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2006.01.03

■矢野健夫撮影『決定版・シルクロードを飛ぶ』

矢野健夫 プロジェクト  『赤い翼~シルクロードを飛ぶ~』(NHKスペシャル)

超低空からハイビジョンカメラで迫るシルクロードのいにしえの遺跡や大自然。今まで見たことのないような鳥の目線から撮影した、ダイナミックで臨場感あふれるシルクロードの新しい姿をお届けします。
“死の海”といわれるタクラマカン砂漠は、砂山が波のように果てしなく続いている。
モーターパラグライダー「赤い翼」は、砂嵐と戦いながら地上すれすれにまで下がってハイビジョン撮影を行った。

 元旦にNHK BSハイビジョンで観ました。モーターパラグライダーによるハイビジョンカメラの空撮撮影家矢野建夫氏の番組。
 まさに鳥の視点で地上を眺めることが出来ました。こんなものを自宅で臨場感を持って観られるとはいい時代になったものです。この視点での体験は実際に旅行に行っても体感できない特殊なものです。ハイビジョンのドキュメンタリーというのは映画館では観えないホームシアターの付加価値のひとつ。
 ただ臨場感ありすぎで、乗物酔いみたく若干気持ち悪くなってしまったけれど、、、(^^;)。臨場感といっても、自分が鳥になって自由に空を駆け巡れるわけでなく、所詮鳥の背中に乗っているだけですから、酔うわけです。おまえは『ニルス』か?と思わず突っ込みを入れてしまいます。(押井守ファンにしかわからない、、、(^^;))

 こういう番組で映像による臨場感を体感すると、ますます東大の舘暲教授の構想するアールキューブというのは現実味があるのではないか、と思ってしまう。鳥形ロボットを遠隔操作で自在に操り、意のままの飛行映像を自分ちのスクリーンに投影できたら凄いと思いませんか。

飛行した場所

・タクラマカン砂漠
 砂漠が独特の文様で、まるで巨大な恐竜の表皮のような薄気味の悪い光景。まさに死亡之海(タクラマカン)。

・標高2000mの草原 バリクン 
 馬に乗って駆け巡る遊牧民族の上空を飛ぶ視点。広大な草原を自在に駆ける馬たちと一体になった疾走感とそこから上昇に転じパースペクティブを得る鳥の視点。この連続性が素晴らしい。

・オアシス都市 新疆 トルファン
 これも地獄のような火炎山の光景。ベゼクリクチ仏洞のまるでファンタジー映画のようなアーキテクチャ。川に挟まれた軍艦のような台地の上の滅んだ都市 交河故城。
 ここのシークエンスが最も幻想的でした。思わずここの都市の3Dデータを取得して立体ダンジョンシミュレーションしたら凄いだろうと思ってしまった。

・青海湖
 
標高3000mの天空のサファイアと呼ばれる湖。菜の花畑の黄色と、湖の緑と、空の青のコントラストが素晴らしい。酸素の薄い高地での初めての撮影で、失速して畑に落ちたり、酸素吸入を追加したりといった飛行の苦労が描かれる。そして上昇気流に乗って3500mの高度へ初めて上がった「赤い翼」。ここでの矢野氏の「もの凄いビジュアルだ」という思わず出た感嘆の言葉が、映像だけでなく彼の体感を空想させる言葉として印象的だった。

 湖畔に作られたタルチョと呼ばれるチベットの風習。神に捧げる経文を書いた色とりどりの旗が風に舞う。天は神そのものであるとするチベットにおける飛行の意味、といった哲学的話題にも触れられている。そういった場所でモーターパラグライダーで人が鳥になる。これをチベットの人々、とりわけ子供たちがどう受け止めるか、というところに番組の視点が向けられていた。

 鳥瞰のビジュアルが、脳内のビジョンに昇華した瞬間かもしれない。この映像はハイビジョンにも撮れないイメージの映像である。

◆関連リンク
・Blog たけぽん上海航海日誌さんの:新疆旅行(トルファンツアー)
・当Blog記事 報道ステーション モーターパラグライダー空撮

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