■高橋洋著 『映画の魔』
『映画の魔』青土社
『リング』『女優霊』他を書いたシナリオライター高橋洋の本格ホラー映画評論集。
『女優霊』がとにかく怖かった。そしてその脚本を書いた高橋洋は、「ユリイカ」で映画で人を怖がらせることを深く分析する文章を載せていた。その評論の恐怖映画への真剣な書きっぷりが良かったので、この本を期待して読んだ。
期待にたがわず、マニアックぶりが楽しい(?)一冊。特に長い文がいい。自身の恐怖映画体験とその分析、そして創作の秘密。こんなに脚本家としての企業秘密(?)を書いちゃっていいのかというくらい、分析して怖がらせるメカニズムを書き出している。短い分は、深い思い入れで圧縮された言葉遣いがなされていて、高橋洋仕様の圧縮解凍ソフトがないと解読できないようになっていて、凄みは伝わるがもう少し解説してくださいって、感じ(特にP211「MJ12の秘密」なんて妖しすぎる文章だ)。僕はこういう勢いのある文章が好きなのでいいけれど、きっと何言ってんだか、ちゃんと書け、という人もいるんでしょうね。それくらい気迫があって、いい映画評論だと思う。
左の写真は、本書の扉絵で使われている馬徐維邦の映画『夜半歌声』のスチルである。いろいろと怖そうな映画が紹介されている本書の中でも、この作品の扱いは格別である。どんな映画だか、とにかく一度観てみたくなる。
あとP322で「どう凄かったか説明できないくらい凄く」と表現しているモーリス・ルメートルとレスリスム展 Maurice Lemaitreでのイジドール・イズーの『涎と永遠についての概論』。これもなんだか凄そうである。しばらくこの本を片手に、「映画の魔」を旅してみようかと思ってしまう。しかし、、、、今日、高橋洋監修の『呪怨』をまず観て、怖くて自分ちの天井の方を見えなくなっている怖がりなので、探索の旅はどうなることやら、、、。
◆関連リンク
・『映画の魔』高橋洋著 (Amazon)
・高橋洋監督作品 『ホラー番長---ソドムの市』
・俎渡海新聞 第8号
04.11/19新宿ロフトプラス1 「ドクトルマブゼと恐怖の映画省」 小中千昭、高橋洋両氏によるホラー講義レポート
・馬徐維邦『夜半歌声』(深夜の歌声)中国製VCDが1,400円で買えるようです。
・イジドール・イズーの『涎と永遠についての概論』のレビュウ。ここの日記の12/08分にも。なんだかややこしい映画のようで。
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