■三島賞受賞!!『ららら科學の子』矢作俊彦
第十七回三島由紀夫賞決定・2004年5月19日
『ららら科學の子』 矢作俊彦 ――平成十五年九月文藝春秋刊
選考委員 筒井康隆 宮本輝 高樹のぶ子 福田和也 島田雅彦
昨年の舞城王太郎『阿修羅ガール』に続き、『ららら科學の子』で矢作俊彦氏が受賞されたとのことです。ちょっと前に読んだ本が賞を取ると、なんか嬉しいですね。
ちなみに矢作氏は第4回に候補になっていたようです。
第4回 〈受賞作〉佐伯一麦『ア・ルース・ボーイ』
〈候補作〉松村栄子『僕はかぐや姫』/矢作俊彦『スズキさんの休息と遍歴』/芦原すなお『青春デンデケデケデケ』/いとうせいこう『ワールズ・エンド・ガーデン』/奥泉光『葦と百合』
〈選考委員〉江藤淳/大江健三郎/筒井康隆/中上健次/宮本輝
で、先日のレビュウに若干追加。
『ららら科學の子』のすぐあとに『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を偶然読んだのだけど、共通点がいくつかあった。
・主人公の視点の純粋さ、無垢さ(『ららら科學の子』では中国に閉ざされていた主人公の中に凍結されていた60年代)
・妹に理想としてのイノセンスをみているところ
・どちらもキーとして『博士の異常な愛情』の核爆弾にまたがるイメージが出てくる
矢作俊彦の『ライ麦畑』へのオマージュだと思う。特に小説としての雰囲気が似ているわけではないが、どことなく意識している感じがあった。
で、ググッてみたら、こんな記事がありました。
Whistle & Sigh or writer's notes 03/11/29 より
雑誌「文學界」12月号(文藝春秋)に、なんと矢作俊彦と高橋源一郎の対談が掲載されているとの新聞広告を見て、早速雑誌を買ってきた。同時に広告が出ていた雑誌「すばる」(集英社)では、矢作俊彦と、こちらは久間十義との対談である。(略)
『ららら科學の子』については、高橋が主人公「彼」は実は「フーテンの寅さん」だと指摘したり、それに対して、「寅さん」は映画と映画のあいだをつなぐ映画だと言ったり(略)、久間十義との対談でも話に出ていたサリンジャーの『ライ麦』を絡めて、「妹の力」というまとめ方をしてみたりと話は話を呼んで、つきることがない。
読みたいですね、この対談。(でも「フーテンの寅さん」という指摘は余りに違うのでうなずけません)
あと巽孝之氏の書評にも同様の指摘がありました。
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