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2004年8月

2004.08.29

■沖浦啓之氏『イノセンス』の作画を語る

WEBアニメスタイル アニメの作画を語ろうより。

沖浦 大平君が(バトーが船の)中に突入したところ。レジャーボートの中が井上(鋭)さんと安藤(雅司)さん。ガイノイドが工場から生まれてくるのが井上(俊之)さん。その後、廊下で警備員たちが走ってきてガイノイドにやられちゃうところは、本田(雄)師匠。(略) 次が伊東伸高さん。その後、空からガイノイドが降ってくるところが橋本晋治君。……で、その後が新井(浩一)さん。さらにその後が、うつのみや(理)さん。 (略) ええ、キャットウォークにわらわらと。その後が西尾君で、浅野(恭司)君があって、最後は俺。

 これを参考に9月に出るDVDを楽しみましょう。
 この他、3D-CGと手書きアニメとの関係等、突っ込んだ話が語られています。

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■『攻殻機動隊/S.A.C. 2nd GIG』 第1話-第10話

 DVDで、第1話-第10話を観た。今回は「個別の11人」(こんなマーク「仇∞士」を使用している)というテロ集団/個人との闘いが全体のストーリーの縦糸になるようだ。そして、内閣情報庁戦略影響調査会議代表補佐官(という長ったらしいタイトル)のゴーダという人物がもうひとつのキー。「個別の11人」はまだボンヤリとした実態しか見えていないけれど、ゴーダが不気味でいい味出している。『パト2』の陸幕調査部別室 荒川茂樹に匹敵する敵役になる予感。

神山健治監督の物語構築
 DVD『SAC 2nd Gig 1』に神山健治監督のインタビューが入っていて、この「個別の11人」と「ゴーダ」を中心にした今回のシリーズの骨格の説明が語られている。

 ネタばれになるので具体的には書けないが、自分でも困るようなストーリーにまずは持ち込む、それに対して今は答えを持っていないが、今後の展開の中で突破口を自分も苦しみながら作り上げていく、それくらいでないと物語に迫力が出ない、と言っている。この心意気にワクワクしてしまった。
 黒澤明が2人の脚本家の共同作業で、絶体絶命の状況をひとりが作って、次にバトンタッチして困難を知恵でのりきる物語を作っていったのは有名な話だが、今のアニメの監督で、ここまで言い切れる人ってそんなにいないよね。
 もしかしてSACの時も思ったけれど、ドラマツルギーに関しては、師匠押井守より凄いのではないでしょうか、この監督(というか『イノセンス』観てもわかるけど、押井守ってもはやストーリーの人ではないし、、、)。
 あとインタビューで、日本の政治状況を語る部分があるが、ここらの分析と物語設定への取り込み方も切れる感じ。謀略的描写とか、サリンジャーとか文学ネタ盛り込んだりしてるのは、この監督の興味でないか、と思えるようなインタビュー、いや、直接そう言ってるわけではないけど、きっと。
 いずれ師匠の映像ノウハウとスタッフをそっくりひきとった上で、映画も作ってもらいたい。(この神山健治って、元々は背景スタッフで、『人狼』演出と『ミニパト』監督で後は『SAC』のはず。早く映画の監督もやってほしい。)
※今回、押井守がストーリーコンセプトでクレジットされているが、それは大戦後の「招慰難民居住区」の難民問題にスポットをあててみたら、ということのよーである。

「個別の11人」についてのメモ ※第5話以降のネタばれ含む、注意!!
 「個別の十一人」という名前は、第5話「動機ある者たち INDUCTANCE」の中で語られるパトリック・シルベストル著『国家と革命への省察 初期革命評論集』から引用されたものだとのこと。このシルベストルなる人物と著書は架空のもののようである。(インターネットでこの名前を探すと、スイスだかのサッカー選手の名前がヒットするのみ。この選手名Patrick Sylvestreを引用か??きっとスタッフの中のサッカーファンが名づけたのでしょう。)
 この著書の中味が振るっている。下記の10篇からなる評論集という設定。そしてその事件が、「革命と見出せずお蔵入りにした幻の一編」が「個別の11人」。

第三身分の台頭  支配からの脱却  王朝の終焉
社会主義の希求  狂喜前夜      神との別離
カストロとゲバラ   虚無の12年    原理への回帰
5月革命

 当然、その幻の11篇目についても語られるのだけれど、こんな具合。論文「個別の11人」で触れられているのは、日本の五・一五事件なのである。(長文ごめん)
 あれが何故素晴らしいか。それは彼が五・一五事件を日本の能と照らし合わせ、その本質を論じたところにある。能とは、戦国の武士達があらゆる芸能をさげすむ中、唯一認めてきた芸事だ。それは幾多の芸能の本質が既に、決定された物事を繰り返しうるという虚像に過ぎないのに対し、能楽だけはその公演をただ一度きりのものと限定し、そこに込められる精神は現実の行動に限りなく近しいとされているからだ。一度きりの人生を革命の指導者として終えるなら、その人生は至高のものとして昇華する。英雄の最後は死によって締めくくられ、永遠を得る。それが、シルベストルによって記された『個別の十一人』の内容だ

 二十歳になったばかりの青年士官11人の参加したこの事件は、事件後民衆運動として減刑運動により35万の嘆願書を集めた。そして彼らを英雄視することでナショナリズムが広がりを見せた、、、、。こんなことも語られている。このセンスがなんかワクワクさせるのである。監督がインタビューで語っていた現在の政治状況と、このナショナリズムが根底で繋がっているように読めるのだけれど、さて物語はどこへむかうのか?? 乞ご期待!!

◆関連リンク
・Production I.G  S.A.C. 2nd GIG公式ページ
攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG 01 DVD(Amazon)
攻殻機動隊PKI - B-Wiki - S.A.C. 2nd GIG 各話のセリフを書き起こしてあるページ。自分でも引用を起こしてたのですが、後で知って一部使用させていただきました(多謝)。
・gotanda6さんの犬にかぶらせろ!の記事 [攻殻][昭和史]阿部和重と攻殻SACを比較してみる 大変興味深いです。阿部和重、読んでみよっかな。
・カオスモーズ(Chaosmose)さんに「個別の十一人」と5.15事件についての記事
・当BlogのSAC記事
 ■STAND ALONE COMPLEX 1-26
 ■J・D・サリンジャー「笑い男」と神山健治『攻殻機動隊 S.A.C.』
・テロ関連で、笠井潔『テロルの現象学』ちくま学芸文庫(Amazon)

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■スパイク・ジョーンズ監督 『アダプテーション』

 『マルコヴィッチの穴』"BEING JOHN MALKOVICH"スパイク・ジョーンズ監督 & チャーリー・カウフマン脚本のコンビによる長編映画第二作。
 『マルコヴィッチの穴』が着想とか話の運びとかが独特で凄く良かったのだけれど、今回は映画シナリオライターのチャーリー・カウフマン(ニコラス・ケイジ)が主人公で、『蘭に魅せられた男』というルポを原作に映画シナリオを書く苦労を描いたどこかにあるような物語。前半はシナリオが思うように書けないカウフマンの描写がウジウジと続く。コメディとして、それなりに面白いけれど、なんだかな展開である。
 そして後半、少し急展開はするが、あまり着想が独特なわけでもない。まあ、前半との落差は大きいのだけれど、、、、。個々の描写は面白かったので、物語の面白さをもっと見せてほしかったなーー。
 メリル・ストリープもニコラス・ケイジもよかったけれど、監督と脚本の切れを次回はさらに期待したいものです。

◆関連リンク
『アダプテーション』 "Adaptation" DVD (Amazon)
『アダプテーション』公式サイト
『マルコヴィッチの穴』の公式サイト

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2004.08.28

■宇宙ヨットのソーラーセイル展開画像

 宇宙科学研究本部JAXAの公式発表より。
 S-310ロケットにより打ち上げられたソーラーセイルのクローバ型薄膜が開いた画像が上記リンクで見えます。セイルの材質はポリイミドみたいですね。

 今回の打上げは2004年8月9日17時15分。打上げの204秒後に最高高度172kmに到達し、約400秒後に内之浦の東南東海上に落下しました。この間、地上では実験が困難な直径10mの大型薄膜をロケット先端のノーズコーン内に収納して打ち上げ、弾道飛行中に空気力のほとんどない高度でノーズコーンを開き、展開方式が異なる2種類の大型薄膜のセイルを展開する実験を行いました。

 少し前のニュースだけど、なかなか好きな画像なので、載せました。こんな宇宙機で、旅してみたいものです。
◆関連リンク
ソーラーセイルプロジェクト
・グーグルイメージ検索 solar sail。いろいろな画像がありますが、宇宙で展開しているのは上記リンクの日本のものだけみたい。

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2004.08.24

■レム・コールハース『錯乱のニューヨーク』
                 鈴木敬介訳 ちくま学芸文庫刊

 摩天楼林立するニューヨークについて書かれた「現代建築の巨人による伝説の書」。フリッツ・ラングの『メトロポリス(DVD(Amazon))が現実になったようなスカイ・クレーパー群の映像は、いまだに僕には超未来的情景に感じられる。少し前に文庫化された本だけど、そのニューヨークの建築の歴史を少しでも知りたいと思って本書を手にとった。
delirious_new_york.jpg 
 建築家であるレム・コールハースの記述は、文化人類的・哲学的な視点と文体で描かれていて、摩天楼群と同じく、本書もまるでSFを読むようにセンスオブワンダーを感じさせる。磯崎新の解説によれば、コールハースは「その街も映画もまったく虚構だというところがいい」と、ハリウッドでシナリオライターになることも考えていたそうである。本書冒頭に、「マンハッタニズムなるもののプログラム--完全に人間の手によって捏造された世界の中に暮らすこと、言いかえれば、空想の世界の内で生活するということ」という記述がある。こうした視点が、本書をスリリングにしているのだと思う。

前史 第1部 コニーアイランド―空想世界のテクノロジー 第2部 ユートピアの二重の生活―摩天楼 第3部 完璧さはどこまで完璧でありうるか―ロックフェラー・センターの創造 第4部 用心シロ!ダリとル・コルビュジエがニューヨークを征服する 第5部 死シテノチ(ポストモルテム) 補遺 虚構としての結論

 実は期待したスカイ・クレーパーの林立していく歴史については、システマチックな思想があって完成して行ったということではないようだ。そこには確固たるコンセプトがあったというより、建築が地価であるとか建蔽率による規制と、個々の建築家の想いの狭間で、空へ空へ伸びていく建築群が出来ていったということのようである(ある意味、当たり前なのだろうけど)。
 その中で、上記目次にあるようなエポック的なエピソードを切り取って、鋭利なジャーナリスティックな筆致で書かれたのが本書である。
 僕が一番面白かったのは、「第1部 コニーアイランド―空想世界のテクノロジー」。ここは凄い。ニューヨークに興味がない方もここだけでも読むことをお薦めする。すでに当たり前の話かもしれないのだけど、マンハッタン島近郊にリゾート地として位置づけられたこのコニーアイランドに建造された19世紀末から20世紀初頭の巨大遊園地群がたいへんワンダーなのである。
delirious_new_york_dreamland.jpg
 コールハースはこのコニーアイランドが「マンハッタンの胎動期のテーマと幼児期の神話の孵化装置」であり、「のちのマンハッタンを形成する戦略と機構は、まずコニーアイランドという実験室でテストされた後、最終的により大きな島に適用される」と書いている。「マンハッタンの胎児」、コニーアイランドのワンダーさは、例えばこんな具合。遊園地の一つ、ドリームランドに作られたミジェット・シティについて、

 ミジェット・シティの尺度は現実世界の半分であるから、この書割のユートピアの建設費は少なくとも理論的には四分の一ですみ、尋常ならざる建築効果のほどを安価に確かめることが出来る。(略)  しかしミジェット・シティの本当の見世物とは、そこでおこなわれる社会的実験なのである。  ミジェット・シティの首都の市壁の内側では、通常の道徳律は組織的に無視され、しかもその事実が来園者の注目を惹くように宣伝されている。乱交、同性愛、色情狂などが推奨され、堂々とまかり通る。(略)このような組織的なアナーキーのもたらす戦慄を高めるために、小人たちには貴族の称号が大盤振る舞いされて、称号と実際の振舞の間のギャップをことさらに強調する。
delirious_new_york_liliputa.jpg Liliputa - Midget City

 デビット・リンチやティム・バートンの映画を彷彿させる極彩色のドリームランド。スカイクレーパーの谷間に繰り広げられるフィクショナブルな喧騒を思う時、このミジェット・シティ/ドリーム・シティという「胎児」が成人していった街としてのニューヨークという表現が的確なものとして感じられる。すでに焼失してこれら「胎児」の姿は写真や絵葉書でしか観られないが、いつか映画の中ででも行ってみたい。20世紀初頭の凄いイマジネーションの復興をテーマにした映画があってもいいのかなと、夢想する。

◆関連リンク このイマジネーションを下記リンク群で味わってみてください。
・コニーアイランドのドリームランドここも
・グーグルイメージ検索 ドリームランドコニーアイランド
・コニーアイランドのルナパーク
・1906グローブタワー Coney-Globe Tower Swindle
・本書 Delirious New York のイメージ検索。
『錯乱のニューヨーク』(Amazon)
Rem Koolhaasのイメージ検索。
・「New York 建物案内」さんの 歴史年表。整理されていて、イメージしやすいです。

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■SIGGRAPH 2004 - コンピュータアニメーションフェスティバル

 【レポート】MYCOM PC WEB
 今年の作品のタイトルと、映像のスチルが多数紹介されています。

 受賞作の公式リリース
 Best Animated Short & Jury Award for the Computer Animation Festival

Birthday Boy (Best Animated Short)
 Sejong Park (Australian Film, Television and Radio School)

Ryan (Jury Honors(審査員特別賞))
 Chris Landreth (Independent)

 この2本は、アヌシー国際アニメーションフェスティバルの入選作でもありますね。観てみたいものです。特にネットでスチルを観ると、Ryanの「サイコロジカル・リアリズム手法」というのがなかなか面白そう。一部の映像は公式ページで観えます。
 あとCGソフトウェアのAliasのページにも紹介があります。

◆関連リンク
・公式ページの上映作品/監督リスト Electronic Theater Animation Theater
・MYCOM PC WEBのその他レポート
 初日はGPU各社が最新動向を報告
 EMERGING TECHNOLOGIES展示セクション(1)
  6原色ディスプレイシステムとか、四方向から異なった映像が見られる不思議なディスプレイとか、最新映像機器の紹介。
 EMERGING TECHNOLOGIES展示セクション(2)
  触覚ディスプレイ、「CirculaFloor」システム等、バーチャルリアリティ機器の紹介。
 3DMark開発元のFuturemark、携帯電話向け3Dベンチマークを公開
 NVIDIA、3rdTech、日本企業が並ぶ一般展示レポート

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■広島国際アニメーションフェスティバル
        山村浩二監督『頭山』がグランプリ受賞

 Sankei Webより。

最終日の23日、グランプリに山村浩二監督の「頭山」を選んだ。

 山村監督は学生時代からこの大会に毎回参加、10回目にして受賞とのことです。
 おめでとうございます!
◆関連リンク
ununさんのゆらゆら大陸に記事があります。会場の写真つき。
Yamamura Animation's Page
・大会の公式ページ。審査結果のニュースリリースが写真つきであります。
・大会の模様が公式ページで見えます。HIROSHIMA2004 SPECIAL

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2004.08.21

■究極食物 『納豆ぶっかけごはんすなっく』

 岐阜の道の駅「美濃白川」で見つけた奇妙な食物納豆ぶっかけごはんすなっく(100円)を紹介。東京の「株式会社 大藤」というところが作っているジャンクフード。
nattou_butsukake_gohan.jpg
 最近、コンビニでよく見かけるのが、グリコの「納豆の風味とともに“粘り”も楽しんでいただけます」という謳い文句の納豆コメッコであるが、こちらはその上をいく。何故か?? 袋を開けるとクサイのである! 納豆が食べられない人はおそらくそれだけで駄目だろう、というくらいクサイ。
 というわけで納豆好きの私は、納豆コメッコとともに気に入った。
 納豆ぶっかけごはんすなっくは、柔らかめのおこしに納豆を混ぜたものと思ってください。写真は納豆の粘着的な性格をもろに引き継いだルックスですが、これが実はほとんど乾燥している。口に入れると、納豆コメッコ同様に、あの粘り気が復活します。
 味はコメッコのような洗練はないが、なかなか楽しめます。キャラクタのナットウキン君とわらっとマンも愛らしい納豆ぶっかけごはんすなっくを私はお薦めします(どこで買えるんだーー!!??)
◆関連リンク
・メーカの株式会社 大藤。土産物フードの会社。
・このメーカはあなどれません。小判煎餅 これでよしなに (小判レプリカ在中) このムービーも笑えます!!
・我と思わん方は、面白食物を提案してみよう!!! 大藤(だいとう)-アイデア募集

こんなお菓子があったらいいなァ!
あんなお菓子があると大ヒットするぞ!

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2004.08.15

■「どこでもASIMO」は、こんなでした

 ホンダの公式ページ
 以前、紹介した「どこでもASIMO」(8/9-8/15公開)を、時々アクセスして、見てました。僕が見た時は、全て「ツインリンクもてぎ」の「ファンファンラボ」のASIMOの画像。
dokodemo_asimo.jpg
 残念ながら、歩いている瞬間の視界には遭遇できなかったけれど、目の前の人に反応して、首を振っているような画像は確認できました。子供の動きを視線が追跡してました。多少、ASIMOの視線制御の一端に触れたかな?というくらいの感覚で、あとはありきたりのウェブカメラと同じ。解像度は悪いし、別にロボットの視野である必要は感じられない画像ばかりだし、、、。この企画は不発だと思った。
 ホンダのページの参加者へのアンケートを見ると、意図としてはアールキューブのような用途の可能性をリサーチしたかったみたいである。とするなら、画像はハイビジョンクラスでやってほしいし、PCからも何らかの操作が出来るとよかったのに、と思う。今のネットのトラフィックじゃ難しいだろうけれど、自分がロボットの位置にいることの臨場感を与えられるかどうかが、アールキューブコンセプトの肝のはずなので、今回の画像では全くダメだと思う。BS等で見るハイビジョンの臨場感をホンダの研究者は真剣に考えてみてほしい、と究極映像(バカ)研究者は思うのであった。
 こういう技術だって、今はあるのだから → ハイビジョン画質のWMV
 

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2004.08.14

■<未来の文学>第一回配本 『ケルベロス第五の首』
   ジーン・ウルフ著 柳下毅一郎訳(国書刊行会刊)

 ジーン・ウルフの最高傑作といわれる作品。
 つらつらーーとウェブのいろいろな感想とか分析を眺めて、この本、SFよりもミステリーの読者の方が受けるのかも、と思った。SF的な認識の拡大とかセンスオブワンダーのあるイメージよりか、本格ミステリーの謎解き部分の方に比重があるように思った(と非常に乱暴に言ってしまおう)。ネタばれになりそうなので、迂闊に書けないけれど、晦渋かと思っていたけれど案外読みやすかった文の裏に、高度なミステリーの技がある、ということのようである。僕は実は表面的にしか読めてなくて、(たぶん)メインネタに関しては、P311の第二パラグラフで妙だな、と思って、なんとなく気付いたかなーー、というヌルイ読みしか出来なかった。
 本格ミステリー好きの方に、お薦めです。SFの異世界描写も楽しみつつ、謎解きにチャレンジする読み方をお薦めします。
 三つの作品のうち一作目の「ケルベロス第五の首」が、僕は一番面白かった。三作品とも文体がかなり違うけれど、この一作目は、中世的(?)な西欧世界の濃密な文体の中に、高度に科学的なガジェットが出てきて、マッドサイエンス的でなかなか傑作。
 というお茶を濁した感想で終わりにします。後は、ウェブ上のいろいろな情報をおまけに。
◆関連リンク
『ケルベロス第五の首』(Amazon)
・若島正氏の毎日新聞での書評
・殊能将之氏のケルベロス第五の首:勝手に広報部 書評とか、各種リンク充実。
・殊能将之氏の謎解き(読後に読みましょう) これはネタバレではない。なぜならこんなネタなどないからだ。
・さらに同氏の作品との関係

 「『ケルベロス第五の首』は拙著『鏡の中は日曜日』の元ネタ(もっと正確に言うと、発想源のひとつ)である。なぜ、遠未来の異星を舞台にしたSFが本格ミステリの元ネタになり得るのかというと、理由は簡単で、『ケルベロス第五の首』は本格ミステリだからだ。」

・分析としてはここに詳細があります。ultan.net別館さんのメモ
・はてなダイアリー - (゜(○○)゜) プヒプヒ日記 柳下毅一郎氏・若島正氏『ケルベロス第五の首』トークショー
・堺三保氏のblog FIAWOL-blog「人生は四十一から」。同トークショー 会場の写真とかあります。
国書刊行会のニュース 8/12より。トークショー内容が雑誌に掲載される予定とのこと。
柳下・若島両氏が「あんなにつっこんだ話をするつもりはなかった」とつぶやくほど、密度の濃い内容でした。本トークショーの内容は「eとらんす」10月号(9月3日発売)にあますところなく収録される予定

・イメージをググって拾ってきました。
gene_wolf_98.jpg cerberus01.jpg cerberus02.jpg
cerberus03.jpg cerberus04.jpg cerberus05.jpg
  ①98年ワールドコンでのウルフ ⑤ポーランド版? 
  海外のはどれも本書のイメージにあいません。日本版の無味乾燥な表紙の方がまし。訳者あとがきで紹介されている CAVE CANEMのサイトの絵が一番いいかと(ロボットがフライデーだけど、、、)。

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2004.08.11

■京極夏彦原作『姑獲鳥の夏』
    京極堂シリーズ映画化 記者会見

 8/10に記者会見があったようで、いくつか記事が出てます。
 役作りした各俳優の写真が下記リンクで見れますが、、、、なんか冴えない。

eiga.com [ニュース&噂]

 堤は「ファンからバッシングされる覚悟もできている。現場で作り上げていく中で、原作とは違う京極堂になるかもしれないが、それはそれで楽しんでほしい」とコメント。

“京極堂シリーズ”「ウルトラマン」の実相寺監督映像化 - FLiXムービーサイト

 物語の導き手である京極堂こと中禅寺秋彦を演じる堤真一は「長いせりふが多く、説明づくしなので、意味がわからずに、言っていることもあります」と述べる。

 おぃおぃ!!

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■BS アニメ夜話 ラインアップ

BS マンガ夜話 homepageより。

「BSアニメ夜話」第1弾をお送りします!!
●司会 岡田斗司夫(作家)
●出演 池田憲章(評論家)、井上伸一郎(アニメ雑誌発行人)、唐沢俊一(評論家)、北久保弘之(アニメ監督)、大地丙太郎(アニメ監督)、氷川竜介(アニメ評論家)ほか(予定)
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第1夜 9月6日(月)
23:00~ 「 銀河鉄道999(劇場版)」 監督:りんたろう 原作:松本零士
第2夜 9月7日(火)
23:00~ 「 ルパン3世 カリオストロの城」 監督:宮崎駿 原作:モンキー・パンチ
第3夜 9月8日(水)
23:00~ 「 あしたのジョー」 監督:出崎統 原作:高森朝雄、ちばてつや
第4夜 9月9日(木)
23:00~ 「 カードキャプターさくら」 監督:浅香守生 原作:CLAMP

制作会社 アマゾンの公式ページ
アニメ通の論客陣とこだわりの職人技解説コーナーに乞うご期待!

 司会は「BSマンガ夜話」でもおなじみの岡田斗司夫。各回日替わりでゲスト論客が登場します。またアニメ評論家・氷川竜介の解説で、アニメにおける職人技を紹介するコーナー「アニメマエストロ」をお送りします。どうぞご期待下さい!

 氷川竜介版「夏目の目」ですか、、、。しかしTVで氷川竜介がアニメータの技紹介をする日がくるとは!! まずは『999』で金田伊功(金田原画はここ)と友永和秀の技を語ってくれるのでしょうか!
 池田憲章と技を熱く語ってほしいものです!! (しかしこんな企画、全国で何人くらいが喜ぶのか、、、、、。第一弾だけで終わらないことを祈りましょう。いっそのことアニメータを呼んで、内幕座談会もやればいいのに(しかしそのうちCSとかで実際にそんな番組が放映されても不思議でない))

◆関連リンク (放送後の感想を下記に載せました。)
・当Blog ■BS アニメ夜話 第一回 『銀河鉄道999』 感想
・当Blog ■BS アニメ夜話 第二回 『カリオストロの城』 感想

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■殊能将之『キマイラの新しい城』(講談社ノベルス)

 殊能将之の新作。
 ヒロイックファンタジーな描写と、中世からの視点で現代の東京を描いた異世界描写が面白い。ただミステリーとしてみると、、、、。
 異世界描写はセンスオブワンダーが、切れ味良く決まっている。こういう設定のミステリーで、SF視点を読めたのは収穫。元々SF読みだった殊能将之氏のSFを一度読んでみたいと思っていた向きには、嬉しい一冊。

◆関連リンク
『キマイラの新しい城』講談社ノベルス(Amazon)
講談社のサイトで冒頭を試読できます。

★以下ネタばれ注意!!!!

 ミステリーネタとしては、ラストの2段構えのオチはちょっとないなぁーと…。たぶんミステリーとして読んじゃいけないんじゃないかと、、、。『黒い仏』の時は、まだミステリーの結構をわざと壊している人のわるーい小説ということで、ある意味、インパクトがあったのだけれど、、、。今回のは「○常口」も着想はまあ面白いけどーー、だし。ラストの○殺/○○死のちゅうぶらりんさも、トリックとしては・・・・だし。まあミステリーは時々しか読まない、カーの密室モノも読んだことのないドシロウトの感想ですが、、、。

 んが、ある意味、味もあるかなーーと一晩寝てラスト付近のみ今、読み直していたところ。
 『ハサミ男』でスリリングだったのは、切れ味の良いメインネタもだけれど、「医師」の乾いたペシミスティックな描写が作品の切れを良くしていた。本作も主人公エドガーのラストで明かされる心情をミステリーのネタとしてでなく、感情移入して読むと苦い読後感があり、なかなかいいのかな、と。
 殊能将之の小説は、舞城王太郎と比べると(単に福井在住のメフィスト賞出身作家って共通点だけで比較してしまうのだけれど)、乾いていて衒学趣味で情動が届きにくい小説なのだけど(舞城がその対極だからか、、、)、時々こぼれてくるこうした部分が小説読みとしては楽しめる(『子どもの王様』はそちらに振っていたけど)。テクニシャンな部分と時々でてくるそうした乾いた情感的シーンが融合してクライマックスが描かれたら、もっと好きな作家になるんだろーなーーと思った。まあ、殊能本人やこの人のファンにとっては知ったこっちゃないって希望のような気もしないでもないけど。

 しかしキマイラって、何を意味しているのか??
 僕は六本木描写で克明に描かれた西洋のキマイラ的表象としての東京の異世界ぶりが本作のテーマ※1で、「キマイラの新しい城」とはそのものずばり「ロポンギルズ」と思った。うーん、この作家の衒学趣味から言ったら、とんでもなくストレートな解釈。2chとかウェブみてても、まだこの「キマイラ」の解釈って、ちゃんと分析された文章は見当たらないのだけれど、誰か新解釈、コメントください。、、、ということで、次は舞城の『好き好き大好き超愛してる。』(なんてタイトルなんだ!!)(Amazon)でも読もうかな。『ケルベロス第五の首』も積んであるけど、、、。

 ※1という解釈からいくと、本作はSFかファンタジーとして読むべきで、ミステリー部分はおまけ??かも。

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2004.08.07

■究極食物 「スッパイマン梅キャンディー」
        「目玉のおやじ汁」「妖怪汁」

youkaijiru.jpg
 ヴィレッジ ヴァンガード ビックカメラ店(名古屋駅西)へ初めて行って、妙なものをいくつか買ってきた。(アピタの時は行ってたのですが、ずっと広くなっててびっくり。)食物系が充実。沖縄関連がいろいろありました。
 スッパイマン梅キャンディーは、「乾燥梅のすっぱさとべっこう飴のまろやかさが見事にマッチした最高の一品」になっている。癖になりそう。
 で、問題の「妖怪汁」と「目玉のおやじ汁」(後者は「おやじ汁」と略すことなかれ!)。今、うちの冷蔵庫で着々と冷えとります。明日、飲む予定。ワクワク(こわいよーー)。レポートはここの記事をアップデートします。乞ご期待。(喜ぶと思ったうちの子供達は気味悪がるばかり、、、(^^;)) 缶のデザインいいのに。ネーミングが駄目駄目。
 そして8/8、二つの汁を飲んでみました(中身は写真の最右)。
 どちらもベースは、グレープフルーツのような味。「目玉のおやじ汁」のみ、ゆずっぽい匂いと味が少々。しかし、とても西洋妖怪風の味で、いまひとつ日本土着の妖怪風味ではないです。もっとお茶の味とか、味噌の味(!?)とか、汁の名に恥じないテイストにしてほしいものです。結論、何の偏屈もないジュースなので、缶がほしい人以外は買う必要ないっす!!
◆関連リンク
本家 上間菓子店「甘梅一番のスッパイマン」HOME
・「妖怪汁」「目玉のおやじ汁」発売元 株式会社アプリス 商品一覧  このラインナップが凄い。「蝶野正洋選手ブラックパインアップル・缶コーヒー・ブラックオレンジ」「獣神サンダーライガーストロベリーミルク」「阪神タイガースコーヒー」「さだまさし烏龍茶・緑茶」、、、、書いてて嫌になるラインアップ。体育会系から何故に妖怪へ???
ゲーム貴族さんに「ふりかけばばあ」なる商品が、、、、。調布市の「鬼太郎茶屋」とか、鳥取の水木しげるロードで買えるらしい。
 その他 「鬼太郎茶屋」では、鬼太郎ビール『目玉おやじの栗ぜんざい(500円)』『一反もめんの刺身こんにゃく(350円)』とか食べられるらしい。

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■新刊他メモ『フレーム憑き―視ることと症候』『イデアの洞窟』
        『夢見る猫は、宇宙に眠る』 『映像人類学の冒険』

flame.jpg
『フレーム憑き―視ることと症候』斎藤 環著(青土社)(Amazon)
 『イノセンス』や『マルホランド・ドライブ』についても語られています。この表紙にはこころをかなり動かされましたが、とりあえず買いとどまりました。ので、後で読めるようにメモ。

「リアル」はフレームに宿る-。映画・アニメ・漫画などの視覚表現に現れた隠喩構造の変容を、精神分析理論と臨床経験を武器に読み解き、解離・ひきこもり時代の症候をあぶりだす。
第1部 視ることのフレーム性―視覚新論
第2部 映画の症候を読む(内面の喪失、人格の明るい病
回帰するトラウマ、解離の現在
去勢、欲望の不可能性
対象喪失、真理と救済)
第3部 アニメーションの享楽
第4部 Jコミックの快楽

『イデアの洞窟』ホセ・カルロス・ソモザ著, 風間 賢二訳(文藝春秋刊)(Amazon)
古代ギリシアの連続殺人を描くミステリ「イデアの洞窟」の脚註の中でテキストの謎に翻弄される訳者の正体は? 驚愕のメタ・ミステリ。イギリス推理作家協会最優秀長篇賞受賞作。

『夢見る猫は、宇宙に眠る』八杉 将司著(徳間書店刊)(Amazon)
医療ナノマシン機器メーカーに勤務するキョウイチは、仕事のために訪れたカウンセリング施設で、研修生のユンとその恋人マークに出会った。
キョウイチは、軍に同行し、火星へと赴く。
そこは、思念が現実化する、異様な世界であった…。
第5回日本SF新人賞受賞作。

『映像人類学の冒険』伊藤 俊治, 港 千尋著(せりか書房)(Amazon)
映像人類学は―科学というセンサーからは洩れてしまうもの、言語という構造化からは流れ落ちてしまうものの痕跡や気配を、過去の一瞬を凍結し、光を通して現在化する魔術としての映像によって、蘇らせていったのだ。その創造性は、映像が誕生して一世紀半という長い時間の蓄積の果てに新しい輝きを持ち始めている。本書は、そうした光と精神の運動としての豊潤な映像人類学の位相を読み解くためのハンドブックである。

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2004.08.05

■ロボット解体LIVE2004レポート

 先日、紹介した「ロボット解体LIVE2004」の記事が掲載されています。
 ・3000万円のロボットが子供の手でバラバラに――ROBOT解体LIVE(IT media)
 ・未来のロボット博士たちへ(PC WATCH)
 子供達中心の夢を与えるいい雰囲気のイベントだった模様です。
 分解の写真も掲載されていますが、足の裏のセンサとか、アクチュエータからの動力伝達にタイミングベルトが使われている様子とか、なかなか興味深いです。
◆関連リンク
・fuRO BLOGのレポート。ここからトラックバックでいくつか参加者の記事が読めます。NAUTiLUS blogさんの記事

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■どこでもASIMOシステム

remote_asimo.jpgASIMO NEWS どこでもASIMOシステム公募ページ

 このシステムはPC、NTTドコモのFOMA端末で遠隔にいるASIMO本体にアクセスし、ASIMOに組み込まれたカメラで撮影された映像(動画)とASIMOが今いる場所に関する情報を文字情報としてリアルタイムで配信するシステムで、Hondaが推進する「ロボットネットワークシステム」構築に向けた革新的な技術です。

 先着100人が、8月9日~8月15日、ASIMOのカメラを通じた映像にインターネットからアクセスできます。
 今日の夕方、僕は無事登録できましたが、100名なので、希望者は急げ!!(★8/6既に締め切られていました。)

 ホンダは以前HRPプロジェクトで、東大 舘教授のアールキューブのコンセプトに参加していたけれど、少しそれに近い試みかもしれません。どんなイベントがあるか、楽しみ。、、、ただのインターネットカメラだったら怒りますよ。
 紹介文を読んでみると、FOMAからはASIMOの操作が出来るようですが、PCからはカメラ映像と状況の説明文が見えるだけのようです、、、本当にただのネットカメラ?? 後日、詳細レポートします。

◆関連リンク
東大 舘研究室は、究極映像研究とも呼べるいろいろなアイテムを研究されていますが、テレイグジスタンス用のTWISTER(Telexistence Wide angle Immersive STEReoscope)というのも、ひとつの究極映像ですね。

 TWISTERは、本人はその場に居ないけれども、あたかもそこに居るような体験を得ることができる、テレイグジスタンス技術の実験のために開発された装置。
 360度を見渡せて、かつ高輝度で臨場感のある立体映像を提示できるのが、今回開発したメガネの要らないディスプレイ装置のTWISTERです。

光学迷彩はとっても有名。

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2004.08.04

■『アインシュタインをトランクに乗せて』Driving Mr. Albert
   マイケル パタニティ著, 藤井 留美訳

einsteins_brain.jpg
 アインシュタインの脳をめぐるノンフィクション。画像は左から原書、ペーパーバック、文庫、関連映画チラシ。
 もともとアインシュタインの脳については、いろんな伝説的な話を今まで聞いたことがあったけれど、この本がノンフィクションとのことなので、事実がわかるのかな、と思って文庫化されたのを期に手にとった。
 プリンストン大学の病理医トマス・ハーヴェイ博士が、同僚の代わりにたまたま居合わせたために、アインシュタインの遺体を解剖することからこの物語は始まっている。で、この博士が脳を(どうやら親族に勝手に)取り出して行方をくらませてしまう。
 そして数十年後、偶然、ハーヴェイ老人と知り合った本書の筆者が、この博士とアインシュタインの孫娘に会いに行くロードムービー風の物語が本書である。
 ノンフィクションだけれど、筆者のタッチは、現代アメリカ文学風。ところどころ自分の家族の話も交えて、デラシネな雰囲気の小説として仕上げている。なかなかの文才だと思う。(と僕が書くまでもなく、筆者は雑誌ライターとしてかなり有名な人らしい。)
 で、肝心の脳については、なんでこんな(特に家族にとって)貴重なものがこんなにいいかげんな扱いにされているのか、と思うほど、ぞんざいな取り扱いにみえる。なにしろタッパーウェアに入れて、車のトランクに載せられているのである。アインシュタインが全くもってかわいそうである。
 文中で文化的イコンであったアインシュタインのアメリカでのヒーローぶりがいろいろと描かれているけれど、アインシュタインの脳を持っているだけで、このハーヴェイ老人に対して初めて会った人間がグルーピーになってしまう、というのが、端的にそれを描いているシーン。日本での位置づけより随分高いところにいそうである。
 で、ラスト。ハーヴェイ老が脳を最後にどうするかは、未読の人のためにここには書けないけれど、なかなかに哀愁のあるラストになっている。事実は小説より奇なり、とはよく言ったもので、へたな小説よりフィクション的に見事にまとまった話になっている。軽く読める訳者があとがきで言う「理想的ホリデーブック」に仕上がっている。
◆関連リンク
・文庫の解説より。歌手Lynn Harrisonがこの作品に触発されて作った"Einstein's Brain"という歌が聞けます。Lynn Harrison's Lynoleum
・文庫 『アインシュタインをトランクに乗せて』(Amazon)
・原書 Driving Mr. Albert: A Trip Across America With Einstein's Brain
・この本の映画化ではなく、こんなノンフィクション映画があるらしい。 アインシュタインの脳 Einstein's Brain 監督 ケヴィン・ハル 撮影 アラン・パーマー 録音 ジェームス・ハイ 音楽 林英哲 製作 BBCテレヴィジョン  1994年 65分
 なんと主役は日本人。アインシュタインの脳

世界的に有名なアインシュタインの研究家でもある近畿大学助教授の杉元賢治は、今もどこかで保管されているはずの「アインシュタインの脳」を探すためにアメリカに旅立つ。この映画は、その奇妙な旅を記録したドキュメンタリーだ。

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