映画・テレビ

2020.11.09

■感想 チャーリー・カウフマン監督『もう終わりにしよう。』


チャーリー・カウフマン監督作『もう終わりにしよう。』予告編 - Netflix
 チャーリー・カウフマン監督『もう終わりにしよう。』(原題:I'm Thinking of Ending Things)をNetflix初見。

 『脳内ニューヨーク』『アノマリサ』という異色作を撮り続けているカウフマン、今回はNetflixオリジナル作品としての公開です。今回も相当の異色作で、一言でいうことのできない濃縮小説(コンデンスト・ノヴェル)ならぬコンデンスト映画。

 言ってみれば、初めて彼氏の実家を訪れる女性の巡るスリラー版2001年宇宙の旅、とでもいう他ない、なんとも奇妙な一篇。

Imthinkingofendingthings607x900side
 主役の女性を演じたジェシー・バックリーが素晴らしい。特に痺れたのが冒頭の車の中で彼女が「犬の骨」という詩を詠むシーン。この詩を起点に複層的な現実が立上がる中盤のサスペンスが素晴らしい。

 秀作を生み出しているNetflix映画の今年の成果の一本だと思います。

◆関連資料
当ブログ チャーリー・カウフマン監督 関連記事

| | コメント (0)

2020.10.19

■感想 ヴァーツラフ・マルホウル監督『異端の鳥: Nabarvené ptáče / The Painted Bird』


映画『異端の鳥』日本版予告/10月9日(金)TOHOシネマズシャンテほか全国公開

 ヴァーツラフ・マルホウル監督『異端の鳥: The Painted Bird』、名古屋伏見ミリオン座で観てきました。

 これはどすんと腹に堪える映画。『ニューシネマパラダイス』の主人公トトに似た少年がたどるこの世の地獄。戦争の冷徹な悲劇を描く映画は数あれど、これはその中でもかなりの悪夢。物語性を排した語り口が、ずしりときます。

899_bgside
 画像は原作『Nabarvené ptáče / The Painted Bird』の表紙。

 チェコ・ウクライナの映画とのことだけれど、インタースラーヴィクという人工言語が使われているとかで、異世界感があるが、美しいモノクロの見事なカメラワークで切り取られたのは、紛れもないこの地上の地獄。

 同じく地獄めぐりということから、ストルガツキー兄弟「神様はつらい」を原作とした、アレクセイ・ゲルマン監督『神々のたそがれ』を想起。モノクロ、ドキュメンタリータッチという共通点がある両作、観客の追体験性としての狙いが恐らく近似だからなのだろう。

 この人生の地獄、体感したい方は是非劇場で。僕はこの映画、万人にはとてもお薦めできませんが、年間ベスト級の傑作と思います。
 今年、コロナで新作を映画館でほとんど観えていないですが、僕は『パラサイト』より(こちらも大好きでしたが)良かったです。タルコフスキーが撮った過酷映画的面持ちです。

 

 以下、ネタバレを含む、監督による本作へのコメント。観終わってから、読んでみてください。

『異端の鳥』監督が語る、発禁書を映画化した理由 ( i-D )

"「映画の少年は、あらゆる子どもの象徴なんだ。苦しみ、殺され、虐待されている子どもたちの。わたしはユニセフで働いていたから、そういった子どもたちを実際に目にしてきた。この映画にはいろいろなメッセージがあるが、もっとも大切なのは『二度とこういうことを起こすな』ということだ。残念ながら、今もこういった状況は続いている。だが、この映画を見た人が、それを知って、彼らを救おうと思ってくれれば、この映画を撮った意味がある」"

 ヴァーツラフ・マルホウル監督、ユニセフに勤められていたことがあるのですね。そうした視点での映画と見ることもできます。

Nabarveneobalky
 僕は後半の少年が変容して行ってしまうところ、なぜか浦沢直樹『MONSTER』のヨハン・リーベントの少年時代を見ている様な、悪魔の誕生の様に観えたのですが、一瞬ラストで光の様なものが見えるので、気のせいなのかもしれません。

 『MONSTER』のヨハンが、絵本『なまえのないかいぶつ』の怪物と自分を重ねるわけですが、確かチェコ出身ということで連想してしまったのかもしれません。

『異端の鳥』監督が語る、作品に込めた思い 「深いところで心に触れるようなものにしたかった」

"アートというものは本物の感情を喚起させることができるもの全てだ。映画に限らず、音楽も、本もそう。本作がそういうものになれば嬉しいね。"

◆関連リンク
Václav Marhoul ヴァーツラフ・マルホウル監督(IMDb)

イェジー コシンスキ / Jerzy Kosinski 『ペインティッド・バード』 (Amazon)
 原作の翻訳本は、2011年に出版されていますが、現在はプレミア価格が付いていて、何と5千円超。映画で高騰してしまっているのかも。

| | コメント (0)

2020.10.12

■情報 デイヴィッド・リンチ自伝『夢見る部屋』翻訳 ! Room to Dream

Dscf2394edit41000x0
鬼才デヴィッド・リンチ初の自伝『夢見る部屋』翻訳版発売! 研ぎ澄まされたセンスに迫る!? (BANGER)

"『夢見る部屋』デイヴィッド・リンチ、クリスティン・マッケナ=著|山形浩生=訳・解説
発売日:2020年10月24日
A5判・上製|704頁|予価:4,500円+税|ISBN 978-4-8459-1829-4
フィルムアート社

2018年の刊行以来、世界的ベストセラーとなり邦訳が待たれていた映画界の鬼才デヴィッド・リンチ監督初の自伝「Room to Dream」が、「夢みる部屋」として2020年10月24日(土)に発売されることが明らかになった。
本書は、比類なきビジョンを追求し続けてきたデヴィッド・リンチの映画、アート、音楽その他さまざまな「創作人生」や、彼が直面してきた苦悩や葛藤も明かされ、リンチにとって初めての伝記と回想録を融合させている。"

デイヴィッド・リンチ『夢見る部屋』 (amazon.jp)
原書(kindle)"Room to Dream"DAVID LYNCH & KRISTINE MCKENNA (amazon.jp)
 kindleでは、なんと原書は1200円と約1/4の値段 !

 ついにデイヴィッド・リンチの自伝『夢みる部屋』が山形浩生訳で10/24に発売!全704頁、4950円という大部の本になるという!期待です!

David Lynch pitches a film from Canongate Books on Vimeo.

"Room to Dream"DAVID LYNCH & KRISTINE MCKENNA (CANON GATE)

 この本のオーディオブックの、リンチの声による広報用動画です。いつもながらのこの木訥な声、僕は大好きです。

| | コメント (0)

2020.10.07

■お願い 京都市 ふるさと納税★ 火事で焼けた 原 將人監督 伝説のフィルム『初国知所之天皇』復活、上映プロジェクト

Imag
京都市ふるさと納税×アーティスト応援|創作を途絶えさせない
#10 火事で焼けた伝説のフィルム『初国知所之天皇』を復活させ、上映する!
https://sites.google.com/site/haramasatoxmovie/home
 映画監督 原 將人

"■プロジェクト紹介:
 1969年代、アメリカのベトナム戦争に加担し、大学はそのような国家の養成員を育てるだけになってしまった国家と社会に、全面的に異議申し立てた全共闘運動が、国家権力によって終焉した後、1970年代、22歳の原將人は映画において既成の映画に対して全面的に異議申し立てをし、国家というものを根底から考える映画『初国知所天皇』を製作した。

 2018年猛暑の夏、自然発火とも言える漏電で自宅の火事でフィルムのすべてが燃えた。このプロジェクトは現像所に保管してあったネガから『初国』の2面マルチバージョンとデジタルリマスター、4時間のリフレイン版のデジタルリマスターを復活、そしてお披露目上映するプロジェクトである。

■メッセージ:
 私は映画が好きで好きで、好きがこうじて、作りたくて作りたくて、高校の時、友人たちと作った映画がフィルムアートフェスティバル東京という映画祭でグランプリを獲った。でも、好きな映画の真似をしているみたいで、ほんとうに私が撮りたい映画を求めて『初国知所之天皇』を撮った。

 京都から北海道、九州まで、日本という国を作った天皇を探しての旅だった。でも、カメラを回す、撮るという行為のなかに日本という国は出現した。だから終われなかった。最後に鹿児島で初めて映画を撮った夏に自殺してしまった少女に出会った。私は少女を追悼し、私は映画の力を信じてそこで映画を終えた。

 『初国』には私の映画との出会い、映画への情熱のすべてのつまった作品だ。それが火事で焼けてしまったのは本当につらい。何とか復活させたい。ぜひぜひご支援お願いします。"

 原將人監督の『初国知所之天皇』の2面マルチバージョンとデジタルリマスター、4時間のリフレイン版のデジタルリマスターを復活、そしてお披露目上映するプロジェクト。これは京都市のふるさと納税によるアーティスト支援企画として、他のアーティストのプロジェクトと共に開催されているものです。

 10/5現在で、目標金額 9,560,000円に対して、支援額はおよそ1/12の820,000円という状況です。
 原將人監督ファン、『20正規ノスタルジア』ファンのみなさま、応援、宜しくお願いします。(私も一口応援させて頂きました)

◆関連リンク
・当ブログ関連記事
 ■感想 原將人監督『初国知所之天皇(はつくにしらすめらみこと)』DVD
 私はフィルムでなく、原監督がネット販売されていたDVDでこの映画を観ています。その際の感想がリンク先です。
 是非ともマルチ画面でのフイルム上映という原初の姿でこの映画を観てみたいものです。

| | コメント (0)

2020.10.05

■動画 クリストファー・ノーラン監督『TENET』 公式と非公式(多分)メイキング映像



TENET- Behind the Scenes Exclusive 公式メイキング

TENET - Behind the Scenes 非公式メイキング

 クリストファー・ノーラン『TENET』の公式と非公式(多分)メイキング映像。非公式はロケ地の近くの住人が撮ったものと思われます。
20201004-204543side
 冒頭のハイウェイのシーンは、なんとなく予想していた通り、車を逆走させて撮っていたのが、分かります。

 公式メイキング動画を見ても、人対人の戦いのシーンとか、大規模な戦闘シーンがどう撮られていたかは分かりません。
20201004-204529side
 流石に後者は、ブルーバックスクリーンを使って、デジタル合成しているとしか思えなかったけれど、そこは公表されていない。あくまでも公式ではIMAXフィルムの直接撮影に拘ったと言っていますが、あの戦闘シーンの撮影がリアルフィルム撮影だけでできるとは信じられないのです。
 真相は高額のメイキング本にはあるのでしょうか。
 

| | コメント (0)

2020.09.23

■感想 『The Boys ザ・ボーイズ』シーズン2


The Boys Season 2 - Official Trailer | Amazon Prime Video

 Amazonプライムで昨晩配信の『The Boys ザ・ボーイズ』シーズン2 エピソード5まで、観ました。

 ヒーローチーム セブンの亀裂、特に偽スーパーマン役のホームランダーのストレスが、キリキリと蓄積されていく様に、今後あと3話のカタルシスがどこまで行くのか期待させます。

 エピソード5中盤のあのシーンには、思わず声を上げてしまいました(^^)。うぉーやっちまった!
Theboysseason2posterbutcherside
 単なるアンチヒーロー物じゃなくて、現実のいびつな世界の様をこれでもかと見せられてる感が何故かするのが秀逸。
 大友克洋がアメリカを舞台に群像ヒーローを描いたら、こんなんになる感w。お薦めです。

| | コメント (0)

2020.09.21

■感想 クリストファー・ノーラン『TENET』


TENET - TRAILER
 クリストファー・ノーラン『TENET』観てきました。コロナ後、初映画館。
 長久手イオンシネマは、1席おきルールですが30人弱とガラ空き。この位の規模の街では、この映画のタイトルと広告ではこんなものなんでしょうね。名古屋駅の109シネマのIMAXでは、満席になっている回もある様だったので(いきなりの映画館が満席はちょっと精神的に行けませんでした)。

 感想としては、良くも悪くもノーラン映画。一点アイデアを思いついてそこから組み立てた感満載の映像ショックSF。

 他方物語は整理不足のシナリオで妙に難解っぽくなってしまった、ヤっちゃった感満載。冒頭で映像アイデアのポイントについて感覚でとらえろ、とか登場人物に言わせてるので恐らく確信犯でしょうねw。

 その映像ショックもアクションの意図が見えにくく映画として活かし切れてないのは残念でなりません。アイデアは凄く面白いと思うんですが…。冒頭とか、ワンアイデアのシーンの映像と音は最高ですが、何が起こっているか、いかんせん不明という…w。

 ノーラン、アナログに拘ってるので、あのアイデアのシーンもデジタル合成なし、一発アナログ撮影で描いてるかと思いきや、デジタル処理の映像のようでした、流石に(^^)。要は手段ではなくて、表現したいことをその時の技術で一番、上手く表現できる技術を使えばいいと思うんですよね。

◆関連リンク
TENET_テネット(wiki)
 Wikipedia 読んだら、ノーラン自身の脚本で6-7年練ったとか。&理論物理学者のコンサルティングも受けたとかなので、深淵緻密な組み立てが実はあるかもw。僕は2度目の映画館は行きませんけどね。

| | コメント (0)

2020.09.07

■画像 デイヴィッド・リンチ監督『ツイン・ピークス』シーズン3 プロダクションデザイン by BUF

T1checker
SFXスタジオ BUF Twinpeaks (2017)
エクスペリエント デザイン : Matheiu Vavril
エクスペリメントCG デザイン : BUF
フロッグモス デザイン : Olivier Gilbert, Nicolas Agenal
Fireman Place CG デザイン : BUF
 
 未だ、日本ではWOWOW放映と、ブルーレイ販売のみで、一般テレビ放映も配信も実施されていないため、ごく限られたマニアにしか観られていないのが残念な、デイヴィッド・リンチの最高傑作(とあえて言ってしまおう、僕はそれ位の傑作と思っています)『ツイン・ピークス リミテッドエディション』。
 
 『ツイン・ピークス シーズン3』SFXを担当したBUFによるプロダクションデザイン画が、46枚公開されている。
 
 一番上に引用したのが、ニューメキシコ州ロスアラモスの核実験で生まれ、ツインピークスの物語に黒い影を落としたエクスペリエントのデザイン画。
 このデザインは、リンチの映像化では、かなりぼんやりとしたもので、この様なリアル感のある怪物としては映像に幻出しない。

 映像に現れた姿は、このデザインとリンチが描く絵画作品のイメージの中間的なものになっている、とでも言えるだろうか。
 ここで興味深いのは、縦に割れた巨大な口。これは映像として、ローラの母セーラ・パーマーの凶暴な口腔として描かれたものを想起させる。

Fr1down

 そしてこちらは、同じく核実験で産まれた奇怪な生物 フロッグモス。そう、これもあのマンハッタン計画で産まれ、セーラの口に入ったエクスペリメントにつながる怪物である。特に驚いたのは、映像では分からなかったが、この上の画像で示されたフクロウの顔をしたフロッグモスの姿。
 
 ツイン・ピークスといえば、前半フクロウが重要な意味を持つのだが、シーズン3にもその流れはこの様に注入されていたわけである。 

◆関連リンク
リミテッド・イベント・シリーズ (wiki)
ツイン・ピークスの未来 (wiki)

"2017年にシーズン3が終了して以来、リンチとフロストはツインピークスの別のシーズンを作ることに興味を示している[23][24]リンチはいくつかのインタビューで続けるかどうかを尋ねられており、一度は「わからない、アイデアの箱を持っていて、プロデューサーのサブリナ・サザーランドと一緒に仕事をしていて、ある種、それらの箱の中に金があるかどうかを調べようとしている」と答えている。 " [25] リンチはまた、もう一つの物語がキャリー・ペイジのキャラクターを含む「彼を呼んでいる」と述べた[26] 2020年6月22日のRedditのAMAで、スターのカイル・マクラクランは、クーパーは彼の「すべての時間の中で最も好きな役」であり、彼は「脚本を見なくても」別のシーズンに「絶対に」戻ってくるだろうと述べました。"

| | コメント (0)

2020.08.19

■感想 中島哲也監督『来る』『渇き。』


映画「来る」予告  

◆中島哲也監督『来る』
WOWOW録画、初見。

 僕は中島哲也監督とはとても相性が良い様で、今のところ、ハズレがない。今回もなかなかの秀作。

 これ、中島版『童夢』というタッチ。パッと見の共通項は、団地(こっちは正確にはマンションだけど)と市井の能力者くらいだけれど、細部の画角、後半の展開の盛り上がり方等々、そこかしこに大伴タッチが息づいている。

 物語の捻りとか、キャラクターの幅(柴田理恵の能力者 逢坂セツ子、小松菜奈の風俗嬢の異能者 比嘉真琴、青木崇高の民俗学者 津田大吾とか)は、こちらが厚め。これによる映画の魅力はあるけれど、やはり大友ファンとしては、この映画の制作費があれば、そのまま『童夢』を映画化して欲しかったと思うw。 

 物語は異界との境界が曖昧になり、現実が侵食していく様、街の様相が変形していく様がなかなか見事に描かれていて、エキサイティング。
 ラストの戦いをもっとねちっこく総力戦で描いてくれていたら、、と思わずにはいられないけれども、これは大友ファン必見の作品です。
 やはりこうして中島監督作を観てくると、当初計画のあった中島哲也監督版『進撃の巨人』も観てみたくなる。

Untitled0133checker

◆中島哲也監督『渇き。』@ Netflix 初見。

 凶悪な役所広司の芝居、大平晋也の叙情的アニメーションを観たい方にお薦め。特に大平アニメーションの効果的使い方はなかなかのものです。

 それにしても『来る』の大友克洋に続き、こちらはタイトルバックとクライマックス(殺しのテンポとか)からタランティーノ、物語と途中の音楽から『ツイン・ピークス』のディヴィッド・リンチを思い出させる。特に後者の音楽は、一曲モロ『ツイン・ピークス』的テーマがあり、リスペクト盛り盛り。

 半ば、役所怒り演技の悪夢の中を旅する様な、まさに「クソ」映画。
 あのテンションに着いていけないと、つら〜い映画ですね。あれに乗れる人には最高映画、そして乗れないと最低映画でしょうね。

 今回も『来る』に続き、クリスマスイブが惨劇に対比して執拗に描かれている。何かトラウマあるんですかね。
 僕は乗り切れなかったけれど、でも一定以上のレベルで楽しめました。基本嫌いじゃないけれど、ちょっとやりすぎでは感があるというか、、、。

◆関連リンク

『渇き。』のアニメシーンを手掛けた大平晋也(『ピンポン THE ANIMATION』)&STUDIO4℃ 起用のきっかけは逆オファー

" STUDIO4℃の作品の監督を依頼したら逆に映画のアニメーション部分を依頼され、自由にしていいと言いながら口を出してきたなんて、なんとも中島監督らしいフリーダムなエピソード。水中のゆがみがある中、実在の俳優さんに似せるという「天才のなせる技」には激しく納得です。"

| | コメント (0)

2020.07.01

■感想 若松節朗監督、伊藤和典,長谷川康夫脚本『空母いぶき』


『空母いぶき』第二弾予告映像【90秒】

 若松節朗監督、伊藤和典,長谷川康夫脚本『空母いぶき』WOWOW録画初見。

 これはSFX、アニメ界隈であまり評判になっていなかったけれど(僕が知らなかっただけか)、なかなか迫力の戦闘アクション映画になっていた。シナリオの伊藤和典氏の功績なのか、『パトレイバー』や『シン・ゴジラ』の成果を踏まえて、真面目に自衛隊初の「防衛出動」を丁寧に描いた佳作になっていると思う。

 そして現代の兵器による海上戦闘アクションが映える。ミサイルや魚雷の最先端の軍事技術については全く暗いので、どの程度、リアルなのかは分からないけれど、その戦闘シーンはなかなかの迫力だったと思う。

20200701-201755checker
 原作は時々喫茶店で掲載誌をパラパラと見た程度しか(ほとんど何も)知らないのだけれど、敵国が中国に設定されていて、きな臭い印象が強かった。それに対して、映画は、架空の国家「東亜連邦」を敵として描いているために、より純粋に自衛隊の戦闘問題を集中して描けていて、興味深い。

 もちろん現実に戦争は起きて欲しくないけれど、戦争映画にはワクワクしてしまう。いつまでも架空シミュレーションとしての戦争映画を楽しんでいたいのだけど、この映画は現代の自衛隊の戦争シミュレーションとして特上のものかもしれない。

 一部では評判の悪い、あまりストーリーに絡んでこないコンビニシーンも、伊藤和典脚本のコメディパートとしてみれば、緊迫したシーンが連続する本篇と対比して、平和で脳天気な日本を描いていて、なかなか愛着が湧くのである。

◆関連リンク
かわぐちかいじ原作、初の実写映画化!『空母いぶき』浅野秀二(VFXプロデューサー)インタビュー
 IMAGICAの浅野秀二氏のインタビュー。なかなか興味深いです。

| | コメント (0)

より以前の記事一覧