映画・テレビ

2017.11.15

■感想 『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第16話


Eddie Vedder Out of Sand Twin Peaks - YouTube.

 第16話、凄かった〜。声を出して吃驚するシーンが最低でも3箇所はある!
 特に一番吃驚したシーンはこの楽曲の演奏中だった。

 いよいよ前作の続篇的な味わいが濃厚に現れ、そして物語の歯車がグルグルと強く回り始めた。
 ここまで引っ張って、溜めに溜めた水をイッキにダムを瓦解させるように放出して、視聴者の涙腺も瓦解させる。うーん、リンチとフロストの術中にハマりまくりの快感(^^)。





★★★★★★★ネタバレ、注意★★★★★★★★







◆エディ・ヴェダー「Out of Sand」
 まずは、冒頭の曲について。

パール・ジャムのエディ・ヴェダーが『ツイン・ピークス』新シリーズのために書いた新曲「Out of Sand」を最新ライヴで初披露 - amass.

"2017年に海外で放送されるドラマ『ツイン・ピークス』の新シリーズ。200名を超える出演キャストのひとりであるパール・ジャム(Pearl Jam)のエディ・ヴェダー(Eddie Vedder)が、同ドラマのために書いたと言われる新曲「Out of Sand」を最新ライヴで初披露。"

 この曲、曲想からはちょっとリンチっぽくない感じ。だけれど、ドラマのために作られた歌であるという。

Eddie Vedder – Out of Sand Lyrics | Genius Lyrics

"今は消えてしまった
私は誰ですか
私は誰だった?
私は再び来ることはありません"

 動画のエディ・ヴェター"Out of Sand"の歌詞、ラストのフレーズ。
 これは消えてしまったダギーと、本篇で消えていった悪ダイアンへの追悼歌の位置付けなのだろうか。そうやって聴くとグッとくる歌である。

ダイアンが打った座標

 「48551420117163956」は、ルース・ダメンポートの腕に書かれていた番号と一緒のように見えた。これはヘイスティングス校長秘書からレイが入手した数字と同じということになりそう。
 リチャードが爆発した岩の上の座標は、悪クーパーが入手したもう一つの座標で(ジェフリーズからか)、そちらは間違いではないかと疑った上で、まずリチャードで危険を承知で試させたということになる。ちなみにリチャードが爆散した後、悪クーパーは舌打ちしている。もう悪を極めた男だ。

◆クーパーの覚醒 !!

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 前回のゴードン・コールと電気ショックから昏睡状態となったダギー・クーパーが遂に覚醒した。
 そして覚醒後の、ツインピークスのテーマの使い方、クーパーが病院を去る時の言葉。「私がFBIだ ! 」もう最高です。

 あのメインテーマ曲が流れたら、もう駄目。クーパーが戻ってきたのと、ダギーが消えてしまったのと、両方の涙が涙腺を、、、。

 ここでのクーパーは、幼児化したダギーの中に意識としてずっと存在してジェリーEとサニー・ジムとの経験も知っていたという描写。
 ジェニーEとのカジノでの抱擁、こんなラブストーリーをツインピークスで見せてもらえるとは思わなかった! これも大きな驚きの一つ。
 ここでのナオミ・ワッツとサニー・ジム。とても素晴らしい役者さんです(^^)。

 やっとはじまったクーパーの物語。もっともっと観たいもの。
 次回、S1,2にあった「前回のツインピークスは...」というクーパーによる前回のあらすじ紹介が復活するかも注目w。僕はあれ、大好きなんですけどね(^^)。あれは吹き替え版だけのものかもしれないけれど、、、。

◆オードリーのバンバンバーへの登場 !

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 まさかのオードリーとチャーリーの登場。前回まででオードリーの昏睡状態の夢ではないかと書いたのだけれど、3回のチャーリーとの悪夢の様なやりとりで視聴者の想像のベクトルを昏睡状態ではないか、と方向付けておいてのこの驚愕。
 ひとりで大きな声を上げてしまったのは、まさにその場面。

 そして何とも凄絶なオードリーのダンス。
 あのシーンも、非現実感が漂っていた。50代のオードリーの決して優雅とは言えないあのダンスに、バーの若者たちが乗って体を揺すり続ける。そんなことが本当にあるのだろうか。

 最後にインサートされたオードリーの闘病中らしき姿。現実かと思わせてラストはやはり昏睡状態の暗示で終わるシーン。
 やはりバンバンバーは、現実と夢のひとつの結束点なのだろうか。

 なんだかツインピークスという町自体が夢のような存在として、だんだん足が透明になって幽霊化、現実から乖離してきている。
 リンチのテーマが『マルホランドドライブ』に顕著な様に、現実と幻想/夢の並立性であるとしたら、まさにこのオードリーとバンバンバーのシーンが、今作での象徴的な場面になっているのではないだろうか。

 物語としては、黒クーパーがリチャード・ホーンの父であるとわかり、ツインピークスで昏睡状態のオードリーに会っていたという以前出てきたエピソードと合わせて考えると、やはりリチャードは、昏睡状態のオードリーと黒クーパーの間で出来た子供だという推測が立つ。

 Googleで「昏睡状態 妊娠」で検索すると、昏睡状態での出産という現実の例もあるようで、その公算が大となってきたかと。まさに今回のリチャードへの仕打ち含め、酷いまさに悪魔のような男だ、黒クーパー。

ミッチャム兄弟とキャンディーズ

 ミッチャム兄弟とキャンディーズも素晴らしくいい味出している。
 まさかのダギー家前での大立ち回りを彼らの視点から見せる手際。惨劇が兄弟とキャンディーズにより、まるで夢の一シーンのように描写されてしまう絶妙の効果。

 かつて『ツインピークス』の後、WOWOWで放映された『オン・ジ・エア』というリンチとフロストによるコメディドラマがあったが、あの時、外しまくっていた(愛すべき)ギャグwがあったのも、この兄弟とキャンディーズを生み出すための実験だと思えば、あのギャグに耐えたw、われわれ観客も浮かばれようというものww。


One The Air - Episode 1 - YouTube.

 このドラマ、アルバートは素晴らしくいい味出してました。
 DVDは残念ながら日本では出ていないのです。

 ミッチャム兄弟、黄金のハートの持ち主!!


化身 ダイアンの消滅

 FBIの3人と対峙するダイアン。ダイアンの内部から悪がにじみ出て、それを抑え込もうとする真のダイアン? との相克。あのローラ・ダーンの演技、素晴らしい緊張感だった。

 ダギー→クーパーが髪の毛を抜いて片腕の男に渡していましたが、もしかして孫悟空みたいにあれで化身が出現するのだろうか? ダイアンもそうして、、、、タルパ:化身が生じるのだろうか。

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 そしてまさかのダイアンのブラックロッジへの転移。

 本物のダイアンは保安官事務所にいる、というダイアンの相克の苦悶の中からの言葉。これが本当だとすると、クーパーが示したように髪の毛から化身の種が作られるとしたら、ニセモノは同じDNAで顔が一緒だのはず、、、、。顔が違ってもいいなら、あの保安官事務所ではあの人しかいないだろう(にしても元々、本物を知っているゴードンとアルバートが、偽ダイアンは顔が違えば気づいていたはずなのに、、、)。
 まずはクーパーとの再会が見ものである。
 twitterでは、DIAN(E) と NAID(O)のアナグラムを指摘している人もいた。
 (おまけで、DIANE と (C)ANDIEというアナグラムも指摘されている。一体どうなっているんだろう??)

Muddy Magnolias - American Woman (Twin Peaks S03x1 and S03x16 Soundtrack) (David Lynch Remix) - YouTube
 ダイアンがゴードンとアルバートとタミーの待つホテルの部屋へ行くシーンでかかっていた曲、第1話で悪クーパーの登場シーンでかかっていたのと同じ曲。Muddy Magnolias "American Woman"のスローモーション版。リンチのアレンジが凄い。

Muddy Magnolias - American Woman (Audio) - YouTube
 その元曲はこれ。ある意味、歌のタルパ(化身)。 バッド・"アメリカンウーマン" 。


 来週はいよいよツインピークスに役者が集合か。ということはクーパー、RRダイナーへ? もうテレビの前にコーヒーとチェリーパイを用意して、クーパーと一緒のタイミングで食べるしかない(^^)。

◆関連リンク
ツイン・ピークス The Return 登場人物相関図
 毎週更新されていますので、最新回を見られていない方は、ネタバレ注意。

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感想『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 第2話
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2017.11.13

■感想 『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第15話


The Veils "Axolotl" in Twin Peaks 2017 - YouTube.

 第15話、今回はまずダギー〜〜! エド〜ノーマ〜!そして丸太おばさん〜〜!な回でした。 あと3話なんて信じたくない!(^^;)。

 ツインピークスまわりのいくつかの話が収束していく様子が描かれるとともに、各地での謎が、だんだんとツインピークスへ向かうことで解かれていく。

 映像の奇想と物語の結構がどうクライマックスに向けて動いていくのか、楽しみである。

 





★★★★★★★ネタバレ、注意★★★★★★★★






 今回はキャサリーン・コールソンに捧ぐでなく(それは第1話エンドクレジット)、丸太おばさんに捧げられている。本話ラストでのホークと丸太おばさんの電話でのやり取りは、とても胸に迫るものがある。キャサリーン・コールソンとリンチの長年の作品作りに対する付き合いを思って観ると、なんともこのシーン、空の映像や森の映像にもいろんな想いが籠っているような気がして、グッとくる。

 丸太おばさんに追悼の意を改めて捧げたい。黙祷。

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◆ダギーの覚醒
 まさかの『サンセット大通り』での「ゴードン・コール」という言葉による覚醒への一歩。そしてコンセントにフォーク!
 コーヒーとチェリーパイの同時食で覚醒かと思っていましたが、意外な展開。

 ゴードン・コールのシーンは、ビリー・ワイルダー監督『サンセット大通り』のこのリンク先のパートから。
 この『サンセット大通り』、リンチが好きな1950年の映画だけど、ハリウッドの裏側を描いた、モノクロ映画とはいえ、今見ても古びていないノワール。未見の方は是非ご覧ください。ちなみにリンチの自宅の玄関には、この『サンセット大通り』のポスターが飾られているらしい(右図がそれと同じものかは不明)。

◆コンビニエンスストア
 あの8話でウッズマンたちの溜まり場となっていたコンビニエンスストア、そのトマソンな階段が、こんな世界につながっていたとは。

 そしてジェフリーズに通じる謎のホテルと"Bosomy woman"とクレジットされている謎の二人の女/男?。Bosomyって調べると豊かな胸の女となってて、でも顔つきが男でまたもや謎の存在。

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 コンビニエンスストアのないはずの二階でウッズマンの一人がテレビ?の裏の電気スイッチ?をいじった際に、放電とともにインサートされたピエロのような赤い鼻の人物。この人はJAMPING MANとクレジットされているが、映画『ローラ・パーマー 最後の七日間』にも出てきたキャラクターに似ている。

 しかし変わり果てた姿のジェフリーズは、この者たちと一緒にいるということはブラック・ロッジ側ということなのだろうか。黒クーパーとも繋がっているようなので、そうなのかもしれない。しかしあの釣り鐘のような姿は、ホワイトロッジの巨人側のアイコンのようにも見えるため、ここも大きな謎である。

◆不思議なバンバンバーの女とダギーの同期

Twin Peaks Compared: Cooper and Ruby crawling - YouTube.

 バンバンバーのシートに座っていた女 ( WOWOWの字幕でルビーと表記 ) の不自然な膝まづく姿。このシーンと同じく膝まづいたダギーの姿を並行で比べて映した動画。ラストまで見てもらうとわかるが、ダギーが感電するのとルビーが叫ぶところが見事にシンクロしている。この同期を見つけた人は凄い。そして、仕掛けた方も。

 女優はクレジットからはシャーリン・イー。リンク先の説明では、あれ、少女と思ったら31歳。

 この同期が何を意味しているのかは謎であるが、どこかバンバンバーに漂う異世界感がその理由なのかとぼんやりと思ってしまう。

◆オードリーの迷宮

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 オードリーとチャーリーがなかなかバンバンバーへ外出できない。
 外出できないことから、ネットで噂されている様に、やはり前作からオードリーは昏睡状態のままで動かない身体に閉じ込められてることが、部屋から出られない悪夢になってるというイメージが感じられる。
 ただそうするとリチャードがどう生まれたかという謎が…。
 リチャード含めオードリーの夢というのは、あまりに安直だし(^^)、そうするとバンバンバーやいろいろも夢ということになってしまう。

 既にツインピークスの街は、そうした現実と幻想の淡いに落ちているということなのか、、、、オードリーを起点にして、現実と幻想の境がどんどん幻想側にとろけている印象で、今後の展開がスリリングである。

◆関連リンク
ツイン・ピークス The Return 登場人物相関図(twitter やすなおさん作成)
 日々更新されている相関図。カラーで画像も凝っていて、そしてとても見やすい素晴らしい出来です。
『ツイン・ピークス ファイナル・ドキュメント』
 マーク・フロストの本、12/22日本語版発売予定。本篇で謎になっている部分の設定もいろいろと書かれているようです。

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感想『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 第2話
感想『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 第1話

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2017.11.06

■感想 『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第14話


Lissie - Wild Wide West | Twin Peaks | Part 14 - YouTube.

 第14章全体もいろいろな進展があり、盛り上がって素晴らしかった。そして今回のエンディング曲 Lissie “Wild Wide West”もとても雰囲気が合っていて良かった。

 サウンドデザインでクレジットされてるリンチ、ロードハウスのエンディング曲のサウンドミキシングも担当してるんじゃないだろうか。正にリンチサウンドになっていて、低音の張りとか素晴らしい。やはりいつか劇場で全話爆音上映が観たいもの(^^)。

 正に怒涛の展開(とリンチの暴走w)。
 まず森のシーンが、素晴らしかった。ホークが先頭でラビットパレスから座標へ向かうシーン、コマ落としかスローモーションか分からないが、映像のスピードが遅くなったようで、森の重苦しいイメージが迫ってくる感じ。昼間なのに闇が迫ってくるようなあの雰囲気。そして行き着いた先には、、、。

 





★★★★★★★ネタバレ、注意★★★★★★★★



 まさかのNAIDOの登場。そしてアンディの転移と巨人との会話。アンディが消えた瞬間、思わず声を上げてしまった。なぜアンディなのか!?もしかしてチーズのみのサンドを食べたから(^^;)。

 てっきり今まで出てきたいくつかの座標は、全部ツインピークスの森につながっていて、大団円の舞台になるかと思っていたが、あっさり14話で登場。
 いったい登場人物たちが一堂に会する大団円はありえるのか。リンチなのでそうした予定調和はないのかもしれない。

 ジェームズとグレートノーザンの警備員をやってる、謎のイギリス人フレディ・シーケス。緑の右手袋が面白い着想。消防士(巨人)がツインピークスにTrueなメンバーを集めているのか!?
 緑の太い手からハルクを思い出した僕は、クライマックスでアベンジャーズ張りに、森でのブラックロッジ側との大決戦が展開されるシーンを夢想してしまった(^^;)。リンチではありえないww。

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 そしてリンチが好き放題夢で会いたい女優と会う企画 第一弾(^^)。モニカ・ベルッチ。このシーンで出てくるセリフがとても意味深なので以下引用。

[COLUMN] ツイン・ピークス The Return 観察日記(第13話) – | HERE I AM | AKIRA MIZUMOTO WWW

"モニカ・ベルッチ「わたしたちは夢のなかを生きているみたいなもの。まるで夢見人よ。夢を見て、それから夢の中で生きつづけるの(We are like the dreamer who dreams and then lives inside the dream)」
ゴードンが「理解した」と彼女に答えると、モニカはこう言葉を続けた───「でも、その夢を見ているのは誰?(But, Who is the dreamer?)」"

 これ、最近のリンチ映画のメインテーマと思えるのは僕だけだろうか。『マルホランドドライブ』に顕著なように、現実と夢の近似がリンチの描いているもので、それは想像するに老齢になったリンチが現実を振り返って、夢との差異がつきにくいという認識を持ち、その感覚をベースに映画という幻を撮っている事につながるような気がする。

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 特に今回、素晴らしい幻の映像となっていたのは、アンディのホワイトロッジ(?)のシーン。あの黒と白のトーン。光のイメージが幻想絵画のようだ。

 映画という幻と現実という夢。リンチ映画が不思議に溢れているのは、そんな夢を映像で描いているからじゃないかと、ぼんやりと思って今シーズンの今までの14話分を眺めていたので、今回のこのセリフがダイレクトに刺さった。はてさて我々はリンチの夢のどんなゴールに連れて行かれるのか。あと4本。

 いつもバンバンバーで最後に出てくる物語に直接絡んでいない女の子たちとか、さらにその会話で語られる人物、そしてチャーリーたちの会話に出るビリー、、、、。
 あの女の子たちはローラ・パーマー予備軍でいつか殺されそうだし、その他にも悪の香りが漂っているし、ツインピークスの奥深い闇の表現なのかもしれない。
 もしかするとこの後のクライマックスで一堂に彼らが悪の側として一斉に登場するのか、、、期待。

 そして最後に、セーラ・パーマー。
 前回から相当に不安定な心的描写がなされていたが、今回それはピークを迎え、禍々しいシーンがツインピークスの酒場に現出。
 まるで口裂け女のようなシーンに、あまりに大胆な描写に仰け反りつつも、セーラは、シーズン1,2でも狂気を垣間見せていたけれど、やはり異形の存在だったのかと納得。ある意味、リーランドよりも凄まじいかもしれない。
 ローラの悲劇がさらに深くなった瞬間なのかもしれない。

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2017.10.30

■感想 ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『ブレードランナー 2049』


Blade Runner 2049 Trailer #2 | Harrison Ford, Ana de Armas, Ryan Gosling, Jared Leto - YouTube.

 上記動画は予告篇ですが、かなりストーリーに踏み込んでいるので、視聴はご注意ください。

 ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『ブレードランナー 2049』IMAX 3Dで観てきた。
 白紙で観るのをお薦めしますので、まずはネタバレなしの感想ですが、未見の方は御注意を。



 『ブレードランナー』の正に正当な嫡子であり、ドゥニ・ヴィルヌーヴの正統SF映画である傑作、これが見終わったあとの感想である。

 見事に前作のテーマと物語の続篇として成立し、そして新たに追加されたヴィルヌーヴ印の新作映画としての、本格的なSFの香り。その香りは、前作のテーマを深化させて、レプリカントと名付けられたアンドロイドの進化と孤独を見事に描き出している。

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 SFとして、今回もちろんブレランのサイバーパンク的な継承は溢れている。しかし、この映画は、原作のフィリップ・K・ディックやサイバーパンクの代名詞であるウィリアム・ギブスンというよりは、ジェームス・ティプトリー・Jr的ではないか、というのが僕の感想。

 本作で凄く良かったのが中盤から後半で出てくるSFの大ネタ二つなのだけれど、それらがとてもジェームス・ティプトリー・Jr的だったのだ。

 もちろんティプトリーもサイバーパンクの文脈で語られることの多い作家だけど、『ブレラン』の1982年より遡る70年代の彼女のある傑作短篇を想い出させる秀逸なSFイメージが今作のある意味でのコアになっている。

 ディックに比べて映像化では作品数に恵まれていないティプトリーだけど、今作は彼女のSFイメージと作品のハート部分をうまく映像化している作品と捉えることもできるのではないかと。僕の思い込みかもしれないが、、、。

 ハート部分は、ジェンダーの問題と新たな地球上の知的存在(レプリカント)の存在をめぐる部分。ティプトリーが描いてきた宇宙の知的存在の有り様みたいなものがうまく今回の物語に表現されていると感じたのは僕だけだろうか(今のところ、twitterとかFacebookのキーワード検索で調べても引っかからないので、個人的な受け止め方かもw)。

 

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 ヴィルヌーヴは、『メッセージ』でテッド・チャンのSFを見事に映画化した監督ですが、おそらくティプトリーとかそうしたSFも読んでいるんじゃないかと思わせる、見事なSF小説のコアエッセンスを自作に取り込んでいる作家と言えるのではないだろうか。(今作の脚本は前作と同じハンプトン・ファンチャーマイケル・グリーン、『メッセージ』はエリック・ハイセラーということで、物語にどれだけヴィルヌーヴが入り込んでいるかは不明だけど、、、、w)

 あと映像としてリドリー・スコットの前作にリスペクトしながら、酸性雨の2019年の都市は、雪と乾いた砂漠の未来都市のイメージが映画として混入し、そうした映像感覚は、『複製された男』『メッセージ』にも通ずるヴィルヌーヴ風の映像。そして3D映画としての立体視を意識した映像レイアウトも素晴らしく正に堪能した。

 酸性雨にむせぶダウンタウンの映像は前作のモニタから、予告篇にある3D映像に変化し進化。加えて描かれる砂漠、海等の未来描写も素晴らしくアーティスティックに表現されていて、1シーン1シーンが見てて飽きない深みを持っている。

 特に前作で美しいシーンであった、タイレルコーポレーションでデッカードとレイチェルが初めて会うシーンの美しさに対して、今回はラブとKが会うシーンが光と影を見事に使い、建築のデザインは前作と随分違うが、リスペクトが明らかにわかる素晴らしいシーンになっていた。

 3Dシーンは、雪の効果、水の立体感ほか、随所に立体を意識した映像が用意されていて、高いレベルを実現している。今回、

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 ちょっと残念だったのは、ハンス・ジマーによる音楽。
 意味なくいろんなシーンで、「ドーン」という衝撃音を鳴らしているのだけれど、全体的に大仰/深刻な重いトーンで僕は馴染めなかった。新しいサントラ、という意見もあるようだけれど、確かに新しさとしては認める部分があるにしても、この映画に合っていたかというと少し違うのではないか、というのが僕の感想。

 どうしても前作と比較してしまうのだけれど、ヴァンゲリスの音楽はもっと幅があったと思う。そしてあの音楽こそがブレランでもあるわけで、音楽だけでもヴァンゲリスをベースにして、それをアレンジ形にできなかったのかと思う。

 特にレプリカントの切なさ、そして主人公をめぐる後述する愛の物語に、前作のサントラ「メモリーオブグリーン」が聴こえてこないのが残念。思い込みだけれど、あの音楽こそがブレランの真髄と感じているので、勝手に頭の中で鳴らしていたのだった。

 ネタバレ注意 




 以下に直前に見直した前作の感想を書いたが、テーマとして僕が感じるのは、記憶と新たに人間によって作られた、地球上の知的存在であるアンドロイドとAIの持つ寂寞感。

 そのテーマは、今回、主人公のブレードランナーであるKと狩られるレプリカント、そしてジョイという存在によって見事に表現されている。

 僕がティプトリー的と感じたのは、そのKとジョイの交流。そのクライマックスは町で知り合ったレプリカントの女性を二人の部屋に呼んで、ジョイがその女と同期してKと肉体的な接触を果たすシーン。

 そしてアナ・ステリン博士。彼女がヴァーチャル空間で紡ぐレプリカントの記憶の物語。

 これら二つのシーンで僕が想起したのは、ティプトリーJr.の「接続された女」である(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア, 浅倉 久志『 愛はさだめ、さだめは死 』(ハヤカワ文庫SF所収)。サイバーパンクに先立つ、ティプトリーのその作品と『2049』の共鳴は、少なくともうなづいていただけるのではないかと(^^)。

 あと関連作として思い出したのが、日本アニメの影響。
 レプリカントの捜査官であるKの部屋は綾波レイの部屋を思い出させる無機質さを持っている。またそれによってジョイの存在の鮮やかさが際立っている。

 上で書いたアナ・ステリン博士のシーンは、未来少年コナンの過去を記憶したヴァーチャルリアリティの部屋を思い出させた。ヴィルヌーヴが見ているかは定かでないが、ティプトリーの影響含め、聞いてみたいポイントである。どなたかインタビューで聞いてください(^^)。

◆関連リンク
黒酢さんのツィート

"To 3D Or Not To 3D: Buy The Right Blade Runner 2049 Ticket
『ブレードランナー2049』IMAX3D版の3D映像についてのレビュー。部分的な映像の暗さが指摘されるが、3D映像としての質の高さは太鼓判級で長尺も問題無し。撮影監督のR・ディーキンスは撮影段階で3Dを意識、3D映像も監修している。"

"R・ディーキンスはIMAXを好まないし3Dも嫌いだと明言しているが『ブレードランナー2049』をIMAX3Dで上映する以上は全てを自身で監修してプロとしての仕事を行っているという事か。"

 3Dについての興味深いツイート。嫌いだからこその見事な出来だったのかも。

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア, 浅倉 久志『 愛はさだめ、さだめは死 』(ハヤカワ文庫SF)
ブレードランナー 2049 - Wikipedia

"Blade Runner 2049 は、標準の2Dおよび3Dフォーマットに加えて、 IMAXシアターでリリースされた。 [56] 北米の映画愛好家の間で、IMAX 2D(3Dとは対照的に)の人気があったため、この映画はIMAXの劇場ではアメリカ国内では2Dでしか見られなかったが、国際的には3D形式で上映された。"

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2017.10.23

■感想 『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第13話


Twin Peaks: The Return | Part 13 "Just You" | SHOWTIME Series (2017) - YouTube.

 第13話、いつも盛り上がるラストの楽曲。うーん、今回のバンバンバーは外しましたね(^^)。ジェームズの懐かしのこの曲"Just You"なんですが、ファンの方には申し訳ない、僕にはさっぱり響かず、逆に耳を覆いたくなるという…。この年齢であの声は流石に…。
 そして、なぜあの歌で泣くんだ、腕に「7663」と書いた女の子! って感じです(^^;)。

★★★★★★★ネタバレ、注意★★★★★★★★






 と、不満を述べつつも、今回、ミッチャム兄弟とキャンディーズとダギーのダンス?に笑い、バッド・クーパーとレイのシーンで緊張が高まり、ビッグ・エドとノーマの関係に切なくなり、そしてオードリーとチャーリーの不思議な実存主義のやりとりに悩み、上記の唄は不満だけれどw、十分に楽しめた1本でした。

 そのジェームズの唄のあと、物悲しいほぼ無音の画面でのラスト。哀愁をみせるエド・ハーレー。そのシーンで不思議な映像の謎が提示されていたので、以下メモ。

◆エドのガソリンスタジオの謎
TWIN PEAKS 2017 clip - Big Ed alone at night (ending credits) - YouTube
 シーンとしては上のリンク先の動画。

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 まず給油スタンドがエドから見て、冒頭、右から黄白赤とならんでいる(右上)。
 それが次に映った時、右からの順番が(赤は物の影で見えないが)白黄の順に逆転して変化(右下)。
 この逆転は何を意味しているのか。撮影の手間は馬鹿にならないはずなので、何かの意図を持ってのものだろう。というか不思議をいろいろ埋め込んで、奇妙な空間感覚を醸し出したかったのだろうか。

 さらにその後エドを正面から見たショットで、エドがコーンスープ(悪魔のキーワードである"コーン")の器をいじってると今まで聴こえていた車の走行音に、ザラッとした異音が混ざる。これも何だか奇妙である。

 ここから予感させるのは悪の気配。
 ブックハウスボーイズのエドには、悪に落ちて欲しくないものだ。

◆ジェームズによる元曲
 Just You (key corrected) - YouTube
 こちらは旧シーズンのジェームズの唄。
 この時はドナとマデリーンが一緒に歌ってて、若さが溢れてて良い感じだったんですがねw。曲自体はリンチとバダラメンティによるものである。

ネイディーンの店「RUN SILENT RUN DRAPES」
 この店、カーテンの店のよう。音のしないカーテンレールが成功のか!
 DRAPEに「厚地の織り生地を用いて、豊かなひだをとったカーテン」という意味があるようなので正に発明が成功したようだ。

◆プレス写真
 "Twin Peaks" Part 13 (TV Episode 2017) - IMDb

 ファンサイト ツインピークスジャパン等で使われているスチル写真を、Googleで画像検索したら、これらの写真のアーカイブがimdbにありました。
 これ、たぶんプレス写真じゃないかと。今まで画面キャプチャでシーンを記録してたが、これでその手間は省けそう(^^)。
 ドラマの映像そのものでなく少し画角が違うものなのだけれど、じっくり見るには各話50枚ほど掲載されていて、見応えがある。

◆オードリーとチャーリーの不思議な実存主義のやりとり
 オードリーとチャーリーの会話が気になって、文字起こしをしてみた。これはWOWOWの日本語字幕の書き取りである。

A(オードリー) 彼女、何だって!?
C(チャーリー) オードリー、もう終わったはずだ。
A 教えて!
C オードリー、やめなさい
A ハァ… ハァ… 私、自分がここにいないみたいで。そんな感覚になったことない?
C ない。
A まるで…ほかの場所にいて別人になったみたいな。分かる?
C いや、常に自分という意識はある。必ずしもいい感覚ではないが。
A 自分じゃないってことだけはハッキリ分かる。
C いわば実存主義の基本中の基本だな。
A ふざけないでよ! こっちは真剣なの! 自分以外の誰を信じればいいのよ!? なのにその自分が誰なのかわからない! 一体どうすればいいの!
C 君がすべきなのはロードハウスへ行って、そこでビリーを探すことだ。
A そこは遠い?
C オードリー、場所は分かっているはずだ。事情を知らなければ、君がラリっていると思うところだ。
A 教えてよ! 場所は!?
C 私が連れていくよ。だからもうふざけるな。でなきゃ、君の物語も終わりにさせる。
A 私の物語って何よ? それって通り沿いの家に住んでた少女の話?
そうなの?
C 君が出かけたいと言ったんだ。なのに今は違うようだな。
A 家にいたいけど、出かけたい。アッ… 両方なのよ。どっちにすべき? うん? あなたはどっちなの?
 助けてチャーリー。ここはまるでゴーストウッドよ。

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 なんとも不思議な会話である。前回も出たことのない人物名が幾つか出てきたり、脈絡を理解できない会話だったのだけれど、今回はそれに加えて、哲学的な文言が混じり、ますます混迷を極める。

 twitter等を読んでいると、実はシーズン2のラストで銀行にて爆発に巻き込まれたオードリーは、実は昏睡状態の植物人間になっていて、その彼女が見ている夢ではないか、という解釈がある。
 しかし、そうだとすると、オードリーの子供と思われるリチャード・ホーンの存在が説明できない。なので、この説は真相ではないだろう。とすると、この会話、この夫妻の存在は一体なんなのだろうか。
 リチャードの暴走で、意識の混沌に迷い込んだオードリーという意味なのか、どうなのだろう。

 後半の大きなポイントがこの会話には隠されているようだ。
 オードリーの存在の物語。

ツイン・ピークス - Wikipedia.

" オードリーの父親。通称“ベン”     グレート・ノーザン・ホテルやホーンズ・デパートを所有する地元の名士で、自身が所有する土地・ゴーストウッドの開発計画を進めている。また、計画の一環として、パッカード製材所の所有する広大な土地を手に入れる事も画策している。"

 オードリーが最後に述べた「ここはまるでゴーストウッドよ」、ゴーストウッドはツインピークスの土地の名前のようだ。

◆関連リンク
Twin Peaks recap: Season 3, Episode 13

“I want to stay and I want to go. I want to do both,” said Audrey. “What should it be, Charlie? Which me would you be, Charlie? Help me, Charlie! It’s like Ghostwood here?”

 上にテキスト化したオードリーとチャーリーの謎の会話、英語版。
Twin Peaks Black Lodge Pie Recipe – The Homicidal Homemaker Horror Cooking Show - YouTube
 13話でますます注目度が上がったチェリーパイ。
 このリンク先の動画は、ブラックロッジ チェリーパイの作り方。なかなか見せるビデオです。

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2017.10.16

■感想 『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第12話


CHROMATICS "SATURDAY" TWIN PEAKS: THE RETURN PT. 12 - YouTube

 第12話、いきなり前半で話される、青い薔薇。今回も物語が進んでいくが、サラとか奇妙な謎がまだまだ提示されて混沌も。

 一体どこへ我々は連れて行かれるか、予断を許しません。
 エンディング、再び登場のCHROMATICSの曲だけが心を落ち着けてくれます。

 



★★★★★★★ネタバレ、注意★★★★★★★★

 今回提示されたいろいろな謎のひとつに、まずラストで初めて登場したオードリー(S2の銀行での爆破の際に、生き残れたんだ! )と、オフィスデスクに座る謎の小人チャーリーの関係がある。会話からは夫婦の様に見えるが、何か変な感じ。

 エンドクレジットを見るとオードリーはホーン姓。チャーリーは姓不明です。オードリー、生きてて良かったが、いきなりの悪妻ぶりにタジタジ。

 オードリーは爆発で生き延びて、不思議ちゃんなところはどっかへ飛んで、リアルな生活者になったか、あの後に何かあったのか…。あんな息子を持てば、荒れるんだろうけど…。

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 そして一番の謎は、サラ・パーマーがスーパーマーケットのレジで見せた奇矯な行動の原因となったターキージャーキー。

 ビーフジャーキーとターキーが並べられ、それを見たことから不思議に怯え出し、自分の中の誰かと話しながら店から逃げる様に出て行くサラ。

 気になるのは、このジャーキーの袋に描かれた牛に似たキャラクター。よくビーフジャーキーに描かれているバファローにも見えるが少しデザインが違い、例のホークが前回示した変化する地図に描かれた「悪魔」のマークに似ているのだ。

 果たしてサラはあそこで何を見たのか。今後、この謎がどう展開し回収されるかも見守るしかない。 

 そしてついに冒頭で語られた青い薔薇の話。もともとFBIの中に軍と共同でブルーブック計画を探る「青い薔薇」特捜班が置かれ、ゴードン・コールの元、フィリップ・ジェフリーズ、チェット・デズモンド、アルバート・ローゼンフィールド、デイル・クーパーが選ばれたというのだ!

 ここから考えると、このチームのメンバーであるクーパーが、ローラ・パーマー事件でツインピークスに派遣されたということは、最初からこの町がブリッグス少佐の存在含めブルーブック絡みであったということになる。
 エピソード1と2、映画版をつなぐ壮大な設定が今明かされつつある、といったところでしょうか。

 そしてタミー・プレストン捜査官についても、ブルー・ローズに絡み、このチームがジョージ・ワシントン高校、MIT、クアンティコでの彼女の存在に注目していた、という謎の言葉も。

 異次元とブルー・ブックの関係。まさにストーリー最大の謎部分は、SF(というかムー的というか、、、(^^;))

◆関連リンク
Twin Peaks: FWWM - The Blue Rose - YouTube
 ブルー・ローズといえば、映画版でのこのシーン。リルという奇矯な赤い服の女と青い薔薇。ここもそんな謎につながっているシーンだったんですね。

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2017.10.09

■感想 『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第11話


Twin Peaks Season 3 - SHAWN COLVIN "Viva Las Vegas" (OST Soundtrack) - YouTube

22281704_1878651479131104_234151370 第11話、しびれました。

 特に素晴らしかったのが、ダギーがリムジンに乗って砂漠へ移動するシーン。冒頭に引用したショーン・コルヴィン「ラスベガス万才」の曲がカジノの街に流れ、砂漠の空撮に切り替わっていくシーン。

 前半の異世界との境界を描いたシーンと後半のダギーに迫るサスペンス、おそらくこの前後二つの、キリキリと迫ってくるシークェンスの間にこのシーンが置かれたことで、独特の雰囲気と音楽と街を走る映像の、絶妙のミキシングがもたらした一種の映画の魔法的な瞬間。

 右上の静止画引用、何でもないアメリカの街を走行するだけなのに、デイヴィッド・リンチマジック、恐るべし。

 今回全体のストーリーは、吃驚するは、ドキドキするは、大笑いするはで、感情の起伏が激しく、クライマックスでは一人で観ていたのに、声を出して笑ってしまった。リンチ、フロストの手腕にまんまとはまり、(さらに)本格的に中毒になってしまったw。ある意味、あの8話よりもドスンと来たかも。

 やはり『ツイン・ピークス』の真骨頂は、奇想の暗黒面とある種、突き抜けたブラックコメディの絶妙のミキシングにあったのだと痛感。ツインピークスの双峰は、この暗黒面とコメディの2つの拮抗なのかもしれない。



★★★★★★★ネタバレ、注意★★★★★★★★



 
 今回の白眉は、チェリーパイ〜。最高だ〜。まさかのシーンについに登場。
 僕がひとりで笑ってたのは、そのシーン。ミッチャム兄弟の愛らしさも格別で、特にジム・べルーシの夢を語る真剣さとまさかのチェリーパイ。ここで笑い出さないピーカー/ピキは、明らかにモグリです(断言、(^^))

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 チェリーパイは、片腕の男に誘われて手に入れたよう。この店は同僚のフィルがいつもダギー・クーパーにコーヒー買ってくる店なのかな?

 このシーンの、イスの色使いのセンス、そしてこの構図。ブッシュネル(バドリング)・バド・マリンズ社長の部屋のデスクとかも素晴らしいけれど、まるで60年代のようなこうした空間造形もリンチアートの魅力だ。まるでアメリカ絵画から切り取ったような見事なシーン。

 ネット検索したら、アメリカのツインピークス関連掲示板に、この店名"SZYMONS"の太いZが、ブラックロッジの床に呼応してると書き込まれていた。不思議な店名にもそんな謎が埋め込まれているのか。

 チェリーパイで思ったのが、もしラストがバーでなくカフェで、クーパーがチェリーパイと一緒にコーヒーも飲んでたら、ついにはダギーからの覚醒が待っていたのか。ここはとても気になる。

ショーン・コルヴィンの“Viva Las Vegas”
・この曲は、コーエン兄弟の『ビッグリボウスキ』のサントラとして1998年にリリースされた曲の様。 この曲自体はエルヴィスプレスリーが歌ってたオールディーズ。リンチはこういう使い方も抜群にいい。
・元曲はプレスリーが1964年にリリースした曲で、『ラスベガス万才』という映画も同年プレスリー主演で公開。
・ビッグリボウスキでは、コーエン兄弟によって、このように哀愁があるエンドクレジットの曲に。
・プレスリーの曲は冒頭からハイ。ショーン・コルビンのはイントロがマイナーな感じで素晴らしい。ダギー・クーパーにピッタリ(^^)。
 でも11話で使われたシーンをよく聴くと、実はこのイントロが入っていない。ヴォーカルの冒頭がいきなり、クーハーが乗ったリムジンを見送るブッシュネル・マリンズ社長映像にかぶる。あえてマイナーなイントロをカットしたリンチの音響設計、両方を映像にはめ直して比較試聴してみたいものだ。

◆エトセトラ
・ラストの曲、バダラメンティ“Heartbreaking”、ダギーがチェリーパイの味とともにこのピアノを聴いて何を思い出して涙ぐんだのか考えると切ない。どんな記憶を思い出したのか…。
・twitter 見てたら、このピアニスト、バダラメンティ御本人というコメントがあった。『マルホランドドライブ』で出演した時と随分雰囲気が違う。エンドクレジットには、ピアニストとしてバダラメンティの名は出てこないのでこれは間違いではないだろうか。顔もずいぶん違うし。

・ミッチャム兄弟がいた砂漠は8話で映像化されたトリニティ実験のニューメキシコ州ホワイトサンズではないか。廃屋の壊れ方がいかにも爆風に飛ばされた様。ラスベガスからは300kmくらい離れてるけど、ありえない距離ではない。(爆心地の立ち入りが現在どうなっているのか、よく知らないのだけれど、、、)

・ダギー・クーパーを観ていて今回、思い出したのが、ハル・アシュビー監督、ピーター・セラーズ主演の『チャンス』。知的障害の主人公が、おうむ返しと片言の言葉で、周りの誤解で特別な人間と認められていくところがダギー・クーパーにそっくり。今回のおばあちゃんに「特別な人よ」と言われるところで思い出た。

・シェリーは、ブリックスの苗字のまま、レッドにべったり。ヤクにやられてるのか?この母にしてこの娘ありなのか。ボビーもかわいそうだ、3人に今まで何があったのか?

・キャンディーズは、キャンディー、マンディー、サンディーってクレジットされている。

・同じくクレジットとtwitterから拾った情報。ガーステン ・ヘイワードという名がある!ドナの一番下の妹がどうやらスティーブンの浮気相手らしい。

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・ペンデレツキのあの曲が今回もクレジットされていた。空の異世界シーンに使われてたのかな。ホークの「生きている地図」 に示された黒い火、まさか核兵器のことではないだろうか?

・あの空間が刑事とタミーに見えなかったのは、座標の問題ではないかと推測。越境してくるウッズマンはダイアンには微かに見えてた様でどう見える/見えないを線引きしてるかは不明。

◆関連リンク
このtwitterの書き込みと引用画像が興味深い。

"映画秘宝10月号で滝本さんとヨシキさんが語っていた、ルースの死体の元ネタってコレか。 マルセル・デュシャン『①落下する水、②照明用ガス、が与えられたとせよ』"

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2017.10.04

■感想 さとうけいいち総監督,川村泰監督『GANTZ:O』


『GANTZ:O』主題歌・ドレスコーズ「人間ビデオ」
 “GANTZ:O ANIMATION Music Video“ - YouTube
 

 さとうけいいち総監督,川村泰監督『GANTZ:O』をWOWOW録画見。
 事前情報ゼロ、実は全篇CG映画ということも知らずwに観はじめてまず吃驚。
 キャラクターはやや不自然さが残っているけれど(ex.服の動きと肌の人造感)、だんだんそれは気にならなくなって、アクション大作として観ていた。

 限定された空間(道頓堀)を見事に使って、妖怪やら怪獣やらロボットやら盛り沢山の大決戦絵巻が面白く、そして手に汗握る。
 実写映画版は観ていたが、こちらはとにかく敵が強大な力を持っていて、いつGANTZ東京チームがなぶり殺しにされるか、緊張感が高まる。

  ギリギリで戦う主人公他、戦士の戦いが熱い。

 『がんばれロボコン』のガンツ先生よろしく、ラストの採点がなされるが、クライマックスの緊迫感に対して、このガンツの間抜けな日本語と採点が絶妙のバランスで面白い。
 そしてオチ、映画の結構としてはうまく幕切れを演出していて、見終わった感覚はなかなかのもの。
 日本映画のCG描写のこれからにも大いに期待が持てて、良い佳作アクションを見せてもらいました。エンドクレジットに流れるこのリンク先の曲も、妙に本篇にマッチして心地よかったです。

◆関連リンク
CGMAKING_GANTZ:O_02 - YouTube
 モーションキャプチャーのメイキングシーン。
Gantz:0 [AMV] - Save Me - YouTube

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2017.10.02

■感想 『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第10話


Rebekah Del Rio - "No Stars" (Twin Peaks 2017) - YouTube

 第10話、圧巻はレベッカ・デル・リオ“No Stars” フルコーラス。
 あの声量の出る、堂々としたレベッカの立派な体躯に見惚れ…(^^;)。 あといつ失神して倒れるかも、心配で…w。 (デイヴィッド・リンチ監督最高傑作と思う『マルホランド・ドライブ』の歌姫)レベッカの再臨による魔術的な映像/音響空間に身を任せて見終わりました。

 この“No Stars”、クレジットでは"Written by David Lynch, John Neff, Rebekah del Rio"となっていて、リンチとその盟友ジョン・ネフ、そしてレベッカが作った曲らしい。 歌詞は以下にあるが、ドラマとも共鳴して、素晴らしいイメージを広げるものになっている。 歌詞の一部はスペイン語。長い詩ですが、いい曲なので引用。

Rebekah Del Rio – No Stars Lyrics | Genius Lyrics

"My dream is to go
To that place
You know the one
Where it all began
On a starry night
On a starry night
When it all began

You said hold me
Hold me, hold me
Don't be afraid
Don't be afraid
We're with the stars

I saw them in your eyes
En tus palabras
Y en tus besos, tus besos
Debajo de una noche
Na llena de estrellas
Under the starry night
Long ago
But now it's a dream

Yo vi, en tus ojos
Yo vi, las estrellas
Pero ya no hay, ya no hay
Estrellas
Pero ya no hay, ya no hay
Estrellas

No stars
No stars
Ya no hay estrellas
No stars
No stars
No stars
No stars
No stars
No stars
Ya no hay estrellas
No stars
No stars
No stars
No stars
No stars
No stars
No"

 リンク先に曲の解説がある。それによると「もともとDel Rioの自己リリースした2011アルバム"Love Hurts Love Heals"に登場。 Del Rioは、リンチのテレビシリーズ「Twin Peaks:Return」の第10話の最後に、曲の別のバージョンを歌った(シーンではMobyのギター、Nick Launay のキーボードが付いているが、実際にはどちらのミュージシャンもスタジオバージョンのアルバムトラックには表示されない)」とのこと。元曲も聴いてみたいもの。

Rebekah Del Rio『 Love Hurts Love Heals 』
 輸入版がAmazon.jpに売られている。またリンク先でアルバム版も冒頭が試聴できる。

 ジョン・ネフは元々音響エンジニアでリンチとこんなアルバムを出している。 タイトル“ƎU⅃ᗺᗷOᗷ” (BlueBOB の鏡像)。ボブと鏡像ということでツインピークスとももちろん関係。

BlueBob - BlueBob (CD, Album) at Discogs
 こちらで試聴可能。実はこのアルバム『ブルーボブ』を持っていなかったので、さきほどAmazon中古でポチりました(^^)。





★★★★★★★ネタバレ注意★★★★★★★★★★★★★





 

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 第10話ではリンチアートが2つ、ファンにプレゼントされた。

 ひとつはジョニー・ホーンの奇妙なぬいぐるみ人形。
 この眼と口は間違いなくリンチ自身の描いたものでしょう。彼の絵画のテイストそのもの。
 「ハロー、ジョニー。ご機嫌いかが?」と言い続ける人形は、リチャード・ホーンが、祖母であるシルビア・ホーンを脅して金を奪っていくシーンのシュールさを際立たせていた。

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 もう一つは、ゴードン・コールの手になるもの(^^)。
 リンチ自身が画面の中でスケッチを描くというパフォーマンス。
 完成したスケッチは、イノシシの頭に2本のシカモアツリーが生えたような姿で、これも今後どのように謎解きされるか、興味深い。

 奇想ということでは、もうひとつ今回は、キャンディーズ(キャンディを中心に置いた3人娘なので、適当に名付けたw)の不思議な存在感が挙げられる。以前もカジノのミッチャム兄弟シーンで出てたが、その存在が他の人間に見えてない様な不思議な登場だった。

 そして今回は、それを伏線にした登場のギャグ(不可視の存在かと思わせ、ロドニーミッチャムをぶっ叩くという…)。そしてカジノでの不思議ちゃんな行動。 まるでアンドロイドなキャンディーズw。 今後の3人組の行動から眼が離せないw。

◆関連リンク

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デヴィッド・リンチの映画|トップ
 東京の角川シネマ新宿9/30-10/13と大阪のシネマート心斎橋で10/21-11/3までリンチの過去作をデジタルで復元し上映中。

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2017.09.27

■感想 黒沢清監督『ダゲレオタイプの女』


『ダゲレオタイプの女』予告編 - YouTube

 黒澤清監督がフランスでフランス人スタッフと撮った昨年の作品を、WOWOWの録画で観た。いつもの黒沢映画の雰囲気を感じる部分と、欧州映画としてみえる部分と複合した新しい黒沢映画の誕生といった感じである。

 まずダゲレオタイプの写真撮影風景がいい。
 上の予告篇にあるように、銀板に映像を定着させるために1-2時間の間、人を静止させるなければいけない。それを補助するための器具で、人の体の線に沿って、身体の位置を支持するシーン。予告篇冒頭にあるように、撮影助手の主人公が、写真家の娘でモデルを務めるマリーの身体を固定する。その際のマリーの吐息のエロティックさが、この器具を介した二人の男女の関係を映画に定着させている。

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 この長時間の人体の固定により、銀板に人は露光され写し取られる。
 長時間の不自由を強い、身体のある種の限界を引き出していくことで、その生命の一部が写真に奪われていくような描写が秀逸である。
 写真/映像が持つ魔術的な側面をうまく映画に焼き付けている。

 この人体から魂の一部を抜き取るようなダゲレオタイプの描写が、続くシーンでの幽体の存在感を醸し出している。いつもの黒沢映画での、そこに佇む幽霊の姿が、フランスという異国の地の背景と、ダゲレオタイプという不思議な映像装置により、いつもと違った雰囲気になっている。日本の湿った感じの方が良いような気もするが、、、。

 物語は後半急転。
 どちらかというと前半が好みだけれど、主人公の見る幻がどこからどこまでなのか、判然としない様子が映画の余韻になっていて、若干無理のあるストーリー(不動産絡みのネタと銃は出さなくても良かったような、、、)だが、映画としての奥行きが獲得できている。

 『散歩する侵略者』、上映が終わらないうちに、ちゃんと観に行かなくては。

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 いにしえのダゲレオ写真がいろいろと眺められます。
・当ブログ記事
 黒沢清 当ブログ関連記事 - Google 検索

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