■チェコプラハ② チェコの壮大な究極映像
プラハ城 聖ヴィート大聖堂
ゴシック建築に関する世の通説は過去に聞いた記憶もあるが、忘れてしまった。
自分の印象だけで書くと、このゴシックの城は、外は地獄とか世の混沌の表象なのかもしれない。そして天使と使徒と女神に囲まれた扉。そこをくぐって現れる巨大な高い天井の白い空間と、色鮮やかなステンドグラス群。
外観で畏怖を覚えた教徒は、中に入ってこの母親の懐に抱かれたような安心感を持つ空間で、宗教的な一種の究極映像体験を果たしたのではないか。現代ではこういうイメージを伝えるのに、ある意味安直な芸術形態としての映画があるのだけれど、中世はもっと豊かにこのような大建築でイメージの伝達を果たそうとしたと想像する。山岳信仰とか偶像とか宗教的な道具立てはいろいろとあるのだけれど、この建築物の前に立った時の感覚として、圧倒的な畏怖を感じる。
ヤン・シュヴァンクマイエルの自宅兼ギャラリーは、この大伽藍からわずか500m西にある。この圧倒的な城のイメージがその芸術家に影響しなかったわけはないと思う。もともとの生まれがこの城の近所だったのか、それとも城の近くに住みたくてそこに居を構えたのか、確認したいものである。
卑近にメモを残すと、やはりBPとしての自分は、この城を観ながら頭の中には『イノセンス』の音楽が流れていた。あきらかに択捉に建造されたチャイニーズゴシックのモデルは、これらの欧州大聖堂であるはず。特にオーニソプター(鳥型航空機)が降りていくルクスソルスの建物は、細部の形状がそっくりだった。
◆関連リンク
・パリ第4大学(Paris-Sorbonne) 客員研究員加藤耕一氏の初期ゴシック建築の研究
・『ウィキペディア (Wikipedia)』 ゴシック建築の項に下記記述。
中世の人々にとっては事物の全てに象徴的な意味があり、故に、ゴシック教会を彩る様々な装飾は、聖職者たちの世界に対する理解そのものであった。
・聖ヴィート大聖堂 全長124m、幅60m、天井高33m、南塔高さ96.5m
◆ゴシック書籍(Amazon)
・『ゴシック建築とスコラ学』
・『ゴシックとは何か―大聖堂の精神史』
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コメント
naiveさん、おはようございます。
時差ぼけは、ほぼ直りましたが、出張中の仕事と土日プラハ徘徊の疲れで今日はグッタリきてます(^^;)
お城とゴシック建築の対比のお話、面白いですね。「残虐非道な部屋」とか幼少期では強烈なイメージなのでしょうね。
僕はメジャーなノイシュヴアンシュタイン城とかしか行ったことないですが、残念ながら城の闇の部分は覗けませんでした。カリオストロ城みたいに地下迷宮があるのでしょうか。
こちらこそ、これからもよろしくお願いします。またボチボチとプラハのレポートも上げていきますので、遊びに寄ってやってください。
投稿: BP | 2004.12.18 10:17
こんにちは
ずっと前に「納豆ぶっかけごはんすなっく」で
トラックバックのご縁があったものです
今日はあらためて遊びに来させていただきました
幼少期に父親の仕事の関係で住んでいた
ヨーロッパだと
外観が美しく天国を彷彿とさせる城でも
実は中では残虐非道な部屋が設置されていたりして
その不気味さにうなされたこともしばしば
安易に比較してはいけないことですが
記事を読ませていただいて
その点ゴシック建築はモチーフが逆のような気がしました
無事のお帰りなによりです
時差ぼけがはやく抜けるといいですね
あらためまして
どうかよろしくお願いいたします
投稿: naive | 2004.12.17 18:00