文化・芸術

2019.05.20

■感想 「櫛野展正のアウトサイド・ジャパン展」@東京ドームシティGallery AaMo

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「櫛野展正のアウトサイド・ジャパン展」 @ 後楽園

" 日本唯一のアウトサイダー・キュレーター 櫛野展正さんによる「アウトサイド・ジャパン 日本のアウトサイダー・アート」の刊行を記念した初の大規模展覧会『櫛野展正のアウトサイド・ジャパン展』を、2019年4月12日(金)~5月19日(日)の期間開催します。

 本展では、櫛野展正さんによる、障がいの有無にかかわらず、70名を超える、表現せずには生きられない、表現者と呼ぶにふさわしい隠れた芸術家たちの作品2,000点以上が一堂に会します。書籍「アウトサイド・ジャパン 日本のアウトサイダー・アート」に登場する注目のアーティストによる作品を中心に、「ヤンキー文化」や「シルバーアート(老人アート)」などの芸術作品「アウトサイダー・アート」の驚きの作品の数々が並ぶ展覧会です。"

 ゴールデンウィークの4/29()に、バラエティに富んだプリミティブアートを堪能しました。
 タイミングがあって、櫛野氏のギャラリートークも聴けて、各作家のエピソードと個性に圧倒されつつ、人の精神のワンダーに潜入していくダイナミズムに、爆笑したり感応し過ぎてちょっとグッタリ感も(^^;)

 ここでのアウトサイダーは、「障害のあるなしにかかわらず、表現せずには生きられない、表現者と呼ぶにふさわしい隠れた芸術家たち」の探索を目指してるとか。

 例えるなら、「探偵ナイトスクープ」の人の深奥を覗いたような濃いエピソードとパラダイスエピソードを10本続けて観たような疲労感(^^)。
 以下、そのほんの一角の写真と簡単な感想レポートです。

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 栃木県の「創作仮面館」ストレンジナイト氏の作品。新聞配達をしてひとりでマスクを作り続けていたアーティスト。亡くなった後に実は家族もあり、作家像そのものがフィクションだとわかったとか。密集した仮面の迫力が圧倒的。是非リンク先の「創作仮面館」の写真も見てください。素晴らしい奇想の迫力。

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 左は戦隊モノに憧れてコスチュームと動画を作り続ける兵庫県の伊勢田勝行氏の作品。動画は戦隊アニメーションで声もご本人。好きであるということのパワーを体感できます。
 まん中は広島県のスギノイチヲ氏の顔模倣写真。
 右は「蝋プロ」松崎覚氏の、三島由紀夫とマイケル・ジャクソン、高精細の蝋人形。髭の一本一本まで植えられてました。確認のため顔を3cmほどの距離に接近。何故か赤面するほどのリアル(^^)。リンク先 「蝋プロ」のHPには芥川龍之介、ダリ、ピカソ、ジョン・レノンの素晴らしい造形があります。

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 左 広島県「ホラー喫茶 伴天連」藤田喜代男氏の動物の骨を加工したオブジェ。この奇怪な造形は一度見たら呪われそうな迫力です。(関連リンク 喫茶 伴天連インスタグラム)
 中央 群馬県 稲村米治氏の「昆虫新田義貞像」本物の昆虫約5千匹をピン留し作成。2万匹以上を使った「昆虫千手観音像」もあるらしい。
 右 史上最年長で東京造形大の学生となった 東京都 一つ桺 恋路氏の「落ち武者」、こちらも蝉の抜け殻、手羽先の骨等の「亡骸」で作られた「死者」のアート。

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 左 久留米市の「カラフルおじさん」こと富松義孝氏の衣装と自転車。過剰な色もアウトサイダーの注目ポイントです。
 中央 広島の山の中で奇妙なスナック「ジルバ」を経営している城田貞夫氏のカラクリ人形作品。まさに「探偵ナイトスクープ」のパラダイスのごとしw。
 
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 まん中 杉作J太郎氏のカジュアル書道。ひとつづつがわらけます。
 左と右 愛知県 村上千洋子 茂樹夫妻のシルクスクリーンのブローチ。ナムジュン・パイクとヨーゼフ・ボイス。フランシス・ベーコンとウィリアム・バロウズという取り合わせがいい感じ。

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 広島で清掃員をしながら芸術しているガタロ氏の作品。右が毎日、掃除後の雑巾をスケッチした1年分の作品群。圧巻です。

◆関連リンク
クシノテラス
櫛野展正『アウトサイド・ジャパン 日本のアウトサイダー・アート』(Amazon)
 こちらが櫛野展正 さんの著作。ここでも紹介したアーティストほか、とても興味深い人々が登場しています。是非。

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2019.05.13

■感想 「シド・ミード展 未来のリハーサル」@アーツ千代田3331

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 シド・ミード展 未来のリハーサル

"  2019.4/27(sat)▶5/19(sun) アーツ千代田3331 "

 ゴールデンウィークの東京で、4/27(土) シド・ミード展に行ってきました。この日は全く待ち時間なく入れて、まあゆったり見られたのですが(それでもリンチ展の数十倍の観客w)、次の日からは数時間待ちとか大変だったようです。

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 展示作品リストにあるように、150点の作品が展示され、なかなかの圧巻の鑑賞体験でした。
 かつてスターログで初めてシド・ミードの絵を眼にしてから、すでに数十年、彼が幻視した未来に我々は住んでいるわけですが、今見ても古びていない未来描写にため息ばかりの鑑賞でした。

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 アーツ千代田3331は、視野しんのように学校をリノベーションした美術館で、小さく写っていますが、シド・ミード展の隣では「神田祭の元年」展が開催されており、御輿とミードの未来透視力の対比がまたいい味を出していました(^^)。

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OBLAGON AR
 スマホにアプリを入れて、ARでCG化されたミード造形物に近づいて、いろんな角度から観られるのも面白かった。
 写真のようなイラストにアプリOBLAGON AR を入れて、 スマホを絵に向けると、その絵に上書きされてミードの制作過程の下絵であるとか、絵を3D-CG化して、観客が回り込んで絵の中の構造物やメカをいろんな角度から見られるような映像が現れる。
 この趣向は美術の展示会では初めてだったけれど、なかなか素晴らしい、いろんな可能性のある展示形態かと思う。今後の進化が楽しみです。

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2019.05.06

■感想 「デヴィッド ・ リンチ 精神的辺境の帝国」展@ 渋谷 GYRE GALLERY

"デヴィッド・リンチ 精神的辺境の帝国
会期:2019年4月19日〜6月23日
会場:GYRE GALLERY
住所:東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE3階
開館時間:11:00〜20:00
入場料金 : 無料
休館日:無休"

 「デヴィッド ・ リンチ_精神的辺境の帝国」展@ 渋谷 GYRE GALLERY、ゴールデンウィークに観てきました。
 今回、会場は自由に写真撮影可ということで、多数撮ってきましたので、今回は写真レポートということにします。

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 会場にブラックロッジが存在し、赤いカーテンの部屋でリンチの2015年の「FiRE (PoZaR)」という短篇アニメーションを体験できます。

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 短編はリンチのドローイングをアニメーションとして動かしたものでストレンジな雰囲気を堪能できる作品です。この記事のラストにその一部動画を引用しておきます。全篇を是非会場でごらんください。

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 会場は思ったより規模が大きく、ペインティング7点、ドローイング3点、工業地帯の写真22点、水彩画12点をじっくり堪能できます。何と無料で。

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 リンチの油絵の具を盛った独特の絵画がとても好きなので、今回もこれらに見惚れて帰ってきました。

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  そしてGYREのビル内は地下から5Fまでの吹き抜けがこの展示のチラシのタワーによって、デイヴィッド・リンチの精神的辺境の帝国として空間を支配されています。この吹き抜けだけでもリンチファン必見です。

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 同じフロアにあるMoMAショップではリンチデザインのスピーカーが販売されていました。この値段では僕は手が出ないですが、ファンの方は是非ご検討ください。

◆動画「FiRE (PoZaR)」一部引用 

 

■もうひとつのリンチ展
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 そして会場で配布されていたチラシ。「デヴィッド・リンチ 昏い幻想 David Lynch Industrial Fantasy」というもう1つの展示会が5/10から、「精神的辺境の帝国」展のキュレーターでもある飯田高誉氏が主宰する スクールデレック芸術社会学研究所で金土日開催(火水木は事前予約性)とのこと!こちらは「Industrial Fantasy」と名付けられていることからリンチの写真中心なのかもしれません。まだスクールデレック芸術社会学研究所の公式HPには詳細が記載されていないため、今後の情報に注目です。

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2019.04.22

■感想 「大徳寺龍光院 国宝 曜変天目と破草鞋」@ミホ・ミュージアム 滋賀県信楽

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「大徳寺龍光院 国宝 曜変天目と破草鞋」

"会期 2019年3月21日(木) - 5月19日(日)
開館時間 午前10時~午後5時 (入館は午後4時まで)
休館日 月曜日 ※4月29日(月)、5月6日(月)は開館 4月30日(火)、5月7日(火)は休館"

 「大徳寺龍光院 国宝曜変天目と破草鞋(はそうあい)」展@MIHO MUSEUM、観てきました。
 ゴールデンウィークで混む前にと思い、4/20土曜の15時くらいに行って約45分待ち。美術館に入場して、曜変天目の展示会場前で30分、会場に入ってそこから奥に置かれた曜変天目のところまでの行列で15分待ち。

 世界に3つしか存在しないという曜変天目の宇宙を拝んできました。

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 ちょうど美術館構内のしだれ桜も満開で桃源郷にブラックホールを観る想い(^^)。美術館手前のしだれ桜は、美術館専用の歩道のトンネルの中から観た光景がまた素晴らしいものでした。半円形の望遠鏡から覗く景色。

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 展示タイトルの「曜変天目と破草鞋」は、会場前にあった説明書き(上写真)によると、貴重すぎて値の付けようのない「曜変天目」は「破草鞋」 (やぶれたぞうり)と同じであるという禅的解釈から来ているとのこと。
 「破草鞋」も展示されていると期待したのだけれど、美術館の方に尋ねると、それは雰囲気を味わってほしい、ということで実物の展示はされていないとのこと。残念!! w

◆関連リンク
【音声配信】「その輝きは、まるで宇宙!?世界に3つしか現存しない国宝『曜変天目』
 その秘密と魅力に迫る!」荻上チキ×橋本麻里×長谷川祥子▼2019年4月12日(金)放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」平日22時~)

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2019.03.20

■情報 「デヴィッド・リンチ 精神的辺境の帝国」展 @ GYRE GALLERY

"デヴィッド・リンチ 精神的辺境の帝国
会期:2019年4月19日〜6月23日
会場:GYRE GALLERY
住所:東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE3階
開館時間:11:00〜20:00
休館日:無休"

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〈GYRE GALLERY〉第1弾はデヴィッド・リンチにフォーカス。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS.

"映画監督、脚本家、プロデューサー、ミュージシャン、アーティスト、俳優としても活躍するデヴィッド・リンチは、シュルレアリスティックな作風と個性的な映画スタイルを確立した、“カルトの帝王” とも呼ばれている。この本展はタイトルにもなっている「精神的辺境の帝国」というコンセプトに合わせ、デヴィッド・リンチ本人とキュレーターを務める飯田高誉により選びぬかれたペインティング7点、ドローイング3点、工業地帯の写真22点、水彩画12点(予定)が展示される。これらは、リンチ初期の代表作『イレーザーヘッド』と、その映画ロケを行った制作現場のフィラデルフィア工業地帯へのインスピレーションに捧げたものとなっており、リンチの創作の原点を見据えた展覧会構成と言える。

「ペインティングと映画には、従うべきルールがある。このルールは、とても親密なもので抽象的なものである。なおかつ、無限の可能性を秘めている。ときにこれらのルールは存在しないとさえも思わせるほどだ。しかし、確かに、ルールは存在する。それらのルールは本には書かれていないが、我々の精神と心の中に内在する。行動と決断の直前、あるいは直後に、それらは直感を通してその存在を現す。これらのルールは、すべての表現媒体に適応する。それらに従えば、幸福がもたらされる」とコメントを寄せている。"

 デイヴィッド・リンチの日本での7年ぶりの美術展(前回は、2012年11-12月のデイヴィッド・リンチ展 〜暴力と静寂に棲むカオス@ラフォーレミュージアム原宿)。

 規模から言うと前回のラフォーレの展示に比べると随分こじんまりとしたものになる様だけれど、現在のリンチの日本での知名度(映画は『インランド・エンパイア』以降作られておらず、傑作『ツイン・ピークス シーズン3』はWOWOWのみの公開)からは、開催されることだけでもファンは喜ばないといけないだろう。

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 この左の写真は、『ツイン・ピークス season3』の造形物を想起させずにはおかない。今回、22点の写真作品が公開されるとのことだけれど、こうしたリンチ独特のデッドテックな工場地帯の写真、生で見るのは初めてなので、大変楽しみ。

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 そして絵画作品は、ペインティング7点、ドローイング3点、水彩画12点の合計22点を計画しているという。ラフォーレミュージアム原宿での展示の際、大判のペインティングが素晴らしい迫力だったのだけれど、今回、どの程度の大きさの絵画作品が並ぶのか、楽しみに4月を待ちたいと思う。

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2019.03.18

■動画 ヴィアレッジョ2019年のカーニバル 満潮 "Carnevale di Viareggio 2019 - Alta marea"


Carnevale di Viareggio 2019 - Alta marea - YouTube

 イタリアのカーニバル Carnevale di Viareggio のパレード。巨鯨のアート作品。
 鯨の口に入っているのは、海に投棄されたプラスチックとのこと。環境問題を提起したアート作品になっている。そうした問題意識よりもインパクトのある、この巨鯨の造形が素晴らしい。

 鯨表面の猥雑なテクスチャアとか、鯨の体の動きとか。なかなかの完成度で、近くで是非観てみたいものです。


Goldrake Generation... anche dall'alto! - Carnevale di Follonica 2019 - YouTube

 こちらは同じカーニバルの全高約15mのグレンダイザー!
 ビルや人々のコスチュームも含めて、欧州のグレンダイザー人気は根深く定着している様です。

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2019.03.11

■情報 デイヴィッド・リンチ イギリス初のアート展 "David Lynch: My Head is Disconnected"

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David Lynch: My Head is Disconnected - HOME

Google翻訳引用
“David Lynch:私の頭はディスコネクトされた

2019年7月6日 - 2019年9月29日
 1960年代後半から60以上の奇妙で素晴らしい作品をフィーチャーして、我々が先駆的な映画監督と芸術家デビッドリンチによる作品の最初の英国の主要な展覧会を主催するように現代。

 Elephant Man、Blue Velvet 、TV番組Twin Peaksなどの映画で最もよく知られていますが、私たちの多くはすでにリンチのオンスクリーンビジョンに精通していますが、ペンシルベニア美術アカデミーを卒業して以来、彼は絵画、彫刻、写真、そして絵を描くことで、日常生活の内的な働きをまとめます。 彼の作品では、平凡なことは暗くて風変わりな内部探査の機会を提供しています。 傷のある、焦げた、そして立体的な形をしたリンチの表面は、魂への窓のようなものです。

 私の頭は切り離されています
 彼の壁ベースの彫刻作品の主要な展覧会です。4つのテーマは40年以上にわたって発展してきた芸術的経歴を結びつけます。
 展覧会の最初の章では、 City on Fireという題名で、極端なディストピアンの風景と、それが住む人々に与える影響について探ります。 何もないここでは、一連の幅広いキャラクターを通して人間の精神と心の脆弱性を見ています。
 インダストリアルエンパイアは、労働、産業、そして環境のテーマに関する絵を描いています。
 展覧会の最後の章、 Bedtime Storiesは 、彼の暗い物語とキャラクターを彼ら自身の宇宙で一緒に折り畳むリンチによる新しい作品を特徴とします。 私の頭が切断されているのと同時に、HOMEのDavid Lynchも特別にキュレーションされた音楽イベントと映画の回顧展を特集します。“

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 デイヴィッド・リンチのイギリス初 マンチェスターでの展覧会の公式HPの記事。

 まだ少し先の7月からということだけれど、展覧スペースは4つに分けられて、映画とアートと音楽イベントが開催されるということで、かなり大規模な展覧会になっているようです。
 夏休みにイギリス旅行を企画されている方にはお薦めです。

 日本でもすでに何年も開催されていないため、デイヴィッド・リンチのアート展、どこかで開いて頂きたいものです。

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2019.03.06

■感想 特別展「挑む浮世絵 国芳から芳年へ」@名古屋市博物館


特別展「挑む浮世絵 国芳から芳年へ」スペシャル映像 - YouTube

特別展 挑む 浮世絵 国芳から芳年へ:中日新聞(CHUNICHI Web) 名古屋市博物館

"怪奇、快感。  旺盛な好奇心と柔軟な発想、豊かな表現力を武器として浮世絵のさらなる活性化につなげた歌川国芳 (1797年から1861年)。本展では国芳の武者絵を中心としながら、月岡芳年(1839年から92年)ら弟子たちの作品にもスポットを当てます。"

 『国芳から芳年へ』@名古屋市博物館 観てきた。浮世絵鑑賞初体験。怪異画、妖怪画、奇想画、残酷画のオンパレードで正に眼の保養となったw。

 やはり国芳の過剰なイマジネーションが突出してる。この奇想を描かずにおれない、内部的な衝動、素晴らしい。江戸末期のワイドスクリーン映像、国芳にも影響したという講談の語りとともに観ると、江戸の人々は脳内で素晴らしいスペクタクル映像を体験していたことが伺えて楽しい(^^)。

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 この展覧会、写真撮り放題ということで、沢山iPhoneに奇想を積み込んで家路に着いたのですw。

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2019.02.04

■感想 ダニエル・L・エヴェレット『ピダハン 「言語本能」を超える文化と世界観』"DON’T SLEEP, THERE ARE SNAKES Life and Language in the Amazonian Jungle"

" 著者のピダハン研究を、認知科学者S・ピンカーは「パーティーに投げ込まれた爆弾」と評した。ピダハンはアマゾンの奥地に暮らす少数民族。400人を割るという彼らの文化が、チョムスキー以来の言語学のパラダイムである「言語本能」論を揺るがす論争を巻き起こしたという。(略)
 ピダハンの文化には「右と左」や、数の概念、色の名前さえも存在しない。神も、創世神話もない。この文化が何百年にもわたって文明の影響に抵抗できた理由、そしてピダハンの生活と言語の特徴すべての源でもある、彼らの堅固な哲学とは……?
 著者はもともと福音派の献身的な伝道師としてピダハンの村に赴いた。それがピダハンの世界観に衝撃を受け、逆に無神論へと導かれてしまう。ピダハンを知ってから言語学者としても主流のアプローチとは袂を分かち、本書でも普遍文法への批判を正面から展開している。"

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 僕たちSFファンにとっては言語と人類というと、かならず思い出すのが山田正紀『神狩り』。そこには関係代名詞が13重以上の言語が登場し神の言語を幻視させる。
 
 ここに出てくる現在は400人くらいしか残っていないピタハンの言語は、入れ子構造を取ることがない。
 関係代名詞ということではなく、リカージョン:再帰(入れ子構造)の語法自体がないということなのだけれど、思わずSFファンなら『神狩り』を思い出すだろう。
 しかしこの本では、キリスト教の伝道師としてアマゾンへ入った著者がそのピダハンの生活にふれるうちに、創世記、神といった概念も存在しないピダハンの平安な暮らしにふれるうち、神を信じられなくなり、家族をなくすことになっても、「脱信仰」宣言をすることになる。

 『神狩り』が関係代名詞の数で神の存在を描き出したのに対して、そうした再帰的な言語構造のないことから、神の不在を徹底して体感してしまう著者。神を殺すのに関係代名詞/再帰がないことが一つの証明になる、というところがなかなか興味深い。

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 山田正紀の「神」が何だったかは本篇と第二部でも直接は語られていない。しかし物語から浮かび上がってくるのは、神が(言語によって)人の産み出した概念的な存在である、ということである。そんな理解をしつつ『神狩り』を読んでいた僕には、このピダハンが概念というものを持たない存在である、というところがダニエル・L・エヴェレットから「神を狩ってしまう」ことがとても印象深かった。

 ピダハンの言語には、右と左、数、色、過去/未来といった概念的なものがない。彼らが重んじるのは、言語で語られる事柄が、語る相手の経験したことか、直接経験した者から直接聞いたものかどうか。夢や精霊といったものも含み、現実に即した物事のみが語られる。

 この等距離で物事を語ることから、彼らは「心配」という概念も持たず、物事が複雑化したり、誤解が拡大したりといった事象から無縁。これにより筆者が書くようにこの世の中で最も幸福な民族として存在しているという。
 他の民族が西欧的な文明化をするか、現在の文明を維持するかで悩んでいるのに対して、ピダハンはそのような悩みも持たない。

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 僕はチョムスキーの普遍文法というのはあまり興味がなく、また著者が執拗にチョムスキーの対語として書いている文化が言語に影響されている、という考え方もあまりに当たり前すぎて、なぜあえてそんなところに議論の命題をおくのかな、と思ってしまうので、そこんところをあれこれ批評しようとは思わない。

 言語/意識が幻想を作り出す一つの装置であると思うので、ピダハンが直接体験することのみを言葉で語ることにしているところが、そうした人の持つ概念や幻想を生じさせることなく、人と人の軋轢や争いを生み出していないところが最も興味深いところだった。
 直接本書には書かれていないが、この体験したことのみを語るということと、リカージョン:再帰がないということは、おそらく密接に関係しているだろう。
 つまり再帰して入れ子構造になる程、事柄の関節性が高くなっていく。それがピダハンが直接体験したこと以外の概念的なこと、関節的なことを語らないのは、まさに文化が言語と密接に結びついていることの証左ではないだろうか。
◆関連リンク


Spoken Pirahã with subtitles - YouTube
 こちらにピダハンの言葉を捉えた動画があります。


The Amazon Code - 動画 Dailymotion

Eテレ「地球ドラマチック選 『ピダハン 謎の言語を操るアマゾンの民』」への反応 - Togetter

Eテレ「地球ドラマチック選 『ピダハン 謎の言語を操るアマゾンの民』」への反応 (3ページ目) - Togetter.

"ピダハンがチョムスキーの「普遍文法=再帰」の反証になるとすれば、それは「ピダハンのこどもは再帰を含む文法構造を持つ言語を獲得できない」ということが示された時です。そして現在ピダハンのこどもがポルトガル語を学んでいるという情報から考えて、そういうことが起こる可能性はとても低いです。"

 僕は上述したように特に強い興味はありませんが、エヴェレットのチョムスキー批判について冷静な分析を、アニ@gorotakuさんという方が、うまく纏められています。参考に。

ピダハン 謎の言語を操るアマゾンの民|地球ドラマチック – テレビのまとめ.

ノーム・チョムスキーは「リカージョンはあらゆる言語に存在する」としています。これはチョムスキーが唱え言語学界の定説となっている理論「普遍文法」の最も重要なルールなのです。
チョムスキーが唱える普遍文法とは、文法は生まれつき人間の遺伝子の中にそなわっているとする理論です。この理論によると人間の言語は表面的な違いに関わらず、全て同じ構造を持っていると言います。
 本書のポイントを簡潔にまとめられている。

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2019.01.16

■写真レポート ルーブル彫刻美術館 : Louvre Sculpture Museum

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ルーブル彫刻美術館 - Wikipedia

" ルーブル美術館の世界唯一の姉妹館である。「姉妹館」であって「分館」ではないため、ルーブル美術館の公式サイトには掲載されていない。
 建物は黒川紀章が設計したもので、1987年(昭和62年)に開館した。開館時にはルーブル美術館館長が訪れ、年間10万人の来館者があった。

 館内の作品はルーブル美術館にある、彫刻作品約1300点を本物から直接型をとり作成したレプリカを展示している。サモトラケのニケやミロのヴィーナスはじめとして、日本に居ながらにして彫刻作品を楽しむことができる。
 常設展示作品はルーブル美術館のほか大英博物館やメトロポリタン美術館など欧米の有名美術館のものもある。"

 三重県津市 ルーブル彫刻美術館へ行ってきた。
 本家の正式姉妹館とのことで、彫像はいずれも本物から型を取ったレプリカ。ミロのヴィーナス、サモトラケのニケ、自由の女神と千手観音、阿修羅像が同時に並ぶ異界。B級感覚に痺れます(^^)。

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 ローマの彫像の後ろに千手観音の背面。そのさらに奥(美術館入り口)にはツタンカーメンの像、天使たちとサモトラケのニケが、本家ルーブルと同じガラスのピラミッドの空間に展示されている。

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 これらの像を一度に全て見られるのは、なかなか貴重です。
 写真も自由ということでたくさん撮ってきましたが、彫刻作品は以前からここに書いているように3D写真、3D動画で記録するのが最適なので、3Dハンディカムでしっかり撮ってきました。

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 3D動画はなかなかネットでの公開は難しいので(Youtubeでやればすぐか、、、w)、Facebookの新機能の疑似3Dフォトとして、リンク先に掲載してみました。ご確認いただければ幸いです。

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 外壁にはナポレオン像とモナリザ。美術館前には全高7-8mのミロのヴィーナス、サモトラケのニケ、そして何故か自由の女神が建てられています。

 すぐとなり、同じ宗教法人の施設として大観音寺という寺社(?)があり、そこには高さ33mの大観音像、七福神等々が置かれている。西欧の至宝から仏教芸術まで、巨大な彫像含め堪能できるB級空間です(^^)。

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