■ガス・ヴァン・サント監督 『エレファント』 Elephant
Elephant(公式ページ)
この監督の作品、20年近く前の『ドラッグストア・カウボーイ』以来、2本目。
高校生の日常をドキュメンタリーのように劇的要素を廃して描き出している。
まったく中身を知らないで観たのだけれど、最初は何を描こうとしている映画かわからなくてとまどった。ストーリーの背骨がみえない、とらえどころのない不安だけが感じられる映像。そして犬が出た後のシーンで、その不安が具体的な姿を持つに至る。映画だけが持ちうる表現だと感心。
「普通はカットするようなストーリーに関係ないシーンを残し、観客に考える時間を与えた」とDVDのインタビューで監督が語っている。これがドキュメンタリーのような現実感を醸し出しているひとつの理由のように思う。北野たけしの映画はカットが変わる間に無為な時間が流れるのが印象的なのだけれど(そしてそれが独特の映画の文体を作っている)、その影響も受けているのではないか。
この映画のテーマは観客に考えさせることとして設定されているようだが、同じような状況にある子供に、この映画を観せることで同様の行動をとらせてしまう危険性もあると思う。
極平凡などこにでもいる高校生が、大きなハードルなしにこうした事件を一歩踏み出せば起こしてしまうということをまさに描き出した映画だと思う。そして受け止め方は多様に出来るような構成がとられている。だからこそ、心配になる。幸い日本では銃は簡単に手に入らないので良いが、アメリカでは深刻でないだろうか。マイケル・ムーアの『ボウリング・フォー・コロンバイン』が重要な映画になるわけである。
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コメント
こんばんはっ。
髭ダルマLOVEです。
うーん。何だか微妙な作品でした。
うーん。うーん。
ある意味問題提起すらない。
事件の追体験。
それがメッセージ。
後は考えろ。
…ちょっとざっくりとしすぎてませんか?遺族感情も気になるところです。
というのが私の感想でした。
同じ題材を使っての作品なら「ボウリング・フォー・コロンバイン」の捉え方の方が好感が持てます。
TBさせていただきますね。
投稿: 髭ダルマLOVE | 2007.04.11 04:23