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2004.05.08

■NHK トップランナー「ヤノベケンジ」

 録画しておいたトップランナーを観た。

 名古屋港で数年前に開催されたヤノベケンジの作品展(「ルナ・プロジェクト−エマージェンシー・ショッパーズ」現代美術館1999年)に行った時、何故か あの作品たちのある空間にいると落ち着く 自分を発見した。ヤノベ氏が同世代であること、そして万博や観て育ったTV・映画の共通体験が背景になっていると思う。きっとヤノベ氏が作品をつくる時に、自分自身がそれといると現実がしっくりと自分に馴染む、というベクトルを持たせようとしているから、同じ背景を持った僕たちもそれを同時に感じられるのではないか、と思う。
 作品のテーマは(きっと)デッドテックな現代であったり、終末感、未来の夢の廃墟だったりするわけだけれど、僕にはそうした表面上のテーマ設定らしきものよりも、ヤノベ作品の魅力は上記の事なのである。こうしたテーマ設定自体が、60~90年代の時代の雰囲気であり上記背景のひとつであるのかもしれない。

 番組では、ヤノベ氏が21世紀の自分のテーマについて語るシーンがある。今までの「自分というものでなくして、もっと他のもの違う人への想いを付け加える」というようなことを言っている。「アトムスーツがリアルタイムに必要になった」現在、アーティストはそれを追従するようなアトムスーツを今さら描いていてはいけないと語る。「僕はアトムスーツをもう着れない」「ウルトラセブンになれなくなったモロボシダン」。コミカルに失踪する自分を語っていたが、芸術家個人として非常に切実な課題の表明なのであろう。いや、アトムスーツを着ないというのは、厳しい枷ですね。
 ひげを生やした腹話術人形が出てくる新作「森の映画館」(その中の映画「トラやんの世界」)(2004『六本木クロッシング』森美術館)の違和感、馴染めない感覚、ここから新しいヤノベケンジのゲージツがどこへいくのか。興味深い。頑張って新しい作品を描いてほしいと思います、是非。

 この番組を観ながら考えた僕の希望をちょこっとメモ。
 日本の次世代の目玉産業になるかも、と言われているロボット産業 ホンダ、ソニー、トヨタ等のロボットのデザインをヤノベケンジに是非やらせてほしいなって思う。新時代の先端製品と終わってしまった未来のデザインの合体がどんなイメージを現出させるのか、是非見てみたい。ロボットの民生への展開で「癒し」は重要なキーワードだと思うけど、僕はヤノベ氏デザインなら和んでしまうと思う。
 ヤノベ氏の巨大なロボットが立ち上がる作品「Standa、動かすメカ面で凄く苦労したと番組で語っていた。これは各メーカの技術を持ってすればクリアされる。という芸術家のニーズと、ロボットデザインで新機軸を出したいメーカの両方の思惑が合致すると思うけれど、、、。観たいなーー2005年万博でヤノベデザインのロボットが二足歩行するところ。ホンダさん、お願いします。出渕デザインを採用した産総研でもいいのでお願いします。(実はもう水面下でどこかとやってたら嬉しいけど)

◆小ねた
・発想がどこで出てくるか?と質問されて、車を運転している時、と答えていた。そのわけとしてレースのドライバが常に周囲の状況を俯瞰して把握していることを挙げていた。その俯瞰の視点に刺激されて良いアイディアが生まれるのではないかと言う。俯瞰による脳の刺激、脳内の活性化、というのは、究極映像のひとつのキーワードかな、と思った。俯瞰を意識した時、脳内の広い領域のネットワークが活性化されるのかも。
・5/9(日)の『トップランナー』は庵野秀明氏。2週続けてのオタクなアーティストの登場ということのよーです。

◆関連リンク
 ・ヤノベケンジインタビュー

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