映画・テレビ

2017.05.22

■感想 ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督 テッド・チャン原作『メッセージ』


Go Behind the Scenes of Arrival (2016) - YouTube
  ↑メイキング(ネタバレ注意)。

 ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『メッセージ』@ 各務原イオンシネマ。
 前半、本当に丁寧にファーストコンタクトを、とても地味に言語中心で描いてありどっぷりSF。『正解するカド』以前にこれだけじっくり異界とのコミュニケーションを描いた映像作品があったんですねw。(『正解するカド』スタッフは『メッセージ』を企画時点で観ているのだろうか? コミュニケーションの段取りは随分違うけど、丁寧さではあい並ぶかと)

 そしてクライマックスは、きっちり原作の素晴らしさを映画らしい盛り上げで見せる。このテーマなら、もっと前半もエンタメに振って、ファーストコンタクトを少し端折る手もあったろうに、と (SFファンでない映画ファンにも受けるようにするには、前半のコミュニケーション取る場面は冗長だったのではないかと心配)。

 個人的には言語コミュニケーションが「サビア=ウォーフの仮説」によってるが、異質な言語体系の割に地球上の他文化言語の解読的に見えて、もっと言語の原初的な成り立ちの違いが映像含め描かれていたら、大先端SF傑作になったかもと、妄想したりして、、。これは14年前にテッド・チャンの原作読んだ時も感じたことですけど。




◆◆◆◆◆◆ネタバレ感想(以下、未見の方はご注意ください)

 映画の冒頭は偏在する時間の、娘の生から死をみせてる、その後、映画の物語時間軸がスタートし異星人が来る。映画の編集により、時間の偏在を観客に体感させる手法は見事という他はない。映画という形態で見事に異星人の時間認識を観客に提示できてる。

 映画を観た後に、テッド・チャン「あなたの人生の物語」を再読。娘との人生の部分は小説においては、小説のメインの時間軸の物語と交互に、未来系の文体で統一された表紙やとして描かれている。ここは映画のインサートの手法の方が効果的になっている部分と思う。

 映画と小説をさらに比較する。
 もちろんメインプロットは同一であるが、映画に対してはそこで省略されているヘプタポッドの世界認識のメカニズムを「フェルマーの(最小時間の)原理」で描く部分が、ある意味、映画の補完的作品となっていることがわかる。

 映画のクライマックスで畳み掛けるように描かれるヘプタポッドの「同時的認識様式」について小説は「フェルマーの原理」『三世の書』とかを用いて丁寧に描き出している。このあたりは映像より文字表現が優れている部分かもしれない。

 あと原作との差をポイントで挙げると以下である。
・映画冒頭で印象的に描かれた異星船の来訪というイベントへの人々の反応が小説にはない。
・小説では異星船は軌道上、コンタクトは各船から数台展開された、「ルッキンググラス」という異星人の装置で行われる。よって異星船へ乗り込んでいく映画的にポイントとなる重力の転換とか面白いシーンがない。またヘプタポッドと白い遮蔽物を挟んでの対峙シーンもない。
・ヘプタポッドの円形の文字は映画の秀逸な創作。原作ではこの描写はない。
・各国の思惑(主に中国のシャン上将)により、世界が一触触発の状況になるエピソードは原作には全くない。よって印象的な主人公によるシャン上将の妻の発言を聞き込み、シャン上将に攻撃を思いとどまらせるシーンがない。ここは現在の世界情勢を踏まえて映画が創作した、映画としてのクライマックス、人のコミュニケーションの問題/それとの異星人の世界認識の対比を見事に描き出したシーンと言える。

◆関連リンク
 以下、映画パンフ等を参考にしつつ、『メッセージ』をより楽しむための情報リンクです。
ハリウッド・映画・西洋──映画『メッセージ』が明らかにする3つの限界:池田純一レヴュー|WIRED.jp

"ヘプタポッド語の仕組みを理解するうえで重要な原理が原作では示されていて、それは「フェルマーの(最小時間の)原理」と呼ばれるものなのだが、残念ながら映画では省略されている。"

SF作家ケン・リュウが語る、テッド・チャン、テクノロジーを描くこと、異文化をつなぐSFの力|WIRED.jp

"映画『メッセージ』はよくできた作品だけど、同時に原作のいくつかの側面を削ぎ落としてしまっているとも思う。原作『あなたの人生の物語』のポイントは、決して言語と時間の関係に着目していることだけではないんだ。それはもっと深く、重要なテーマを描くためのトリックにすぎない。原作で描かれているのはなによりも、子どもを失う親の無力さを受け止めること──子どもと出会い、彼女がひとりの人間として成長し、そのあとに悲劇が待っていることがわかっているとしても、その子を愛するということだ。こうした複雑な、感情に訴える心理状態を描くことは、映像よりもテキストのほうが向いていると思う。"

【ネタバレ注意!!】映画『メッセージ』は原作小説の「感動」を伝え切れていない:『WIRED』US版の考察|WIRED.jp

"映画では確かに、ルイーズが「逐次的認識様式」から「同時的認識様式」へ移行していく様子がうまく表現されていました。原作ではその認識様式が変わっていくにあたって、あるひらめきが訪れた瞬間はありませんでしたから。"

町山智浩 映画「メッセージ message (原題:Arrival) 」 たまむすび - YouTube
 ジョージ・ロイ・ヒル監督 カート・ヴォネガット・Jr.『スロータハウス5』が描いた時間の偏在と似ている、という指摘。ただしテッド・チャンはヴォネガットでなく、俳優ポール・リンクの一人芝居「Time Files When You're Alive」に影響を受けたと語っているとのこと(これは映画パンフでも町山氏が書いている)。
TIME FLIES WHEN YOU'RE ALIVE - Clip - YouTube
 そのポール・リンク一人芝居の映画、予告篇。

映画『メッセージ』ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督にインタビュー:「何らかの地球外生命体はいると思う」|ギズモード・ジャパン.

"あえて言うのであれば、フランスの漫画家メビウスに影響は受けていると思います。先日リサーチをしていて気づいたのですが、自分がもともと大好きなノルウェーの画家であるオッド・ネルドルムの絵に描かれている暗い雲が『メッセージ』の宇宙船と同じ形をしていたので、もしかすると彼の絵のことも無意識のうちに参考にしていたのかもしれません。"

9e7852636ca5ab3ed900be2771516782

odd nerdrum black cloud - Google 画像検索
 オッド・ネルドルムの黒い雲の絵は、リンク先でいくつか見られますが、特にこの絵でしょうか。
 オッド・ネルドルム、よく知りませんでしたが、相当に不可思議な絵を描く方ですね。こちらも興味深い。

Max Richter - On the Nature of Daylight - YouTube
 冒頭とラストで流れるマックス・リヒター「オン・ザ・ネイチャー・デイライト」
marteena ivanov speedway - Google 画像検索
 パンフに記載されていたヴィルヌーヴとプロダクションデザインのヴァーメット、撮影のヤングが宇宙船内の表紙やで参考にしたという、スカンジナビアの写真家マルティーナ・イワノフの写真集『SPEEDWAY』の画像。陰鬱な冬のスカンジナビア半島の空が映画のキービジュアルに影響を与えたことがわかる。
Color-shape model of 15 Eunomia during one revolution in steps... - Figure 1 of 1
・異星船のモデルにしたという小惑星 エウノミアの形状はリンク先の画像参照。

| | コメント (0)

2017.05.15

■動画 デイヴィッド・リンチ監督『ツイン・ピークス』第3シーズン予告篇 Twin Peaks Teaser


Twin Peaks | Some Familiar Faces 25 Years Later | SHOWTIME Series (2017) - YouTube.

"TWIN PEAKS, the 18-hour limited event series will debut with a two-hour premiere on Sunday, May 21 at 9PM ET/PT.

Subscribe to the Twin Peaks YouTube channel: http://goo.gl/ANCq6b

Don’t have SHOWTIME? Order now: http://s.sho.com/1HbTNpQ

Get Official Twin Peaks merchandise now: http://goo.gl/YUVXOY "

 いよいよ来週5/21(日)21:00アメリカで公開される『ツイン・ピークス』第3シーズン、新しい予告篇が公開された。あの登場人物たちの25年後の姿がまず感慨深い。
 5/21のシーズン3公開、まずは2時間のプレミア版。リンチ監督作としては06年の『インランド・エンパイア』からなんと11年ぶりの新作である!!

18157561_1789187174744202_686551626 ピーカーにとっては、待ち遠しい日本での公開であるが、WOWOWによると7月に独占放送開始と言われている。右の画像がWOWOWのプログラムガイドで公表されてる内容。少なくとも"放送"としてはWOWOWの独占とのことである。うちはここ3年ほどWOWOWユーザーなので、もう待ちきれないくらい楽しみ。

 hulu、Amazonプライム等、ネットビデオでどこまで公開されるかは不明。特に楽天SHOWTIMEが本国のSHOWTIMEととどうつながっているかよく分からないので、そのあたりファンとしては気をもむことになりそう。

David Lynch Is Done With Film, Says ‘Inland Empire’ Was His Last Movie | IndieWire

 リンチは自分のクリエイティビティからはブロックバスターの映画は合わない、として『インランド・エンパイア』を最後の映画と言っている様です。『ツイン・ピークス』の18本がますます貴重ですね。

 映画は『インランド・エンパイア』が最後として、TVシリーズでの監督は辞めるわけではないので、『ツイン・ピークス』のさらなる続篇と、かつてTVシリーズとして企画されその後映画に変更された『マルホランド・ドライブ』を、再度TVシリーズとして制作されることをファンとしては望みたい。

 いずれにしてもそれら含め『ツイン・ピークス』第3シーズンのヒットが前提となるはずなので、是非とも評判になって欲しい。

| | コメント (0)

2017.05.08

■感想 ジャコ・ヴァン・ドルマル監督『神様メール』: Le tout nouveau testament

Official Trailer 1 (2016) - Pili Groyne Movie - YouTube

 

ジャコ・ヴァン・ドルマル監督『神様メール』: Le tout nouveau testament 、映画の神様ものとしてとても秀逸。エドモンド・ハミルトン『フェッセンデンの宇宙』変形版と観ることもできる、中年親父が作った俗物宇宙。

 神様からのメールが巻き起こす地上の騒動から、マーフィーの法則が神に作られたものだったりとか、使徒の個々のエピソードまで、短篇SFを積み上げた様な心地よい映画。

 冒頭のブリュッセルの町を神が作るところ。
 ゴリラとカトリーヌ・ドゥヌーブの恋。中に浮かぶ光る魚。飛び降りる男。死の時間が見えているとこんなこともあんなこともできるのか、という空想が楽しい。

 何よりも好きになったのがクライマックスの、神の妻が世界へ及ぼす影響。空に描かれる刺繍の素晴らしさがこの映画の真髄かもしれない。

| | コメント (0)

2017.04.26

■感想 デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督『イット・フォローズ』It Follows.


It Follows Official Trailer 1 (2015) - Horror Movie HD - YouTube

 デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督『イット・フォローズ』録画見。

 いい評判をあちこちで聞くホラー、初見。
 予算よりも知恵を使った、スリリングな佳作。2億円程度の制作費で、20億円の興収というのは素晴らしい。
 カーペンター監督の『ハロウィン』や中田秀夫監督の『リング』を思い出させる。特に郊外にフッと異界が現れるところで『ハロウィン』を、そしてあるルールで恐怖が伝播していくところで『リング』を思い出す。

 秀逸なのが「イット」の存在感。自主映画でも出来そうなアイデア勝負の描写がなかなか素晴らしい。あるシーンで主人公が車の中から自宅にいるそれを見るシーンが秀逸w。あれだけは現れて欲しくないっていうかw。

 ヒタヒタと迫り来る恐怖を体感したい方に、お薦めの一本。  アメリカのwikiでは、続篇(プリクエル)の可能性も触れられており、僕は是非観てみたいです。

"It Follows"(Wikipedia) Google 翻訳

"可能性のある続編
この映画の成功に続いて、Radius-TWCの共同議長であるTom Quinnは、スタジオが可能性のある続編を探していると発表しました。 QuinnはMaika MonroeのJayや "it"の起源を見つけるために連鎖を下っている別の主人公とともに、最初の映画のコンセプトを反転させる考えを表明している。 [38] 

| | コメント (0)

2017.04.17

■感想 ルパート・サンダース監督『ゴースト・イン・ザ・シェル : Ghost in the Shell』


Ghost in the Shell - SUPERCUT - all trailers & clips (2017) Scarlett Johansson - YouTube
 ルパート・サンダース監督『ゴースト・イン・ザ・シェル』IMAX3D 吹替版を109シネマズ名古屋、最前列中央で堪能。
 吹替版が素晴らしい。まるで素子とバトーとトグサが義体を変えて、IMAXスクリーンに登場したみたいな錯覚。
 予告篇からある程度は予想していたけれど、これほど押井守愛に満ちた映画とは想像してませんでした。まさに『ゴースト・イン・ザ・シェル』リメイク。ガジェットやエピソードに宿る押井守。
 前半の街の映像とかは士郎正宗リスペクト。漫画チックな立体デジタルサイネージが士郎チックな雰囲気を醸し出している。
 そしてクライマックスの情動は神山健治SEC 2ndの魂が宿っている。空を、巡行ミサイルが飛び交っていたらもっとジンとくるけど…(^^)。

 押井ファン、アニメ攻殻機動隊ファンには、リスペクトに満ちた素晴らしい映画であるが、残念ながら一般映画ファンに対してはいささか満足できない部分があるのでないか。

 押井ファン、攻殻ファンとしても欲を言わせてもらうと、もう少し策謀部分を緻密に作り込んで欲しかった。カッター社長がなぜあんな危険を冒してまで自らの手を汚しているか。久世の目的も復讐だけなのか。
 もっと裏の策謀が描かれ、9課が追う理由と緊迫感があったら、映画はさらに素晴らしいものになっていたのではないか。

 最後にジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督『キングコング : 髑髏島の巨神』に続く、プライムフォーカスによる2D-3D変換について。
 特に素晴らしかったのは、スカーレット・ヨハンソンのアップの3D質感。最高の少佐が描かれたと押井監督も評価したというスカーレット・ヨハンソン。アップのシーンの眼とか顔の輪郭が迫真の少佐像を構築していて、僕もとても魅かれました。

 プライムフォーカスの3D変換は、『キングコング』よりは立体視を意識したシーンが少なく、若干残念感もぬぐえませんが、ラストの水の描写等、3Dらしい良いシーンもあり、鮮明なIMAX 3Dには感嘆しきりでした。吹替3D IMAX、4/20までの限定公開らしいがお薦めです。



★★★★★★ 以下、ネタバレ注意 ★★★★★★

 押井愛を感じるシーンは、バトーによるバセットハウンド犬 ガブリエルへの給餌シーン。
 そして香港のスラム街の上空を飛ぶ有翼機。ガラスを割って銃を構え、テロの現場に飛び込む少佐。そうしたどこかI.G作品で観たシーンが、実写3Dで大画面に描かれるとファンとしては、涙が出そうになりますw。

◆関連リンク
109シネマズ名古屋 上映スケジュール | 109CINEMAS
 ゴースト・イン・ザ・シェル[IMAX3D・吹替] 4/14(木)〜4/20(木)のみの上映


Ghost in the Shell - Bloopers


『ゴースト・イン・ザ・シェル』 | 押井守 特別映像 - YouTube

魂が入ったアニメーション――押井守が語った実写「攻殻機動隊」の不思議な感覚と素子に残る“引っ掛かり” - ねとらぼ.

"押井 ラッシュを見たとき、ヨーロッパ風の格調高い映像で「なかなかいいな」と。
 その後試写に入ったらメガネ渡されたんで、どうなっちゃうのかなって。正直、最初の10分くらいは、違和感の塊だった。当たり前だけど、立体になると空気感とか消し飛んじゃうから。多分、立体視で見るのか、2Dで見るのか、IMAXで見るのかで随分印象が変わると思う。僕は興味があるので全部試してみるつもりだけど。  立体に関して言えば、引き(の絵)は完璧にアニメーションにしか見えなかった。(キャラクターに)寄っていくと、シームレスに実写になっていく。実写って言い方は正しくないな。魂が入ったアニメーション。とても不思議な体験だった。

押井 普通、3DCGのキャラクターって、リアルになればなるほど、いわゆる不気味の谷で気持ち悪くなって、僕は“死人が踊っている”といったりもしたけど、ある種不気味さが出てくる。ところが、(ゴースト・イン・ザ・シェルは)役者が演じているから、セットアップに切り替わっていくと、今までCGにしか見えなかったキャラクターにフワッと魂が入ってくる。確かにここにいる人間には“魂”が、攻殻の世界で言えば“ゴースト”を感じる。それは今まであまり見たことがないから、とても不思議な気がした。

 よくできた3DCGのアニメーションは幾つもあるわけだけど、それにはもちろん魂を感じたことはない。どこまでリアルになっても記号でしかないから。実写映画というのは逆に言えば、キャラクターだけじゃなく“空気”にも魂が漂っている。恐らく、(『ゴースト・イン・ザ・シェル』は)結果としてそうなったんじゃないかと思うけど。

―― 結果として?

押井 ああいう表現になることを想像して、それを目指して作ったとは思えない。映像を作り込んでいった結果、そういう表現が出現してしまった。アニメーションにはよくあることなんだけど、表現って意地になって徹底して作り込んでいくと、画面にとんでもなく予想外のもの――“怪物”とも呼ばれることがあるけど――が立ち現れてくる。

 実写というのは良くも悪くも、ある種のフィルターが掛かるので、表現が突出することは普通はない。CGや合成を使って作り込んでいけば行くほど、ある種別なものが映っちゃう瞬間がある。僕も何度か経験したことがある。モノだと思っていたものに魂が入っちゃったり、逆に魂のあるものが無機物になっちゃったり。その瞬間に立ち会ったような気がした。"

 とても興味深いので、長文引用させて頂きました。まだ全体は長いので興味が湧いた方は是非リンク先へ。
 立体視映画でこそ、空気が映像に映り込む、と思っている僕は異論もありますが、何か不思議な雰囲気が宿った映画であるのは、僕も感じました。その正体が何かはまだよくわかりません。

 

| | コメント (0)

2017.04.10

■情報 ジョン・ニューエン監督 ドキュメンタリー『デイヴィッド・リンチ : ジ・アート・ライフ David Lynch: The Art Life』


David Lynch: The Art Life Documentary - Trailer - YouTube

David Lynch: The Art Life - Movie Trailers - iTunes

 アメリカでは3/31に公開されたJon Nguyen監督のドキュメンタリー。
 以前から情報のあったドキュメンタリー、いよいよアメリカでは公開されたようです。Appleの予告篇サイトに動画が公開されています。

 ドキュメンタリーということで、日本での公開は望み薄な気がしますが『ツイン・ピークス』新シリーズがヒットしたら、WOWOWで放映される可能性もあるでしょうか。

 近年、映画よりアート方面での活躍が目立ったリンチですが、絵画の制作過程が記録されているこの映画で、リンチが映画から絵画に傾倒している理由等も聴けるかもしれません。

 僕は以前東京や京都で見たリンチの絵画の制作過程が映像として見られるだけでも楽しみでなりません。
 (以下の関連記事に絵画展のリンクを貼りましたのでご興味のある方はご覧ください)

◆関連リンク
・当ブログ記事
 ■感想1 個展『デヴィッド・リンチ展 ~暴力と静寂に棲むカオス』(DAVID LYNCH "CHAOS THEORY OF VIOLENCE AND SILENCE")
 ■作品集『デヴィッド・リンチ展 ~暴力と静寂に棲むカオス』

 ■感想1 デヴィッド・リンチ「DARKENED ROOM」展@コムデギャルソン大阪 Six
 ■感想2 映画 「デヴィッド・リンチ「DARKENED ROOM」展@コムデギャルソン大阪 Six
 ■感想3 絵画 デヴィッド・リンチ「DARKENED ROOM」展@コムデギャルソン大阪 Six

 ■情報 デイヴィッド・リンチ展@渋谷ヒカリエ8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery
 ■デイヴィッド・リンチの展覧会 コムデギャルソンアートスペースSixで開催!!

| | コメント (0)

2017.04.03

■感想  ジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督『キングコング : 髑髏島の巨神』Kong: Skull Island (2017)


Go Behind the Scenes of Kong: Skull Island (2017) - YouTube

 IMAX名古屋3D字幕版 最前列中央(E9)観。やはりこういう映画はこの席に限ります。視界全面に巨神と奇怪な無毛の獣 スカル・クローラーの格闘戦を超臨場感で体感w。

 冒頭からこの映画、迫力の映像が続きます。物語ではなく、まさに映像で映画だけが観せられる娯楽。カット割も画角も3D演出も、全てが怪獣映像をシャープに、そしてダイナミックにスクリーンに展開させることに集中しています。まさに映像の快感に身を委ねるタイプの、気持ちの良い映画。

 例えば、ヘリのVOD的ドキュメンタリータッチの描写。
 初の戦闘シーンで視点を一人称に据えて、観客を戦場に連れて行く手腕が見事。

 そしてその効果を高める立体映像。本映画の3Dは、Prime Focus Worldによる2D-3D変換。バンクーバとインドのスタジオがクレジットされていたけれど、土着島民の村とかヘリコプターとか、もちろんコングとか、3D効果が見事。

 若干32歳のジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督、この映像による快感に満ちた映画は、彼の血となり肉となった日本のサブカルチャーの影響がそこかしこにうかがえる。我々日本の観客に響くこの怪獣映画は、まさに映像の快感に淫するような映画の直系の魅力に満ちている(^^)。


★★★★★★★ 以下、ネタバレ含みます。注意 ★★★★★★★






 怪獣映画を彩る周囲のディーテイルも凝っている。
 例えば島の住民の民俗学的な描写も興味深い。言葉によるコミュニケーションをとらない民。顔や体の図形的な文様によるコミュニケーション、こういうところも映画としての奥行きに貢献している。
 
 そして地球地下大空洞から現れる怪獣群(というかクトゥルー?)。
 怪獣をそうした由来のものに設定することで、地上の怪獣+人類 v.s. 地底世界という対立構造をこの怪獣ユニヴァースシリーズの骨格に据えようとしているのかもしれない。キングギドラが宇宙大怪獣でなくなるのは残念なんだけれどな〜。それと日本の怪獣は、本作の生物が奇形したようなものだけでなく、宇宙人とかメカ的なものが由来になって、そしてシュルレアリスムがそこをメタモルフォーゼさせる、というのがDNAに書き込まれているので、だんだん怪獣から離れ、生物的なものになっていってしまうのが心配である。


 映画のクライマックスを形作るための、サミュエル・ジャクソン大佐による暴走。物語的には無理しすぎな展開でいまいちだけれども、物語のクライマックスをあの様に描くために必要だったのと、もちろんあとは1973年に時代設定した『地獄の黙示録』へのリスペクトがあるのであろう。

 ただ、ベトナムで大佐が新たな任務に目が輝く描写とか上手かったから、あのまま狂気の描写を畳みかける様にキリキリと描いてくれてたら、物語も迫真となっていたかもしれなくて残念。

 コングが人間に親近感を持ち、自然の脅威というよりは人の守り神である、という描写。これはレジェンダリーゴジラにもかすかにあった設定で、どこか怪獣の異質感を阻害しています。ハリウッドのマーベルユニバースに続くエンタテインメントシリーズとしては致し方ないかもしれないですが、やはりここは、圧倒的に『シン・ゴジラ』が鋭利な怪獣映画としての玉座にあると言わざるを得ません。

◆関連リンク
3D3D3D -ステレオ3D情報ブログ- : 「キングコング 髑髏島の巨神」 3D初見レビュー
「キングコング」監督が樋口真嗣とオタトーク、宮崎駿やエヴァの影響も - 映画ナタリー

"樋口はMIYAVIの演じた役名“グンペイ・イカリ”に反応し、「なぜ“グンペイ”を知ってるんですか!?」とぶつける。質問に対してヴォート=ロバーツは「そこを指摘されたのは初めて! この映画には僕のオタク的要素をふんだんに盛り込んでいるんです」と声を弾ませ、ゲームクリエイターの横井軍平、そして「新世紀エヴァンゲリオン」の碇シンジから取った名前であることを告白。"

 最近のハリウッドの中国寄りの配役から、イカリ・グンペイ役って中国人かと思ったら、MIYAVI (Wikipedia)って日本人なのですね。失礼しました。
体感型アトラクションシアター4DX(R)『キングコング:髑髏島の巨神』世界的大ヒット・レポート

"『キング・コング:髑髏島の巨神』で初めて【熱風】を体験しましたが、特に、爆発シーンでは素晴らしい効果を発揮してくれました。わずかな瞬間にも、首の周りに暖かい空気を感じとることができ、映画の登場人物と一緒にいるかのような錯覚を起こしたくらい"

| | コメント (0)

2017.03.29

■感想 庵野秀明総監督『シン・ゴジラ Blu-ray特別版』映像特典 プリヴィズリール他


シン・ゴジラ Blu-ray特別版 映像特典 「プリヴィズリール集」より - YouTube

"3.22 Blu-ray&DVD
Blu-ray特別版 全映像特典尺332分
http://www.shin-godzilla.jp"

 続いて『シン・ゴジラ』ブルーレイ特典ディスク2でプリヴィズ映像を堪能。
 『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』で書かれていた絵コンテとプリヴィズとVFX、実写の完成映像との関係がとてもよくわかる。

 『シン・ゴジラ』はアニメ映画監督である庵野秀明がアニメでの経験を活かして、実写映画に新風を巻き起こした映画と考えることができる。
 しかしその手法はアニメでの絵コンテ中心、レイアウトシステムによる画面設計をプリプロダクションでグイグイと進めていく方法とは別であったというのが、このプリヴィズを観た僕の感想。

 結局、どうやらアニメと異なり絵コンテ/レイアウト画はほとんど緻密に描かれることなく、VFXシーンはプリヴィズ映像でのCGとしての作り込み、そして実写シーンはマルチアングルの多数カメラ撮影によるシステムで、画面レイアウトを緻密に作り上げていったものだということがわかる。

 VFXシーンはプリヴィズ映像としてヴァーチャルカメラ等で様々なアングルのシーンを確認した上で画面レイアウトが決められているようだ。そして実写はiPhone等含め現場でいろいろなアングルで撮られたシーンから最適なものを完成映像に選んでいる、ということがよくわかった。『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』と合わせて見ると、おそらくこの結論で良いのではないかと、、、。

 要するにアニメーションでの経験により鍛え上げられた庵野総監督、樋口監督、摩砂雪はじめとするカラースタッフによる画面作りのセンスが、上記のVFXと実写シーンで遺憾なく発揮された結果が、実写映画としての新しい可能性を切り開いた、といえそうである。

 主にVFXシーンで作られたプリヴィズ映像と完成映像の両方を並べて比較できるシーンがいくつも入っていたが、ほぼ画角、レイアウト等、プリヴィズ通りに完成品は作られていた。手間のかかるVFXシーンが準備段階で作り込まれていたことがよくわかった。

 特典で残念だったのは、CG,特撮ともに未使用シーンが多数映像が収録されているのに、アニマトロニクス/サイボットゴジラの映像が1カットも入っていないこと。

 今後の特撮とCGの行方を知るのに、是非観てみたかったので残念。もしかして門外不出なのだろうか。(ネット検索するとごく一部の一般ファン向にもあるイベントで上映されたことがあるようだけれど、、、)

| | コメント (0)

2017.03.27

■感想 庵野秀明総監督『シン・ゴジラ Blu-ray特別版』本篇2D−3D変換試聴

17265211_1766268953702691_592474465

 『シン・ゴジラ』、待望のブルーレイが出たので、その感想です。

◆本篇の3D視聴
 まずブルーレイの発売で、個人的に楽しみにしていたのが本篇の3D視聴。
 これはもちろん『シン・ゴジラ』に3D版はないため、AV機器の2D−3D変換を使って試聴するしかない。ブルーレイプレイヤーや液晶テレビにそうした機能を持つものもあるが、うちの場合は DLPプロジェクタ 三菱LVP-HC7800 の変換機能を使った。

 もともと3D映画が大好きなので、『シン・ゴジラ』がCGをVFXとして多用しながら (3Dデータはディジタルデータとしてあるにもかかわらずw)、3D立体視版が制作されなかったことをとても残念に思っていた。
 なので、2D−3D変換による擬似的な立体視映画として楽しむことができるブルーレイの発売を、首を長くして待っていたというわけ。

 発売週の週末、さっそく3D映画としての『シン・ゴジラ』初体験をしてみました。
 このプロジェクタの3D変換はなかなかのもので、特に人間の顔とかひと続きの球体的な立体物については、見事な立体像を見せてくれる。

 で、『シン・ゴジラ』3D、なかなかの立体感が得られてました。
 ひと続きの立体物として認識される、大きな塊としてのゴジラは中でもかなり素晴らしい立体表現を獲得。特に第2-3形態の進化シーンとタバ作戦のゴジラが白眉。

 その中でもタバ作戦後のゴジラを下からなめるシーン(予告篇で使われていたシーン)の立体感は、表皮の隆起と巨大感を増幅していて見所でした。竹谷さんの造形物は、展示等でまだ見たことないのですが、おそらくそれを観たときの立体感に少し近い迫力を感じることができたのではないかと(^^)。

 にしてもこれだけの造形物を基にして作られた『シン・ゴジラ』、立体映画になっていないのはとても残念。3D-CGデータとして立体データは存在しているわけだし、実写シーンも最近のハリウッドの3D変換技術(かなりまだ手作業による人海戦術のようだけど)を使えば、立体視は可能なはずで、是非とも今後、実現してほしいものです。

 将来的には、AI技術によるディープラーニングで、こうした作業は全自動化が可能なはずで、もっと手軽で精度の良い3D変換が劇場で、そしてCPUパワーの発展で家庭の機器で、実現する日が来るのではなかろうか。

◆関連リンク
三菱、高画質3D DLPプロジェクタ「LVP-HC7800D」 - AV Watch

" また、2D映像を3D映像にリアルタイム変換する機能も搭載。動きベクトル解析技術を用いて、人物と背景の位置を識別。適度な視差を加えて、3D映像にしている。効果は10段階でユーザーが選択でき、「古い映画では弱め、最近の映画では中くらい、アニメでは効果を強めにかけるとマッチする」という。"

| | コメント (0)

2017.02.24

■感想 佐藤信介監督『アイアムアヒーロー』


「アイアムアヒーロー」予告 - YouTube

 佐藤信介監督『アイアムアヒーロー』録画初見。
 先日の『サバイバルファミリー』に続き、世界(というか日本)終末もの。予算は矢口作に比べて、ヒトケタくらい上な感じ。ZQN(ゾキュンと名付けられたゾンビ)のメイキャップや街の崩壊ぶりのスケールが大きい。

 そして、ゾンビ物として出色は、特に冒頭の主人公の恋人の描写とそれに続く街の描写。アパートのドアから主人公の覗く部屋の光景、造形、動きともに素晴しい。
 その後の車が絡むアクションシーンと、藤原カクセイ氏の特殊メイク・特殊造形の完成度の高さで、迫力の映像となっている。まさに海外に並ぶゾンビ映画の誕生である。

 クライマックスはライフルによる大殺戮。いろいろと工夫され見せ場も多く堪能できるが、人体崩壊描写を観るのが得意でない僕はもう満腹を通り越した状態にw。

 というわけで、ゾンビ映画としての完成度の高さはよくわかったのですが、趣味の問題で、僕は『サバイバルファミリー』派です(^^;)。
 でも『アイアムアヒーロー』の続篇、激しく観たいです。

◆関連リンク
アイアムアヒーロー - Wikipedia
『 アイアムアヒーロー 豪華版 [Blu-ray] 』

"ドキュメント「アイアムアヒーロー」
   佐藤監督はじめ、制作スタッフの撮り下ろしインタビューを収録した
   スペシャルメイキング映像!"

 このメイキング、観てみたいものです。

| | コメント (0)

より以前の記事一覧