■スーパーハイビジョン:Super Hi-Vision
『君はスーパーハイビジョンを見たか!』
NHKデジタル衛星HD 12/24(土)15:30-16:00
スーパーハイビジョンは、走査線4000本級、平面にすると、ハイビジョンの16倍のきめこまやかさの、究極の高精細映像である。 音声も、22.2チャンネルという迫力の臨場感で再生される。
(略) 愛知万博の前半で上映された、一面のヒマワリ畑、ミツバチの躍動、小学生900人が唄う合唱など、1つの群を撮影しても個が見えるほど高画質の「地球・いのち育む惑星」。
万博後半で上映された、金閣寺の紅葉、滝にかかる虹など、日の光で変幻自在に姿を変える地球の美しさを繊細に描いた「地球・光あふれる惑星」。
この2つのソフトの紹介を中心に、開発の苦闘、撮影秘話、視聴した人々の感想をまじえ、未来技術スーパーハイビジョンの全てをお伝えする。
という番組をハイビジョンで観ました。感想とスーパーハイビジョンについて最近の情報をまとめます。
◆ハードウェア
写真は番組をスクリーン投影してHDR-HC1で撮った画像(現在ハイビジョンの画面キャプチャはこの原始的な手しかない)。カメラの大きさを見てください。まるでテレビ黎明期のカメラではないですか。重量は40kgで放送用HDカメラの5倍とのこと。しかもこれはカメラ部だけで、録画はひまわり畑の向こうに見える車に搭載されたハードディスクレコーダ(写真中断)を使用。(KEISOKUGIKEN HDP-H6Bのロゴがあった。計測技研製?)
このハードディスクレコーダは20分撮影用とか。NHKプレスリリースを読むと、18分撮影で3.5テラバイトとある。あれ?テラ級でいいの? なんか少なくないか。うーん、単純計算でも、画素数4320×7680×1億色×60コマ×18分とすると447ペタバイト必要なはず(スーパーハイビジョンの色数は不明)。よくわかりません。(ペタとテラの関係はここ)。
あと太陽のプロミネンスと月の映像を撮るために、群馬天文台と共同開発した望遠レンズ。これだけでもずいぶんと苦労したようで、全国の天文台に相談してやっと実現したと紹介されていた。
僕は「地球・命はぐくむ惑星」の方しか観てないので、この天体撮影の映像はスーパーハイビジョンで体験していない。今回、ダウンコンバートしてHDで放映されているけれど、月の映像が地球の大気で揺らぐ様がなかなかの臨場感。でもSHDで観たかった。
◆没入感
番組で蝶の羽化を撮ったカメラマンが「肉眼で観るよりも細部の息づかいが聞こえてくる」、これを「臨場感」を超えた「没入感」であると語っている。また一色隆司ディレクターは、H2-Aの映像の没入感を与えられることにより、「画面からH2-Aが消えても、上空まで飛んでいったことが体感できた」という観客の感想を紹介している。
たしかに羽化の映像は、肉眼よりも高精細な画素(肉眼が600万:スーパーハイビジョンは3300万画素)で大画面に写されると、それはもう顕微鏡の世界に近づく。観えていなかったものが観えることによるスーパーリアリティは「没入感」と呼べるのかもしれない。
H2-Aの映像については、ハイビジョン放送の今回の映像を観るだけでも素晴らしい。右の写真ではその感動の1/10も伝わらないと思う(なんでHDキャプチャーできないんだ!<<お前らが悪さするからだとの声あり)。
噴煙にロケットの火炎の光があたって陰影がダイナミックに変わっていくところの映像と、5.1ch放送の爆音の臨場感が素晴らしい。
万博会場のスーパーハイビジョンでは、さらにここに肉眼の5倍の解像度と、22.2ch立体音響が加わるわけで、これは体感してみないとわからないが、スーパーリアルな「没入感」を感じるのかもしれない。
◆関連リンク
・スーパーハイビジョン紅白 すでに生放送技術が実現
NHKでは、大みそかに行う「まもなく紅白!スキウタ・カウントダウンスペシャル」の公開生放送に引き続き、下記の通りスーパーハイビジョンの公開を実施します。
12月31日(土)開演/午後7時20分 終演/午後11時45分
会場 みんなの広場 ふれあいホール 入場無料
・物欲優等生さんの「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」
デジタルシネマ版を上映しているようです(AV Watch)。万博でNHKのスーパーハイビジョンを投影したのはビクターの「4K2K D-LIAプロジェクター」。この映画はSONY製での上映でしょうか。んで、4320×7680画素のスーパーハイビジョンに比べると、解像度は低いはずです。
・2005年技研公開「公開展示」
・【レポート】NHK技研公開2004 -
一筋縄でいかない人の知覚と「スーパーハイビジョン」 (MYCOM PC WEB)
・九州国立博物館のスーパーハイビジョン常設展示 (公式HPには記載なし?)
スーパーハイビジョンシアターは、スクリーンサイズ350インチ、客席数38、音響は5.1チャンネルで、静止画中心の番組2本を上映します。
番組内容は、博物館が所蔵する美術品のほか、沖ノ島の遺跡と宗像大社神宝館で公開されている沖ノ島出土品などの解説(略)。
収蔵品や写真にとって、時が経るにつれて起こる退色や劣化は避けがたい宿命ともいえますが、スーパーハイビジョンにより記録することで、後世に残すことが可能となります。
・西川善司の大画面☆マニア 第38回 日本ビクターブース
・スーパーハイビジョン VP-8400製品紹介(ASTRODESIGN)
アストロデザインは、2005年3月25日から9月20日まで開催された日本国際博覧会「愛・地球博」(愛知万博)のシンボルパビリオン”グローバル・ハウス”で上映された次世代映像技術「スーパーハイビジョン」の映像処理装置をNHK(日本放送協会)様と共同開発しました。
・当Blog記事
■万博レポート スーパーハイビジョンv.s.レーザー ドリームシアター
■万博 NHK『スーパーハイビジョンシアター』
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コメント
通りすがりさん、映像の情報量について、コメント、ありがとうございます。
書いていただいた計算だと、18分で3.91Tバイト。16分で3.48Tバイトとなりますね。(すみません、私のはいいかげんな計算になっていたようです。) ここから映画一本2時間を収めるためには、26Tバイト。
ブルーレイディスクが27GB(ハイビジョンで2時間以上)ということですから、将来のスーパーハイビジョン用光ディスクは、1000倍の容量が必要になりますね。
CD→DVD→B Rayの記憶容量進化のスピードは、指数関数で近似でき、0.7013e(0.1534×年数)となっています。もし今後もこのスピードで進化するとしたら、27000GBになるのは2053年。スーパーハイビジョンの記録は光ディスクから脱却しないと、私が生きている間は(^^;)、とても映画を収めることは出来ないようです。
投稿: BP | 2006.01.15 22:01
映像の情報量の計算の仕方としては4320×7680×24bit(色)×60コマ×18分×60秒×((4+2+2)(←一つの輝度信号と2つの色差信号の割合)÷12)=34398535680000bitですのでバイトに直す(8で割る)と約4兆バイトになります。それと1Kバイトは1000バイトではなく1024バイトですので1Tバイトともなると7.4%も違ってきます。これに加えて18分というのが曖昧な値(実際はもう少し少ない)だとすれば3.5Tバイトでも納得がいくと思います。
それと人間の視力なら1億2000万画素に近い値(ただし目の部分によって均一ではないので正確な値は不明)になると「肉眼が600万」のリンク先に書いてありますよ。輝度がどの程度判別できるかが画素の値を表します。ただしカメラの方が偶像素子が良いのでスーパーハイビジョンの映像のほうが肉眼で見るより綺麗だというのは同意します。
ちなみに今のスーパーハイビジョンはカメラなどの性能の限界によりGのみ上下左右半画素ずつずらして擬似スーパーハイビジョンにしてあるだけでRBは4K2Kですのでまだ真のスーパーハイビジョンとはいえません(Gですら不完全)。それでも愛地球博で見た擬似スーパーハイビジョンでも触れそうなほど高画質でしたから真のスーパーハイビジョンはとてつもなく綺麗だと思われます。
投稿: 通りすがり | 2006.01.14 22:32