映画・テレビ

2018.05.16

■感想 『クエイ兄弟 ーファントム・ミュージアムー』展 @ 岡崎市美術博物館

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 『クエイ兄弟 ーファントム・ミュージアムー』展 @ 岡崎市美術博物館、観てきました。東京渋谷区立 松濤美術館に続き(当ブログレポート記事)、2回目だけれど、展示会場が異なり雰囲気はずいぶんと違って感じる。

 今回の最大の目的は、イベントのスペシャルトーク「クエイ兄弟の夢の世界」滝本誠氏と赤塚若樹氏講演の聴講。
 用意されたレジュメ(滝本氏のA4 3枚と赤塚氏のA3 2枚)とPCプレゼン資料と多くの映像。2時間(90分本篇。30分おまけ)に及ぶ深くて最新情報に満ちたクエイトークを堪能できました。
 会場の観客レベルをクエイマニアに設定されたような濃いトピック満載で素晴らしい講演でした。

 赤塚氏は主に東欧、特にポーランドアートのクエイへの影響について最新情報と関連作の動画等紹介。滝本氏は御自身のフランスでのフラゴナール博物館体験からクエイへの影響について、そして94年の渡英時のクエイ兄弟のアトリエ訪問写真紹介、フィラデルフィア近郊に育ったクエイと同時代にそこで青年時代を送ったディヴィッド・リンチとの共通性について。

 そして後半30分で、おふたりからのトレント・レズナーのナイン・インチ・ネイルズ PV Mark Romanek監督 "Closer" 、ターセム監督『ザ・セル』へのクエイのダイレクトな影響について。超ダイジェストに映像を見せつつの、とても濃くって興味深い話でした。


Nine Inch Nails - Closer (Director's Cut) - YouTube
 クエイ兄弟の映像に大きく影響されているナイン・インチ・ネイルズのPV"クローサー"。こちらのPV、冒頭他に刺激的なシーンがありますので、試聴は自己責任で

 詳細はいつものメモ魔で(^^;)、情報満載に記録したので、次の記事に掲載します。

 展示は松濤美術館になかったもの、そして前回も素晴らしく何度もその前に佇んでしまった撮影用のセットとパペットからなるデコールという立体展示、のべ4時間ほど会場にいて、じっくりと観覧させて頂いた。

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 特によかったのはデコール「この名付け難い小さなほうき」(右引用写真)と「変身」。特に後者はベッドの下で蠢く昆虫になってしまったザムサを描いたものだけれど、その部屋の雰囲気、蟲の造形等、素晴らしい闇の輝きである。滝本氏の発言にもあったけれど同様に持って帰りたい(^^)。
※写真は三菱地所アルティアムの記事から引用させて頂きました。

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 2012年の「変身」の映像ではこの造形の見事さが充分に表現されてないように見えて、これは造形物と合わせての鑑賞が必要かと。とにかくクエイの手になる創造物の存在感に溜息が出るばかり。
 「変身」は以下の動画作品だけれど、映像にはこのデコールの人形と部屋の造形が断片的にしか使用されていないため残念でならない。
※写真は This Week In New York から引用させて頂きました。

Metamorphosis - Mikhail Rudy / Brothers Quay - YouTube

 最後のコーナーにあった映画化企画中で、テスト的に作られているブルーノ・シュルツ原作『砂時計サナトリウム』の冒頭映像6分ほどが観られたのも嬉しかった(たしか松濤美術館にはなかったような記憶)。なかなか映画に恵まれていない最近のクエイ、なんとか実現することを祈りたいと思います。

◆関連リンク
・赤塚若樹氏twitter (@wakagi_akatsuka) 2018年5月6日

フランツ・カフカ  Quay Brothersの「変身 」 Google 翻訳.

"クエイ・ブラザーズの回顧の一環として現在ダン・ギャラリーで見られている一連の図を通し、1970年代半ばにカフカの最もよく知られた物語を映画化することを思いついた。 昨年、彼らはパリのシテ・デ・ラ・ムジークとロシア生まれのフランスのピアニスト、ミハイル・ルディにアプローチし、「変身」の適応に取り組んだ。 その結果、2012年3月に初演されたシンセシス作品は、 'アニメーションとライブアクションの組み合わせ、LeošJanáčekによるRudyの音楽パフォーマンスは、一緒に、Kafkaの物語に敬意を表する一方で、話題の全く新しい経験を生み出しています。"

オープニングイベント 上映会 & 講演会「映像作家クエイ兄弟の今昔」レポート(2) | 三菱地所アルティアム
 神奈川県立近代美術館 籾山昌夫氏の詳細な解説。深い話が掲載されているので、是非ご一読を。
■感想 双子がつくる悪夢的ビジョン「クエイ兄弟 ー ファントム・ミュージアム」展 The Quay Brothers Phantom Museum|松濤美術館

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2018.05.14

■感想 アンディ・ムスキエティ監督『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』


IT Trailer 2 (2017) - YouTube.

 アンディ・ムスキエティ監督『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』ブルーレイ初見。

 『スタンド・バイ・ミー』ミーツ ホラーというか、とてもキングらしいストーリーである。

 実は原作を20年以上前に読んだのだけれど(翻訳が出たのが1991年とのことで既に27年前! 期しくも本書で重要なキーワードになる「27年」と同じ年月である)、すでにほとんど忘れてしまっている。ので、とてもワクワクして全体を見終えた。

 まず青春映画としてよくできている。青春というか、子供から青年に移行する直前の年代の登場人物たちの心の動きを活写している。

 『キャリー』にもつながる、スクールカースト(嫌な言葉だ)的に言えば下層の、いじめられている少年少女の物語。それぞれが抱えている課題をそれとなく見せ、その7人の仲間が集まって戦いの体制を整えていくところの描写がなかなか見事。

 ホラーシーンも、ピエロのペニーワイズの持つ恐怖感。幻想性とリアリティのせめぎ合い。大人には見えていない描写等、ホラー映像の物語との拮抗も的確。

 原作を想い出してみると、この27年後の主人公たちグループの姿が描かれていたはず。続篇で描かれるだろう、彼らの姿も期待したいものである。

◆関連リンク
IT/イット "それ"が見えたら、終わり。 原作と映画の違い | MOJIの映画レビュー
 丁寧にしかもchpter2のネタバレも避けつつ、映画と原作との違いを分析されている記事。
IT (映画) - Wikipedia.

この作品の公開後、ピエロの存在を怖がる人々(道化恐怖症)が少なからず現れるようになったという。

道化恐怖症 - Wikipedia
 かならずしもこの作品だけが原因でないようですが、こういう病気が出てきているのはある意味凄い。映画によって精神的病が発症したというのは興味深い。
Andy Muschietti監督 - IMDb
Stephen King's IT (1990) - Georgie - YouTube.
 1990年の映像化作品、ペニー・ワイズが側溝から現れる冒頭のシーン。2017年作品とほぼ同じ展開を描いているが、恐怖感が映像によってパワーアップしていることがよくわかる。

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2018.05.07

■感想 スティーヴン・スピルバーグ監督『レディ・プレイヤー 1』


'Ready Player One' Behind The Scenes - YouTube

 スティーヴン・スピルバーグ監督『レディ・プレイヤー 1』109シネマズ名古屋 IMAX 3D 字幕、観てきました。

 スピルバーグの子供心に満ちた楽しい1本。あれやこれや自分達が興奮した映画やテレビ作品のキーイメージのオンパレードで心地よい。物語はシンプルな、良くも悪くもスピルバーグ。主人公の想いと、仲間がだんだんとそろってきて、イッキに戦いに突入する心地よさは健在。

 映像はまさにIMAX 3Dの没入感がVRのジャックイン感覚を疑似体験させてくれて最高。一番前の真ん中席、取って良かった(^^) (名古屋ではE19席)。

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 VR世界OASISの映像は、わざとCGっぽいキャラクターだったけれど、2045年だったら、あと27年先なので、生々しいくらい人間っぽいキャラクター造形になっているだろう。そうするとラストの重要な「リアル」に関わるセリフとかが空疎に感じられる危険があってわざとCG的にしたのかもしれない。

 ここで描かれた体感スーツは別にして、2025年と言われても納得できてしまうくらいには現在に近いCG空間の映像。あと20年近く先の2045年だったら、どの程度進化しているか、と考えると空恐ろしく感じる。

 とはいえ、ここで描き出された3D IMAX空間の広がりは素晴らしく、こんなVR世界にジャックインできたら、それでもしばらく出て来たくなくなるなぁの出来w。

 3Dのメインスタッフとして最初にクレジットされていたのは、Stereo D社のYoichiro Aoki氏。IMAXとの相性も良く、快心の立体感。立体映画オタクには必見です。

 3Dで特に素晴らしかったのは、最初のOASISへ入っていくところの臨場感、各種ガジェット、そして「作家が気に入らなかった映画」(^^)の3D化、クライマックスの戦闘シーンの広大な空間感、どれも3Dによる大迫力に手に汗握らせて頂きました。
 今回の3Dシーンは、VR空間についてはCG映像で元から3D映像として作られたかと想像。実写シーンは2D-3D変換かと思われる。

 青木 洋一郎氏は、立体映像ブログ「3D3D3D」に時々コメントされているため、この映画について、お話ししてみたいものです。(と書いたFacebookの僕の書き込みにコメントを頂きました。恐縮です)

◆関連リンク
レディ・プレイヤー1 - Wikipedia
Yoichiro Aoki - IMDb

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2018.04.30

■感想 ケヴィン・ファイギ製作、アンソニー・ルッソ&ジョー・ルッソ監督『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』


「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」本予告 - YouTube
 ケヴィン・ファイギ製作、アンソニー・ルッソ&ジョー・ルッソ監督『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』109シネマズ名古屋 IMAX 3Dで観てきた。
 以下、何を語ってもネタバレになりそうですが、ネタバレしない感想をまとめてみました。

 マーベル・シネマティック・ユニバース、ここに結実といったところでしょうか。こんなところに連れて来られるとは、『アイアンマン』を初めて観た時には思いもしませんでした。
 終わった後の満席の場内は、ラストまで席を立つ者はなく、そのラストに声も出ない感じ。

 壮大な物語と戦闘はピーター・ジャクソン『ロード・オブ・ザ・リング』的?で、ラストの寂寞感は、昨年のリンチ『ツイン・ピークス :リミテッド・イベント・シリーズ』にも通じるのではないかと思ったくらい。

 この寂寞感は、特に『ブラックパンサー』で少し政治的観点で今後に凄い期待を持ったファンの持つ思いかもしれない…。このようなエンディングにしてしまうのか、、、というような。ある意味、まさかと思うような大胆な持って行き方。

 まだ未見の方は、出来るだけ本作のネタバレを読まないうちに、出来るだけ多くのマーベル・シネマティック・ユニバース作品を観た上で、この稀有な衝撃を体験しに、劇場へ急いでください。

 ケヴィン・ファイギなのか、アンソニー・ルッソ&ジョー・ルッソ監督なのか、ここまでの全19作での悪魔的試みに驚嘆。全19作のうち食わず嫌いで未見だった『マイティ・ソー』の三本と『スパイダーマン ホームカミング』をWOWOW録画してたもので初めて観て、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』に結実する伏線として貼られている種子のいくつかを確認して、改めてその驚嘆を強い思いとして感じた。ケヴィン・ファイギ恐るべし。

 この先もどんな驚嘆すべき世界へ連れ去られるか、楽しみでなりません。

◆関連リンク
マーベルの繁栄を支える天才 ケヴィン・ファイギ  - 映画についてのよけいな事
 MCUを牽引するケヴィン・ファイギについて深く知りたいのですが、なかなか日本語では記事が見つかりません。こちらは英文のインタビュー等から簡潔にまとめられています。

当ブログ 関連記事リンク
■感想 ライアン・クーグラー監督『ブラックパンサー』: Black Panther
アベンジャーズ 当ブログ 関連記事 Google 検索

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2018.04.23

■感想 マーク・ロマネク監督『わたしを離さないで』:Never Let Me Go


映画『わたしを離さないで』予告編 - YouTube

  マーク・ロマネク監督、アレックス・ガーランド脚本/制作総指揮、カズオ・イシグロ原作/制作総指揮の映画『わたしを離さないで』をWOWOW録画見。

 先日観た『エキス・マキナ』が傑作だったため、アレックス・ガーランドが脚本/制作総指揮を務めた本作を観てみた。

 こちらも期待に違わぬ傑作だった。静かなトーンで描かれた、残酷な物語を丁寧な描写で粛々と観せていく。
 全体的に静謐な雰囲気が画面を覆い、本来溌剌としている子供達の快活なシーンですら、どこか陰鬱なイメージが満ちている。

 物語はカズオ・イシグロの原作とほぼ同じようだ(読んでいないため、wikipediaの粗筋より判断)。異質な英国の物語としてさらっと語られる時代背景と徐々に観客に提示されていく物語のコア。不安が満ちている画面が、ひしひしとこの異質な世界の恐怖の実像を観客に提示している。

 たとえば、子供達が壊れたオモチャを嬉しそうに選ぶシーン。この子供達の育てられてきた環境を的確に描き出している描写。

 ラストで流れる映像。どこかのうらぶれたイギリスの片田舎の農地。風に吹かれたビニール屑が鉄格子にひっかかって風に揺られるという心象的な風景がこの映画の全体を見事に表象している。

わたしを離さないで - Wikipedia.

"イシグロは『わたしを離さないで』は平行世界のイギリスを舞台にしているにもかかわらず、2015年までの自身の作品のうちでもっとも「日本的」な小説だと考えており、それまでに接してきた日本の映画や書籍の影響が登場人物のふるまいなどに反映されているという。"

 小説が「日本的」なものを狙ったとのことで、つい日本映画として制作されていたら、と想像してしまう。
 多くの日本映画監督の作風を想い出してしまうが、たとえば黒澤清監督が撮っていたらと思うと、さらなる傑作が生まれていたのではと妄想が膨らむ。子供達が育つ「ヘールシャム」と名付けられた施設の佇まい。彼らの周りの空気感がこの物語をさらに鋭いものに変えていたのではないだろうか。

◆関連リンク
わたしを離さないで (映画) - Wikipedia
わたしを離さないで - Wikipedia
 こちらの原作あらすじによると、映画はほぼストーリーは原作通りのようです。
映画「わたしを離さないで(Never Let Me Go)」の劇中校歌の恐ろしい歌詞

"校歌の歌詞は小説には出てこないみたいです"

 校歌の独自訳を書かれていて、なかなか深いです。

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2018.04.16

■感想  アレックス・ガーランド監督『エクス・マキナ』Ex Machina


Ex Machina Official Teaser Trailer #1 (2015) - YouTube

 アレックス・ガーランド監督『エクス・マキナ』WOWOW録画初見。
 評判の良い映画を今更ながら観たわけであるけれど、確かにとても良い映画だった。

 AIを描いた作品としては、2013年にスパイク・ジョーンズ監督・脚本『Her/世界でひとつの彼女』という傑作があるのだけれど、そちらに続く佳作といって良いのではないだろうか。僕は人工知能としての独自性(機械知性は人の考える人工知能とは異質の進化を遂げて、人類に興味を持たなくなる)描写から『Her/世界でひとつの彼女』にSFとしての先進性で軍配を上げるのだけれど、『エクス・マキナ』は人間の延長としての/シミュラクラとしてのAIの奇怪さを見事に描いた映画と言えるのではないだろうか。

 そしてもうひとつ秀逸だと思ったのは、エヴァ(AVA)アリシア・ヴィキャンデルの演技の素晴らしさもだが、主人公の青年 ケイレブ・スミス(ドーナル・グリーソン)が抱えたフィリップ・K・ディック的な存在の不安感の描写。ここまでディック的不安を見事に映像化した例は他にないのではなかろうか。このシーンへ至る不気味さを描き出したことだけでも、この映画の成果は大きいと思う。

 アレックス・ガーランド監督は、 『ザ・ビーチ』の原作、『28日後...』の脚本、『28週後...』の製作総指揮と、いずれもダニー・ボイル監督と組んだ秀作の制作に大きく関わっている。本作が初監督作品ということだけれど、見事なシナリオと演出、SFXで素晴らしい業績だと思う。

 次の作品『アナイアレイション -全滅領域- Annihilation』は、どうやら北米等での公開がいまひとつ振るわず、日本では残念ながらネット配信(Netflix)になってしまったようだが、今度もSFということで期待したいと思う。


Annihilation (2018) - Official Trailer - Paramount Pictures - YouTube

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2018.04.09

■予告篇 岩切一空監督『聖なるもの』


映画『聖なるもの』特報 - YouTube
映画『聖なるもの』公式サイト

 傑作自主映画『花に嵐』の監督 岩切一空氏の新作『聖なるもの』が東京で4/14〜公開されるということで、その予告篇と特報が公開された。
 特にその特報が凄いので、冒頭でご紹介。まずは2分弱の短い映像なので、以下を読む前に騙されたと思って観てください。

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 まず冒頭の特報について。
 謎めいた、佇む少女に、かぶるボンジュール鈴木の冥界からの歌声のような、繊細な楽曲。そして奥から近づいてくる黄色い巨大な除雪車両。

 言語的に説明できない、独特の空間感覚。少女の薄い笑みと吸い込まれるような黒眼(もしかして映像加工されている?)。ここに漂う恐怖感のような凍えるような虚無はいったいなんなのだろう。

 この映像の強度、相当なものと思うけれどいかがだろう。不安を感じさせるこの空気感は、どこか黒沢清映画を思い出させる。しかし、それにしても、この除雪車。いったいここで除雪車を持ってこれる感覚は? 凄い。

 前作『花に嵐』が達成した学生映画としての空気感と、エンタテインメントのクライマックス感。そこにも映画のみが持ち得る空間感覚が見事に表現されていたけれど、この特報の持つ迫力はさらにその先を行くものかもしれない。

 今作で岩切監督が何を達成するか、本篇が楽しみでならない。


「聖なるもの」予告編【01】 - YouTube

"2018.4.14(土)ポレポレ東中野ほか全国順次ロードショー!!
監督・脚本・編集:岩切一空|劇中歌・主題歌:ボンジュール鈴木
出演:南美櫻 小川紗良 山元駿 縣豪紀 希代彩 半田美樹 佐保明梨(アップアップガールズ(仮)) 青山ひかる / 松本まりか

 大学3年になる「僕」(岩切一空)は、4年に1度、映画研究会に現れる謎の少女と作った映画は必ず大傑作になるという噂を耳にする。ある日、僕の目の前にミステリアスな黒髪の美少女・南(南美櫻)が現れる。彼女に魅了された僕は後輩の小川(小川紗良)らを巻き込み、衝動的に南主演の映画を撮り始める。"

 そして何と88本の予告篇が公開中!『聖なるもの』公式サイトにも掲載されているが、引用したYoutubeリンクで再生すると連続的に88本すべてが観られる。

 僕はYoutubeで観る前に、公式サイトで一本一本、別々にクリックして観て行ったのだけれど、さすがに冒頭に引用した特報ほどの出来のものはない。
 だが、8秒 × 88本 = 708秒。約12分に渡るその映像の端々に、前作にも通じる岩切監督独特の雰囲気が漂っている。

◆関連リンク
■感想 岩切一空監督『花に嵐』 と 「期待の新人監督2016」@カナザワ映画祭
新時代の到来を感じさせる天才映像作家 岩切一空監督が新作『聖なるもの』を語る|CREA厳選! イケメン青田買い|CREA WEB(クレア ウェブ).

"――幼い頃に持っていた将来の夢は?  ある日、雲を見たときから、羊になりたいと思っていました。もともと、豚などの四足歩行の動物が好きで。食べて、寝て、愛されて、草原にいる姿がとても幸せそうだったんですね。その後も、満員電車が苦手なので、普通の会社員になるのは難しそうだとは思っていました。

 僕はゼロから1を作れる人間ではないと思っていて、そうすると自然に自分に蓄積されたものの組み合わせや好みを考えていくようになっていきました。編集や音の使い方などは、「少女革命ウテナ」や「新世紀エヴァンゲリオン」など、中学・高校時代に見ていたアニメからの影響が大きいです。"

第58回日本映画監督協会新人賞は、『花に嵐』岩切一空監督に決定! - シネフィル
 岩切監督、新人賞受賞ということでおめでとうございます。この賞って商業映画以外も対象になるのですね。大島渚に始まり錚々たる監督が受賞されていますね。
 → 日本映画監督協会新人賞 wiki
Nagoya Cinematheque

"近日公開 『聖なるもの』"

 東海地方は、名古屋シネマテークで上映予定。公開日が楽しみ。
Bonjour Suzuki - YouTube
TVアニメ『魔法陣グルグル』ED主題歌「Round&Round&Round」MV/TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat. ボンジュール鈴木 - YouTube.

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2018.04.02

■感想 ジャック・アーノルド監督『大アマゾンの半魚人』: "Creature from the Black Lagoon"


Creature from the Black Lagoon (4/10) Movie CLIP - Underwater Stalking (1954) HD - YouTube

 ジャック・アーノルド監督『大アマゾンの半魚人』(ブラックラグーンからのクリーチャー)3Dブルーレイ初見。

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 モノクロ3Dですが、現在の3D映画より飛び出る効果を狙ってあり、立体感がいい。また水中映像が生々しくクリーチャーの存在感が迫ってきます。魚チックに尖った口と呼吸する鰓の動き等素晴らしい。
 引用動画ではモノクロ映画的に画質も思わしくないですが、このブルーレイはこれとは異なる綺麗な映像を維持している。古びた印象でなく、現在の技術で3D映画を撮った様な新鮮な映像である。

 この映画、立体映画としては初の水中撮影を実現したものとのこと。
 1950年代に凄く大きなカメラを水中立体撮影ができる様に大きな防水ケースに入れて湖の中に持ち込んだスタッフの工夫と努力に感謝です。

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 ギレルモ・デル・トロがこの映画に触発されて『シェイプ・オブ・ウォーター』を作ったわけですが、半魚人と美女ジュリー・アダムスが透明な沼を一緒に泳ぐシーン(上記引用動画)のエロティシズムが触発のコアだったと思われます。その3Dによる存在感たるや…。デル・トロ『シェイプ・オブ・ウォーター』を何故3Dで撮らず、しかもこの様な水中遊泳シーンを入れなかったのか。これらは本作を観ると、名作『シェイプ・オブ・ウォーター』の大きな手落ちと思われてしまいます。もっともっと魅力的な映画になっていたのにと、残念でなりません。

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 本作は、ある意味『シェイプ・オブ・ウォーター』を超える素晴らしい映画。ブルーレイ、値段もこなれてる(千円強)ので、3D環境の観られる方、超おすすめです(^^)。

 本作は続篇が2本あるのだけれど、このディスクにはその2本の紹介も収められている。それによると続きも3Dらしい。是非ともブルーレイを続けて出して欲しいものである。

◆関連リンク
大アマゾンの半魚人 - Wikipedia
『 大アマゾンの半魚人 (2D/3D) [Blu-ray] 』

・当ブログ記事
 ■感想 ギレルモ・デル・トロ監督『シェイプ・オブ・ウォーター』THE SHAPE OF WATER

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2018.03.28

■感想 押井守監督『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』ディレクターズカット


押井守が本当に描きたかった『パトレイバー』がここに。ディレクターズカット版予告映像解禁! - YouTube.

"監督・押井守の強い要望により、『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』の全カット責任編集を行い、27分の映像を追加したディレクターズカット版が10月10日に全国公開。"

押井守監督に「TNGパトレイバー 首都決戦」ディレクターズカット公開の経緯についてインタビュー - GIGAZINE.

"最初にこの「ディレクターズカット」があったんだけれど、「これでは長い」という話が出たんです。僕は「2時間の何が長いんだ?」と思ったけれど、90分にしたいという要望でした。そうすることで、1日の上映回数が増えるという話なんだけれど、結局、1日に来るお客さんの数は変わらないだろうし、変わらないなら回数を増やしても意味がないから、その話にはリアリティがないなと思い、詳しく聞いてみるとどうにも要領を得ない。「つまらないならつまらないと言ってよ」と言っても、そうではないという(笑)。それで、追求しないことにしました。いろんな事情があるんでしょうから。"

 押井守監督『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』ディレクターズカット版 WOWOW録画で初見。

 27分の映像を追加した、本来の押井監督の構想の映画。
 たしかに前半で、押井独特の饒舌な戦争に関する言語表現が続き、全体を見直した印象はあきらかにこちらが押井版であるというものであった。

 ただ、以前ブログに書いた以下の感想はそれほど変わらず、もっと"現在"が描かれる『パトレイバー2』であってくれたら良かったと思うのです。

◆関連リンク
当ブログ記事 ■感想 押井守監督『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』

 そうした意味でも「魂」は入っていない。いったい押井守はどうしてしまったんだろう、というのが第一印象である(それとも前作での伊藤和典の功績は随分と大きかったということなのだろうか?)。  押井守は、この空虚こそが現在をあぶり出すと考えているのだろうか、、、。作中でも後藤田に先代の伝統をなぞるしかない、と言わせているので、まさに描きたいのは2代目の空虚だったのかもしれない。

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2018.03.14

■感想 友井 健人編『1973『日本沈没』完全資料集成』

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1973『日本沈没』完全資料集成 - 株式会社洋泉社 雑誌、新書、ムックなどの出版物に関する案内。

"一億の民族を乗せ、ああ日本が沈む! 小松左京の大ベストセラー小説を、当時5億円の巨費を投じて、 豪華キャストで映画化した70年代パニック大作の金字塔 『日本沈没』(1973年)は、動員880万人以上の記録的ヒット作となった。 監督は『八甲田山』(77年)の森谷司郎。 特技監督はゴジラシリーズや『連合艦隊』(81年)の中野昭慶。 公開45年目を迎えた今も映画ファン、 特撮ファンを震撼させ続ける傑作の魅力を、 初公開含む写真と資料、600点以上の集成で明らかにする。

企画から公開までの流れ
藤岡弘、、小林桂樹、丹波哲郎、いしだあゆみ他カラースチール集
特撮カラースチール集
ドラマ写真ギャラリー
特撮写真ギャラリー
ポスター他宣材コレクション
登場人物紹介
巨大地震メイキング
潜水艇「わだつみ」デザインと図面
特撮美術資料
初公開・中野昭慶特技監督が描いたコンテ
製作スケジュール
原作と脚本と映画の比較
特撮セット図解"

 『日本沈没』完全資料集成、購入しました。
 当時チラシや雑誌の切り抜き、シナリオ等を集めていたファンとして、45年経ってこんな資料集が出るとは、感慨無量です!1ページづつ大切に読みたいものです(^^)。

 カラーとモノクロのスチール写真多数と、各種資料、そしてキャストとスタッフへのインタビュー等、全190ページの労作。

 ファンとしては見たことのないスチルと、さらに知らなかった制作エピソード等、たいへん嬉しい一冊になっている。

◆私のスクラップから
 いくつか本書に収められていない写真(雑誌記事)やチラシ、新聞の切り抜きがあるので、すでに45年前のSF文化資産ということで、掲載してみたいと思う。

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 似ているアングルの写真が本書のカラーページにも掲載されているが、残念ながらスチルの劣化で発色が良くないため、こちらの雑誌(たぶん当時さいとうたかおの漫画版『日本沈没』が連載されていた「少年チャンピオン」と思われる)の見開きページをご紹介。

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 こちらの二枚は特撮のレポート。たぶん上が「中一時代」、下が「テレビガイド」のもの。本書に衛星画像の日本列島の特撮シーンの海について、糊説とゼラチン説の両方が、スタッフの証言として掲載されているが、この雑誌記事ではどちらも糊と書かれている。「特撮で使ってきたカンテンの海では感じがでないと、研究をかさね、ついにのりの海を開発したのだ」「青い色をとかしこんだのりでできている」「海はのりに染料を混入」といった記述である。
 下画像の左上、わだつみがフロンガス噴射している様子がなかなか良く写っている。

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 映画館でもらえたチラシ。おもて面は本書に掲載されていたが、裏面がなかったので、ここに掲載。

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 こちらは割引券のおもてと裏。本書には横型の割引券は掲載されているが、こちらは未掲載。裏面に「みんなの科学」として地球物理を紹介している。これは学校の前で配られていたものだと思うので、勉強の視点が入っているのでしょうw。

 このスクラップの紹介が、45年前の特撮SF映画の記録として、少しでも役立てれば幸いです。

◆関連リンク
友井 健人編『1973「日本沈没」完全資料集成 (映画秘宝COLLECTION) 』

日本沈没 当ブログ関連記事 Google 検索

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