■ジョージ・ルーカス監督
『スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐』
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先々行ロードショーで土曜に観てきました。
僕は残念ながら、エピソード2の方が数段好きでした。理由は下記のネタばれ部分に書きます。それなりにエピソード4にうまくつないでありますが、それに配慮するあまり、1本の映画としての魅力は、いびつに歪んでいました。
★以下、ネタばれ--酷評しているのでファンの方は気分悪くなると思います。要注意★
(写真は予告編のQTより)
・お子様ランチを高級レストランのシェフが最高の技術で作り上げたら、にがーい大人の味のお子様ランチというアンマッチなものになってしまった。という出来。
・アナキンの心理を観客に納得の行くように描くことは至難の業。失敗している。前作でせっかくアナキンが道から外れそうな部分を割と丁寧に描写していたのに、今回、前半でジェダイの魂を理解している善人として描いてしまったので、後半がしっくりこない。どっちつかずで戦いの場へ出て、勢いでジェダイを裏切ってしまうというのは、まあわからないでもないが、その後ほとんど悩まずにジェダイの子供たちを殺してしまうのはいかがなものか。
・もともとガキンチョ向けで作った設定である悪の象徴ダース・ベーダー。過去にジェダイを裏切って、お面の下は焼け爛れた恐ろしい顔といういかにもありそうな悪の設定を、観客の想像力にゆだねておけば良いものを、売れてしまったものだから、無理やり本格的に詳細に描こうとするから無理がある。深刻にしすぎて、この部分は大失敗と思う。
はっきり言って、子供を殺すところがかなりこの映画を嫌いにした原因。ストーリーにそれなりに真実味を出すための苦肉の策(あのむごたらしい両足を切断され溶岩に焼かれるシーンを観客に見せるためには、その前に極悪ぶりを描かないとバランスが取れない)というのはわからないでもないが、このストーリーに奉仕しすぎるため、キャラクタの感情が捻じ曲げられている。お子様ランチで魚のワタの苦い旨みを出そうと狙ってはいけません。アンマッチで不快なだけ。ルーカスが確信犯なら、相当にたちの悪いおっさんだと思う。
・特撮技術は凄いものであるが、いつかどこかで観たようなシーンの連続で食傷。自然の風景が全くなくほとんどCGの世界なので、しらけてしまう。ご馳走はたまに食べるからいいのであってずっーとご馳走が続くともういいかげんにしてくれ、と。
でも冒頭だけは、も一度見返したい。ご都合主義いっぱいだったけど、あの戦闘シーンはさすが。『ジェダイ』も感心したけど、これは凄いレベル。、、、、というかCG技術を進化させるILMをプロデュースしてきたルーカスの大成果。
エピソード1,2と観てきて、特撮シーンでまたしても思ったのは、あ、加藤直之氏のイラストが動いてる、という感覚。かなり近くないですか?
・このCGは明らかに物凄い細部のレベルまで設定されているはず。しかし35ミリフィルムでは細部が死んでいる(200万画素くらい?)、DLPの劇場ではどうかわからないけれども。もしこの解像度を活かして、スーパーハイビジョンで上映したら、凄いのではないだろうか。今やDLPでフルハイビジョンが家庭にも入り込むようになった時代、映画館の映画は明らかにそうしたワンステップ上の映像体験を目指さないとその価値を失うのではないか。水面下ではNHKのスタッフがいち早くルーカスフィルムへは足を運び、既にILMではスーパーハイビジョンのSFXへのトライが始まっていてもおかしくないと思う。
あのCG映像世界にスーパーハイビジョンな解像度で浸ってみたいと思うのは僕だけではないと思う。 ・俳優たちのあまり名演とは言えない演技に(あの無理のあるストーリーではリアルに演じらんないと思うけど)対して、感心したのがヨーダの演技。アカデミーの助演男優賞をヨーダにあげられたら、ハリウッドは一皮剥けると思うけど(^^;)。
◆関連リンク
・DLP上映館情報 (きまぐれ独断と偏見の上映館一覧)
愛知県は7/9~109シネマズ名古屋だけ(先行はDLPではないので注意)
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