« 2004年9月 | トップページ | 2004年11月 »

2004年10月

2004.10.31

■新刊メモ『万物理論』 『願い星、叶い星』
    『すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた』

negaiboshi_kanaiboshi.jpg  SOLARIS.jpg 
アルフレッド・ベスター/中村 融訳 奇想コレクション『願い星、叶い星』 河出書房新社 (レビュウ)
スタニスワフ レム/沼野 充義訳 スタニスワフ・レム コレクション『ソラリス』 国書刊行会
 表紙とロゴがメチャメチャかっこいい!!これは初のポーランド語からの直接日本語訳。

BANBUTSURIRON.jpg QuintanaRoe.jpg
グレッグ・イーガン/山岸真訳 『万物理論』 創元SF文庫
 あらすじで既に痺れます。イーガンの邦訳本では最長の600ページ。(僕のレビュウ)

2055年、すべての自然法則を包み込む単一の理論――“万物理論”が完成寸前に迫っていた。国際理論物理学会の席上で三人の学者がそれぞれ異なる理論を発表する予定だが、正しい理論はそのうち一つだけ。科学系の超ハイテクな映像ジャーナリストである主人公アンドルーは、三人のうち最も若い女性学者を中心にこの万物理論の番組を製作することになったが……。学会周辺にはカルト集団が出没し、さらに世界には謎の疫病が蔓延しつつあった。『宇宙消失』で年間ベスト1を獲得した、現役最高のハードSF作家が贈る傑作!

 参考にこんな本も面白そう。J.D.バロー/林 一訳 『万物理論―究極の説明を求めて』 みすず書房

・ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア/浅倉久志訳
 すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた』〈ハヤカワFTプラチナ・ファンタジイ〉 (レビュウ)
 そして11月上旬はティプトリーの新刊! しばらくは海外SFファンの蜜月です。

 「わたし」がキンタナ・ローで耳にした美しくも儚い三つの物語。世界幻想文学大賞受賞

| | コメント (0) | トラックバック (0)

■岩井俊二監督 『花とアリス』

 岩井監督の最新作にして、篠田昇撮影監督(合掌)との最終作。
 『スワロウテイル』のファンとして観るとだいぶんとタッチが違う。少女趣味的(?)な雰囲気でついていけない部分を我慢すれば、底流に流れるリリカルな感覚は、今回もしっかり岩井俊二作品。前作『リリィ・シュシュのすべて』に比べると、同じ学生生活を描いてはいても、コミカルで幸福なタッチになっている。
 楽しかったのは落研のシーンと、記憶喪失にまつわるエピソードの作劇。特に後者は『ラブ・レター』の同姓同名とかと同じで、映画のストーリーを支えるキーアイディアとして秀逸。岩井監督はこういうのが上手い。
 情感的なクライマックスは、やはりアリスの父親とのエピソードだろう。トコロテンが重要な役割を果たすエピソードの後のシーンが最高。メインエピソードの記憶の操作と、アリスの追憶。こういう映画で記憶の果たす役割はとても重要です。
 
 あとはランダムにメモ。
・水木駅、藤子駅、石の森学園、手塚高校、、、漫画へのオマージュ?でも何故本作で??
・落研各員の名前もオールドアニメファンには嬉しい。
 モーレツ亭ア太郎、爆発屋五郎、花屋ピュンピュン丸。いずれも40代の人が子供の頃のアニメ。今の高校生がピュンピュン丸や爆発五郎を知るわけがない!! (『ピュンピュン丸 コンプリートDVD』というのが発売予定とかで、ビックリ。誰が買うんだ!?)
・おにぎりサンドという珍奇な食べ物が出て来ますが、B級グルメとしては一度食べてみたいものです。
・「って」っていうのが口癖のモーレツ亭ア太郎先輩。彼が尻を出しながら落語するのをバックにした恋愛劇というクライマックスの落差がなかなか。
・今回の音楽は岩井俊二自作。今までの小林武史と比べると甘い感じになったのは、監督の感性でしょう。

◆関連リンク
円都通信 -Yen Town Report-
・岩井俊二によるコミックの冒頭部分とショートフィルム版『花とアリス』がKIT KAT BREAKTOWNで見えます。
 ショートフィルム版は、ストーリーがかなり端折られていて、本編と違うものになっている。でもひとつの別の物語として成立している。一番違うのは、花が宮本(爆発屋五郎)を記憶喪失とだますエピソードがないこと。これにより随分と違った話に感じられる。
DVD『花とアリス』特別版 通常版(Amazon)

特別版 特典内容
 「Filming H&A」(メイキングドキュメンタリー)
 ショートフィルム版「花とアリス」
 予告編集

岩井俊二によるコミック『花とアリス』(Amazon)
『花とアリス 写真館』(Amazon)
・岩松走氏「100% CINEMA JUICE」の『花とアリス』評。ドキュメンタリー的手法について、北野武作品と比較して書かれている。「ハリウッドスタイルとドキュメンタリーの融合」というのが面白い指摘だと思った。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2004.10.30

■IVRC2004
   第12回国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト

0410TechnoPark.bmp
 バーチャルリアリティという言葉が流行ってから既に10年以上経つのかな。昔から興味があって時々だけれど、展示会等へ行く機会もあった。で、今回こんなイベントが岐阜の各務原であったので、行ってみました。うちから車で30分と近いのでラッキー。
 岐阜はバーチャルリアリティ企業の誘致とかやっているというのは知ってたけれど、今回初めてテクノプラザというところへ行ってみてビックリ。これが箱物行政の見本のようにりっぱな建物。写真の建物だけれど、なかなかかっこいい。丘の斜面に扇状に研究室を作ってその外はちょっとした空中庭園。いいですね、こんな環境で仕事できるなんて。でも、中は少しさびしい感じ。この地区だけはいろんな企業も誘致されているけれど、基本的には町からも離れた田舎の山の中。もっとバーチャルリアリティにビジネス規模がみえてこないと賑わうことはないのでしょう。
 各務原の山の中が、一大バーチャルリアリティランドになったら、嬉しいのではあるけれど、、、。
0410VR_Conspiratio.bmp 0410VRSpikeTree.bmp
Conspiratio」 地球人/電通大
Spike Tree」 Team Spike Tree/電通大・東大 
0410VR_Kobito.bmp 0410VR_france_Pinocio.bmp
こびと」 mikan/東京工業大学
Pinoccio,a virtual character」 ENIB/仏 国立ブレスト工大 
0410VR_Sumou.bmp
トントン」 宮田部屋/北陸尖端科学技術大学院大学

 僕が一番気に入ったのは、「Spike Tree」です。科学館とか行くと時々あるけれど、磁性流体の動きは何か少し幻想的でいいですね。これは卵のようなインターフェースを動かすと、それに合わせて流体が蠢きます。
 「Conspiratio」 は、画面に映る食べ物をストローで吸うと、食べ物の種類によって、吸い込む抵抗と音が変わって、なかなか面白い。(残念ながら、僕がやった時は吸い込んだものを吐き出すのは、うまく動かなかった) この手の口から入るもののヴァーチャルリアリティというのは、初めての体験。
 フランスから参加の「Pinoccio,a virtual character」は、十字形のインターフェースを動かすと、画面の中のピノキオの人形が操れるというもの。十字を右に回していくと、鏡の中に入り込み、その中ではピノキオに逆に人間の女の子が操られる、という趣向。
 「トントン」は東京予選と異なるものになったようで、1m四角の浅い水槽で、発泡スチロールの大きなボタンで水を押して、その加速度等で、紙相撲の力士映像が動いて、2人で戦うというもの。

 バーチャルリアリティというか、マンマシンインターフェース的な作品がほとんどだったけれど、いずれもひとひねりあって楽しませてもらいました。もっと数が出ていてもいいのにね。(東京予選はもっとたくさんの作品が見えたらしい→下記関連リンク参照)

 公式サイトの大会風景中継(静止画)ページによれば、受賞作は10/29に下記に決定されていたそうです。

Grand Prix Conspiratio
Laval Virtual Award Conspiratio
明和電機社長賞 Conspiratio
素敵な素材で賞 Spike Tree
素敵な世界で賞 フランス招待チーム
ラバル賞 Conspiratio

 僕が行った10/30に、来場者の投票をやっていたけれど、正式受賞と別に来場者の人気投票的扱いでしょうか。

◆関連リンク
IVRC Offcial Website
森山和道の「ヒトと機械の境界面」での東京予選大会レポート。「Spike Tree」の磁性流体の動きが動画で見えます。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2004.10.25

■BSアニメ夜話 『機動警察パトレイバー』

 今回、面白かったのは、宮台真司の的確な分析と、出渕裕の少しだけ暴露話。

 宮台が最後に言っていたように、押井作品って何年か後に観た方が面白いかも。
 『パト1』の帆場とコンピュータウイルス、『パト2』の戦争状況を東京に作り出すというところ。特に後者は現代的。10年前の作品だという印象がなく、最近と思えてしまうところが凄いのかも。『イノセンス』が10年後にどう観えているか楽しみになった。その前に『天使のたまご』を見直す人が続出しそう。んで、やっぱつまらないっとなる。
 
 出渕裕が言ってた「柘植行人と南雲しのぶ」のモデルって?誰なのだろう。と思って2chを覗いたら、「柘植行人は宮崎駿」というセリフがカットされていたと書いてあった。なんだ白髪の外観とかのことみたい。南雲のモデルも、というのは考えすぎ。しかし宮崎がモデルだとしたら、かっこよく描きすぎですね。

 OVA全く観ないで設定も知らずに劇場で観た『パトレイバー1』のショックを私は未だに新鮮に思い出します。帆場のファーストシーンの印象的なこと!
 あとやはり凄いのは『パトレイバー2』。今日の番組では、荒川について述べる人はいなかったけれど、あの独特の語り口はインパクトがありました。戦争を語る荒川が僕には『パトレイバー2』で印象的だった。とメモ。

-------------第二弾ラインアップ----------------
司会 岡田斗司夫
第1夜 10月25日(月)
23:00~ 「機動警察パトレイバー(劇場版)」 監督: 押井守
 特別ゲスト: 出渕裕(企画・原作&メカデザイン)
 ゲスト論客: 大森望(SF評論家) 国生さゆり(女優) 宮台真司(社会学者)

第2夜 10月26日(火)
23:00~ 「アルプスの少女ハイジ」 監督: 高畑勲
 特別ゲスト: 杉山佳寿子(ハイジ役 声優)
 ゲスト論客: 大林宣彦(映画監督) 青木光恵(漫画家) 千秋(タレント) 唐沢俊一(評論家)

第3夜 10月27日(水)
23:00~ 「ふしぎの海のナディア」 監督: 庵野秀明
 特別ゲスト: 前田真宏(設定デザイン&演出 担当)
 ゲスト論客: 藤津亮太(アニメ評論家) 佐伯日菜子(女優) 唐沢俊一(評論家)

第4夜 10月28日(木)
23:00~ 「機動戦士ガンダム」 監督: 富野喜幸
 ゲスト論客: 北久保弘之(アニメ監督)、よゐこ・有野晋哉(タレント) 福井晴敏(作家) 小谷真理(SFファンタジー評論家) 井上伸一郎(ガンダム専門誌発行人) 氷川竜介(アニメ評論家)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.10.20

■トヨタのヒューマノイドロボットが空を飛んだ!!

  レスポンス | Response. 【ITS世界会議名古屋】本当に空を飛んだパートナーロボット

 ついにトヨタのロボットが、ホンダアシモを超えて、空を飛ぶ機能を持った!!と思ったら大間違い。ただ単に気球に乗って地上40mへ浮き上がったというだけ。しかも肝心のロボットは上からワイヤで吊ってあるし、、、。
 あーあ、マジンガーZみたく羽根とジェットがドッキングして飛んだら凄いのに。
 
 万博でのいっそうの飛躍を期待したいものです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.10.16

■WWWサイト紹介 「チェコとパペットの「Cheskiss」」

 トラックバックいただいたゐづみさんのサイトチェコとパペットの「Cheskiss」を紹介させていただきます。
 チェコへ行かれた時の写真や記事が満載!!写真のページのコンテンツをご紹介します。

■ カウパレード ■ GAMBRA写真館 ■ パペット写真館 ■ 骸骨礼拝堂 ■ プラハ城の大道芸人 ■ ブラックライトシアター ■ マリオネット博物館

 ヤン・シュヴァンクマイエル&エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァの運営するギャラリー GAMBRAの写真も13枚掲載されています。ヤン&エヴァ回顧展のポスター、陶器作品、奇妙なオブジェ、、、ますますプラハへ行きたくなること必至ですので、ファンは観ない方が精神的にはいいかも(^^;)。あープラハ!!!!

 併設されているBlogのCopelandiaにはチェコ関係他、『王と鳥(『やぶにらみの暴君』)』の紹介記事等もあります。

 ゐづみさん、トラックバック、ありがとうございました。こんな形で勝手にご紹介させていただいて、すみません。これからもよろしくです。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2004.10.15

■チェコのポスター展 at 大阪 DNP Gallery

DNP Gallery
第134回企画展 チェコのポスター展
プラハ美術工芸博物館コレクション1960-2003
2004年10月20日(水)~ 11月18日(木)

明日から大阪へ遊びに行くので、何かいいイベントはないかと探して見つけました、、、んが、来週からのイベント! 残念!!

あまり多くは知らないけれど、チェコのポスター(Googleイメージ検索)って、凄く濃厚なムードがあって好きです。以前紹介した雑誌LUCA特集「秘密のチェコ・アートに載っていた記事で、チェコ(第二の都市)ブルノ市のモラヴィア・ギャラリーというところに3万部のポスターコレクションがあるらしい。LUCAの誌面に載っていた映画のポスターに魅せられました。ここも是非行ってみたいところです。どっか日本の美術館で「モラヴィア・ギャラリー ポスター展」をやってくれることを、切に望みます。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

■ヤン・シュヴァンクマイエルの展覧会

 ununさんのゆらゆら大陸ネタ格納用?!+ B B S +経由で知りましたが、なんと今年の9月までプラハで開催されていたヤン・シュヴァンクマイエルの展覧会が日本で(来年)開催される計画があるそうです。チェコでやってたものだとするとエヴァとの夫妻回顧展でしょうか。
 チェコに行けず、寂しい想いをしていた我々も、これが実現すればついに噂の展覧会を来年観ることができるのです!!企画の実現を待ちたいものです。 

 ヤンの食卓BBSで、Anonymous さんが、以下のリンクを引用されて、開催の予定を書き込まれたのが情報源のようです。http://www16.ocn.ne.jp/~tharamus/jidlo_01.JPG (展覧会準備中?のシュヴァンクマイエルの写真)。

◆関連リンク
・以前のシュヴァンクマイエル関連記事
・旅するランナーさんのチェコからのシュヴァンクマイエル夫妻回顧展レポート

| | コメント (3) | トラックバック (1)

2004.10.10

■新刊メモ『アニメーションの宝箱』

animeation_no_takarabako.jpg
アニメーションの宝箱
 まだ実物の本、観てないのですが、面白そうなので紹介。往年のアニドウファンの方は、富沢洋子編集長の文にひさびさに触れれます。アニドウで購入すると下記特典があるので御紹介!!(アニドウメーリングより抜粋)


------------------------------------------------
アニドウからのお知らせ 2004.10.05
------------------------------------------------
●新刊「アニメーションの宝箱」五味洋子著/刊行
ついに完成しました。まもなく書店での販売も開始されますが、関係者はぜひアニドウよりお買い求めください。著者は言わずとしれたアニドウのFILM1/24の編集長、名作を知り尽くしたアニメーション評論家旧姓富沢洋子さんです。
アニドウからの購入者だけにはアニドウ特製ハガキ3枚をプレゼントします。
1)バヤヤ (道化師がフォークをかざす一瞬のコマ写真)
2)わんぱく (初めての出会いのクシナダ・バストショット)
3)やぶにらみの暴君 (肖像画に描かれた方の王様)
当然カラーのポストカードです。書店などではついていません。
ふゅーじょんぷろだくと社から通販された方にもつきませんのでご注意ください。
あちらに文句を言ってはいけません。
定価:1,680円(1,600円+税)/168頁/A5判
掲載作品:日本37作品、世界48作品(計85作品)
発行:株式会社ふゅーじょんぷろだくと
下記Anido e-Shopで通販をご利用ください。

●おまけ
「日本漫画映画の全貌」巡回展のお知らせ(訂正)
大丸 神戸店
<大丸ミュージアムKOBE> [9階]
2004年12月29日~2005年1月15日


アニドウ / ANIDO

| | コメント (0) | トラックバック (0)

■押井守 DVD『イノセンス』

 やっとレンタルで借りて観ました。(←買えよ!)
 DVD『イノセンスの情景』と比較すると、音も画質も良い。択捉のシーンも鳥が結構しっかり観えます。
 僕は『イノセンスの情景』でDVDの限界感じて、これはHD版が出るまで待ちだと思っていたのですが、それなりに観えますね。エンドクレジット、劇場で聴こえた伊藤君子のFollow Meの吐息もしっかり入っていて、満足。

◆関連リンク
はてなダイアリー - 伊藤計劃:第弐位相 イノセンス:コメンタリー注釈
・AV Watch 第148回:スペシャル版はDTS-ES音声が魅力 「イノセンス」
□米国での映画『イノセンス』評判
・アニメ!アニメ!さんの記事
 イノセンス全米公開:現地メディアの反応
 米国市場のイノセンスとアップルシード 米国での興行成績について。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

■ソニーのスーパーAVサーバー VAIO type X

 VAIO | type X
 SONYのお化けのようなハードディスクレコーダ(PCと呼ぶよりこの方が正解かと、、、)が発表されました。
◆トンデモ録画タイムマシン
 ソニー、PCベースレコーダ「バイオ type X」という記事にもあるように「7ch同時録画対応」というお化け。あとトンでもぶりは、このSONYのコピーにも現れています。「最新一週間のテレビ番組をストック。見たい番組を過去から探すタイムマシン生活」。バカかと(^^)、笑ってやりましょう。全部録ってどうする?!結局、全部録っても観たいところを探す時間すら現代人にはないのですよ。そんな暇があるのは、リタイアした方々でしょうが、元々そんな人でTV好きの人は番組表をマーカー片手にくまなく見ているわけで「タイムマシン」は不要。SONYはこんなマシンのコンセプトを作るのに、社内で使う人(使える?人)がいるかどうかのアンケートもとってないんじゃないかと、不思議。
 確かにかつてビデオ録画で苦労していた人、F11というベータの機種でテープのオートチェンジャー搭載などという涙ぐましい努力をしていた録画マニアは泣いて喜ぶでしょうね。標準で約248時間録画は、ざっくりテープ100本分。100本をオートチェンジする装置の方が、むしろ壮観。
 「タイムマシン」というなら、いっそ巨大な過去のアーカイブ(NHKとか)にアクセスして、F11で録り損ねた20年前の放送を観えるというビデオデマンドネットワーククライアントみたいのを作れば良いのにネ。
◆ハイビジョン録画
 Sony Hi-Vision Qualityというコンセプトをかかげ、ハイビジョンを今後のAVの中核に置こうとしている(関連リンク)SONYですが、肝心のハイビジョン録画ができるのか、できないのか、SONYの広報ページでもそれがよく分からない。
 「地上/BSデジタル放送のハイビジョン番組を、そのままの高画質で録画できます」と書いてあるので間違いなくできるのだろうけれど、スペック見にいくと、「高画質モード(MPEG2 8Mbps 720×480 30fps)約17分/1GB」とあって不安になる。そこんとこ、しっかり書いてほしい。
 ハイビジョンレコーダとしては、こんなもの↓も発表されてますね。ハイビジョン録画機がまずほしい私は、こっちに興味。お金もないしね(^^:)。
News and Information 地上デジタルハイビジョン放送をハイビジョン画質で約17時間録画できる 160GBデジタルレコーディングハードディスクドライブVRP-T5発売
デジタルレコーディングハードディスクドライブ
SONY VRP-T5 価格比較 最安値 ¥54,264

◆関連リンク
柔らかいデジタル 第21回~ソニーのスーパーAVサーバー、type Xの秘密兵器 - nikkeibp.jp - BP's Eye 
¥価格.com¥ 口コミ掲示板(うまくリンクできないかも)。
 ここの掲示板では、type Xを買うより、1台のTVにコクーンを3台をつなげた方が良いのでは?というSONYの社長に聞かせてあげたいようなコメントも出ています。
★究極映像研究所★: ■ソニー ハイビジョン・ハンディカム   HDR-FX1登場
ソニーの考えるユビキタスは「感動」と「経済性」~CEATECでのSONY安藤社長講演

 この映像精度をいったん体験してしまったユーザーは、決して旧方式のカメラに戻れなくなるだろう。そうすれば保存用メディアもDVDからブルーレイへ一気に移行していく可能性もある」と述べ、1つの製品が起こす波及効果はきわめて大きいという考えを示した。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2004.10.02

■浦沢直樹×手塚治虫 『PLUTO 01』

pluto1.jpg
 浦沢直樹がアトム誕生(2003.4/8)後に描いてきた新作が単行本化。

 僕は『鉄腕アトム』にアニメで触れた世代で、マンガ版にほとんど感銘を受けずに育った。どちらかというと『鉄人28号』ファンだったので、アニメ版の「地上最大のロボット」篇も全然思い入れがない。で、この漫画が「地上最大のロボット」篇を描きなおすと聞いて、実は「えー、浦沢直樹に今さら手塚のアトムをリメイクさせるの??もったいないーー!」と思ったという、手塚ファンが聞いたら石が飛んでくるような印象しか持っていなかったわけです。
 んで、雑誌では全然読んでなかったので、今回単行本が出て「あーあ、一応読んでみよか」と手にとってぶっ飛んだわけです(^^;)。持ってた印象とまったく違った。(前置きが長いっちゅーーの)

1巻全体の感想
 何が凄いって、このマンガ、ロボットと人間が共存している未来で、人をロボットが殺めるということの哲学的アプローチにリアルに挑もうという壮大なテーマ設定がなされていること。『MONSTER』で人にとって「悪」が何ものであるかという深遠なテーマ設定をした浦沢が、今度はそれを一歩進め、ロボットを導入することで違った切り口から再挑戦しようというわけである。
 今回は謎の提示。これは手塚版「地上最大のロボット」篇に全くない設定がなされている。最初のモンブランの描写の後の事件が、この後どう説明されていくのか?そしてこれも手塚版にないブラウ1589の登場。たぶん十巻以上になるだろう全編に対して、本当にドキドキするような導入部である。
 そして特筆すべき「ノース2号」の巻。これも手塚版ではわずか2ページしか描かれていない人間とノース2号のストーリーをオリジナルで描き出して、逆に戦いのシーンは原作より短く、秀逸な涙なしには読めないエピソードへ昇華させている。いやー、この「ノース2号」の巻が読めただけでも1巻は幸せです。

以下、ネタばれを含む詳細レビュウ(未読の方は絶対読まないこと!!)

人とロボットの共存
 アシモフのロボット三原則からこっち、この人をロボットが殺めるということは、いくども描かれてきたテーマだと思うけれど、そこに浦沢的リアル描写で挑むというのが一巻でもいかんなく発揮されている。(アシモフだけでなく、既に『フランケンシュタイン』からか、、、。人間の根本的な恐怖感として、人に似たものを作って殺されるというのがあるのでしょう。)
 いたるところにロボットと人間の共存する未来描写のリアルさがある。
 まずはドイツの刑事ゲジヒトの描写。最初、妻との会話等で人間としてみせておいて、P24でロボットであることを描く。なんとなくそーだろうなと思って、読んでいるのでそれほどショックはないが、共存という部分を強調する描写として秀逸。あとモンブランとノース2号が明らかにロボットとわかる外観であるのに対して、ゲジヒトとブランドとアトムの外観は全くの人間。時代経緯とともにロボットの外観が進化したと、まずは思えるのだけれど、これも共存の混沌を表す描写として面白い。
 巡査ロボットのロビーについて、外観と妻を描くことで示されるその内面描写も、ロボットの進化の状態を示すために挿入されているエピソードとして読める。

ブラウ1589
 トマス・ハリス『羊たちの沈黙』のレクター博士と、大友克洋『AKIRA』のAKIRAを封じ込めた人間の慌てふためきぶりを融合して描き出したブラウ1589も今後の展開が見逃せない。基本的にミステリーやSFファンって、こういう封じ込められた悪魔の描写って大好きなので、安直な先行作品のコピーに見えようが、つぼにはまってくる。
 ブラウ1589の語る言葉は(ネタばれ注意→コマの引用はこちら)、まさに前述のテーマに直結したものとして迫力がある。この手塚版にないロボットが今後どう描かれるか、興味津々。

ノース2号
 ノース2が音楽家ポール・ダンカンに会ったシーンのこのセリフもイメージを膨らまさせていい。(ネタばれ注意→コマの引用はこちら)。この老音楽家の手がけてきた映画のシーンを思わず夢想してしまう。これで随分広がりが出てきていると思う。
 そして感動の「ノース2号の巻」のラスト(ネタばれ注意→コマの引用はこちら)。うーー、これはセンス・オブ・ワンダーそのものです。
 作劇上は、ここで敵方(本当にプルートゥなのか??)を出せないのだろうけれど、それを逆手にとってこのように描写する手腕に興奮。読者の空想に戦いの中身をゆだねることと、音楽家の視点(さらに盲目という点も重要)で描くことで、手塚版で味気なく岩山の戦いとして描かれたシーンが重層的な情感と想像による激闘をイメージさせて、秀逸なコマに結晶しています。すごいすごい。

アトムとウランとゲジヒト
 ラストのアトム、、、背筋が本当にゾクゾクしました。
 ランドセルを背負ってレインコートを着た小学生。しかしどっかアトム。もうこのコマだけでも長編『PLUTO』の導入部の一巻としては完璧でしょう。
 「地上最大のロボット」篇としては確実に、この先、さらにウランが絡んでくるわけで、もうやたら想像力を刺激されます。まさに『鉄腕アトム』の現代的21世紀的リメイク。小学生の自分がワクワクした時よりも、たぶん40代でこれを読んだ自分の方がワクワク度としては上。これって、凄いことだと思うので、今後に期待。10歳になる娘にこの興奮を語ったら、「パパってまだ子供ね(^^)」とわらわれてしまった。あーあ。(『20世紀少年』の時も一巻で期待しすぎて、最近ちょっとだれてるからなーーー(^^;))

◆関連リンク
ビッグコミックオリジナル PLUTO 公式ページ
・ここでPLUTOの音が聞けます。
・AZUMA MIYAKOさんの"東京難民"  PLUTOのページ
WIKIPEDIA 浦沢直樹プルート
PLUTO 1【豪華版】(Amazon)

 豪華特別付録として、原作の鉄腕アトム「地上最大のロボット」を完全収録!!
 雑誌掲載時と同じB5判の特大サイズ!!
 雑誌掲載時のカラーをすべて再現!!
 メタリックな美麗装丁!!
 浦沢直樹×手塚眞 対談を完全収録!!
 この「豪華版」と「ビッグコミックス通常版」を比較すると、色の濃さが随分違います。B5版の方が随分と白い。「通常版」を買って読んだ後、手塚版をどうしても読みたくなって豪華本を買いに走ったバカは私です。
鉄腕アトム 地上最大のロボットMy First Big
PLUTO 1ビッグコミックス(Amazon)
鉄腕アトム DVD-BOX(1) ~ASTRO BOY~ このDVDにアニメ(白黒版)の「地上最大のロボット」篇が入っているようです。
 ビデオ版が近所のレンタルにあったので、借りて観ました。前後篇で前篇が手塚御大の脚本、後篇は石津嵐。
 漫画との違いは、次のようなところ。にしても白黒アニメ版は今観るとつらい。(←物好きと笑ってやって下さい)
 ・ウランへのプルートゥの感情が描かれていない。
 ・伝馬博士は登場せず、アトムは100万馬力に改造されない
 ・お茶の水博士がすぐ解放される
 ・オーストラリアのエプシロンが阿蘇山でアトムと協力して戦う
 ・ラストで正体を明かすロボットが召使でなく、闘技用ロボットであった
  →ロボット同士の戦いの無意味さのテーマは強調されている
・続けて、最新版も観ました。アストロボーイ・鉄腕アトム Vol.5(Amazon)。現代的でリアルになってます。
 新しいアトムでは、第17話「地上最強のロボット」第18話「プルートゥは死なず」の二編で構成。西田正義 絵コンテ/作画監督で、特に17話はなかなか作画が見せます。漫画との違いは、次のようなところ。
 ・プルートゥは天馬博士がアトムを進化させるために作った。(が、実は天馬博士が作ったロボット科学者が、、、。)
 ・プルートゥが狙うのは5体のロボット
 ・ウランとの関係とか、原作よりわかりやすいストーリー
 ・大きなアトムの進化のストーリーの一貫として構成
 ・最後に出てくるのがプルートゥの影であるブラックプルートゥ。

| | コメント (2) | トラックバック (2)

2004.10.01

■民間ロケット スペースシップワン 記録更新!

spaceship1wide.jpg
『スペースシップワン』、賞金獲得に向けた飛行1回目を実施(Wired Newsより)

・米航空宇宙開発会社「スケールド・コンポジッツ」のプレスリリース

・X Prizeで公開中の9/29ビデオムービー映像 Live録画映像はこのムービーの2/3くらいのところから。宇宙空間の映像もたっぷり。

この素晴らしき機体!
 この宇宙船、なんといっても流線型+ウィングの機体が美しい。かつて夢描いた未来の宇宙船のかっこよさ!
 スペースシャトルのデザインにがっかりした我々世代には堪らない飛行映像です。
 337,500 ft(102.87km)の記録に拍手喝采雨霰を送りましょう!!スペースシャトルの約半分の高度への飛行!

 本当に夢に見た宇宙飛行に民間でも手が届く時代になったわけです。もーしかして私たちもなけなしの退職金をはたけば、宇宙(そら)へ上がれる時がくるかもしれません。アポロに憧れた我々のちっぽけな夢が実現するのかも。

今でもできる宇宙旅行
 そんな時代は、やはり夢かも、と思っている貴方に、ひとつ提案です。
 飛行機の飛行高度をご存知ですか?高度1万~1万3000mつまり13kmの成層圏を飛んでいるのが飛行機の高度なわけです。これは今回の宇宙船の約1/8の高度なわけです。1/8を高いと見るか、低いと見るかは個人の主観。だけれども一桁は違わないと言うのは、私は結構凄いことだと思う。
 窓際の席に座れたら、ラッキー。外の景色をじっくりと楽しんでください。そこはすでに宇宙の1/8。これを亜宇宙と呼んだら人は笑うかもしれません。んが、私はドイツから日本への出張の帰路、シベリア上空でずっーーと明けていく地球を眼下に見続けていたことがあるのですが、これが星と地球の丸みと、そしてシベリアの大地が見事にスペースシャトルからの光景に少しだけ近い映像として、そこにあるわけです。はっきり言って魅了されました。夢想だけれど、今、自分がロケットに乗っているんだと思うと、それなりに納得/感激できる映像が広がっているわけです、お立会い(^^;)。

そして飛行機の進化を夢みる
 残念なのは、傷だらけで画像がボンヤリしてしまう飛行機の窓の透明度。そこで提案です。現代の新素材の技術を使って、機体が透明のエアプレーンを作りましょう!!我々がそこで観る光景、眼下に広がる地球は、結構な宇宙の浮遊感覚を持っていると思います。観光の飛行機での移動時間は、どっか重苦しくてうるさいイメージがあります。でももったいない、眼下の光景を素晴らしいサイトシーンに加工するためのテクノロジーは、もう既に民間宇宙機を飛ばす技術よりはるかにローテクで可能と思われるわけです。全日空さん、川崎重工さん、やりませんか?
 飛行機の進化って、コンコルド以来既に30年以上、止まったままだと思いません??こういう方向の進化の形で、我々に究極映像を見せてほしいものです。空想科学企業IHI(古いコピーだけど、、、)にも期待します!!

◆関連リンク
スペース・シップ・ワン - Wikipedia
・フォトギャラリー SpaceShipOne and White Knight Photo Gallery

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2004年9月 | トップページ | 2004年11月 »