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2006年5月

2006.05.31

■CDメモ 原正孝(原将人)『 はつくにしらすめらみこと』

Hara_masato_hatsukuni_shirasumera_mikoto_2原正孝 - はつくにしらすめらみこと - @TOWER.JP

 本当に本当の奇盤中の奇盤!映像作家、原正孝が残した唯一のアルバムが初CD化!
 「商業映画の対極、日本のインディーズ映画のカリスマ」「天才中の天才」原正孝=原将人。本作は、制作・演出・脚本・撮影・主演・音楽・演奏・編集、更には上映の際の映写技師、モギリまで原正孝がたった一人で行った、8時間に及ぶ衝撃的な8mmカラー映画『初国知所之天皇(はつくにしらすめらみこと』(1973年作品)の音楽作品。音楽は早川義夫から直接の手ほどきを受けたという。決して上手いわけではないが、エレクトリックピアノを弾きながらの原正孝の歌は、音楽的な完成度を超えて鬼気迫るものを持っている。

1.旅に出る唄                7.極地直行
2.はつくにしらすめらみことのテーマ  8.数限りない夜に耐え
3.少女の唄                 9.街の唄
4.心をたわめ身をたわめ       10.途切れ途切れに辿る
5.流離の思い              11.墓地にて
6.あてのない旅              12.あてのない旅
[解説] 北中正和(復刻ライナー) 、岸野雄一(書き下ろし)

 あの長編自主制作劇場映画(^^;)『20世紀ノスタルジア』(すでに10年前!)の原将人監督の1973年作品のCD。インディーズでも幻の作品と言われているようです(関連リンク参照)。

 『20世紀ノスタルジア』でも原監督の作詞作曲の歌がミュージカル的に使われていました。この映画が大好きな僕は、なんどi-Podで聴いたかしれません(ニューロン、バチバチ!)。
 あの映画での歌と音楽も、独特のスタイルだったわけですが、今度でたこのCDは、自作自演。関連リンクの絶賛の言葉を読んで、Amazonで思わず注文してしまった私です。後日の感想を待て!(って、これは誰も待たないかも(^^;))

 原将人監督の次回作、切望しています。早く撮影がスタートすることを祈ります。

◆関連リンク
diskunion日本のロック・インディーズ館: 原正孝 奇跡の初CD化

 「イージーライダー」のニューオリンズの墓地のシーンのような、めくるめく映像のバックで流れる決して上手いとは言えない原監督の、童謡のようなアシッドフォーク調の歌は他に類を見ない程であるが、手ほどきを受けたと言う事もあってか、早川義夫氏の「かっこいいことは、なんてかっこ悪いんだろう」の影響は強く感じられる。某廃盤専門レンタル店で借りた音源をテープにして持ってはいたが、とうとうオリジナル盤を手に入れる事は出来なかった。そんな並々ならぬ思い入れを持った私には、このCD化は歴史的事件とさえ思えてならない。

円盤

 希代のアシッド・フォーク超名盤!!早川義夫に手ほどきされたというシンプルで不安定で純粋極まりない信じられない歌の数々が、彼自身のエレピを中心にした演奏を伴って、かろうじて現実世界に音として残ったような素晴らしい作品!!これが歌だ!!全員聞くように!!

原正孝(原将人)『はつくにしらすめらみこと』(Amazon)
・当Blog記事 原將人始動 ! 『仲よき事は 美しき哉』

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2006.05.30

■メタ・マテリアルによる透明マント
  Meta-Material Invisible mantle

Metamaterial_1  光学迷彩:Optical Camouflageでは東大の舘研が有名ですが、こんなニュースがありました。(右図はこのニュースそのものの図ではありません。最下段の理研の「負の屈折率」説明図より引用)

CNN.co.jp : ハリポタの「透明マント」、理論上は可能と 英米研究者 ? - サイエンス

 電磁波の方向を変えることができる人工的につくり出された素材、「メタマテリアル:Meta-Material」を使った理論。ペンドリー教授によると、可視光線を含む電磁波を自由自在に操る素材が実現できれば、その素材を使って、ハリーが持つような透明マントも可能になるという。 (略)電磁波の中でも波長の短いマイクロ波を操作する初期段階の素材は、約2年以内に開発されるのではないか、と述べている。

 『サイエンス』のページでは有料で登録しないと記事の情報が読めません。(PHYSICS: High-Tech Materials Could Render Objects Invisible -- Cho 312 (5777): 1120a -- Science)

 そこで、「メタマテリアル:Meta-Material」で検索したら、出てきました。

◆理研ナノフォトニクスシンポジウム
 このジョン・ペンドリー教授は日本へも講演に来たことがあるみたい。ナノフォトニクスってなんかかっこいいぞ。

計測自動制御学会第10回センシングフォトニクス部会講演会
RIKEN Symposium 2003 左手系マテリアルとナノフォトニクス
1999年~2000 年に英国 Imperial College の J. B. Pendry 氏は、負屈折率(左手系)媒質の実現のために必要となる負透磁率を示す媒質の実現可能な構造と、負屈折率媒質が近接場光を含む完全像形成 (perfect lens) を行える可能性の提案を行った。

Imperial College インペリアル・カレッジの公式HP
 ついに教授の言葉がありました。記事では子供受けを狙って、ハリー・ポッターを引き合いに出していますが、こちらはブラックホール。

 What this device would really do is a bit like making a black hole" said Sir John,"There would be no communication between the object that is cloaked and the outside world." (この装置が実現することはブラックホールを作るのに少し似ている。着ていられる物と外の世界の間には、どんなコミュニケーションもないでしょう)

 こっちの方が数段かっこいい。究極のディスコミュニケーション。
 透明人間って、とっても孤独なんですよね。

 この技術って、イメージ的にはナノテクを使った新素材(ファイバーみたいなもの?)で、身にまとった衣服表面で光をまげて、後ろの光景を前に投影することで、光学迷彩を実現しているということでしょうか。舘研の前面からのプロジェクタによる投影とはずいぶん違います。
 衣類単独で成立させられるところはこちらの方が凄い。

 この原理のものは、たしかバリントン・ベイリーの何かの長編に出てきたような気がします。あれ、なんだっけ??

◆関連リンク 
左手系メタマテリアル(Tech-On!解説) 
可視光域で「負の屈折率」を持つ初の光機能材料(理研)

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2006.05.29

■滝本誠『渋く、薄汚れ。フィルム・ノワールの快楽』
  リンチの歌姫 レベッカ・デル・リオとジョセリン・モンゴメリ

Takimoto_shibuku_usuyogore フィルムアート社のホームページ

映画・小説・絵画などの背後に蠢く闘争、ハリウッドスキャンダル、......世界の底辺(ワイルドサイド)にただずむ快楽を丸裸にする、滝本誠のノワールワールド!

 滝本誠氏のひさぴさの新刊。今回も独特のこだわり炸裂の本になっています。
 特に初めて読む滝本氏の自伝(「プチ自伝」)が興味深い。いなかの中学生がどうシュールでノアールな芸術青年になっていったかという物語。岡本太郎や瀧口修造、加賀まり子、、、等々がその源泉。タキヤンファン必読です。

◆本書関係リンク集
 読んでいて、いろいろと刺激的な表現があって、原典にあたりたくなる。特によく知らないノワールがらみの話は興味深いのだけれど、いかんせん、元の作品を知らない薄学者。そこで気になったところをネットで探索した結果をリンク集として掲載。まず自分のメモのためなのだけど、本書で興味を持った読者の方の参考になれば、幸い。(本書を読むこともだけど、僕にとって、下記リンク集を作る際のウェブの探索そのものが滝本ノワールプチ追体験。皆さんもジョセリン・モンゴメリの曲を鳴らしながらウェブを彷徨ってみて下さい(^^;))

 関連ページに続いて、リンク。

・P 66 グロリア・グレアム『復讐は俺に任せろ』 Gloria Grahame THE BIG HEAT。今、観ると滝本氏が書くほど扇情的ではないけど、当時のインパクトを想像しました。

Robertblake・P105 『ロスト・ハイウェイ:Lost Highway』のロバート・ブレイク:Robert Blake(右)の妻殺し事件。こんな事件を起こしていたのですね。映画でのすさまじい怖さが忘れられません。

Edwardhopper
・P120 Edward Hopper "Western Motel"
・P113 エドワード・ホッパー作「ナイト・ホークス」 Edward Hopper "Nighthawks"
 『ブレードランナー』に関するトリビア(Trivia for Blade Runner (1982)(IMDb)下記引用)。
 このムードをリドリー・スコットが引用しているということなのだけど、どっかホッパーの絵はまだ牧歌的なアメリカな感じ。あの映画のハードでダークなイメージはこれらの画を参照していると言ってもやはりオリジナルなのでしょう。

Ridley Scott carried a photo of Edward Hopper's famous painting "Nighthawks" with him during shooting to show it to the crew members, to give them a feeling what kind of mood he wanted to create in the film.

Jocelynmontgomery_2・P155 ジョセリン・モンゴメリ:Jocelyn montgomery
 Jocelyn montgomeryの試聴
Lux Vivens:Living Light(lynchnet.com) (Amazon試聴可) 
The City of Absurdity - David Lynch's Music, Jocelyn Montgomery
・アシンメトリカルスタジオについてジョン・ネフとリンチが語っているページ。 「あの歌姫ジュリー・クルーズのそれをさらに純化させた声質なのである。」1998年にリンチが見出し、自身の音楽スタジオ アシンメトリカル・スタジオ:Asymmetrical Studioからリリースしたジョセリン・モンゴメリのヒルデガルト・フォン・ビンゲン:The Music Of Hildegard Von Bingenという12世紀の歌曲。僕の少ない音楽ボギャブラリから言うと、エンヤに似た感じかと。

・P155 ジュリー・クルーズ:Julee Cruise
 Blog ♪誰が聞くのか?さん: ♪Julee Cruise (ジュリー・クルーズ) の
 Floating into the Night
で紹介されているドイツのデビット・リンチサイト
 ロンドンライブのMP3が聴けます。ジュリー・クルーズの歌う「ブルーベルベット」は初めて聴きました。 Rebekahdelrio_allmylife

・P162 レベッカ・デル・リオ:Rebekah Del Rio
 公式HP。素晴らしい歌声が数曲聴けます
 "Llorando"は、『マルホランド・ドライブ』のサウンドトラックを含めて3ヴァージョン。重く荘厳な映画版と異なり、ラテン的に少し陽気なヴァージョンも聴けます。彼女の1枚だけでているCD "All My Life"の収録曲も、全部サイトで聴けます。それにしても、『マルホランド・ドライブ』だけでは全米でヒット、CDが何枚も出る、なんてことにはならないのですね。

 The story behind Llorando by Rebekah。リンチとの出会い、『マルホランド・ドライブ』での"Llorando"にまつわるエピソード等が語られている。

 Video Llorando(『マルホランド・ドライブ』のシーン)とライブのSuperstarのビデオ。

 『マルホランド・ドライブ』って、本当に恐ろしい映画だ。この曲を聴いて、あのシーンを観ていると魂を獲られそうな気持ちがしてくる。獲られそうになるのは、この映画は「死」そのものを描いているからではないか、という解釈を最近、考えている。記憶とか回想の映画であると思っていたのだけれど、どうもこれって、死ぬ前に人生を幻覚もあわせて俯瞰する瞬間を描いた映画でないかと思えてきた。そして、ある意味、甘美にも聴こえるレベッカ・デル・リオの"Llorando"。完璧である。

 滝本氏は、200枚になる勢いの『マルホランド・ドライブ』論を書かれているという。出版が凄く楽しみ。少しでもはやく、次作として出版されることを祈ります。

・P167 瀧口修造 地球創造説
 シュウルリアリスムの日本への紹介者瀧口修造の黒い表紙に黒インクで書かれた本。次の一説を読むだけでも、そのイマジネーションの喚起力にはうなります。
 Blog 仔犬の散歩跡さん 「地球創造説」(1928年) より一部引用。

 両極アル蝉ハアフロディテノ縮レ髪ノ上ニ音ヲ出ス
 男モ動物モ凡テ海ノヨウニ静カニナル
 アフロディテノ夏ノ変化ハ
 細菌学的デアル
 (……)
 金属ノジャスミンヲ
 終息セントスルアポロ神ノ呼吸ハ
 恐怖ト快活トガ混合シタ
 羊肉ノヨウナ薔薇ト同一デアル
 (……)

・P169 チャールズ・ウィルフォード:Charles Willeford
 『炎に消えた名画:The Burnt Orange Heresy』
 
「美術評論家を主人公にして、伝説のニヒリスティック・シュルレアリストの今を探訪するという空前のマイナーかつハイブラウな試み」。ということで、俄然、読んでみたくなりました。
チャールズ ウィルフォード『炎に消えた名画(アート)』(Amazon)

・フランスのサイバーパンクSF作家モーリス・G・ダンテックを原作にした映画 『レッド・サイレン』の詳細情報。ここのリストでシナリオにノーマン・スピンラッドってあるけど、これ、SF作家のスピンラッドとは別人だよね??? 映画については、ここのレビュウが詳しい。
オリヴィエ・メガトン監督『レッド・サイレン』(Amazon)

◆関連リンク
滝本誠『渋く、薄汚れ。―ノワール・ジャンルの快楽』(Amazon)
・『映画の乳首、 絵画の腓(こむら)』(ダゲレオ出版) 絶版
『映画のアウトサイド』
『美女と殺しとデイヴィッド―タキヤンの書き捨て映画コラム100連発+α』
滝本誠公認ページ  タキヤンの部屋 なかなかのインパクト
タキヤン・ショップ
滝本誠(Amazon)

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2006.05.28

■デビッド・フィンチャー監督PV 『Only』
  & 新作『ゾディアック』メイキング

Nine Inch Nails - Only (YouTube)
Nineinchnails_only
 今年、新作『ゾディアック』が公開になるデビット・フィンチャー監督。
 これは2005年制作のナイン・インチ・ネイルズの『Only』プロモーション・ビデオ。

 写真にあるように、スチル製のニードルで画を描くインテリア小物を利用して、ヴォーカルのトレント・レズナーの顔をコマ撮りのアニメーションで見せている。ナイン・インチ・ネイルズのけだるい感じがでていてなかなか良い。もともとミュージックビデオ出身のデビット・フィンチャーのPVって今のところ39本もあるんですね。実は恥ずかしながら観たことがなかったのだけれど、YouTube(David Fincher検索)でボチボチと観てみようと思っています。マドンナのくらいは監督を意識しないで観てたけど。

 このニードルのアニメーション、PCから画像信号を出力して針を動かすようにしたら面白いでしょうね。そして先端にLEDでもつけて光も制御する。そういうインテリアがでたらちょっとほしいな。

David Fincher talk Zodiac (YouTube)
 新作『ゾディアック』の編集に関してインタビューを撮ったもの。これ、AppleのFinal Cut Studioのプロモーションのようですね。『ゾディアック』のシーンがいくつか観えます。これ、フル・ディジタルの作品になるのですね。MACでの編集映像が興味深い。

◆関連リンク
Zodiac (2006) 
・Blog 見てから読む?映画の原作さんの
 デヴィッド・フィンチャーがゾディアック事件に関する映画を?

David Fincher - Wikipedia, the free encyclopedia
デビッド・フィンチャー (Amazon)

nine Inch Nails 『Only』(Amazon)
ナイン・インチ・ネイルズ(公式HP)
nin.com [the official nine inch nails website] only

◆蛇足リンク
 実はこの記事、元々『ゾディアック』の予告篇を探していて見つからずに書いたもの。
 で、以下は別の監督の『ゾディアック』の予告篇。最初フィンチャーのと勘違いして観てて、なんかセンス良くねぇな、と思っていたら、アレクサンドル・バークレイなる別監督の作品でした。くれぐれもお間違いなきよう。
Apple - Trailers - The Zodiac - Trailer
The Zodiac (2005)
The Zodiac - Based on true events(公式HP)
 Alexander Bulkley監督、TVシリーズ"Robot Chicken" (2005)のプロデューサーとかデータがあります。なんだこれ? あと IMDbで"Zodiac"さがすと無数の映画とTV、、、。

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2006.05.27

■NHK「放送技術研究所一般公開 2006」
  スーパーハイビジョンの超臨場感とアールキューブ

Giken_super_hd NHK、「放送技術研究所一般公開 2006」を開催
 (AV Watch)

スーパーハイビジョンを家庭に送信するまでのシステムが完成
 撮影したデータは24Gbpsと大きく、HD-SDIケーブルを16本使用して中継場所に伝送。そこから放送局まではシングルモード光ファイバーで伝送する。24Gbpsを1本の光ファイバで伝送でき、伝送遅延も数msと小さいことが特徴。

未来の放送技術が集結 - 「NHK技研公開2006」会場レポート
 (AV&ホームシアターNews)

スーパーハイビジョン in 「NHK技研公開2006」
 (shamonさんのひねもすのたりの日々)

ニューヨーク(NY)の映像
 高所からの撮影は自分がまるでその場所にいるかのような迫力。
 カメラが動くたびその映像の中に吸い込まれそうでした。
 街中の映像も臨場感たっぷりで奥行きもあり、
 遠くの看板の文字まできれいに鮮やかに見えました。
 低位置での撮影も同様です。車に轢かれてしまいそうな気分。

 行きたくてしょうがないけれども、東京は遠すぎます。というわけで、各WEBメディアと、Blog最速レポート(たぶん)を載せられたshamonさんのひねもすのたりの日々のリンク集です。

 まずAV Watchからの引用写真は、22ch用のマイクが素晴らしい(^^;)。これでどうやって22chの録音をしているかが知りたい。
 あとスーパーハイビジョンカメラが、今、この大きさなら、2025年にはハンディカムになっているかも。自分の孫を撮影するのはスーパーハイビジョンになるのかなー。あ、娘が遠方に嫁いだら、スーパーハイビジョン伝送で孫の姿を、、、、いかん、このコメントのどこが究極映像研だ??、これではただの爺の戯言研ですじゃ(^^;;)。

 shamonさんのレポートにあるニューヨークのスーパーハイビジョン映像は、凄そうですね。本当に観たくなってきます。臨場感がここまで上がった時に、人間って旅行する行動がどこまで欲求として映像に勝つのでしょうね。不精な私はますますスクリーンの前に篭りそう(^^;)。アールキューブ構想が描く次世代ロボット社会(分身ロボットが世界中を歩く未来)がどうしても思い出されます。(当Blog記事「相互テレイグジスタンスの第二世代」参照)

 あと以前SFアドベンチャー誌の山田正紀特集の押井守-山田対談でも、旅行と仮想の臨場感について述べられていたのを思い出しました。彼らは仮想の体験と旅行体験の近似度はほとんど同じである、とコメントしていました。

押井「僕に言わせると虚構も一人の人間が生きていく現実に変わりないと いうか、内側でおこっている事なんであって、現実につきあった人間も、小説の中で出会った人間も、僕の記憶の中ではいっしょだと思っていますね」

◆関連リンク
・shamonさんのひねもすのたりの日々
 「技研公開2005」

当Blog記事
2006年NHK技研公開予定
NHK技研公開2005 「スーパーハイビジョン」

万博 NHK『スーパーハイビジョンシアター』
万博レポート スーパーハイビジョンv.s.レーザー ドリームシアター
『君はスーパーハイビジョンを見たか!』

◆5/27以降 リンク追加
超高精細“スーパーハイビジョン”に今年も感動!
 「技研公開2006」リポート / デジタルARENA

 スーパーハイビジョンの映像を撮影した。7680×4320ドット、フレームレート60ヘルツ、という超高画質映像は、肉眼で景色を見ているのとなにも変わらない。写真で撮影してもこの通り。どうみても、映像とは思えない。(略)
 去年の朝青龍関の映像もすごかったが、今年もなかなか。まるでドラえもんの“どこでもドア”のように、一瞬でニューヨークに連れて来られた気分になった

 ニューヨークの画像も掲載されています。やはり“どこでもドア”なんだ。人間が(感覚だけを)瞬時に移動可能な技術は飛行機や自動車の概念を変えていくかもしれない。

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2006.05.26

■産総研認定ベンチャー「HRP-2m Choromet」(チョロメテ)
  近藤科学 2足歩行ロボット「KHR-2HV」パワーアップ

Hrp2vschoromete_1
(左から 出渕裕プロメテデザイン画 HRP-2プロトタイプ プロメテ チョロメテ)

大日本技研(公式HP)

 ここのとこ、ずっとネタをひっぱってきた依頼原型、やっと情報解禁になりました。(略) 技研が担当するお仕事は、Pirkus・R Type-01ベースで開発した機体を、プロメテっぽくなるように外装をつくること。

 外装を担当した大日本技研の公式HPをみると、まさにマニア・オタク系の匂い(^^;)。いいですねー。制作日記が今後アップされるようですが、楽しみに読ましてもらいましょう。
 上の引用写真を観ると、プロメテは出渕デザインに忠実。チョロメテはロボットアニメ系のかっこよさに溢れていて、大日本技研の勝利とみえます。肩と膝から下をしっかりさせることで、全体に力強さが出ています。素晴らしい。(でも、この一番強そうなのが、「チョロメテ」という弱っちい名前なのが、、、、)

 産総研の公式HPのムービーでは、チョロメテもプロメテ同様に、四足と二足の切り替えの動きも可能なことがわかる。いろんなアクションが楽しめそう。

高さ35センチの出渕デザインロボ「チョロメテ(ITmedia News)

 高さ35センチのヒューマノイドロボット「HRP-2m Choromet」(チョロメテ)を開発。(略)小型ヒューマノイドロボットはホビー用途が多い。プログラム可能なものはほとんどなく、教育・研究用途には向かなかったという。このためチョロメテは、プログラムも可能で小型かつ安価なロボットとして開発した。
 開発したのは、産総研認定ベンチャーのゼネラルロボティックスムービングアイの2社と、ピルクス・ロボティクス大日本技研

産総研プレスリリース  動画(ムービー) (公式HP)

 ロボットの外装については、関節の可動範囲を狭めないこと、可能な限り安全性を実現すること、HRP-2プロメテに近いことを目標に設計を行いました。全体のデザインについては、HRP-2プロメテのデザインを担当した出渕裕氏が監修。(略)(ロボットの外装については)プラスティックモデルやロボット外装の開発等を行っている大日本技研が担当しました。

 外装以外は、ヒューマノイドロボット基盤ソフトウェアはゼネラルロボティックス(GRX)、小型省電力コントローラおよびARTLinuxはムービングアイME、メカ系をピルクス・ロボティクスという分担となっているらしい。

 このロボット、いくらになるのでしょう。外装がホビー用、マニア用だけに、教育・研究用の高額な値付けでなしにロボットマニアの手の届くところに設定したら、結構売れると思うのだけれど、、、。かっこいい外装をまとい、産総研ロボット技術の粋を集めた制御ソフトでアニメ顔負けの動きをするロボットがマニアの手でチューニングされたら、素晴らしいロボット技術のアピールになると思うのは僕だけでしょうか。

2足歩行ロボット「KHR-2 HV」がパワーアップして登場! / デジタルARENA

九十九電機は、近藤科学が2006年5月26日に発表した2足歩行ロボット組立キットの新製品「KHR-2 HV」の販売を、6月2日より開始する。販売価格は8万9985円。

 マニア向けのこちらもパワーアップ。このくらいの手頃な値段でチョロメテが売られたら良いですね。

◆関連リンク
朝は四本足、昼は二本足、夕方は三本足──それはロボット
 産総研の「プロメテ」が機能拡張。

出渕裕デザインのインパクト~ヒューマノイドロボット「Promet」登場

ゼネラルロボティックス
 OpenHRP(産総研)を利用したロボットコントロールシステム。
 OpenHRP制御ソフトウェア 販売価格 4,200,000円(税込)
 げげ、ソフトだけで420万円??それともこの簡易版がプロメテに付くのでしょうか。
Pirkus・R Type-01 DXPirkus・R Type-01 DXは237,904円(ツクモロボット王国)
KHR-2 HV KHR-2 HV(ツクモロボット王国)
ロボット ツクモロボット王国 (楽天)

◆5/28以降 追記
HRP-2がデスクトップサイズに(RobotWatch)
 Impressに新しくできたRobotWatchに森山和道氏の詳細記事。多数のムービーが見えます。記事によれば、発売は秋頃、50万円以上となるらしい。ちょっと手が出ません。(15年くらい前のMACくらいの値段か)

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2006.05.25

■キース・フルトン、ルイス・ぺぺ監督
  『ロスト・イン・ラマンチャ』
  テリー・ギリアム『ドン・キホーテ』メイキング

Lostinlamancha『ロスト・イン・ラ・マンチャ』(Amazon)
CQN. Lost In La Mancha(公式HP)

 テリー・ギリアム監督の未完の大作『ドン・キホーテを殺した男』のメイキング。ずっと観たかったこの「バトル・オブ・ドン・キホーテ」を観ることができた。

 まず根本的な原因は、資金不足。『バロン』での制作費超オーバー(2倍になった)と同じ事を繰り返せないというプレッシャーの中で、無理なスケジュールが命取りとなった様が描かれる。個々のトラブルは用意周到にして計画に冗長性があれば、なんとか切り抜けられるようなものにみえる。スペインでの砂漠の大雨はそれだけなら2日ほどのロスだろう。だがそれがきっかけとなって、駄目押しで主演のジャン・ロシュフォールが高齢ゆえ、倒れることで映画の命運がつきる。

 このメイキングは、一本の映画がつぶれる過程をリアルに体感できるのと、もうひとつ、ギリアムのイマジネーションが炸裂する現場が見られるのが、ポイント。溢れるばかりのイマジネーションに興奮するギリアム監督に感情移入して観ると、映画監督という魅力的な商売の疑似体験ができる。しかし、その後のもの凄い心労も味わうことになるが、、、。

 映画では制作が終わってしまうところまでしか描かれないが、公式HPのプロダクションノートが興味深い後日談を紹介している。

 やがて脚本の権利は保険会社のものとなり、残されたものといえば1500万ドルの保険金請求で、それはヨーロッパ映画史上最高額だった。残された80時間以上のテープとインタビューから「ドン・キホーテ」が作られなかった経緯は再構成された。

 人海戦術でとても金のかかる映画制作のリスクの数字として、1500万ドルという事実。ある意味、非常にデリケートな課題を抱える(つまり一人の俳優の健康)映画制作の怖さが実感できる数字だ。

 ギリアムはなんとかして、再度制作をスタートさせたいようであるが、『ブラザーズグリム』がヒットしなかったことを考えると、かなり厳しいのではないか。ファンとしては、少し出資してでも観たいのだけど、、、。

◆関連リンク
・『メイキング・オブ・12モンキーズ
・『バトル・オブ・バロン』 この2本も是非観たいものです。
Don Quijote de Orson Welles (1992)
 このメイキングでも紹介されているこれも未完のウェルズの『ドン・キホーテ』。ここでスチルが観えますが、これも完成していたら傑作だったのでしょうね。画面から気迫が伝わる素晴らしい画になってます。未完だけど、DVDが販売されているようですね。観たいなー。

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2006.05.24

■天願大介氏情報 監督『暗いところで待ち合わせ』
  脚本『インプリント~ぼっけえ、きょうてえ』

『暗いところで待ち合わせ』製作発表記者会見!
(CINEMA TOPICS ONLINE)

監督/天願大介 原作/乙一 出演/田中麗奈、チェン・ボーリン、宮地真緒

インプリント~ぼっけえ、きょうてえ』 公式HP
 予告篇もありますが、気の弱い人は観ないように。

 原作は岩井志麻子の短編小説「ぼっけえ、きょうてえ」(角川ホラー文庫刊)で、(略) 『オーディション』(00)や『殺し屋1』(01)などで、映画界のタブーを破壊してきた三池崇史は、原作の精神を抑えながらも、女による陰湿な世界を巧みに表現し、特に正視できぬほどの拷問シーンを盛り込み、美しくも怖ろしい狂乱の世界を現出している。
 (略)『オーディション』で組んだ天願大介が原作を大胆に脚色

 『AIKI』以降、新作がなかった天願大介監督ですが、監督作と三池崇史と組んだ脚本担当のホラー作品が登場。
 1990ぴあフィルムフェスティバルで『妹と油揚』を観て以来、この監督のファンです。その昔、NIFTYで天願イヅナ組というファン倶楽部に入っていたのを思い出します。(イヅナ組組長、もしここをご覧になってたら、コメント下さい(^^;)。僕は今でも天願作品を追いかけてます!)

 この『インプリント~ぼっけえ、きょうてえ』は、マスターズ・オブ・ホラー(公式HP)というハリウッドの企画の一本。どうやらプロデューサーのミック・ギャリスに天願大介脚本、三池崇史監督の『オーディション』が見初められてハリウッドデビューとなったらしい。これで大ヒットして、予算をかけた天願大介作品が観られたら、ファンとして本望です。(でも実はホラーはあまり好きでないので、ホラー路線で売れるのはちょっと心配だったりもする、、、(^^;))それにしても、『インプリント~ぼっけえ、きょうてえ』はえぐそう。劇場では観たくないなーー。(ファン、失格。組長に怒られそう)

◆関連リンク
天願大介 - Wikipedia
マスターズ・オブ・ホラー(公式HP) 

 なんといっても衝撃的だったのは、「オーディション」という作品だ。あの映画が始まって40分ぐらいのところで訪れる一つのシーンは、今まで見た中で最も恐ろしく、スクリーンを凝視することのできない体験だった。
 映画監督としての才能と独自のビジョン、どれをとっても三池監督は、完璧な「マスターズ・オブ・ホラー」といえるだろう。彼の作品“IMPRINT”(「ぼっけえ、きょうてえ」{ものすごく恐ろしいの意})は、今まで見たことのないような、身の毛もよだつ、このプロジェクト最恐の一編だ。
   ミック・ギャリス(「マスターズ・オブ・ホラー」プロデューサー/監督)

ダリオ・アルジェント「愛しのジェニファー」
トビー・フーパー 「ダンス・オブ・ザ・デッド」
ジョン・マクノートン「ヘッケルの死霊」
ジョン・カーペンター「世界の終り」
ドン・コスカレリ「ムーンフェイス」
ジョー・ダンテ「ゾンビの帰郷」
ジョン・ランディス「ディア・ウーマン」
ラリー・コーエン「ハンティング」
ラッキー・マッキー「虫おんな」
ウィリアム・マローン「閉ざされた場所」
ミック・ギャリス「チョコレート」
スチュアート・ゴードン「魔女の棲む館」

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2006.05.23

■矢作俊彦プロデュース『気分はもう戦争』映画化

Kibun_wa_mou_senso metronさんコメント情報より
安珠のデジカメ動画日記 矢作俊彦の巻

 矢作 「今年ね、映画作るんだよ。僕がプロデューサやるんだ。監督はまだ誰がやるか決まってないんだけど。(略) 一番売れた僕の小説はあの漫画の100分の1しか売れてない」

気分はもう戦争 - 関心空間

舞台は20××年、冬の博多。
果たして現実のものとなるのか.....。

 この映画化の情報はまだネットにも他には出てないみたい。上のリンクの矢作インタビューで本人が語っているのみ。インタビュアーが自分も出演したいと言っているので、きっとアニメでなく実写でしょう。戦車出せるのか??金かかりそう。

 あと、矢作俊彦は、「秋の京都」と言ったがグランドプロデューサー(誰?)がフグが好きで「冬の博多」になったとのこと。なんじゃ、それ。歴史的に近代、戦争のなかった京都で戦争が起こる、という方が、迫力ありそうなのに、、、。それはそうと敵は、映画では北朝鮮にでもなるのかな?? 

矢作 俊彦/大友 克洋『気分はもう戦争』(Amazon)
矢作 俊彦/藤原 カムイ『気分はもう戦争』(Amazon)
 あれ、もしかして映画化はこの藤原カムイ版?? 実はまだ読んでないので、私にはわかりません。インタビューの口ぶりでは、大友版と思いますが、、、、。

・06.08/02追加 当Blog記事 ■矢作俊彦 小説『気分はもう戦争』! Monkey Fight 必読!!

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2006.05.22

■次世代DVD(Blu-ray,HD DVD) v.s. ハードディスク

PC処世術 - 雑感:次世代DVDの規格争いはビデオテープの再現か

 テラバイト級HDDが安価に売られ、PCへの搭載が常識となる頃のことだ。その時代における30~50GBのメディアのインパクトというのはどんなものだろうか。それは、かつてHDDが1GB程度だった頃のフロプティカルディスクとMD-DATAの中間くらいの容量に相当する。

 興味深い定量的な分析をされている「PC処世術」さんのサイトを読みながら、次世代ハイビジョン光ディスクについて考えていたのですが、以下グラフで分析してみました。

Dvd_vs_hdd01■結論 録画用途の次世代DVD購入は待った!

 僕が次世代DVDを買うとしたら、それはPCで録画したハイビジョン番組をメディアにムーブして保存するか、ハイビジョンハンディカムで撮ったHDムービを保存する用途だ。動画以外にこれだけの大容量メディアを必要とする用途は存在しない。
 んで、当然対抗馬はハードディスクになるわけで、その比較をしてみた。

 まず最近のハードディスクと次世代DVD(データ記録用)の比較。それぞれの値段はグラフに記した。
 なんと今の値段ではハードディスクが安くって、ハイビジョン映画(25GB/本と仮定)を何本保存しようが、ついぞランニングコストは逆転しない。もし仮にハードディスクの方が耐久性が心配で(プロテクトの関係で可能かどうかはわからないが)、常に2台にバックアップしたとしても92本以上の映画を残さないと逆転しない。

 ではそれぞれの価格が安くなる2010年を想定しよう。
Dvd_vs_hddcost Dvd_vs_hdd_2
 ハードディスクのコスト低減は劇的だ。1994年から比べると、およそ10年で3桁値段が下がっている。上左のグラフは縦軸がLOGスケールなのだけれど、ほぼ直線近似で低下している。少し最近落ち方がゆるくなっているので、2010年を甘めに30円/GBとする。

 で、次世代光ディスクをハード5万円、ディスク500円(20円/GB)と仮定する。
 結局これでも約200本まで逆転しない。バックアップをとるとして42本でやっと逆転である。(次世代光ディスクの値段の仮定が高すぎるかも。)

 次世代光ディスクメーカは、目先の自分の利益だけ考えて、ユーザ無視で方式の統合を決別したけど、そんなうちわもめをしている場合でなく、ハードディスクにどう勝っていくかをいっしょに考えないといけなかったのでは?
 オーディオと同じくMDがいつの間にか駆逐されたように、ビジュアルもHDの時代へ移行してしまうのではないか。

 とにかく我々ユーザは、それぞれの価格を見ながら、買い時を狙いましょう。

■参考データ
・HD値段推移 スタパ斎藤氏のコラム(ハードディスク総合サイト)より
価格.com 250GB外付けハードディスク価格 最安 約12000円
ITmedia D Shopping:HD DVD/Blu-ray Discメディア 価格  最安 約1500円

■関連リンク
PC処世術 - ハードディスク [HDD] コストパフォーマンス 市販されているHDDの賞味期限
・当Blog記事 CeBIT 2006他 ハイビジョン光ディスク関係リンク

AV Watch次世代DVD関連
Blu-rayドライブをAV的に活用してみる
エプソンダイレクト、Blu-rayドライブが選択可能なPC
ロジテック、PC用内蔵/外付けBlu-rayドライブ4モデル
アイ・オー、PC用内蔵/外付けBlu-rayドライブ2機種
松下、PC用Blu-ray Discドライブを6月10日発売
TDK、ベアタイプの記録型Blu-ray Discを発売
Blu-ray/HD DVDソフト 発売日一覧

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2006.05.21

■新刊メモ 『壊れかた指南』 『自己・あいだ・時間』
  『ガメラ創世記 -映画監督・湯浅憲明-』
  『黒澤明vs.ハリウッド―『トラ・トラ・トラ!』その謎のすべて』他 

筒井康隆著『壊れかた指南』(Amazon)

 全30篇の7年ぶり短篇集。元祖SF御三家の中でこの方だけは今もギラギラと現役。素晴らしい。あれだけのイマジネーションコントロールできる脳みそには驚嘆。この短編集の出来が楽しみです。

唐沢俊一著『ガメラ創世記 -映画監督・湯浅憲明-』(Amazon)

 1994年に行われたロング・インタビューをもとに構成されているとのこと。『大怪獣ガメラ』が昭和40年11月27日誕生、僕の世代はこれの直撃を受けています。『ゴジラ』よりやっぱ怪獣は『ガメラ』です(^^;)。樋口版がクールだったし。
 近所の友達んちの8mm映写機のカタカタまわる音と、8mmフィルムの『ガメラ』が映し出したセンス・オブ・ワンダー。あの記憶がなかったら、こんなBlogを作っていない別の生活があったような気がします(^^;) それにしても、この表紙の湯浅憲明監督、野田大元帥に似すぎ(笑)。

Kurosawa_vs_hollywood_2 田草川 弘『黒澤明vs.ハリウッド―『トラ・トラ・トラ!』その謎のすべて』(Amazon)

 『トラ・トラ・トラ!』をめぐる黒澤伝説はいろいろと今までも読んできたけれど、結局いろんなことが謎のままだった。今回、これだけで一冊のルポがまとまった。ついに謎が解き明かされる??凄くワクワクします。
 幻の絵コンテも収録されています。知的で骨太、そして繊細なアクションが撮れる杞憂の監督 黒澤明。この人の大戦争映画が撮られていたらと想像すると、それだけで脳内にアドレナリンが析出します。

紀伊國屋書店BookWebより
 1章 桁外れの男たち     2章 天の召命
 3章 クロサワ・マジック    4章 シシュフォスの苦行
 5章 クロサワのこだわり   6章 ドキュメント 破滅への秒読み
 7章 検証その一 思いこみの謎 8章 検証その二 診断書の謎
 9章 検証その三 契約書の謎

文藝春秋社(公式HP)

木村 敏『自己・あいだ・時間―現象学的精神病理学』(Amazon)

 分裂気味な本と映像のシャワーでワヤクチャなこの頭を、こんな本で時々鎮めてあげないと、、、(^^;)。 『時間と自己』は名著でした。

浅尾典彦
『アニメ・特撮・SF・映画メディア読本 ジャンルムービーヘの招待』
(Amazon)

浅尾典彦氏のサイト 夢人塔
池田憲章氏 絶賛!! 2006年4月発売中!!。

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2006.05.20

■攻殻機動隊 SAC - Solid State Society 映像

Sac_sss_1
YouTube - GitS: SAC - Solid State Society

 東京国際アニメフェア2006のProduction IGブースの紹介映像をビデオカメラに収めた映像がYouTubeに公開されています。
 僕は茅葺総理、SAC 2nd GIGの最終話で好きになったので、活躍が楽しみ。荒巻の作画もキレが良いので、期待は高まります。

 それにしても、本当になんでもあります、YouTube。法的措置はどうなるのでしょう。これだけ荒い映像だと、本来DVDとかソフトを買うファンは我慢できないわけで、購買行動には広告となって、むしろプラスに働く可能性も否定できません。

 あとアニメータの仕事を映像で紹介して、そのステータスを高めるのには、もしかしてこれって、かなり有効?? 現に沖浦啓之とか本田雄の名で検索すると、原画担当シーンが観られます。これって、画期的。原作者やプロダクションにとってはマイナス、クリエータであるアニメータにとってはもしかしてプラスに働くのかも。

 動向を見守りましょう。

◆関連リンク
・当Blog記事 攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX Solid State Society

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■「広告批評」[特集 FREEDOM] 大友克洋コンテ

Koukoku_hihyou_freedom広告批評
magazines 最新2006年5月号 [特集 FREEDOM]

 日清カップヌードルのCM、大友克洋原作のFreedom Projectの特集。カラーの見開きからスタッフインタビューまで充実しています。

 まだ公式サイトでも公開されていないスタッフについては、mcity.orgさんの「FREEDOM」にこの雑誌からの引用が載っています。映像部分は下記。

クリエイティブディレクター/プランナー/ディレクター:高松聡(ground)
コンテ/キャラクター&メカデザイン:大友克洋
アニメーションCG:森田修平+サンライズemotionスタジオ
美術/メカ設定:小倉一男・渡部隆・末武康光
シリーズディレクター:森田修平
シリーズ構成・脚本:佐藤大・千葉克彦・野村祐一

 CGはOVA『カクレンボ』の森田修平監督。CMディレクターは「ポカリスエット<宇宙CM>で世界初となる宇宙ステーションでのCM撮影を敢行」した高松聡氏。あとシリーズ構成・脚本は、『攻殻機動隊S.A.C.』とか『エウレカセブン』の佐藤大氏。
 大友克洋はフィルムには監督としてタッチしているわけでないのですね。質感が大友作品と違いすぎるので、納得。

 この雑誌の佐藤大氏インタビューに、Freedom Project』は秋から3ヶ月に1本、30分づつ3回のDVDリリースがある、との情報。CM展開だけでなく、OVA企画も連動しているということです。楽しみに待ちましょう!

◆関連リンク
・佐藤大氏のフロッグネーションFROGNATION NEWSに『広告批評』の紹介有
・『カクレンボ』(公式HP) 予告篇
『カクレンボ』OVA発売記念・YAMATOWORKSインタビュー
YAMATOWORKS『カクレンボ』(Amazon)
・デジスタ 森田修平氏「礫(REKI)」 これ観たことあります。瓦礫が動くやつ。
・デジスタ クリエイティブ・ディレクター高松 聡の広告空間
・当Blog記事 大友克洋のアニメCM カップヌードル FREEDOM-PROJECT

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2006.05.19

■三島由紀夫賞 古川日出男 『LOVE』受賞!

三島由紀夫賞(新潮社 公式HP)

『LOVE』 古川日出男 祥伝社 二〇〇五年九月刊
・第十九回三島由紀夫賞は上記の作品に決定しました。
・なお、選考結果は、「新潮」七月号誌上(六月七日発売)に掲載いたします。

他の候補作品
『ポーの話』 いしいしんじ 新潮社 二〇〇五年五月刊
『どうせ死ぬ身の一踊り』 西村賢太 講談社 二〇〇六年一月刊
『少女@ロボット』 宮崎誉子 新潮社 二〇〇六年二月刊
恋愛の解体と北区の滅亡 前田司郎 「群像」 二〇〇六年三月号

選考委員 筒井康隆 宮本輝 高樹のぶ子 福田和也 島田雅彦

三島由紀夫賞に古川氏、山本周五郎賞は宇月原氏(Sankei Web)

 第19回三島由紀夫賞(新潮文芸振興会主催)は18日、古川日出男氏(39)の「LOVE」(祥伝社)に決まった。古川氏は福島県生まれ。「アラビアの夜の種族」で日本SF大賞などを受賞している。

 古川日出男が受賞!!この三島賞、 第16回 『阿修羅ガール』 舞城王太郎、第17回 『ららら科學の子』 矢作俊彦ということで、好きな作家がとっているので、なぜか嬉しいです。古川日出男の新しさが認められたということなのでしょう。(、、、そういえば最近、舞城王太郎って新作が出てないですね)
 この勢いで次は、三島由紀夫『近代能楽集』をモチーフとした神山健治『S.A.C. 2nd GIG』の受賞を祈らずにはいられません。初のアニメ作品の受賞はいかがですか?(^^;) >>筒井康隆殿?。 福田和也氏は観ていそうだなー。

 このニュースで古川日出男関連記事のアクセスが増えるかと期待(^^;)。でも今日のアクセス解析によると、「古川日出男 LOVE」で当サイトへ来た方はわずか7件。「大友克洋 カップヌードル」がいまだに25件もあるのをみると、文学賞への注目度の低さがよくわかります。がんばれ、文学(^^;)。

◆関連リンク
三島由紀夫賞 - Wikipedia
更月日記さんの『ユリイカ10月号』 「個別の11人」のモチーフとなった『近代能楽集』についての神山コメントが引用されています。
・舞城王太郎関連 REALCOFFEE
・当Blog記事 古川日出男 『LOVE』 『爆笑問題のススメ』 古川日出男の巻 『ロックンロール七部作』 『ボディ・アンド・ソウル』 『ベルカ吠えないのか』 矢作俊彦受賞

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2006.05.18

■9・11ペンタゴンの飛行機激突映像 公開
  9/11 New Pentagon Footage

911newpentagonfootage
YouTube - 9/11 - New Pentagon Footage (May 16th, 2006)

TUFニュース速報

 2001年の同時多発テロで、旅客機がアメリカ国防総省に激突した瞬間を捉えた監視カメラの映像が公開されました。
 2001年9月11日、アメリカン航空77便がワシントン郊外にある国防総省・ペンタゴンの建物に激突した瞬間をゲートに設置された監視カメラが捉えたものです。このテロでは、乗客・乗員77人とペンタゴンで働いていた職員など合わせて189人が死亡していますが、現場に機体の残骸がほとんど残っていなかったことなどから、実際には飛行機は当たっていないのではないかなどといった陰謀説も囁かれていました。

 この映像、静止画像を1秒に2コマほど撮影している自動スチルカメラの映像のようで、コマ間隔が荒くて、何が起きたのか、よくわかりません。ここにも飛行機の姿は映っていない。単にコマのタイミングと合わなかっただけかもこれないので、これを持って上記疑惑の証拠フィルムというわけでは全くありません。(右の方の白い光はレンズの傷か、ハレーションのようだし。) 疑惑はトンでもの気配が濃厚ですが、、、。

 専門領域の近い(??) ミのつく職人さんや、せのつく職人さんの意見をうかがいたいところです。

◆関連リンク
・その疑惑についての当Blog記事 虚構と戦争 911とP2の航空機映像
ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記で紹介されている911の映画 『ユナイテッド93』はなかなか興味深い。

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2006.05.17

■BMW Concept Coupe Mille Miglia

Bmw_conceptcoupemillemiglia01
コンセプトカー「BMW Concept Coupe Mille Miglia」を発表

(Automotive Technology - Tech-On!)

Bmw_roadstar328 「Z4」および1936年から生産されレースで活躍したロードスター「328」からヒントを得て開発された2シータークーペ。

 ロードスター「328」というのは、Mille Miglia roadster。右の写真のようなクラシックカーです(さらにグーグルイメージ検索)。たしかにイメージを継承していますね。
 それにしても、コンセプトカーの銀色とこのある意味無骨なデザインがなんともドイツ風といった佇まいを醸し出しています。

Bmw_conceptcoupemillemiglia02 BMW unveils stunning Mille Miglia Concept Coupe - Autoblog
 Official Press Releaseとたくさんの写真がここで公開されています。
 デザイン画とコンセプトカーの製作現場のスナップがなかなか興味深いです。

 デザイン画の方がかっこいいのは、良くあるのですが、こうしてみると、かなりデザインを実物は再現できていますね。

◆関連リンク
オートアート1/18スケールBMW 328 ロードスター No.27/1937 ルマン1/18スケールBMW 328 ロードスター (楽天)

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2006.05.16

■筒井康隆原作・河崎実監督 『日本以外全部沈没』

この秋、日本以外全て消える…傑作パロディ『日本以外全部沈没』ミニ記者会見!
作品紹介『日本以外全部沈没』 (CINEMA TOPICS ONLINE)

Nipponigaizenbu  映画「日本沈没」出資社のTBSテレビからは、「『日本沈没』よりこの映画がヒットしたらどうしますか?」との質問が。これに対し河崎監督は「本当にすみません!」と恐縮の姿勢を見せた。
 しかし原作者の筒井康隆先生は「そっちがまずヒットしないと、こっちが不利だよ!」とあおる場面もあり、まさにパロディ映画らしい、笑いの絶えない会見となった。 (略)
  クランク・インは5/7、クランク・アップは5/17の予定。2006年秋、シネセゾン渋谷にてレイトショーほか全国順次公開

 これ、今日、一番インパクトのあったニュース。筒井康隆のこの悪乗りな感じがいいです。巨匠健在なり。それにしても引用文のTBSの質問は傑作。河崎実監督にはもう少し素敵な切り返しを期待したいところです。
 あと撮影期間が10日間というのも、このくらいの規模(って制作費も知らないけど(^^;))の映画だと、当たり前なのか??これで本家よりヒットしたら、これまた快挙ですね。

「日本以外全部沈没」胸張って便乗(goo映画ニュース)

小松氏の快諾も得た河崎監督は「胸を張って便乗。二番せんじでぶっ飛んだ物語を描く」と意欲を語った。

日本以外全部沈没 - 電子書店パピレス
 ここに小説の抄録があります。むかーし読んで今は記憶の彼方です。とにかくタイトルのインパクトが強烈だったもので、、、。
 あと以前、作家上田早夕里さんのブログNomadic Noteで、「『日本沈没』の文庫……残念ながら「○○以外全部○○」の併録案は、諸般の事情により流れたようです」と堀晃さんがコメントを書かれていました。小説のカップリングはなくなったようですが、DVDではこの2本の映画を同時収録する粋な計らいを期待したいところ(^^;)。

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2006.05.15

■2006年NHK技研公開

 2006年技研公開「TOP」 例年のイベントが開催されます。
 東京近郊の映像マニアの皆さんは、楽しみですね。地方在住者は皆さんのレポートを楽しみに待ちましょう。この記事にトラックバックいただけると、嬉しいです。shamonさんが行かれる予定とのこと。
>shamonさん、トラックバックをよろしくお願いします(^^;)。 

5/25-28 AM10:00-PM5:00

◆展示 (興味のあるところを抜粋)
究極の高臨場感システムの実現-スーパーハイビジョン-
・高臨場感システムと人間科学
・スーパーハイビジョンシステム
・スーパーハイビジョンの素材伝送
・スーパーハイビジョン放送

◆5/25 研究発表
(1) 超高感度HARP撮像管の研究開発とその応用
(2) 映像伝送のための無線アドホックネットワーク経路選択手法の検討
(3) 地上デジタル放送の全国あまねくを目指した放送波中継技術
(4) 広視野・大画面映像の視野角と臨場感
(5) 視聴環境適応型放送サービス AdapTV
(6) フレキシブルフィルム液晶ディスプレイの開発

『究極の高臨場感システムの実験』3年後の達成目標
 スーパーハイビジョンについては、人間科学的なアプローチにより信号方式の諸元を決定し、標準化を進めます。撮像・表示・記録・圧縮・伝送装置に求められる性能を明らかにするとともに、これらに必要なデバイスと試作機器を開発します。
 空間像再生型立体テレビについては、限定された視域ながら、画質が標準テレビ並みの撮像・表示システムを試作します。

 「空間像再生型立体テレビ」って、SWのレイア姫シーンのような映像ですよね。これを3年で実現とは頼もしいです。一般に達成目標として、コミットメントできるということは、研究室では既にかなりいい線まで行っているのでしょうね。楽しみ、楽しみ。

<5/26追記>
2006年NHK技研公開レポートリンク
 「スーパーハイビジョンの超臨場感とアールキューブ」

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2006.05.14

■HDR(High Dynamic Range) Carnation

Carnation
 先日、紹介したHDR(High Dynamic Range)写真に、はまって、今日も撮ってみました。これが思いのほか難しく、たくさん撮っても異様な感覚の写真に仕上がるのは極少数。

Plant02 で、今日紹介するのは、またまた手近な自分ちで撮った母の日のカーネーションと工場萌え関係。クリックすると拡大写真が見えます。こんなカーネーションもらったら、うなされそう(^^;)。
 実は少し近代的な建物も撮りにいったのだけれど、失敗しました。 難しい、でもはまります。

 作成方法は、上記のリンクを参照してみてください。
 今回の掲載写真は、Photomatix Basic 1.0で作成しておいて、画像ソフトでコントラストと明るさを調整してあります。

◆関連リンク
Flickr: The HDR Pool(ページどんどん増殖中。見ごたえ充分)
・作成ソフト Download HDR photo software Photomatix Basic 1.0 

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2006.05.13

■小松崎茂原作 岡村天斎監督
 『ProjectBLUE 地球SOS』予告篇

Chikyu_sos
「ProjectBLUE 地球SOS」(公式HP)

小松崎茂オフィシャルサイト ミュージアム 空想科学 
予告篇(バンダイチャンネル)
アミューズ、「ProjectBLUE 地球SOS」をアニメ化(AV Watch)

原作 小松崎茂  監督 岡村天斎
アニメーション制作  A・C・G・T
CG制作 TRILOGY FUTURE STUDIO
  「攻殻機動隊」「銀河鉄道物語」
ハヤカワ文庫 東野司著 小説版 今秋発売予定

7/2(日)23:00~24:00 AT-Xプレミア枠にて放送開始!
  (リピート7/8(土)17:00~18:00)
06.夏からOVA 6巻発売予定。
6/25(日)23:00~「ProjetBLUE 地球SOS 放送直前特番」放送
バンダイチャンネルにて第1話(前編)ネット先行試写会決定!

 小松崎茂のレトロなメカのSFアニメ。と聞くと、小松崎ボックスアートに憧れた世代としてはときめきます(^^)。ただ予告篇を観ると、あの懐かしい未来の光景がうまく表現されていないように思えてしまいます。絵の具のあのタッチをアニメで再現するのは、やはり難しいのか、、、。(デザインも今風に作られすぎていて、いまいち??)

 何はともあれ、本編の登場を克目して待ちましょう。

◆関連リンク
小松崎茂著『地球SOS―超特作科学冒険物語』(Amazon)
小松崎茂の本(Amazon)

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2006.05.12

■世界最古(?)のハードディスク The First Hard drive

The_first_harddisk
What is going on ? - archives July, 2004

30年前のハードディスク
どうやらホンモノらしい。

元ネタはこちら→Gizmodo

 このネタ、大好きです。なんかかっこいい。まるで今のPCカード型ハードディスクと比較すると、原始時代の石のお金とキャッシュカードみたい(?)。
 この大きさで数メガバイトの容量、エアポンプでヘッドのピストンを駆動したとか書いてあります。現在のテラバイトなハードディスクを思うと、技術の進歩は素晴らしい。
 このおじさんのふところにハードディスクの特許使用料が入って幸せになられたことを祈らずにはおれません(^^;)。

5/13追記◆関連リンク
・世界最古のHDDは、1956年にIBMが発売した「IBM 305 RAMAC(Random Access Method of Accounting and Control)」だそうです。でもこっちの方がダイナミック。
・IBMの記憶装置の歴史マップによると、このタイプ(ウィンチェスター型)は1973年に登場したらしい。引用した写真もIBMか??

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2006.05.11

■ハイビジョン エンターテインメントマシン PS3

 あちこちで取りあげられていますが、うちのBlogの視点でいくつか引用とコメントです。

SCEのスタッフに問いたい -「あなたはPS3を発売日に買いますか?」
  Slash Games 2006/05/10

 20GBモデルが62,790円(税抜き59,800円)、60GBモデルがオープンプライスとなる。11月17日発売、北米の価格はそれぞれ499ドルと599ドル。20GBモデルではHDMI端子や無線LAN機能など、いくつかの機能が省略。(略) 為替レートなどから推測すると、62,790円と約75,000円。(略)

 SCEの看板タイトル「グランツーリスモ」シリーズの最新作プロトタイプ「グランツーリスモHG」。(略)
 本タイトルはPS2版「グランツーリスモ4」をベースに、PS3のビジュアル性能にあわせて移植を行ったもので、1,920×1,080ドットのプログレッシブ、60fpsで表示されている。(略)
 プロトタイプの映像情報について、「グランツーリスモ4」に比べると12倍、一般的なHDカムと比べても3倍の情報量を持つ。

 いくらブルーレイディスクプレイヤーが付いていても、この値段ではゲームをほとんどやらない僕は、ちょっと手が出ない。エンターティンメントコンピュータとしても、MAC miniが充分買えてしまうこの値段は高すぎる。
 ホームコンピュータのキラーコンテンツは、今のところ、ハイビジョンレコーダ機能だと思うけれど、このハードディスク容量とブルーレイが録画レスでは、それも望めないし、きっと売れないだろう。売れなかった時、ハイビジョンレコーダ機能をあと1万円くらいで追加するというのが作戦じゃないのかな。でもそんなのコストが成立しないか、、、。

 1,920×1,080ドットのプログレッシブ、ハイビジョンハンディカムの3倍の情報量というのは早く是非観てみたい。というわけで動画へのリンクだけど、、、。

これがPS3対応ゲーム・タイトルの動画だ - デジタル家電 - (IT PRO)
Ps3_games

 キレイな動画を観たいが、リンク先を含め、ウェブでハイビジョンでを実現しているところは今のところない。残念ながら会場でしか観られないというわけ。公式HPにも静止画だけ、しかもなさけないことに340×190という小さい画像。本当にハイビジョンの衝撃をアピールしたいなら、ブロードバンド時代、手段はいろいろあるのに、なんとも勿体無い。

 リンク先のサイトで観える動画で凄いと思ったのは、タイガー・ウッズがリアルタイム処理でコントローラによって操作されている動画。これ、ハイビジョンだったらなかなかの衝撃だと思う。

 あと6軸センサで、アヒル隊長が動く動画もそれなりに楽しそう。

「PS3は買ったその日から進化する」と久多良木氏 - デジタル家電 - (IT PRO)

Ps3_card_game 久多良木氏
(略)特に気に入っているのはカード型ゲーム「アイ・オブ・ジャッジメント」。(略) カメラの「Eye Toy」を使ってどんなカードか認識するだけではなく,そのカードによって新しい世界を表現するところに面白さがある。いろいろなアプリケーションの可能性があるだろう。
(略) あの発想を別の用途に生かせば,今までのPS2とは違う世界が開けるという期待がある。今はVGAのカメラだけど,あれがHDカメラになったらどんなことが実現できるか。認識対象がカードではなくなり,別のものになったら何に使えるか。子供が思いもつかない物体を置くと突然,魔法のように何かが浮き上がって表示されるとか。

—— 仮想の世界とリアルの世界の融合ということでしょうか。

 実はゲーム機より、このおじさんが語るコンセプトの話を読むのが好きだったりする(^^;)。CELLのグリッドコンピューティングとか映像の熟成機能とか。今回の発言は、ミックスド リアリティ(MR、複合現実感)。確かにハイビジョンで撮った実写にリアルタイムでCGが組み合わさったら、ドキドキする映像体験が実現するかも。SONYはハイビジョンハンディカムを持っているので、その映像を取り込めば、ハードとしては簡単に実現できる。

 ヴァーチャルリアリティ好きの私としては期待。ハイビジョンで光学迷彩を家庭で実現できます。

◆関連リンク
【詳報レポート】PlayStation 3は「4次元世界」を目指す
 ---SCEの久多良木氏:ITpro
(2006.3.15)
PS3を初披露 脳内電極埋め込み型 (虚構新聞)
1ヶ月遅れの今年12月3日に発売予定のこれは凄い!しかも価格は半分の3万4800円!(手術費込)。(^^)

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2006.05.10

■CGポータルサイト「CG SOCIETY」

Cg_society01
CGTalk - CG Choice Gallery: 3D Animation (公式HP)
CGクリエイターズ: CGポータルサイト「CG SOCIETY」 (紹介記事)

 Societyという名前から分かるように、コミュニティー的な機能が充実していて、1年間$29.95(USドル)で会員になれます。
 作品のクオリティ、充実度からかなり成功をしたサイト実例だと思います。

 CG SOCIETYというCG会員制サイトを紹介。観るだけなら会員になる必要はありません。プロからアマチュアまで、素晴らしいCGがたくさんあります。

 、、、僕も以前ちょっとStrataStadioというMACソフトで遊んでいたことはありますが、こんなレベルには月とスッポン。とにかくこのサイト、眼の保養で楽しめます。

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2006.05.09

■『日本沈没』試写会 1億円超豪華イベント

Nippon_chibotsu 「日本沈没」1億円超豪華イベント
  - スポーツ報知 -

 映画「日本沈没」(樋口真嗣監督、7月15日公開)の完成披露試写会が総予算1億円の超豪華イベントになることが26日、分かった。
 (略)その模様が札幌厚生年金会館、名古屋のセンチュリーホール、NHK大阪ホール、福岡の電気ホールのスクリーンに回線を使って生中継される。

Nippon_chibotsu_link_1公式HP (タイトルロゴが旧作と同じでなんか嬉しい)

 まだまだ先と思っていましたが、もうあと2ヶ月と公開が迫ってきました。
 少し古い情報ですが、面白そうなイベントの情報だったので、引用します。今のところ、公式HPにもイベント参加申し込み方法は載っていません。
 センチュリーホールなら行けるので、参加してみたいものです。

>>東宝宣伝部殿
 ブログでアピールしますので、是非参加させてください。、、、とここでアピール(しても駄目か、、、、(^^;) )

 公式ページで観える予告篇はなかなかかっこいい。豊川悦司の田所博士も、よりアクティブなイメージでなかなかいいですね。あと写真にある沈んでいく日本の衛星映像も、旧作へのオマージュとなっていて(?)、樋口監督の姿勢が気持ちいい感じ。公開が待ち遠しいです。

5/13追記 試写会リンク
・Google検索 「日本沈没 試写会」(いくつもあります)。
名古屋地区(CBC) ライバルを増やしてどうする!?

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2006.05.08

■日本昭和村のなつかし写真

 G.W.に近所のテーマパーク(というか道の駅?)日本昭和村へ行ってきました。

 そこで見つけたお土産(と言っても買ってない、写真で土産にしただけ(^^;))をいくつか紹介。クリックすると拡大写真がご覧いただけます。しぱし郷愁でゴールデンウィーク明け1日目の仕事で疲れた気持ちを癒してください。

Shouwa_mura01 Shouwa_mura02 Shouwa_mura03_1
 ホーロー看板のマグカップ、初めて見ました。こういうのが好きな人には、常識製品かもしれませんが、、、。あとマーブルチョコの広告は、僕ら世代にはめちゃくちゃ郷愁を誘います。これとセットで自動的に頭の中には、鉄腕アトムの主題歌が流れます。

Shouwa_mura04 Shouwa_mura05 Shouwa_mura06
 この紙風船とヘリコプター(ここのは商品名「スターヘリコプター」)も子供時代のクオリアを直撃。妖怪けむりも夏の風物として欠かせません。

Shouwa_mura07 Shouwa_mura08 Shouwa_mura09
 この右2点の駄菓子が、これまた我々世代の脳内に素晴らしいクオリアを生成してくれます(^^;)。フルーツマンボは懐かしさのあまり、買ってみましたが、素晴らしくまずい。でも、これをあきずに噛んでたんだよね、子供時代。いったい中味は何物だ??(実は若干記憶の中の味と違っていたので、昔の材料とは異なるかも。今じゃ禁止されているような合成○○料が使われていたのか?)

 ということで、ノスタルジーモードで帰ってきました。我々の世代ではこういうものが独特の幼児期、子供時代の雰囲気を想起させるアイテムになるのですが、後の世代ではこれに相当するものはどんなものになるのでしょうか。

 今の30代くらいの人には、ビックリマンチョコとかがそうしたクオリア生成アイテムなのでしょうか?今度、誰かに聞いてみようっと。

 クオリアの概念って、「本当に他人にも赤色は赤色として同じ質感で感じられているのか」という話がよく書かれていますが、それよりノスタルジーを誘うこうした駄菓子の持つ質感で説明された方が、実態として非常に理解できるような気がします。

◆関連リンク
まごころアートコレクション ホーロー看板アートマグ 6種セットホーロー看板マグカップ(楽天)
ホーロー看板美術館
地元のネタ! 駄菓子な世代
 フルーツマンボの詳細。これって、名古屋地区だけなのか!??

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2006.05.07

■BSアニメ夜話 / イノセンス Innocence

Innocence_e_conte_2BSアニメ夜話/イノセンス(公式HP)

5月4日(木) 23:00~
「イノセンス」 2004年 / 監督 : 押井守

 石川光久 、瀬名秀明、秋山貴彦、岡田斗司夫、
 氷川竜介、中川翔子、里匠

◆石川光久氏の語る裏話
Innocence_e_konte01_1 今回の『イノセンス』、絵コンテと動画等を紹介しながらの映像としての分析と、テーマについて、幅広く語られていて、アニメ夜話第六弾の中では一番楽しめた。だけど、個々の話題について、もう少し突っ込んだ議論が聞きたかったなー、というのは放送時間からすると無理な注文か。

 この左の絵コンテは、択捉のシーンについて、絶対的な情報量でカオスを表現するという押井守の指示を石川Pが自分のコンテに書き込んだ貴重な画像。一番上の択捉の文字に「エトロフ」とルビが振ってあるのはご愛嬌(^^;)

Innocence_e_konte02_1  この後は、絵コンテ、原画(沖浦啓之氏)と動画の映像を交えてわかりやすく語られていた。 
 右のバトーが少女を助けるシーンのエピソードは知らなくて面白かった。ここを欠番にする判断が出ようとしていた時に、沖浦氏の作画が元々3秒の予定を大幅に超えた28秒で完成、尺が変わってプロデューサ、監督泣かせのシーンだったとのこと。ここって、結構肝のはずなのだけど、欠番でもよかったというのは、どういうことなのか。確かに後で述べる岡田斗司夫氏の分析が映画のメインテーマなら無くてもいいかも。このシーンがあったばかりに少女の方に目が行った観客は、このメインテーマからはミスリードされるわけだし、、、。少女の気持ちは必要なくて、素子との再会だけが描けていればいいということ。

Innocence_okiura 素子が行ってしまうところの原画、セクサロイドから素子が抜けて、人形が崩れ落ちるところが原画と動画と実際の映画のシーンで紹介された。ここのシーン、人形の気持ち悪さとか表現されていて、アニメートとしてはなかなか良いけど、好きにはなれないところ。

 あと右は、沖浦アニメートっぽい動きのところ。
 こういう作画のクレジット表記をするところは、I.G.(or NHK)、素晴らしい。せっかくのアニメ分析番組なのだから、こういう機会に普段日陰のアニメータをどんどん前面に出してほしい。(と言ってもこういう番組の視聴者は既に沖浦啓之の名は知ってるか、、、、。)
 ここでは沖浦アニメートの特長とか、他の映画のシーンを複数放映して、その原画力をもっと語ってほしかったりする。(ここの作画の詳しい話は下記リンクにも載せたWEBアニメスタイルにあります)

◆氷川竜介氏のアニメマエストロ
Innocence_etrofu_dogs_1  ここは3Dと2Dを違和感なくみせるためのエフェクト処理について。
 だいたいは円谷英二が特撮でやっていたスモーク処理のようなものかと。特撮では実際に現場でスモークをたいて、ミニチュアに対して大気というか空気感を加えて、リアリティを出す手法らしいけれど、『イノセンス』でも同じ理屈になっているように感じた。
 3Dのディテイルの質感を大気の層に相当するぼかし(?)処理で遠近感を持たせ、2Dセルについてはペラペラなセルの質感を少し重層にする、といったところ。

 もうひとつエフェクト前後が放映されていたヤクザとバトーの銃撃シーンは、もっと凝っていて、この効果プラス銃の閃光の細かいエフェクト、といった感じ。これって、たぶんディジタル処理がひとコマづつ人手で施されているのでしょうね。ここにも良いアニメータと同質のセンスが本来要求されるはず。ここも誰がやってるか、クレジットすればいいのに。

◆岡田斗司夫氏のテーマ分析
 岡田斗司夫のプチクリ日記 「イノセンス」私的解読
 (イノセンスは寅さん(バトー)映画という指摘と、押井守ドS論が面白い)

 ここについては、上記リンクでご本人が語っているので、そちらをご覧あれ。
 恥ずかしながら絵の凄さにばかり目が行っていて、こういうテーマについては僕はノーチェックだったので、面白い指摘でした。(前作との関係や押井の映画の傾向から、言われてみれば、この分析、説得力があります。) (全編観直す時間がなく(こんな記事、書いてる時間があれば観えるのだけど(^^;))、一部観直してみた。)

 特に面白かったのが、ラストシーンの分析。(観てない方のために、一部伏字)
 このトグサの娘の持つ人形の中にも素子がいるのかもしれない、というバトーの想いが表現されているシーンだ、という分析。そうやって観なおしてみると、まさに下記のカット順に映画は終わっていき、このすぐ後にFollow Meの歌が流れるので、岡田テーマ分析のまさに具体的検証シーンと考えられる。ラストのバトーとガブリエルのカットはこのままの絵で15秒と異例の長さでひっぱっているし、なんといっても映画のオーラスのカット。
Innocence_last
 僕は娘と人形-バトーと犬の対比で、人と人形-人と犬の関わり方というのがテーマなのかな、とぼんやり思ってたのだけど、それなら間に入る人形のアップやFollow Meの歌はほとんど関係ないわけで、やはりここは、めめしいバトー君のシーンと観るべきかも。眼がサイボーグ化されていて表情がよめないけど、ここはガブリエルと同じ表情の眼で人形をみつめていると考えるのが妥当そう。そう想って観ていくと、すぐ後に流れるFollow Meの歌がバッチリ。

Follow Me歌詞 (Lyric: Herbert Kretzmer/Hal Shapey)
YOTABLOGUEさんより

Follow me to a land across the shining sea
Waiting beyond the world that we have known
Beyond the world the dream could be
And the joy we have tasted

◆蛇足
 今回の放映はNHK BS2。石川Pが語っていたように、ハイビジョンでしかその真価を発揮できない映像の分析を、よりによってNHKでも唯一ハイビジョン化されていないアナログBSチャンネルでやるとは、もったいない。是非ハイビジョンでやってほしかった。『イノセンス』はBSデジでも地デジでも放映されていないが、もうこれは次世代光ディスクのキラーコンテンツ(??)として、石川Pと某ソフトメーカが放映しないことで握っているとしか考えられません。 

◆関連リンク
shamonさんのひねもすのたりの日々 BSアニメ夜話「イノセンス」 
当Blog記事 ■沖浦啓之氏『イノセンス』の作画を語る
 WEBアニメスタイル アニメの作画を語ろうより。
・『ロマンアルバム 2501 イノセンス絵コンテ』(Amazon)
 これ、すでに絶版ですね。ほしかったー。
押井守 - Wikipedia

当BlogBSアニメ夜話 関連記事
カリオストロの城 ・『嵐を呼ぶモー レツ!オトナ帝国の逆襲』
『未来少年コナン』  ・『機動警察パトレイバー』
『銀河鉄道999』
第6弾 ・第4弾 ・第3弾 

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2006.05.06

■HDR(High Dynamic Range)写真

Hdr01
HDR(High Dynamic Range)写真
ニューヨークの市街地で撮影されたHDR写真集
         (What is going on ?さん経由)

 フェイクミニチュア写真に続いて流行しそうな、HDR写真という手法がPingMagで紹介されてました。
 露光量を変えて同じ場所を撮影した複数の写真を合成することで、ミョーにハッキリ・クッキリした画像が作れるんだそうです。映画"攻殻機動隊"の背景画みたい。

 この写真は、PhotoshopCS2や、ソフトウェアPhotomatixなんかで、作ることが出来るんだけど、合成された写真には、シュールで空想的な感じが生まれるんだ。(略)
 ある曇り日に僕は三脚を持って、東京のいろんな場所の写真をマルチ・エクスポージャーを使って撮ってみた。。(略)
 灰色の空は前よりももっと強調されて、建物の詳細はむき出しになった感じ。そして、僕はこの写真のシリーズを「ゴッサム・シティ東京」と呼ぶことにした。

 かなりインパクトのある写真です。Flickr: The HDR Poolの素晴らしい画像を観ていると時間を忘れます。幻想的。
 でもなんかちょっと昔のアメリカのポストカードの印刷に何故か色合いが近くって、懐かしい感じがするのも事実。

 これを工場萌え的画像や、ハイビジョンの動画に使ったら面白そうですね。
 あと過渡競争状態のデジカメでこんな写真が自動で撮影できるものを売り出したら、差別化技術になるのでは。基本的にソフトウェア処理の技術なので、即発売できるのではないだろうか。ほしい。

 あとCGの世界では、ハイダイナミックレンジ(HDR)レンダリングというのがわりと昔からあるみたい。

◆自作したい人のために
Flower_up_3  この写真を作成するPhotomatixというソフトがあります。Download HDR photo software Photomatix Basic 1.0でダウンロードできます(Basicはフリー)。
 「File - Open」で融合したいいくつかの写真を開いておいて、「HDRI - Generate HDR」を実行すると、たちまち自分で作成できます。私の稚拙な実例は右。いい被写体がなく、なんか普通の写真でごめんなさい。

 これ、とりあえず露出を3段階変えたもので撮影したのだけれど、ホワイトバランスを変えるのも有、かも。この写真と通常撮影のものと比べると、あきらかに色が鮮やか。下手なカメラマンでもなんかうまくなったような気がするくらいのハッとする鮮やかさが出ています。

◆関連リンク
Flickr: The HDR Pool(451ページ有。見ごたえ充分)
Hdr02
 引用した写真は下記リンクからです。
 Midtown Shadow airplane and building shibuya backstreet PragueBuilding

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2006.05.05

■豊田市美術館 ヤノベケンジ他 秘密基地 Secret Base + 内なる子供

Survival_system_train
ヤノベケンジ《サバイバル・システム・トレイン: Survival System Train》
+榎忠《秘密基地 You’re on call at the “HUSH-HUSH”》

Survival_system_train02_1秘密基地 Secret Base (豊田市美術館 公式HP)

 先日、お伝えした展覧会に行ってきました。
 サバイバル・システム・トレインが観れただけで大満足。これって、豊田市美術館の収蔵品ということなので、今後、常設展示されることを望みます。

 今回の展示は、榎忠(えのき・ちゅう)氏(プロフィール)の銃の展示とセットで、上記のような雰囲気を全体で作ってありました。なかなかものものしい感じ。僕の好みからだけ書くと、銃がリアルすぎて、子供の秘密基地という雰囲気とは少し違ってた。これだけリアルな銃が並ぶと、遊びというよりまがまがしさが前面に出てきてしまう、という感想。
 右の写真が入場する入口からのショットですが、この後、会場へ入っていくと大量の銃器が目の前に広がり、なかなかの迫力ではあります。

Survival_system_train03  でも僕は、サバイバル・システム・トレインをやはりずっと観ていたくなった。このプロポーションとつなぎめ等のデテイル、たまりません。今回、中にはアトムスーツを着たトらやんが着座していたが、代わってやりたいくらい。

 何故好きなのか? レトロフィットな機械へのノスタルジー? 廃墟を髣髴とさせるテクスチャ? まるっこい雰囲気? 何が決定的に訴えてくるのかわからないけれど、このイメージがとにかくいい。

Torayannko004_1  この展示スペースで昨年、ジャイアント・トらやんが火を噴いたわけだけど、今年はVTRでその情景を映していた。上映作品は下記の3作品。PLAY STATION 2は、神戸でのイベントを中心に構成。

1.PLAY STATION 2
  2006,12分20秒 制作:青木兼治,榎忠
2.妄想砦のヤノベケンジ
  1992,9分 制作:石橋義正
3.キンダガルテン G-TRYのひみつ
  2005,11分15秒 制作:青木兼治,ヤノベケンジ

 右の絵は、じっと見入る父親を待ちくたびれたうちの子が描いたトらやん女ヴァージョン。

内なる子供 (豊田市美術館 公式HP)

国内外の作家たちによって表されたこども像約80点をとりあげます。心象のありかともいうべき、さまざまなこどもの像をとおしてアーティストの心のうちを覗き、そこに住みついている〈こども〉を見つけ、また皆さんのなかにいる〈こども〉とも出会っていただきたい展覧会です。

 奈良美智(《Dead Flower》)、会田誠、荒木経維とかの子供を対象とした作品展。

Kato_izumi_01_1  圧巻だったのは、加藤泉という作家の作品。ここ(藍画廊 加藤泉展)とかここ(GALLERIA CHIMERA )で作品が観えますが、この凶暴さがなかなか凄い。
 ネットで見つけたオブジェ作品の写真が左。
 どうですか、このまがまがしさ。

 あとルーマニア出身の彫刻家コンスタンティン・ブランクーシ中澤 英明、クリスチャンボルタンスキー(Christian BOLTANSKI )(GOOGLE IMAGE)とかが好みでした。こういうたくさんの作家の作品を一同に観えるのっていいですね。堪能。

◆関連リンク

・『iPodでアートを持ち歩こう!ART STAR:ヤノベケンジ「KENJI YANOBE」』
(Amazon)

・『ドキュメント子供都市計画
』(Amazon)

・作品集『ヤノベケンジ1969‐2005』
(Amazon)

はてな - 加藤泉、ドイツの画廊 Murata&friends 略歴
湯沢 英彦『クリスチャンボルタンスキー―死者のモニュメント』 水声社

 

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2006.05.04

■BSアニメ夜話/王立宇宙軍~オネアミスの翼
  ROYAL SPACE FORCE- Wings of Honneamise

BSアニメ夜話/王立宇宙軍~オネアミスの翼(公式HP)

5月3日(水) 23:00~
「王立宇宙軍~オネアミスの翼」 1987年 / 監督 : 山賀博之
 
[出演] 江川達也、神山健治、古厩智之
岡田斗司夫、氷川竜介、中川翔子、里匠

 まさにこの映画に魂を込めた岡田斗司夫がいるので、なんかいつになくしゃべりにくそうな気配を感じたのは僕だけでしょうか(^^;)。しかも前半盛り上がりすぎて、後半は結構展開が厳しくなってきた、という雰囲気。
 しかし江川達也氏がしっかり言ってくれました。山賀監督を前面に出しての質問と言う形で。リアリティを主題にしたのに、当時のガイナックスの面々が持っていた地が出ていないのではないか?もっと熱気とか情熱とかがリアリティとして表現できたのではないか?という突っ込み。

 僕は『王立宇宙軍』って、劇場で一回観た限りで、その後、見直していない。リアリティ前面であまりにドラマ性がなく、しかもその主題にも乗り切れなかったので、再見する気持ちが盛り上がらずに一回こっきりになっている。

 そこんところの違和感をうまく江川氏が突っ込んでくれたと思ってみてました。

 ただその時の岡田氏の反応がとても興味深かった。あれだけ真剣な雰囲気で考える姿は今までこの番組で観たことがないくらい。回答は山賀はあれが地だ、というもの。
 そこでさらに突っ込んで聞きたかったのは、何故岡田氏にとってこの一本が生涯一本と決めた映画なのか、そして何故それが徹底したリアリズムを狙ったのに当時のスタッフと岡田氏周辺のリアルな熱気(学園祭前日)が画面に表現されていないか、というところ(当然、僕は直接、それを知らないのだけど、、、)。リイクニと宗教の関係とかと合わせて、そこらをもっと聞き出してもらいたかったと言うのが、今回の感想。どっかインタビューとかでここらを語っている記事はないのでしょうかね。知りたい。(この作品が企画デビュー作でその後、何本か映画を企画もしくはプロデュースしてほしかったという意味で、何故生涯一本なのか知りたい。) 

 ご本人のBLOG岡田斗司夫のプチクリ日記には、「イノセンス」私的解読はありますが、『王立』については触れられていません(イノセンスはバトー寅さん映画という指摘と、押井守どS論が面白い)。

◆蛇足に僕の感想
 生活観とかドラマ性を廃したリアリティということでアニメでは当時画期的だったかもしれないけど、既に大友克洋の漫画がそれを数段上のレベルで実現していたので、なるいと感じた記憶。打ち上げシーンも、サターン5のNASA実写映像のコピーとしてみえてしまった。(そりゃ、庵野作画でブローアップはされていると思うけど、狙った感動の質が同一なので、新鮮味を感じなかったわけです))

◆5/4追記
 アニメ夜話『イノセンス』で、岡田氏が語っていた3D CGアニメのリアリティについて、メモ。「フィギュアの世界でもリアリティなフィギュアを作れる人はいるが、それを魅力的なものにできるのは100人に1人。」 『王立宇宙軍』で江川氏が言いたかったのはまさにそこでは。
 僕らが観たかった『王立』はリアリティをクールに追求した映画でなく、リアリティ+魅力(作り手のリアル追求以外の想い)を表現した作品であったはず。その回答が番組で語ってほしかった部分なのだった。

◆関連リンク
GAINAX NET|王立宇宙軍 オネアミスの翼
王立宇宙軍~オネアミスの翼 - Wikipedia
<ファンサイト>
王立宇宙軍 オネアミスの翼映画監督・山賀博之を勝手に支援するHP
WWF 『王立宇宙軍という映画』

当BlogBSアニメ夜話 関連記事
カリオストロの城 ・『嵐を呼ぶモー レツ!オトナ帝国の逆襲』
『未来少年コナン』  ・『機動警察パトレイバー』
『銀河鉄道999』
第6弾 ・第4弾 ・第3弾 

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■Real Life Simpsons Intro
  ザ・シンプソンズ実写版 予告

Real_life_simpsons
YouTube - Real Life Simpsons Intro 
 (ITmedia News:異例の人気 動画共有「YouTube」の正体より)

 これ、本当なのでしょうか。実写版の予告篇。ほとんどアニメの本家をそのまま実写に移し替えただけのオープニング。でもバートはまだしも、ホーマーとマージのイメージが違いすぎ。あの黄色い顔とマージのとんがりヘアーは再現してほしかった(^^;)。
Itchyscratchy

 もし実写版があるならば、イッチー アンド スクラッチー:The ITCHY & SCRATCHY Show (YouTube)も希望、、、って残酷すぎますね。

◆関連リンク
Live Action Simpsons New York Timesの記事
THE SIMPSONS (公式HP)
英国Sky One 
 ITmediaの記事によれば、ここがYouTubeにこのイントロビデオの配信を許可したとある。

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■トーマス・ジョンソン監督 『チェルノブイリ 連鎖爆発阻止の闘い』
  Thomas Johnson's Battle of Chernobyl

Discovery Channel - Battle of Chernobyl (米国公式HP)
チェルノブイリ 連鎖爆発阻止の闘い (米国公式HP)

 1986年4月26日午前1時24分、1000mの高さにもなる虹色の炎がウクライナの空に立ち上った。チェルノブイリ原子力発電所が爆発事故を起こしたのだ。
 それから8ヶ月、8000人の若き兵士、炭坑夫、市民がソ連全土から救援に駆けつけた。彼らは広島に投下された原爆の10倍とされる2次爆発を防ぎ、全世界を放射能汚染から守ったのだった。それから20年が経った今、史上最悪の原子力発電所爆発事故を様々な角度から検証する。
04/26(水) 21:00~23:00  04/27(木) 12:00~14:00
05/03(水) 01:00~03:00  09:00~11:00  18:00~20:00

 ディスカバリーチャンネルで事故20年を期に放映されたドキュメンタリー番組。隣接したウクライナのプリチャピ市を中心に、20年前の事故当日から「石棺」の封印が完成するまでの約7ヶ月を描いている。ここでいう闘いとは、放射能の封じ込めと、二次爆発の阻止である。

◆1986.4/26
 冒頭、1986.4/26 AM1:23に起こった爆発は地上1000mまで届く「オレンジと赤と青の閃光で、まるで虹のようだった」という目撃者のコメントとCGの(ちょっと稚拙な)再現フィルムからスタート。Chernobyl_0426 AM8:00のシーンでは、一番にヘリコプターで取材したノーボスチ通信社のイゴール・コスティン氏の空撮映像がながれる。これは番組によると、20年間極秘とされていた封印された映像らしい。続く、放射性物質の直撃を受けたプリチャピ市の映像では、放射線による画面の白い閃光が確認できて、生々しい。

◆人の作りしものとの闘い 
 今回の番組で初めて知る当時のソ連政府の現場での対応がものすごくリアル。下記のプロセスが、その場その場で作戦が練られて対策として処置されていく様が描かれる。まさに人類が自ら招いたパンドラの箱を前にして、あわてふためいてそれを封印する様が描かれる。

ヘリコプターで80kgの砂袋で合計6000tの砂とホウ素を投下してまず灰の拡散を止める。
地下に貯まった消火の水と核燃料が反応して一瞬にして3~5メガトン級の爆発が起こり欧州全域が壊滅する危険があるため、地下の水を抜く。
地下トンネルを掘って、爆発した4号炉の地下に30m四方の穴をあけ、最終的には炉が地下へメルトダウンしないようにセメントを流し込む。
セメントと鉄骨と鉄板で石棺を建造し、4号炉を封印する。その過程で、問題となった建屋屋上の汚染された高放射能を帯びたグラファイトの処理がすさまじい。ロボットで対応していたのが、電子機器がいかれて作業が進まず、最終的には予備役の20代の若者たちが自家製の急ごしらえの簡易装備だけで素手でグラファイトを階下へ投下していく。この兵士たちを「バイオロボット」と呼んだ。なんとも痛ましい。人間を機械的でそう呼ぶ感覚がどう出てきたのかまでは番組は追求していないが、行く方も行かせる方も、そこまで過酷な状況だったのだと思う。
Chernobyl_biorobo
 カメラマンのイゴール・コスティン氏はこの光景を「別の惑星のようだった」と表現している。現実感が保てなくなるほど、辛い光景だったのだろうと想像できる。

 最終的には、50万人が作業に従事し、この人類未曾有の人災はなんとか封じ込めることが出来た(といっても第二の石棺計画を急ぐ必要が出ているというが、、、)。しかしソ連の政治的にこのタイミングで起きたことが人類としてはまだましな結果になったようにみえてしまった。(もちろん被爆し死亡もしくは後遺症に苦しむ人たちには本当にたいへん気の毒なのだけど、、、。)

 ひとつは当時ゴルバチョフが進めていたグラスノスチで情報が西側にも開示され、国際原子力機関の査察が可能だったこと。
 そしてもうひとつは、とは言ってもまだ共産主義体制が継続しており、人海戦術をとらざるを得なかったところで、兵士や民間人(特に賞賛すべきはわずか100ドルの賃金で穴を掘らされた採掘労働者)を強制的に政治の力で投入できたこと。これが自由主義の国だったら、これだけの人を投入することはきっと不可能で、事故の被害はもっと拡大していたことだろう。

 国際原子力機関でのソ連のレガソフ氏の4万人がガンで死亡する恐れがある、という当初の推定の数字は、当の原子力機関で西側に受け入れられずに4千人の見積りとされたらしい。そして、結果現在までの公式な死者はわずか59人。作業員50万人と避難民13万人の現在までの実態調査はなされていないという。なんということか、愕然としてしまう。

◆日本では 
 もし日本で起きた時に、誰がその現場へ作業へ向かうのだろう。自らの命を賭けて(ほとんど捨てて)、日本人を救おうとする人々がどの程度いるのか、、、。むずかしい問題だと思う。国家プロジェクトもしくは電力会社がその利益を吐き出してでも、そうした時に遠隔で作業が出来るロボットの開発は、狭い国土でこれだけ原発を擁する日本としては、リスクマネジメントとして急務ではないだろうか。

 と言ったことを考えさせる鮮烈な映像の番組でした。これが一部の限られた視聴者に向けてしか放映されないところが、チェルノブイリ問題の「風化」なのでしょうね。僕としては、『ダーウィンの悪夢』より衝撃的でした。映像の持つ力をまざまざとみせつけられた2時間。これから広く再放映されることを望みます。

◆関連リンク
製作会社 PlayFilm
・イゴール・コスティン Igor Kostin photographer Google Image
Igor Kostin『Chernobyl: Confessions of a Reporter』(Amazon)
Igor Kostin『Tschernobyl. Nahaufnahme. Nahaufnahme』(Amazon)
23 Random Images from album :: Chernobyl(スライドショー)
日本チェルノブイリ連帯基金-home-
チェルノブイリ子ども基金
・京都大学原子炉実験所 原子力安全研究グループ
  チェルノブイリ事故データ等

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2006.05.03

■アンドリュー・パーカー著
   『眼の誕生 カンブリア紀大進化の謎を解く』
   In the Blink of an Eye 感想 前編

Theeyetoeyegallery
BioMEDIA Gallaries the Eye to Eye Gallery

 のっけから生物の眼について素晴らしいサイトを見つけたので、この写真を使わせてもらいました。インパクトと美しさをお楽しみいただければ、幸いです。
 本書とは直接関係ないですが、生物の目について徹底的にこだわったこのサイトが素晴らしいので、まずはご紹介。で、以下、本書について。長いので2回に分けて書きます。

アンドリュー・パーカー著『眼の誕生 カンブリア紀大進化の謎を解く』
In the Blink of an Eye
(Amazon)
Intheblinkofaneye

 先日紹介した本書を読了。思ったところを関連リンクとともに書いてみます。

本書のなりたちについて

 まずカンブリア紀大進化の謎に対するラディカルな仮説を思いついてしまった著者が、その興奮を抑えようとして、あえて淡々と生物の眼について記述する文体がいい。まだろっこしいという感想もウェブには挙がっているけれど、幼い頃のシュノーケリングで遭遇した生物の色の不思議(P138)を描写して、それとなく自分の生い立ちと生物の関係から紐解くアンドリューパーカーの筆に、僕はむしろ好感とワクワク感を持って読み進めた。
 知的エンターティンメントとしての視点だけからだったら、冗長に感じてしまうじれったさも、この研究者が何故この視点を持つに至ったかという一研究生活の記録として読むと、とても面白い。研究者って、こんなこだわりが一番重要じゃないかと思ったりするので、、、。

進化についての雑感 ここは進化に詳しい方は読み飛ばしてください。

 さて、本書のまずは骨格である生物の進化について。すみません、この部分、純粋に本書の感想ではなく、僕の単なる進化という言葉に関する感想です。

 ここで強烈に思ったのは、生物の進化という現象についての本質的なとらえ方。専門家からみれば、あたりまえのことなのだろうけれど、「進化」って実はあらかじめ目的性を持ってその方向を目指して生物が自分を変えていく現象ではない、ということを痛感した。
 「進化」という言葉を使うから何か目的のベクトルを持っているようにイメージしてしまうけど、実は「進化」の本質は「淘汰」なんですね(うー、当たり前と思った人、読み飛ばしてください)。

 どういうことかというと、進化は結果論でしかなく、実は単に突然変異で生まれたある環境への適応に秀でたものたちが、生き残った結果なのだということ。
 たまたま眼を持った生物が生まれ、それを持っていない生物がどんどん食われて滅びていって、結果として眼を持った生物が我が世の春を謳歌する状態が訪れ、それをヒトが「進化」と名付けた。「淘汰圧」という言葉が象徴するように、太陽光線という圧倒的な普遍的環境が「淘汰」を律して、眼のない生き物が滅んでいく。この淘汰の結果として、眼のある生物が長い時間かけて生き残った結果が「進化」。本来なら「眼を持った生物への進化」などという目的的な言葉を使わず、「淘汰の結果として、なりゆきで死滅を続けて生物は眼を持ったものが主流になった」、と表現すべきなのですね。

Geologytimescale 普通、目的もないところで、そのように見事に生物が発展(と思われる方向へ)変化するということはなかなかイメージできないのだけど、これに進化のタイムスケール:Geology time scaleを加えて考えるとイメージがしやすい。(クリックして拡大してみてください)

 左の地史学の図で、地球46億年の歴史でみると、5.4億年前のカンブリア紀は地球の歴史の88%経過後で、人の誕生に至っては99.96%経過時点のできごと。これだけ気の遠くなる時間をかけて、死滅していった生物の淘汰の結果として、たまたま眼を持った生物と、人類が我が世の春を現在、謳歌しているというわけ。目標を持って進化が進まなくても、なりゆきとしてこれだけの膨大な時間の消費があれば、この機能的にみえる生物群が生き残るというわけです。

 ところで「進化」って何故「淘汰」といわなかったのでしょうね。この方が実態をうまく表現しているのに、、、。これって西洋で神の概念とうまく融和するための学問的戦略だったり、優生学が前面に出すぎるのを嫌ったり、もともとプラグマティックな欧米の考え方とマッチさせたり、という諸般の事情によるのでしょうか。

 (ちょっと蛇足。「淘汰」の視点で見ると、とっても危険ですが(あえて上の認識を理解してもらうために刺激的なことを書くと)、『ダーウィンの悪夢』で触れた南北問題とか、現代日本のストレスによる自殺増加とかも、環境変化に追従した「淘汰圧」の一形態という切って捨てるような言い方が生じてくるからなのでしょうね。それを「淘汰」と呼ばず、「進化」としておいた方が、まずは軋轢も少なそう)

 すみません、繰り返しますが、この部分、純粋に本書の感想ではなく、僕の単なる進化という言葉に関する感想です。本書でアンドリュー・パーカーは当然「進化」についてこうした概念で記述しています(が、一部徹底できていない部分もあって、こんなことを考えつつ読んだのです。) (後編に続く)

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2006.05.01

■ハイビジョンレポート 川合次郎兵衛塚1号墳

 HDR-HC1を持って、ご近所の世界遺産(?)を調査に行ってきましたので、ご報告。

Jirobei_zuka_02
川合次郎兵衛塚1号墳
(公式HP)

 次郎兵衛塚1号墳は、出土した須恵器から古墳時代の終わりごろ、7世紀の初めに築かれたものと考えられます。すべて川原石で葺かれた墳丘は二段に築かれており、平坦なところにもこぶし大の石が敷かれていました。
 復元を終えてみると、古墳の頂上以外で目にするものは石ばかりで、その姿は見る人を威圧するかのようです。まわりを巡る濠も人を寄せつけません。

 実は我が家から車で5分のところに、こんな古代の遺跡がありました。引っ越してきたこともあって、不勉強で知りませんでした。子供が学校で見学に行って、近くにあるのを知りました。どうやら近くを流れる木曽川と飛騨川の自然の恩恵を受けて、けっこう古代には栄えていたらしいです。

 これは、一辺29.5mという巨大な石積みの古墳(方墳と言うらしい)ですが、言ってみれば日本のミニピラミッド。こんな雄大なものが近所にあってなんか感動。エジプトのピラミッドへは一度は生きてるうちに行ってみたいと思っていますが(きっと行けない)、こんな近くでまさかこのようなものが見えるとは。

 古墳って、前方後円墳とか、土の塊の小山というイメージが強くて、こういう石積みのものは知らなかったので、観てびっくり。石は木曽川から豊富にとれたものなのでしょうね。みんな丸っこい川原石でした。
 登ってみたかったのですが、残念ながら禁止でした。

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 土に埋もれていたようですが、もしかしてこれもミミズの仕業(^^;)。
 いや、冗談じゃなくて(^^;)、古代遺跡が土に埋もれているのは実はミミズが周りの土を数千年かけて掘り起こすのが原因、と栗本慎一郎の本で読んだことがあります。これ、遺跡が何故埋もれているか不思議だったので、目から鱗でした。
 小さいことの積み重ねなので破壊されることもなく、徐々に埋もれていくというところが時間のスケールを感じさせます。

◆関連リンク
ボロ具は懐古の薫り☆気儘に全般...etc.さんの記事によると、石積みは全国でも珍しいそうです。
古墳公園 日本各地の古墳の写真を掲載されています。これで見比べると、次郎兵衛塚、なかなか大物の風格。しかも美しい。
東海古墳★NAVi☆ 川合次郎兵衛塚1号墳

 岐阜県指定史跡 1辺30mの2段の方墳で、墳丘全面に貼られた川原石が復元されています。3基の横穴式石室を持ち、中央の主石室は全長15.5mの複室構造で県下でも最大級の規模です。

・2ch 「遺跡は、何故、地中に埋まっているのか? 」では、ミミズ説も書かれていますが、決定打にはなっていません。

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