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2004年7月

2004.07.31

■新刊メモ 『リトル・ニモの野望』
        『文藝別冊 KAWADE 夢ムック 押井守』

LITTLE_NIMO.jpg

大塚 康生 (著) 『リトル・ニモの野望』
 テレコムアニメーションフィルムで宮崎駿他が参加して企画した大作。結局、大塚康生も宮崎駿も途中で抜けて、友永和秀他で制作された。いろいろといきさつが語られているよーです。

『文藝別冊 KAWADE 夢ムック 押井守』 (新刊というにはちょっと前ですが、、、。)
 押井守の対談と各界論客の文が読めます。
 対談については、animatechtonicaさんのレビュウ参照。

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2004.07.30

■ミルメークの秘密

 ミルメークは名古屋の薬屋さんが作った(Excite エキサイト : ニュースより)
 給食のご馳走のミルメーク。あまりに懐かしく、つい、記事作成。月に2回くらいのミルメークは宝物でした。これって、東海地方だけのノスタルジー?? (WADA BLOGさんにアンケートがあります。うーん関東や富山でも給食に出てたみたい。)
 うちの子供に聞くと、今も給食にでてるよーです。今では、子供達にあまり人気がないようです。贅沢なやつらだ。
milemake.jpg
 で、この方がミルメークを開発した大島裕さん。なんか僕ら世代には、ありがたーーい(^^;)のだけど、、、。
◆関連リンク
・究極のミルメークサイト ミルメークを極める
・えっ!今はチューブ入りがあるんだっ!! ここにも大きな写真

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2004.07.29

■ROBOT解体LIVE2004

 千葉工業大学「未来ロボット技術研究センター・fuRo」ROBOT解体LIVE2004

8/3東京、8/12水戸、8/18福岡、8/20静岡、8/24仙台

fuRo古田所長によるロボットの仕組みを実際に解体しながら解説してくれる画期的なライブ。本物のパーツに触れたり、分解したり来場者も参加できるコーナーもアリ。morph3誕生までの設計秘話をはじめ設計図やムービーも本邦初公開!

 なんか凄いタイトル! 
 morph2は、岐阜であった古田 貴之氏のロボット講演会で実物を観たことがある。バック転とか正拳突きとかをスピーディな動きでやっていたのが印象的だった。morph3デザインが宇宙人的で斬新。きっと動きはさらに洗練されているのだろう。(動画 柔軟体操(その他の動画は発見できず、、、。))
 で、このイベントは、残酷にもそれを解体してしまうらしい!
 講演会で見た古田氏は、機械少年がそのまま大人になったような、とにかくロボットが動くのが楽しくってしょうがないという熱血ロボット博士という感じだったので、きっと熱いライブになるんでしょうね。うちから一番近いのは、静岡。行きたい!!
◆関連リンク
fuROのBLOG登場! 反重力機関記事とかありますぜ、マッド! 解体ライブの記事
・morph3の部品が買えるZMP

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■追悼 中島らも

 ジャンキー作家中島らもが亡くなった。まだ若いけれど、小説読んでいて、いつかはと、どっか思っていたところがあって、あまり意外な感じがしなかった(きっと読者の大部分がそうではないのかな)。ファンキーなエッセイや重厚な小説で随分楽しませてもらったので、残念です。ジャンキーでもウィリアム・バロウズみたいにしっかりこの世にまだまだはびこってほしかった。合掌。

 中島らもというと、雑誌『宝島』のかねてつ広告「啓蒙かまぼこ新聞」(82年-)のイラストをつい思い出してしまう。小説では『今夜すべてのバーで』が最高でした。これはアル中の本。ぶっ飛んだ中の妙な詩情がいいのでした。『ガダラの豚』もよかったなーー。(どっかに昔書いた感想文があるはずなのだけれど、見つからない、、、)

 んで、一番、最近読んだ『バンド・オブ・ザ・ナイト』(講談社文庫)の感想をUP。

 らも氏のは久々に読んだのですが、これが全くのラリラリドラッグ小説。もともとジャンキーとは思ってましたが、どうやらほとんど実体験のこの小説を読むと、みだれたジャンキーぶりが凄い。

 幼児が二人いて、奥さんとこんなドラッグな日々に耽っていたとは、やはり只者ではない。小説は、ディックやバロウズやルディ・ラッカーのジャンキー小説・映画、まんま、というか、、、、日本でも、睡眠薬とか風邪薬でここまでやってたヒッピーの時代というのがあったんですね。うーーん。

 途中、ラリっているシーンは、20ページほど、脈絡の無い短文が改行なしに続き、読みにくいことおびただしい。それなりに感じは出しているのでしょうが、めんどくて、後半は、その部分だけ、読み飛ばしました。失礼な読者です。

◆関連リンク
Welcome to RAMO NAKAJIMA Office
バンド・オブ・ザ・ナイト 啓蒙かまぼこ新聞 今夜、すべてのバーで 『ガダラの豚』 (Amazon)
その他 中島らもの本 (Amazon)

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■グレアム・ジョイス『鎮魂歌(レクイエム)』 浅倉久志訳
     REQUIEM     (ハヤカワ文庫プラチナファンタジー)

requiem.jpg
 1995年 英国幻想文学賞受賞作。
 東雅夫氏解説に書かれた『アラビアの夜の種族』との共通性というのに惹かれて、あまりファンタジーは読まないほうなのだけれど読んでみた。非常に丁寧で読みやすい平易な文体である意味たんたんとエルサレムでの幻想譚が語られている。リアリティと幻想の出し方の違和感のなさが特徴かもしれないが、あまりに平易に思えて、残念ながら僕はあまり楽しめなかった。
 『アラビアの夜の種族』の文学的かつ大冒険小説な筋立てにはかなうべくもない作品かな、と率直に思った。古川日出男の方が数段いい。たぶんこの作品と『アラビアの夜の種族』を比較するのはあまりよくないのだと思う。解説でも微妙な書きかたしてたし、、、。
 ある意味、心理学的な幻想に近い描写なのだけれど、本来じわじわと迫ってくる怪異がなんだか精神病理学的すぎて面白みにかけるという気がする。
 死海文書のくだりもキリスト教に詳しいと面白いのかもしれないが、実はその辺の感度が極端に低くて、残念ながらスリリングに感じられなかった。

 最近、自分が面白く感じなかったものの紹介が多くってすみません。

◆関連リンク
・著者Graham JoyceのBLOG
鎮魂歌(Amazon)
アラビアの夜の種族(Amazon)

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2004.07.27

■現代の蒸気兵 UC Berkeley BLEEX Project

UC Berkeley Human Engineering Laboratoryより
bleex_berkeley_lower_extremity_exoskeleton.jpg
 『スチームボーイ』の蒸気兵は、蒸気を使った強化服(パワードスーツ)であった。で、現代の強化服開発を紹介します。どっかの雑誌でみかけてググってみました。
 BLEEX Project(Berkeley Lower Extremity Exoskeleton)という名前で開発が進んでいるようです。蒸気(じゃない上記(^^;))リンクでムービーも各種見えますが、違和感なく、なかなかスムーズに動いています。
 ただ難点は音。どうもこのマシン、油圧駆動のようで背中に油圧ポンプを背負っているようなのですが、たぶん内燃機関で油圧ポンプを回しているのでしょう。この音がうるさい。
 大友描く蒸気蓄圧式(スティームボールも結局アキュムレータなのですよね)に比べると、まだまだ洗練されていないっす。敗れたり! 21世紀 !!
・一番右は、食玩 蒸気兵です。
当Blogスチームボーイ記事(すぐ下の記事)
・強化服に続き、空調服。服にファンが付いていて汗の蒸発熱で体を冷やすとか。 ITmediaニュース:真夏に長袖!なのに裸より涼しい「空調服」より。 楽天の販売サイト。9900円で販売中!! バカバカしいと思いつつも、この暑さについふらふらと購入を考える僕(うそ)。
aircon_suit.jpg

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■新刊メモ 『スタンリー・キューブリック―写真で見るその人生』他

 本屋で見つけた面白そうな本を、メモとして紹介。買うのを決めかねたので、いつか図書館で読んだらレビュウします。
STANLEYKUBRICKetc.bmp
『スタンリー・キューブリック―写真で見るその人生』
  クリスティアーヌ キューブリック (著), Christiane Kubrick (原著), 浜野 保樹 (翻訳)
 キューブリック監督婦人であるクリスティアーヌ・キューブリック女史によるイラストとプライベートな写真や、子供時代の写真を集めた本。キューブリックファンには謎のベールに迫る本となっていそう。 ヤン・ハーラン監督『STANLEY KUBRICK:A LIFE INPICTURES』とともに楽しめます、きっと。

『世界を変えるマシンをつくれ!―「セグウェイ」をつくった天才発明家とエンジニアたち』 スティーブ・ケンパー (著), 日暮 雅通 (翻訳)
 いわずとしれたセグウェイ開発秘話。米人描く「プロジェクトX」の出来は?? コントローラは、自動車部品大手のDELPHIらしいけど、そうしたサプライヤとの関係が、どんな風に描かれているか興味津々。

『神州纐纈城―国枝史郎「神州纐纈城」より』 (1)(2) 石川賢とダイナミックプロ (著)
 びっくりしたー、こんなのが漫画化されてたのですね。国枝史郎の傑作伝奇小説『神州纐纈城』の完全書き下ろし漫画版!!四巻の予定とのこと。小説は未完だったけど、果たして漫画ではその続きを描くのだろうか、、、? 小説は大正時代の本でありながら、現代的で今、読んでも古さを感じさせない凄いエンタティンメントなので、お薦めです。『神州纐纈城』大衆文学館(講談社文庫)(Amazon) (石川賢があまり好みでないので、漫画購入は二の足踏みました。)

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2004.07.25

■映像の極北は切りひらかれたか?
        大友克洋監督 『スチームボーイ』(2004)

 東濃地方ではすでに一日3回しか上映されなくなっているようでヒットしてないのではと心配だったのですが、週末の夜にほぼ満席で少し安心。
 eiga.comの[トップ10速報]で興行収入は、公開第一週は4位。

大友克洋が9年間と24億円を費やした注目作「スチームボーイ」が食い込んできた。3日間での興収は2億3000万円強、土日の2日間では「イノセンス」を10%ほど上回っているという。

 観終わった印象は、正統派冒険活劇映画(※1)+19世紀後半のありえたかもしれない未来のテクノロジーと人類の関係の話(※2)ということで、僕としてはテクノロジー描写が一番、面白かった。
 ありえたかもしれない未来というのは、オルタネーティブSFという奴です。でもオルタネーティブSFとしてのストーリーでの飛躍と、映像の革新という意味では、物足りなさを感じた。
 (※1映画では科学と言ってますが、ほとんど技術の領域 ※2技術をどう使うかという問題へのアプローチの話)

◆蒸気テクノロジーのダイナミズム
 1866年、蒸気による産業が円熟に達したロンドンが舞台。石炭を燃やす煤煙と蒸気にむせぶテムズ川畔の工場群と万博の華々しい建造物は2005年の日本の万博(まだ観てないけど)と比べると、栄華を極めた英国の底力と、蒸気機械のダイナミズムを感じさせます。
 産業として蒸気エネルギを用いた機械によるテクノロジのダイナミズムは、現代の情報産業のチマチマしたモニターとキーボードというアイテムに比して圧倒的迫力です。銅が導電性で語られるのではなく熱伝導率と比重のみで語られ、シリコンが唯の石ころであった時代、、、、今では信じられないですが、電気と半導体が存在しない世界(※3)のメカニクスシステムの描写が本作の主題でないかというくらい、充実しています。
 電気のない時代(※3)のヒューマンマシンインターフェイス描写(一部機械によるバーチャルリアリティというかテレイグジスタンス)。手に歯車がついていてそれが操作盤へはめ込まれ、腕と手の動きが歯車の細かい動きとして伝達され巨大機械を動かす描写が圧倒的迫力。以前ギブスンの『パターンレコグニション』の記事で紹介した純機械式の計算機が拡大して巨大システムを形成していると思ってください。加えて伝声管と鏡を使ったモニターという神経系。AKIRAでは電線が重要な役割を果たしたが、電線の変わりに圧力と歯車が複雑に連係したメカニクスシステムが本作のもう一つの主人公だ。
 ということで、こんなテクノロジーの描写を楽しむには、本作は細部に渡って凝っていて(技術史的にフィクションになってる部分はいっぱいありそうだが、、、)最高。
(※3 電気の歴史はこの電気年表を参照すると、スチームボーイの1866年には電球はまだ発明されていない(1879年byエジソン)けれど、マクスウェルの方程式とかは発明(?)されています)

◆テクノロジー思想としての物語
 肝心のストーリー テクノロジーと人間の関係話は、今ひとつ未消化な印象。祖父と父の思想の違いとそれにより世界と対峙していく少年、というのはなかなかいい設定なのだけれど、家族の話になっている分、広がりに乏しい。
 で、そうした思想の決着のない混沌を描きたかったのだろうけれど、整理が出来てなく観客には物足りなさが残る。特に父親の技術思想が浅く感じられ、こことスティーブンスン(だっけ?)をもう少し整理して唯のマッドでなく、きちんとした大人の思想を描写してたら、充実したろうに、と思えて残念。

◆冒険活劇漫画映画の少年の視点
 あとは宮崎駿『未来少年コナン』へのオマージュ?ってな具合の少年の活劇部分はそれなりに楽しい。しかし肉体の頑張りの点でコナンのシチュエーションとそれに対する的確な行動描写にはかなわなくって不十分な感じ。主人公レイの動きに観察力と行き当たりばったりでなく考えられた行動の描写があったら、もっと良かったと思うけど。んで、子供向きにしたことで、主人公が良い子すぎる気がするのだけど、大友らしい健康優良不良少年なパンクなテイストがあったらもっと凄い映画になったと思う。
 あと映像的には、俯瞰の絵が少ない。主人公レイの視点で描いているのだろうけれど、何が周囲で起きているかもう少し観たい!と思ってしまった。世界が狭い気がしたのはこんなところが影響しているのかも。

◆そして映像の極北は切りひらかれたか?
 『イノセンス』が映像の極北を広げたという感じだったけれど、『スチームボーイ』はある懐かしい世界を再体験させたって感じ。映像は丁寧でアニメのレベルも高いのだけれど、大友の絵を丁寧に動かしましすぎたってイメージで、旧来のアニメの枠を脱していない。アニメとしては優等生的で、おっ、これは天才的アニメートって部分はほとんど感じられない。大友独自の絵は、かつてマンガ界に革命を起こしたのだけど、それをアニメートする時の方法論としてきっちりやりすぎないで、パンクに崩してどうあの絵のイメージを動きで表現するのか?という命題の建て方が必要なのかもしれない。アニメータで言えば、誰のイメージかな?(適当な人を思いつける人は是非コメントください。)
 あと極北なイメージのなかったのは、なんでかな?CGの進化をセルアニメと上手く融合しているのはわかったけれど、セルアニメに合わせすぎということかも。『イノセンス』は『アヴァロン』の実写との融合の視点から、セルアニメをCGに合わせようとしたタッチがあったからかなー。『イノセンス』はアニメの枠ではなくって、100年の映画の枠をどっか超えたって凄さがあったのだけれど、、、いや何が凄かったのか、私の解析能力では充分分析できてないですが、、、、。
 で、『スチームボーイ』、続編の話もあるようだけれど、僕は大友氏に漫画でやってもらいたい。長らく読めない大友漫画をここらで堪能したいじゃないですか?で、今度はまた漫画で極北を切り開いてもらいたいと思うのです。映画に手を出すと、次、また16年かかるのだけは勘弁してね。

◆関連リンク
・押井守が大友克洋に語る「大友さんみたいな方法でやってたら、『イノセンス』なんて一生できないよ」
・モノホイールバイクの動画はここから
monohoilebyc.jpg
■現代の蒸気兵 UC Berkeley BLEEX Project(すぐ上の記事)

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2004.07.24

■香川県直島『地中美術館』オープン

 直島出身のununさんの~~ゆらゆら大陸~~で知りました。香川県直島にこんなワンダーな美術館がオープンしたようです。ベネッセアートサイト直島の企画ということです。地中美術館の特徴は、地中ですから、もちろん暗闇の中で観るアート。いつか観たモネも暗闇の中で観ることで、視覚と脳の作用でストレンジな映像に、、、、てのは僕の妄想(嘘です)。
chichuu_museum.jpg
 地中美術館公式ページ

 地中美術館は、自然と人間を考える場所として、2004年に設立されました。財団法人直島福武美術館財団により運営されるこの美術館は、瀬戸内海に浮かぶ島、直島の南側に位置し、 クロード・モネウォルター・デ・マリアジェームズ・タレルの作品が安藤忠雄設計の建物に永久展示されています。

 安藤忠雄建築といっても埋まっていて外観が見えない。地面をシースルーにした模型が観てみたいです。
 地中ストア、地中カフェというのもあるようで、物凄く行ってみたくなりました。なんだろう、この地中への憧憬(^^;)、、、、、、今、考えたけれど、なんか幼少時の円谷作品での刷り込み(ex.地中のウルトラ警備隊基地)の影響が一番大きいような気がしてきた、、、なんと浅い憧憬。私に堆積する仮想の記憶、ですか?
 一応、リアルな記憶。子供時代、自転車で友達んちの近所の古い防空壕にも使われていた隋道へ潜っていったことがある。あの時の涼しげだけどドキドキした感覚。
 地下で観るアート・映画/地下で聴く音楽って、どんなものが似合うのだろう、、、、。イマジネーションがひろがりますね。夏の予定立ててないけど、無性に行ってみたくなってしまった。
◆関連リンク
・四国新聞ニュース 光と空間で不思議演出-地中美術館
「美術的な出来事が起こる場所」ベネッセアートサイト直島 ベネッセがこういうことをしているの知りませんでした。いいですね、こういう企業の文化活動(というかリゾート企画??)。うちも、しまじろうでベネッセには資金提供(^^;)してましたが、こんなことしてもらえるなら、少々高くてもノープロブレムです。東海地方というとトヨタがあるのですが、なんかそういう文化的アプローチが弱すぎ。アメリカで高級ブランドイメージを確立したようにレクサスを日本でも展開するそうですが、是非ベネッセ的アート面へのアプローチも期待したいものです。

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■京極夏彦 実相寺昭雄に会う

■週刊大極宮バックナンバー■
 『姑獲鳥の夏』の映画化関連情報です。
 直接リンク張れないんで、上のリンクから「第164号 2004.7.16 ■さまよう厨子王 ~ 京極夏彦のコーナー」を見てください。

 制作サイドからの経緯説明やら展開予定などなど。とにかく本格的な「映画」が作りたいんだというアツイ決意表明が。
 小説を映像化したいんじゃなくて、映画を作りたいんです、彼らは。
 で、監督です。
 実相寺昭雄さん。うわー。いや、ボクらの世代にはやはりうわー、なんですね。
 ただひとつだけご要望がありました。
 脚本中の中禅寺のセリフの一部が気になるので、手を入れて欲しいということでした。
 監督の意図をお聞きしまして、お引き受けいたしました。(京極談)

 写真が掲載されていますが、二人の会談の絵は、まるで「妖怪と妖怪戯作者の邂逅」の図(^^;)。実相寺監督、ますます妖怪風に磨きがかかっていますね(失礼)。鴉天狗というか、、、、いませんでしたっけ?こんな妖怪?(とことん失礼)
 京極夏彦がシナリオらしきものを手にしている写真があります。どの部分に手を入れたのか、興味深いですね。
 「小説を映像化したいんじゃなくて、映画を作りたいんです、彼らは。」この言葉を信じて来年を待ちましょう。
◆関連記事 ■京極夏彦『姑獲鳥の夏』 実相寺昭雄監督で05年夏映画化

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2004.07.18

■シュヴァンクマイエル映画祭開催!!

 イメージフォーラム公式ページ
 トークショーの様子をゆらゆら大陸のununさんがレポートされています。吉野朔実(漫画家)+くまがいまき(チェコ映画) トークショー
 行けないので、ウェブの情報で脳内参加することとします(^^;)。他にもレポートがあったら、皆様ご教示ください。
◆関連記事
究極映像研究所■シュヴァンクマイエル映画祭 7月開催!!

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■青山ブックセンター破産申し立て 閉店 

 河北新報ニュース 青山ブックセンター閉店 破産申し立て受け

 芸術書を中心にした特色ある品ぞろえで知られる東京の書店、青山ブックセンター(本店・東京都渋谷区神宮前、磯貝栄治社長)が16日午後、本店や六本木店、自由が丘店など7店舗すべてを閉鎖した。

 東京出張があると、時々寄っていたくらいなのですが、なんか寂しいですね。新宿と六本木と2店しか行ったことなかったけど、刺激的な本棚をいつも楽しませてもらってました。
 菊地敬一著ヴィレッジ・ヴァンガードで休日を(Amazon)で、菊地氏がABCの棚を参考にしているというような記事を読んだ記憶なのだけれど、ヴィレ・ヴァン以上に映画やアートの本でとんがった書店だったので、本当に残念です。絶好調(?)のヴィレ・ヴァンが吸収合併するとかそんな道はなかったのでしょうか、、、。と勝手なことを書いてしまう、、、。
 数年前にペヨトル工房が休止した時、リブロポート、トレヴィルというセゾングループの出版社の解散と似た感慨です。(今は復活しつつあるペヨトル工房ですが、、、。)80年代的な先端的出版というのは今の時代、望まれていないということなんでしょうかね。、、、と言いつつ、このBlogでもAmazonの広告を載せ続けるのは、いい加減ですけどね。
 とにかく合掌です。
◆すでに4/末で、青山ブックセンターインターネットショップ は閉じていたようです。

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■堤幸彦監督『恋愛寫眞 Collage of our Life』(2003)

 公式サイト
 原将人『20世紀ノスタルジア』は自主映画にまつわる物語だったけれど、こちらは写真をめぐる恋愛物語になっている。なかなかの佳作と思う。前半の東京と後半の911後のニューヨーク、どちらも写真での街の切り取り方がなかなか良い。そして語られる物語の切なさもいいです。(ニューヨークロケという共通点だけだけど、十数年前のTVドラマ『バナナチップスラブ』(高城剛監督)を懐かしく思い出したのである。)
 タイトルだけど、いまどき『恋愛寫眞』はないでしょ。英語タイトルの『Collage of our Life』かキーワードの「Wonder」を使った方が良かったのにと思う。「恋愛寫眞」という言葉でイメージするものとこの映画の印象は随分違う。現代的な切り口が面白い映画なので、、、、、。
 堤監督の映画は、『トリック-劇場版-』、『Jam Films』(『HIJIKI』)しか観ていないが、『トリック-劇場版-』とはタッチが全然違う。まあオチャラケミステリーとラブストーリーでは異なるのは当たり前なんだけど。
 ニューヨークでのクライマックス、行方不明の主人公静流(しずる)の行動が、残された写真からわかるくだりのカットバックの映像はなかなかいいな、と思った。とその後のアクションシーンの光の処理。なかなか迫力。このCGも原田大三郎なのだろうか。(堤幸彦って、今、TVで『せかちゅう』やってますね。第一話は可もなく不可もなくな感じ。どうもあの主役二人が馴染めません。この『恋愛寫眞』みたいに乾いた感じはしなかったかな、と。)
 ラストは、山下達郎の「2000トンの雨」( まだメジャーになる前の曲らしい)がタイトルバックに流れるが、はっきり言って全く合っていない。もっと現代的な音楽だけでしめてほしかった。
 蛇足だけど、この歌で歌われるタワーと2000トンって、てっきり911のツインタワーと瓦礫をうたったこの映画のための曲なんだと思ったのだけれど、EDITOR'S SIDEさんの「恋愛寫眞と2000トンの雨 (主に後者) (2003.06.10)」によると、サンシャイン60の歌らしい。でも歌詞が911のツインタワーと瓦礫をイメージできることから、この曲を選んだんじゃないかと思った。
 もひとつ蛇足。謎の食べもの マヨヌードル というのが下記のようなシーンで使われ、結構いいシーンになってますが、これの公式ページがありました。マヨヌードル.JP。今日はチャレンジできなかったけれど、今度作って食ってみる予定。感想は後日。ん、じゃ。

静流「料理。……さて、クイズです。マヨヌードルはおいしいでしょうか?」
誠人「……まずい」
静流「正解は……」

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2004.07.17

■STUDIO4℃ 映画『マインド・ゲーム』の
              CGメイキングプロセスを公開

 Too/ディスクリート/STUDIO4℃、今夏公開予定の映画『マインド・ゲーム』のCGメイキングプロセスを公開(ascii24.comより)

 湯浅政明劇場初監督作品『マインド・ゲーム』のCGについて、メイキングのセミナーが開かれたようです。上記リンクには製作過程の写真も載っています。公開は8/7(ですが、名古屋はまだ未定のようです)

 『マインド・ゲーム』は最初から3ds maxで作ろうと考えて、“max”というチームを新たにSTUDIO4℃の中に作った。そのきっかけは、とにかくコストパフォーマンスが高いからです
 まず最初は従来のアニメーション制作と同様に、アニメーターによる手書きのレイアウトで背景/キャラクター/オブジェクトなどの造形や配置を決める。次に美術によって描かれた背景素材をイメージスキャナーで取り込んで、3Dオブジェクトに張り込む。最後に完成させた各素材を組み合わせてアニメーションを仕上げる、という手法で行なっていた。

公式HP

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■京極夏彦『百器徒然袋 風』(講談社ノベルス)

 講談社 公式ページ
 しがない電気工事の図面引き 本島を語り手にした薔薇十字探偵シリーズ(?)3本を収めた中編集。
 「五徳猫 薔薇十字探偵の慨然」
 「雲外鏡 薔薇十字探偵の然疑」
 「面霊気 薔薇十字探偵の疑惑」
 と並んだ三作が前作の薔薇十字探偵の”憂鬱””鬱憤””憤慨”に続き漢字しりとりになっている、と京極夏彦ネットコミュニティ 掲示板 京極情報交換にあった。あ、本当だ。気付かない私は本島クン並に鈍いのか、、、。どーでもいいけれど、会社休んでばっかの本島の首が心配なシリーズでもあります。&関口といつ邂逅するのか?しないのか?

 今回もこのシリーズはユーモラスな作風。語り手が関口ではなく、この本島であるところが、作風を決定している。同じ京極堂を描いていても、本島を通して語られる京極堂は、どこかユーモアが漂っている。人はその関係性で表情を変える部分があるけれど、それを切り口の違う連作それぞれで小説化しているというのも、文化人類学的/民俗学的作家(?)京極夏彦ならではかもしれない。こんなんして、主人公達の見え方を変えている小説って他にもあったと思うけど、なんだっけ?誰か知ってたら、ご教示を。

 今週は仕事がべらぼうに忙しくて疲れきっていたけれど、この連作を電車の中で読むのでほっと一息付けてました。いや、京極でここまで肩の力を抜いて楽しめる本作は貴重です。しかし、榎木津礼二郎がでるたびに阿部寛の顔を思い浮かべてしまったのだけれど、かなりイメージ違いますね。もっとエキセントリックな役者はいないのかぁぁーー!にゃんこ。

◆関連リンク(以前、読んだネタ。榎木津の本物は、小説よりすごいらしい! 会ってみたいと思いませんか?)
・これらシリーズのモデルとなった京極夏彦の友人達の写真はこちら。 
 「ちなみに京極堂を抱きしめてるのが益田くん(仮名)で、そのとなりが関口巽(仮名)さんです。」大森望氏の狂乱西葛西日記より。
・「驚いたのは、なんと榎木津のモデルになった人は、某大手有名企業のサラリーマンなんだって。あんな人が普通のサラリーマンをやっているとは、夢にも思わなかった(笑)。益田のモデルになっている人も、作中と同じく榎**さんの部下なんだって。しかも、実物どおりに書くとリアリティーがなくなるから、ずいぶん控え目な描写になっているそうな。どういう人なんだろう(笑)。」 「2000年2月のミステリー三昧、必殺三昧貫井徳郎氏HPより。
・故辰巳四郎に変わり、今回から装丁を担当した坂野公一氏(welle design)のコメント

これまで故辰巳四郎さんが手掛けられていましたが、豆腐小僧の装幀が縁となり、坂野公一と石黒亜矢子コンビでその役を引き継がせていただくことになりました。(辰巳さんは装画、デザイン、撮影のすべてをこなしていたと聞いて驚きつつ)

・装画の石黒亜矢子氏のウェブのギャラリー。現代的でカラフルな妖怪画!!平成の鳥山石燕??
・石黒亜矢子氏の妖怪画集『平成版物の怪図録』(Amazon)
・当BLOG内関連記事 ■京極夏彦『姑獲鳥の夏』 実相寺昭雄監督で05年夏映画化
『百器徒然袋 風』講談社ノベルス(Amazon)
ウォーカープラス 東京 本『京極夏彦』インタビュー
「最初から『雨・風』の2作で完結という構想で書き進めていたものですから、百器徒然袋はこの『風』でおしまい。しかしまわりの要請があって、自分も納得できる形で作品を作れる実力があれば、再開することもありえます。でもその場合は、また新しい作品、違うやり方を考えないといけないので、語り手としての本島はお役御免。ほかの形、役割を与えて使うしかないですね。今までイスとして使っていたものを、壊してたきぎにするとか、そういう風に(笑)」

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2004.07.11

■庵野秀明監督 『式日』 (2000)

 式日 Official Site 脚本・監督 庵野秀明 / 原作 藤谷文子『逃避夢』 / スタジオカジノ第一回作品
 庵野監督と岩井俊二の映画が好きなので必然的に観たい映画の一本だったのですが、なーんか、悪い予感がして今日まで観ないでいました。魔がさして(^^;)さきほど観終わりました。これも松尾スズキの毒気の影響かも(松尾スズキは本作でナレーションを担当)。
 案の定、もはや最後まで観えない/観たくない、、と途中で嫌になって止めそうになりました。いや、こういう映画大嫌いなもんで。ラスト手前で某大物女優が出てくるシーンのイメージはもう「やめてくれぇーー」のボリュウムが最大振り切れそうでした。
 でもその後の本当のラスト。これは少しだけすがすがしい風がふいたような気が、、、。すぐ前のシーンでうんとダウンさせておいて、このラストと「こっこ」とかいうボーカルの歌を落差でプラスイメージへ持っていく作戦っすか?いや、引っかかっちゃいました。『ラブアンドポップ』は好きだったのだけど、、、、似た傾向ですね、最後だけ。
 岩井俊二の朴訥とした演技はなかなかでした。藤谷文子のネガを岩井のこの演技が少しだけ中和に働くという絶妙さ。藤谷文子の書いた原作があるとのことだけれど、なんか怖すぎ。これのDVDはスタジオジブリCINEMAライブラリーから出てるけど、どっかの良い子のお母さんが間違って買って、知らずに観てしまった小学生はどうなるのでしょうか、、、、。

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2004.07.10

■ウィリアム・ギブスン『パターン・レコグニション』
                   浅倉久志訳 (角川書店刊)

Pattern_Recognition.jpg
 海外も含めて、表紙の写真を集めてみました。日本のより右から二つ目が中味のイメージに近いです。左のCD?ディスクも捨てがたいけれど。

 『パターン・レコグニション』 web KADOKAWA公式ページより

 webにあらわれる異常なまでの完成度の高さを誇る断片映像<フッテージ>とは?
 <フッテージ>はネット上にランダムに流されている断片的な映像で、ストーリーもないが、抜群の完成度を誇る。主人公ケイスの最終的なタスクは<フッテージ>の正体を探ること。タキという日本人が<フッテージ>の正体の一部を解読したという情報を仕入れ、日本へと旅立った・・・・・・。
 サイバーバンクの王者ギブスンが、現実世界を舞台に描いた、スピード感あふれる極上のハイブリット・エンタテインメント!

 そう、これは「フッテージ」という究極映像を扱った小説なのである! 僕はギブスンより士郎正宗の方がサイバーパンク的には凄いと思ってしまうOTAKU野郎なので、実は相性が良くない。で、最近の3作くらいは読んでなかったのだけれど、このコピーを読んで手にとらないわけにはいかない!
 この本は、はじめから終わりまで、紛れもなく究極映像の探索の物語だ。そして今まで未来社会を描いていたギブスンがその文体で現代を描いた小説。SFではなくこれは現実小説である。

 結論として、フッテージの物語はそれなりにワクワクするのだけれど、タイトルにある人間の認識領域に迫るような高みには、残念ながら達していない。究極映像の探求はかように奥が深いのである、なんつって。
 小説としては911テロ後の雰囲気も醸し出しつつ、現代的で刺激的な完成度。とりわけ現在のネット環境の描き方が秀逸で、われわれのリアルがここにあるって感じ。頻繁に出てくるスターバックスも、ラテ好きにはたまりません(^^;)。
 ギブスン嫌いの人も、今作では三つの制約(「現実世界における2002年の夏を舞台にすること」「多視点描写をやめ、終始ひとりの人物の視点から語ること」「なるべく場面の省略を含まないこと」)を己に課したということで、他よりとっつきやすいです。

文体について
 文体は本作でも詩的で未来的。

 空はまぶしい灰色のボウルで、ほつれた飛行機雲がからまっている。
 ジッポーの墓石が、実存主義的エレジーで彼女をひきつける。

 ともするとギャグじゃないかと、疑ってしまう現実のねじれた切りとり方。だけれど、そのリズムで独特のギブスン世界がわれわれの脳内に展開され、現代を描いているが常に未来的な感覚がつきまとう。ここで未来的な感覚を覚えるのは、ギブスンの視点のペシミスティックさがそう感じさせているのかもしれない。フッテージを分析するように、一文一文を吟味して、そうしたペシミスティックな視点の頻度をみていけば、この雰囲気の原因は解析できそうだ(そんな面倒なことはできまへんが)。下記はフッテージを描写した文章であるが、この小説そのものの評価に近いものを感じる。
 たいていの人はその孤独が深まるのを感じる(略)。しばらくフッテージとつきあうと、それが心にまとわりつきはじめる。短い映写時間にしては、けたはずれに強烈な効果。既成の映像作家でそれがやれる人がいるとは、私には信じられない。(P108)

フッテージと東京のオタク集団
 ギブスンの文体については、ともかく、このフッテージの説明、映像ファンとしては是が非でも観てみたいと思いませんか。この作品、映画化の予定ということなので、その監督がフッテージに挑戦するのが楽しみでなりません。作家が「既成の映像作家でそれがやれる人がいるとは、私には信じられない」と書いた映像にチャレンジする勇気ある監督は、以前の情報ではピーター・ウィアーということですが、この人では、、、、。たぶんアートフィルムの短編作家あたりにそこだけ撮らせるというような手法になるのではないでしょうか。
 そして「六本木の赤提灯」。ここに現れる「東京のオタク集団に顔がきくと主張する」フッテージの秘密を握るタキという男の描写は典型的アキバ系である。汗のかき方の描写が特に。

そして、未来
 解説(巽孝之氏)でも触れられている次の「未来」に関する一文だけど、どうもここが僕にはギブスンの欠点のように思えてならない。

 すみずみまで想像された文化的な未来は、別の時代、"いま"という言葉がもっと長い期間を意味した時代に許されたぜいたくだ。(略)あらゆるものが急激に、強烈に、かつ深刻に変化する可能性があるため、祖父母の考えていたような未来には、その立脚点を築きあげるだけの"いま"がたりない。われわれに未来がないのは、われわれの現在があまりにも流動的であるからだ。(P60)

 うーん、たぶんITやディジタル技術の観点でみれば、そうかもしれない。だけど前世紀に電気や車といったテクノロジーがものすごい勢いで進んでいった時も、人々(祖父母)は同様に感じていたのではないのかな。人の身体機能は電気と車と飛行機によって、前世紀飛躍的な向上を得た。この時の身体的な変革は凄まじいものがあったと思うのだけれど。ギブスンが人間の認識領域へのディジタルの影響を形而上的にもっと描いていたらこの未来についての描写は迫力を持つかもしれないが、、、。
 前世紀の「身体」的拡張に対して「脳」とか「意識」の拡張についてサイバーパンクは描いてきたかもしれないけれど、実はその前世紀の「身体」的拡張がもはや「脳」や「意識」の拡張だった、という気がしていて、祖父母世代が未来を感じていたという書き方がひどく安直な認識に感じられてしまうのだ。わざと変な例えをしますが、この感覚って「年寄りは時代劇が好き」という全く根拠のない認識と実はいっしょなんじゃないの?(だってじいちゃん達は江戸時代を経験してるわけじゃないんだぜ、当たり前だけど(^^;))。なんだかここがギブスンの物足りなさなんだよね。詩的文体の文学としての面白さはわかります。しかし、ギブスンには基本的に架空の人間の未来は描けても、根本のところでなんか違うんじゃないっすか??と疑問符を付けたくなってしまうのである。

関連リンク
・当Blog関連記事 ピーター・ウィアーがウィリアム・ギブスン『パターン・レコグニション』映画化
William Gibson - Official Website ギブスン本人のBLOG  ありゃりゃ、03年9月で終結。言い訳は下記(って機械翻訳で出鱈目)。
 「私が私の日雇い職に戻る時間。(日雇い職は私がbloggingするのをもう止めるべきである時間であることを意味します)。(略)最も容易に思い浮かぶイメージはふたがやめられたので沸騰しないやかんのものです。」
'PR'-otaku: Logging and annotating William Gibson's 'Pattern Recognition' (Joe Clark: fawny.org)
No Maps for these Territories - William Gibson
・購入は 『パターン・レコグニション』(Amazon)

おまけ P35に出てくるリヒテンシュタインの機械式計算機に興味がわいたので、ググってみました。
Pattern_Recognition_caliculater.jpg
 自分の持ってる手回し計算機(写真最右)のイメージで読んでいたのですが、なんか描写が違うと思ったら、こんな形なんですね。かっこいい!!
 これ、オーストリアのクルト・ヘルツシュタークって人がナチの強制収容所にいる間に開発したらしい。ナチは彼を「知的奴隷」と呼んでいたとの描写が『パターン・レコグニション』にありました。ひどい。
会計博物館 CURTA携帯型計算機に詳しいです。

リヒテンシュタインで製造された手動式の携帯型計算機 使い方は、側面に値数をセットし、例えばその数を23倍するのであれば、十の位で2回、一の位で3回時計廻りに頭部にあるハンドルを回転させると、上部の周囲にある表示盤に答えが表示される。

・永瀬唯さんのBlog 錯合回廊--CisMatrix Corridor より海外の詳細なサイトを知りました。大きさは手の中にすっぽり納まるサイズで、とてもクール! うちのタイガー君の無骨さとは対照的か。
 クルタ計算機についての総合的なサイトはここ
 クルタ専門のメンテ屋さんのページだが、フラッシュによるクルタ作動シミュレーターや3次元CGのページなどともリンクしてる。http://www.vcalc.net/cu.htm
      (錯合回廊「書きそこなった日記から(2004.06.09-06.12)」より)

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■松尾スズキ 『同姓同名小説』 (ロッキング・オン刊)

 ウィリアム・ギブスンで疲れたので次の本は、おバカな松尾スズキで攻めたのですが、これがバカすぎ(誉め言葉)で、脳がまたぶっ飛びました。まずは各短編のタイトルを見てバカさを感じてください。(タイトルどおりタレントと同姓同名の主人公を描いた小説集)

「みのが、みのであるために」―みのもんた
「ピンクレディー復活の日」―ピンクレディー
「蚕谷村奇譚・なお美の夢」―川島なお美
「間違えたいの!」―中村江里子
「上祐の夏」―上祐史浩
「乱の乱」―乱一世
「力の魂」―竹内力
「田代の一番長い日」―田代まさし
「女優・荻野目」―荻野目慶子
「広末の秘密」―広末涼子
「総理の息子と呼ばないで」―小泉孝太郎
「モニと私」―モーニング娘。
「上161下105の男」―松尾スズキ

 もう異様な雰囲気を醸し出しているっしょ?
 松尾スズキって、大人計画の芝居はまだ残念ながら観たことがないのですか、昨年の宮藤官九郎のドラマ『マンハッタンラブストーリー』で(超傑作!レンタル屋へ走れ! Amazon DVDはここ)怪演を観て以来、ちょこちょことエッセイを読んでいたのだけど、小説は初めて読みました。
 まず何はともあれ、書店で見かけたら、「みのが、みのであるために」を立ち読みで一読を。このシュールさは凄いです。あとの12本が霞みます(竹内力のはなんか好きだけど。)
『同姓同名小説』(Amazon)

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2004.07.09

■ヤン・ハーラン監督
     『STANLEY KUBRICK:A LIFE INPICTURES』

 まーやさん、コメントありがとうございます。まーやさんのBLOG 0 1/2で、A LIFE IN PICTURESの記事を拝見。以前にNHKで放映されたのを観た時の感想をアップします。(実はトラックバックいただいた『バリー・リンドン』は未見なので、、、、。)

 BS2で放映されてた『STANLEY KUBRICK:A LIFE INPICTURES』(製作・監督:ヤン・ハーラン)という3時間あまりのドキュメントをビデオで観た。これ調べてみると『スタンリー・キューブリック DVDコレクターズBOX』というのに特典ディスクとして付いているものですが、見ごたえ十分。(まーやさんのページで映画の場面写真が観えます)
 家族との映像や子ども時代の映像も、あまりマスコミに出なかったキューブリックの人となりを知るのによかったが、一番はマーチン・スコセッシが語る60年代に彼の映画が登場した時のリアルタイムの衝撃度合い。このインタビュー場面を観つつ、少しだけ、当時のセンセーショナルな登場を追体験できた気がした。
 『ロリータ』『博士の異常な愛情』『2001』『時計仕掛けのオレンジ』とあの時代に矢継ぎ早にタイプの違う映画で、観客にインパクトをあたえていたことを紹介している。
 そして当時はこの衝撃によって、客をよび、凄く当たる監督だったというのにも驚いた。僕らの時代にはそういう監督はいないので、同時代で経験できなかったのは全く残念(僕のリアルタイムのキューブリック体験は『シャイニング』からで、もはやものすごい衝撃ではなく、伝説の監督だったので、、、)。思うにデビット・リンチでも60年代のキューブリックの衝撃には勝っていないと思う(、、、、違うかな??)。最盛期だった60年代に、60年代の空気の中で『2001』とか観たかったな、と強く思った。
 あと子ども時代に父親(医師)が8mmで撮った映像、眼の下のくまが既にかわいらしい子ども時代にもあったのが印象的。子供には少し残酷なトレードマークですね。& 60年代のひげのない顔がミスタービーンみたいだとか、、、、巨匠に失礼とは思いつつ、笑っちゃいました。
◆関連リンク
・なかなかマニアックなキューブリック関連ページ
スタンリー・キューブリック DVDコレクターズBOX(Amazon)

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2004.07.07

■ロボット『クロイノ』動画公開!!

  M O O - T _ b l o g:さんに、トラックバックで教えていただきました。『ROBO GARAGE』の公式ページに4つの動画があります。
 噂のSHINーWalkは、横からのショットで少しわかりにくいのが残念ですが、歩くのも見えます。ムービーは次の四本。
 1.ボールを蹴る 2.立ち上がる 3.歩く 4.一本足でポーズ
 足を動かす時に、持ち上げるのと逆の足の側へ体を傾かせることによって、ひざを曲げないで伸ばしたままの歩きを実現しています。なかなかアクションが優雅です。
 まだぎこちない感じだけれど、僕が見た二足歩行ロボットの中では、鉄腕アトムに一番近い動きです。一見の価値有!!
※ただこのロボットって、足の裏に磁石(電磁石?)を持ったロボット マグダン (magdan)を作った高橋智隆氏が作られているということだけれど、このクロイノも磁石を使っているのかな??(マグダンはだから鉄板の上しか歩けなかった記憶) 足の裏の動きをじっと見比べると二つは違って見えるのだけれど、、、、たぶん磁石は使っていないのでしょう。
 ◆究極映像研内記事 「小型ヒューマノイド「クロイノ」CHROINO」

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2004.07.06

■米ISR社 宇宙エレベーター

 CNN.co.jp - サイエンスより。
space_Elevator.jpg

宇宙行きのエレベーターを開発しているのは、民間研究機関ISR(本社・ウェストバージニア州フェアモント)のブラッドレー・エドワーズ氏ら。ブッシュ政権が有人月面探査再開の目標年度とする2020年より1年早く、総工費約100億ドルのプロジェクトとして実現を目指す。

最近になって軽くて強い炭素系新素材「カーボンナノチューブ」が開発され、見通しが開けた。幅約1メートルで紙のように薄いカーボンナノチューブの「帯」を、地上から高度約10万キロまで伸ばし、エレベーターを走らせる――というのが、エドワーズ氏らの計画だ。

 A・C・クラークの『楽園の泉』ハヤカワ文庫SF(Amazon)
ファンには、こういうニュースはたまりません。カーボンナノチューブは、燃料電池(FC)用の水素吸蔵だとか、なんやかやと利用方法の提案がいろいろとありますが、SFファンにとっては、宇宙エレベーターにとどめをさすでしょう。何とか生きているうちに宇宙へ登ってみたいものです。10万kmというとスペースシャトルの500倍(違ったかな?)上空です。本格的宇宙へ打ち上げの負荷なしに上がれるというのは、これからどんどん体力が落ちていく世代にとっては、願ってもない宇宙への手段です。皆でエールを送りましょう!!
ISR : Institute for Scientific Research, Inc. The Space Elevator Gallery

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2004.07.04

■ハイビジョン画質のWMV
         : Windows Media High Definition Video

 窓の杜 - 【NEWS】ハイビジョン画質のWMVが再生可能であるかを測定できるオンラインベンチマークより
 これによるとMicrosoftのWMVに要求されるマシンスペックは、1280×720画質でPentium4 2.4GHz以上、フルハイビジョン1920×1080画質でPentium4 3.0GHz以上ということである。
 Microsoftが用意しているサンプルをダウンロードして試してみた。うちのマシンはPentium4 2.4GHzだけれど、とりあえず1920×1080のサンプルでもスムーズに再生できている。
 画質的には、プロジェクタが1280×720なのではっきりは言えないけど、DVDよりは綺麗、BSハイビジョン並という感じ。IMAXの映像もサンプルで用意されているけど、かなりいける。WMVは、DVDディスクでハイビジョン画像というのが、嬉しい! ディスク、買ってみようかな。
ここ(DVD Fantasium)、"Terminator 2: Judgment Day: Extreme DVD"が買えます。海外版だけど。
◆WMV公式ページ Windows Media High Definition Video

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2004.07.02

■2ch純文学 中の人編 『電車男』 

 『電車男』
 今頃ネタにするのもはばかられる『電車男』ですが、実はずっーと知らないでいました。友人のY.T.君からメールで教えてもらって、この前の日曜の深夜に一気読み。いや、自分が「笑い男」で一人盛り上がっている頃、ネットでは「電車男」がリアルタイムだったんですね。参戦できなくて、残念無念。
 これで何に驚いたかといえば、あの2ch文体でカンドーしてしまったということ。あの文体でなければ、この感覚は生まれなかっただろうというところが凄い。舞城王太郎が『阿修羅ガール』(Amazon)で、2ch文体を使っていたけれど、残念ながらある意味『電車男』には勝っていないかも。三島由紀夫賞敗れたり!! ずいぶん、種類は違うけどね。

「うん?」
って小首かしげてきてそれで萌え死にかける

 こんな言葉で感動するとは思いもしませんでした。(いや、クサイことはクサイのですが、、、。)
 あと抜粋した「中の人」もすごい。リアルタイムで全スレッドを読んでいた人に是非聞きたいのは、全部読んだ感想と、この「中の人」の抜粋の読後感との比較。この編集センスも捨てがたいと思うのは僕だけではないでしょう。
 で、その後の情報もここにあります。

・電車男と著作権については、[ぽぉ]っとして[たる]いのですー。もなQぽぉたるに記事。
書籍版『電車男』ができるまで

(この記事、うちのblogではアクセスが多いので、ちょっとだけ追加情報(04.12/29))
・雑誌で立ち読みしてたら(「サイゾー」)、電車男が中の人の創作である可能性について書いてありました。理由は①エルメスからお礼のプレゼントが届く前(盛り上がる前)に、中の人のまとめサイトが開設された ②中の人のみが、電車男と連絡をとっている。
・印税は、ひろゆきと中の人と電車男で等分にするという説が、同誌に。でも法律的には、書き込んだ個々人に著作権はあるようですね。ひろゆきは、書き込んだ人が特定できれば、印税を分けたいと言っていると記事にありました。
・さらにその後についてはここあたり
・新潮社で『電車男』を編集し、実物とも会っている郡司裕子氏のインタビュー。電車の風貌について。

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■土星探査機 カッシーニ 土星の輪へ突入

SATURN.jpg
 WIRED NEWSより。

 6月30日夜、ジェット推進研究所のミッション管制官たちはカッシーニのエンジン1基に点火し、この探査機に何重にもなった土星の輪の間を滑り抜けさせることになる(写真)。この飛行の後、カッシーニは土星の衛星軌道に入り、今後4年間は軌道上に留まって、土星と輪と衛星を調査することになる。

 今、この瞬間もカッシーニは土星にいると思うと、ワクワクしてきます。33億ドルの究極映像撮影マシン カッシーニによる素晴らしい映像を堪能しましょう。
◆NASAのジェット推進研究所の公式ページ Cassini-Huygens Home
※写真更新 リングが波打っているように見えますが、これはいったい何?

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2004.07.01

■DVD『イノセンス』 9月15日発売

 ブエナ・ビスタ、DVD「イノセンス」を9月15日に発売(AV WATCHより)
 4種類のDVDが出るようですが、注目はコレクターズBOXですね。
スタンダード版
リミテッドエディション VOLUME1・DOG BOX 犬のフィギュア(オルゴール付)
リミテッドエディション VOLUME2・STAFF BOX
  オリジナル絵コンテ、脚本、アフレコ台本
コレクターズBOX
  メイキングDVD(3枚組み予定)、ガイノイドフィギュア、
  METHODS 押井守 演出ノート、オフィシャル・アートブック

 押井監督監修のレイアウト集「イノセンス METHODS 押井守 演出ノート」も付属。「パトレイバー2 the Movie」の際にも発売されたレイアウト集のイノセンス版。240ページに渡り、画面構成の解説やアニメーションCG技術などを、監督自身が解説している。なお、同レイアウト集は半年後にダイジェスト版(200ページを予定)が発売されるが、完全な形での市販は同DVD-BOX以外では行なわれない。

 なんとコレクターズBOXは49800円 !! これのみ10月15日発売(予約締切:8月10日)。
 気持ち悪いガイノイドフィギュアなんていらないから、METHODSだけ付いた廉価版がほしいです。それとどうせならハイビジョンディスクを出してほしい。
 ※AMAZONはまだ予約不可。

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