店で掲載誌をパラパラと見た程度しか(ほとんど何も)知らないのだけれど、敵国が中国に設定されていて、きな臭い印象が強かった。それに対して、映画は、架空の国家「東亜連邦」を敵として描いているために、より純粋に自衛隊の戦闘問題を集中して描けていて、興味深い。

 もちろん現実に戦争は起きて欲しくないけれど、戦争映画にはワクワクしてしまう。いつまでも架空シミュレーションとしての戦争映画を楽しんでいたいのだけど、この映画は現代の自衛隊の戦争シミュレーションとして特上のものかもしれない。

 一部では評判の悪い、あまりストーリーに絡んでこないコンビニシーンも、伊藤和典脚本のコメディパートとしてみれば、緊迫したシーンが連続する本篇と対比して、平和で脳天気な日本を描いていて、なかなか愛着が湧くのである。

◆関連リンク
かわぐちかいじ原作、初の実写映画化!『空母いぶき』浅野秀二(VFXプロデューサー)インタビュー
 IMAGICAの浅野秀二氏のインタビュー。なかなか興味深いです。

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2020.06.17

■感想 デヴィッド・ロウリー監督『ア・ゴースト・ストーリー』


DARK ROOMS - I GET OVERWHELMED "A GHOST STORY" music video

 引用動画は、挿入曲のMVです。予告篇よりネタバレしてるので御注意を。

 デヴィッド・ロウリー監督『ア・ゴースト・ストーリー』、WOWOW録画見。
 全く前知識なしに観たけれど、タイトル通りの幽霊の物語で、この魅力的なシンプルさは貴重です。途中出てくる作家(?)の人類の滅亡と再生を語る言葉と、映像の時空を超える試みが一種哲学的な趣きを醸し出しています。

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 幽霊はほとんどのシーンで、ボーと意識を浮遊しているかの様に描写されています。時々ふと我に帰った時の映像を記録した様に語られる物語。この浮遊感は、観客に幽霊の一人称を体感させる様な構造をもたらして、独特な体験が得られる。

 リンク先は、この映画の中で重要なキーとなる楽曲。
 この揺蕩う様な音と、重層的な詩が映画を奥深いものにしている。

『ア・ゴースト・ストーリー』:デヴィッド・ロウリー監督インタビュー
 こちらは監督インタビュー。アスペント比1.33:1のほぼ正方形の画面のことも触れられている。これは僕にはまるで8mm自主映像の様な雰囲気を感じさせて、なかなかでした。

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2020.06.15

■短篇 ティム・イーガン監督『カーブ』 Tim Egan "CURVE"

CURVE from Lodestone Films on Vimeo.

 最近、SNSで話題になっていた2016年のオーストラリアの短篇です。
 リンク先のVimeoで全篇10分間の恐怖が体感できます。
 これはうじゃうじゃ感想や解説する必要もないので、是非、観てみてください。

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 こんな恐怖映画短篇が一生に一度で良いので、撮ってみたいものです(^^)。
 この短篇が素晴らしいので、蛇足と思いつつもティム・イーガン監督には是非とも長編を撮って欲しいものです。

 この暗闇の向こうには何があるのか、想像力を刺激して止みません。
 『ツイン・ピークス ザ・リターン』のリンチが描いたあの海の映像を想起したのは僕だけでしょうか。

Tim Egan "CURVE"(IMDb)
 主演はローラ・ジェーン・ターナーLaura Jane Turner(IMDb)。

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 こんな舞台裏の写真もIMDbには掲載されています。セットなんでしょうね。

◆関連リンク
Tim Egan (IMDb)
 もともとはテレビシリーズのエディターの方の様ですね。監督作はこれと2011年のテレビシリーズ"The Bazura Project"の6本だけの様です。映画の歴史を描いたコメディのシリーズの様です。

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2020.06.10

■比較 スパイク・リー監督『ドゥ・ザ・ライトシング』('89) と高城剛監督『バナナチップス・ラブ』('92)

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 ということで映画の感想を書き終わったので、補足として『バナナチップス・ラブ』との比較を覚書。

 先日の『ドゥ・ザ・ライトシング』の感想で書いた様に、スパイク・リーがブルックリンを切り取った映像手法は、とても斬新でポップ。特徴としてはヒップ・ホップとジャズのBGMにのせて、カメラを斜めにして手前に人物を配し、俯瞰で街や人物を捉えたカットが独特(上の引用画像)。

 そして早口のDJの幕仕立てるテンポの良いお喋りと、マルコムXとキング牧師のブロマイド売りの青年の吃音というセリフの音楽的なタッチ。NYの色鮮やかな雑踏と人物の対比の映像。
 これらが高城剛をインスパイアして、『バナナチップス・ラブ』を撮らせた源泉であるというのが、とてもよく分かる。

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 『バナナチップス・ラブ』の画像。左がおかまの双子。右がスパイクの弟 サンキ・リー。

 そして高城が追加したのは、オカマの双子に「サザエさん」の様なセリフを呟かせ、キンズバーグやティモシー・リアリー、ウィリアム・バロウズ(確かバロウズも出たよね?ちょっと記憶が定かでないw)といった当時のカウンターカルチャーの神々をドラマに登場させ、DJをヘリコプターからFM中継するスカイトップ:フライングパンサーレイディオ108FMという躍動感ある映像にパワーアップして描き出した、世紀末のサブカルシーンの数々である。

 さらに物語は当時の日本のトレンディドラマなストーリーも包含していて、それを時に切ない藤原ヒロシの音楽で包んだところが、スパイク・リーのポップでシリアスな映画に対して、高城がオリジナリティを発揮した部分だと思う。

 というわけで、それを確認するため、現代の眼でもう一度、録画してある『バナナチップス・ラブ』見なおして観ますね(^^)。

◆関連リンク
・当ブログ記事
 ■高城剛監督『バナナチップスラブ』BANANACHIPS LOVE

 

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2020.06.08

■感想 スパイク・リー監督『ドゥ・ザ・ライト・シング』

 スパイク・リー監督『ドゥ・ザ・ライト・シング』 Amazonプライム初見。
 実に恥ずかしいことにスパイク・リー作品は初めて。この映画のVHSソフトをパッケージのカッコ良さでレンタル落ちのものを買ってあったのに、何と積読になっていたという、、、。
 で、今回のアメリカの事件と運動に関連して、初めて観てみたという訳です。

 まず思ったのが、高城剛監督が深夜ドラマ『バナナチップス・ラブ』(1992)において全篇ニューヨークロケで描いたいろんなシーンが、『ドゥ・ザ・ライト・シング』(1989)にインスパイアされた(パクリとも言うw)ものだったんだ ! ということ。
 当時、あのドラマの斬新さに凄く刺激を受けてしばらく高城剛をネットとかテレビで追いかけていたことがあるんですが、そのルーツが『ドゥ・ザ・ライト・シング』だったとは !

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 画像は『バナナチップス・ラブ』より。

 『バナナチップス・ラブ』にはスパイク・リーの弟 サンキ・リーがレギュラーで出ていたので、まさにインスパイアということなのだろうけれど、今回、僕が観た印象は、高城剛の演出の方が、スパイク・リーよりもエッジが効いていたんじゃないか、ということ。
 ここは一度、録画してある『バナナチップス・ラブ』を再見して確認してみないと。

◆ 本篇感想
 というわけで、ここからまずこの映画の感想です。
 ブルックリンの黒人街の、街の人々の個性が素晴らしい。

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 「市長」と呼ばれるホームレスの老人とおばあちゃんとの掛け合い。街をたむろするラッパーたち。日がな一日ダベっている3人の中年。ラジカセを大ボリュームで流す若者。そして一日12時間話し続けるDJ。

 こうした魅力的な黒人たちの生活と、対比して描かれるピザ屋のイタリア系アメリカ人の親子。間を往還するスパイク・リー演じるピザ屋の不良アルバイト ムーキー。

 ラップとジャズの軽快な音楽とともに、コミカルにそして斬新な映像と独特のリズムある編集で描かれるブルックリン。所々に挟まれる白人との緊張感。そして迎えるクライマックスの悲劇。

 ここで描かれているのは、2020年の現実にミネアポリスで起きた警官による黒人殺人事件と比べると、明らかな差別による殺人というよりは、もう少し日々の小さなヘイトの積み重ねによる、ある意味偶発的な悲劇である。それは映画冒頭から描写されている異常なNYの暑さが人を狂わせた結果でもあるかの様に、この映画では描かれている。

 こうした描写は、もしかすると現実のシビアな迫害を映画というエンターテインメントの中に格納するためにスパイク・リーが選んだ手法なのかもしれない。

 この当時と今を比べた時の差別の度合いがどの程度、温度差があるのか、僕にはそうした知識はないが、当時ここまで描いたことは、相当な勇気を伴った行動だったのだと思う。

 以降、現在まで続けられている警官による殺害。
 スパイク・リーが今回の事件でどういうコメントを出しているのかも知りたいと思った。

◆関連リンク
スパイク・リー監督、白人警官の黒人殺害事件を受けてショートフィルムを発表「歴史は繰り返されている、今の出来事は新しいものではない」
 『ドゥ・ザ・ライトシング』の感想を書いたのだけれど、調べてみたら、今回のミネアポリスの事件に関して、スパイク・リーのコメントが以下のページにまとめられていました。
Spike Lee (twitter)
 そしてtwitterでスパイク・リーが編集したショートフィルムが、以下の言葉とともに公開されています。

"3 Brothers-Radio Raheem, Eric Garner And George Floyd."

 ラディオ・ラーヒムは『ドゥ・ザ・ライトシング』の登場人物です。

 

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2020.06.03

■感想 イ・チャンドン監督/村上春樹原作『バーニング 劇場版』


버닝 / BURNING, 2018 予告篇
 イ・チャンドン監督/村上春樹原作『バーニング 劇場版』WOWOW録画見。
 95分のNHK放映版は吹替で観たのだけれど、こちらは148分字幕版で初見。

 どちらが良かったかというと、観た順番の影響かもしれないけれど、圧倒的にNHK放映版が良かった。
 これも『パラサイト』とか『グエルム』にもつながる、韓国の貧困社会を描いている。作家志望の主人公と、対比して描かれる御曹司的人物の対比。

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 ポルシェで北朝鮮国境近くの農村を訪れる御曹司と農村出身の幼なじみ。
 この農家での夕闇のシーンは、何度観ても息を飲む様な美しいシーンになっている。ここの黄昏のアンニュイな魅力が、本作の幻の様な謎と共鳴する映画のコアと思われるのだけれど、『劇場版』はその昼と夜のあわいの様なマジックアワー的な物語に、ある種の決着を付けているために、想像力のみで構成されたNHK放映版の深みに迫れていない様な気がしてしまう。

 NHK放映版の後に残る圧倒的な余韻に僕は軍配を上げます。

 イ・チャンドン、まだこの一本しか見ていないため、後の作品を辿るのがとても楽しみです。

◆関連リンク ・当ブログ記事 感想 イ・チャンドン監督『バーニング』NHK放映版

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2020.06.01

■感想 園子温監督『自殺サークル』


園子温監督『自殺サークル』予告篇
 WOWOW録画見。観てなかった様な気がしていたのだけれど、2回目の鑑賞でしたw。
 
 最近、少し迷走している感のある園作品、2002年に制作された、この作品はそうした要素も過剰にはらみながら、でもインパクトのあるシークェンスが素晴らしく、全体的には見せる作品になっている。

 特に冒頭の新宿の54人と、大阪100人。そして学校の屋上シーン。
 強烈なインパクトを持つ、映画的シーンだと思う。この発想から始まった映画なのだと思うけれど、ここの強度は素晴らしい。まさに世界のどこにでもある、生と紙一重の死。

 永井豪「ススムちゃん 大ショック」を思い出す、母親が大根と一緒に指を切っていくシーン。
 そして子供の声で語られる「あなたとあなたの関係は?」という園の詩的言語。
 「あなたと、あなたの奥さんの関係 、わかります。あなたと、あなたのお子さんの関係、わかります。では、あなたと、あなたの関係は?」「いま、あなたが死んで、あなたと、あなたの奥さんの関係、残ります。いま、あなたが死んで、あなたと、あなたのお子さんの関係、残ります。いま、あなたが死んで、あなたと、あなたの関係はどうなりますか?あなたは、あなたの関係者ですか?」

 このあたり、川又千秋の言語SF『幻詩狩り』を思い出す様な、詩による死が描かれている。映像的表現と言語のセッションは園独特の映画空間を作り出している。

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 人の皮を巻いた、機械な束。
 ボーリング場のイカれた「鈴木宗男」は何を描きたかったのか。
 DESERTってアイドルグループは何?
 この辺りの暴走度合いは首を傾げる部分があるけれど、先に書いた印象的なシーンたちの前で、それらもある種の効果/独特の園映画の要因として機能している。

 予算も少なそうで、画面構築は映画として甘いシーンも多いのだけれど、わい雑さが魅力的な一本。

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