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2004年9月

2004.09.25

■『SRI怪奇事件特捜チーム わらう火だるま男』BSフジ

 さきほど(04.9/25 22:00-22:55)BSフジで『SRI怪奇事件特捜チーム 笑う火だるま男』というハイビジョンドラマを観た。
 これが円谷プロの三十数年前のTVシリーズ『怪奇大作戦』の新作。今、ウェブで調べてみたけれどこの作品の情報がまったくグーグルでヒットしない。おまけに円谷プロのページにもBSフジのページにも情報がない。BSフジの今日の番組表のページにもこのドラマの事が書かれていないという不思議。、、、、今日のうちの新聞の番組表にはちゃんと書かれているのですが、、、。なんなのだろ?

 で、この『笑う火だるま男』というまるでお笑い番組のようなタイトルのドラマの内容は、「よみがえった岸田森が間寛平と組んで、なんばグランド花月に現れた島木譲二演じる火だるま男と現代ナノテクノロジーの粋を集めて戦う」というトンでもないもの。(と嘘を書いても、ウェブに情報がないので、しばらくは本当の話がどんなだか観た人以外誰も気づかないでしょう、、、、(^^;) と我々はかようにインターネットに依存しているわけです。)
 本当はタイトルとは違って実にまじめに『怪奇大作戦』現代版を作っていました。出演は緒川たまきと寺田農と宮川一朗太(と主演男優 誰だっけ?)。実は冒頭の10分を見逃して内容が今ひとつ判ってないのだけれど、笑う火だるまの髑髏男による怪奇な火炎事件がおき、それをSRIが追うというもの。ストーリーの詰めが甘くて、いまひとつ緊迫感を出せていないのが残念だったけれど、『怪奇大作戦』の雰囲気をそれなりに現代的に再現していました。
 脚本は上原正三。監督は一部、実相寺的映像もありましたが別の監督で服部光則。ナレーターは田口トモロヲで何故かプロジェクトXのしゃべり方。SRIのトータス号の替わりは、アルファロメオGTV。特撮はCGを使ってますが、火炎のアナログ映像との合成等でそれほどCG臭くなくまあまあ。髑髏男の火だるま映像はなかなか好きでした。

 ドラマが終わった後に、おまけに実相寺昭雄と上原正三と円谷粲の対談が放映。『怪奇大作戦』の思い出話と放映された『笑う火だるま男』の感想会をやってました。

 単発なのか、連続なのかも不明でした。この番組について特捜が必要。あれ、2chにもスレッドがない、、、。

◆関連リンク
・『怪奇大作戦』のファンサイト 怪奇大作戦のページ ここの掲示板にこのドラマについての情報がありました。

 今日、BSフジの『TV☆LAB』という番組の中で、新作ドラマ『怪奇大作戦』が放送されました。
 BSフジの『TV☆LAB』とは、新番組を放送して《視聴者からの意見をBBSに書き込んでもらい、番組作りに反映する為の番組》らしいので、今回の放送は視聴者の反応を見るテスト放送みたいですね。

 9月28日に同局で再放送があるらしいので 気になる方はチェックしてみてください。

・BSフジ『TV☆LAB』の掲示板。番組内のスポットでこのURLをさんざん紹介していたのに、このドラマへの書き込みは現在1本だけ! もっと書き込まないと、シリーズ化は無理です。ファンは、観たい!!と書き込みましょう。

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■新刊予定 古川日出男『gift』

 集英社の新刊予告より。
 『gift』 古川日出男 2004年10月26日刊行予定。 1,365円(税込) 。
 今年は続けて2冊、古川本が読める!!下記編集プロダクションの記事によれば、タイトルどおりに「贈与」に関する小説だとか。かんべむさし『笑撃・ポトラッチ大戦』と読み比べてみたいものです。
 Clover books : Cafeさんの記事。

 古川日出男さんに新刊『gift』についてインタヴュー@SPUR。古川さん、現代の天才的な語り部。最近は個人的な読書では「贈与論」について書かれた本が面白くってしかたがないのですが、まさに古川さんの小説には、交換のシステムばかりが浸透して大切な贈与ということがおろそかになり、すっかり荒んでしまった社会における贈与や純粋贈与の瞬間が描かれているし、今回はタイトルがまさにgiftだし、きっとそういう意図でお書きになっているにちがいない、と思ってお聞きしたら、ぜんぜん意識してなかったとのこと。でも、ご本人が無意識だからいいんでしょうね。その後も、文化人類学的に見て非常に面白いお話をいろいろしてくれ、非常に興味深かった。

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■新刊メモ 加藤幹郎『「ブレードランナー」論序説』

Bladerunner_ron_jyosetsu.jpg
 『ブレードランナー』論序説リュミエール叢書 34(Amazon)。
 下記リンクにある著者の言葉。

 本書はいまのところ世界でもっとも網羅的な『ブレードランナー』論である。しかし単なる作品論ではない。本書は作品論であると同時に映画技法論であり、映画史論であると同時に映画理論である。本書がそうした複数のスタンスをとるのは、いかなる作品も、それが帰属すべきミディアムとジャンルの創造と展開の方法と歴史なしには存在しえないからである。

◆関連リンク
『「ブレードランナー」論序説 映画学特別講義』を書き終えること   加藤幹郎
・加藤幹郎著『「ブレードランナー」論序説 映画学特別講義』(筑摩書房2004)を読むための用語解説(入門篇1)  今井隆介

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■押井守の体感型映像空間
    愛・地球博 『めざめの方舟』

 愛知万博まであと半年。子供の頃にみた大阪万博に比べて、自分の中のワクワク感が今ひとつ(子供じゃないんだから、当たり前(^^;))なので、盛り上げるために何回か記事にしたいと思います。なにしろ今回は家から1時間くらいのところで開催されるので堪能しなくっちゃ、というわけ。
 で、まずは押井守監督が総合演出するパビリオンのリンク特集。中日新聞がプロデュースしているので、中日のウェブにいろいろと記事がアップされていますので、それを中心に紹介。(写真の無断引用ですが、これも万博を盛り上げるため、笑って許してね中日新聞さん(^^;))
hakobune_akafuji.jpg hakobune_kannai_zenkei.jpg hakobune_hannran.jpg hakobune_shisatsu.jpg hakobune_kinoko.jpg
 犬と鳥と魚の顔を持つ身長2mの150体のキャラクターに囲まれた空間で、観客は上空の半球状の卵型スクリーンと、高精細の50インチプラズマディスプレー100枚に映る押井映像を見上げる。まさに押井の趣味空間が体感できるパビリオンということで、期待(半分/不安半分(^^;))。金を与えて、こんな好き勝手にやらせたら『天使の卵』みたくなっちゃうけど、いいのか??中日新聞(^^;)!!。
 でも特に僕は卵型スクリーンの映像には期待します。
共同館テーマゾーンを説明。
 押井さん「天地逆転の世界に」
世界初、映像流れる半卵
 テレビのように映像が映る半卵形のスクリーン製造は世界で初めて。
 総合演出押井守は「半卵形は“小宇宙”を抽象的に表している。パビリオン全体で人類や生命の根源を連想させる幻想的な空間を創造したい」
ニョキニョキ鉄のキノコ
 天井が地面となる「逆転空間」をつくり出すため、天井を大地に見立ててキノコを生やす。
浮かぶ「赤富士」
 中日新聞プロデュース共同館「夢みる山」で29日、館の象徴となる大屋根の照明テストがあり、葛飾北斎の「赤富士」さながらの姿が夕闇に浮かび上がった。
「夢みる山」視察
 キノコや木の葉をあしらった鉄製の美術造形物と直径約5メートルの卵形スクリーンの取り付けが、ほぼ完了した。
館内ののCGイメージ
パビリオンの建設状況
・愛知万博の公式ページの「夢見る山」紹介
◆関連リンク
・作家・荒俣宏さん、愛知万博への期待を語る。「お化けの森つくって」

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■楳図かずお『わたしは真悟』 演劇化

watashiwashingo.jpg
 umezz.com 楳図かずおオフィシャルホームページより。
 あのSFマンガ『わたしは真悟』の芝居が上演されるようです。アロッタファジャイナという劇団。

原作 楳図かずお(小学館刊)
監修 那須博之(東映「デビルマン」2004)
脚本・演出 松枝佳紀
キャスト
上野未来、谷口大介、根岸絵美、高橋正倫、藤澤よしはる、
ナカヤマミチコ、m.m.マダム、新津勇樹、奥村拓武井邦洋、
池亀みひろ、安藤ケースケ他
2004.10/26-10/31@高田馬場アートボックスホール
10/1~前売り開始

 あの世界がどう演劇化されるのか、なんかワクワクしますが、、、。
 関東圏の方、是非レポートをよろしく!!
 しかし、ポスターは随分あのマンガとイメージが合いません。ここの劇団の芝居はいつもこんなイメージのポスターのようなので今回もこうなったのでしょうか?

◆関連リンク
『わたしは真悟』小学館文庫(Amazon)

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2004.09.19

■矢口史靖監督 『スウィングガールズ』 SWING GIRLS

 究極映像研的には、『華氏911』とか『アイロボット』を観に行くのが先のはずですが、何故か『SWING GIRLS』。
 矢口史靖監督のはいつも手堅く笑えて楽しめる映画で、&どっかすっとぼけたセンスがいいのですが、今回も矢口節は健在。
 特にイノシシのシーンで爆発的にわらかしてもらいました。最近会社で仕事が煮詰まってる私、ひさびさに腹の底から大笑い。サッチモの"What a Wonderful World"と『マトリックス』のショットガンカメラ映像の日本的(チープな)融合が、このような傑作シーンを創造するとは!! 矢口監督に脱帽!!
・公式サイト SWING GIRLS

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■テリー・ギリアム監督 『ブラザー・グリム』
  Brothers Grimm, by Terry Gilliam

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 ひさしぶりにググッたら、スチルが少し出てきました。早く観たいっすね。
◆関連リンク
Dreams: Brothers Grimm, by Terry Gilliam
・幸さんの「読む映画試写会」 
ブラザーズ・グリム(THE BROTHERS GRIMM)@映画の森てんこ森

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■オラフ・ステープルドン『最後にして最初の人類』
    浜口稔訳 (国書刊行会刊)

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 中学の時に、繰り返し図書館で借りた『SF教室』筒井康隆編(昭46ポプラ社)でその紹介文を読んで以来、ずーーーーーと読みたかったステープルドンの『最後にして最初の人類』をあれから約30年たった今、読了。訳者の浜口稔さんに『SF教室』ファンは足を向けて眠れません(^^;)。中学の時に、なんて小説が世の中にはあるんや! と読みたかったわけですが、あの紹介文(by.伊藤典夫氏?)のワンダーに近いものをしっかり感じて、読み終わった。
まずは総論
 本書は1930年(昭和5年!)に書かれているので既に74年前の本であるが、噂にたがわぬ傑作SFであった。これが74年前に書かれていたとは驚きである。SFファンと気宇壮大な話の好きな人は、必読です。ひさびさどまんなかのSF。
 20億年の地球人類の歴史の全体像をこのように描き出している想像力に感動。今、このような遠大で哲学的試みをできる作家は他にいないのでは。現在の作家が描く20億年も是非誰かの筆で読んでみたい。この本の翻訳をきっかけにして、日本人で挑む作家がいることを強く望む。
 たぶんステープルドンは、地球と人類の未来を切実に見たいと思ったのではないか。僕も自分が死んだ後の人類の未来をみることができないのが、いつも悔しくってしょうがないのだけれど、本書はその欲望の何分の一かを満たしてくれるものだった。驚異の未来に立ち会えないことの悔しさを感じたことってないですか?

各論のよーなメモ
 で、あとは読みながら思いついたことを、メモ的に、、、。
・空を飛行することを一種の理想として描いているのは、1930年当時に飛行機というテクノロジーの持っていた意味と無縁でないと思う。
・宇宙旅行の概念が出てくるのが随分後。これは現在書くとしたら、もっと前面に出されるでしょう。
・核兵器を開発した中国人。この部分が唯一、普通の小説的に個人の視点で物語られている。ここで少しほっとしました。冒頭から歴史的筆致で書かれていたので、最後まで読めるかと危惧したのだけど、各人類の描写にアイディアとワンダーがあって、驚異の未来を体感しながら、ちゃんと読み進められるのでご安心を。
・どの人類に対しても著者の知的生命への愛情が溢れている。
・A・C・クラークらへの影響。オーバーロードとオーバーマインドや、2001年へも確実に影響している。それらの存在すら、本書の20億年の人類の諸相にとってはちっぽけな一過程にしか思えないところが凄い。
・我々20世紀人はついテクノロジーで文明の進化をはかるのだけれど、ステープルドンはどちらかというと精神的な進化で文明を描こうとしている。テクノロジーとしてはメカでもエレキでもなく、バイオ。しかしDNAを知らない時代にこう描けてしまうのもなかなか凄い。
・過去を見ること。未来から過去への干渉。つい、『ケルベロス第五の首』を読んだあとなので、第18期人類の一人が第1期人類である著者を通して本書を語っているところに叙述的陥穽が潜んでいるのではとか、疑ってしまった。20億年のときをへだてた凄い規模の叙述トリック、、、。タイトルの『最後にして最初の人類』というのはこの第18期人類の一人が第1期人類である著者を通して、というところを表現した邦題なのでしょう。
・訳者解説で興味深かった一節です。スターメイカーも読まねば。

 本作品の未来人類にしても、その退化の様は異様で奇怪。どう見ても弁証法的に肥え太っていくような進歩史観を展開しているように思われません。それなのに、読後感として人類への悲観も神への不信も感じることができないのです。この堅固な哲学的確信の出自はどこにあるのでしょうか。

◆関連リンク
・岡本俊弥氏のレビュウ年表(LOGスケールが嬉しい労作)
・訳者の浜口稔教授 (明治大学理工学部 総合文化教室 英語第3研究室)の大学のHPでの自己紹介文。ステープルドンを教えられているのではなさそうです。

これまで欧米の言語思想をもとに言語生物<ヒト>の存在の不思議をおっかけてきましたが、最近は東アジアと南洋の歴史・地理・自然を背景にした諸文化の湊(みなと)としての琉球の奇妙な個性に惹かれまくっています。おもしろそう? なら、総合文化ゼミナールでお会いしましょう。

・森下一仁氏のレビュウ。最後技術論でまとめてしまっているのが、ちょっと今ひとつか。
オラフ・ステープルドンの作品解説
すみ&にえ「ほんやく本のススメ」さんによる本書の対話レビュウ
最後にして最初の人類(Amazon)

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■村上春樹『アフターダーク』(講談社刊)

 ぼんやりした夜明け前のあさぼらけな雰囲気がこの本の読後感だ。
 
 まず文体。今回、まるで映画のシナリオのような文体をわざと使っている。
 章ごとの導入の文章は、「前と同じ「デニーズ」の店内。」とか、「浅井エリの部屋。」という具合に、シナリオのト書きそのまま。
 そして前半は浅井マリと浅井エリのエピソードが交互に現れるのだけれど、どちらも「私たち」はカメラのポジションが移動するように彼女達を観察することになる。※1

 私たちは店内をひととおり見まわしたあとで、窓際の席に座ったたった一人の女の子に目をとめる。(P9)

 カメラのアングルは今ではひとつに固定されている。カメラは「顔のない男」の姿を正面、いくぶん下方から見据えたまま動かない。(P72)

 いつもの「ぼく」の一人称とは違う映画シナリオ的描写により、感情のトレースは少し弱く、客観的に小説の登場人物を眺めているような感覚になってくる。
 何故、今回、村上春樹はこういう文体で描いたのか? 映画化はほとんどされていない村上作品なのだけれど、映画化を前提にした小説で既にどっかの映画会社と話が進んでいる?? ってのは、多分違うでしょう。
 全体で描いているものとこの文体が村上春樹の中では、不可欠だったのだろう。
 よくはわからないけれど、こういう眺める視点で状況をドキュメンタリー的に切り抜きたかったのかもしれない。
 姉の様子から家にいたたまれず夜中の街をさまよう浅井マリ。ホテル「アルファヴィル」の元女子プロレスラーカオル。中国人の女を殴るシステムエンジニア。、、、、どれもこの現在の街のどこにでもありそうな情景である。
 そして全編の底流に流れる不安感。薄皮一枚でつながっているが、その下に広がる闇。コンビニの携帯電話で象徴したどこにでもある薄皮一枚向こうの暗闇。村上春樹の目には、切り取りたかった現代はこんな風に映っているようだ。
 不安感漂う一冊。

※1.こういう叙述的仕掛けがありそうな書き方をされると、『ケルベロス第五の首』読後の後遺症で何か仕掛けが??と悩んでしまうではないですか? これって、ケルベロス症候群とでも名づけますか?
◆関連リンク
・25pesoさんの「アフターダークの冒険」。ウェブでいろいろな「アフターダーク」を調査されてます。
『アフターダーク』(Amazon)
・ゴダールのDVD 『アルファヴィル』ALPHAVILLE
◆音楽リンク
 小説中で流れている音楽。村上春樹の中ではこれらの曲がこの小説に必要だったわけです。
 AppleのiTuneをダウンロードしてSEARCHして試聴するのもいいですね。
・Curtis Fuller "Five Spot After Dark"
・Duke Ellington "Sophisticated Lady"
・Hall and Oates "I can't go for that"
・Sonny Rollins "Sonny Moon For Two"
・Solvatore Adamo "Tombe La Neige"
・スガシカオ「バクダンジュース」

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2004.09.18

■究極コンビニ鍋 「い・や・な・べ★」

 楽しい??ページを発見 !
 い・や・な・べ★

「いやな鍋」略して「嫌鍋」。具・汁ともに何でもアリのヘンな鍋。
まあ、説明するより見てもらったほうが早いでしょう。

 ということで、まずはクリック!! 我が家では「★鍋プリン(NABE-PUDDING)」が最高にうけてました。「プリン鍋」ではなく、「鍋プリン」なのが、とても凄い。

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■鴻上尚史作・演出 『リンダ リンダ』

lindalinda.jpg
 thirdstage.comより。

出演: 山本耕史 松岡充 馬渕英里何 北村有起哉 大高洋夫 SILVA ほか

上演にあたって
数年前、ニューヨークでミュージカル『マンマ・ミーア!』を見た時、全編、『ABBA』の音楽だけで物語を進行していくという構成に、目からウロコが落ちました。
自分にとっての『マンマ・ミーア』を、「今はないバンドで、自分自身の気持ちを込められる」というところから構想しました。
これは、『ザ・ブルーハーツ』へのオマージュであり、同時に彼らの名曲に負けない音楽劇を作りたいという宣言でもあります。
(鴻上尚史)

 第三舞台は現在「封印」中です。んで、この公演は、KOKAMI@network vol.6。
 全編「ザ・ブルーハーツ」の音楽劇 ! 以前から鴻上尚史は、芝居の中でブルーハーツの音楽を使っていますが、今回、あの音の演出(突然、でっかく鳴ったり、ちっさく鳴ったり)で劇場の中に、ブルーハーツのナンバーが鳴り響く! 遠いけど、大阪、、、行こうかなーー。(THIRDSTAGE.COMのメーリング加入者は、今日9/18~先行予約可なのです。)
 主演が山本耕史(『新選組!』の土方役)というのも興味有。もともと山本耕史は『ピルグリム』で、鴻上尚史の芝居に出ていたよーですね。『新選組!』の瞬発力のある演技は、鴻上仕込みだったのか??
 大高洋夫のひげも気になるし、、、(^^:)
 あまりにも、まんまな鴻上+ブルハですが、80年代な自分は、はまりそう(^^:)。

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■ポール・アンダーソン監督『バイオハザード』
■ジョン・ウー監督     『ペイチェック』

 Ⅱの公開にあわせてHiVision放映された『バイオハザード』、とDVDで『ペイチェック』を観た。
 ミラ・ジョボビッチが良かったからというわけでもないですが、『バイオハザード』に軍配。『ペイチェック』は面白くなりそうなネタなのに、ジョン・ウーいまいち。

 『バイオハザード』は、舞台を限定して考えられた話で、そこそこ良かった。あと冒頭の映像は、なかなかいい絵だった。ちょこっとリンチ風と言ったら誉めすぎ??ポール・アンダーソンって初見だけれど、今度の『エイリアン vs プレデター』も設定がちょっと変わってたり、実はキワモノなりに期待できたりして。

 『ペイチェック』は、あまりにハリウッドアクションのパターンで、駄目だーー。とにかくひっきりなしにアクションを畳み掛けておけば観客は満足するだろう的シーンの連続はげんなり。知恵を使わないスカスカな展開がついていけませんでした。P・K・ディックの原作は読んだ話なのだけど、すでに記憶の彼方。映画の出来が悪かったので、読み直す気になりまへんでした。

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2004.09.17

■ソニー ハイビジョン・ハンディカム
   HDR-FX1登場

HDR-FX1.jpg
HDR-FX1 -Sony Style

 HDR-FX1では、放送局で広く採用されている「1080i方式」、なかでも有効走査線1080本、60フィールド/秒で映像を再現する「1080/60i方式」を採用。

 ついに1080iのHDカメラが家庭用に出ました(発売は2004.10/15~)。ビクターのは720pだったのでこれが世界初。値段は破格?の39.9万円! 
 これで自主映画でもプロジェクタと組み合わせれば、DVD以上かヘタをすると35mm以上の画質を我がものに出きるわけで凄くコストパフォーマンスは良いのかも。ほしいよーーー!! これとブルーレイ。
 にしてもでかいですね。写真の女性が小人(^^;)でない限り、私は運動会でこれかつぎたくはないです。
 上記Sony Styleの開発者メッセージというのが面白いです。ちょこっと抜粋。

 運動会はもともと被写体が複雑に動くという、MPEGには厳しいシーンが多いことに加え、手ブレが起きやすいなどさまざまな条件が加わります。ハンディカムにはそんなシーンにも対応できる実力も要求されるわけです。
 そういう意味では、「ハンディカムだから許される」と言えるところは、あまりないんです。むしろ、「業務用なら許されるけど、ハンディカムだからシビアでなければ」というポイントの方が多いくらいですね。
 そのため開発の段階では、圧縮ノイズが目立つような画像など、デジタルカムコーダーが苦手な被写体を意図的に撮影しチェックを重ねました。改良してはまた撮影し、検証する。それを徹底的に繰り返したんです。
 私自身、フィールドテストで花を接写した際、撮影時には気づいてもいなかったアリやクモの糸が映っているのを見て驚いたことがあります。
 100inchくらいの画面に映すと、肉眼以上の映像かも。あとVAIOでノンリニア編集もできるということで、気分はもう『StarWarsエピソード1』なルーカスですね。環境的には黒澤明を超えてます(^^;)、きっと。
 「VAIO」パーソナルコンピューター搭載のアプリケーションソフトを使って、ハイビジョン映像のノンリニア編集が可能。映像の取りこみから編集、書き出しまで、1080iで撮影した映像素材を使って、本格的な作品づくりができます。
◆関連リンク
HDR-FX1(Amazonでカメラ本体が買えます)
ソニーHDR-FX1完全ガイドBOOK 玄光社Mook(Amazon)
・AV Watchの詳細記事
 「ソニー、民生用初の1080i対応HDVカメラを10月に商品化
・CG制作日誌さんの実物展示のレポート
・PCでのノンリニア編集については、★e-sonyshop satouchi★ つれづれにっきさんの「HDVカメラ「HDR-FX1」のPC編集について

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2004.09.08

■BS アニメ夜話 『カリオストロの城』

 今日は国生さゆりが加わったからか、割と普通の話にまとまっていたよーな。もっと『やぶにらみの暴君』の話とか、アニメータの話題にも触れてほしかったなーー。
大塚康生とのコンビ
 面白かったのは、大塚康生とのコンビネーションの話かな。僕も宮崎駿の黄金期※1は、『未来少年コナン』と『カリ城』と思うのだけれど、どうしてそうなのかな?と思ってたので、参考になった。
 唐沢俊一の言っている「宮崎-陰、大塚-陽」というのはちょっとピンとこないのだけれど※2、確かに『コナン』と『カリ城』とか大塚とのコンビ作に傑作が多いのは間違いない。※3 ここらの分析をもっと読んでみたい。『リトルニモ』が宮崎+大塚コンビで作られていたら、検証できたかもしれないのだけど。今から大塚作監を復活させて検証するわけにもいかないし、、、。『雑想ノート』のどれか小品を30分だけ老人チームで作ってみてほしかったりして。
何故、『コナン』と『カリ城』なのか。
 検証されないとわからないなら、この切り口でなく何故『コナン』と『カリ城』が傑作なのかをちょっとだけ考えてみる。もしかするとやはりこの宮崎監督作の初期2本は、ずっと蓄積された宮崎の想いが初めての監督作で思い通りに解放されていることが原因かもしれない。(あ、割と一般的説明ですが、、、。)
 何がいいって、特にこの二作の一番の名場面を挙げるとすると、僕は『コナン』の「大津波」のモンスリーが過去を思い出すシーンと、『カリ城』で過去にルパンとクラリスが会っていたことをルパンが思い出すシーンが、とにかく最高シーンだと思う。どちらも似たシーンだけど、宮崎がずっとそこまでの画面にそこかしこで込めてきた想いが結晶化しているようなそんなシーンだと思う。情感というか記憶の回復というか、これこそ言葉では書けない映像のみの持ちうる何ものかの表現なのだと思う。で、何が言いたいかというと、ここに象徴化されているようにこの二作にはそれ以外にも宮崎のそれまでの想いの蓄積が随所に結晶化されていて、それで傑作たりえているのではないか、と思うのだ。つまりここで一番純粋な形で、宮崎が蓄積してきたいろいろなものが解放されて傑作が生まれた。その後の作品は技術レベルは高いけど、観客にここまで伝わってくる「想い」が込められていないのではないかな、という解釈。 ど、でしょ。長文でくどくてわかりにくいっすね。
何故、少女を助けるのか?
 この蓄積について一つだけ書く。白い服を着た少女について。『宮崎駿の原点―母と子の物語』という大泉 実成が書いた本の中に非常に興味深い宮崎の子供時代のエピソードがある。あまりに後の作品にピッタリはまりすぎてかえって嘘くさく思えるエピソードなのだけど、、、。
 手元に本がなく記憶で書くけど、東京大空襲の中、トラックで逃げる宮崎一家と駿少年の前に、逃げられず助けを求める白い服の少女がいた。しかしトラックはいっぱいで見捨てて逃げてしまった。宮崎少年はこの時の少女に強烈な原罪を感じている、というもの。
 その時、逃げてしまった宮崎が悔いるのは、少女の持っていた未来の可能性を殺してしまったのではないかということである。ありえたかもしれない未来を奪ったのが自分であるというような想いを持ったというようなインタビュー記事だったと思う。
 『コナン』も『カリ城』も、まさにこの白い服の少女を助ける、というモチーフが歴然とある(と言うか、その他の作品もこればっか(^^;))。そして記憶がよみがえるシーンで物理的に助けるだけでなく、精神的な浄化みたいなことも同時に描いていたりする。ここに込められた宮崎の想いというのは、たぶん僕らが単にロリコンと揶揄する以上の何ものかがあるのだと思う。
 んで、細かくは分析できてないけれど、ここをもっとも見事に結晶化しているのが、この二作を傑作としている理由ではないかと思うのである。番組で井上伸一郎がインタビューでクラリスは理想化しすぎているのではないか、と言ったら烈火のごとく宮崎が怒ったと話していたが、宮崎にこんな後悔の記憶と、ありえたかもしれない少女の可能性に対する想いがあるとすると、烈火の怒りもわからんではないなーー、と思ったりするのである。特に長年の想いを初めて自作で解放したこの二作については。※4
( あー、明日も仕事だというのに、何を真剣に長々と書いているんだーー>>>自分。ちょっと仕事逃避モード強い今週です。許してたもれ。)

※1.ただし漫画の『風の谷のナウシカ』は別格。これは本当に凄いと思う。『コナン』と『カリ城』の宮崎アニメの良さとは、またちょっと別ですが、、、。あと後期宮崎では『魔女の宅急便』と『ON YOUR MARK』とかも好きですが。
※2.『旧ルパン』や『侍ジャイアンツ』や『ど宝』、『空飛ぶ幽霊船』の宮崎原画を観てもコンテや『雑想ノート』にしても、宮崎のおおらかな作画センスが出ていて、大塚-陽に対する陰とは思えないので。
※3.でも大塚コンビ作だけでなく「テレコム」で作ったのは、後期に比べ傑作が多いと思う。
※4.少女を助ける、そのものの話に宮崎は傑作が多い。『ON YOUR MARK』、「泥棒は平和を愛す」とか。東映動画『ガリバーの宇宙旅行』で新人アニメータの立場で、強引にラストをこのモチーフに持ってきたエピソードも有名。

◆関連リンク
・唐沢俊一が収録の様子を書いています。裏モノ日記 2004年8月の8/18分。『やぶにらみの暴君』についても語っていたようですね。放送ではカットされてたみたい。
『宮崎駿の原点―母と子の物語』(Amazon)
未来少年コナン 6「大津波」収録 (Amazon)
ルパン三世...スタジオジブリ絵コンテ全集...「泥棒は平和を愛す」収録 (Amazon)
・当Blog記事
 ■BS アニメ夜話 ラインアップ
 ■BS アニメ夜話 『銀河鉄道999』

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2004.09.07

■村上春樹著 『辺境・近境』 新潮文庫刊

 村上春樹の97年刊行のエッセイ集。
 ニューヨーク近郊の作家の町イースト・ハンプシャー、ノモンハン、メキシコから、うどんの讃岐まで、旅する作家の紀行集。
 この作家のエッセイは今まであまり読んだことがなかったので、小説からイメージしていたのと比較して、ああこういう人なのか、という新鮮な感じ。でも実は小説からイメージしていたのとあまり変わらなかったのだけれど(^^;)、メキシコの下りでの放浪癖の話とか、面白かった。
 P49に人が旅をする根源的な理由について、ポール・セローの小説でのある女の子の言葉を引いて、こんな風に書いている。

 「本で何かを読む、写真で何かを見る、何かの話を聞く。でも私は自分で実際にそこに行ってみないと納得できないし、落ち着かないのよ。たとえば自分の手でギリシャのアクロポリスの柱を触ってみないわけにはいかないし、自分の足を死海の水につけてみないわけにはいかないの」(略)理由のつけられない好奇心、現実的感触への欲求。

 旅先でいろんなものをつい触ってしまう私は、この意見に同意。この紀行全体にそこはかとなく、この現実的感触が描かれていて、擬似旅行できる。とーとつだけど、ヴァーチャルリアリティに大切なのは、触覚なのかも、と思うのである。
 あとノモンハンの下りで、中国に自動車各社が虎視眈々と車を売ることを考えているけれど、自動車事故でそこに現出するのは「おそらく桁違いの悪夢(中国に関するものはだいたいみんな桁違いになる傾向がある)」、、というところも興味深い。大陸で作家は幻視したのでしょう。「桁違い」という表現が身に迫ります。10年後の中国も是非レポートしてほしいものです。
 あ、讃岐でうどんを喰い続ける話も好きです。行ってみたい!超ディープな「中村うどん」へ。(ここの紹介も良い味出てます)
◆関連リンク
『辺境・近境』新潮文庫(Amazon)
『辺境・近境 写真篇』 松村 映三著, 村上 春樹著 新潮文庫 (Amazon)

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■BS アニメ夜話 『銀河鉄道999』

 なかなか濃い一時間でした。
 氷川竜介と村上隆が金田伊功を語るところ、それがお茶の間のTVで語られていることに、まず感嘆。『さらなら銀河鉄道999』のプロメシュームと、『ブライガー』のコマ送りをNHKの放送で観られるとは! 20年以上前のまるでアニメージュの誌面がTVで紹介されているようで懐かしいやら、ついにこんな時代になったと感慨にひたる(←バカ)。印象では1/3の時間が金田について語られていた。(それにしても準備されていた金田氏の写真の古さよ!昔どっかの雑誌で見た愛車ジムニーと写ってるやつでした)

 友永和秀のシーンは、キャプテンハーロックが正面に向けて歩いてくるところの抜粋だったけれど、僕的には機械伯爵の時間城への侵入シーンで銃を構えるところとか、錆びていく城から逃げる所の鉄郎の走りを見せてほしかった(あれって、友永氏だよね?)。コミカルでシャープなあのアニメートが良かったのだけど、、、。
 北久保弘之が友永氏は『999』で認められて宮崎監督&大塚作監に『カリ城』に呼ばれたと言ってたけれど、ちょっと当時の流れでいうと違和感があった。もともと友永和秀は『999』の前の年の『未来少年コナン』で作画をやっていたので、単にその流れで『カリ城』に入ったんじゃなかろうか。

 あと北久保がポロっとしゃべった某押井監督発言 作品的にはなんにもない『犬神家の一族』を編集だけでみせてしまう市川昆。彼がたずさわったことによる『999』と、関係してない『さよなら』の違いを観よ! (表現はもっと過激でした) というのも面白かった。確かに全体の印象として、なんか映画のキレが全然違いますね、『999』と『さよなら』では。ストーリーの差だと思ってたけど、実は編集の差がかなり大きく影響しているのか?? (金田で動体視力を鍛えた僕は『さよなら』って、あのプロメシュームが観れただけで大満足だったけど。)
 
 当時、アニドウの『フィルム1/24』か何かで、金田・友永両氏がこの映画のことをアニメ的には『銀河鉄道なんにもナイン』と影で言ってたという記事も思い出した(『フィルム1/24』が発掘できず正確には未確認)。今、それを松本御大についてより二人のアニメータに時間を割いてとりあげられていることに、これまた感慨。

 映画としての『銀河鉄道999』は、なんか見直すと今のアニメに比べると素朴ではあるけれど、あれを観た夏の日を想い出して、グッときてしまう。アニメとか映画にもっと熱くなってた頃の残り香みたいなものを嗅ぎとってしまうからなのかも。こういうタイプの映画は自分にとっては貴重な数本のうちの一本かもしれない。
 
 というわけで、なかなか初回から良い疾走感でした。村上隆を岡田斗司夫があしらった(違ったっけ?)ところもオタク的にはなかなか愉快だったし、、、。明日の『カリ城』での炸裂も楽しみにしましょう!!

◆関連リンク
・村上隆の語る金田のプロメシューム作画
・金田作画を語る氷川竜介の話をさらに読みたい人は、『20年目のザンボット3』オタク学叢書 (Vol.1)(Amazon)
・A-STYLE 劇場版『銀河鉄道999』スタッフリスト
・金田、友永他についての個人的に好きなシーン 投票アンケート ブライガー強い!
・当Blog記事 ■BS アニメ夜話 ラインアップ

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2004.09.05

■多砲搭戦車 悪役一号

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 たのみこむにて多砲搭戦車 悪役一号の予約募集がされています。

 ご存知、『宮崎駿の雑想ノート』(Amazon)に登場する戦車です。思わず注文しそうになりましたが、今のところ、思いとどまりました(^^;)。

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2004.09.04

■新刊メモ『アフターダーク』
   『スチームボーイ絵コンテ集』『笑撃・ポトラッチ大戦』

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村上春樹『アフターダーク講談社(Amazon)
 あちこちで書かれてますが9/7発売ですね。何故か今年は『ダンスダンスダンス』を読んで村上春樹にはまって、いろいろ再読したり初読したり、結構読んでいるので楽しみです。これ、装丁が和田誠らしいけど、いつもの絵と雰囲気違いません?
大友克洋『スチームボーイ絵コンテ集講談社(Amazon)
 これは本屋で見たのですが、ハードカバーで立派な本。こんな風に絵コンテが出ると、なんかアニメも文化の仲間入りってな感じ。ちょっと似合いませんが、本棚には飾りたくなってしまった。ひさびさに大友の絵が楽しめます。
かんべむさし『笑撃・ポトラッチ大戦講談社青い鳥文庫fシリーズ(Amazon)
 これは30年前のかんべむさしの短編ポトラッチ戦史(Amazon)の長編ジュブナイル化(新刊ではなく昨年の刊行)。なんかむちゃくちゃ懐かしくなってしまいました。この短編とか『サイコロ特攻隊』とか、大好きだったので。青い鳥文庫ファンの娘といっしょに読めるのも利点。これだけは絶対買います(^^;)。ちょっと表紙にひるみつつ、、、。

◆関連リンク
・Mac&iPod:Lifeさんの村上春樹:『アフターダーク』情報
スチームボーイ絵コンテ集』講談社公式ページ

 本書は、2004年7月に公開された劇場用アニメーション『スチームボーイ』の絵コンテを収録したものです。
絵コンテはすべて大友克広監督自身によって描かれ、天地310mm×左右237mmのコンテ用紙七百余枚、A、B、C、D、E1、E2の6パートに分かれています。

・かんべむさしの電子本が買えるサイト デジパ著作リスト
かんべむさしの本って、Amazonではほとんど在庫切れか、ユーズドですね。さみしいです。で、復刊.comのかんべむさし復刊特集ページ
・大矢 正和氏のHPに笑撃・ポトラッチ大戦』のイラスト

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■電子立体像撮影機改造本舗

 究極映像研究所のミッション(^^;)の一つに立体映像の鑑賞があります。
 最近、サボっていたので、ひさびさにググって観ました。

 電子立体像撮影機改造本舗さん。

 各種デジカメを2台並べてシャッターを同期するようにした自作3Dデジカメが紹介されています。改造法とそれによる画像サンプルが楽しめます。
 あとデジタルビデオカメラDCR-PC100に自作のCMOSカメラを接続した自作3DビデオカメラDVC-S1(Digital Video Camera-Stereo) の紹介があります。改造法の詳細はいまいちわからないのですが、最近のデジタル画像機器の発展から、こうした自作の可能性が随分広がっているのが改めてわかりました。、、、、僕もデジタルビデオカメラを2台繋げて3D動画カメラを作りたくなってきました。PCで2台の動画を合体編集してやれば、立体映画が作れます!

 このサイトでは自作3Dビデオカメラを使った立体動画のサンプルも紹介されています。電子立体像撮影機改造本舗さんの「画像サンプル」-「DVC-S1」で、クラゲとかモーターショーとかの立体動画が観えます。平行法立体視に自信のある方は、観てみましょう。残念ながらウェブに載せるためファイルを小さくしてあるのか、解像度が低く、立体度が今ひとつのよーにも思いますが、、、。
 あ、静止画のサンプルはかなり綺麗で凄く楽しめます!

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2004.09.02

■古川日出男著『ボディ・アンド・ソウル』(双葉社刊)

 昨年の『サウンドトラック』に続く古川日出男の最新作は、作家フルカワヒデオの一人称で語られる物語の創造を描いた小説。
 フルカワが新しい小説の構想を得て、イメージを膨らませるシーンが、主に編集者との関係のうちに多種書かれている。これが本当に古川日出男の創作の現場であるかどうかというのは、かなり疑問であるが、なかなか興味深い。(登場する架空の新作の中では、僕はディストピア小説『ドストエフスキー・リローデッド』が是非読んでみたい。なんか凄そうでしょ。『アラビアの夜の種族』の文体で描かれる再装填されるドストエフスキー、、このイメージ喚起力!!)

 小説全体は、現在の軽薄な日本の生態が、フルカワの日常として現代的な躁状態の文体で描かれている※1。しかし読み続けていくと、現れる別の断面。少しでも書くとネタばれになるので止めておくが、この側面が現れるところがゾクゾクした。軽薄な日常/ギャグの中に深刻な話がチラチラ顔を出す部分は、鴻上尚史の第三舞台の芝居を思い出させる。鴻上尚史が随分前に書くはずだった小説版『朝日のような夕日をつれて』は、この古川の本に近いものになっていたのかもしれない。演劇をやっていた古川日出男が『朝日のような夕日をつれて』を知らないはずはないので、本作に絡めてどっかでインタビューで触れる人がいないか、期待したい。

※1 古川日出男の小説は、文体の幅がかなり広い。わざと広げているように感じられるのだけれど、今回の躁文体は初読の人にはかなり誤解を招きそう。実は『アラビアの夜の種族』みたいに重厚な文章や、『アビシニアン』のようにリリカルな文体も書ける作家なのです。ファンの人には言わずもがな。
※2 いろいろな小説や音楽や舞踏についても文中で語られていて楽しめるが、P234の藤子・F・不二雄「劇画・オバQ」の解釈は切ない。「藤本氏から安孫子氏にむけた決別のメッセージ」という解釈は、藤子不二雄ファンの間で一般的なのかな?ウェブで検索してみたところ、この解釈は見当たらないけれど、、、。古川が本書のイメージに合わせて解釈した新説なのかも。詳しい方、コメントください。

◆関連リンク
『ボディ・アンド・ソウル』(Amazon)
・作家・古川日出男氏非公認の情報サイト 古川日出男センター ―仮営業所―
古川日出男の著作(Amazon)
・第三舞台『朝日のような夕日をつれて』 第1回公演 '85 '87 '91 '97
・鴻上尚史 戯曲集『朝日のような夕日をつれて』(Amazon)
・評論家、アンソロジストの東雅夫氏の「◆◆◆幻妖通信◆◆◆」第12号に記事。

古川日出男の『ボディ・アンド・ソウル』は……あの『ケルベロス第五の首』や『生ける屍』に勝るとも劣らない(!?)大変な野心作にして問題作である。

cakeさんのページに『小説推理』連載時の本書の感想があります。





★★ネタばれ!!! 注意★★ 以下は必ず読後に!!
 (やっぱり我慢しきれずに書いてしまおう!!) 



 ラストは、とにかく切なくていい小説になっている。文中で触れられる「生涯---読んだなかで一等賞の"すばらしい一行目"を所有している」ナイジェリアの作家エイモス・チュツオーラ『文無し男と絶叫 女と罵り男の物語』は、僕は読んだことがないのだけれど、本書は僕が読んだ一等賞に近い"すばらしい最終行"を所有する一冊になりました。最終前の1ページとこの最終行の喚起するイメージが、とても広大に思えたのは僕だけではないと思う。こういう叙述によるトリッキーさだけでなく、心情的な拡張のある小説が好きなのです。

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