■『トンデモUFO入門』
洋泉社公式ページ (と言っても充実してないけど)
山本弘、皆神龍太郎、志水一夫(と学会)著
UFOはエンターテイメントだ!ロズウェル、エリア51、矢追純一、アダムスキー…「信じる/信じない」はもう古い! UFOは面白い!「と学会」きってのUFO馬鹿3人が語り尽くす、古今東西トンデモUFO談義
京極夏彦,村上健司,多田克己の『妖怪馬鹿』に触発されて「UFO馬鹿」三人が集まって対談した本、というのが山本弘の序文にあるこの本のコンセプト。
■宇宙人はいない!??
「と」ばかりのUFO本の中で、この人たちの本は信頼できると思って読んでみたのですが、なんとわかったのは、(今までの事例から)UFOというのは宇宙人の乗り物でもなんでもなく、人の心が作り出した現象で、プロレスといっしょの楽しみ方が正しいということ。
前にUFOの本を読んだのは、すでに10年以上前なのだけれど(労作『UFOの嘘』)、著者の志水一夫氏のスタンスは、まだ本物の宇宙からの来訪物である(または人の知らない不思議な未知の現象である)可能性が否定できない、というスタンスだったと思う。だから嘘を言っている本を告発して、最後に残る真実をあぶりだしたい、という視点があった。
そこにセンス・オブ・ワンダーを感じていたのだけれど、、、。この本では明らかにUFOというのは20世紀の神話であり、真の宇宙からの来訪物などというものはないのだ、笑ってトンデモなUFO体験をフィクションとして楽しもうよ、ってスタンスなのである。なんだこういうUFO事例をさんざん調べてる人たちがみても、やはりUFOは宇宙からの来訪物ではないんだ、つまんねぇの、というのが率直な感想。
いまだに生きてる間に宇宙人が地球へ本当に来たらワクワクするよな、と思っているので、この断言は衝撃的(^^;)。なんだやっぱり宇宙人は地球に来てないんだ、、、(<<今頃気づくなよ)。プロレスは全く好きでない私は、もうこれでUFO本を読む必要がないということが分かっただけで、時間の無駄を防げてよかったね、という本。
■妖怪馬鹿 v.s. UFO馬鹿
分析として面白かったのは、(『未知との遭遇』等の影響で)宇宙人像がグレイ一色に塗り替えられていくことでUFOの楽しさがなくなっていったというところ。
妖怪馬鹿トリオに比べてUFO馬鹿トリオが不利なところは、妖怪が世界に千体いる(C水木しげる)のに対して、宇宙人はグレイ1体に集約してきてしまったところですね。(というより、グレイも妖怪のうちの一体と分類されるのが、妖怪の定義として正しいのか。)
妖怪馬鹿トリオのスタンスは、妖怪というのは人の作り出したフィクションである、その起源を探っていくことが人の精神活動のもろもろに繋がっていてそれを解きほぐして分析していくのが楽しい、というものだと思う。
と学会は、そんなものを探求するよりキッチュなUFOを生み出している人間の馬鹿さ加減を笑おうぜ、というスタンスなので、やはり「学」としての深さは妖怪の方に分がある。Blogでもこの本の評価は低いのだけれど、そんなところの不快感があるのだと思う。対談を読んでいて、志水一夫氏のスタンスは若干他の二人と違うような気がしたけれど、、、。
ということで、これからのUFO学は、この社会現象を生み出してきた人の精神的社会的メカニズムを、各種文献等を紐解いて、分析していくのでしょうね。妖怪学が民俗学文化人類学の境界領域にあるのに対して、UFOは精神医学方面と繋がってしまいそうなので、気持ち悪いことにしかならないかも。妖怪は過去の民俗的な人の想いのマクロを扱うのに対して、UFOはまだ近過去または現在進行形で個々の人の体験を扱うというところが、気持ち悪さの源泉かもね。
◆関連リンク
・宇宙人大図鑑
・志水一夫の 「日本臨界科學研究所」
・本の中に出てきたエーリッヒ・フォン・デニケンが作ったスイスの遊園地(通称デニケンランド!!) Mystery Park
全景 ピラミッドや古代遺跡風の建物があります。GOOGLE画像。まわりにはミステリーサークルが。完全にスイスの景観を壊していますね。
| 固定リンク
コメント