■グレアム・ジョイス『鎮魂歌(レクイエム)』 浅倉久志訳
REQUIEM (ハヤカワ文庫プラチナファンタジー)
1995年 英国幻想文学賞受賞作。
東雅夫氏解説に書かれた『アラビアの夜の種族』との共通性というのに惹かれて、あまりファンタジーは読まないほうなのだけれど読んでみた。非常に丁寧で読みやすい平易な文体である意味たんたんとエルサレムでの幻想譚が語られている。リアリティと幻想の出し方の違和感のなさが特徴かもしれないが、あまりに平易に思えて、残念ながら僕はあまり楽しめなかった。
『アラビアの夜の種族』の文学的かつ大冒険小説な筋立てにはかなうべくもない作品かな、と率直に思った。古川日出男の方が数段いい。たぶんこの作品と『アラビアの夜の種族』を比較するのはあまりよくないのだと思う。解説でも微妙な書きかたしてたし、、、。
ある意味、心理学的な幻想に近い描写なのだけれど、本来じわじわと迫ってくる怪異がなんだか精神病理学的すぎて面白みにかけるという気がする。
死海文書のくだりもキリスト教に詳しいと面白いのかもしれないが、実はその辺の感度が極端に低くて、残念ながらスリリングに感じられなかった。
最近、自分が面白く感じなかったものの紹介が多くってすみません。
◆関連リンク
・著者Graham JoyceのBLOG
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