文化・芸術

2020.11.23

■情報 最新シュヴァンクマイエル・インタビュー

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Jan Švankmajer: Plenty of Reasons to Revolt(Google翻訳)
 (反乱を起こす理由はたくさんあります)

"「アートはほとんど死んでいる」とあなたは映画ルナシーズの冒頭で言います。これは、現代アーティストが単なるネクロマンサーであり、彼らの作品がゾンビであることを意味しますか? それにもかかわらず、あなたはまだいくつかの現代のアーティストを注目に値すると思いますか?

シュヴァンクマイエル
私は、映画に限定するならば、私はここ[チェコ共和国で]David JařabとKarel Vachek。David Lynch または Quay兄弟の名前を挙げるでしょう。

近年、3D映画のトレンドが高まっています。「立体」映画には、商業的だけでなく創造的な可能性もあると思いますか?

シュヴァンクマイエル
 個人的には、3Dではないかもしれないシネマトグラフィーにもっと興味がありますが、より触覚的で、嗅覚的で、味を伝えることができるようになる方法を探しています…
 私の意見では、映画だけでなくすべての芸術は、共感覚の更新を探すべきです。話題性に関しては、私たちの文明は、全体論的な見方を犠牲にして、ますます狭い専門分野に引き寄せられていると私は信じています。共感覚は、ある感覚から別の感覚に感情をこぼすことによって、私たちの創造的なプロセスに感情的な可能性全体をもたらします。"

 2020年11月3日付でネット公開されたらやん・シュヴァンクマイエルの最新インタビュー。
 上は、興味深い部分を抜粋し、Google翻訳の日本語を掲載。

 特に興味深いのは、シュヴァンクマイエルが映画の分野で、注目する現代のアーティストとして、クエイ兄弟と並んでディヴィッド・リンチの名を挙げていること。どの作品に興味を持っているのか、不明であるけれど、シュヴァンクマイエルとリンチのファンである自分としてはとても嬉しい。

 本当は、リンチの今のところの映像作品の最新作、『ツイン・ピークス リミテッドシーズン』の感想を聞きたいところだけど、特にここには具体的な作品については述べられていない。

 引用した後半の質問。3Dに関する質問で、3D好きの私としてはとても興味深い質問なのですが、残念ながら、3Dより触覚聴覚映画への興味の方が大きいようです。もちろん触覚のシュルレアリスムを標榜するヤン監督のことですから、想像できる回答ですが、今後のVR技術の進化で、触覚の記録再生ができるようになったら、ぜひ、作品を作って頂きたいものです。

◆関連リンク インタビューで挙げられているチェコのアーティストについて以下、リンクです。
David Jařab (wiki) (Google翻訳)
 1971年生まれのチェコの監督で、今までに2本の長篇があるらしい。ブルノシュルレアリストグループAIVの一員とのこと。Google動画検索
Karel Vachek (wiki) (Google翻訳)
 1971年生まれのチェコのドキュメンタリー映画の監督とのこと。Google動画検索
 お二人の作品、いつか観てみたいものです。







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2020.11.11

■情報 芸術デュオ「モスマイスター」: Mothmeister の「ワンダーランド」

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Artistic duo Mothmeister have created a place they call “Wounderland”.

‘It is a land in which grotesque creatures, in fascinating yet disturbing masks, stare out from barren wastelands, usually accompanied by mounted and stuffed animals. Unconventional and enchanting, the fairytale world of Mothmeister is at once reminiscent of a bygone age, while subtly criticising today’s ever-present ‘selfie’ culture, and the beauty standards imposed by the media.’

 芸術デュオ「モスマイスター」による「ワンダーランド」。これは素晴らしい暗黒の世界。僕が文字で紹介するより、すばらしい画像と映像をご覧ください。
 こんなキャラクターが出てくる映画があったら、是非観たいですね。
 動物好きの方は、閲覧をお控え下さい。
モスマイスター: Mothmeister 公式Facebook

Weird and Wonderful Post-Mortem Fairy Tales - Mothmeister

MOTHMEISTER Weird and wonderful post-mortem fairy tales


ひゃー、素晴らしい暗黒の輝き!

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2020.10.26

■見学記 藤森照信氏 建築「ラコリーナ近江八幡」

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 滋賀へ日帰り旅行。藤森照信氏の建築「ラ コリーナ」を堪能。茅野市で見た作品群より広大で素晴らしい。

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 バームクーヘン「クラブハリエ」と和菓子「たねや」を運営する、たねやグループさんのショップと工場の施設なのだけど、本社社屋の宮崎駿 悪役メカ感が素晴らしい。まるでレプカか、ムスカの悪の要塞(^^)。

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 藤森氏と宮崎駿氏の関係、「ジブリの立体建造物展」では、藤森氏が解説を担当されているという。藤本氏は長野県茅野市の出身で、茅野の「縄文ふるさと大使」を勤められているという。もちろん建築を見てもどこか縄文を想起するところがあるのは皆さん、わかるかと思う。
 そして宮崎氏も、縄文の影響はあちこちで述べられている。縄文経由でお二人の作品には、通底和音の様なものがどこか流れているのだと思う。

 そして最後に、たねやグループの本社屋「銅 屋根」の勇姿を見よ!(^^)
 (自分のFacebook 3D写真引用ですが、ちゃんと観えていますかね)

Akira Kieiさんの投稿 2020年10月24日土曜日

◆関連リンク
琵琶湖へ、藤森建築+バームクーヘン
会員公開講座 藤森照信「縄文のこころと建築」(伊東塾)

"藤森さんは、自身が影響を受けるのは縄文以前かモダニズムであり、どちらも「普遍性」があると指摘します。モダニズム期にはインターナショナルスタイルという言葉が使われましたが、縄文期の建築も地域性を感じさせない、もう一つのインターナショナルスタイルとしてみることができる。"

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2020.08.05

■画像 ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた、ベクシンスキーの「創造の柱(Pillars of Creation)」

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 ハッブル宇宙望遠鏡が1995年に捉えたへび座の星雲M16「わし星雲」の「創造の柱(Pillars of Creation)」(左)が、ズジスワフ・ベクシンスキーの1978年に描いた宇宙(Zdzisław Beksiński 1978)にとても似ている気がするのは、私だけでしょうか。

 創造の柱というのは、星間のガスが新しい星を生み出す場であるらしい(詳細下記リンク)。
 彼方で星が生まれ、ベクシンスキーのあの冷酷な世界が現出している様な気がしてしょうがない。いろいろな想像力を掻き立てる、ハッブルの生み出した素晴らしい絶景です。

わし星雲の「創造の柱」を支える磁場構造

" 観測された磁力線の向きは、弱い磁気を帯びたガスが圧縮されて柱状になったという仮説を支持するものだ。また、推定された磁場の強さは、柱が圧力や重力によってつぶれるのを防ぐのにちょうど必要な程度であり、「創造の柱」が磁場の助けによって形を保ち続けていることがわかった。"

◆関連リンク
当ブログ ベクシンスキー関連記事

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2020.07.22

■感想 「ガラスの変貌 Part IV」展 @多治見市文化工房 ギャラリーヴォイス

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 真ん中から、小林千紗 氏、 津守秀憲 氏の作品。

「ガラスの変貌 Part IV」展 @多治見市文化工房 ギャラリーヴォイス

"期間:2020.6.27 sat-8.9 sun 
出品作家:
沖文(Aya Oki)、勝川夏樹 (Natsuki Katsukawa)、神代良明(Yoshiaki Kojiro)、小林千紗 (Chisa Kobayashi)、小山敦子(Atsuko Koyama)、佐々木雅浩(Masahiro Sasaki)、津守秀憲(Hidenori Tsumori)、横山翔平(Shohei Yokoyama)

ガラスによる造形表現に焦点を当てたシリーズの4回目。活躍するガラス作家8名の作品を展示します。
時間: 10:00~18:00 ※最終日は15時まで
場所: 多治見市文化工房 ギャラリーヴォイス"

 近いので展示会のたびに訪れる多治見の街の中にある、無料で閲覧できる静かなギャラリー。
 今回は、陶磁器ではなく、ガラスによる奇妙な造形が気持ちいい展示会でした。

 いくつか写真でご紹介します。
 ここは撮影も可なので、立体造形物の3D写真、3D動画を撮るには、ありがたい展示会です。

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左から、勝川夏樹小山敦子横山翔平 氏の作品。

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左から、勝川夏樹 横山翔平 氏、佐々木雅浩 氏 の作品。

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左から、佐々木雅浩 氏 、沖文 氏、横山翔平 氏の作品。

 平面写真では今ひとつ、造形物の全容が伝わらないかもしれない。
 どれも形といい、風合いといい、素晴らしかったのだけれど、僕が特に好きだったのは、佐々木雅浩 氏の銀色の球体が幾つも繋ぎ合わさった作品と、横山翔平 氏 の深緑色のガラスが飴細工の様にうねっている作品。

 どちらも、ずっと見ていても飽きない、味わい深い、奇妙な造形で、素晴らしかったです。

◆関連リンク
当ブログ ギャラリーヴォイス展示会関連

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2020.04.27

■感想 関根光才監督 ドキュメンタリー映画『太陽の塔』


『太陽の塔』予告編

 関根光才監督 ドキュメンタリー『太陽の塔』Bluray初見。

 テレビでやる様な、万博の企画から制作までのドキュメンタリーかと思って見始めたら、何とこれは関係者への取材というより(そうした部分も前半に一部あるけれど)、学者からアーティストといった『太陽の塔』に関心を持つ人たちの、太陽の塔の分析をインタビューで追いかけたもの。

 太郎が留学先のパリ大学でマルセル・モースから民族学を学び、バタイユと知り合ってバタイユの作った秘密結社に参加したり、といったところから、帰国後の沖縄の習俗、東北の縄文に触れていく過程。特に縄文の火焔土器と獣との共生といった概念に日本人の本質を見ようとするところが、丁寧に描かれている。

 特に岩手の「地域の平安と悪霊の退散を祈願する鹿踊」の映像とアイヌの習俗を映像で示したところが、岡本太郎の思想を映像的に表現できているのではないだろうか。

 映画は、この後、太陽の塔とほぼ同時期に構想されていた「明日の神話」/Chim↑Pom事件経由で、311の原子力と日本人の関わりについて綴っていく。ここはある意味、太郎から飛躍して描かれている部分にも思えたが、監督と製作陣の受け止めた太郎の思想を受けとめた想いが結集しているのだろう。

 最後のパートも圧巻で、南方熊楠の粘菌と太陽の塔の地下の単細胞生物に込められた太郎の思いをつなぎ、曼陀羅とチベットへと世界を広げていく。

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 そして太陽の塔とチベットのトルマ:Torma(上画像 右)という太陽への供物の形の相似から、太郎の人の原意識みたいなものに触れていた感覚を描き出している。ここはチベットの僧の言葉と中沢新一の分析であるが、こうした解析は読んだことがなかったので、とても興味深かった。

 そして映画のイマジネーションは、冒頭と節々で描かれている未来と思われる日本の風景の中で、荒野となった千里の地に残された太陽の塔が未来人に与える畏怖を映し出す。

 思想的/哲学的分析と、さらにそうした空想の映像、そして「明日の神話」の前で、ダンサーの菅原小雪が絵から受けたイメージで身体を自然に動かしていくダンスで示された、そうした多面的な岡本太郎のイマジネーションが映像として焼き付けられていて、とても密度の高い太陽の塔映画となっていました。

 太郎のあの像に関心持つ方には興味深い映画になっていると思います。

◆関連リンク
「太陽の塔」誕生秘話 (風の旅行社)

"時は1960年代、大阪万博開催の数年前。
岡本太郎が、東京の池袋で、日本滞在中のチベット人の僧と出会った。
そのとき、彼が僧から写真を見せられながら、教示を受けたのが、チベットの供物であるトルマであった。

トルマは、チベットに仏教が入ってくる前にあった人身供養の習慣の名残りだという。
たしかに、その膨らみ具合(上部と下部の二箇所あるものが多い)には、何かしら女体を彷彿とさせるし、赤色に染めるのは、血の跡、だとも言われている。

我らが岡本太郎は、このトルマの写真を見て驚愕し、「原初と未来が同時に見られる不思議なもん」(*)と語ったという。

(*)部分は、岡本太郎の上のエピソードを筆者に初めてご教示くださった、友人であるS氏(共同通信社)の配信記事からの孫引きである。"

 トルマについてはネットにこうした説明がされていました。映画での説明とは矛盾しています。真偽は確認できませんが、岡本太郎にインスピレーションを与える何かがあったのかもしれないですね。

映画『太陽の塔』とは? 監督・関根光才に訊く6つのこと。

"事前にシナリオは作りましたが、ナレーションでこちらに都合のいいように導いてしまったら話が小さくなると思ったんです。自分のイメージから外に出ていって欲しかった。バックグラウンドとしてのシナリオはあるけど、みなさんがそれぞれに話していることが、あたかも人間の大きな意識のように繋がっている。まるで曼荼羅のように。そうなればもっとスケールが大きなものになると。"

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2020.01.08

■感想 『内藤ルネ展』@岡崎市ランドスケープミュージアム

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「Roots of Kawaii 内藤ルネ展 ~夢見ること、それが私の人生~」@岡崎市美術博物館

"名称:企画展「Roots of Kawaii 内藤ルネ展~夢見ること、それが私の人生~」
会期:2019年11月23日(土・祝)―2020年1月13日(月・祝)39日間
開館時間:午前10時~午後5時(入場は午後4時30分まで)
休館日:毎週月曜日※ただし1月13日は開館、年末年始(12月28日~1月3日)
観覧料:一般[高校生以上]800円(700円)/小中学生400円(350円)"

 『内藤ルネ展』@岡崎市ランドスケープミュージアム、観てきた。
 今回の観覧は、ルネファンであるうちの奥さんのお供だったけれど、岡崎市出身で、「ルーツオブカワイイ」と称される内藤ルネの60年代からの作品の数々を眺めて、少女漫画との関係やサンリオとの連続性等々、「カワイイ」の文脈の形成に、内藤ルネがどう影響するのかに思いを馳せるのでした。

 初期のイラストは残念ながら原画があまり残っていない様で、印刷版でした。
 後半、多数の原画が飾られていて、内藤ルネの感覚を直接体感できます。

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 またキャラクターグッズとして多数作られた陶器製のフィギュアがたくさん展示されていて、立体造形も堪能できます。

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 僕が買ってきたのは中原淳一の「ジュニアそれいゆ」表紙のシャープな眼の少女の絵葉書だったのですが…(^^)
 この右が中原淳一の絵葉書。眼が素晴らしい。

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 黒柳徹子はルネのファンで、自分のファッションは影響をずっと受けてるとか。玉ねぎ頭のルーツかも。

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 ミュージアムショップはさながらファンシーショップ的で目に鮮やか。うちの奥さんも多数買い込んでいました。
 内藤ルネは、岡崎市出身で岡崎市はかなり力を入れて、グッズ化を進め、道の駅 藤川とか、新東名の岡崎SAとかでもグッズ販売しているので、ファンの方で美術館まで行かれない方は、これらのショップで購入できる様です。

◆関連リンク
内藤ルネ 公式HP

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2019.11.27

■感想2 「未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか」@森美術館

 前回の記事に続いて「芸術と未来展」の写真の続きです。ここからは、「4.身体の拡散と倫理」と名付けられたコーナーから幾つかご紹介します。

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ガイ・ベン=アリ「cellF」
 世界初の脳細胞を用いたシンセサイザー、とのこと。
 作家の皮膚細胞由来のiPS細胞から作った約10万個の脳のニューロンネットワークに64個の電極を付け、それを「生きた外付けの脳」としてシンセサイザーを操作したとのこと。コンセプトは凄いですが、何だかもやっとした音が鳴っていました。

 SFファンとしてはこの「生きた外付けの脳」というのがキーですね。それにしてもこの脳に意識が、万が一にも(あり得ないと思いつつ)芽生えることがあったりしたら、物凄く恐ろしいですね。

やくしまるえつこ「わたしは人類」
 25億年前から生息する微生物(シネココッカスというラン藻)の塩基配列を特殊暗号表「Cipher」によって変換、遺伝子組み換え微生物のDNAに保存。人類滅亡後の音楽として演奏を奏でている。

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アギ・へインズ「変容」シリーズ
 外科手術で身体機能を強化した5人の新生児。写真左は「体温調整皮膚形成手術」というタイトルで、遺伝子操作で頭皮を引き伸ばし放熱能力を上げ、地球温暖化の環境下でも働ける、と解説されている。倫理感を問いかけるとのことだけれど、これはあまりにえぐい。人間はここまで進化に関与してしまうのでしょうかね。科学の行き着く先としてありうる未来なのでしょうか。

エイミー・カール「進化の核心」
 写真右 新しい血管系を提案する3Dプリンタで制作された心臓とのこと。脳梗塞を起こす心臓内の構造欠陥(左心耳)等、現在の心臓はベストの構造と言えないため、こうした新しい構造提案もありかもしれない。しかしこちらにはあまり不気味さは感じないのに、先ほどの赤ちゃんのは不気味に感じるのはなぜだろう。

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リー・シャン
 人間の体の一部が昆虫の一部になっている。上のハエとカエル、どこが人間の部品かわかりますか。


◆続いて 5.変容する社会と人間 について

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丸山典宏、升森敦士、池上高志、小川浩平、石黒浩、ジェスティーヌ・エマール「オルタ3」
 セントラル・パターン・ジェネレータによる周期的な自律した動きと、外部情報に呼応するニューラルネットワークの相互作用によって生み出される、奇怪な人のようなものの動き。メカと皮膚のハイブリッド構造はやはり気持ちが悪い。

手塚治虫『火の鳥 未来篇、太陽篇』のパネルと原画展示、諸星大二郎 原画展示
 特に『マッドメン』、あの飛行機(バルス)のシーン、『暗黒神話』の弟橘の身体が溶け崩れるシーンの原画が見れたのは幸せだった。
 人間の変容の未来を想起する展示を見せられた後、これら漫画の先見的なシーンを見られるのは格別のイメージ。できればSF作家の小説もこのような形で展示して欲しかった。

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メモ・アクテン「深い瞑想」
 Flickerの"everything"タグの写真から、ニューラルネットで動画を生成した作品。「未来と芸術」展では、これを24面分、プロジェクタで300インチくらいの壁面に映して、凄い空間を形成。大空間で浸ると異世界へトリップ、異星の知性を見る様なAIアートです。

参考 Memo Akten 公式HP このような動画です。

 

Deep Meditations 5 minute excerpt from Memo Akten on Vimeo


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アウチ「データモノリス」
 高さ5mの直方体にプロジェクタで映像を映し出す作品。なかなかダイナミックで良かったが、SF映画ファンとして残念だったのは、直方体が1:4:9でなかったところ。1が厚すぎました(^^;)。

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 そして最後は、森美術館のショップにあった『アキラ』グッズコーナー。海洋堂のminiQというフィギュアがディスプレイされていて、なかなかの見ものでした。

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2019.11.25

■感想1 「未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか」@森美術館

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未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか (公式サイト)

"豊かさとは何か、人間とは何か、生命とは何か
2019.11.19(火)~ 2020.3.29(日)"

 東京出張の帰りに「未来と芸術」展 @ 森美術館 観てきた。

 AIが都市や建築、衣装や映像を創り、バイオ技術が神経細胞による音楽やバッハの耳や進化したベビーを生み出し、3Dプリンタが人造寿司や月面基地を作り出すおぞましくも輝かしい未来。本業側で聴いたAIによる異様な知性の話とともに印象的な1日になりました。

 一番強いインパクトを受けた映像は、1番目の写真にある、メモ・アクテン「深い瞑想:60分で見る、ほとんど「すべて」の略史」という作品。どこにもないが、何処かでいつか観た様な異様な、AIが創り出した自然の光景。時間が許せば、いつまでも観てたい魅力の奇想映像。

 そして「未来の芸術」展、最後のコーナーにそうした未来を予見した手塚治虫と諸星大二郎の原画が置かれていたのが象徴的な、素敵に不気味な展示会体験でした。※

 その最後のコーナーのタイトルは「人類の変容」、ここはブルース・スターリングの描いた未来を垣間みせるバイオな超人を夢見るコーナーw。そういえば、この展示でSF作家の小説との連関が示されたり、小説の世界が紹介されてなかったのは残念。(一部、展示キャプションにいささか唐突にP.K.ディックの言葉は出てくるが、作品の引用とは言えない)

 あとメモしときたいのは、AI各作品で感じた<アウトサイダーアート>感。AIの同じ計算を根気よく延々繰り返して創り出す奇想は、「アウトサイダーアート」展で見た数々の奇想作品と肌合いが似ている。これがどこから来る印象かはもう少し考え続けてみたいと思う。とりあえず思いつく言葉は、スターリングとも通じる、デッドテックでパンクでゴミガジェットっぽい感じでしょうか…。

※手塚作品『火の鳥 未来篇』、諸星作品「夢見る機械」『暗黒神話』『孔子暗黒伝』『マッドメン』「失楽園」。

◆個別作品の写真とレポート

 以下、個別写真の紹介と簡単なレポートです。

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 MADアーキテクツ「山水都市リサーチ」と ハッセルスタジオ+EOC「NASA 3Dプリンター製住居コンペ案」。
 後者は、CG動画による3Dプリンターの建築の様子も並設され左かなか。

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 SF映画とアニメからポスターと映像を紹介した五十嵐太郎「映画に見る未来都市」とウォーターフロントの未来都市に映像によるAR/MR的な表現を加えた経産省「2025年大阪・関西万博誘地計画案」。

 ここで取り上げられるのは、アキラ、攻殻機動隊、メトロポリス、TRON、ブラックパンサー、レディプレイヤーワン、ブレードランナー、エヴァンゲリオン、といった作品。しかし都市の未来は特にディスプレイされておらず残念。

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 エコ・ロジック・スタジオ 「H.O. R.T.U.S. XL アスタキサンチンg」。
 3Dプリンタによる建築プロトタイプ。六本木ヒルズからの眺望とこの立体模型の組合せがなかなかのセンスオブワンダー。

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 ニュー・テリトリーズ/フランソワ・ロッシュ「気分の建築」(以下、展示キャプションの 引用です)

"(略)「気分の建築」の基盤となっているのは、欲望の表出に内在する矛盾を再読することである。(略)言語の秩序と建築家の協調組合主義的な利便性や慣習に揺さぶりをかけるという立場から、「誤解」と抵抗のプロセスを物理的に構築するために、言語が持つ偽装のメカニズムに侵入することである。(略)現在、AIによるディープラーニングや演算ロボットのような、機械設備、工学技術、科学の専門知識と制御が、権力構造を維持および再現するための主な方法となっている。それに対する解毒剤を打つ時が来ているのだ。

「この世界がひどいと思うなら、別の世界に目をむけるべきだ」フィリップ・K・ディック "

 相当に難解な内容で今ひとつ理解できないですが、表現したいことは何となく伝わってきます。AIによるジェネレイティブデザインという先端の技術が人の言語や欲望と紐付けられ、なかなかワクワクする造形になっています。引用されていたディックの言葉ともう少しリンクしていると良かったかと。

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 OPEN MEAL「スシ・シンギュラリティ」。

 食の四原色SSSB(ソルティ、スイート、サワー、ビター)で寿司をデータ化、米粉、寒天、大豆、海藻など原材料のジェルを素材とし3Dプリンタやロボットアームで造形化するコンセプト。寿司という日本の食文化は、回転寿司というテクノロジーとの融合(一部の寿司は機械で握られているものもあった)で我々の現実に定着しているけれど、今後、IT(3Dプリンタ)、バイオ技術との融合でこうした奇妙奇天烈なものも出てくる可能性をどこか想像させる。しかし、寿司に「シンギュラリティ」の言葉がくっつく時代が来ようとは、、、!!

 ここまでで全体の半分、残りは次回の記事とさせて頂きます。この後がバイオ技術で奇妙な歪んだ未来が提示されていきます。

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2019.08.21

■感想 平野暁臣編著『太陽の塔』

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平野暁臣編著『太陽の塔』(小学館 公式HP)

"再生を果たした太陽の塔の真髄に迫る
2018年3月に恒久的なミュージアムに生まれ変わる太陽の塔。
 既刊『岡本太郎と太陽の塔』とおなじく、貴重なヴィジュアル資料を豊富に収録するとともに、新たに発掘された種々の秘蔵史料を初公開。太陽の塔の制作状況を時系列で追った250枚におよぶ「実録・太陽の塔」をはじめ、本書が備える高い資料価値は、一般読者のみならず図書館や学校、研究者等の期待にも応える内容となっています。また、今回の「太陽の塔再生プロジェクト」を指揮した著者自らが著すプロジェクトの記録は後世に残すべき資料となりました。
 さらに建築家・磯崎新、作家・森見登美彦、文芸批評家・安藤礼二の論考も収録。多面的な角度から太陽の塔を読み解くヒントを満載しています。"

 平野暁臣編著『太陽の塔』読了。先日の太陽の塔の内部見学の衝撃から、建造当時の様子を知りたくて読んでみた。多数の当時の写真と平野暁臣氏による渾身の長文レポート「実録・太陽の塔」が素晴らしい。

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 写真で特に興味深かったのは、現在のリビルドで再生されなかった地下空間と空中展示の概要がわかったこと。それぞれ、人の原初的な無意識領域と進歩の先の未来を描いた展示で、中間の太陽の塔と生命の樹をセットで本来の万博テーマ空間が表現されているわけで、見学できた部分に組み合わせてイメージすることで、岡本太郎の構想にちょっとだけ近づくことができた感触。

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 平野暁臣氏の「実録・太陽の塔」は、岡本太郎の著作や対談、当時の公式記録、新聞記事、岡本敏子さんのメモ等から丹念に時系列でドキュメントとして描き出した労作。コンセプトの誕生から、岡本太郎のテーマ館プロデューサー就任の過程、精力的な組織編成と世界を飛び回ってのプロデュースの生々しい再現。まさに岡本太郎の強い想いの具現化の軌跡がトレースできて、より立体的に太陽の塔の全体像に近づくことができる。

◆関連リンク
平野暁臣さんに聞く『太陽の塔』と『明日の神話』のストーリー(ほぼ日)

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