■キース・フルトン、ルイス・ぺぺ監督
『ロスト・イン・ラマンチャ』
テリー・ギリアム『ドン・キホーテ』メイキング
『ロスト・イン・ラ・マンチャ』(Amazon)
CQN. Lost In La Mancha(公式HP)
テリー・ギリアム監督の未完の大作『ドン・キホーテを殺した男』のメイキング。ずっと観たかったこの「バトル・オブ・ドン・キホーテ」を観ることができた。
まず根本的な原因は、資金不足。『バロン』での制作費超オーバー(2倍になった)と同じ事を繰り返せないというプレッシャーの中で、無理なスケジュールが命取りとなった様が描かれる。個々のトラブルは用意周到にして計画に冗長性があれば、なんとか切り抜けられるようなものにみえる。スペインでの砂漠の大雨はそれだけなら2日ほどのロスだろう。だがそれがきっかけとなって、駄目押しで主演のジャン・ロシュフォールが高齢ゆえ、倒れることで映画の命運がつきる。
このメイキングは、一本の映画がつぶれる過程をリアルに体感できるのと、もうひとつ、ギリアムのイマジネーションが炸裂する現場が見られるのが、ポイント。溢れるばかりのイマジネーションに興奮するギリアム監督に感情移入して観ると、映画監督という魅力的な商売の疑似体験ができる。しかし、その後のもの凄い心労も味わうことになるが、、、。
映画では制作が終わってしまうところまでしか描かれないが、公式HPのプロダクションノートが興味深い後日談を紹介している。
やがて脚本の権利は保険会社のものとなり、残されたものといえば1500万ドルの保険金請求で、それはヨーロッパ映画史上最高額だった。残された80時間以上のテープとインタビューから「ドン・キホーテ」が作られなかった経緯は再構成された。
人海戦術でとても金のかかる映画制作のリスクの数字として、1500万ドルという事実。ある意味、非常にデリケートな課題を抱える(つまり一人の俳優の健康)映画制作の怖さが実感できる数字だ。
ギリアムはなんとかして、再度制作をスタートさせたいようであるが、『ブラザーズグリム』がヒットしなかったことを考えると、かなり厳しいのではないか。ファンとしては、少し出資してでも観たいのだけど、、、。
◆関連リンク
・『メイキング・オブ・12モンキーズ』
・『バトル・オブ・バロン』 この2本も是非観たいものです。
・Don Quijote de Orson Welles (1992)
このメイキングでも紹介されているこれも未完のウェルズの『ドン・キホーテ』。ここでスチルが観えますが、これも完成していたら傑作だったのでしょうね。画面から気迫が伝わる素晴らしい画になってます。未完だけど、DVDが販売されているようですね。観たいなー。
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